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農村家内工業の現状と問題点

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農村家内工業の現状と問題点
労働科学 4
9巻 1
0号( 1
9
7
3
) (619}
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γVol.4
9
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3
8
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6
6
農村家内工業の現状と問題点
井 上 和 衛 *
THEPRESENTSITUATIONANDPROBLEMS
OFTHERURALCOTT
AGEINDUSTRY
By
Kazue INOUE*
化が,きわめてずラスティックに展開したことはすでに
(目次)
周知の事実であるが,昭和 45年度農業白書によると,
I. 序 論
A. 問題の所在
「この 1
1
年間( 1
9
6
0∼7
0
年間の累積)に宅地,工場用地等
B
. 農村家内工業の概念
転用を中心とした潰廃は,全国で6
3
万9
,
0
0
0ヘクタール
にのぼっており,一方,この間農業的地域を中心に造成
I
I
. 農村家内工業の現状
A. 家内労働の一般的状況
が3
7
万9
,
0
0
0ヘクタールに達したこともあって耕地面積
B. 農村家内工業の実態
の純減少は26万ヘクタールとなった」と報告している O
m
.農村家内工業の問題点
とにかく 6
0
年代後半に入ってからは,周知のごとく,
各地で,大規模な地域開発と同時に,これまで全くの純
A. 問題点
農村,農山村だったところにも,大企業系列下の下請企
B. 今後の課題
1
. 序
業が,土地と労働力を求めて,続々と進出するようにな
論
った。
一方,農村では,農産物輸入の自由化,米生産調整
A. 問 題 の 所 在
戦後日本経済の高度成長は,周知のごとく,農村から
(減反),米価の実質的据え置きのなかで,農業「近代化」
流出した大量の労働力が支えてきたといっても過言では
による「機械化貧乏」の圧力,生活様式の都市化と物価
ない。しかし, 6
0
年代後半からは,農村の労働力供給源
高による現金生計費の増大から,農外所得を求める兼業
としての地位は漸次低下し,労働力「不足」が深まり,
農家が,著しく増大している O 農外所得を求める兼業農
一方,高度成長に伴う大都市への人口・産業の大規模な
家は,すでに明らかなごとく,農村の都市化,工業化が
集中・集積は,大都市の過密化をもたらし経済の発展
すすむなかで,賃労働通勤兼業が主要なものとなってき
にとって,大きな障害となってきた。
ているが,農村への工場進出に伴い,主婦までが,その
すなわち,大都市の過密化は,労働力「不足」=賃金の
労働力として,動員されている点に,今日の特徴をみる
上昇,地価の高騰,交通難,深刻な住宅不足,公害の発
ことができる O さらに,以上のごとき,いわゆる農村工
生などから,経済発展にとって,
業化が展開するなかで,一定の企業と下請関係を結んだ
マイナスとなってい
るO したがって,高度経済成長の継続は,地域開発,工
農家の納屋工場,家内労働,内職が広範なひろがりをみ
業の地方分散が必然的なものとなった。
せてきている。すなわち,高度経済成長にもとづく農村
そして,今日,地域開発の政策課題は,「新全国総合
工業化に伴って,新しい装いのもとに,農村家内工業が
開発計画」から「日本列島改造論」へとすすみ,農村の
生みだされ,高度経済成長の一環として,深くくみこま
都市化,工業化を積極的に推進するものとなっている。
1
9
6
0
年以降の高度経済成長に伴う農村の都市化,工業
*
れてきているとみてよかろう。しかし今日,農村の納
屋工場,家内労働,内職の実態は,統計上の把握はいう
労働科学研究所・社会科学研究部
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c
eo
fLabour
(620)
られる。そして,それは,地域の農業生産力構造に一定
までもなく,その内容についても,実態把握が著しく不
十分である。
の影響をもたらすであろう。この実態把握は,今後の農
いずれにしても,今日,「日本列島改造論」の具体化
業生産力構造,農家就業構造の動向を検討するうえで,
重要な点であるといわなければならない。
9
7
1
'年),工
であるといえる農村地域工業導入促進法( 1
業再配置促進法( 1972年)にもとづき,農村の工業化
(
注
)
は,積極的に押しすすめられる情勢(注)にあるが,そう
臨時家内労働調査会「家内労働の現状」・日本
労働協会(昭4
1),阿部実夫著「家内労働の現状」・
したなかで,新たに生みだされている農村の納屋工場,
労務行政研究所(昭47)などをみよ。
家内労働,内職などの存在は,今後の農村工業化,農家
以上,高度経済成長にもとづく農村工業化のなかで,
就業構造を検討するうえで,無視できないものであると
新たに生れ,拡大している今日の農村家内工業の問題と
丸、ってよかろう。
すべき点を明らかにしたのであるが,しかしここで対
(
注
)
昭和48年 2月20日現在,純農村地域の全国 354
象とすべき農村家内工業の概念は,かならずしも,まだ
市町村で,農村地域工業導入促進法にもとづく工
明確なものとはなっていない。また,農村家内工業と家
業導入計画がもたれ, 5,497万平方メートルの土
内労働一般との関係も明らかとなっていない。
地が工業用地として準備されている(農村地域工
そこで,つぎに,農村家内工業と関連する概念を検討
業導入センターの資料による)。
し農村工業化と家内工業または家内労働との関係を,
そこで,ここでは,以上のような観点から,今日の農
あらかじめ,みておくとしよう。
村工業化に伴って,創出・再生産されている農村の納屋
B. 農村家内工業の概念
工場,家内労働,内職に焦点をあわせ,その実態把握を
1
. 家内工業
試みるのであるが,あらかじめ,その問題の所在を示し
まず,家内工業の概念を検討しておこう。普通,家内
ておきたい。なお, ここでは,農村の納屋工場,家内労
工業とは,生産者が,自宅において.家族労働によって営
イ動,内職などを,概念としては若干問題が残されるが,
む工業形態であるとされている O 家内工業それ自体は,
包括して「農村家内工業」と一応呼ぶことにする(次節
きわめて古くから現代の資本主義社会にいたるまで見い
参照のこと)。
だされる。しかし時代とともに家内工業のしめる役
さて,農村家内工業について,第一に問題とされなけ
割,意義がまったく変わってきたことに注意しなければ
,ればならないのは,その成立条件である O すなわち,如
ならない。
何なる経済的・技術的条件のもとで,一般企業との聞
古代アジア社会では, 家内工業は,農業と結びつい
に,一定の下請関係が成立しているのか,ということが
て,封鎖的共同体の自給的再生産の基礎となり,中世封
澗題となる。なお,当然,これには,農家の主体的客観
建社会では,ギノレド制度や封建的制限のわく内にはめこ
l
的条件も含まれる。
まれつつ,農業とともに封建経済の基礎をかたちづく
第二に,農村家内工業の就業条件について問題としな
るO しかるに封建社会の解体につれ,家内工業はキルド
ければならない。一般に,家内労働は,過長労働,低工
制のわくからひろくはみ出て,織物業を中心にとくに農
賃
, 劣悪な労働環境であることが多く,就業者の健康破
村に広がり,農民の副業,自由な商品生産として発展
h
壊が問題とされることが多い。したがって,農村家内工
し,初期資本主義の母胎となる。この時代から産業革命
業においても,就業者の労働時間,労働報酬(工賃,賃
までが家内工業の満開期・最盛期であり,こうした広範
金),労働環境が問題となる O
な農村家内工業のうちから,マニユフアクチュアが生み
第三に,農村家内工業の展開に伴って,農業経営がど
出され成長するが,それにつれて残余の家内生産者は,
のように変化し,地域の農業生産にどのような影響がも
職場を失って労働者となるか,あるいは家内工業者の姿
たらされているか,といった点が問題とされなければな
のままでマニユフアクチュアの下請をしつつ,事実上賃
らないであろう。すなわち,従来,農村の家内労働は,
労働者になっていく(資本家的家内労働)。産業革命後
労働省の報告(注)によれば,「副業的家内労働」が多い
も,残存する家内工業は大工場や問屋のために下請を行
といわれてきたが,前述のごとき,今日の農業,農村の
い,低工賃で生存を維持していく。ヨーロッパでは,と
情勢のもとでは,むしろ農業自体が副業的なものとなり,
くに著修品・家具類製造などに家内工業が残存してい
『専業的家内労働」の方が,かなり多くなっているもの
るO 後進資本主義の日本では,機械制確立後も広範に家
とみてまちがいない。
内工業が存在した。むしろ日本の工業は,農村・.都市に
ひろく展開した中小工場や家内工業を足場とし,そり下
したがって,農村家内工業の展開は,当然、,農業の組
放化,耕作放棄といった事態をひろめているものと考え
J
請支配の上に少数の近代的大工場がそびえ立つという構
(621)
造をもっている O 一般に,家内工業は,失業人口のはけ
わめて広く,そのうち目立つのは,婦大少女用外衣の縫
口としての役割をになっており,軽工業の各部門でと〈
製,下着類のミシンかけ,婦人用帽子縫製,小児幼児用
骨こ行われており,家内工業者は,それぞれが完成品を作
外衣縫製,男子既成服縫製,紙加工,製本,袋物ミミノ:/
るのではなく,製造過程の各部分作業を担当するにすぎ
かけその他,スポーヲ用品,玩具および同部品製造,履
ない。
物製造,ネグタイ,ハソカチ・スカーブの縫製,刃物手
2
. 家内労働
工具および金物製造,造花,食料品製造加工,木製品製
以上のごとく,家内工業は,家族労働を基礎に成立す
造,染色,編物,和裁,機械・電機部品製造組立,動植
るものであるが,類似する概念として,「家内労働」が
物油脂製造等さまざまであり,さらに地域によって種類
ある O そこで,家内労働とは,どんな概念であるかをみ
も異っている O
ておくとしよう。
一般に,家内労働とは直接生産者がみずから選んだ場
3
. 農村工業
では,「農村工業」とは一体どんなものであろうか。
所,通常自分の住居内で,雇主から供給されるか,みず
日本でっかわれている農村工業の概念は必ずしも明確
から調達した原料および道具または簡単な機械をもっ
でないが,主として農村で生産される農産物の加工工業
て,単独もしくはー,二の補助者とともに行なわれる労
から都市工業の農村への立地移動までを含むきわめて広
イ動であって,独自的な, 自立した作業場内で組織的に行
い意味のものであって,農村を破壊しない限度でなされ
なわれるマニユフアグチャー労働・工場労働に相対す
るものであるとされている。
る,労働の一つの形態である,とされている O
農村工業の成立要因については,農村側と都市側の両
家内労働は,当然,経済発展の広範な諸段階にわたっ
側面から検討される必要がある O すなわち,農村の側で
て存在するが,その形態と実質は,経済の発展段階によ
は季節的な余剰労働力と過剰人口を利用させる必要か
って異る O それは,大別するならば,つぎの三つの段階
ら,また都市工業の側で、は労賃や地価の高騰などの理由
骨こ分けることができる o
a
. 自由な小商品生産の形態において,家内労働が工
による生産費上昇に対し,農村の低廉な労働力を確保し
て生産費の切下げをはかる必要から,農村への工場分散
業の歴史的ー形態である家内工業をになう営業として,
が企図される O じたがって,一般に,農村工業は農工調
ー独立の経営形態をとって行なわれる段階。
和を理想にかかげながらも,多くは後者の立場からおこ
b. 発達した資本制生産への過渡期において,商人資
なわれる。
:本のもとで問屋制家内工業を形成するほか,マニユフア
日本では,昭和恐慌期に経済更生運動( 1933∼34年
)
クチャー経営の商人的支配のもとで,その外業部として
の一環として,政府機関によって農村エ業がとりあげら
の家内工業を形成する段階。
C ;工業が機械生産による本格的な工場制工業への発
れ( 1935年の農林省令農村工業奨励規則), 農村の生産
物を原料とし,農村の資金および労働力を基礎として,
,展した場合であって,工場労働の周辺部に家内労働が編
当時の産業組合を中心に工業の導入をはかるべく設備助
,成されてきた段階。
成金の交付や販売あっせん補助などがおこなわれた。し
すなわち,今日の家内労働は,問屋資本,マニユフア
かし,その本質は,当時,「農村工業」についての幾多
クチャー的経営および両者の結合のもとに,あるいは工
の論文,著書を出し自らも新潟県の柏原で実験を試みた
ー場のもとに,編成される賃労働としての家内労働を意味
大河内正敏の「農村工業化論」にみることができる O 大
する。この意味でそれは資本制家内労働といわれる O ま
河内正敏の「農村工業化論」は,主著である『工業経営
た,家内労働が家内工業経営を形成しつつ独自の歴史性
総論』(千倉書房, 1
9
.
