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ハボタン黒腐病に対する薬剤防除法 - 兵庫県立農林水産技術総合センター
26 兵庫農技総セ研報(農業) B u l l .HyogoP r e .T e c h .C e n t .Ag . rF o r e s t .F i s h .( A g r i c u l t u r e ) 53,26-27 ( 2 0 0 5 ) [ 短 幸 町 ハボタン黒腐病に対する薬剤防除法 神頭武品m*.石 J I I } I J 真 也 * 嬰 約 X a n t ! lO monasc a m p e s t r i sp v .c a m p e s t r i sによって 5 1き起こされるハボタン黒腐病に対し,プロベナゾl レ粒剤,オキシン錦水和剤,マンゼフ守水和斉J Iの予紡効果が高く,特に,プロベナゾール粒剤の定植時横 穴土壌混和処理は極めて高い防除効巣を示した. Thec h e m i c a lc o n t r o la g a i n s tB l a c kRoto fF l o w e r i n gCabbage r a k e s h iKANTOa n dJ y u n y aISHIKAWA つ Summary r g a n i cc u p p e ra n dmannebh a v eh i g hp r e v e n t i v巴 e f f e c t sa g a i n s tb l a c kr o to f Wec o n f i n n e dt h a tp r o b e n a z o l,o αm p e s t r i sp v . campest 巾. E s p e c i a l l y,s o i lm i x t u r et r e a t m e n to f f l o w e r i n gc a b b a g ec a u s e dbyXanthomonasc g r a n u l a rp r o b e n a z o l2g / ho l ea tt h 巴t r a n s p l a n t i n gshowedc o n t r o lv a l u e9 0 . キーワード:ハボタン,黒腐病,予防効果 表 1 試験 I Rの構成 冨 AV ‘ 山 根 、 ‘ ,,, 一 , 、 J J J 、 、、 也J 、 ノ , JJ JY AV マ 一パ鍛パマパ る.問時に葉縁部から V字型に黄化し,葉脈が黒変する症 銅 穏種種種種種 5臨の不整形,中央が灰白色,周辺が黒褐色の病斑とな 一錦錦ママ 頭大で暗緑色の 7 1<.浸状斑点が現れ,やがて拡大し, 3~ IEEWVW l 1 lo n a sc all1p e s t r i sp v .c a l l 1 p e s t r i s ハボタン黒腐病は Xantho によって引き起こされる細菌病 3)で,はじめ葉の裳面に針 9一議接接接接接 緒 状を生じることもある.本病の発生により商品価値が低下す 添加して散布した.散布月日は表 1に示す. るため、早急、に防除法の確立が望まれている.本病に対し ( 5 ) 接 種 : 黒 腐 病 細 蘭 (Xm 仙o l 1 lo n a sc a m p e s t r i sp v . ては品種間差異が存在する 41ため,抵抗性品穣の育成も c a l 1 l pωt r i s:静岡大学保存菌)懸濁液 (lX106c f u / m l, 0 0 3農 考えられるが、開発には長期間を要すること,また, 2 t w 巴 巴n 20を0.05%となるよう添加)を 9月28自に十分量 薬年度現在,本病に対する登録農薬がないこと 1)から有効 噴霧接種した.接種後 2日陪ハボタンをポリ袋で保湿した. 薬剤を検討し,登録への提言を行うこととした. ( 6 ) 底訪日 :11 R5株 3反復 ( 7 ) 発病調査:1O}J17自に金株の展開上位葉から 7葉に 材料及び方法 ついて発病葉数及び病斑数を調査した. 