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高等学校数学の評価について

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高等学校数学の評価について
目
次
Ⅰ
研究の背景
1
Ⅱ
研究の目的
1
Ⅲ
研究の内容
2
1
教科指導の充実を目指して
2
(1)これまでの観点別評価について
①
評価の四観点のうち、一部の観点に偏した評価になってはいないか
②
学校全体として評価に取り組んでいるか
(2)開かれた学校づくりについて
(3)学力向上について
2
①
生徒自身の学習目標の設定や学習改善につなげるため
②
指導と評価の一体化を目指した取り組みのため
指導と評価の一体化を目指した具体的な取り組みについて
3
(1)評価規準の作成について
(2)年間指導計画や評価計画の作成について
(3)シラバスの作成について
(4)観点別評価の具体的な工夫・改善について
①「関心・意欲・態度」の評価方法について
②「数学的な見方や考え方」の評価方法について
(5)評価を総括して評定へ
Ⅳ
おわりに
12
【参考文献】
13
【参考Webページ】
13
【資
料】
資料1
各科目(数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学B、数学C)の評価規準の例
14
資料2
年間指導計画や評価計画の例
25
資料3
シラバス(数学Ⅱ)の例
26
資料4
観点別評価を意識したワークシートやテスト問題の例
28
【研究の梗概】
高等学校の数学科の評価について、学校に求められていることを整理し、特に学力向上のた
めの教科指導の充実という観点でいろいろな取り組みを提案し、その中の各科目の評価規準や
シラバス、観点別評価方法などの具体例を作成した。
そして、作成した具体例の利用方法と作成過程で気付いた留意点などを紹介した。
【キーワード】
算数数学
評価規準
指導計画
シラバス
観点別評価
関心意欲態度
高等学校数学科の評価について
∼評価規準やシラバスなどの具体例∼
島根県立松江教育センター
指導主事
Ⅰ
教職員研修スタッフ
田
根
衛
研究の背景
平成14年から小中学校では新学習指導要領が実施され、評価については、従来の相対評価か
ら目標に準拠した評価 、いわゆる絶対評価になった 。各都道府県教育委員会から「 評価の手引き 」
などが示され、小中学校においては評価の研究や工夫がなされているところである。
一方、以前から絶対評価であった高等学校については、前回の学習指導要領改訂のときから徐
々に観点別評価が浸透してきてはいるものの、従来どおり知識の量のみを測る一部の観点に偏し
た評価をしている面もあったように思われる。今回の学習指導要領の改訂に伴い、より一層の観
点別評価の充実を図ることが重要として、平成13年4月27日付で文部科学省初等中等教育局
長から通知 *1 が出された。
これを受け、高等学校に対して、平成15年度からの新教育課程の実施にあわせ評価方法の工
夫・改善が求められていた。すでに新教育課程も2年目を終わろうとしているが、評価の工夫・
改善について新しい取り組みを始めた学校はまだまだ少ないものと思われる。その理由として、
平成14年度から導入された学校週5日制により学習内容の維持・充実の対策に追われたことや
評価の工夫・改善の必要性や意義について立ち止まってじっくり考える時間的余裕がないこと、
また何から始めればよいのかといった具体的なイメージがわかないことなどが考えられる。
Ⅱ
研究の目的
評価については 、平成15年12月に島根県教育庁高校教育課が島根県教育用ポータルサイト *2
に「学習評価資料( 事例集 )」を掲載し 、「 数学A 」と「 数学Ⅱ 」の評価規準が例示された 。また 、
平成16年3月、国立教育政策研究所
*3
から「評価規準の作成,評価方法の工夫・改善のための
参考資料」が示されたが、数学科については必履修科目の「数学基礎」や「数学Ⅰ」の評価規準
が例示してあるだけである。他の科目「数学A 」「数学Ⅱ 」「数学B 」「数学Ⅲ 」「数学C」につ
いては示されていない。学校としては、各科目の評価規準の例だけでなく、評価の工夫・改善の
ための具体的な取り組みの事例がもう少し必要ではないかと考える。
そこで、必履修科目以外の科目の評価規準や年間指導計画や評価計画、シラバスの例を示した
り 、「数学的な見方や考え方」の観点を意識した試験問題などを例示して、それらを作成する上
での留意点を探ることにより、各学校の評価の工夫・改善の取り組みの一助になればと考えた。
*1 「小学校児童指導要録、中学校生徒指導要録、高等学校生徒指導要録、中等教育学校生徒指導要録並びに盲学校、ろう学校
及び養護学校の小学部児童指導要録、中学部生徒指導要録及び高等部生徒指導要録の改善について(通知 )」
*2 島根県教育用ポータルサイト( http://port.shimanet.ed.jp/ )
*3 国立教育政策研究所( http://www.nier.go.jp/kaihatsu/kou-sankousiryou/html/index.htm )
Ⅲ
研究内容
1
教科指導の充実を目指して
各高等学校の評価の工夫・改善の取り組み状況については、すでにシラバスや評価規準を作り
はじめている学校から検討中の学校まで様々である。高等学校での評価の工夫・改善があまり進
まないのは、評価の見直しの意義や、評価規準やシラバスの効果的な利用方法が見出せないこと
などが考えられる。
そこで、いま一度これまでの評価について指摘されている問題点や今後のあり方について整理
してみたい。
(1)これまでの観点別評価について
①
評価の四観点のうち、一部の観点に偏した評価になってはいないか
これまで高等学校では 、「表現・処理」や「知識・理解」といった一部の観点に重点をおい
た評価になりがちで、生徒指導要録にも観点別評価欄がないこともあり、観点別評価の意識が
低くかったものと思われる。
しかし、文部科学省が示す
学力
は、知識や技能はもちろんのこと、学ぶ意欲や自分で課
題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含
めたものを
学力
と定義している 。「表現・処理」や「知識・理解」のほか 、「関心・意欲
・態度 」、「数学的な見方や考え方」についても
②
学力
として評価する必要がある。
学校全体として評価に取り組んでいるか
評価の客観性や信頼性、妥当性を向上させるためには、評価の根拠が明確で信頼でき、生徒
や保護者に説明できるものであることが重要である。
学校としての評価の方針に則り、一部の教員の独断的な評価や特定の方法のみによる評価と
ならないよう、各教員が日頃から共通理解を図りながら評価の力量を高め、一体となって評価
方法などの改善充実に努めることが重要である。
(2)開かれた学校づくりについて
近年、説明責任(アカウンタビリティ)や企業内容の情報公開(ディスクロージャ)などの
時代の流れの中で、学校も例外ではなくなりつつあり、学校の教育活動に対する保護者等の関
心は高まってきている。
また、大学や短大、専門学校等の入試制度の多様化に加え、新学習指導要領から義務教育が
絶対評価になったことなどにより、評価についての保護者の関心は今後一層高まるものと思わ
れ、評価方法などはこれまで以上に明らかにしておく必要がある。
(3)学力向上について
①
生徒自身の学習目標の設定や学習改善につなげるため
生徒自身の適正な学習計画や自己評価のための参考となるような評価や資料提供をする必要
があり、単に学習結果のみの評価では生徒自身の授業態度や家庭学習といった学習過程の改善
は望めない。生徒に学習のねらいや観点別の評価項目を示すことで、学習意欲を喚起したり、
-1-
学習習慣の改善につなげさせたりしたい。
②
指導と評価の一体化を目指した取り組みのため
新教育課程により学習内容や標準単位数が変わり、当然のことながら、これまでの指導計画
の見直しをする必要があった。これを契機として、これまでの学習内容や指導方法の工夫・改
善にあわせ、評価の見直しもすべきであろう。教育課程実施状況調査結果などから、生徒の学
習意欲や授業理解度の低下が指摘されているところである。数学の学習について肯定的にとら
えることができない多くの生徒に対して 、教科指導上 、何らかの対応が必要ではないだろうか 。
評価の工夫・改善の取り組みは、教科指導の工夫・改善や充実のための第一歩と考える。
上記(3)に焦点を絞れば、評価の工夫・改善の必要性について十分納得できるのではないだ
ろうか。これまでの評価は、生徒の理解度を測る目的でペーパーテストを行う、いわば結果重視
の評価になりがちであった。評価した結果について他クラスや前年度の結果などと比較検討をし
課題や問題点が見つかったとしても、それは教員個人が取り組む課題としてとらえられることが
多く、学校や教科の課題として指導の工夫・改善や充実の方向へ進むことはあまり多くなかった
のではないだろうか。これまでの評価に加えて、観点別の評価計画や評価方法の工夫など、評価
の見直しをすることで、学期や単元の途中において、支援の必要な生徒への対応や不十分と思わ
れる学習事項の復習などといった手だてを講ずることができ、生徒の学力向上を図ることになる
ものと考える。
評価の見直しの意義のうち、この学力向上のための指導と評価の一体化を目指した教科指導の
工夫・改善や充実に重点を置いて、実際に各学校が行う評価の見直しの具体的な取り組みについ
て考えてみたい。
2
指導と評価の一体化を目指した具体的な取り組みについて
年間指導計画や単元などの内容のまとまりごとの指導計画、学習指導案などにおいて、評価規
準や評価の時期・場面 、評価方法などについても工夫しながら設定していく必要がある 。そして 、
評価を工夫・改善することによって指導の改善を図っていくことが重要である。評価についての
見直し作業は、可能なことから取りかかり評価活動を実践していくなかで、不備と思われる点を
工夫・改善していけばよいと考える。絶えず研究し見直しを続けていくものであり、最初から完
成度の高いものを目指すとスタートが遅れると予想される。
具体的な取り組みとしては、まず、各科目の「評価規準」や「年間指導計画や評価計画 」、「シ
ラバス」などの作成がある 。「シラバス」とは、学習案内ともいわれているもので、生徒や保護
者にその科目の内容や学習のねらい、使用教材などを示したものであり、履修選択や学習計画の
参考になるもののことである。
次に、観点別評価のより一層の充実として、評価の四つの観点のうち、特に「関心・意欲・態
度」や「数学的な見方や考え方」の評価方法の工夫・改善がある。これについては、授業中の観
察やノート提出、課題レポート、ワークシート、ペーパーテストなどが考えられる。
この他にも、様々な取り組みが考えられるが、今回は、これらの具体例を試作し、作成上の留
意点やその活用方法について考察してみた。
-2-
※
枠で示しているものが、本研究で取り上げているものである。
<指導計画・評価計画の充実>
評価規準
作成
年間指導計画、評価計画
シラバス
作成
作成・公表
<指導・評価方法の工夫>
観点別評価を意識した指導の工夫
観点別の評価方法や試験問題の工夫
