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画像診断の基礎 3.画像検査の申し込みからレポート/フィルムの

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画像診断の基礎 3.画像検査の申し込みからレポート/フィルムの
2004/6/8
画像診断の基礎
1.フィルムの取り扱いの注意
フィルムは決して,受け持ち医/担当医のものではありません.病院のものであり,また,ある意味で患者のもの
でもあります.そのため,以下の点に留意してください.
1-1
1-2
1-3
水にぬらさない.また,フィルムの辺縁をもつよう習慣づけてください.ベッタリと手あかをつけると,あとで
カビが生えてきます.
書き込まない.皮膚鉛筆で書き込みをすることは好ましくありません.どうしても必要な場合は,辺
縁に記入してください.
病院の規則により,フィルムは病歴部にて保管されるものです.一時的に,外来患者では外来,入院患者
では病棟にて保管されます.まちがっても医局や研究室の自分の机に山積みしておいてはいけません
2.胸腹部単純写真の読み方 参考文献「新臨床X線診断学(大澤忠編,医学書院)」
2-1
画像診断全般の基本的な注意点
2-1-1 患者氏名と左右の確認.まず,氏名と左右の確認を行います.患者や患側のまちがいは,しばしばみら
れる医療ミスです.
2-1-2 X線解剖の熟知.正常像をわからずに異常所見を拾い上げることはできません.正常のX線解剖を教科
書から学ぶことは大切ですが,臨床研修医のみなさんはむしろ,実際のX線写真の読影練習を数多く行
い身につけることも同じように重要です.
2-1-3 すべての異常所見を読み取る.一つの異常所見を認めた時こそ,2個目,3個目の異常を見落としがちと
なります.すべての異常所見を読み取るつもりで読影します.
2-1-4 複数の画像検査を施行する順序.いくつかの検査を予約する際には,その順序に十分注意してください.
バリウムを用いた消化管造影検査のあとに腹部CTを撮影してもアーチファクトのために得られる情報は
きわめて限られてしまいます.また,CT/尿路造影などのヨード造影剤を用いた検査のあと2−3か月
は,甲状腺の131I摂取率は投与されたヨードのために信頼できる値を示しません.複数のラジオアイソ
トープ(RI)検査を行う場合は,半減期の短い核種の検査を先に行います.無駄のないスケジュールを組む
ために,検査の特徴をよく把握してください.
2-2
胸部単純写真のチェックポイント
立位,深吸気,後前像(posteroanterior view, PA view)での撮影が基本です.側面は右左像.チェック項
目:心陰影(心辺縁),大動脈,気管から気管支,肺動脈/肺静脈(肺門影),葉間胸膜,腫瘤影,縦隔の
前接合線/右傍食道線/傍脊椎線など,肋骨/脊椎骨,肩甲骨,横隔膜,胸水,胃泡,皮下の軟部影.
側面像では,心陰影,気管/気管支,肺動脈,下大静脈,胸椎,胸骨,肋骨,横隔膜.
(付記)病変にまちがいやすい構造物:乳頭/乳房,肋軟骨の化骨(左右上肺野の縦隔側),胸骨柄/奇
静脈(右上縦隔リンパ節腫大との誤認)
2-3
腹部単純写真のチェックポイント
基本は臥位正面像です.立位像は消化管閉塞/穿孔を疑う時,異常陰影の可動性をみる時に追加しま
す.情報量は臥位のほうがはるかに多い.チェック項目:消化管ガス像,異常石灰化,腫瘤影,側腹線
(flank line),脊椎/骨盤骨,腎/腸腰筋の輪郭,異物の有無,肝の輪郭,腸管外ガス像,腹水.
3.画像検査の申し込みからレポート/フィルムの受け取りまで
3-1
検査申込書の書き方
診療情報の欄には,原疾患(なぜ外来を受診しているのか/入院しているのか),臨床経過/治療経過
(術前/後,化学療法後など),現在の問題点(今回の検査の直接の理由)を簡潔に記入します.だらだ
らと書く必要はありません.
3-2
フィルムの受領
検査後ただちにフィルムが必要な場合(急現)は,事前にご連絡ください.また,検査室/読影室か
ら無断で持ち出してはいけません.あとでフィルム行方不明などのトラブルの原因となります.
3-3
緊急検査について
緊急検査には可能な限り対応します.しかし,検査を申し込む前にもう一度,その検査は本当に「患
者」のために緊急に行わなくてはならないのか,よく考えてください(回診/職員の都合などのため
ではありませんか?).不要な緊急検査が増えると,真に緊急に行うべき検査がタイミングよく行え
なくなってしまいます.
3-3-1 ポータブル撮影の適応
ポータブル撮影にあたっては,原則として医師(場合によっては看護師)の立ち会いが必要です.そして周
辺の患者,看護職員,医師の放射線被曝を最小限にするために,患者の移動が困難な場合に限って特
別に,ポータブル撮影の適応があります(医療法規則第30条の4,他).これからおわかりのとおり,ポー
タブル撮影を行う患者が,たとえ車いすであっても,売店に買い物にいったりすることはあり得ません.ま
た,あってはならないことですが,医師や看護職員の都合で,病室での撮影を依頼する,ということも厳に
慎んでください.ポータブル撮影はあくまでも,非常事態に対する緊急避難措置です.ピザや寿司の宅配
とは,まったく意味が異なるのです.
獨協医科大学越谷病院
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