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第49回2013年 5月18日

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第49回2013年 5月18日
2013 年 5 月 18 日 第 49 回 MR技術研究会
「MRI 用造影剤の最近の話題について
−細胞外液性 Gd 造影剤に関する安全性について−」
バイエル薬品株式会社
ラジオロジー&インターベンショナル事業部
診断薬学術 中川裕幸
今回は,日本磁気共鳴医学会雑誌 32(2):56-65(2012)を含めた安全性に関する内容を中心に紹介する。
■
副作用発現率
造影 MRI 検査が行われた 10,574 例中 122 例(1.2%)に副作用が発現した。即時性は 101 例(1.0%)で
総副作用発現率の 82.8%であった。遅発性は 21 例(0.2%)で総副作用発現率の 17.2%を占めた。
•
即時型では「咳」「喉頭違和感」「嘔気」が多く見られ,「皮膚症状(掻痒,発疹,発赤)」がこれ
に次いだ。「嘔吐」「くしゃみ」
「頭痛」
「アナフィラキシーショック」などもあった。
•
遅発型 21 例の発現時期は,「検査当日が 8 例(38.1%)」,「検査翌日が 9 例(42.9%)」,「検査 2
∼3 日後が 4 例(19.0%)
」であった。また症状としては,「皮疹」「掻痒」
「発赤」などの皮膚症
状が多い結果(17 例,81.0%)となった。なお,皮膚症状の継続時間は,確認しえた 13 例において
数時間から 1 週間であった。
■
副作用例の既往歴
•
「喘息」や「各種アレルギー歴」があった症例が 29 例(23.8%),「喘息」や「各種アレルギー
歴」のなかった症例が 77 例(63.1%),「不明」が 16 例(13.1%)という結果であった。
■
造影 MRI 検査歴
•
「初回の造影 MRI 検査で副作用が発現した症例」は 76 例(62.3%)であった。以前の造影 MRI
で異常はなかったが,2 回目以降に副作用を発症したものが 42 例(34.4%)あった。造影 MRI の
副作用歴があった症例は 4 例(3.3%)であった。
■
Gd 造影剤による副作用例での再投与による転機
•
副作用歴のある症例(13 例)に再度造影 MRI 検査(副作用発生時と異なる Gd 造影剤投与)した
結果,11 例では異常は起こらなかったが,2 例で再度軽度の副作用が発現した。
■
考察まとめ
•
MRI 検査中に変わったことがあれば遠慮なくブザーで知らせるよう患者に指導する必要あり。
•
検査室内観察モニターをみながら検査することが重要
•
意識レベルの低下患者などでは専用モニター装着や検査室内での直接観察などの注意が必要。
•
Gd 造影剤による遅発性副作用には,皮膚以外の症状や重篤なケースの可能性があることに注意。
•
検査ごとに造影剤の必要性と起こり得る副作用のリスクを比較した上で造影 MRI 検査の適応を
決定すべき。
•
Gd 造影剤副作用歴のある患者への再投与による副作用発現率は高く,重篤な症状が発現し得る
ことを十分認識すべき。
当院における GE 社製 SIGNA HDxt Ver23 の運用状況
松波総合病院 小田 雄亮
【はじめに】
MR 装置 GE 社製 Signa 1.5T を 2012 年 8 月に Ver 23 にアップグレードし、現在一台で稼動し
ている。使用経験と運用状況を報告する。
【使用装置】
GE 社製 Signa HDxt 1.5T Ver23
【装置 VerUp の経緯】
1988.2 GE 社製 Signa 1.5T 導入
2000.11.26 Signa MR/i Echo speed 1.5T 導入
2011.4.29 Signa
MR/i Echo speed 1.5T から HDxt 1.5T Ver 16
2012.8.18 Ver 16 から Ver 23 へ
【使用経験】
・各部位における PROPELLER 撮影の使用。
・頭部造影撮影中心に CUBE T1 撮影に変更。
・ASPIR を使用することで脂肪抑制画像が向上。
・前立腺、膀胱撮影中心に CUBE T2を併用。
・FIESTA を使用した神経鞘腫の検査。
・TRICK を使用した CE MRA 以外の検査。
