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緩和ケアII(5)臨床腫瘍学2012

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緩和ケアII(5)臨床腫瘍学2012
精神腫瘍学
(Psychoonchology)
2012.10.19
自治医科大学緩和医療講座
岡島 美朗
Agenda
(1) 精神腫瘍学とは?
(2) 精神症状のコントロール
①うつ病・適応障害
②せん妄
(3) スピリチュアルケアの可能性
(1) 精神腫瘍学とは?
精神腫瘍学 (サイコオンコロジー)
がん患者を対象とする、精神医学的・心理学的活動
臨床的課題
・がん患者における精神障害の診断・治療
・がん患者の心理的苦痛に対するケア
・がん治療のサポート(患者の判断能力の査定、自己決定へ
の援助、スタッフへの心理的ケア、医師のコミュニケーション
スキルの指導など)
・家族・遺族のケア
がん患者にみられる精神障害
L.R.Dorogatisら(1983)
215例のがん患者のうち、101例(47%)に精神障害。
適応障害が69%、不安と抑うつを伴うものが最多。
うつ病性障害が13%、不安性障害は4%。
M.J.Massieら(1987)
精神科コンサルテーションを受けたがん患者546名。
不安性障害4%、大うつ病9%
適応障害54%(抑うつ気分を伴うもの26%、不安を
伴うもの11%、不安と抑うつを伴うもの17%)
(2) 精神症状のコントロール
①うつ病・適応障害
大うつ病、適応障害の有病率 -国立がんセンター
がんの部位 症例数
適応障害
全病期頭頚部がん
107
初回治療前
有病率
合計
大うつ病
13% / 4%
17%
早期肺がん
術後1か月間
223
5% / 4%
9%
進行肺がん
初回治療前
129
14% / 5%
19%
術後乳がん
外来通院中
148
18% / 5%
23%
再発乳がん
55
診断後3か月
終末期がん
140
死亡前約2ヶ月
35% / 7%
42%
19% / 9%
28%
大うつ病エピソード(DSM-Ⅳ)
A.以下の症状のうち、5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在
し、病前の機能から変化を起こしている;これらの症状のうち、少なく
とも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味または喜びの消失である。
(1)患者自身の言明(例えば、悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者
の観察(例えば、涙を流しているように見える)によって示される、ほとん
ど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
(2)ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての
活動における興味、喜びの著しい減退(患者の言明、または他者の観
察によって示される)
(3)食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加
(例えば、1ヶ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食
欲の減退または増加
(4)ほとんど毎日の不眠または睡眠過多
(5)ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察
可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚
ではないもの)
(6)ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退
(7)ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感
(妄想的であることもある)、(単に自分をとがめたり、病気になった
ことに対する罪の意識ではない)。
(8)思考力や集中力の減退、または、決断困難がほとんど毎日認め
られる(患者自身の言明による、または他者によって観察される。
(9)死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画は
ないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっき
りした計画
B.症状は混合性エピソードの基準を満たさない。
C.症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の
重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D.症状は、物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、ま
たは一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。
E.症状は死別反応ではうまく説明されない。
適応障害 (DSM-Ⅳ)
A. はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレ
ス因子の始まりから3ヶ月以内に、情緒面または行動面の
症状の出現。
B. これらの症状や行動は臨床的に著しく、それは以下のど
ちらかによって裏付けられている:
(1)そのストレス因子に暴露されたときに予測されるものを
はるかに超えた苦痛.
(2)社会的または職業的(学業的)機能の著しい障害.
C.ストレス関連障害は他の特定の第一軸障害の基準を満た
していないし、すでの存在している第一軸障害または第二
軸障害の単なる悪化でもない.