3
6
年)から要約すると,つぎのよ
をもち得た段階に対し,同じ形態が再び近代の大工業の
うなものであった。
下で再生産されたものとして,近代的家内労働といわれ
大河内正敏は,当時,農村経済更生運動の一環として
る O それ自身としては,独自の技術的基礎をもたず,ほ
取り上げられた農村工業が,前述のごとく,農産物加工
とんど工場労働による作業工程の付随的工程での,全く
あるいは農林産物を原料とする工業であったのに対し
不熟練な簡単な作業でしかない資本制家内労働は,古い
て,近代的機械工業自体の延長として,農村工業を見直
,技能の所有者,分解 Lた自営業者,さらに主婦,児童,
すべきである,と主張していた。
老令者,病弱者,身体障害者等によってになわれ,マル
その論拠を整理すると,農村工業化は,①大工業の都
クスによると,すぐ、れて,当時のイギリスにおける停滞
市集中はいずれデメリット(賃金,地価の高騰)が大き
的過剰人口の就業形態としてあらわれたのである O
日本では,今日,家内労働が行なわれる産業分野はき
くなる,①大工業が,安い労働力と土地を求めて,地方
に分散することは大工業自体にとって大きな利益をもた
(622)
ら
す
, したがって,工業の発展にとって,工業の地方分
すなわち,「『農村工業化』問題はここ数年来,一面に
散は必然性をもつものとなる。そして,工業の地方分
於いては疲弊困j
覆せる貧窮農村の救済,他面では都市工
散,農村工業化は,つぎの 5点により,現実に可能性を
業労働者の賃銀高,労働者の思想悪化等を根因とする都
も
っ
。
市に於ける資本主義的工業の不引合と云うことを背景と
a
. エネルギー源の転換(どこへも細分して運べる電
して,農村移植を考えたものであったが,近時, 日本の
資本主義経済機構の統制経済,計画経済への移行は,世
気エネルギーの利用)
b. 万能工作機械から専門工作機械に転換(生産工程
界的傾向としての所謂全体主義思潮と相侯って著しく濃
を可能な限り分解し,熟練労働を排除し,婦女子,子供
化しつつあり,加うるに今や戦時体制下に入って,この
でもできる単純労働にする)
農村工業問題は更に新たなる意義と内容とを賦与される
C ,上記の技術的基礎にもとづき,大都市の工場を多
に至ったと考えられる。而してその新たなる意義内容と
数の工場に分割して,部分品工場をつくり,それらをセ
は生産力の拡充と国土保護防衛とを二大内容とする国防
ヅトした組立工場をつくる
国家の建設,更にこれを最高指導原理とする『国土計画』
d
. 農村には過剰労働力が存在している(低賃金労働
力
)
との関連に於いてである」といわれ,とくに,戦争遂行
上必要な軍需産業の保護保全が問題とされた。
e
. 交通技術の進歩(鉄道輸送からトラヅグ輸送への
転換は,部品,原材料の運搬に好条件をつくりだす)
以上が,大河内正敏の農村工業論の骨子であるが,農
「即ち我が国に於ける工業の地理的配備は昭和 13年末
現在に於いて,(中略)全体の 58%は四大工業地域(京
浜・中京・京阪神・北九州)に集積立地され,市も極め
村工業に適する工業としては,精密機械工業,電気機械
て単純に,東京を起点として太平洋岸から瀬戸内海の半
工業,自動車・自転車工業などがあげられており,製鉄
面を西に走って北九州?と至る細長い帯状の地域に偏傾し
業,化学工業は不適であるとしている。さらに,農村工
ている O のみならずこれを主要工業部門別に考察すれば
業と家内工業との関係については,つぎのように述べて
戦争目的遂行上,最も重要なる金属工業は79%,機械器
し、る。
具工業は77%,化学工業は65%,印刷製本業(宣伝用)
「農村の真の余剰労力は,水力電気と同様,不定時に
68%を占めている」,「この事は戦時に於て敵機の空襲爆
あるから,工場通勤するよりも家内工業風のやり方が望
撃の好目的となるので,その危険や,誠に想像するだに
ましい」,「農村の家庭に動力を廉く供給することを考
懐たらしむるのがあるのである O これが空爆防避の方策
え,田園工場に於て生産される一部の部分品を家内工業
としては工場設備に対して各種のカムフラージュ又は施
として加工し,それを田園工場に於て組み立てる式に工
設を講ずること,(中略)所詮これ等は目先の応急策に過
夫すれば,更に一層生産費は低減される」,「我々が今日,
ぎず,これが根本策としては何んと云ってもこれ等の重
直面しつつある第 2次産業革命は,大生産組織に依り一
要工業をかくの如く一定地点に密集せしめないで,−地方
度撲滅されたる家内工業を, ・100年後の今日に起死回生
に分散逃避移駐せしめることである。(中略)現下の『農
せしめる」のだといっている。
村工業化』問題はかくて新なる意味に於て重要性を加重
大河内正敏は,以上のような「農村工業化論」にもと
づき,白から新潟県の柏原にピストンリングの工場を建
設する O これが,今日の理研ピストンリシグ KK柏原工
場のはじまりである(大河内正敏は,
当時,理化学研究
した訳である」(「農村エ業調査」東京工業大学工業調査
部,昭和1
6
年 4月
)
。
以上のような観点から,戦時体制下において,「農工
一体化」が叫ばれ,農村工業化が,国家の政策として取
所の所長だった)。しかし彼の「農村工業化論」は,
り上げられたので、あるが,それは,重大な困難にぶつか
当時の客観条件のもとでは,彼自身が書いているように,
「自分は嘗て,農村更生のために,『農村の工業化』を提
らざるをえなかった。すなわち,、農村の過剰労働力をね
らって進出したはずの農村工業は,いわゆる応召と都市
唱し!たO 而してこれに対して反対の意見が工業家から出
軍需工業への労働力吸収がすすみ,農村でも, 労働力
た。反対の意見というよりは,机上の空論であって,到
「不足」に転じたことから,その存立基盤をおびやかさ
底実行不可能の議論として顧られなかった」ょうであ
れることになる(渡辺信一「事変に伴う農村労力の「不
るO
足」と農村工業運動の前途」『農村工業』第 5巻第 2号
,
ところが,日中戦争の拡大に伴う戦時体制のなかで,
昭和 1
3年 2月)。さらに,当時の農業生産力の発展段階
農村工業化運動は,軍需産業の拡充,生産力増強,国防
は,寄生地主制の支配下にあったので,今日のごとく農
といった観点から,新しい意義をもつものとして,戦時
業機械化が展開しておらず,しかも,戦争目的遂行のた
体制下の「国土計画」の一環として取り上げられた。
めには食糧増産が「至上命令」であったから,農村の労
(6
2
3)
;
働力「不足」は一段と深刻の度を加えていたので,農村
働力を雇用労働力に依存する経営は,厳密にいうなら
工業は,十分に開花することなく,敗戦をむかえたので
ば,農村工業といえども,家内工業とはいえない。した
ある O
がって,周辺農家の主婦たちの賃労働に依拠するいわゆ
第 2次世界大戦直後から 1
9
5
0
年代前半までの日本の農
る納屋工場は,家内工業の域を脱したものとみなければ
村は,周知のように,戦前にもまして過剰人口をかかえ
ならない。しかし,その経営主体の大部分は,いまなお
ることとなった。そうしたことから,余剰労働力救済の
農業から完全に足を洗っておらず,作業所も,その大部
方法として農村工業の導入設置が要望され,農業協同組
分は自己の宅地内にある O したがって,ここでは,経営
合経営による協同組合工場の登場をみる f
こいたり, 1
9
5
0
主体が農業から生れ,いまなお,農業との結びつきをも
年にもうけられた「農村工業振興対策要綱」によって登
ち,また,作業所を自宅あるいは部落内にもち,当該地
録された工場数は 8
,
0
0
0余におよんだ。この戦後版農村
域の在来農家の労働力を使用するものであるならば,主
工業は,農村の潜在的過剰人口を吸収し,農家に家計補
として,賃労働に依拠する経営であっても,農村家内工
助的賃金収入を与えることで,一時は,それなりの成果
業のなかに含めて,研究対象とすることとしたい。
をもたらしたが,大部分は零細な規模であり,設備,技
今日の農村家内工業の範囲を以上のように決めるなら
術,経営などいずれも劣弱であったことと,都市工業の
ば,それは,「資本家的生産様式との関連」,「経営・労
戦後復興がすすんだことによって,その発展基盤は崩壊
働主体の性格」の二つの分類基準にもとづき,下記のご
してしまった。この段階の農村工業は,農村の生産物を
とく,類型化することができょう。
原料とするものが主流であったものとみられる O かく
a
. 「資本家的生産様式との関連」
て,大河内正敏の提唱した農村工業化,すなわち,大工
1
) 小生産者型
業の地方分散,部分品工場の地方進出,農村労働力の資
2
) 問屋制資本下請型
本制家内労働への編成による農村工業化は, 5
0
年代後半
3
) 近代的工場制工業下請型
から開始した高度経済成長をへて, 60年代後半まで,待
この場合,現在の歴史的条件の下では, 1
)は,すでに
たねばならなかった O 60
年代後半からは,すでに指摘し
みたごとく,皆無に近いといってよく,したがって,現
たごとき内容をもっ農村工業化が急速に展開し今日に
実に存在するものは, 2
)
, 3)となる O そして,今日の農
至っている。
村工業化との関連でみるならば, 3)が主要なものである
すなわち,大河内正敏が指摘した都市大工業の集中集
といえる O
積のデメリヅトは, 60年代以降の高度経済成長で実証さ
b. 「経営・労働主体の性格」
れ,一方,農業,農村内部の客観的条件は,農業構造政
(a. 単純労働型
1
) 家内労働型{
l.熟練労働型
策の展開,農村の都市化の進展によって,戦前戦中とは
著しく変化し,農村工業化を積極的に受け入れざるをえ
(a. 少数個人の共同経営