・LAVA FLEX、XV の使用。
【運用状況】
月曜日 8:00∼17:00
火∼金 8:00∼20:00
土曜日 8:00∼12:00 (ドック受け入れ時は最大 15:00 まで)
緊急受け入れ 24 時間
病棟キャンセル待ち 空き時間発生時
単純撮影 20 分 造影撮影 40 分
その他特殊検査 40 分
【まとめ】
撮像時間が短縮され、撮像シーケンスが増えた。スループットが向上し前年比 3%アップを達成した。
現在、検査枠を考慮し臨床側からの要望に適した検査内容にて運用中である。今後、2 台体制に向
けて枠の見直し等検討し、更なる画質向上、臨床現場への一助となるよう研鑽に励む。
非造影下肢 MRA∼Body Coil の使用∼
慶桜会 東可児病院
放射線科
中西由衣
【はじめに】
最近、透析患者さんで完全閉塞はないかという確認のため、下肢動脈 MRA のオーダーが入り、腎
機能が悪いことから、「非造影」ということだった。当院では、非造影下肢動脈 MRA の撮像に内蔵
Body Coil を用いているが、末梢血管までより良い画像を得るための改善法はないかと考え、今回
はコイルを 8ch Body Coil に替え、描出能向上に繋がるか検討した。
【使用機器】
GE Healthcare Japan Signa HD-x 1.5T ver.14
【方法】
8ch Body Coil を用い、コイルの位置は上下のコイルをずらし、上を骨盤が入るように、下を足関
節が入るようにする。そして上下のコイルどうしに重なり部分ができるようにし固定する。また、
Gated 2D TOF 法にて 3 回に分けて撮像し、画像フィルターの PURE と SCIC を用いる。さらに、血
流脈動の同一ポイントで同一データが収集できる PG を使用する。内蔵 Body Coil よりも末梢血管
まで高信号より良い画像が得られるか、また、PURE と SCIC で描出能に差は出てくるのかを比較し
た。
【結果】
8ch Body Coil で撮像する場合、PURE を用いると、SCIC に比べ、全体の信号強度が高くなり、膝
窩動脈からの三分枝の描出能が向上した。また、PURE では特に下腿部が高信号になったが、SCIC
では全体的に輝度過剰がなく、PURE のように目立つところはなかった。
内蔵 Body Coil で撮像した画像と比べると、PURE は高信号な下腿部で全体のウインドウを調整し
ようとすると、見づらい画像となってしまい、SCIC では下腿三分枝の描出が劣っている。
【考察】
8ch Body Coil の撮像における輝度過剰の原因として、コイルに近接していることが考えられる。
また、輝度過剰を SCIC を用いることで軽減されており、脂肪組織からの信号も最小限に抑えられ
ていると考えられる。
TOF 法で撮像しているため、逆流や蛇行していたり、末梢血管の描出に弱いところがあるが、PURE
を用いることで改善されていると考えらえる。
【まとめ】
今回は健常者ボランティアで撮像を行ったため、コイルを変更することで画像上の変化があまり
見られなかったが、PURE を用いることで、全体的に高信号で特に膝窩動脈からの描出能が向上し
たので、閉塞している患者さんの場合、血流が弱いため、この撮像法が有効になってくるのでは
ないかと考えられる。
鎖骨下動静脈の描出能の検討
JA 岐阜厚生連 揖斐厚生病院
○前田裕子、丹羽政美、高橋尚宏、小森竜太
村井亜依、桐山香奈子、岡田かずき
渡邊映元、小野江雅之、近松克修、今村裕司
【はじめに】
当院ではペースメーカー埋め込み術前に非造影 MRA にて鎖骨下動静脈を TrueSSFP 法にて撮像を行なってい
たが、今回 Time-SLIP 法を用いて非造影での鎖骨下動脈・静脈の描出能の検討を行ったので報告する。
【方法】
1、SSFP 法及び FASE 法の比較
2、CHESS 法及び STIR 法の比較
3、FBI 法及び Time-SLIP 法の比較
4、TE の検討
5、STIR 法の IR パルスが Time-SLIP 効果に影響があるか検討
6、MOVE in 法と非選択 IR パルスを用いる MOVE out 法の検討
【結果】
1、 胸部領域ではバンディングアーチファクトの影響を受けやすいため、SE 系の FASE 法を選択。
