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QOLの向上

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QOLの向上
QOLの向上
生活に変化を起こし
一人一人の願いを叶える為の機能訓練
介護老人福祉施設 白寿園
機能回復訓練指導員
主任 小柳 美智子
介護老人福祉施設 白寿園の概要
 開設:昭和47年5月1日
 定員:99名(ショートステイ14名)
 平均要介護度:4.05
 平均年齢88歳
 所在地:熊本県荒尾市一部2122番地
 敷地面積:14,202㎡(約4303坪)
 建物面積:3283㎡(約994坪)
 建築構造:鉄筋コンクリート造り平屋建て(一部鉄筋)
白寿園における機能訓練とは・・・
 利用者の日常に活動的な暮らしを提供する
 利用者の残存能力に添った訓練を実施する
 利用者本人や御家族の希望を
取り入れ介護負担の軽減へ繋げる
 利用者のQOLを向上させ
生きる事への活力を持って頂く
<事例紹介>
A氏
70代 男性 要介護度4



性格: 温厚でまじめ
移動: 車椅子自走
トイレ移乗: 二人介助

ベット移乗: 一人介助

既往歴: 脳挫傷後遺症
パーキンソン症候群
右膝変形性膝関節症

日常生活の様子:
・ 右膝 変形性膝関節症の悪化により生活での
活動を拒否される事が多い
・ 居室→食事→トイレ→居室 が日常生活の中心
・ 居室ではベットに臥床されTVを見て過される
・ 体を動かす事を嫌がり 必要な時はコールを鳴
し職員を呼ばれる
 「また歩けるようになって家に帰りたい」との強い要望がある中
変形性膝関節症の痛みから自力での起立や立位保持が困難
 体重が増加し「身体が思うように動かない」と悲観的
 日々の生活に活気が無く日中の大半を臥床・傾眠状態で過す
 「もう生きていたくない 僕を殺して下さい」 との言葉が聞かれる
A氏
本人の願い・・・
痛みなく体を動かし
歩ける様になりたい
 A氏のADLの低下を招く問題点
訓練室のアプローチ
・ 身体機能・筋力の低下
1、残存能力の維持・向上
・ 右膝変形性膝関節症の
運動時痛による活動の制限
2、痛みの緩和
・ 日中の傾眠傾向
3、意欲の向上
・ 日常生活における活動性の低下
4、リラクゼーションと交流
Keyword・・・
訓練の取り組み
A氏の身体機能を低下させている要因を
取り除き残存機能を活用する事で
生きる活力を取り戻して頂きたい
3 意欲の向上
4 リラクゼーションと交流
QOLの向上
2 痛みの緩和
ADLの向上
A氏の現状
1 残存能力の維持・向上
利用者自身の望む生活
訓練室のアプローチ
1 残存能力の維持・向上
Keyword・・・
本人が最も楽しめる方法は何だろう
そして最も効果を実感できる方法は
 低負荷 + 高頻度 の筋力増強訓練を実施
・ 実際の訓練内容に関しましては、介護棟での生活を考え、起立、移乗、移
動、バランス訓練(体幹筋強化目的にて)長椅子へ移動しお手玉送り、タオ
ルやチューブ運動、自力での横移動訓練、登り棒およびテーブルでの起
立
訓練や歩行訓練等、基本動作能力にもとづいた内容で取り組みました
Keyword・・・
右膝 変形性膝関節症
に留意・・・
2 痛みの緩和
QOLの向上・介護負担減
痛い
身体機能の向上
動かしたくない
筋力の増強
活動性の低下
筋力の低下
廃用症候群
介護負担増
もし、
痛くなかったら
活動性の向上
訓練前の
温熱療法の実施
動かせる
痛くない
義肢装具士による
膝固定装具の製作
Keyword・・・
傾眠と意欲低下の原因は何か・・・
3 意欲の向上
 就前の内服薬に着目
平成24年5月以降
※ 就前薬はその効力の大小によって
翌日へのもちこし作用がある
日中の傾眠、活動性の低下
下記の就前薬を全て中止
ベゲタミン-A配合錠
気分を落ち着かせる薬
ロヒプノール錠1mg.
熟睡を促進し、寝付きを良くする薬
コントミン糖衣錠25mg.
吐き気を抑え、不安、緊張を和らげる薬
アタラックスPカプセル25mg.
かゆみ抑制
気持ちを楽にし、不安緊張を和らげる薬
内服薬の変更過程
身体機能の低下
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
10
月
9月
8月
食前・食後薬
7月
6月
5月
4月
3月
24
月
月
2月 1月
年
H
12
11
年
月 月
9
23
10
H
就前薬
4 リラクゼーションと交流
Keyword・・・
機能訓練の枠組みにとらわれず
周囲との交流や心地よい環境を
楽しんで頂くこと
 メドマーによる下肢の空気圧マッサージ
・ 筋緊張の緩和
・ 血行の促進
 全身マッサージ機
・ 疲労の改善
・ リラクゼーション
 集団体操
・ 利用者どうしの一体感
そして皆一緒だから頑張れる 相乗効果の促進
 訓練後のお茶と雑談
・ 「今日も訓練お疲れ様・・・」の一服
・ 日常を過す介護棟を離れ一次的に環境を変える事で気分転換を図り
心理的なリフレッシュをして頂ければと思います
Before and After
痛みの緩和
0点
痛みなし
意欲の向上
筋力の維持・向上
リラクゼーションと交流
3
6月
8
4/25
10点
耐えがたい痛み
表情も明るくなり言葉もはっきりとされ
最近では会話を楽しまれるようになる
トイレやベッドなど
自力での移乗動作が不可
あらゆる移乗動作が見守りのみで可能
ダイエットにも成功しウォーカー歩行が可能
「生きている事の全てが辛い
早く自分を殺して下さい」
後ろ向きな発言ばかりが目立つ
毎日車椅子自走し訓練参加
「おはよ~」と大きな声で訓練室へ来室
自分から訓練内容の選択を行われる
70
68
66
64
62
60
5 月
6
6/13
常にうつむき傾眠状態
声掛けに対して片言の返答のみ
体重の変動
4 月
8/22
7 月
8月
内服薬の変更・機能訓練の実施
■就前薬
そして A氏の活動性の変化 ■食前・食後薬
平成24年2月
食前・食後薬 9種類 減
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
平成24年5月
就前薬の服用中止
10
年
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
24
月
月
2月
H
12
11
年
月
23
10
H
1月
9月
内服薬の変更・機能訓練の実施
そして A氏の活動性の変化
それでは、動画を
御覧ください
今後の展望
Keyword・・・
今後、利用者本人、又は御家族に
身体機能の改善と生活の質の変化を
感じ取って頂くには・・・
介護
医務
多職種協働
生活相談員
調理
訓練室
考察
最後に、機能訓練とは利用者の長く
続いた不自由と無力な状態に向かい
合い、到達可能な目標に向かって共
に歩んでいくことにあると考えていま
す。
今後も訓練を利用者様が前向き
な生活を送れるための大切な手段
として活用していただけるよう頑張
っていきたいと思っています。
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