ないものとなったのである。とにかく,今日,はじめに
2) 協 業 型 { b. 農村工家協業組合型
l
e
. 農協直営工場型
指摘したように,農業「近代化」による圧倒的多数農民
の賃労働兼業化,生活様式の都市化による現金家計費の
増大から,農村では,農外収入を求める相対的過剰人口
が積極的に創出されているのであり,そうした条件のも
とで,いわゆる納屋工場,資本制的家内労働,内職が,
農村のなかに,広範なひろがりをみせているのである。
4
. 農村家内工業の類型
家内工業とは,生産者が,自宅において家族労働によ
って営む工業形態であり,したがって,今日では,資本
制的家内労働が,その主要な基礎となっているとみてよ
い。また,農村工業とは,今日の実態からするならば,
農村の生産諸関係を完全に破壊しない限度でおこなわれ
3
) 納屋工場経
営型
ja. 単純労働力のみ
l
b,熟練労働力を必要とするもの
1
1
. 農村家内工業の現状
A. 家内労働の一般的状況
まず,農村家内工業は家内労働を基礎としているの
で,労働省の家内労働に関する資料から,わが国の家内
労働の一般的状況をみておくとしよう。
1
. 家内労働者の概況
家内労働者数は,昭和4
6
年1
0月の調査結果によると,
1
8
1万人で,補助者を含めると,総数2
0
2
万人となってい
ている都市工業の下請工業が主要なものであるといって
るO 当然,実際には,これよりも多いものとみてまち.が
よいであろう。したがって,農村家内工業の今日的な概
いない。ところで,家内労働者数および補助者数の推移
念構成は,上記二者が包含されていなければならないこ
をみると,図 1にみるごとく,昭和 3
3年から 40年 ま で
とになる O なお,以上の諸概念からするならば,主な労
0∼8
5
万人程度であったが, 4
4
年には 1
4
3万人, 4
5
・
は
, 7
(624)
万人
つづいて,家内労働者の地域分布をみると,東京・ 31
忘
[
万人,大阪・ 19万人,愛知 15万人,神奈川・ 1
1
万人,兵
庫・ 1
0
万人などの大都市をかえた都道府県に多く,この
内
家
労助
補
1
5
0ト
1
s
・
1
1
8
1
1
4
3
5都府県で全国の 48%を占めている O このように家内労
働者は,大都市に集中しているのであるが,表 3に示す
働
者者
1
0
0ト
8
5
ごとく,徐々ではあるが1
0
万人以上の家内労働者が存在
8
5
する 5都府県の対全国比は減少する傾向にある O すなわ
7
ち
, 44年には, 5都府県で53%を占めていたが, 45年に
.
5
0
2
1
50%を割り, 46年には 48%となったのである O 要する
2
1
に,家内労働者の分布地域は大都市から大都市以外の周
1
0
3
3
3
7
4
0
4
4
4
5
辺地域へ拡大しているのである O
4
6年
そこで,家内労働者数の居住地域別の割合をみると,
〈
注
) 3
3∼ 4
4年は補助者数の調査はしていない
都市部が約 4分の 3で,農村部が約 4分の 1となる(図
図 1 家内労働者数および補助者数の推移
3参照)。とすると,農村部に家内労働者が 50万人前後
し、るということになる。
表 1 男女および類型別家内労働者数
区
分
4
6
人
5
十
4
5
年
%
(
注
)
4
4
年
人
労働省の家内労働実態調査では,家内労働者を
年
% %
%
0
0 1
,
4
3
1
,
3
0
0 1
0
0
1
,
8
0
5
,
8
0
0 1
0
0 1
,
8
1
1
,
2
0
0 1
1
4
4
,
7
0
0
8
1
3
9
,
5
0
0
8
1
0
6
,
0
0
0
7
3
1
,
6
6
1
,
1
0
0 9
2 1
,
6
7
1
,
7
0
0 9
2 1
,
3
2
5
,
3
0
0 9
'
1
6
4
,
1
0
0
業
別
型
買
副
内
1
業
哉
9
1
7
1
,
0
0
0
9
1
2
3
,
3
0
0
9
8
1
,
6
0
5
,
7
0
0 8
9 1
,
5
9
7
,
2
0
0 8
9 1
,
2
5
9
,
3
0
0 8
3
6
,
0
0
0
2
4
4
3
,
0
0
0
2
4
8
,
7
0
0
3
年には 181万人と急激に増大している。これは,いうま
でもなく,昭和40年以降,労働力「不足」がより顕著と
なったことの反映であるとみてよかろう。
家内労働者数を男女別にみると,女子が 166万人で全
体の 92%を占め,男子は 14万人で 8%である O
図 2 業種別家内労働者数の割合
また,類型別{注)には,家庭の主婦などが従事する内
職的家内労働者が 161万人で全体の 89%を占めており,
主として男子の世帯主が従事する専業的家内労働者が 16
,万人で 9%,本業の合聞に従事する副業的家内労働者が
4万人で 2%となっている(表 1参照)。
つぎに,家内労働者を業種別にみると,衣服の縫製な
どの「衣服その他の繊維製品」が 52万人( 2
8
.9%),織物
3
.4%),
やメリヤス編みなどの「繊維工業」が42万人( 2
がん具,装身具,事務用品,花火,漆器などの「その他
(雑貨)」が 30万人( 16.7%),ラジオ・テレピ部品のコ
イル巻き・リード線のハ γ ダ、付けなどの「電気機械器
具」が 19万人(1
0
.5%),茶袋や封筒の糊はり,段ボー
ノレ箱の組立てなどの「紙・紙加工品」が1
0
万人(5
.7%)
である O 1
0
万人以上の家内労働者が存在するこの 5業種
で全体の 85.2%を占めている(表 2,図 2参照)。
図 3 居住地域別家内労働者数の割合
表 2 業種刷家内労働従事者数(総数),家内労働者数;補肪者数委託者数代通人数および主な家内労働業務
F
業種別
家
従
(総
事
内労
者
数
数
働
)
家 内
労働者数
計
2
,
0
1
5
,
0
0
0
I
,8
0
5
,
8
0
0
補助者数
2
0
9
,
2
0
0
委託者数
1
1
5
,
3
6
0
代理人数
1
2
,7
2
0
玉
な
家
内
司
労
働
業
務
J
ν
食
料
日
E日
]
:
,
・
2
1
,
4
0
0
2
0
,
3
0
0
I
,1
0
0
3
8
0
2
7
0
珍味加工,見布巻き,唐辛子の選別,みかんの皮むき,漬物用野菜選別
5
1
0
,
0
0
0
4
2
3
,
2
0
0
8
6
,
8
0
0
3
2
,
4
4
0
4
,
3
1
0
絹人絹織物,タオルへムかけ,メリヤス編立・かがり,ねん糸,しぽり
衣維服製品
その他の繊
5
5
6
,
8
0
0
5
2
1
,
5
0
0
3
5
,
3
0
0
3
9
,
6
3
0
2
,
2
9
0
外衣縫製,和服縫製,スカーフかがり,たび縫製,刺しゅう
木
家
具
材 ・装木備製品
2
6
,7
0
0
2
3
,
2
0
0
3
,
5
0
0
1
,
3
2
0
1
8
0
竹細工,鏡台,パックレスト,そろばん,玉のれん,箸加工
紙・紙加工品
1
1
3
,
5
0
0
1
0
2
,
5
0
0
1
1
,
0
0
0
7
,
7
2
0
7
3
0
紙袋貼り,紙箱組立,化粧紙包装,
印刷同関連
3
1
,
1
0
0
2
9
,
2
0
0
1
,
9
0
0
3
,
6
0
0
8
0
ゴム製品
5
3
,
4
0
0
4
5
,
9
0
0
7
,
5
0
0
2
,
0
1
0
1
5
0
ゴム製はきもの縫製・接着,ゴム製品型抜き・パリ取り,コーム紐袋詰
反革製品
9
2
,
3
0
0
7
8
,
9
0
0
1
3
,
4
0
0
4
,
3
2
0
4
3
0
革靴,革手袋,袋物(ハンドパック,サイク,定期入),かぱん(トランク,ランドセル)
窯業・土石製品
1
7
,
6
0
0
1
5
,
0
0
0
2
,
6
0
0
1
,
4
5
0
1
0
0
陶磁器(生地の絵付け,焼成),人造真珠,すずり,石こけし
金属製品
2
6
,
8
0
0
2
2
,
8
0
0
4
,
0
0
0
2
,
9
2
0
4
0
電気機械器具
1
9
9
,
8
0
0
1
9
0
,
1
0
0
9
,
7
0
0
5
,
3
0
0
8
4
0
テレビ・ラジオ部品コイル巻き・ハンダ付,抵抗器組立,クリスマス電球継線・組立
機械器具等
3
5
,
1
0
0
3
1
,
5
0
0
3
,
6
0
0
1
,
8
1
0
2
3
0
眼鏡枠研磨,時計バンド組立,銅器彫金,自動車部品パリ取り研磨
その他(雑貨)
3
3
0
,
5
0
0
3
0
1
,
7
0
0
2
8
,
8
0
0
1
2
,
4
6
0
3
,
0
7
0
繊維工業
りんご・梨袋,荷札加工
筆耕(がり版)タイプ,製本,雑誌、付録折たたみ
洋食器刃物研磨,軽便カミソリ組立,金属プレス加工,打はく
aN日︶
︵
人形(組立・衣服縫製)金属玩具プレス加工・組立・造花箱,ファスナー, ヒ、ニール合羽,漆器,
花火,洋がさ,扇骨,かつら,ボ’タン,ござ,マッチ
(626)
「専業的家内労働者」, 「内職的家内労働者」, 「副
a
. 「専業的家内労働者」とは, 家内労働をそ
業的家内労働者」の三つに分類し,それぞれ下記
の世帯の本業とし,世帯主自身が単独で,または
のように定義されている O
家族とともにこれに従事し,それによって生計を
維持しているもの O たとえば,金属玩具のプレス
表 3 5都府県の家内労働者数の全国比
加工,メリヤスの編立て,陶磁器の成型・焼成・
区分
4
5 年
4
6 年
絵付,絹人絹織物など O
4
・ 年
b'.「内職的家内労働者」とは,
東
尽
17.4%
18.3%
21.0%
大
阪
1
0
.