2、 CHESS 法ではシミングが顕著に影響するため、臨床での使用を考慮し、STIR 法を選択。
3、 FBI 法では一般的に拡張期で動静脈を、収縮期で静脈を描出するが、収縮期で上大静脈の描出が不良であ
ったため、 動静脈の描出の良い拡張期で Time-SLIP 法を用いて動脈を消す方法を選択。また、正確な拡
張期を得るため、繰り返し時間を 30msec と短めに設定し、緩和の回復を待つため 3 心拍を用いた。
4、 静脈撮像の場合、TE に 80msec を選択していたが、TE を 40msec に設定することで SNR の向上が見ら
れた。
5、 CHESS 法および STIR 法とも拡張期で収集できるように delay タイムを考慮したが、両法に差はなく、IR
パルスによる影響は見られなかった。
6、 MOVE in 法では上大静脈を高信号に、上行大動脈から腕頭動脈を低信号にすることが可能で、静脈の分離
ができた。 また、MOVE out 法では鎖骨下動脈の描出が可能であった。
【考察】
Move in 法で上大静脈が描出され、動脈は BBTI パルスにより BlackBlood にラベリングされ、鎖骨下静脈が
描出。非選択 IR パルスを用いる MOVE out 法で BBTI 値を伸ばすことで、上行大動脈、鎖骨下動脈も同時に描
出され、BBTI 値を考慮すれば鎖骨下動脈だけの描出できると考えられる。
【結語】
全ての撮像を試みても、短時間で撮像でき、動静脈の位置関係も明瞭で、ペースメーカ埋め込み術前検査とし
て有効と思われる。
子宮筋腫における 3D 及 2D TSE T2 強調像の比較
岐阜大学医学部附属病院
放射線部
◎中川直紀 梶田公博
前田祥吾
山口香織 三浦賢征
大橋佑介
八重樫良平 加藤大輝
庄田真一
土田裕規 上平弘明
岡田仁志
【背景】女性骨盤領域の MRI 撮像における T2 強調像は診断的に非常に重要である。一般
的には 2D TSE 法を用いた多方向撮像が施行されているが、その方向数に応じ撮像時間が
加算される。3D T2 強調 TSE 像及びその再構成像が 2D 撮像法と同等の診断能を有するの
であれば、飛躍的な検査時間の短縮に繋がる。
【目的】子宮筋腫における解剖学的描出能を 3D T2 強調 TSE 像及びその再構成像と 2D T2
強調 TSE 像間で比較検討する。
【方法】2011 年 4 月から 2012 年 2 月に女性骨盤 MRI が施行された患者のうち、画像診断
及び経過観察にて臨床上子宮筋腫と診断された患者 43 例(年齢 23-53 歳:平均 42 歳)を
対象とした。3D T2 強調 TSE 像(VISTA:Volume Isotropic TSE Acquisition, TR/TE
1800/205ms , flip angle 90° , matrix 320×240, slice thickness 2mm)を矢状断像にて収集
し、横断像(slice thickness 2mm)も再構成した。 2D T2 強調 TSE 像の矢状断像(TR/TE
5624/90ms , flip angle 90° , matrix 512×256, slice thickness 5mm)、水平断像(TR/TE
5694/90ms , flip angle 90° , matrix 512×256, slice thickness 5mm)を撮像し、子宮筋腫
辺縁及び内部性状、筋層、子宮内膜、junctional zone、蠕動・呼吸による motion artifact
について 2 名の放射線科医による視覚評価を行った。また子宮筋腫と筋層(子宮底部,前壁,
後壁の 3 点の信号の平均)のコントラスト比、および子宮筋腫の最大割面における筋腫の
長軸と短軸を計測し、両者を比較した。
【結果】視覚評価において筋層、junctional zone、呼吸の motion artifact の 3 項目は矢状
断像、水平断像ともに 3D T2 強調 TSE 像が有意に高値を示した(p=0.029–0.001)。子宮筋
腫辺縁及び子宮筋腫内部性状は矢状断にて(p<0.12,0.001)、子宮内膜は水平断にて(p<
0.007)それぞれ 3D T2 強調 TSE 像が有意に高値を示した。kappa 検定による読者間の一