2 0 0 1年) 試験 1( 試験 2( 2 0 0 2年) ( 1 ) 試験場所:農業技術センター内力ラス室 (1)試験場所および供試品種:試験 1に同じ ( 2 ) 供試品種: 紅はと j ( 2 ) 耕 種 概 要 : 8月 6日 ( 4 0 0穴トレイ)に播種し, 9 r ( 3 ) 耕 種 概 要 : 7月27自に播種, 8} J30Bに 9c m ポツ } J5Bに 9c Inポットに定植後,底面給水で管理した. トに定植,以降底面吸水で、管理した.本病涼細菌の接 ( 3 ) 薬部処理:プロベナゾー J レ粒剤 (8%製剤)を 9月 種後は,じようろで軽くかん水し,発病を促した. ( 4 ) 薬剤処理 有機錦フロアブル (35%製剤) 8 0 0 f 音波(以下,鍋と 5Bに 1~ 2g /株元土壌混和した. (4)接種:黒腐病細菌 (Xanthomonas叩 I 1 l p e s t r i sp v . c a l l 1 p e s t r i s:静関大学保存菌)懸潟液 (8X108c f u / m l, 標記),マンゼブフロアブル (20%製剤) 5 00 倍液(以下, t w e e n 2 0を0.05%となるよう添加)を 9月初日に十分量 倍液 マと標記),パリダマイシン液剤 (5%製剤) 800 噴霧接種した.接穣後 2日間ハボタンをポリ袋で保湿した. (以下,パと標記)を各種組み合わせ, t w e e n 2 0を0.05% 2004年 8月3 1日受理 *兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター ( 5 ) 軍制 1区 5株 3反復 ( 6 ) 発病諦査 :10月 1 0日に,全株について,展開上位葉 から 8葉について,発病葉数及び病斑数を調査した. 神頭武嗣・石!11 m 頁也:ハボタン黒腐病に対する薬剤防除法 結 27 考 察 巣 本研究では, 2 0 0 1年に散布剤を, 2 0 0 2年に粒剤を試験 試験 1 表 2のとおり,黒臓病縮瞳接種後のパリダマイシン散 した. 2 0 0 1年の結果では,表 2のとおりマンゼフ、、水和斉J I 布区(1I包)では, 1 0月178調査で 1葉当たり病斑数が と有機銅水和剤の接種前散布の防除効果が高かった.マ 1 0 . 3と無処理の 1 1 .1 とほぼ向様の発病となり,防除価は ンゼブは,有機硫黄系の化学物資 5)であり,微生物の SH 7 . 2と緩めて低かった.接種後パリダマイシン散布匿(1I, と結合して殺菌効果を発揮する.細菊病についても効 Wおよび V!R)のうち譲種前有機銅 2翻散布毘 (N区) 果的であること 1 が知られていた 2) 今罰のように予妨散 およびマンゼブ 2国散布区 ( V I区)は 布を行えば,マンゼブでもハボタン黒臓病細菌に対し, 1葉当たり病斑 数がそれぞれ2 . 3,2 . 8とたいへん低く抑えられ,防除価 十分肪除効果があることが判明した.特に,マンゼブフ でそれぞれ7 9 . 3,7 4 . 8と高い防除効果を示した.接積前 ロアブルの接種前後各 l回散布は防除価8 4 . 7と非常に高 と接種後にそれぞれ有機銅またはマンゼブを散布した E い防除効果があった.有機銅についても微生物の SH恭 区と V区では,田区で l葉当たり病斑数が4 . 6,妨徐価 を盟害することや,以前から細菌病に有効で、あることが が5 8 . 6, V区でそれぞれ1.7,8 4 . 7とマンゼブが非常に 知られており,今聞の有機銅フロアプルの接種能 2回散 使れた紡除効果を示した.以上の結果から,接種前の有 布で関除錨 7 9 . 3という結果はそれを裏付けるものと考え 機錦 2屈散布 (N註),接種前と接種後のマンゼブ各 1 られる. 2 0 0 2年の試験でプロベナゾール粒剤の定植時植 留散布 (V区)および接種訴のマンゼブ 2聞散布 ( V I区) 穴土壌混和 2g /穴処理により防除価9 0以上と高い防除効 は防除価 7 5以上と高い防除効果会示すことが判明した. 