4
1
0
.5
1
1
.
2
愛
日
主
8
.
4
8
.
3
9
.
8
神奈川
6
.
1
6
.
1
4
.
2
庫
丘
計
ど世帯主以外の家族が,世帯の本業とは別に,家
計補助などのため,家事のあいまに家内労働に従
事するもの O たとえば,スカーブの縁かがり,レ
5
.7
5
.
8
7.
2
ヅテル貼り,軽電気部品のコイル巻き・ハング付
4
8
.
0
4
9
.
0
5
3
.
4
け,婦人子供服縫製・ポタ γ 付け,刺しゅうな
ど
。
就業時間数
109 8 7 6
5
0時間
0
1ヵ月当りの就業日数
1
8 1
9 2
0 2
1 2
2 2
3 2
4 2
5日
'
I
』
'
百
十
2
5
1
男
1
0
0
1
2
5.
1
1
2
1
.
1
女
1
2
3
.
2
金属製品
皮帯製品
繊維工業
\
122.8
窯業・土石製品
衣服その他の
繊維製品
その他の(雑貨)
木村・木製品
家具装備品
ゴ ム 事Q r
日
電気機械器具
I
2
0
.
9
機械器具等
週
;:
:~)
':
・
.
:
紙・紙加工品
1
1
9
.
9
食 料 品
1
1
9
.9
印刷・同関連
2
5
0
主婦や老人な
2
0
0
1
5
0
1
0
0
ご
口 18.2
0H
寺問
図 4 業種別または 1カ月当りの就業時間数および 1カ月当りの就労日数
表 4 家内労働者と雇用労働者の労働条件の比較
年勤数
続
区
分
4
才
年
令
6) t6
(
年
年)
工賃・賃金月収額
4
4年
4
6年
4r,t4
4
4年
4
6年
4~~~4
1日当りの就
業・労働時間数
1カ月当りの就
業・労働時間数
1時間当りの工賃・賃金額
4
4年
4
6年
4r,t4
4
4
年
4
6年
1カ月当りの
就業・労働日数
4r,t4
4
4年
4
6年
4r,t4
計
6
,
0
6
2 2
0
,
8
9
7
.
1
0 1
4
1
.
0 3
1
3
0
1
0
1
1
2
4
1
2
3
1
5
6
1
5
5
9
9
7.
5
6
.
9
9
2
2
2
.
1
2
1
.
6
9
8
男
9
,
3
1
2 6
7
,
6
6
2
7.
1
1 4
1
3
7
2
3
9
2
6
7
1
1
2
2
1
3
2
5
1
1
1
8
9
.
1
1
0
.
0
1
1
0
2
3
.
8
2
5
.
1
1
0
5
女
1
,
6
8
6 1
3
,
5
6
7
3
.
3 1
1
1
6
8
3
1
0
2
1
2
3
1
4
8
1
4
1
9
5
7.
3
6
.
4
8
8
2
1
.
9
2
1
.
1
9
6
計
3
9
,
3
9
6 5
2
,
1
1
7
1
3
2
1
9
7
2
6
8
1
3
6
2
0
0
.
2
1
9
4
.
2
9
7
8
.
3
8
.
1
9
8
2
4
.
2
2
3
.
9
9
9
男
5
0
,
4
6
0 6
6
,
7
6
5
1
3
2
2
4
2
3
3
0
1
3
6
2
0
8
.
9
2
0
2
.
2
9
7
8
.
5
8
.
3
9
8
2
4
.7
2
4
.
3
9
8
女
2
3
,
6
3
6 3
1
,
6
0
4
1
3
4
1
2
6
1
7
3
1
3
7
1
8
7
.
9
1
8
2
.9
9
7
8
.
0
7.
9
9
9
2
3
.
6
2
3
.
3
9
9
家内労働者
家内労働実態調査
雇
調毎査
月勤労統計
用
規製模造業
5∼2
9人
労
{
動
労毎災月特勤別労調統査
計
者
1∼ 4人
製規造模業
計
3
6
.
9
2
,
6
2
4 4
4
,
0
6
3
6
.
3 3
1
3
5
1
6
1
2
2
0
1
3
7
2
0
2
.
5
2
0
0
.
1
9
9
8
.
2
8
.
1
9
9
2
4
.7
2
4
.7
1
0
0
男
3
4
.
9
5
,
3
5
6
0
,
6
5
7 5
6
.
.
5 4
1
3
6
1
9
4
2
6
6
1
3
7
2
0
9
.
2
2
0
8
.
3
1
0
0
8
.
3
8
.
3
1
0
0
2
5
.
2
2
5
.
1
1
0
0
女
.
2 2
0
,7
6
2 2
8
,
5
5
9
3
9
.
8 6
1
3
8
1
0
9
1
5
2
1
3
9
1
9
0
.
4
1
8
8
.
0
9
9
7
.
9
7.
8
9
9
2
4
.
1
2
4
.
1
1
0
0
女
3
9
.
3
5
,
6
2
4 2
2
,
4
4
0
2
.
2 1
1
4
4
1
2
4
1
6
8
1
3
5
1
2
6
1
3
2
1
0
5
6
6
1
0
0
2
1
2
2
1
0
5
イ
ノ{タ
製
賃
計
金
調
構
造
査
造基業
本
lマ 統
トl
∞
︵
NU可
ぐ6
.
2
8
)
c
. 「副業的家内労働者」とは, 他に本業を有
長の」過程で,広範に解体し農村でも家内労働
する世帯主が,本業のあいまに,単独で,または
は「専業的」か「内職的」かどちらかにおきかえ
その家族とともに家内労働に従事するもの O たと
られてきている。
えば,農業や漁業を営む世帯の世帯主自身が,本
2
. 家内労働者の就業条件
業のあいまに従事するむしろ・なわなどのわら製
品,竹細工など O
まず,家内労働者の就業時間数をみると,表 5にみる
ごとく, 1日当り 6.9時間, 1カ月当り 155時間である O
以上のごとく,農村における家内労働は,「副
これを男女別にすると,男子が 1日当り 1
0
時間, 1カ月
業的家内労働」と把握されているが,今日の実態
当り 251時間,女子が 1日当り 6.4時間,
からすると,従来の副業的な家内労働は「高度成
時間となる O また,業種別にすると,図 4に み る ご と
円
万5
円
2
6
0
2
4
0
2
2
0
4
2
0
0
3
1
8
0
1
:
6
0
:
:
~点
1
0
0
0
.
9
8
0
6
0
。
図 5 業種別 1時間およびカ 1月当りの工賃額
3
3
0
円
3
0
0
日z
費
目
多l
く/{孟
ノミ
丙肩裡君!