「努力を要する」または「十分満足である」と判断される生徒への支援
<授業の充実>
研究授業や公開授業の実施
授業研究、教材研究
生徒による授業評価の実施
「わかる授業」の実現
…など
図1
指導と評価の一体化を目指した取り組み
-3-
計画→指導・評価→見直し→改善
(単元などの内容のまとまりごと)
…
…
計画→指導・評価→見直し→改善
計画→指導・評価→見直し→改善
計画→指導・評価→見直し→改善
PDCAのサイクル
(単元などの内容のまとまりごと)
シラバス
評
価
・
教科
図2
規
準
科目の目標
評価のイメージ
CHECK
ACTION
CHECK
PLAN
DO
ACTION
PLAN
DO
図3
P LAN
指導計画と評価計画
DO
計画に基づいた指導と評価
C HECK
指導と評価の点検(見直し)
A CTION
指導と評価の改善
PDCAのサイクル
-4-
(1)評価規準の作成について
評価規準とは、学習指導要領に示す目標の実現の状況を客観的に判断するためのよりどこ
ろを意味するものである。したがって、学習指導要領や解説(数学編
理数編)から学習内
容の取り扱いなどを基に観点別に設定する。
内容のまとまりごとの評価規準やその具体例では、 表1 のように、生徒がこうなれば「お
おむね満足である」と思われることを観点別に具体的に設定し記述する。記述方法について
は、島根県教育用ポータルサイトの「学習評価資料(事例集 )」に「数学Ⅰ」や「数学A 」、
「数学Ⅱ」の一部が紹介されている。 また、必履修科目の「数学基礎」と「数学Ⅰ」の評
価規準については、すでに国立教育政策研究所から例示されているので、今回はそれらを参
考に「数学Ⅱ 」、「数学Ⅲ 」、「数学B 」、「数学C」の評価規準を試作した 。(→ 資料1 )
表1
「数学Ⅱ」の内容のまとまりごとの評価規準
【「(1)式と証明・高次方程式」の評価規準】
関心・意欲・態度
等式や不等式の
成立に関心を持ち,
それを証明するこ
との意味や方法を
理解しようとする。
複素数まで数が
拡張することによ
って二次方程式や
高次方程式の解の
意味を理解しよう
とする。
数学的な見方や考え方
表現・処理
知識・理解
等式や不等式を証
明するために、数学
的な思考や論理的な
考察ができる。
実数解や虚数解の
判別について二次方
程式の係数との関係
を考察できる。
等式や不等式が数
学的に証明できる。
複素数を用いて、
二次方程式や簡単な
高次方程式の解を求
めることができる。
式と証明について
の理解を深め、等式
や不等式の証明の仕
方を身に付けてい
る。数の拡張により、
方程式の解について
理解を深め、高次方
程式についても解の
求め方が身に付いて
いる。
【
「(1)式と証明・高次方程式」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
知識・理解
【式と証明】
・式の除法につい
て関心をもち,理
解しようとする。
・等式や不等式を
証明しようとす
・整式について,加
減乗除の演算を考察
する。
・等式や不等式の証
・式と式の加減乗除
ができる。
・等式や不等式の基
本性質などを用いて
等式・不等式の証明
・式の計算を理解
し、既習のことなど
を用いて簡単に計算
することができる。
・等式や不等式の証
<作成上の留意点>
教科書の学習内容を参考に作成することも考えられるが、あくまでも基本は学習指導要領
であるから、学習指導要領や解説(数学編
理数編)に則り、学校の特性や生徒の実態を考
慮しながら作成する必要がある。内容のまとまりごとの評価規準やその具体例は単元の学習
指導や評価計画の基になるため、評価の判断ができるものを記述し、表現もわかりやすいも
のにした方がよい。評価規準として不十分と思われるところは随時見直し、必要に応じて加
除訂正をしながら、よりよいものを作り上げていく必要がある。
-5-
<活用方法>
評価規準には学習中や学習後の生徒の姿を観点ごとに記述してあるため、教科担当者とし
ては、指導目標や評価項目が明確になり指導計画の参考になる。そして、その目標が達成さ
れたかどうかをみるためのペーパーテスト 、観察 、提出物など評価計画の参考になる 。また 、
これを基にシラバスを作成する。
(2)年間指導計画や評価計画の作成について
年間の指導計画や評価計画は学校や生徒の実態などを考慮しながら定め、それを基に学期
や単元などの内容のまとまりごと、もしくは月や週ごとの計画へと細分化していくものであ
る。単元などの内容のまとまりごとの指導計画や評価計画については、島根県教育用ポータ
ルサイトの「学習評価資料(事例集 )」の「数学評価規準(ポータル参考資料 )」に例示さ
れている。
年度当初、教科会における指導計画や課題テスト等の実施計画といったものに、評価計画
を加える必要がある。そして観点別評価の評価方法や各段階の判断基準などについて、教科
内で共通理解を図っておく必要がある。
また、研究授業や学習実態調査などを計画することも、指導の工夫・改善の意識が高まる
ものと考える 。(→ 資料2 )
・( 年間指導・評価計画)
科目
計画
4月
(目標)/(評価規準)
指導
単元1
・( 単元などの内容のまとまりごとの指導・評価計画)
単元2 ( 単 元 (具 体的な
評価
観察
単元2
課題テ
スト
計画
1h
目標)
指導
第1章
評価規準)
評 価
・( 学習指導案)
観察
展開
小テスト
まとめ
本時
1/ △
導入
2h
3h
ノート提出
定期試
験
3月
△h
単元○
図4
指導・評価計画の細分化
-6-
(本時の目標)
学習内容 留意点 / 評価
指導と評価(△時間目)→見直し→改善
…
…
…
指導と評価(2時間目)→見直し→改善
指導と評価(1時間目)→見直し→改善
単元などの内容のまとまりごとの
具体的な評価規準
単元などの内容のまとまりごとの目標
図5
単元などの内容のまとまりごとの評価のイメージ
<作成上の留意点>
評価計画や評価方法は科目や学年によって多少の差異が生じることが予想されるが、定期
試験とそれ以外の評価の重み付けや各観点別の重み付けなどについては、校内や教科内の共
通認識のもとで、この年間指導計画や評価計画を作成する必要がある。
(3)シラバスの作成について
シラバスは、各科目についての学習内容や評価方法などを生徒や保護者に示すことで、履
修選択や学習計画の参考資料を提供したり、説明責任を果たしたりするものである。記載項
目や様式は各学校ごとに定めることとなっているが、使用教科書や副教材、評価規準、年間
指導計画、評価計画、単元などの学習内容、学習のねらい、評価方法などの項目について記
載するのが一般的である。
ここでは「数学Ⅱ」のシラバスを試作してみた 。(→ 資料3 )
<作成上の留意点>
これは生徒や保護者に対する公約的なものであるため、記載内容と実際の授業内容が違っ
ていたのでは意味がないことになる。学習計画は事情により年度途中で若干変更することも
-7-
あると予想され、はじめから変更可能なものにすることも考えられるが、大幅な変更になら
ないためにも計画段階で十分練っておく必要がある。
また、作成したシラバスが十分活用されるような工夫も必要である。生徒や保護者にとっ
て、履修や学習計画の参考資料となるものでなければならず、読みやすくわかりやすいもの
にする。そのためには、ある程度記載項目を厳選し、ページ数もあまり多くならないように
する。習熟度別や文系理系によって学習内容が少し違うような場合は、相違点を明示しなが
らひとつにまとめるといった工夫も考えられる。さらに、学習のねらいの各項目の横にチェ
ック欄を設けるなど、書き込み可能なものにすることも考えられる。
<活用方法>
生徒や保護者は、科目選択やコース選
択 、図書購入の参考にし 、また 、生徒は 、
学習計画を立てたり、定期試験の準備を
するときの自己点検としての利用などが
考えられる。
教員の利用方法としては、授業者が年
度の最初の授業におけるオリエンテーシ
ョンの資料としたり、クラス担任が学期
途中の生徒面談においてこれを用いて学
習状況をチェックしながら指導すること
や、進級時の科目選択やコース選択など
の資料として利用することなどが考えら
れる。
図6
シラバスの例
学習状況の点検用として活用するためには、学習のねらいの項目は、評価規準の「表現・
処理」の欄の記述のように「∼を求めることができる 。」「∼を表すことができる 。」などの
具体的な記述にしておく必要がある。
(4)観点別評価の具体的な工夫・改善について
観点別評価を意識した取り組みについては、教科内で、評価方法や試験問題の工夫などの
研修会や授業研究などから始めてみるとよいと思われる。
ここでは、四つの観点のうち 、「関心・意欲・態度」や「数学的な見方や考え方」の評価
方法について考えてみた。
①「関心・意欲・態度」の評価方法について
この観点による評価方法としては、提出物の内容や回数などを評価することが考えられる
が、その他、授業中における観察がある。
観察による評価は 、作業的な内容を含んだ授業やグループ学習の授業などに有効と考える 。
教員が一方的に解説をするような授業では生徒個々の様子が見えにくく、評価する時間も設
-8-
定しにくい。観察の記録は、記録簿(教務手帳など)が一般的だと思われるが、 図7 のよう
な座席表を利用した観察シートを用いることも考えられる。そして、単元の終わりや学期末
に集計する。
このほか、調べ学習や発表会などの授業では、生徒自身の自己評価や生徒同士の相互評価
を参考資料として用いることも考えられる。
<関心・意欲・態度>
単元:【
クラス(
三角関数
年
観察シート
】
評価のポイント
組)
観察
(①
月
日
限)
実施日
(②
月
日
限)
ワークシートの単位円を利用してグラフを描こうとしているか
ワークシートに記入しながら、加法定理を用いて2倍角や3倍角の公
式を自分で導き出そうとしているか
<座席表>
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
①グラフから三
角関数の性質に
気付いて質問し
た。
名 前
A/C
名 前
A/C
名 前
A/C
②自ら4倍角の
①活動を放棄し 、
公式も出してみ
グラフを描こう
ようと取り組ん
としない。
だ。
教
卓
ABCの3段階のうち、AまたはCと判断される生徒について、特記事項として記録する。
図7
観察シート
<評価するときの留意点>
観察で評価するときは 、「おおむね満足である」と判断できる状態を想定しておき、その
想定した状態を表面化させるよう、授業を工夫する必要がある。また、教員間で評価にぶれ
が生じないようにするために、評価についての授業研究などを通じて教員個々の「眼力」を
高めていく必要がある。
記録方法としては、例えばA「十分満足できる 」,B「おおむね満足できる 」,C「努力
を要する」の3段階で評価する場合、通常みな「おおむね満足できる」状態のBとしておい
て、AまたはCと判断される生徒のみ特記事項を記録するなどが考えられる。また、観察シ
ートを用いる場合は、生徒に「この時間は評価されている」という不要な意識が生じないよ
う、観察結果は授業後に記録するとか、TT(ティーム・ティーチング)授業であれば、指
-9-
導と観察の役割分担をしておくなどの工夫が必要と思われる。