果を示した.プロベナゾールは,植物の病害抵抗性を向 各薬剤とも薬害はなかった. 上させる物質でありへ既にキャベツ黒腐病に登録があ 2 0 0 1 ) 表 2 各薬剤の散布によるハボタン黒腐病防除効果 ( a U5 & m 区区区区区区 区 1(無処理) H 羽 N V V I l 葉あたり撒轍 b) 防制限 c) 発清禁容 ( % ) b ) 3 4 . 3土 3 . 3 3 8 . 1 : と6 . 3 2 2 . 9土 7 . 2 . 8 1 6 . 2土 5 1 0 . 5土 3 . 4 1 9 . 9土5 . 3 1 1 . 1 : i : 1 .2 1 0 . 3土2 . 2 4 . 6土1.4 2 . 3: i : 1 .2 1 .7 土1.1 2 . 8土1.1 , ) 表 1参照、 b)3反復の平均土標準誤差、 たり病波数より算出 c )無処理(I!R)に対する 7 . 2 5 8 . 6 7 9 . 3 8 4 . 7 7 4 . 8 1策あ る.今問,ハボタン黒臓病でも防除効果が梅めて高いこ とが確認された. 弘上の結果から,ハボタン黒腐病に対し,定植時のプ ロベナゾー 1 レ粒剤土壌混和処理,主主育期(定植後)の有 機銅またはマンゼブ水和剤の予防散布(感染前散布)が 有効であると判断される.実際の妨徐に際しては,感染 時期を明確に把握しにくいため,今回の試験のように的 確に感染前あるいは感染後の薬剤散布を実施することは 離しい.したがって,定植特に植穴に処理するプロベナ ゾール粒斉J Iの方が散布郁よりも安定した防除効果を期待 試験 2 ーできる. したがって,今後は,多発条件下でのプロベナ プロベナゾール粒剤をポット定植時に 1~2 g/植穴土 ゾール粒剤の防除効果を確認し,ハボタン黒腐病に対す 壌混和して黒腐病細醤を接種じ,発病を調査した.表 3 る農薬登録が促進されるよう関係機関に鋤きかけるとと のとおりプロベナゾール粒剤定植時植穴 2g処理包で l もに,抵抗性品種の開発とも併せて現場でのハボタン生 葉当たり病斑数が0 . 2 3となり,無処理の 9%,防除偲で 産に寄与できるよう検討する. 9 0 . 9と発病抑制効果が高かった.同時期の植穴 19処 理 . よ ヱ ノ 区でも l葉当たり病斑数0 . 8 3と無処理の 32%,防除価で 引用文献 6 7 . 8と 2g処理よりも劣るものの発病を低く抑えた.薬 (1)独立行政法人農薬検査所監修 ( 2 0 0 3 )2 0 0 3年版農薬 適用一覧表.日本植物紡疫協会.東京, p p . 650-651 害はなかった. ゐ仰叩 区 日 表 3 プロベナゾール粒剤の定植時株元土壌混和処壊の ハボタン黒腐病防除効果 ( 2 0 0 2 ) 発病薬事(%),) H実 あ た りf 蹴撤,)防制面 b) 4 8 . 1土 7 . 5 Zプロベナソ・-}同錆I J lg f株区 2 2 . 5土2 . 9 E プロベナゾーJ時捌知事相互 6 . 7土3 . 0 I無処理区 3反復の平均土標準誤菱、 より算出 . 6 2 . 5 6土0 0 . 8 3土 0 . 1 0 . 2 3土 0 . 1 ( 2 ) P.L 巴c i g n ee ta l .( 2 0 0 0 )P y t o m a5 3 1:13-16 ( 3 ) 神頭武嗣・伊藤佐弥香・瀧川雄一 ( 2 0 0 3 ) 日植間報 69:422-424 領也・前 1 1 1和正・相野公孝 ( 2 0 0 4 ) ( 4 ) 神頭武嗣・石川 j 6 7 . 8 9 0 . 9 I区)に対する 1禁あたり病斑数 関西病虫研報 ( 4 6 ):51-53 ( 5 ) 農薬ハンドブック 2 0 0 1年版編集委員会編 ( 2 0 0 1 )農 薬ハンドフ。ツク 2 0 0 1年版.日本植物防疫協会.東京. pp214-234,339-347