2
0
0
労労根号ト
働働ーヰL タ
者者自立
4
人
不、〆ー、、I
1
0
0
J
。
女
百
十
男
女
図 6 男女および家内労働者・雇用労働者別 1時間当りの工賃(賃金)額
1カ月当り 141
(629)
く,専業的家内労働者が比較的多く従事する「金属製
みられるのであるが,その実態は,行政当局には,ほと
品」,「皮革製品」,「繊維工業」,「窯業・土石製品」の就
んどつかまれていなかった。当然,いわゆる納屋工場の
業時間は長く,内職的家内労働者が比較的多く従事する
実態についても,把握されていない。したがって,農村
「印刷・同関連」,
家内工業の現状を全国的,
「食料品」, 「紙・紙加工品」,「電気機
かつ統計的に分析すること
械器具」の就業時間は短い。なお,雇用労働者の労働時
は,かなり困難であるしさらに,関連する統計資料を
間数と家内労働者の就業時間数とを比較してみると,男
分析整理してみたところで,いずれにしても,それは,
子は家内労働者の方が長く,女子は雇用労働者の方が長
実態から誌離したものとならざるをえない。
いといった傾向をみることができる。
つぎに,就業日数についてみると,全平均では, 1カ
そこで,ここでは,われわれの実態調査結果の分析資
料からみた農村家内工業の現状と問題点を整理してみる
月当り 2
1
.6日,男女別には,男子が 2
5
,1日,女子が 2
1
.1
ことにする。したがって,当然,農村家内工業の全面的
日で,就業時間数の場合と同様の傾向となっている(表
な現状分析ということにはならないのであるが,ここで
5参照)。
ついで,家内労働者の工賃をみてみよう。家内労働者
明らかにされる農村家内工業の内容は,全国的にも,共
通したものであろうと,推測している。なお,あらかじ
のヱ賃は通常 1個何円というように製品の単位あたりに
め,今回の実態調査の対象となったもの地域,業種,農
よって決められており, しかもその製品の加工方法,サ
村家内工業としての類型について示しておくならば,下
イズ,形式,工程などによって単価が異なるので雇用労
記のとおりである(注)。
働者の賃金のように簡単に 1時間当り, 1日当りの算定
(愛知県豊田市)
ができないのが普通である O したがって,家内労働者の
1時間当りの工賃額は 1カ月当りの工賃額, 1日当りの
就業時間数および 1カ月当りの就業日数から換算されて
いる O こうして算定した 1時間当りの工賃額(必要経費
は除く)は,全平均 124円,男女別にすると,男子は 267
円,女子は 102円である(表 5参照)。これを業種別にみ
ると,図 5にみるごとく,技能,経験を要する専業的な
ものが多い「金属製品」,「窯業・土石製品」,「繊維工
業」,「皮革製品」は高く,内職的なものが多い「食料
品」,「紙・紙加工品」,「電気機械器具」は低い。
家内労働者の工賃と雇用労働者の賃金とを 1時間当り
で比較すると,図 6のごとく,男子は雇用労働者(規模
1
∼4
人)よりすこし高いが,女子は家内労働者の方が低
い(以上は「家内労働のしおり」労働省労働基準局,
昭和 47年,による)。
B. 農村家内工業の実態
労働省の資料によると,農村部の家内労働者数は 50万
O松平地区 0氏,ゴム成型(東海ゴム下請), A−①・
Bー① a
O松平地区 K氏,撚糸(富士紡下請), A−①・ Bー
①b
O松平地区 SK合成工業,ゴム成型(東海ゴム下請),
A−①・ B−① a
O高岡地区 HS工業,プラスチック・ゴム金型受注生
産
, A一①・ Bー③ b
0梅坪町 M電業社,自動制御装置受注生産, A−①・
Bー① b
(長野県伊那市)
0西春近地区 K氏,プラスチッグ成型・下請, Aー①・
B一① a
O伊那地区 I氏,顕徴鏡組立(松m
製作所下請),
O西春近地区 J製作所,地震計・硬度計部品組立, A
−①・ B一① b
人前後(昭和46年)ということになっているが,実際に
O東春近地区 N製作所,光学機器金属部品(オリ
は,これよりもはるかに多いものと思われる。われわれ
ス系列・宮城製作所下請), A−①・ Bー① b
は,今回の調査で,地方労働基準局,県商工労働部など
で把握されていない家内労働が,農村部に広範に存在し
ていることを確認している O 行政当局が把握している農
村部の家内労働は,どちらかといえば,古くから存在し
てきた地域の伝統的なもの,たとえば,織物,縫製,撚
糸,紙加工,花火などが多く,最近の農村工業化のなか
で急速にひろがってきている電子工業,金属機械工業,
自動車工業などの下請家内労働についてはあまり把握さ
れていないといってよい。たとえば,愛知の豊田市周辺
の農村部には,自動車工業と関連する家内労働が広範に
A
一①・ Bー① b
γパ
0美すず地区 M工業,コンデシサー賃加工(信英通信
下請), A−①・ Bー① a
0富県地区 T氏
, 自動車部品パネ加工(松沢金属下
請
)
, A一①・ Bー① a
0富県地区 Y氏,パネ賃加工(日産系列山二発条下請)
O諏訪形地区 0製作所,フィルムコンデンサー製造
(信英通信協力工場), Aー①・ Bー① a
(埼玉県下)
O理研ピストンリング KK熊谷工場下請・鉄管継手鋳
物パリ取リ, A−①・ B一① a
(630)
0小鹿野町農協あっせん・ピニールウエルグー加工,
A−②・ Bー① a
以上の他に,農村工家協業組合型の事例として,豊田
つぎに,経営主の年令について,同じく,表 6から,
類型別に平均年令を算出してみると,下記のとおりであ
る
。
市松平農協が指導する松平農村工家組合の縫製,農協直
事業開始時調査時
営工場の事例として,茨城県の常陸太田市北部農協のマ
家内労働・単純労働型
イクモーター組立工場(マフ守チモータ− KK下請)が調
家内労働・熟練労働型
3
3
.
0
38.2
査対象となった。
納屋工場経営型
3
8
.
4
43.3
1
4
2
.0
才
45.2
才
要するに,調査事例は,そのほとんどが,近代的工場
すなわち,事業開始時の経営主の年令は,実質的には
制工業の下請に属する農村家内工業である O そして,「経
賃労働者である単純労働型が最も高く,ついで,小企業
営・労働主体の性格」からみた類型は,一応,家内労
経営者である納屋工場経営型となっており,熟練労働型
働・単純労働型から,協業型,納屋工場経営型に至るま
がもっとも若い。要するに,熟練労働型の場合は,おそ
で含まれている。ここでは,主として,最近の農村工業
くとも, 2
0
才代後半から,同業種の仕事に従事し,技能
イ七に伴って,急速なひろがりをみせている近代的工場制
を身につけてきたと考えられるが,単純労働型の場合
工業の下請としての農村家内工業に焦点をあわせ,その
は
, 4
0
才前後まで,同業種の仕事の経験をもっていなか
成立事情,経営内容,就業条件等を検討し,問題点を整
ったものが多いものと考えられる O いいかえるならば,
理してみることとしたい。
類型によって,経営主のこれまでの経歴には差異がある
(
注
)
調査はいずれも 1
9
7
2∼7
3
年にかけて実施したも
のである O
1
. 成立事情
ものと思われる。そこで,つぎに,経営主の経歴と事業
開始の動機を具体的にみてみるとしよう。
d
. 経営主の経歴(事業開始の動機)
a
. 事業開始時期
〔家内労働・単純労働型〕
まず,事業開始時期をみてみよう。表 6に 示 す ご と
No.1 (ゴム成型)
く,昭和40
年以降になってから,事業を開始したものが
経営主は世帯主で,現在51才である O 昭和3
0
年頃まで
ほとんどである O すなわち,「高度成長」にもとづく工
は,自家農業専従だったが,それから 1
0年間,農業の片
場の農村進出,農業構造政策にもとづく農業「近代化」
わらに,林業関係(山師)の仕事に従事してきたが,林
の展開と時期を同じくしている。要するに,農村家内工
業が不振となり,昭和4
1
年より,東海ゴム KKの下請を
業は,農外所得に依存しなければ,生活がなりたたなく
はじめる。
なってきた農家の一部が選択した農外就労のー形態であ
るといってよかろう。
N
o
.8 (プラスチッグ成型)
経営主は世帯主で,現在5
2才。昭和3
9
年までは,農業
b
. 自家農業の経営耕地規模
プラス通勤出稼ぎ(土建関係の人夫日雇)だったが,年
そこで,表 6から,自家農業の経営耕地規模を,類型
をとってからまで土方仕事は大変だと思い,親せきの紹
別に平均してみると,下記のようなものとなる O
介で清水プラスチック KKの下請をはじめる o
家内労働・単純労働型(1
2
例)− 6
4
.5アール
No.16 (パリ取り)
家内労働・熟練労働型( 4例)ー 7
8
.
2
経営主は長男で,現在3
6
才。中卒後,自家農業に従事
納 屋 工 場 経 営 型 ( 6例)−1
2
3
.
2
しはじめは酪農をやってみたが,とても規模拡大に追
(
N
o
.3∼5 は,内容的には, 家内労働・単純労働型に
準ずるので,そのなかに含める)
いつけず, 22
才のときに農外就労の道を選択しそれ以
来
, 1
2
年間ダンプの運転手をしてきた O しかし,夕、、 γ プ
すなわち,全体としてみると,経営耕地規模は, 5
0∼
の仕事は,精神的に疲れるし,危険な仕事なので,なに
150 アール程度で,いずれにしても,中間層が多いので
か,自宅で,妻も一緒に働ける安全で,割りのよい仕事
あるが,類型別にみると,単純労働型が最も小さく,つ
がないものとさがしていたところ,理研ピストシのパリ
いで熟練労働型,そして,納屋工場経営型では,その平
取りをやっていた友人が,嫁をもらうから,パリ取りを
均が,単純労働型の 2倍近いものとなっている O 要する
やめたいといっていたので,自分が 2年前に肩がわりし
に,実質的には賃労働者であるといってよい単純労働型
た(パリ取りはヨゴレ仕事なので嫁の来手がなくては困
は,より下層農家に多くみられ,小企業の経営者として
るということで…)
の性格をもっ納屋工場経営型は,より上層農家において
N
o
.2
1 (ピニールウエルグー加工)