②「数学的な見方や考え方」の評価方法について
「数学的な見方や考え方」については、評価規準の具体例には「∼について考察すること
ができる 。」というような表現になっており、問題を解決しようとする過程における着眼点
や発想 、類推 、統合 、拡張的な考え 、帰納的な考え 、演繹的な考え 、そして数量化 、図形化 、
単純化、一般化、特殊化などの見方や考え方のことと考える。
「数学的な見方や考え方」についての記述
○平成16年3月、国立教育政策研究所「評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料」
における評価の観点及びその趣旨より抜粋
数学的な見方や考え方
数学的な活動を通して、数学的な見方や考え方を身に付け、事象を数学的にと
らえ、論理的に考えるとともに思考の過程を振り返り多面的・発展的に考える。
○「学習指導要領解説 数学編 理数編 」( p23,24)から要約
①数学が構成されているときの中心となる見方や考え方
数学の様々な概念や原理・法則がどのような着想や考え方を基にして、
どのように構成され組み立てられているかなどをみていくときの見方や考え方
②問題解決の過程などにおいて数学を活用していくときの見方や考え方
問題解決等に当たって、問題を数学の対象としてとらえたり、直観、類推、帰納、
演繹などを用いたりして、色々な角度や観点から問題を考察したりすることにより,
わかりやすい視点を見いだしたり、数学的な関係や考え方を念頭に置いて問題を分
析・整理したりするときの見方や考え方
評価方法としては、観察やワークシート、課題テスト、定期試験などが考えられるが、ワ
ークシートや課題テスト、定期試験で問題を作成するときは、これまでの「知識・理解」な
どの問題との違いをだす必要がある。この「数学的な見方や考え方」をみる問題の事例は少
なく、まだまだ研究の余地があると思うが、いくつか問題を作成してみた 。(→ 資料4 )
<問題作成上の留意点>
出題する時期によって評価の観点が異なってくることがある。つまり 、「数学的な見方や
考え方」をみる問題として出題したつもりでも、同じような問題を学習した後に出題すれば
学習の定着状況を確認するため問題、つまり「表現・処理」や「知識・理解」をみる問題に
なりうるということである。
また、生徒の思考過程がみられるような工夫が必要であり、いろいろな見方や考え方を引
き出すような工夫も必要である。そのためには以下のことなども考慮しながら問題作成をす
- 10 -
るとよいと思われる。
①授業では学習していないが、既習事項で解決できそうなもの
②解法がいくつかあるような、多様な考え方で解決できそうなもの
③条件設定などの出題文がシンプルで、取り組みやすいもの
(5)評価を総括して評定へ
一部の観点に偏した評価や一部の教員の独断的な評価とならないよう、より客観的で信頼
性のあるものにするために評価の改善・工夫をしたわけであるから、これを考慮して学年末
の評定 *1 を出す必要がある。
島根県教育用ポータルサイトの「学習評価資料(事例集 )」の第1章
総説によると、単
元などの内容のまとまりごとに各観点別の評価を補助簿などに記録し、その単元の集計をし
ておくこととされている。また、各単元の観点別の重み付けや単元の評価と定期試験との重
み付けについても、各学校が生徒の実情に合わせて適切に定めることとされ、学期末の評価
を総括することとなっている。
そして、学年末の評定については、各学期ごとの観点別評価を集計することや学期ごとに
総括した評価をもとに評定を出すなど、その方法についても各学校の裁量とされている。校
内の規定などの共通認識のもとで 、数学科としての総括方法を定め 、評定を出すこととなる 。
Ⅳ
おわりに
平成16年12月7日にPISA
*2
2003年調査の国際調査結果が公表された。15歳児
*3
を対象に調査がなされ、日本の数学的リテラシーは香港、フィンランド、韓国、オランダ、リヒ
テンシュタインについで6位であり、1位グループにあるといえるそうである。
調査問題以外に、質問紙による生徒に関する情報収集もしており、興味深い結果が出ている。
その一つは 、「数学への興味・関心や数学の楽しさ」に関する4つの質問について、肯定的に回
答した生徒の割合が低かったのは数学的リテラシー上位国の日本やフィンランド、韓国、オラン
ダであったことである。二つめは、日本の生徒は数学を得意だと感じている生徒の割合が低く、
また、問題や宿題を解くとき及び数学の成績に対して不安を感じている生徒の割合が多いことで
ある。三つめは、日本の生徒は数学を勉強するとき、出来るだけ暗記しようとする生徒は少ない
ものの、学んだ数学を日常生活にどう応用できるかを考えたり、数学と他の科目を関連づけよう
としたり、ここで学ぶのは何なのかをはっきりさせることからはじめようとする生徒の割合が少
ないことである。
同じ2003年には、IEA
*4
が小学校4年生と中学校2年生を対象に算数・数学及び理科に
*1 評価と混同されがちだが、評価を総括したものである。従来からの目標に準拠した5段階評価のことであり、生徒指導要録
に記載する評定のこと。
*2 OECD生徒の学習到達度調査
*3 日本では高校1年生を対象に実施
*4 国際教育到達度評価学会
- 11 -
ついて調査をしており、その結果が平成16年12月に公表されている。46か国のうち、日本
の順位は、小学校4年生の算数はシンガポール、香港についで3位であり、中学校2年生の数学
はシンガポール、韓国、香港、台湾についで5位となっており、ここでも上位グループにいる。
この他、質問紙による調査も行っているのだが、日本の中学校2年生について興味深い調査結
果が出ている。一つは「数学の勉強への積極性」についてであり、日本は国際的に見て下位にあ
ること。二つめは「数学の勉強に対する自信」についてで、これは国際的に最も低いとのことで
ある。三つめとしては、一日の過ごし方で、宿題をする時間が 1.0 時間で46か国の中で最も少
なく、テレビやビデオを見る時間が 2.7 時間と最も多かったことである。
これら二つの調査結果のなかに、教科指導の充実のためのヒントがあるように思う。学力向上
のための何らかの対策の必要性については、生徒の実態をよく知っている教員自身が切に感じて
いるところであろう。そこで、評価の工夫・改善の取り組みによる質的な教科指導の充実を図る
ことで、関心・意欲・態度などを含めた
学力
の向上につながるのではないかと考える。今回
作成した資料がその新たな取り組みの参考となれば幸いである。
【参考文献】
文部科学省
高等学校学習指導要領、高等学校学習指導要領解説(数学編
(島根県教育委員会
理数編)
「小学校・中学校
評価規準設定の手引き」
平成14年2月)
教科書「高等学校
数学Ⅰ 」、「高等学校
数学Ⅱ 」、「高等学校
数学Ⅲ 」、
「高等学校
数学A 」、「高等学校
数学B 」、「高等学校
数学C」 (啓林館)
「教師の評価力を高める校内研究のあり方
−「目標に準拠した評価」のための共同的な評価活動に関する提案と実践−」
(松江教育センター「評価」研究プロジェクトチーム
平成14年3月)
石田恒好、根本博編
「中学校数学 こうすればできる 観点別評価の手順−データ集め方・判定の仕方−」
(図書文化社)
【参考Webページ】
島根県教育用ポータルサイト
「学習評価資料(事例集)」 (平成15年12月)
( http://port.shimanet.ed.jp/ )
国立教育政策研究所
「評価規準の作成,評価方法の工夫・改善のための参考資料 」(平成16年3月)
( http://www.nier.go.jp/kaihatsu/kou-sankousiryou/html/index.htm )
神奈川県立総合教育センター「高等学校シラバス例示集 」(平成16年2月)
( http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/karisen/syllabus/index.html )
文部科学省・OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2003年調査国際結果の要約
( http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/04120101.htm)
・ 国際教育到達度評価学会(IEA)国際数学・理科教育動向調査の 2003 年調査
( TIMSS2003) Trends in International Mathematics and Science Study 2003
国際調査結果報告( 速報 )
( http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/12/04121301.htm)
- 12 -
資料1
各科目の評価規準の例
Ⅰ.教科「数学」の目標
数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め,事象を数学的に考察し処理する能力を
高め,数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し,
それらを活用しようとする態度を育てる。
Ⅱ.教科「数学」の評価の観点及びその趣旨
関心・意欲・態度
数学的活動を通し
て,数学の論理や体系
に関心をもつととも
に,数学的な見方や考
え方のよさを認識し,
それらを事象の考察に
積極的に活用しようと
する。
数学的な見方や考え方
数学的活動を通し
て,数学的な見方や考
え方を身に付け,事象
を数学的にとらえ,論
理的に考えるとともに
思考の過程を振り返り
多面的・発展的に考え
る。
表現・処理
事象を数学的に考察
し,表現し処理する仕
方や推論の方法を身に
付け,よりよく問題を
解決する。
知識・理解
数学における基本的
な概念,原理・法則,
用語・記号などの知識
を身に付けている。
Ⅲ.各科目の目標や評価の観点,評価規準の例
科目「数学Ⅱ」
1 科目目標
式と証明・高次方程式,図形と方程式,いろいろな関数及び微分・積分の考えについて理解さ
せ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとと
もに,それらを活用する態度を育てる。
2
評価の観点及びその趣旨
関心・意欲・態度
数学的活動を通し
て,式と証明・高次方
程式,いろいろな関数
及び微分・積分の考え
における考え方や体系
に関心をもつととも
に,数学的な見方や考
え方のよさを認識し,
それらを事象の考察に
進んで活用しようとす
る。
3
数学的な見方や考え方
数学的活動を通し
て,式と証明・高次方
程式,いろいろな関数
及び微分・積分の考え
における数学的な見方
や考え方を身に付け,
事象を数学的にとら
え,論理的に考えると
ともに思考の過程を振
り返り多面的・発展的
に考える。
表現・処理
式と証明・高次方程
式,いろいろな関数及
び微分・積分の考えに
おいて,事象を数学的
に考察し,表現し処理
する仕方や推論の方法
を身に付け,よりよく
問題を解決する。
知識・理解
式と証明・高次方程
式,いろいろな関数及
び微分・積分の考えに
おける基本的な概念,
原理・法則,用語・記