D. 症状は、死別反応を示すものではない。
E. そのストレス因子(またはその結果)がひとたび終結すると、
症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない。
がんに対する心の反応
検査
日
常
生
活
へ
の
適
応
がん
}
衝撃
否認
集中力低下
食欲低下・不眠
絶望
不安
怒り
悲嘆・落胆・うつ
0
2週
3 ヶ月
日常生活に支障なし
•現時的対応
•情報収集
•孤立感
•疎外感
•楽観的見通し
「自分のがんは
治るのでは?」
時間
がん診断後の自殺と心血管死
(NEJM 366:1310-1318, 2012)
スウェーデンの住民約600万人を対象としたcohort study
がん診断後、一週以内の自殺は、非罹患群に比して相対危
険度12.6、一年以内では3.1。
心血管死は、がん診断後一週では相対危険度5.6, 4週以
内では3.3。
そのリスクは最初の一年を過ぎると急速に低下する。
リスク上昇は特に予後の悪いがんでの場合、著しい。
Are you depressed? (Chochinov et. al., 1997)
進行ガンで緩和ケアを受けている197人の患者に対し、
1) 抑うつ気分を問う一問法
2) 抑うつ気分と興味の喪失を問う二問法
3) 13項目からなるBeck Depression Inventory
4) 抑うつ気分に対するvisual analog scale (≧55mm)
を施行し、うつ病に対する半構造化面接の結果と比較した。
↓
1)、2)は半構造化面接との一致率がほぼ100%。
3)は80%、4)は70%程度。
うつ病のスクリーニング(2質問法)
①
抑うつ気分
「気分が沈んだり,憂うつな気持ちになったりすることが
よくありましたか?」
「悲しくなったり,落ち込んだりすることがありますか?」
「どうしても物事に対して興味がわかない,
②
興 味
または
喜びの喪失
あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか?」
たとえば
「友達と会って話すのが好きだったのに,会ってもおもしろくない」
「運動や音楽が好きだったのに,熱中できない,感動しない」
「テレビでスポーツやドラマを見ていても,おもしろくない」
上記のいずれかの状態が1か月以上続く場合,以下の項目を確認し,うつ病の診断を行う
□ 食欲の減退・増加または体重の減少・増加
□ 睡眠障害(不眠,早朝覚醒または睡眠過多)
□ 精神運動機能の障害
□ 疲れやすさ・気力の減退
□ 強い罪責感
□ 思考力や集中力の低下 □ 自殺への思い
鈴木竜世, 他. 精神医学 2003; 45(7): 699-708.
社団法人 日本医師会編. 自殺予防マニュアル:一般医療機関におけるうつ状態・うつ病の早期発見とその対応, 2004, 明石書店
・薬物療法
フルボキサミン(ルボックス) 25~75mg 分1~分3
SSRI、嘔気・嘔吐、他剤との相互作用に注意
パロキセチン(パキシル)10~20mg分1(CRでは12.5~25mg)
SSRI、嘔気・嘔吐、相互作用に注意
セルトラリン(ジェイゾロフト)25~50mg 分1
SSRI、ほてりに有効?
エスシタロプラム(レクサプロ) 5mg(1/2錠)~10mg
SSRI
ミルナシプラン(トレドミン) 25~50mg 分1~分2
SNRI、尿閉に禁忌
デュロキセチン (サインバルタ) 20~40mg 分1
SNRI、尿閉、肝障害に注意
ミルタザピン (レメロン、リフレックス) 15~30mg 分1
不眠、嘔気・嘔吐に有効、尿閉に注意
乳がん患者にご注意!
