...

常識破る「三軸織物」で 宇宙分野の一角担う

by user

on
Category: Documents
35

views

Report

Comments

Transcript

常識破る「三軸織物」で 宇宙分野の一角担う
福井がねらう先端産業
米の複合材展示会出展が
宇宙分野への足掛かりに
三軸織物とは、通常の織物
と違い﹁縦・横・斜め﹂の三
方向から繊維を通して作る織
物をいい、世界で唯一、同社
が製造を手掛けています。
同社と三軸織物との関係は
の展示会では、来場者は明ら
かに目的意識を持って来てい
ました。製品の出来上がりイ
メージがあり、本気で材料を
探しに来ているのです﹂
かく強い繊維を作る﹂という
立 ち 上 げ る に 当 た り、﹁ と に
す。当時の親会社が新事業を
じ土俵で話せるよう、宇宙の
し た ﹂ と 酒 井 氏。﹁ 相 手 と 同
知見もまったくありませんで
ず、宇宙に関するノウハウも
も っ と も、﹁ 当 初 は 宇 宙 分
野での利用を想定しておら
﹁技術の寿命は短命﹂と
ブラッシュアップに注力
ミッションを立てたことか
ことを深掘りしていく必要が
ら、三軸織物の研究を進めて
年までさかのぼりま
いた米国企業にアプローチし
ある﹂と決心し、宇宙分野に
針をとりました。
特化する﹁選択と集中﹂の方
たのが始まりでした。
費用的に折り合わず当初は
開発を断念したものの、その
企業が繊維事業を手放すこと
その選択が功を奏し、 年
先、 年先を見据えた国家プ
者と顧問技術契約を結び、入
買い取り、直ちに機械の開発
ることに。酒井氏は﹁機械を
学などと協同で﹁インフレー
発機構︵J AXA︶や東京大
とに。近年では、宇宙航空開
ロジェクトにも多く関わるこ
になり、逆アプローチを受け
手した機械の構造等の開発を
タブル構造﹂の技術研究を進
合材展示会に出品したとこ
三軸織物に挑戦。米国での複
を持つという﹁炭素繊維﹂で
た た ん で も 繊 維 が 傷 つ か ず、
膨張させるというもの。折り
衛星で打ち上げ、宇宙空間で
三軸織物を折りたたんで人工
ごに代表される和のイメージ
品。とりわけ欧州では、竹か
分野への展開も進む同社の製
宇宙分野への進出を足掛か
りに、スポーツや建築など他
グに仕上げた事例がありま
ドームを二つ折りにしてバッ
ン ブ ラ ン ド の デ ザ イ ナ ー が、
ンプルを見た有名ファッショ
うと、ドーム状に加工したサ
と考えます。当社の場合でい
料メーカーの役目ではないか
は何が必要かという意識の転
く﹃材料﹄を販売するために
経 験 も 数 知 れ ず、﹁ 織 物 で な
試作品の反応が今一つだった
必要がありました﹂と酒井氏。
などの規格を自分たちで作る
世の中にない物なので、強度
山ほどありますが、そもそも
年近い開発の道のりを振
り 返 り、﹁ 大 変 だ っ た こ と は
く必要があります﹂と話しま
から、伝統と新素材という異
す。宇宙のコンポーネントを
換でようやく光が見えてきた
来場者アプリケーションにお
色の組み合わせが高い評価に
はじめとする加工製品を販売
のです﹂と締めくくってくだ
す。
つ な が っ て い ま す。﹁ 三 軸 織
するものは別として、我々の
さいました。
ける開発インスピレーション
物で形作られる六角形は、人
材料をお使いいただく上での
を促すお手伝いをするのが材
間の網膜やミツバチの巣など
ご提案する半製品に留めてお
数多くの展示会に出展した
経験を踏まえ、﹁できるだけ、
ないでしょうか﹂
も評価いただけているのでは
安定構造として自然界に多数
イ メ ー ジ を 受 け そ う で す が、
﹁宇宙分野というと、﹃先進
的な材料を扱う先端産業﹄の
います。
存在しています。機能性とデ
酒井 慶治 氏
三軸織物の製造機械。一般的な織機とはまるで別物です。
実はハンドメイドと知恵の積
み重ねによるところが大きい
のです。気持ちが折れそうに
なっても地道にやるしか道は
あ り ま せ ん ﹂。 宇 宙 分 野 に お
いても常に先を見た新規開発
の 命 題 が あ り、﹁ こ れ ら を 開
発して行かなければ我が社は
なくなる﹂という技術のブラ
ッシュアップの重要性を強調
します。
展示会でも目を引く成形モデル。来場者のインスピレー
ションを促すため、敢えて実用性を無視したものに。
状保持力や復元力の高さがプ
小惑星探査機はやぶさに搭載されたアンテナなど。
高い精度、軽量化など厳しい条件をクリアし採用されました。
ザイン性が両立できている点
2010年6月、数々の困難を乗り越え地球に帰還した小惑星探査機『はやぶさ』
。その
ドラマを陰で支えた企業の一つが、坂井市にあるサカセ・アドテック株式会社です。同
社は強みとする「三軸織物」で同探査機の開発に参画、通信用アンテナや導波管の素材
を納入した実績があります。従業員20人の企業による先端分野への挑戦。その経緯に
ついて、代表取締役の酒井慶治氏に伺いました。
ロジェクト参画につながって
﹁織物でなく
﹃材料﹄
﹂
意識の転換が光明導く
ろ、現地の人工衛星メーカー
10
元の形に復元しようとする形
1
の 目 に 留 ま り ま し た。﹁ 海 外
めています。同技術は、膨張
進めました﹂と振り返ります。
可能︵インフレータブル︶な
5
同社はその後、鉄と比べて
分の の重さで 倍の強度
10
1
9
8
8
4
30
3
vol.16
vol.16
4
「宇宙関連産業」参入
常識破る「三軸織物」で
宇宙分野の一角担う
サカセ・アドテック株式会社
サカセ・アドテック株式会社
http://www.sakase.co.jp/
所 在 地:坂井市丸岡町下安田14−10
電話番号:0776−66−2115
代 表 者:酒井 慶治 氏
資 本 金:5,000万円
従業員数:20名
事業内容:三軸織物製造
Fly UP