号などを理解し,基礎
的な知識を身に付けて
いる。
学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例
数学Ⅱにおいては,学習指導要領の内容の(1),(2),(3),(4)を内容のまとまりとした。
(1) 「(1)式と証明・高次方程式」
【学習指導要領の内容】
式と証明についての理解を深め,方程式の解を発展的にとらえ,数の範囲を複素数まで拡張
して二次方程式を解くことや因数分解を利用して高次方程式を解くことができるようにする。
ア 式と証明
(ア)整式の除法,分数式
(イ)等式と不等式の証明
イ 高次方程式
(ア)複素数と二次方程式
(イ)高次方程式
- 13 -
【「(1)式と証明・高次方程式」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
等式や不等式の成立
等式や不等式を証明
に関心を持ち,それを するために,数学的な
証明することの意味や 思考や論理的な考察が
方法を理解しようとす できる。
る。
実数解や虚数解の判
複素数まで数が拡張 別について二次方程式
することによって二次 の係数との関係を考察
方程式や高次方程式の できる。
解の意味を理解しよう
とする。
表現・処理
等式や不等式が数学
的に証明できる。
複素数を用いて,二
次方程式や簡単な高次
方程式の解を求めるこ
とができる。
【「(1)式と証明・高次方程式」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
【式と証明】
・式の除法について関 ・整式について,加減 ・式と式の加減乗除が
心をもち、理解しよう 乗 除 の 演 算 を 考 察 す できる。
とする。
る。
・等式や不等式を証明 ・等式や不等式の証明
しようとする。
するために,式変形な ・等式や不等式の基本
どの工夫を考える。
性質などを用いて、等
・背理法について考察 式・不等式の証明がで
する。
きる。
【高次方程式】
・2乗して−1になる ・二次方程式の実数解 ・複素数の演算ができ
数iや数が複素数まで や虚数解の判別につい る。
拡張されることに関心 て考察できる。
・二次方程式の解の判
をもつ。
・二次関数のグラフと 別や解を求めることが
・二次方程式や高次方 x軸との位置関係と二 できる。
程式の解を求めようと 次方程式の解について ・簡単な高次方程式の
する。
考察できる。
解を因数定理や複二次
方程式などで求めるこ
とができる。
知識・理解
式と証明についての
理解を深め,等式や不
等式の証明の仕方を身
に付けている。
数の拡張により,方
程式の解について理解
を深め,高次方程式に
ついても解の求め方を
身に付けている。
知識・理解
・式の計算を理解し,
既習のことなどを用い
て簡単に計算すること
ができる。
・等式や不等式の証明
について理解を深め,
様々な証明方法を身に
付けている。
・二次方程式が常に解
を持つことを理解して
いる。
・二次方程式の解と係
数の関係や解とx軸と
の関係を理解してい
る。
・簡単な高次方程式の
解の求め方を身に付け
ている。
(2) 「(2)図形と方程式」
【学習指導要領の内容】
座標や式などを用いて直線や円などの基本的な平面図形の性質や関係を数学的に考察し処理
するとともに,その有用性を認識し,いろいろな図形の考察に活用できるようにする。
ア 点と直線
(ア)点の座標
(イ)直線の方程式
イ 円
(ア)円の方程式
(イ)円と直線
【「(2)図形と方程式」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
直線や円などの基本
直線や円などを方程
的な平面図形の性質や 式として扱えることを
関係に関心をもつとと 身に付け,直線や円の
もに,座標や式を用い 関係を方程式を用いて
てそれらを表現するこ 考 察 す る こ と が で き
との有用性を認識し, る。
活用しようとする。
表現・処理
直線や円などを方程
式で表現し,それらの
関係を調べることがで
きる。
知識・理解
直線や円などの方程
式を理解し,平面図形
の性質や関係の基本的
な知識を身に付けてい
る。
表現・処理
知識・理解
【「(2)図形と方程式」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【点と直線】
- 14 -
・点の座標を用いて,
2点間の距離や線分の
内分点,外分点との関
係に関心をもつ。
・2点間の距離や内分
点,外分点との関係を
考察することができ
る。
・直線の方程式に関心
をもち,二直線の関係
を調べようとする。
・二直線の平行・垂直
条件を考察することが
できる。
【円】
・定点からの距離が一
定である点の集合が円
であるなど、与えられ
た条件を満たす点の集
合と図形について関心
をもつ
・円と直線などの位置
関係に関心をもつ。
・2点間の距離の公式
を使って,円の方程式
を考察することができ
る。
・円と直線との共有点
の個数を考察すること
ができる。
・図形を点の集合とし
て考察することができ
る。
・2点間の距離や内分
点,外分点を求めるこ
とができる。
・二直線の交点の座標
が求められる。
・二直線の傾きm1 ,
m2 を用いて,平行や
垂直の条件を表現でき
る。
・点の座標や直線の方
程式などを理解し,基
礎的な知識を身に付け
ている。
・与えられた条件の円
をxとyの方程式で表
すことができる。
・円の方程式の求め方
を理解し,基礎的な知
識を身に付けている。
・円と直線の共有点や
個数を求めることがで
きる。
・図形や領域につい
て、与えられた条件を
満たす点の集合とし
て,xとyの方程式や
不等式で表すことがで
きる。
・円と直線との共有点
の個数と二次方程式の
解の個数との関係を理
解し,判別式を使って
求められることを理解
している。
・与えられた条件を満
たす点の集合として図
形をみることを理解し
ている。
(3) 「(3)いろいろな関数」
【学習指導要領の内容】
三角関数,指数関数及び対数関数について理解し,関数についての理解を深め,それらを具
体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 三角関数
(ア)角の拡張
(イ)三角関数とその基本的性質
(ウ)三角関数の加法定理
イ 指数関数と対数関数
(ア)指数の拡張
(イ)指数関数
(ウ)対数関数
【「(3)いろいろな関数」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
いろいろな関数につ
既習の関数も含め,
いて関心を示し,具体 いろいろな関数の特徴
的な事象に活用しよう 的なことなどを整理す
とする。
ることができる。
具体的な事象に適切
な関数を活用すること
ができる。
表現・処理
いろいろな関数の基
本的な計算処理がで
き,グラフなど具体的
に表すことができる。
【「(3)いろいろな関数」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
【三角関数】
・角度を一般化するこ ・角度が一般角に拡張 ・弧度法で角を表すこ
とにより,新たな関数 されることや弧度法と とができる。
が定義できることに関 いう角と三角関数につ ・弧の長さやや扇形の
心をもつ。
いて考察することがで 面積が求められる。
・加法定理から導き出 きる。
・三角関数のグラフが
される基本的な公式な ・三角関数の周期性な かけ、三角方程式や不
どに関心をもち、公式 どの基本的な性質をグ 等式などに活用するこ
を導き出そうとする。 ラフで考察することが とができる。
できる。
- 15 -
知識・理解
いろいろな関数の特
徴的な事柄や性質など
の知識を身に付けてい
る。
知識・理解
・弧度法により弧の長
さや扇形の面積が求め
られるなどの有用性に
ついて理解する。
・三角関数の周期性に
ついて理解を深め,加
法定理やグラフを用い
て具体的な事象に活用
することが身に付いて
【指数関数と対数関数】
・指数が有理数まで拡
張されることに関心を
もつ。
・指数関数、対数関数
ともに具体的事象に活
用されることに関心を
もつ。
・いろいろな公式と加
法定理について考察す
ることができる。
・加法定理を具体的な
事象に活用することが
できる。
いる。
・指数が正の整数から
有理数まで拡張される
ことについて考察でき
る。
・対数関数と指数関数
の関係についてグラフ
の関係とともに考察す
ることができる。
・自然界などの具体的
事象と指数関数や対数
関数との関わりが考察
できる。
・指数や対数の基本的
な計算ができる。
・指数関数と対数関数
の関係や増減などの特
徴を知識として身に付
けている。
・具体的な事象におけ
る常用対数の活用方法
を身に付けている。
・指数関数や対数関数
のグラフがかけ、それ
を使って具体的な問題
を解決することができ
る。
(4) 「(4)微分・積分の考え」
【学習指導要領の内容】
具体的事象の考察を通して微分・積分の考えを理解し,それを用いて関数の値の変化を調べ
ることや面積を求めることができるようにする。
ア 微分の考え
(ア)微分係数と導関数
(イ)導関数の応用
接線,関数値の増減
イ 積分の考え
(ア)不定積分と定積分
(イ)面積
【「(4)微分・積分の考え」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
微分・積分の考え方
微分・積分の考え方
に関心をもち,そのよ を用いて関数の増減や
さを簡単な関数に活用 面積などを考察するこ
しようとする。
とができる。
表現・処理
微分・積分の基本的
な計算処理ができると
ともに,具体的な事象
に活用することができ
る。
【「(4)微分・積分の考え」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
【微分の考え】
・図形的な具体例をと ・極限の記号 lim の使
・極限という考え方に おして極限について考 い極限値を求めること
関心をもち,極限値を 察できる。
ができる。
求めようとする。
・微分係数や導関数か ・微分係数や導関数を
・関数の増減や導関数 ら関数の値の変化を考 求めたり,それを利用
などを求めたり,いろ 察することができる。 して関数のグラフをか
いろな関数のグラフを
くことができる。
かいてみようとする。 ・実際的な問題と導関 ・接線方程式を求める
数の応用について考察 など導関数を応用して
することができる。
問題を解決することが
できる。
【積分の考え】
・微分の逆演算である ・微分の逆演算として ・不定積分の計算がで
不定積分を求めようと の不定積分を考察する きる。
する。
ことができる。
・定積分の計算がで
・定積分で面積が求め ・面積を求める際に, き、定積分を用いて面
られることに関心を持 定積分が利用できるよ 積を求めることができ
ち、それを求めようと うに工夫して区間や関 る。
する。
数を考えることができ
る。
- 16 -
知識・理解
微分と積分について
基本的なことを理解し
ており,計算方法だけ
でなく,具体的な事象
への活用方法が身に付
いている。
知識・理解
・極限や導関数の記号
の使い方や概念が身に
付いている。