みられるといってよいであろう。
経営主は世帯主で,現在4
1才。昭和4
5年までは,養蚕
C
経営主の年令
(年間 100g)プラス園芸(露地もの)プラス畜産の専業
(631)
農家だった。しかし山間地農業(埼玉県秩父郡小鹿野
きた。そこでは, 100A位の女衆(主婦〉を使用してき
町)のため,規模拡大が困難であり, 2年前に,農業は,
た。納屋工場をはじめた動機は,選果場で働いていた主
自家野菜と年間 30g程度の養蚕にとどめ,農協のあっせ
婦たちが,冬でも働ける仕事が欲しいということだった
んによるウエルダー加工に転業する。
N
o
.22 (ビニーノレウエルグー加工)
長男(29才)とその妻(29才)が,ウエルグー加工専
従者で,世帯主( 53)とその妻( 58)は,自家農業の片
ので,知合いの信英通信社長に話をもちかけたところ,
下請をだしてくれるということだったので、始める。
No.13 (自動車部品パネ加工)
経営主(世帯主),現在4
1
才。昭和 23年( 1
7才)から
わらに,ウエルダー加工の仕事を手伝っている。 No.21
25
年まで,東京営林局深川営林署に勤務。深川営林署が
と同様に, 2年前から,ウエルダー加工の仕事をはじめ
廃止となり,一時家に戻り,また,すぐ勤めにでる。 21
るO それまでは,コソニャグを中心作目とする専業農家
才までの 2カ年間,名古屋の仕出し屋に勤め,それから
すごったが, コソニャク畑が学校敷地に買収され,転業を
II
ハイヤーに運転手とし
家に帰り, 27才まで伊那市の白 J
よぎなくされた。コ γニャグ畑が買収されたとき,長男
て勤める O 昭和 34
年からは,自家農業専従になり,近所
は,一時,秩父の繊維関係の会社に勤めたが,長男であ
の仲間と一緒に「米づくり研究会」を組織し,農業には
るため,家をあけると,いろいろと都合が悪いので,ウ
げんで、きたが,減反ということで,兼業を考えなければ
ユルダー加工の仕事をはじめる O
〔家内労働・熟練労働型〕
ならなくなってしまった O しかし, 1ヘクタール以上の
水田があると,完全な勤めにでるわけにもいかず,しか
No.2 (撚糸)
も,中高年になってからの仕事は,土方仕事位しかな
経営主は世帯主で,現在46才。祖父の代からガラ紡を
い。そこで,昭和43年から,堆肥舎を改造して,自動車岳
やってきた家で,本人も,昭和 40年に撚糸に切りかえる
まで,ガラ紡に従事してきた。
No.9 (顕微鏡組立)
部品のパネ加工をはじめる O
No.15 (フィルムコンデンサー製造)
経営主(長男),現在 38才。農業高校卒(昭 29)後,
現在34才。定時制高校卒業後, 4カ月間,伊那市の向
24才までは,
自家農業従事。当時の農業経営は,稲作
l
山電機につとめ,それから 26才まで,同じく伊那市の興
(
7
0アール)プラス養蚕(桑畑70アール,年間 120g)の
和電工に勤務する。 26∼28才までの 2カ年間,辰野市の
専業農家だった。しかし,養蚕は魅力がないし,現金収
顕徴鏡組立の会社につとめ,そこで,技術を習得し,独
入が欲かったので,パネ製造の会社に勤める O そこで,
立する。
親会社から仕事をもらったり,内職にだしたりする仕事
No.10 (地震計・硬度計部品製造)
の係長になり,下請仕事のカラクリがわかったので,独
2
5∼2
6才までは自家農業が主で,土建関係の通勤出稼
立して,納屋工場を自分で始めることにした。当初,松
ぎをやってきた。それから金属加工の会社に 6カ年程つ
下電気の下請をやるつもりで,松下の本社で 2カ月間の
とめ,技術を習得し,下請の仕事をもらって,独立す
技術研修を受け合格し, 2カ年程,松下の下請をやった。
るO
しかし松下は大阪商人でガメヅク単価は低くおさえ,
No.11 (光学機器金属部品)
品質は世界ーを要求するので,とてもついていけない。
経営主は長男で,現在36才。本人は高校(農)卒業後,
たまたま信英通信 KKで仕事をだすというので,その協
農協の有線係として 2カ年勤務し,それから,畜産(酪
力工場となる O 信英通信では,松下でおぼえたやり方で
農〉を始めたいと考えたが,耕地が分散し,宅地も小さ
やってくれということだった。納屋工場をはじめたのは
く畜舎を建てる余裕もなく,十分な飼料畑も確保するこ
32才である O
とができなかったので,現在の仕事を始めることを前提
以上,類型別に,経営主の経歴ならびに事業開始の動
に,技術習得のつもりで, 6∼7年間,宮城製作所(オリ
機について,その具体的事情をみたが,要約するなら
シパス系列)に勤め,
ば,つぎのようにいってよかろう。
円満退社し,下請の仕事をもら
い,独立する。
〔納屋工場経営型〕
単純労働型の場合は,どちらかといえば,経歴が比較
的単純で,したがって,農業以外の特定の技能・能力を
No.12 (コンデンサー賃加工)
もたないものが多く,これに対して,納屋工場経営型の
経営主(世帯主),現在55才。終戦までは職業軍人で,
場合は,必ずしも,特定の技能をもっているものが多い
戦後は,昭和 42年まで専業農家だった。この間,農協か
とはいえないが,経歴がどちらかといえば複雑で,労務
ら人使いがうまいとみこまれて,毎年, 7月中旬∼1
1月
管理能力,事業に必要な対外的な交渉能力を有するもの
下旬まで,農協の野菜選果場に場長として勤めたりして
が多い。以上の二者に対して,熟練労働型の場合は, 20
(632)
表 5 農村家内工業調査事例O覧表・その 1
家
草
氏
所在地
業
工
内
農
名
(名称)
類
型
事業内容
(業種・親企業)
事業開
始年度
昭年月
1 愛知県豊田市松平
O 氏
A−
③ B③ a 41.1
ゴム成型
2
I
I
I
I
K 氏
0
.
A−
③ B ①b 4
撚糸
3
I
I
I
I
4
I
I
I
5
”
I
I
6
I
I
高岡
7
I
I
梅坪
東海ゴム K K
主
業
§
. Jι
I
:
東海ゴム KK
4
5
.
6
K
y
地
土
回
岡
よ
E
十
a
アール アール アール h
.
4
5 9
5 2
7
0 2
r
5
0
5
0
3
0 1
0
4
0 1.0•
2
5 1
0
3
5 1
.
5‘
A−
③ B−
③b 44
z
M電業社
A--@ B--@b 4
3
.
自動制御装置受注生産
8 長野県伊那市
K 氏
A−
③ B−
①a 39.1
6 4
6
プラスチック成型 清水プラスチック KK 4
9
2
9
I 氏
A③ B
Q
)
b 4
1
顕微鏡組立
1
6
8
HS工業( A)
/
:ラスチ・,
山林
富士紡 KK
F
E
ロ
引
(
協
業
}金型受注生産
松川製作所
1
1
0
1
1
0
4
0
4
0
6
7
.
0
1
1
0 1
5
0 6
0 1
1
0
I
I
J製作所
A−
③ B
Q
)
b 4
3
.
地震計・硬度計部品製造
1
1
I
I
M製作所
A−
③ B−
①b 43.10
3
0
光学機器金属部口口(オ宮リン城パ製ス作系列
所
) 1
1
2
/
M工業( 0氏
)
A−
③ B−
③a 4
2
.
コンデンサー賃加工
5
0
4
0 1
0 1
信英通信 KK 1
1
3
I
I
T 氏
3
.
A−
③ B−
③a 4
自動車部品パネ加工
0
0
6
0 4
0 2
松沢金(伊属那K
市K
) 1
1
4
I
I
Y 氏
9
.
A−
③ B−
③a 3
パネ賃加工
1
5
I
I
O製作所
A−
③ B ③a 41.7
フィルムコンデンサ 信英通工信
場KK 5
.
5
2
5 0
5 7
0 1
製造
協力
1
6 埼玉県熊谷市下川上
U鉄工所
5
.
A−
③ B−
①a 4
M 氏
A−
③ B−
①a 4
0
.
1
7
H
江南村押切
日産系列の(山岡二谷発条市K
/ 1
1
0
.
0
1
5 1
3
5 1
.
o
,
s 115 s
5
0
1
3
0 2
0 1
理研ピストンリング KK
6
5
4・
0
4
5 2
6
0
一
4
0
4
7
一
4
8
鉄管継手イモノパリ取り
K鉄工
A−
③ B
Q
)
a 4
5
.
Y 氏
A③ B
d
)
a 47.4
20 埼玉県小鹿野町三田川
I 氏
A−
② B
Q
)
a 4
5
.
2
1
I
I
A 氏
A−
② B① a 4
5
.
2
2
I
I
W 氏
A−
② B
d
)
a 4
5
.
1
8
I
I
)
I
I本村本田
1
9
H
妻沼町上須戸
I
I
倉尾
23 常陸太田市北部農協
24 豊田市松平農協
下請賃加工
I
,
jI
I
U
Y
I
H
J
£1/U, せんの
7
5
2
0 1
3
5 0.4
2
6 5
0
.
5
,
7
6 1
4
0
3
.
0
4
0 1
ビニール・ウエルダー賃加工
直営方式
協業組合方式
4
5
.
4
マプチモータ− K K(本社・松戸)下請,マイクロモータ
4
4
.
1
一組立,
衣料品・自動車シート縫製加工,委託発注先 5社
(633)
*
x
メ
品
'4
土
家
族
数
経営作目
(版売の有無)
雇
家族労働力・続柄(年令)
家内工業専従者
家内工業補助者
用
荷
{
考
(性,年令,その他)
人数
水
(
稲
休
耕
1
0アール
1
0,貸付 2
0)自給
6
主
(5
1
,
)
妻
(4
5
)
母
(7
6
)
自家野菜のみ
8
主
(4
6
)
,
妻
(4
0
)
父
妹
5
妻
(4
6
)
,
7
主
(5
3
)
,
妻
(4
8
)
4
主
(5
7
)
,
妻
(5
4
)
7
主
(3
2
)
,
妻
(3
0
)
男
ち
(2l /',婦女(163~ )
3 う
5
主
(3
7
)
,
妻
(3
5
)
6 うち男 5人,女 l人
5
主
長 (男5~ ~4), 妻
三男
(4Bs)
6
主
(3
4
)
,
5
長男( 3
7),嫁( 3
1
)
水稲 1
2
6 自家野菜 4
6
長男( 3
6),嫁( 3
2
)
2
2 梨1
0
水稲 1
7
主
(5
5
)
6
主
(4
1
)
,
妻
(3
8
)
6 う
(
最
ち
高
男s
1
5才
人
:.