致率は平均で 0.677(0.446 – 1.0)であった。筋腫と筋層のコントラスト比に関しては矢状
断像、水平断像ともに 3D T2 強調 TSE 像が有意に高値を示した(p<0.001,0.036)
。最大
割面における筋腫の長径及び短径の 2D T2 強調 TSE 像と 3D T2 強調 TSE 像の一致率は矢
状断でそれぞれ 0.991、0.983、水平断で 0.991、0.968 と有意に高値を示した(p<0.001)。
【結語】子宮筋腫の描出において、3D T2 強調 TSE 像及びその水平断構成像は 2D T2 強
調 TSE 像よりもコントラストに優れ、代替可能である事が示唆された。
骨盤臓器脱(POP)症例における cine MRI の有用性
岐阜市民病院
中央放射線部
○横山貴優、河口大介、砂畑伸英、山田裕子、小林修治、服部光良
【はじめに】
当院では、2011 年 4 月より骨盤内臓器脱(Pelvic organ prolapse:POP)の症例に対し
て、cine MRI を含めた撮影を施行している。今回、cine MRI が POP の診断に有用であった
症例について報告する。
【使用機器】
MRI 装置:Phillips 社製 Achieva 1.5T A-series
使用コイル:SENSE XL-Torso 16ch coil
【撮像における注意点】
検査は原則夕方に行う。
検査体位は臥位でやや開脚し、膝をたてる。(出産時のようないきむことができる姿勢)
患者さんに対して腹圧の掛け方の説明を丁寧に行う。
【POP の撮影方法】
骨盤腔内を T2WI で 3 断面の撮影を行う。得られた画像から膀胱、子宮、直腸などが観察
できる矢状断を設定し、T2WI singleshot、BFE で cine 撮影を行う。
【症例 1】
70 歳代女性。通常状態の MRI 検査では子宮頸部のみ下垂を認めた。cine MRI で腹圧を掛
けたときに膀胱頸部の下垂も認めた。
【症例 2】
60 歳代女性。cine MRI で腹圧を掛けたときに膀胱、子宮、直腸の下垂を認め、A-TVM 手
術が施行された。翌年、cine MRI で術後評価と直腸瘤の経過観察が行われた。
【症例 3】
70 歳代女性。以前より POP を認め、手術目的で当院紹介受診。チェーン膀胱検査が施行
され、腹圧を掛けたときに膀胱の下垂を認めた。cine MRI 検査では肛門の下垂も認めた。
【まとめ】
POP 症例における cine MRI は、着衣のまま、カテーテルや造影剤を用いることなく、骨
盤内 3 区画を同時に動的評価することが可能なため有用な検査であると考える。
半月板損傷における MRI 画像所見と関節鏡視下手術結果の比較
○若畑
茜、川地俊明、小川定信、石川照芳
[はじめに]
半月板損傷の診断における MRI の有用性と当院における問題点を検討した。
[対象]
2011 年 2 月∼2013 年 2 月までに膝関節 MRI が施行された 478 膝のうち、半月板損傷疑いに対して関節鏡視
下手術が施行された 37 例 37 膝 47 病変(外側 25、内側 22 病変)。
[方法]
得られた MRI 画像を技師 3 名で判定し、関節鏡視下手術(以下関節鏡)結果と比較した
[検討項目]
① 関節鏡結果を gold standard とした内外側における所見の有無
② 真陰性以外の断裂形態、断裂部
③ スライス厚ごとの一致、不一致例の数
④ 内外側の断裂形態の一致率
[結果]
① MRI の感度、特異度、偽陰性率、偽陽性率は外側で 95%、88.2%、5%、 11.2%、内側 94.4%、84.2%、5.6%、
15.8%であった。
② 真陰性以外のものについて断裂形態、断裂部を含めて検討したところ、完全に一致したものは外側 4 例内側
8 例、断裂形態の不一致は外側 6 例内側 4 例、断裂部の不一致は外側 4 例内側 4 例、いずれも不一致は外側
8 例内側 5 例であった。
③ 撮影条件(スライス厚)ごとの不一致例は矢状断、冠状断像で 4mm 以上のものが多かった。
④ 断裂形態の感度は水平断裂で外側 63.6%、内側 81.8%、垂直断裂で外側 100%、内側 33.3%、バケツ柄断裂
で外側 36.4%、内側 0%、変性断裂で外側 100%、内側 83.3%であった。
[考察]
① 半月板損傷における MRI の診断率は過去様々な報告があるが、今回の結果は所見の有無の一致率としては