・極限や微分の知識を
用いて,具体的な事象
に効果的に活用できる
ことを理解している。
・面積が極限の概念で
求められることを理解
し,曲線と区間で囲ま
れた図形の面積は定積
分を用いることで求め
られることを理解して
いる。
科目「数学Ⅲ」
1 科目目標
極限,微分法及び積分法についての理解を深め,知識の習得と技能の習熟を図り,事象を数学
的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態度を育てる。
2
評価の観点及びその趣旨
関心・意欲・態度
数学的活動を通し
て,極限,微分法及び
積分法における考え方
や体系に関心をもつと
ともに,数学的な見方
や考え方のよさを認識
し,それらを事象の考
察に積極的に活用しよ
うとする。
3
数学的な見方や考え方
数学的活動を通し
て,極限,微分法及び
積分法における数学的
な見方や考え方を身に
付け,事象を数学的に
とらえ,論理的に考え
るとともに思考の過程
を振り返り統合的発展
的に考える。
表現・処理
極限,微分法及び積
分法において,事象を
数学的に考察し,表現
し処理する仕方や推論
の方法を身に付け,よ
りよく問題を解決す
る。
知識・理解
極限,微分法及び積
分法における基本的な
概念,原理・法則,用
語・記号などの理解を
深め,基礎的な知識を
身に付けている。
学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例
数学Ⅲにおいては,学習指導要領の内容の(1),(2),(3),(4)を内容のまとまりとした。
(1) 「(1)極限」
【学習指導要領の内容】
微分法・積分法の基礎として極限の概念を理解し,それを数列や関数値の極限の考察に活用
できるようにする。
ア 数列の極限
(ア)数列{rn}の極限
(イ)無限等比級数の和
イ 関数とその極限
(ア)合成関数と逆関数
(イ)関数値の極限
【「(1)極限」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
数列や級数の極限に
既習の極限を応用し
ついて関心をもち,関 て,数列や級数の極限
数の極限について調べ 及び導関数を用いて,
ようとする。
関数の極限を考察する
ことができる。
【「(1)極限」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【数列の極限】
・数列や級数の収束, ・等比数列や等比級数
発散について関心をも の極限について,公比
ち,特徴を調べてみよ rの値によって考察す
うとする。
ることができる。
【関数とその極限】
・様々な関数の極限を
求めようとする。
・分数関数や逆関数,
合成関数に関心を持
つ。
・関数値の極限につい
て数学的に考察するこ
とができる。
・関数のいろいろな対
応と逆関数の関係や,
合成関数について,既
表現・処理
数列や級数,関数の
極限値を求めたり,極
限の様子を表現するこ
とができる。
知識・理解
極限値や関数の増加
減少の様子など具体的
な問題を解決するため
の知識を身に付けてい
る。
表現・処理
知識・理解
・等比数列や等比級数
などの極限値を求める
ことができる。
・無限等比級数やその
極限の特徴について理
解している。
・いろいろな関数の極
限を調べたり,その結
果を利用して関数のグ
ラフを描くことができ
る。
・与えられた関数の逆
・様々な関数の概念を
理解し,関数の増加減
少やグラフの概形など
の求め方を理解してい
る。
・逆関数が定義できる
- 17 -
習の関数とあわせ考察
することができる。
関数を求めることがで
きる。
のは,元の関数が1対
1対応のときであるこ
とを理解している。
(2) 「(2)微分法」
【学習指導要領の内容】
いろいろな関数についての微分法を理解し,それを用いて関数値の増減やグラフの凹凸など
を考察し,微分法の有用性を認識するとともに,具体的な事象の考察に活用できるようにする。
ア 導関数
(ア)関数の和・差・積・商の導関数
(イ)合成関数の導関数
(ウ)三角関数・指数関数・対数関数の導関数
イ 導関数の応用
接線,関数値の増減,速度,加速度
【「(2)微分法」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
微分法やその有用性
微分法により,関数
に関心を持ち,具体的 の増加減少,グラフの
事例に活用しようとす 凹凸について考察でき
る
る。
また,速度,加速度
などについても考察で
きる。
【「(2)微分法」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【導関数】
・導関数のいろいろな ・関数の連続性につい
公式や様々な関数の導 て微分法により考察す
関数に関心をもつ。
ることができる。
・自然対数の底eにつ
・自然対数に関心を持 いて,数学的に考察す
ち、それを具体的な事 ることができる。
象に活用しようとす
る。
【導関数の応用】
・導関数がいろいろな
ことに応用できること
に関心をもち,具体的
な事象に活用しようと
する。
・第二次導関数の有効
性について考察するこ
とができる。
・直線運動などを時刻
の関数と捉え,自然界
のことについて数学的
に考察することができ
る。
表現・処理
微分法によりいろい
ろな関数の導関数を求
めることができる。
また,求めた導関数
を用いて関数の増減を
調べ,グラフを描くこ
とができる。
知識・理解
微分法をよさを理解
し,具体的な事象に活
用されていることを認
識するとともに,微分
法を用いて具体的な問
題を解決するための知
識を身に付けている。
表現・処理
知識・理解
・基本的な関数の和,
差,積,商などの導関
数を求めることができ
る。
・合成関数など、やや
複雑な関数の導関数も
求めることができる。
・自然対数の底eを活
用して,自然対数につ
いて基本的な計算がで
きる。
・いろいろな関数の導
関数の求め方を理解し
ている。
・導関数の基本的な公
式を理解し,具体的な
事象への活用方法を身
に付けている。
・導関数を活用して,
接線方程式を求めた
り,関数の凹凸などグ
ラフをより正確に描く
ことができる。
・速度,加速度を微分
を用いて求めることが
できる。
・極大、極小、変曲点、
漸近線などグラフの特
徴など導関数の有効性
を理解している。
・導関数を利用して具
体的な事象を解決する
方法を身に付けてい
る。
(3) 「(3)積分法」
【学習指導要領の内容】
いろいろな関数についての積分法を理解し,その有用性を認識するとともに,図形の求積な
どに活用できるようにする。
ア 不定積分と定積分
(ア)積分とその基本的な性質
(イ)簡単な置換積分法・部分積分法
(ウ)いろいろな関数の積分
イ 積分の応用
面積・体積
- 18 -
【「(3)積分法」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
積分の有用性に興味
これまで公式として
関心を持ち,具体的な 扱っていたことが積分
事象に活用しようとす によって導き出される
る。
ことや,積分により面
積や体積が導き出され
ることを数学的に考察
することができる。
【「(3)積分法」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【不定積分と定積分】
・置換積分法や部分積 ・不定積分の線形性や
分法などの積分の計算 定積分の基本的な性質
方法に関心をもつ。
について考察すること
・積分で面積が求めら ができる。
れることなど,積分の ・置換積分法や部分積
有用性に興味関心を持 分法について,数学的
ち,具体的な事象に活 に考察することができ
用しようとする。
る。
【積分の応用】
・積分によってこれま
での面積や体積の公式
などが導き出せること
に関心をもつ。
・面積や体積を求める
際に,積分の活用方法
など数学的に考察する
ことができる。
表現・処理
記号を使って積分の
計算処理ができ,面積
や体積などが求められ
る。
知識・理解
不定積分や定積分の
概念や記号の意味,積
分のよさを理解し,具
合的な事象を積分によ
り解決するための基礎
的な知識を身に付けて
いる。
表現・処理
知識・理解
・記号を用いて不定積
分や定積分の計算をす
ることができる。
・置換積分や部分積分
などを用いて,簡単な
具体的事象についても
面積などを導き出すこ
とができる。
・これまでの積分の対
象である関数が拡大さ
れたことを理解すると
ともに,その有用性に
ついても理解する。
・置換積分や部分積分
をよさを理解し、その
活用方法を身に付けて
いる。
・積分の計算ができ,
定積分を用いて簡単な
面積や回転体などの体
積を求めることができ
る。
・面積や体積など図形
の計量に積分が有効で
あることを理解し,具
体的な事象に活用する
ための基礎的な知識を
身に付けている。
科目「数学B」
1 科目目標
数列,ベクトル,統計又は数値計算について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図
り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを活用する態度を育てる。
2
評価の観点及びその趣旨
関心・意欲・態度
数学的活動を通し
て,数列,ベクトル,
統計又は数値計算にお
ける考え方に関心を持
つとともに数学的な見
方や考え方のよさを認
識し,それらを事象の
考察に進んで活用しよ
うとする。
3
数学的な見方や考え方
数学的活動を通し
て,数列,ベクトル,
統計又は数値計算にお
ける数学的な見方や考
え方を身に付け,事象
を数学的にとらえ,論
理的に考えるとともに
思考の過程を振り返り
多面的・発展的に考え
る。
表現・処理
数列,ベクトル,統
計又は数値計算におい
て,事象を数学的に考
察し,表現し処理する
仕方や推論の方法を身
に付け,よりよく問題
を解決する。
知識・理解
数列,ベクトル,統
計又は数値計算におけ
る基本的な概念・原理
・法則,用語・記号な
どを理解し,基礎的な
知識を身に付けてい
る。
学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例
数学Bにおいては,学習指導要領の内容の(1),
(2),
(3),
(4)を内容のまとまりとし,
( 3)
(4)については省略した。
(1) 「(1)数列」
【学習指導要領の内容】
簡単な数列とその和及び漸化式と数学的帰納法について理解し,それらを用いて事象を数学
的に考察し処理できるようにする。
- 19 -
ア 数列とその和
(ア)等差数列と等比数列
(イ)いろいろな数列
イ 漸化式と数学的帰納法
(ア)漸化式と数列
(イ)数学的帰納法
【「(1)数列」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
等差数列や等比数列
等差数列や等比数列
などの簡単な数列につ などの簡単な数列につ
いて,一般項や第n項 いて,特徴や規則性か
ま で の 和 に 関 心 を 持 ら,一般項や第n項ま
ち,工夫してそれらを での和などの求め方が
求めようとする。
考察できる。
漸化式や数学的帰納
漸化式や数学的帰納