支持的精神療法の3原則
傾聴・共感
支持
保証
②せん妄
せん妄の評価 ~診断基準~
1. 意識障害:ボーっとしていて周囲の状況を良く
わかっていない
2. 認知機能・知覚の異常:見当識障害、幻覚、妄
想など
3. 日内変動:1日の中で症状のむらがある、夜
間に悪化
4. 原因となる薬物、あるいは身体要因が存在す
る
上記を全て満たす場合、せん妄の診断に該当する
米国精神医学会診断基準 DSM-IV
環境変化
心理的不安
性格傾向
脳
機
能
の
脆
弱
性
鎮静系薬物の離脱
中枢性抗コリン薬
睡眠・覚醒リズム障害
辺縁系の過剰興奮
(不安緊張の亢進)
安静覚醒閉瞼時の
急速眼球運動頻発
REM睡眠の影響
精神症状、問題行動
妄想
幻覚(幻視、幻聴)
不穏
錯乱
興奮
脳血流低下
内分泌障害
代謝障害
鎮静系薬物
中脳・視床・皮質系の活動低下
(意識の軽度混濁)
脳波の徐波化
入眠過程の影響
多動性
認知機能低下症状
覚醒保持の障害(傾眠)
注意集中の障害
せん妄の発症 見当識の障害
記憶障害
錯覚
寡動性
(一瀬ら、1998)
せん妄の診立て
・特有の現象
①(軽度の)意識障害・・・注意機能の障害
例)注意散漫、些細な刺激で注意がそれたりして、
話がかみあわない
些細な単語の言い間違い、語性錯語が多い
連続の引き算、桁の繰り下がりを間違える・・・・・など
②認知障害
幻覚(幻視)、妄想
記憶障害(特に即時記憶、近時記憶)
遠隔記憶は比較的保たれる
失見当識
せん妄の原因
A. 頭蓋内疾患
1. 脳腫瘍, 癌性髄膜炎など
B. 薬剤
D. 全身疾患
1. 臓器不全:肝, 腎, 呼吸
2. 感染 特に 尿路, 呼吸器
1. オピオイド
3. 血液 貧血, DIC
2. 向精神薬
4. 代謝性・脱水 高Ca血症
他, ステロイド, H2阻害薬など
C. 離脱
低Na血症, 低Mg血症,
高血糖
1. アルコール
E. 死の前のせん妄
2. 薬剤
F. 尿意, 便意, 疼痛
せん妄の発症因子
・せん妄発症は臨床的に多要因で起こり、特に高齢者ではその
傾向が強まる。
・ 「男性であること」、「高齢者であること」、「認知機能障害があ
ること」がせん妄の発症率を高める。
・ Lipowskiせん妄発症因子を3つの要素に分類。
「直接因子」「誘発因子」「準備因子」
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
直接因子
●中枢神経系疾患
脳血管障害、脳腫瘍、脳外傷、脳・髄膜炎
etc
●内科的疾患
代謝性疾患(糖尿病、腎疾患、肝疾患)
内分泌疾患(甲状腺疾患、副腎疾患)etc
●依存性薬物からの離脱
アルコール、睡眠薬、抗不安薬 etc
●中枢神経系に作用する薬物の使用
抗コリン薬、抗不安薬、睡眠薬、H2ブロッ
カー etc
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
誘発因子
・入院による環境の変化
・ICU、CCUなどにおける過剰刺激
・睡眠妨害要因(騒音、不適切な照明 etc)
・心理的ストレス(不安)
・身体的ストレス(痛み、かゆみ、頻尿 etc)
・感覚遮断(眼科手術後 etc)
・拘禁状況
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
準備因子
・高齢
・脳血管障害(慢性期)、
アルツハイマー病 etc
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
せん妄の下位分類
・過活動型・・・幻覚、妄想を伴い、動きが活発、しばしば興奮
・低活動型・・・不活発、無気力、混乱
・混合型
せん妄の三大特徴
1. 急性発症
2. 日内・日間変動
3. 可逆性
医療者のせん妄の認識
対象 新規に入院した70歳以上の患者(N=797)
方法 看護師によりせん妄の有無を臨床的に評価(隔日)
せん妄の認識率
観察総数(N=2721)
医療者の評価
せん妄あり
(N=239)
せん妄あり
せん妄なし
19 %
81 %
せん妄なし
(N=2482)
4%
96 %
Inouye et al., Arch Intern Med 2001
進行がんのせん妄の原因の治療可能性
Lawlor PG
回復のOdds比
Morita T
回復率
薬物
6.7 [1.5-30]
37%
脱水
n.s.