それらの報告とほぼ同等であった。
② 断裂部の不一致は内外側ともに後節が多く、その理由として後節は変性しやすく、断裂との判断がし辛い
ことが考えられる。また、前節では内外側ともに偽陽性が、中節は外側では偽陰性、内側では偽陽性が多
かった。前節は後節に比べ小さく、判断し辛いこと、中節は MRI で確認できるのはわずかであり、前節、
後節との境界も断定し辛いことが今回の結果に影響を与えたと考えられる。
③ スライス厚は Mink 等が推奨する 2~3mm 以下程度で撮影すればより正確な結果が得られると考えるが、
機械ごとの性能や撮影時間などが影響するため、今後それらを踏まえ当院での撮影条件の改善を考える必
要がある。
④ 病変における断裂形態の一致率は、水平断裂および変性断裂で内外側共に良好な結果を得られたが、バケ
ツ柄断裂を MRI 画像で判定できなかったのは、技師の読影能力の問題も影響されていると考えられる。
[結論]
半月板損傷における有病率の MRI 一致率においては良好な結果が得られたが、撮影条件の変更や技師の読影
能力の向上が必要である。
パラレル受信からパラレル送信へ
TimTX TrueShape / syngo ZOOMit
シーメンス・ジャパン株式会社
イメージング&セラピー事業本部
MR ビジネスマネージメント部
打越 将人
シーメンス社は、2000 年前後にマルチ受信アレイコイルシステム“IPAS(Integrated Panoramic
Array System)”<1997 年>、Tim(Total imaging matrix)<2003 年>とパラレル撮像技術“iPAT
(integrated Parallel Acquisition Techniques)”を登場させ、大幅な撮像時間の短縮、時間・空間分解
能の向上、ブラーリングやアーチファクトの低減など、いままでの MRI 検査による画像診断を一新して
きました。さらに、近年の 3T などの高磁場装置の普及により、高い SNR を利用した高いリダクション・
ファクターのパラレル撮像が期待されています。しかし、高磁場化により一部の体幹部における送信
RF の B1 均一性の低下が懸念され始め、マルチチャンネル送信技術、いわゆる B1 シミングの重要性
が取りざたされるようになりました。一般的に B1 シミングは励起用送信コイルの複数のポートに、『振
幅が異なり、かつ、位相シフトが 90°ではない電流』を供給することにより成り立っている。2007 年に
発表した「MAGNETOM Verio」(3T)に“Tim TX TrueForm”RF デザインによる B1 シミング技術を他社
に先駆けて開発し搭載しました。励起パルスの振幅差と位相差を解剖学的領域の設定に基づき最適
化して B1 均一性による画像の改善はもとより、調整(プレシミング)などに要する時間が不要である利
点をもっています。しかし、B1 シミング技術に代表される独立したそれぞれ 1 個の sinc 型 RF パルスと
1 個のスライス選択勾配磁場の組み合わせによる B1 マッピングは、高磁場における短波長の影響を
打ち消すだけの単なる B1 均一補正メカニズムに過ぎませんでした。
シーメンスは新たなダイナミック・パラレル・トランスミッションテクノロジー“pTX(parallel transmission
technology”として,“TimTX TrueShape”送信プラットフォームを MAGNETOM Skyra に搭載すること
を可能としました。もちろん,前述した患者ごとの B1 シミングによる画質改善を行うこともできますが,
この新しいプラットフォームの主な目的は,まったく新しいアプリケーション技術を可能にすることにあり
ます。syngo ZOOMit は TimTX TrueShape をベースとした選択局所励起アプリケーションであり、関
心領域だけに FOV を絞った設定が可能になります。しかし、従来のシングルボクセル MRS で用いら
れているような 90°-180°-180°の組み合わせによる方法とは全く異なります。本講演では、 新しい
撮像手法である“syngo ZOOMit”の画質改善や撮像時間短縮といったメリットをご紹介させて頂きます。
PHILIPS What’s New?