法のよさに興味関心を 法のよさなどについて
もつ。
考察することができ
る。
【「(1)数列」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【数列とその和】
・第n項a n とnの対 ・第n項a n とnの対
応関係に気づき,等差 応関係や,等差数列や
数列や等比数列はどの 等比数列の一般項や和
ような関係が成り立っ の公式について考察す
ているか関心をもつ。 ることができる。
・第n項までの和に関
心を持ち,それを求め
ようとする。
・等差,等比以外のい
・等差,等比以外のい ろ い ろ な 数 列 に つ い
ろ い ろ な 数 列 に つ い て,和の公式やΣの記
て,和の公式やΣの記 号などについて考察す
号を使って具体的な事 ることができる。
象に取り組もうとす
る。
【漸化式と数学的帰納
法】
・漸化式で数列が表現 ・隣接2項の漸化式で
されることに関心をも 数列が表現されること
つ。
や漸化式から数列の一
・漸化式から数列の一 般項が導き出せること
般項が導き出せること などを考察することが
に関心を持ち,それを できる。
求めようとする。
・数学的帰納法の意味 ・数学的帰納法による
とその取り扱い方に関 証明について考察する
心をもつ。
ことができる。
・数学的帰納法を用い
て具体的な事象につい
て証明しようとする。
表現・処理
等差数列や等比数列
などの簡単な数列につ
いて,公式を用いて一
般項や第n項までの和
などを求めることがで
きる。
漸化式や数学的帰納
法の考え方を具体的な
事象に活用できる。
知識・理解
等差数列や等比数列
などの簡単な数列につ
いて,記号や用語の意
味,公式を理解し,そ
れらを活用して具体的
な問題を解決するため
の基本的な知識を身に
付けている。
表現・処理
知識・理解
・第n項a n とnの対
応関係から,等差数列
や等比数列の一般項が
求められる。
・第n項までの和が求
められる。
・等差,等比以外のい
ろいろな数列につい
て,和の公式やΣの記
号を用いて基本的な問
題を解決することがで
きる。
・第n項a n とnの対
応関係や,等差数列や
等比数列はどのような
関係が成り立っている
か理解している。
・第n項までの和につ
いて,等差,等比数列
だけでなく,いろいろ
な数列の和の公式やΣ
の記号の使い方などを
理解している。
・簡単な数列を漸化式
で表すことができる。
・漸化式から数列の一
般項が導き出すことが
できる。
・漸化式から数列の一
般項が導き出せること
を理解し,その活用方
法を身に付けている。
・数学的帰納法を用い
て具体的な事象につい
て証明することができ
る。
・数学的帰納法の意味
を理解し,証明などで
その取り扱い方を身に
付けている。
(2) 「(2)ベクトル」
【学習指導要領の内容】
ベクトルについての基本的な概念を理解し,基本的な図形の性質や関係をベクトルを用いて
表現し,いろいろな事象の考察に活用できるようにする。
ア 平面上のベクトル
(ア)ベクトルとその演算
(イ)ベクトルの内積
- 20 -
イ
空間座標とベクトル
空間座標,空間におけるベクトル
【「(2)ベクトル」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
ベクトルについての
ベクトルについて
基本的な概念に関心を の基本的な概念を数学
持ち,基本的な図形の 的に考察し,基本的な
性質や関係をベクトル 図形の性質や関係を,
を用いて表現しようと ベクトルで表現すると
したり,いろいろな事 いう考え方,とらえ方
象の考察に活用しよう ができる。
とする。
【「(2)ベクトル」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【平面上のベクトル】
・平面上のベクトルの ・平面上のベクトルの
意味や相等,加法,減 定義や演算、その有効
法及び実数倍について 性 に つ い て 考 察 で き
関心をもつ。
る。
・始点を定めることに ・位置ベクトルを活用
より任意の点がベクト について,図形的な活
ル で 表 現 で き る こ と 用方法を考察すること
や,位置ベクトルを活 ができる。
用することによって図
形に関する事柄などに
有効であることに関心
をもつ。
・内積の基本的な性質 ・内積の基本的な性質
について関心を持ち, について理解し,平面
平面図形の性質や関係 図形の性質や関係を考
の考察に活用しようと 察することができる。
する。
【空間座標とベクトル】
・空間座標の表し方に ・空間座標の表し方や
ついて関心をもつ。
演算,内積など,平面
・内積や成分などの平 ベクトルの考え方を空
面ベクトルの考え方を 間に拡張して考え,空
空間に拡張できること 間図形を考察すること
に関心をもち,空間図 ができる。
形の考察に活用しよう
とする。
表現・処理
基本的な図形の性質
や関係をベクトルを用
いて表現でき,いろい
ろな事象に活用でき
る。
知識・理解
ベクトルについての
基本的な概念を理解
し,基本的な図形の性
質や関係についてベク
トルを用いて表現でき
ることや,いろいろな
事象への活用の仕方を
身に付けている。
表現・処理
知識・理解
・平面上のベクトルの
意味や相等,加法,減
法及び実数倍の演算が
できる。
・始点を定めることに
より任意の点がベクト
ルで表現できること
や,位置ベクトルを活
用して図形などの具体
的な問題を解決でき
る。
・平面上のベクトルの
概念や記号、表示方法
を理解している。
・位置ベクトルの考え
方とそれを活用するこ
とによって図形に関す
る事柄などに有効であ
ることを理解してい
る。
・内積を用いて,平面
図形の性質や関係が導
き出すことができる。
・内積の基本的な性質
について理解し,平面
図形の性質や関係の考
察に活用することがで
きる。
・空間座標の表し方や
空間ベクトルの内積,
成分などの演算ができ
る。
・空間ベクトルを用い
て空間図形などの具体
的な問題を解決でき
る。
・空間図形について,
ベクトルの考え方の有
用性を理解し,具体的
な事象を解決するため
の基礎的な知識を身に
付けている。
科目「数学C」
1 科目目標
行列とその応用,式と曲線,確率分布又は統計処理について理解させ,知識の習得と技能の習
熟を図り,事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばすとともに,それらを積極的に活用する態
度を育てる。
2
評価の観点及びその趣旨
関心・意欲・態度
数学的活動を通し
て,行列とその応用,
式と曲線,確率分布又
は統計処理における考
え方に関心をもつとと
数学的な見方や考え方
数学的活動を通し
て,行列とその応用,
式と曲線,確率分布又
は統計処理における数
学的な見方や考え方を
表現・処理
行列とその応用,式
と曲線,確率分布又は
統計処理において,事
象を数学的に考察し,
表現し処理する仕方や
- 21 -
知識・理解
行列とその応用,式
と曲線,確率分布又は
統計処理における基本
的な概念,原理・法則,
用語・記号などを理解
もに,数学的な見方や
考え方のよさを認識
し,それらを事象の考
察に積極的に活用しよ
うとする。
3
身に付け,事象を数学
的にとらえ,論理的に
考えるとともに思考の
過程を振り返り多面的
・発展的に考える。
推論の方法を身に付
け,よりよく問題を解
決する。
し,知識を身に付けて
いる。
学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例
数学Cにおいては,学習指導要領の内容の(1 ),(2 ),(3 ),(4)を内容のまとまりとし,
(3)(4)については省略した。
(1) 「(1)行列とその応用」
【学習指導要領の内容】
行列の概念とその基本的な性質について理解し,数学的に考察し処理する能力を伸ばすとと
もに,連立一次方程式を解くことや点の移動の考察などに活用できるようにする。
ア 行列
(ア)行列とその演算
(イ)行列の積と逆行列
イ 行列の応用
(ア)連立一次方程式
(イ)点の移動
【「(1)行列とその応用」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
行列の概念とその基
行列の概念とその基
本的な性質について関 本的な性質について,
心をもつとともに,連 数学的に考察すること
立一次方程式を解くこ ができる。
とや点の移動のなどに
行列と連立一次方程
活用しようとする。
式の関係や点の移動に
ついて考察することが
できる。
表現・処理
行列の基本的な演算
ができる。
連立一次方程式の解
や点の移動など,行列
を用いて問題を解決す
ることができる。
【「(1)行列とその応用」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
【行列】
・行列の意味,相等及 ・行列の意味,相等及 ・行列の相等及び演算
び演算としての加法, び演算としての加法, としての加法,減法,
減法,実数倍,積及び 減法,実数倍,積及び 実数倍,積及び逆行列
逆行列について興味関 逆行列について,既習 について,基本的な演
心を持ち,既習のベク のベクトルの演算方法 算ができ,行列を用い
トルの演算方法と比較 と比較・考察すること て具体的な問題を解決
しようとしたり,具体 ができる。
できる。
的な問題を解決しよう
とする。
【行列の応用】
・連立一次方程式の解
法や点の移動に行列が
有効であることに関心
を持ち,問題解決に活
用しようとする。
・連立一次方程式の解
法や点の移動につい
て,行列で考察するこ
とができる。
・行列の積と点の移動
の合成について考察す
ることができる。
・行列を用いて,連立
一次方程式の解が求め
られる。
・行列を用いて,移動
した点の座標などが求
められる。
- 22 -
知識・理解
行列の概念とその基
本的な性質について理
解し,数学的に考察し
処理するための知識を
身に付けている。
連立一次方程式を解
くことや点の移動など
といった具体的な事象
に活用することができ
る。
知識・理解
・行列を用いて多元的
なものを一つにまとめ
ることの有用性につい
て理解している。
・乗法の交換法則が成
り立たないことや逆行
列など行列特有の演算
規則についても理解し
ている。
・連立一次方程式の解
法や点の移動を代数的
に取り扱えることを理
解している。
(2) 「(2)式と曲線」
【学習指導要領の内容】
二次曲線の基本的な性質及び曲線がいろいろな式で表現できることを理解し,具体的な事象
の考察に活用できるようにする。
ア 2次曲線
(ア)放物線
(イ)楕円と双曲線
イ 媒介変数表示と極座標
(ア)曲線の媒介変数表示
(イ)極座標と極方程式
【「(2)式と曲線」の評価規準】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
二次曲線の基本的な
二次曲線の基本的な
性質及び曲線がいろい 性質及び曲線のいろい
ろな式で表現できるこ ろな式での表現方法を
とに関心を持ち,具体 考 察 す る こ と が で き
的な事象の考察に活用 る。
しようとする。
【「(2)式と曲線」の評価規準の具体例】
