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配布資料
日英ODA比較表 別添資料1 日本 理念・目的 国民世論 実施体制 金 額 GNI比 順 位 (2005年実績) 国際社会の平和と発展に貢献し、 これを通じてわが国の安全と繁栄 の確保に資すること。 (新政府開発援助大綱) 貧困削減に特化 (1997年ODA白書: Eliminating World Poverty、 2002年「国際開発法」 現在の程度でよい 44.6% 積極的に進めよ 22.0% (昭和53年 44.1%) 減らすべき 23.0% (昭和53年 4.9%) (17年度内閣府外交に関する世 論調査) 途上国の貧困に関心 貧困問題に道義的責任 NGO貧困削減に貢献 外務省、財務省など13省庁 JICA,JBIC DFID(独立した省、閣僚がヘッド)が 中心 70% 71% 61% (2001年英国統計局) 13,147 百万ドル 0.28 2位 サブサハラ 南・中央アジア 2国間援助の地域配分 アジア・太平洋 上位受取10カ国 中東・北アフリカ (2003-2004 南米・カリブ 年平均) 欧州 援助モダリティー 英国 10.754 百万ドル 0.48 3位 (1998 年比 279.7%増) 11.4% 17.6% 43.3% 7.0% 9.0% 1.8% サブサハラ 南・中央アジア アジア・太平洋 中東・北アフリカ 南米・カリブ 欧州 39.1% 22.9% 4.4% 6.5% 3.7% 0.9% 中国、インドネシア、フィリピン、 インド、バングラデシュ、タンザニ タイ、インド、ベトナム、ガーナ、 ア、イラク、ガーナ、ザンビア、コ イラク、マレイシア、スリランカ ンゴ民、アフガニスタン、マラウイ、 南アフリカ プロジェクトベースが主体 プログラム化 財政支援化(20%前後) 社会インフラ 経済インフラ 農業 工業その他 2国間援助におけるセ プログラム援助 クター配分 (含債務救済) 緊急援助 18.3% 21.7% 5.1% 3.4% 51.3% 0.2% 社会インフラ 経済インフラ 農業 工業その他 プログラム援助 (含債務救済) 緊急援助 出展:2005年外務省ODA白書、2006年DAC議長報告 40.0% 8.4% 5.2% 4.0% 28.4% 14.0% 別添資料2 International Development Act 2002 英国国際開発法 (2002年6月17日施行 全20条から成る。 ) PART 1 ASSISTANCE Provision of assistance 1 Development assistance (1) The Secretary of State may provide any person or body with development assistance if he is satisfied that the provision of the assistance is likely to contribute to a reduction in poverty. (2) In this Act "development assistance" means assistance provided for the purpose of(a) furthering sustainable development in one or more countries outside the United Kingdom, or (b) improving the welfare of the population of one or more such countries. (3) For the purposes of subsection (2)(a) "sustainable development" includes any development that is, in the opinion of the Secretary of State, prudent having regard to the likelihood of its generating lasting benefits for the population of the country or countries in relation to which it is provided. 別添資料3 2005年―2008年DFIDの Public Service Agreement(英国の全省庁が財務省との間で締 結する3年間のパフォーマンスの数値目標、毎年の見直しに基づき、財務省の予算配分が決まる。) 別添資料5 別添資料6 DFID 財政支援推進の舞台裏 JICAアフリカ部調査役 山本愛一郎 一般財政支援(GBS)は、資金を相手国の一般政府予算に直接投入し、相手国の 予算配分、調達システム、会計システムを使って援助を実施する手法で、一般には PRSP を支援するために考案された手法だと理解されているが、英国の場合は、労働 党が政権下で独立した省庁となった DFID(英国国際開発省)が発足した1997年 頃からそれまでの孤立したプロジェクト型援助(stand-alone project)に対して 財政支援の優位性がすでに認識されはじめていた。 以降英国は、ドナーコミュニティーの間では、財政支援の推進者として名をはせ ているが、英国の二国間援助に占める一般財政支援の割合は、開始当初の2000 年度は、18.6パーセントであったのが、2003年度は17.5パーセントに 減っている。この背景には、実際には財政支援の実施できる対象国が開始当初から あまり増えていないことがあげられる。しかし、DFID アフリカ部は、アフリカの比 較的ガバナンスのよい国(タンザニア、ガーナ、ウガンダ、モザンビーク等)への 財政支援の割合を高め、向こう3年間で対アフリカ援助の3分の2を財政支援に移 行したいとしている。 このように英国が一般財政支援を支持する理由として、DFID は以下の3つの理由 を挙げている。 ・ 一般財政支援は、相手国の予算システムを使って実施するため、相手国政府の 予算の使用と優先度に関に関する管理権限が大きくなり、オーナーシップが高 まる。 ・ 一般財政支援は、セクターワイドのアプローチでは対応の難しい、公共財政管 理、公務員給与改革、行政改革、地方分権化などのセクター横断的な問題に対 処できる。 ・ 一般財政支援は、政府の開発へのインセンティヴを高めるともに国民への説明 責任を醸成する。 以上は表向きの理由で、実際には以下のような背景や英国の国内事情を反映して いる。 ・ プロジェクト型援助の失敗の挫折感 世銀の構造調整以前の80年代までは、英国の援助はプロジェクト型が主体 で NGO やコンサルタントなどが実施団体として英国政府の資金により実施して いたが、アフリカなどではプロジェクト自体は成功してもそれが面的に広がら ず、国の政策にも影響をおよぼすことがなかったことから、失敗だったとの認 識が高まり、そのアンチテーゼとして財政支援が注目されだした。 ・ クレア・ショート元英国国際開発相のコミットメント 労働党左派で、社会主義者である同大臣は、保守党時代の NGO を中心とした チャリティー的な援助を嫌っていたことから、途上国政府中心の社会サービス の提供を容易にする財政支援に傾倒していった。「チャリティーから開発へ」、 「ユニオン・ジャックは見たくない。」が持論であった同大臣は、それまでの NGO へのプロジェクト補助金を減らしても財政支援を増やした。 ・ 増大する ODA の予算執行のための強力なツール 英国の ODA 予算は、労働党が政権についた1997年より増加の一途をたど り、2004年度予算は同年比50パーセント増の約8000億円に達する。 他方、DFID が省に格上げされ、その職員が国家公務員化したことから、国家公 務員横並びの定員削減の対象となった。その結果、職員一人当たりの予算執行 額が増加し、現在では一人当たり4.5億円(JICA 職員の3倍)である。DF ID定員は、2006年度1801名であるが、今後毎年度100名程度の定 員削減が課せられている。 このような状況の中で、DFID 幹部は、プロジェクト型援助よりも手間がかか らず、1件あたりの支出額が大きい財政支援は少ない職員で増大する予算を執 行するための有望なツールであると期待している。さらに、派遣職員や援助要 員の安全確保が困難なポスト・コンフリクト国や脆弱国家に対する援助におい ても、安全確保責任を回避する意味で財政支援が有望と見る向きもある。 以上の背景や理由は、英国独自のもので、多くの部分は日本や JICA のおかれた 状況とは異なる。特にプロジェクト援助の失敗は、英国が相手国政府のシステムを 通さず、NGO や PMU と呼ばれる独立した組織を使って実施するスタンド・アローン・ プロジェクトが失敗したのであって、相手国政府機関をカウンターパートとして実 施する JICA 型プロジェクトまでもが失敗であると断じるのは早計であると考える。 以上