<10%
低酸素
0.32 [0.15-0.70]
<10%
感染症
0.23 [0.08-0.64]
12%
代謝性
0.46 [0.21-1.02]
高カルシウム血症 38%
他 <10%
治療可能性が高い:薬物、高カルシウム血症
低い:低酸素、感染症、肝腎不全
せん妄治療の基本戦略
・直接因子の除去
薬物の影響(離脱対策、 benzodiazepine系薬剤の中止,
オピオイドの検討、を含む)、脱水、代謝異常、感染、
低酸素症、脳浮腫など
・準備因子への対処
睡眠・覚醒リズムの確保、不安の緩和、感覚遮断対策な
ど
・せん妄自体の是正
薬物療法の考え方
・せん妄自体の改善と、睡眠・覚醒リズム確保が目的
・可能であれば経口・定時投与が望ましい
(非経口投与は選択肢が少なく、睡眠リズムを乱しやすい)
・個人差が大きい。
・せん妄の治療薬自体の副作用に注意。
(持ち越し、抗精神病薬によるアカシジアなど)
主なせん妄治療薬
非経口投与
haloperidol
2.5~5mg d.i.v.
flunitrazepam 0.5~2mg d.i.v
経口投与
・抗精神病薬
haloperidol
risperidone
quetiapine
olanzapine
・抗うつ薬
mianserin
trazodon
0.75~3mg
0.5~1mg
12.5~25mg (DMには禁忌)
2.5~5mg ( 〃
)
5~30mg
12.5~50mg (半減期短い)
せん妄患者の環境整備とケア
せん妄の発症と増悪には
環境因子が複雑に影響を及ぼす。
環境整備など適切な患者ケアが
予防、効果的な治療につながる。
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
せん妄患者の環境整備とケアのポイント1
●環境整備
・時間や場所、日付などの見当識を保てる
工夫(カレンダー、時計などの設置)。
・慣れ親しんだ日用品を身の回りに置く。
・日中は感覚刺激を与える。
・現実検討能力の維持に努める。
●睡眠の確保
・せん妄のベースには睡眠障害
→しっかりとした睡眠を確保する
ことが大切。
・昼夜逆転を防ぐ。
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
せん妄患者の環境整備とケアのポイント2
●危険防止
・転落転倒防止のため、ベット柵
は高く。
・万一の転落に備えてベットの床
の高さを最低まで下げる。
●過剰刺激の改善
・点滴ボトルやカテーテルが
見えないように工夫。
・身体拘束の期間は最小限に。
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
せん妄患者の環境整備とケアのポイント3
●心理的サポート
・身体面のみならず、
精神面に対する配慮
も重要。
・なるべく一定の
看護スタッフが関わり、
不安を緩和し、穏やか
で
わかりやすい会話を
心がける。
「せん妄の診断・予防・治療」 監修:産業医科大学 精神医学教室 教授 中村 純
終末期のせん妄
・進行がんの終末期患者の88%に出現
・一般に睡眠・覚醒のコントロールでは対応困難
・対応は症例により異なる
鎮静の適応となることも
(3) スピリチュアル・ケアの可能性
身体的痛み
Somatic pain
精神的痛み
Mental pain
全人的痛み
Total pain
スピリチュアルペイン
Spiritual pain
社会的痛み
Social pain
スピリチュアルケア
超越者(絶対者)との関係の欠落・喪失、
病気の中で生きる意味・目的・価値の喪失、
苦難の人生の無意味感、
自己との和解の欠如、自己の否定・拒否
(人生の共感者)
人間関係での怒り・悲しみ、
病気の不安・恐れ・後悔・
いら立ち・孤独・疎外感などの
感情・情緒的問題
(心理学者・看護者)
死後の命・天国・地獄・極楽浄土・
永遠の命などの確信の喪失、