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
【二次曲線】
・直線や円などから拡 ・既習の円や放物線な
張した二次曲線という どの曲線を拡張した二
ものに関心をもつ。
次曲線についての基本
・幾何学的な定義から 的な性質について考察
二次曲線の方程式が求 することができる。
められることに関心を ・幾何的定義により方
持ち、その方程式を求 程式が求められること
めようとする。
を軌跡と併せて考察す
ることができる。
【媒介変数表示と極座
標】
・曲線の新たな表現方
法である媒介変数表示
と極方程式について関
心を持ち,コンピュー
タ等を活用していろい
ろな関数をかいてみよ
うとする。
・曲線の新たな表現方
法として媒介変数表示
と極方程式による表示
があることやそれぞれ
の式表示のよさについ
て考察することができ
る。
表現・処理
二次曲線の基本的な
性質を理解し,曲線を
いろいろな式で表現し
たり,描くことができ
る。また,具体的な事
象の考察に活用でき
る。
知識・理解
媒介変数表示や極座
標について理解し,二
次曲線の基本的な性質
や,いろいろな式で曲
線を表現できることを
理解している。
表現・処理
知識・理解
・基本的な二次曲線を
方程式(標準形)で表
現したり,方程式から
曲線を描いたり,漸近
線を求めることができ
る。
・幾何的な定義から方
程式を導き出すことが
できる。
・二次曲線の基本的な
性質を理解し,解析幾
何的な考察方法につい
て理解を深め,軌跡や
直線との位置関係な
ど,具体的な事象に活
用するための基礎的な
知識を身に付けてい
る。
・曲線を媒介変数表示
や極方程式により表す
ことができる。
・サイクロイドやアル
キメデスの渦巻線、正
葉曲線などをコンピュ
ータを活用して描き、
観察することができ
る。
・曲線の媒介変数表示
と極方程式による表示
について理解し,それ
ぞれの式表示のよさを
理解している。
- 23 -
資料2
年間指導計画や評価計画の例
【数 学 Ⅱ 】年 間 指 導 ・評 価 計 画 表
平 成 17年 度
4月 月 火 水 木 金 土 日
4
5
6
7
単 元
1
2
8
9 10 Ⅰ 式 の 計 算 と方 程 式
予定時数 実施時数
3
学習評価
備 考
授 業 評 価 、授 業 研 究
(教 科 書 傍 用 問 題 集 )
※別途指示する
1 1 1 2 1 3 1 4 15 16 1 7 1 . 整 式 の 除 法 と 分 数 式
4
1 8 1 9 2 0 2 1 22 23 2 4 2 . 式 の 証 明
6
2 5 2 6 2 7 2 8 29 30
○○高等学校
副教材
3.高 次 方 程 式
※ 学 習 状 況 の 観 察 (適 宜 )
※ 週 末 課 題 提 出 (原 則 毎 週 、別 途 指 示 )
14
始 業 式 8日
遠 足 27日
5月 月 火 水 木 金 土 日
1
2
3
4
5
6
7
学 習 実 態 調 査 (1週 間 )
8
課テ
課 題 テ ス ト 1 、 ノ ー ト提 出
9 1 0 1 1 1 2 13 14 1 5
1 6 1 7 1 8 1 9 20 21 2 2 中 間 試 験
1 .5
中間試験
中間試験
2 3 2 4 2 5 2 6 27 28 2 9 Ⅱ 図 形 と 方 程 式
30 31
研 究 授 業 (1 )
1.点 と直 線
10
(テ ー マ :観 察 に よ る 評 価 方 法 )
県 総 体 ( 日 ∼ 日 )
授業評価
教 育 実 習 開 始 (3週 間 )
6月 月 火 水 木 金 土 日
6
7
1
2
3
4
5
8
9 10 11 1 2 2 . 円 と 直 線
1 3 1 4 1 5 1 6 17 18 1 9
6
課テ
課 題 テ ス ト 2 、 ノ ー ト提 出
2 0 2 1 2 2 2 3 24 25 2 6
27 28 29 30
3.軌 跡 と領 域
10
学 習 実 態 調 査 (1週 間 )
7月 月 火 水 木 金 土 日
4
5
6
7
1
2
8
9 10 Ⅲ 三 角 関 数
3 期末試験
1 .5
期末試験
期末試験
学 力 テ ス ト(業 者 )
球技大会
1 1 1 2 1 3 1 4 15 16 1 7
1 8 1 9 2 0 2 1 22 23 2 4
終業式
2 5 2 6 2 7 2 8 29 30 3 1
夏 季 補 習 、保 護 者 面 談 開 始
8月 月 火 水 木 金 土 日
1
2
3
4
5
6
7
8
9 1 0 1 1 12 13 1 4
1 5 1 6 1 7 1 8 19 20 2 1
始業式
2 2 2 3 2 4 2 5 26 27 2 8
29 30 31
9月 月 火 水 木 金 土 日
5
6
7
1
2
8
9 10 1 1 1 . 一 般 角 の 三 角 関 数
3
4 Ⅲ三角関数
課テ
課 題 テ ス ト 3 、 ノ ー ト提 出
学 園 祭 (9 月 日 ∼ 日 )
10
1 2 1 3 1 4 1 5 16 17 1 8
1 9 2 0 2 1 2 2 23 24 2 5 2 . 三 角 関 数 の 加 法 定 理
10
学 習 実 態 調 査 (1週 間 )
2 6 2 7 2 8 2 9 30
10月 月 火 水 木 金 土 日
3
4
5
6
7
1
2
8
9 中間試験
1 .5
中間試験
中間試験
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23 Ⅳ 指 数 関 数 と 対 数 関 数
研 究 授 業 (2 )
24 25 26 27 28 29 30 1 .指 数 関 数
9
(テ ー マ :数 学 的 活 動 )
31
授業評価等調査
11月 月 火 水 木 金 土 日
7
1
2
8
9 10 11 12 13
3
4
5
6 2.対 数 関 数
9
学 力 テ ス ト(業 者 )
課テ
課 題 テ ス ト 4 、ノー ト提 出
県新人戦
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
学 習 実 態 調 査 (1週 間 )
12月 月 火 水 木 金 土 日
5
6
7
1
2
8
9 10 11
3
4 期末試験
1 .5
期末試験
期末試験
球技大会
12 13 14 15 16 17 18 Ⅴ 微 分 と 積 分
19 20 21 22 23 24 25 1 .微 分 係 数 と 導 関 数
10
終業式
26 27 28 29 30 31
1月 月 火 水 木 金 土 日
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15
課テ
16 17 18 19 20 21 22 2 .導 関 数 の 応 用
課 題 テ ス ト 5 、ノー ト提 出
始業式
10
3年 センター試 験
23 24 25 26 27 28 29
学 力 テ ス ト(業 者 )
30 31
2月 月 火 水 木 金 土 日
6
7
1
2
8
9 10 11 12
3
4
5 3.積 分
10
学 習 実 態 調 査 (1週 間 )
学テ
校内学力テスト
13 14 15 16 17 18 19
学 力 テ ス ト(業 者 )
20 21 22 23 24 25 26
27 28
4.積 分 の 応 用
12
3月 月 火 水 木 金 土 日
6
7
1
2
8
9 10 11 12
3
4
5 期末試験
1 .5
期末試験
期末試験
13 14 15 16 17 18 19
(テ ー マ : 演 習 の 指 導 )
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
【総 授 業 時 数 + 課 題 テ ス ト】
< 数学 科として> :
卒業式
研 究 授 業 (3 ) 高 校 入 試
終業式
1 4 3 .5
授 業 を 大 切 に 。 し っ か り 問 作 、 複 数 で 採 点 、 速 や か な 返 却 ・解 説 。
学習状況等の観察:
各 単 元 ご と に 2回 (別 途 、指 定 )と し 、関 心 ・意 欲 ・態 度 を 評 価 す る 。AB Cの 3 段 階 評 価 の う ち 、A、Cに つ い て は 具 体 的 な も の を 記 録 し て お く
ノート提 出
AB Cの 3 段 階 評 価 と す る 。(生 徒 の 自 己 チ ェ ッ ク シ ー トを 参 考 に し 、通 常 は B と す る 。原 則 、全 員 提 出 と し 、期 日 ま で に 提 出 し な か っ た 者 は C と す る )
定 期 テ ス トの 扱 い
「数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 」を み る 問 題 を 出 題 す る 。(定 期 テ ス ト):(そ の 他 の 評 価 の 総 括 )= □ :○ と し て 学 期 末 評 価 と す る 。
研究授業
学 期 に 1 回 、研 究 テ ー マ (観 察 の 評 価 方 法 、数 学 的 活 動 等 )を 決 め て 研 究 授 業 を し 、お 互 い の 授 業 改 善 の た め の 研 究 協 議 を す る 。
授業評価等の調査
学 期 ご とに 、生 徒 に 対 して 授 業 や 学 習 状 況 等 に つ い て 調 査 を し、授 業 改 善 に 生 か す 。
進度調整
各 学 年 担 当 チ ー フ は 適 宜 学 年 担 当 者 会 を 持 ち 、テ ス ト範 囲 や 評 価 方 法 等 の 連 絡 調 整 を す る 。
科会
毎 週 1回 開 催 。
- 24 -
資料3
シラバスの例
年度
H17
科
目
数学Ⅱ
単位数
学年
学科
・コース
等
4
2年
普通科
文 ・理 )系
(○
使
用
教
材
【教科書】
「高等学校
数学Ⅱ」
○○書籍
【 副 教 材 】 問 題 集 「教科書傍用パワーアップ数学Ⅱ」
参 考 書 「力のつく数学Ⅱ」
学習(到達)目標
これまで学習した知識をもとに、さらに式と証明・高次方程式,図形と方程式,いろいろな関数及び
微分・積分について,それらの基礎的な知識の習得と技能を身に付け,事象を数学的に考察し処理する能
力を伸ばすとともに、それらを活用する態度を身に付けることを目標とします。
学習方法
次のことを心掛けながら、それぞれ自分にあった学習スタイルを確立しましょう。
①多くの公式があるが、公式を使って課題を解決するだけでなく、その公式が導き出せるようにするこ
と。
②計算力や数学的な見方や考え方を身に付けるために、副教材等を活用し、多くのいろいろな問題の演
習をすること。
③授業や問題演習で理解できなかったところをそのまま放置しないこと。
④宿題や課題テストなどは計画的に取り組み、ノートなどの提出物は期日を守ること。
学習評価方法
○次の四つの観点に基づき学習内容のまとまり(単元)ごとに評価を行い、1,2学期末には
10段階の評価を、学年末にはそれまでの評価を総括した5段階の評定をつけます。
観 点
①
関心・意欲
・態度
②
数学的な見
方や考え方
③
表現・処理
⑤
知識・理解
趣
旨
数学的活動を通して,式と証明・高次方
程式,いろいろな関数及び微分・積分の考
えにおける考え方や体系に関心をもつとと