4
0
最
)
低
,3
女
7
才
5)
人
水稲 9
0
(8
2俵出荷)
5
主
{5
7)
,
妻
(5
3
)
7 主 婦 平 均4
5才
(
水
3
稲
0俵5
出
5
荷
畑
)
(
は
桑
他
園
人
)3
に
0貸す
7
長男( 3
8),嫁( 3
3
)
休耕 7 米販売
6
長男( 3
6),嫁( 2
9
)
米 7俵出荷
5
主
(5
1
)
,
自給
7
長男( 3
4),嫁( 3
4
)
米 自 給 飼 育 牛2
0頭
5
主
(4
7),妻( 4
7
)
水田・全面休耕→金魚の養殖
6
主
(4
5
)
,
妻
(4
4
)
水田・全面休耕自家野菜養蚕年間 3
09 G
主
(4
1
)
,
妻
(4
1
)
自家野菜程度 1
5アルル放棄
長男( 2
9),嫁( 2
9
)
米自給程度
休耕なし
米販売あり
1
0アール貸付
水稲
3
0アール休耕
自家野菜
米販売あり
全面休耕
酪農家に飼料畑として貸す
水稲 1
4
0 自家野菜
ー
I
ド
8
rn~·
母(
7
4
)
人弟
妻
(2
8
)
5
間)のアルバイト
1 会社勤月めの男(日2
lカ 聞 に 3
程度
妻
(6
5
)
女
(4
5)臨時雇
のみ 平
均
最5
4オ
1
9 女(最子
高7
4オ , 低 3
3才
)
主
(6
4
)
1
1 主婦
4
0∼ 5
0オ
男子 1名
妻
(5
2
)
主
(5
7),妻( 5
7
)
5
5オ前後
2 主婦
臨時
父
(7
3
)
主
(5
3),妻( 5
8
)
作業所 4カ所
従業員 1
0
6名… 40-50オの農家主婦が主力である。
3カ所
作業所 1
従業員 2
6
3名
(4
0オ前後の農家主婦 2
0
7名←男子 4
7名,事務員・男 8名,女 l名
)
6
0オ以上の婦人
{634)
才代で,数年間にわたり,関連企業に勤め,技能技術を
身につけてから,独立しているものが多い。
事をだすことにしている。
それから,埼玉県の小鹿野町農協が,農村工業事業と
なお,農協直営方式の常陸太田市北部農協のマイクロ
して, ピニ − }レウエルグー加工のあっせんをはじめるに
モーター組立と協業組合方式の豊田市松平農協の縫製の
あたっては,農協に機械を導入し,希望者に 2カ月程度
成立動機は,両者とも,マイクロパス通勤による農家主
の技術研修をおこなっている O
婦の農外就労が,主婦の疲労,カギ、ッ子問題など,さま
つぎに,納屋工場の労働力であるが,その主力は,ど
ざまな弊害をもたらしているので,地元に働き場所をつ
こでも, 40∼50才の主婦である。その従業員規模は,平
くるということが共通したものとなっている。要する
均すると, 1
0
人前後で,多くても 2
0
人未満のところがほ
に,両農協の農村工業事業は,家計補助的な現金収入を
とんどのようである。したがって,徒歩 1
0∼1
5分以内の
求める農家主婦の家庭内職を,部落単位に,集団化した
範囲から通勤する農家の主婦がほとんどであるといって
ような意味あいをもつものである O
よく,だいたいのところ同一部落内の労働力であるとい
2
. 経営内容
ってよい。そして,これらの主婦の夫は,大部分が恒常
さて,つぎに,農村家内工業の経営内容をみてみると
的賃労働兼業に従事しているものとみられる。納屋工場
しよう。
a
. 労働力
の労働は,一般的にいって,単純肉体労働であり,した
がって,とくに見習期間をもうけているところはなく,
まず,労働力であるが,いうまでもなく,家内労働型
の場合は,表 6にみるように,単純労働と熟練労働の両
だいたい 1週間程度で,普通の人であるならば,仕事に
なれてしまうようである。
者とも,世帯主夫婦あるいは長男夫婦が主要な労働力で
最後に,農家主婦の集団的内職とでもいうべき,豊田
あり,若干のものは,これに,他の家族が手伝いに加わ
市松平農村工家協業組合の縫製作業所と常陸太田市北部
っている。すなわち,いずれにしても,夫婦労働力が基
農協のマイグロモーター組立作業所の労働力をみると,
礎となっているのであるが,さきに示した経営主の年令
基本的には,納屋工場の場合と同様に, 40才前後の主婦
・でわかるように,熟練労働型の場合は,比較的に, 30才
が主力であり, 1作業所当りの従業員数は,松平農協の
代の夫婦が多くみられるのに対して,単純労働型の場合
場合が 2
0
人程度( 1
3カ所2
6
3
人),常陸太田北部農協の場
は40才代の夫婦が多いといえる O なお,両者を区別する
合が26
人程度( 4カ所1
0
6
人)であった。
a
ならば,単純労働型の場合は,夫婦がほぼ閉じ仕事に従
b,作業所・機械設備
事しているが,熟練労働型の場合は,経営主である夫が
作業所は,当然,農協の直営又は協業の作業所を除く
技能を要する仕事,妻がその補助労働といったごとく,
と,いうまでもなく,自宅に附属しているのであるが,
夫婦のあいだで,一定の分業関係が成立している点に差
その広さは,家内工業型の場合,単純,熟練を問わず,
異が認められる O
1
0∼15
坪程度のものが多い。それが,納屋工場経営型に
なお,熟練労働型の技能・技術習得の過程について
なると, 20∼30坪程度となる O 作業所には,畜舎,堆肥
は i すでに,その具体的状況を明らかにしておいたが,
舎,養蚕ハウスなどを改造したものと新築のものとがみ
要するに,今日,いまなお中小零細企業のなかに生きつ
られる。作業所の新改築に要する費用は,坪当りにする
づけている熟練を要する技能・技術を身につけるため
と,改造の場合が 1.5万円程度,新築の場合が最高で 7
に,本人が同業種の企業に数年間にわたって勤めるとい
万円程度となっている(表 7参照)。
うことで,技能・技術が習得されているのである O これ
常陸太田市北部農協のマイクモーター組立作業は,農
に対して,単純労働型の場合は,仕事を覚えるのに,当
家から空家となっているたばこの乾燥場を借用し,若干
然,ーそうした長い期聞を必要としないのであるが,数カ
8
の改造をおこない使用している。 1カ所当りの広さは 1
月程度の見習期間をもつのもある O すなわち,単純労働
∼2
1坪程度である O 松平農村工家協業組合の作業所は,
型の場合でも,家内工業をはじめるにあたっては,事前
当初は,ガラ紡作業場跡などを借用してはじめたが,現
に,仕事の見習が必要なのであるが,その具体的状況を
在では,新築の作業所となっている O ここでは,作業所
みておくと,以下のとおりである。
たとえば,
が部落のいわばコミュニテイセ γ ターの役割を果すこと
No.8 のプラスチック成型の場合,世帯主
ができるように,集会・けいこ事に利用するための和
(当時 44才)が,親企業の工場に 3カ月間のあいだ実習
室,食堂,育児室などが附属している点に,大きな特徴
(~こいっている。
がみられ,したがって, 他と比較すると, 作業所が広
また,理研ピストンリング・熊谷工場の場合は,先輩
のパリ取り屋で 1カ月程度,見習させてから,下請の仕
,
く 1カ所当りにすると, 70∼8
0
坪程度となっている O
常陸太大田市北部農協では,たばこ乾燥場跡の改造
(635}
;
表 6 農村家内工業調査事例一覧表・その 2
調 査 対 象
作 業 場
N
o
.
地 区
氏名(名称)|
II
豊田市松平
。
21
1
1
K
31
1
1
1
6
I
I
高岡
8
1伊那市西春近
9
氏
氏
業
(面積・費用)
種
東海ゴム下請・ゴム成型|
新 築1
5
坪, 3
0
0万円(但し,
2階 1
5
坪子供部屋含む)
K
氏
!
r
4
J
;ラスチ
yク
|ゴム成型プレス 3台
|
I(1台当り 30万円程度)
0万円|撚糸機械・附属品一式4
5
0
万円
ガラ紡作業場改造, 5
|富士紡下請・撚糸
sK合成工業|東海ゴム下請・ゴム成型|新築 15坪,
H S工 業
機 械 設 備
1
0
0万円
ゴ|納屋改造2
侃
|プラスチック成型下請
4
0万円
|新築 6坪
, 2
0万円
養蚕ハウス跡改造 7.
5
坪
ゴム成型プレス 6台
9
0万円)
(設置工事費含め 1
面取り旋盤 2台,ボール盤 3苗(大2
,
小 1),フライス盤 2台(大 1, 小 1)
,
普通旋盤 1台,研磨機 1台
.
プラスチック成型機 3台,ボール盤 1台
I
I
伊那
1
0I
1
西春近
J製作所
|地震計・硬度計部品製造|新築 1
5
坪, 1
2
0万円
1
1I
1
東春近
N製作所
|光学機器金属部品製造
1
2
I
I
美すず
M製作所
1
3
・
I
I
富県
T
氏
|自動車部品パネ加工
堆肥舎改造1
0
坪
, 1
0万円
ハンドプレス 7台,捲線機モーターっ
t
c
.
き2台,溶接機一式 e
1
4
I
I
富県
y
氏
|パネ賃加工
納屋改造1
8
坪
ノ、ンドプレス7
台(時価1
台当り 4
万円)
1
5
I
I
諏訪形
0製作所
1
6I
埼玉県熊谷市
U鉄 工 所
1
7
I
I
江南村
M
1
8I
1
川本村
19I
1
妻沼町
氏
顕微鏡組立下請
<
!
信英通信 K
下請コンデンサー
フィルムコンデンサー
製造
1
2万円
ボール盤, グラインダー
フライス盤 4台(大 2,小 2),旋盤2台
−
ノ
ト 1)
, ボール盤 2台 e
t
c
.
(
大 1,
ベンチレース 8台 e
t
c
.
|納屋改造1
5
坪
畜舎改造3
0
坪( 5問× 3間・|封口機,乾燥機,エージング台,
0
0万円
|ポンプレッサー
×上・下), 1
養蚕ハウス改造 1
5
坪, 7
万円|超音波半回付機 3台
,
8
坪8
0
.
5万円
|溶接機 6台,乾燥機 1台
新 築1
納屋改造1
5
坪
グラインダ− 1台
(8
万円),
(4
0万円)
リフトカー 1台
納屋改造1
3
坪
グラインダ−
理研ピストンリング
KK
l
戸︼ド
ル世間
イ工
管り請
鉄取下
S
F忽
tA
所
工
K
、
事ノノ
モ
氏
3台
リフトカー 1台
グラインダー 2台
リフトカー 1台
門HH
2
0I
埼玉県小鹿野町|
Y
氏
I
氏
グラインダー 2台,チエンプロ‘Yク一
3万円),台車2台
(1
台1
.
1万円)
式
(1
納屋 1
0坪
5万円
家屋内一部改造, 4
|高周波ウエルグー1
台
(1
台4
3万円)
、小鹿野町農協あっせん
2
1I
I
I
A
氏
1
0万円
|高周波ウエルグー 1台
畜舎改造7
.
5
坪, 2
0万円
|高周波ウエルグー 1台
のビニールウエルグー|畜舎改造7
.
5
坪
,
賃加工
2
21
1
W
氏
2
3I
常陸太田市北部農協・マイクロモータ一組立(直営)
2
4I
豊田市松平農協・縫製加工(協業)
たばこ乾燥場跡借用 4カ所|ベルトコンベアー 8本,ハンドプレス,
|検査計器類 e
t
c
.
(
1カ所1
8∼ 2
1坪)
新 築1
3カ所( 1カ所 2
3
0ー
280m2
)
,
資産 7
,
9
0
0万 円
|
|縫製加工用機械(ミシン e
t
c),資産2
,
4
4
7
|万円,車輔運搬具2
3
3
万円e
t
c
.
(636)
表 7 農村家内工業調査事例一覧表・その 3
固定資本投下額
(事業開始∼現在)
調 査 対 象
N
o
.
地区|氏名(名称)|
II
豊田市松平
21
1
I
31
1
I
業
種
0
氏 |東海コーム下請・ゴム成型
K
氏 |富士紡下請・撚糸
万円
1
5
0
資金調達方法
計
万円|
万円 t
|
|農協融資1
6
0万円、国民金融公庫融資4
5万円,
8
8I 2
3
8I
” 自 己 資 金3
3万円
I 50
4
5
0
農協融資5
0万円,国民金融公庫融資5
0万円,
5
0
0I
自己資金3
0
0万円,月賦支払 1
0
0万円
I
sK合成工業|東海コ’ム下請・コ’ム成型 I100
1
9
0
2
9
0I
農協融資2
7
0万円、自己資金2
0万円
I
.