病気回復の祈願・宗教的勧誘・
宗教的典礼からの疎外感
(宗教者・信徒)
精神的・心理的ケア
宗教的ケア
心のケア (窪寺、1997)
霊的(spiritual)という言葉の定義
「霊的」とは、人間として生きることに関連した経験的一側面
であり、身体感覚的な現象を超越して得た体験を表す言葉で
ある。多く人々にとって「生きること」がもつ霊的な側面には宗
教的な因子が含まれているが、「霊的」は「宗教的」と同じ意
味ではない。霊的な因子は身体的、心理的、社会的因子を包
含した人間の「生」の全体像を構成する一因子とみることがで
き、生きている意味や目的についての関心や懸念とかかわっ
ていることが多い。特に人生の終末に近づいた人にとっては、
自らを許すこと、他の人々との和解、価値の確認などと関連
していることが多い。
WHO「がんの痛みからの解放とパリアティ
ブ・ケア」(1990)
スピリチュアル・ペインの構造(村田)
1)時間存在として
a. 将来がない、残された時間がないという切迫感
b. 命が限られているという自覚のなかで生じる疑問
2)関係存在として
a. 他者との関係が変化するにしたがって、自分が変わっていく
b. 家族と社会に何らかの貢献をし、足跡をのこしておき
たいという気持ち
c. 死に伴う喪失感と孤独感。何かにすがりたいという気持ち。
死後の世界はあるのか。
3)自律存在として
a. 自分のことができなくなっていく。自分のことがわからなくなる
b. 自分の病で他人に迷惑をかけたくない。
人生における価値の3つのカテゴリー (V.E.Frankl)
・創造価値・・・活動を通して、自分の使命を果たしていること
Ex) 病床でもできる創作をする、子どもにメッセージを残す
・体験価値・・・世界を受容すること、たとえば自然や芸術の
美しさに没入することによって実現される。
Ex) 病棟でのイベント、誕生日会
・態度価値・・・運命を担い、いかに引き受けるかということ
苦悩における勇気、没落や挫折においてもなお
失われない品位など
Ex) 自分の苦痛に関わらず、家族や医療者を気遣う
「精神の自由」について
「・・・つまり、人間はひとりひとり、このような状況にあってな
お、収容所に入れられた自分がどのような精神的存在にな
れるかについて、なんらかの決断を下せるのだ。典型的な
「被収容者」になるか、あるいは収容所にいてもなお人間とし
て踏みとどまり、おのれの尊厳を守る人間になるかは、自分
自身が決めることなのだ」
V.E.Frankl 「心理学者、強制収容所を体験する (夜と霧)」
Dignity Therapy (H.M.Chochinov)
インタビュー項目
• あなたの人生について教えてください。特にあなたが一番
覚えていることや、最も大切だと思っているのはどんなこと
でしょう?
• あなた自身のことで、特に家族に分かってもらいたいと思
っていること、覚えておいてもらいたいと思っていることが
ありますか?
• あなたがこれまで果たしてきたさまざまな役割の中で、最
も大切に思っているのは、どんな役割でしょう?
• あなたにとって、人生におけるもっとも重要な達成、一番誇
りを感じていることはなんでしょう?
• あなたが大切にしている人たちに言っておかなければなら
ないと未だ感じていることや、もう一度言っておきたいこと
はありますか?
• あなたが大切にしている人たちに対する希望や夢はなん
でしょう?
• あなたが自分の人生で学んできたことで、他の人たちに伝
えておきたいことはありますか?残しておきたいアドバイス
や手本となる言葉は、どんなものでしょう?
• 家族が安心できるように、あるいは心の慰めとなるように、
残しておきたい言葉や指示はありますか?
• この永久記録を作るにあたり、他に含めておきたいことは
ありますか?
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