Philips Electronics Japan
Healthcare sector
MR Modality Specialist Yasuyoshi Inoue
昨年 2011 年より本格的にデジタルコイル搭載 MRI である Ingenia が市場に登
場し、臨床的な価値として先生方と共有出来つつあります。そのような中で 2013
年は、より臨床的な価値を高めるべく Multi Modality 対応ワークステーションやそ
の他の装置に対しても付加価値を高める事が可能となって参りました。
本講演の内容と致しまして、まず第一に新しいワークステーション「Intellispace
Portal」に搭載される New Application の御紹介をさせて頂きます。第二に
Ingenia の経験を活用しワークフローを追及した最新型 1.5T MRI 装置である
「Multiva」を御紹介させて頂きます。第三として、去る 4/21-26 に米国のソルトレー
クシティにて開催されました ISMRM の中からの最新情報と致しまして、フィリップ
ス MRI の将来展望技術を簡単にですが御紹介させて頂きます。
第 49 回 MR 技術研究会
最新 MRI トピックス
∼各装置メーカーの現在と未来∼
株式会社 日立メディコ
CT・MR 事業部 新井 一秀
【はじめに】
2013 年 4 月 12∼14 日にパシフィコ横浜展示ホールにて開催された ITEM2013 にて日
立メディコは 3T MRI 装置「TRILLIUM OVAL」を発表した。これにより日立メディコは永
久磁石を用いた 0.25∼0.4T のオープン MRI から超電導磁石を用いた 1.2T、1.5T、3T MRI
を提案できるメーカーとなった。
今回は、その経済性や快適な検査環境の提供、また広く開放されたガントリーによる臨
床的な有用性が評価され国内外に広く普及してきたオープン MRI と、日立ならではのハ
ードウェアとソフトウェアを搭載した超電導 MRI について紹介する。
【内容】
・オープン MRI の有用性
画像診断以外の領域にも活躍の場を広げるオープン MRI
・「快適性」と「高画質」を両立した OVAL(楕円)デザインについて
横幅 74cm×高さ 65cm の Patient bore を採用した超電導 MRI システム
・3T MRI 装置「TRILLIUM OVAL」について
4ch-4port の RF 照射コイルを搭載した 3T MRI
【おわりに】
日立メディコは今後も医療の現場のニーズを的確にとらえ、「使う人にやさしく、患
者さんにやさしいソリューションの提供」を目指していく。
GE 抄録
「MRI 最新トピックス」
先日の ITEM2013 で紹介された MRI の最新情報を紹介する。GE MR のコンセプトとして
「HUMANIZING MR」を掲げた。 これは日本語で「MR 検査にやさしさと快適さを」という意味
が込められている。
「HUMANIZING MR」の中に2つの柱があり、1 つ目は患者さんの圧迫感や負
担を軽減することを目的としたガントリーデザインの「CARING DESIGN」、2つ目は造影剤やセ
デーション、Biopsy の使用頻度を減らす事を目的とした非侵襲アプリケーションの総称としての
「Needle-Free」である。
「CARIGN DESIGN」とは、具体的には両手で包み込むような木目調のエンクロージャー、ワイ
ドフレアによる広々とした開口部、前面左右に配置された明るい LED ストライプ、49cm まで下げ
る事のできる新設計の Express テーブルなどを指す。このような外観によって検査を受ける患者さ