もに,数学的な見方や考え方のよさを認識
し、それらを事象の考察に積極的に活用し
ようとしているか。
数学的活動を通して,式と証明・高次方
程式,いろいろな関数及び微分・積分の考
えにおける数学的な見方や考え方を身に付
け,事象を数学的にとらえ,論理的に考え
るとともに思考の過程を振り返り多面的・
発展的に考えることができるか。
式と証明・高次方程式,いろいろな関数
及び微分・積分の考えにおいて,事象を数
学的に考察し,表現し処理する仕方や推論
の方法を身に付け,よりよく問題を解決で
きるか。
式と証明・高次方程式,いろいろな関数
及び微分・積分の考えにおける基本的な概
念,原理・法則,用語・記号などを理解し,
基礎的な知識を身に付けているか。
◎
◎
△
◎
○
△
△
○
△
◎
◎
○
△
◎
◎
※・表中の◎○△は評価の際に重視するものを示しています。
・課題テストは校内学力テストも含んでいます。
評価方法
学習状況等の観察
提出物(ノート、レポート等)
自己評価
課題テスト
定期試験
学習状況等の観察
提出物(ノート、レポート等)
自己評価
課題テスト
定期試験
学習状況等の観察
提出物(ノート、レポート等)
自己評価
課題テスト
定期試験
学習状況等の観察
提出物(ノート、レポート等)
自己評価
課題テスト
定期試験
授業では
・答案を黒板に書くときは、省略せず他の人にわかりやすく書くこと。説明を求めることがあります。
・まず、説明をよく聞いて理解するようにし、ノートはそのための記録用とすること。
- 25 -
年間学習計画
学期
4 月
学習内容
Ⅰ 式の計算と方程式
1.整式の除法と分数式
5月
2.式の証明
3.高次方程式
6月
Ⅱ 図形と方程式
1.点と直線
7月
2.円と直線
3.軌跡と領域
9月
Ⅲ 三角関数
1.一般角の三角関数
2.三角関数の加法定理
10 月
Ⅳ 指数関数と対数関数
1.指数と指数関数
11 月
2.対数と対数関数
12 月
1月
2月
Ⅴ 微分と積分
1.微分係数と導関数
2.導関数の応用
3.積分
3月
4.積分の応用
ワンポイント
┌ チェック欄
学習のねらい
( 1) 整 式 の 除 法 や 分 数 式 、 約 数 ・ 数 倍
の意味を理解し、その計算ができる。
( 2) 恒 等 式 の 性 質 を 利 用 し て 問 題 解 決
ができ、等式・不等式の証明ができ
る。
( 3) 複 素 数 の 定 義 を 理 解 し 、 そ の 四 則
演算等ができる。
( 4) 2 次 方 程 式 の 解 の 公 式 や 解 と 係 数
の関係、判別式などを理解し、それ
らを活用して問題解決ができる。
( 5) 因 数 定 理 を 理 解 し 、 簡 単 な 高 次 方
程式が解ける。
( 1) 直 線 や 平 面 上 の 内 分 ・ 外 分 点 の 座
標や2点間の距離が求められる。
( 2) 直 線 の 方 程 式 を 理 解 し 、 方 程 式 の
求め方や2直線の位置関係や交点と
連立方程式の解などから問題解決が
できる。
( 3) 円 の 方 程 式 に つ い て 理 解 し 、 そ の
方程式が求められ、また円と直線の
位置関係、接線などが求められる。
( 4) 軌 跡 の 概 念 を 理 解 し 、 そ の 方 程 式
が求められる。
( 5) 不 等 式 の 表 す 領 域 が 求 め ら れ 、 領
域を活用して問題解決ができる。
( 1) 角 の 概 念 を 一 般 角 ま で 拡 張 し て 三
角関数を定義することや弧度法とい
う角度の表し方、三角関数の関係や
グラフについて理解する。
( 2) 簡 単 な 三 角 方 程 式 や 三 角 不 等 式 が
解ける。
( 3) 三 角 関 数 の 加 法 定 理 を 導 き 、 い ろ
いろな計算や応用ができ、三角関数
の合成もできるようになる。
( 1) 指 数 法 則 に つ い て 理 解 し 、 有 理 数
まで拡張された指数について、計算
ができる。
( 2) 指 数 関 数 の 定 義 や 、 そ の 基 本 性 質
を理解し、グラフがかけたり、簡単
な指数方程式や指数不等式が解ける。
( 3) 対 数 の 定 義 や 、 そ の 基 本 性 質 を 理
解し、簡単な計算ができる。
( 4) 対 数 関 数 の 定 義 を 理 解 し 、 そ の グ
ラフがかけたり、簡単な方程式や不
等式が解ける。
( 5) 常 用 対 数 の よ さ を 知 り 、 そ れ を 利
用して問題解決ができる。
( 1) 極 限 値 の 求 め 方 を 理 解 し 、 微 分 係
数や導関数が求められる。また、曲
線の接線方程式が求められる。
( 2) 関 数 の 増 減 を 調 べ て グ ラ フ を か い
たり、方程式や不等式の解や証明な
どに応用できる。
(3) 不 定 積 分 や 定 積 分 の 計 算 が で き る 。
( 4) 定 積 分 を 用 い て 曲 線 で 囲 ま れ た 部
分の面積が求められる。
主な評価計画
※ 週 末 課 題( 毎 週 )
※学習状況の観察
(適宜)
第1回課題テスト
提出物(ノート、レポート等)
定期(中間)試験
第2回課題テスト
提出物(ノート、レポート等)
定期(期末)試験
第3回課題テスト
提出物(ノート、レポート等)
定期(中間)試験
第4回課題テスト
提出物(ノート、レポート等)
定期(期末)試験
第5回課題テスト
提出物(ノート、レポート等) 】
校内学力テスト
定期(期末)試験
アドバイス
◎復習が大切です。宿題は必ずやって授業に臨みましょう。
◎テスト等で解けなかった問題は放置せず、テストノートを作るなどし次回は解けるようにしましょう。
◎答えは一つでも解き方は一つとは限りません。別解なども考えてみましょう。
◎授業でわからないところは、積極的に質問しましょう。
- 26 -
資料4
観点別評価を意識したワークシートやテスト問題の例
∼「数学的な見方や考え方」をみる問題∼
例1
数学Ⅱ【不等式の証明】
【問題】
「a>1,b>1ならば,ab>a+b−1である」を、次の図を利用して
証明せよ 。(必要があれば、点や線をかき加えて)
図
図
b
b
'
$
'
6
$
1
または
a
1
a
7
3
%
%
&
5
&
4
<証明は省略>
例2
【図形化】
数学Ⅰ【数と式】
【 問題 】 次のように 、2桁の2つの数の積について 、ある条件を満たせば簡単な計算( 速
算)ができることが知られている。
81×89=7209,
77×73=5621
84×86=7224,
64×66=4224
92×98=9016,
41×49=2009
…
この速算の仕方を見つけ、ある条件とは何か述べよ。
<推測>
例えば84×86は、十の位の8とその次の数9との積の72が求まり、その横に
2数の一の位同士の積4×6=24をかけば、4桁の解答7224が求まる。
この速算ができる条件は、2つの数の十の位が同じで、かつ一の位の数の和が10に
なることである。
例3
【類推、一般化】
数学Ⅰ【数と式】
【問題】
次のように、一の位が5の整数の2乗の値については、簡単な計算方法(速
算)があることが知られている。以下の問いに答えよ。
15 2
45
2
75
2
…
225,
25 2
2025,
2
=
=
=
オカ25,
55
=
=
…
625,
35 2
ウエ25,
2
…
65
105
2
=
12アイ ,
=
4225,
=キクケ25,
…
問1
ア∼ケを推測して埋めよ。またどのように推測したのか述べよ。
問2
問1の推測が正しいことを示せ。
<解答例>
- 27 -
問1:最後の2桁は必ず25が入る 。また 、百や千の位については 、35 2=○○25となり 、
○○には35の十の位の3とその一つ上の数4を掛けた3×4、つまり12が入る。よっ
て35 2=1225である。同じように考えると、45 2=2025となり、
以下同様に
問2
例4
55 2 =3025となる。
(省略)
【類推、一般化】
数学Ⅰ【数と式】
【問題】
2桁の数について、例1のように十の位と一の位の数を入れ替えた数と元の数
との差(絶対値)は、9の倍数になっている。
例1
53−35=18(9の倍数 ),
61−16=45(9の倍数 ),…
では、例2のように3桁の数で同じように位の数を逆に並べた数と元の数との差(絶
対値)を求めてみると、どのようなことに気付くか、気付いたことを述べよ。また、そ
れが正しいことを証明せよ。
例2
342−243=
99,451−154=297,…
521−125=396,…
<解答例>
・差は9の倍数になる。
・差は11の倍数になる。
・求めた差の十の位は9になる。
・差は99の倍数になる。
(証明は省略)…など。
【発展的な考え方、類推、一般化】
例5
数学B【数列の和】
【問題】 図のように三角形に碁石を並べたとき、
碁石の個数の数列1,3,6,10,15,…について、つぎの問に答えよ。
(このような数は三角数といわれている 。)
1
3
6
10
○
○
○
○
○○
○○
○○
○○○
○○○
15
…
○○○○
問
この三角数の数列またはこの三角形に並べた碁石から 、(例)のように、何か規則
性のようなものをみつけよ。
(例)階差数列が2,3,4,5,… の自然数になっている。つまり bn = n+1 。
<解答例>
- 28 -
・第n項が1からnまでの自然数の和になっている
a
・一般項anは
n (n + 1 )
2
n =
である
・隣接2項の和a n -1 +a nは平方数n 2になる
・周りを囲んだ碁石の個数は3つずつ増える
例6
数学Ⅲ
…など
【 類推 、一般化 、図形化 】
【積分】
【問題】次の3つの図は1辺の長さが1の正方形に2曲線や2直線のグラフを重ねたもの
である。これらから何か気付くことはないか、気付いたことを述べよ。
y = x2
y= x
y= x
y
y
y
1.1
1.1
1.1
1
1
1
0.9
0.9
0.9
0.8
0.8
0.8
0.7
0.7
0.7
0.6
0.6
0.6
0.5
0.5
0.5
0.4
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.4
0.3
0.2
0.1
-0.1
O
0.1
0.1
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
x
-0.1
-0.1
O
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
-0.1
x
O
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
x
-0.1
-0.1
y = −2 x2 + 2 x
x =
1
3
x =
2
3
<解答例>
面積に着目すると、2曲線や2直線が図の正方形を3つの部分に分けているが、それぞれの
面積はどれも同じである。
<解答例>
3つのグラフを重ねてみると
0 ≤ x ≤
2
と き 、x2 ≤ −2 x2 + 2 x ≤
3
2
≤ x ≤ 1の と き 、
− 2x2 + 2x ≤ x2 ≤
3
x
x
,
が成り立っている。
【着眼点、発想など】
- 29 -
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