んの不安・不快な気持ちを和らげることを期待している。
「Needle-Free」アプリケーションは、従来造影剤を用いていた血管検査や脳灌流イメージングを、
非造影にて可能にする Inhance、3D ASL がある。3D ASL から CBF マップの作成も可能になって
いる。また、全身にわたって動き補正・抑制を可能とする Propeller3.0 によって、頭部はもちろん
上腹部、下腹部検査においても動きの少ない画像が得られる。肝線維化の診断は Biopsy にて行なわ
れているが、それに置き換わる可能性のある MR エラストグラフフィー(MR-Touch)の登場によっ
て、より安全に肝線維化の診断が可能になる。
そして、メスを使わない子宮筋腫治療器として知られている MR ガイド下収束超音波治療装置に
おいて、骨転移疼痛緩和(FDA 認可、国内薬事未承認)への適用例の紹介もあった。
最後に、「HUMANIZING MR」の延長線上に、MR 撮像時の騒音を軽減する「Silent Scan」(薬
事未承認)技術の発表も行われた。
今後、GE では人にやさしく、患者目線での製品・アプリケーション開発に力を注いでいく。
岐阜県診療放射線技師会
第 49 回 MR 技術研究会様
特別企画『最新 MRI トピックス
∼東芝 MRI の現在と未来∼』
東芝メディカルシステムズ株式会社 青木郁男
本年の ITEM における東芝 MRI ブースでは、特に心臓、乳腺、脳脊髄液動態に関する最新アプリケー
ションを柱として紹介し、ご来場を頂いた多くの先生方からのご高評をいただきました。本研究会では、
これら最新情報の中から特に心臓 MRI の最新アプリケーションである”CardioLine をご紹介致します。
MRI は目覚ましい技術進化を続けており、非侵襲的に血管情報や心筋情報が得られることから、早く
から心臓 MRI 検査への取り組みが行われてきました。特に遅延造影検査における心筋バイアビリティ評
価が、予後予測に重要であるとの報告が広く知られてからは、さらにその期待が高まっています。一方、
実際の検査においては、検査時間が長いこと、またその特殊性から、画質や検査の進行具合がどうして
も術者の技量に依存してしまう現状がありました。
心臓 MRI 検査のハードルを高めていた大きな理由は、臨床上必要とする正確な心腔断面像の設定に、
複雑な操作と長い時間を要していたことでした。そこで当社は、この課題克服に取り組み、心臓 MRI 検
査のワークフローを大きく改善する画期的な技術である
CardioLine
を開発しました。”CardioLine”
は、各心腔断面の正確性に関する学会報告や、単純撮像における検査時間実測で 38%の時間短縮を実現
するなどして、今日では臨床現場でその有用性を発揮頂くまでに至っています。
本報告では、この最新技術である”CadioLine”技術の特長と、実際のワークフロー改善例を報告のうえ、
さらに、今後の心臓 MRI 検査に必要とする次世代技術への取り組みについて紹介させて頂きます。
第 49 回 MR 技術研究会
2012 年 5 月 18 日
三重大学医学部附属病院
放射線診断科
石田正樹
【心臓 MRI の基礎から最新トピックスまで】
心臓 MRI は、検査モジュールを組み合わせることに
より、一度の検査で虚血性心疾患から心筋症などの心
筋疾患まで多様な心臓疾患の診断が可能であり、心筋
組織性状の詳細な評価、予後評価などにも有用である。
本講演では、心臓 MRI 検査モジュールの組み合わせ
でどのような心疾患をどのように診断することがで
きるかを解説し、最近のトピックスについても当院の
経験を交えて説明する。
Fly UP