6I I 高岡
HS工業
8
1伊那市西春近
K
9I 1 伊那
I
金型(フ。ラスチック・ゴム)
製造
l土地代金7
0
0万円,銀行借入4
0
0万円,
1
,
3
5
5I
t 残額は自己資金・月賦返済
4
0
1
,
3
1
5
氏 |プラスチック成型下請
2
0
3
5
氏 |顕微鏡組立下請
1
2
2
0
0
2
1
2I
機械屋に月賦返済
I120
1
0
0
国民金融公庫融資
8
0万円,信用金庫借入 1
0
0万
2
2
0I
王
円,自己資金4
0万円
1
9
6
1
9
6I
自己資金のみ(これから市商工課の資金を借
入れ新しい機械を導入する予定)
1
0
0
2
5
0
機械は,信英通信から一式貸与されたものを
3
5
0I
工賃で月賦返済( 2
0カ月)
1
0
1
2
6
機械一式 1
2
6万円は 1
8ヵ月割賦返済の銀行
1
3
6I
(八十二)ローンを利用
10I 1 西春近
J製作所
1
1I 1 東春近
N製作所 |光学機器金属部品製造
1
2I 1 美すず
M工業
信英通信 KK下請
コンデンサー
1
3
,
I
富県
T
氏
自動車部品ノ fネ加工
14I 1 富県
y
氏 |バネ賃加工
1
5I 1 諏訪形
0製作所 |フィルムコンデマサー製造
I
機械
作業所|設備|
|地震計・硬度計部品製造
8
0
0万円は自己資金,機械は親企業立替
作業所2
5
5I
で工賃より月賦返済
2
1
機械(ハンドプレス)は,親企業立替で工賃よ
2
1I
よリ月賦返済( 3カ月据置, 1カ年返済)
3
4
5
0万円,機械は親企業に導入し
国民金融公庫 5
4
2
5I
てもらい月賦返i
斉
I
?
4
8
機械
4
8I
(グラインダー1
台8
万
円
リフトカー 1台4
0万円)は,親企業で立替,工賃月賦返済
氏 ||瑳研ピストンリング KKI
?
6
4
機械
6
4I
,
埼玉県熊谷市
1
6I
| U鉄工所
17I,
, 江南村
IM
I¥
(
I
3
台2
4
万
円
鉄管継手イモノパリ取り
グラインダー
3カ月据置き
3カ月払
リフトカ−
2
4カ月払
1sl,
,J
I
J本村
Ik 鉄工
||下請賃加工
I
2
3
5
6
機械
7
9I
( 1
1
9I 1 妻沼町
Iy
IJ
I 12
2
8
機械
4
0I
(
中
古
2
台1
3
万
円
チエンプロッ久台車1
5万
円
)
氏 1
1
I 45
4
3
s
sI
機械(高周波ウエルター−)は農協立替で工賃月賦
ビニール山ダー加工 1 1
0
4
3
5
3
4
3
6
3
2
0I
埼玉県小鹿野町|
I
氏
返済, 2カ月据置,毎月 l
万円( 5
3カ月)
小鹿野町農協あっせんの
2
11
1
1
A
氏
i
I
貰
22I 1
1
IW
氏
2
5
2
台1
6
万
円
(637)
f
(
;
こ
, 1カ所につき約4
0
万円程度かけ,借用料として,毎
合,機械はグラインダー( 1台 8万円)とリフトカー( 1
:月,全体で 3万円支払っている O これに対して,松平農
台4
0
万円)又はチェ γ ブロッグが必要であるが,グライ
村工家協業組合の作業所は, 1カ所につき,総額 7
4
0∼
4
ンダーは, 3カ月据置き後 3カ月払い, リフトカーは2
1,150
万円程度の新築費をかけている。
カ月の分割払いとなっている。また,ピニールウエルグ
とにかく,松平農村工家協業組合の作業所は,一般の
ー加工の家内労働をあっせんしている埼玉県の小鹿野農
納屋工場と比較すると,著しく設備がよく,文化的なも
協では, 1台4
3
万円する加工機械である高周波ウエルダ
のであるといってよいのであるが,この作業所の建設に
ーを農協の立替で導入し, 2カ月据置き後, 5
3カ月間に
あたっては,県,市の補助金が若干なりともでている点
わたり,毎月 1万円づっ返済してもらうことになってい
に注目しておかなければならない。松平農村工家協業組
る。要するに,家内労働・単純労働型の場合は,作業所
合が,作業所の建設にあたり,県から受けた補助金は,
の改造に必要な若干の自己資金があれば,手許に,機械
1カ所につき 2
3
5万円の補助金を 6カ所分,市から受け
導入資金をもっていなくとも,仕事をはじめることがで
た補助金は, 1カ所につき 4
7
万円の補助金を 7カ所分で
きるものが多いといってよいであろう。
ある口県からの補助金は,愛知県の県単事業である「愛
家内労働・熟練労働型の場合は,単純労働型の場合と
知県山間地農村作業施設設置補助金」によるものであ
異り,機械の選択は自分の責任でおこなうものが多く,し
り,松平農村工家協業組合では,昭和4
5
,4
6
年度の事業
たがって,機械の導入にあたって,親企業との結びつきは
で,それを受けている。
ないものが多く,その資金調達には,国民金融公庫,信用
いずれにしても,「松平農村工家」の場合を除くと,
金庫,銀行,農協などから融資を受けるものが多くなる。
作業所は,一般に設備が悪く,したがって,場合によっ
また,機械屋から月賦で買うといったものもみられる。
ては,労働衛生の点で,問題をもつものがすくなくな
ところが,納屋工場経営型になると,機械導入にあた
い。たとえば,イモノのパリ取りの場合,粉じんが飛び
って,親企業との結びつきが強くなり,家内労働・単純
散り,じん肺の恐れがあるのであるが,ほとんど除じん
労働型と同様に,親企業に導入してもらい,工賃から月
装置はつけられていなし、。また,プム成型の場合,有害
賦で返済するといった形式のものが多い。
ガスが発生するにもかかわらず,効果的な除去設備がみ
あたらないといった状態で、ある O
なお,「松平農村工家」と常陸太田市北部農協のマイ
グロモーター組立工場の場合をみておくとつぎのとおり
つぎに,機械設備をみると,表 7に示すごとく,家内
である。
労働の単純労働型の場合は,機械の種類は I
∼2
種で,簡
「松平農村工家」の場合は,委託企業から設備投資に
単なものが多いが,熟練労働型になると,数種類の工作
あたって,委託企業から資金援助などを受けると,自主
機械をもつものが多くなる。したがって,固定資本投下
性が失われ,従属性が強まり,工賃も低くおさえられる
額は,当然,熟練労働型の方が多くなる。そこで,表 8
恐れがあるということから,すべて,農協資金がつぎこ
から,類型別に機械設備に対する資本投下額を算出して
まれている O 昭和4
7
年 3月3
1日現在の「松平農村工家」
みると,下記のようなものとなる。
の資産総額は, 1億 6
0
0万円以上となっている O 主なも
機械設備資本投下額(平均)
家内労働・単純労働型( 9例
)
49.8
万円
家内労働・熟練労働型( 4例
)
237.0
納 屋 工 場 経 営 型 ( 3例
)
240.0
ここでは,例数がすくないから,これで一般化するこ
のをあげておくと,建物 7,900万円,車輔運搬具 233万
円,工具器具備品(主として縫製加工用ミシン) 2
,
4
4
7
万円である。
常陸太田市北部農協の場合は,マイクロモーターの組
立に必要なベルトコンベアー,検査計器類,ハンドプレ
とは許されないが,いずれにしても,家内労働・単純労
ス,工具類は,一切,親企業であるマプチモーター株式
0
万円程度,熟練労働型と納屋工場経営型
働型では3
0∼9
会社(本社・千葉県松戸,資本金 1億 2
,
9
1
5万円,年間
では 1
0
0万円以上が,機械設備の資本として,投下する
売上げ6
0
億円)から導入してもらい,ベルトコ γ ベアー
必要があるといえよう。
では,その資金調達はどのようになっているであろう
カ
・o
表 8にみるごとく,家内労働・単純労働型の場合は,
については,試験操業終了後,農協が残存価格で買取り,
検査計器類,ハ γ ドプレス,工具類は,一切,会社から
貸与されている。
C ,原材料調達・製品納入
一般的に,機械についていえば,親企業の立替で導入し,
家内労働・単純労働型と納屋工場経営型の場合は,単
毎月の工賃から返済するといった形式のものが多い。た
一企業の下請賃加工的なものが多く, したがって,原材
とえば,理研ピストソリング・熊谷工場のパリ取りの場
料はすべて親企業から供給され,製品は,当然,その企
(638)
業にすべて納入される。しかしその場合,不良品生産
ごとく,経営形態,業種,地域などの違いによって,か
による原材料の損耗,運搬過程の危険負担などが大きい
なり差がみられるので,一般的に論ずることはできない
ものについては,親企業は,下請者に原材料を買い取ら
が,家内労働型は,単純労働にしろ,熟練労働にしろ,
せ,工賃で相殺するといった形式をとるものが多し、。工
納屋工場あるいは農協工場に比較して,労働時聞が長
賃は,家内労働・単純労働型についていえば,現金で受
く,休日が少いといった傾向をみることができる。納屋
けとるものが支配的であるといってよいが,納屋工場経
工場,農協工場の労働力は,すで、にみたごとく,主婦が
営型の場合には,手形で支払いを受けるものが多くな
主力であるから,当然,残業は困難であり,
るO したがって,家内労働・単純労働型の場合は,とく
て,家内労働型よりも,労働時聞を短くせざるをえない
に運転資金を必要としないが,納屋工場経営型の場合
であろう。
は,労賃の支払いもあるので,一定の運転資金が必要と
されることが多い。
以上の二者に対して,家内労働・熟練労働型の場合
したがっ
ところで,まず,家内労働・単純労働型の場合をみて
みると,理研ピストンリング−熊谷工場のパリ取り( No.
1
6∼1
9)のように, 1日当り実働 8時間,週休といった
は,下請仕事であることには変りがないが,いわば受注
ところもみられるが,埼玉県小鹿野町農協のピニールウ
生産的な要素が多くなり,したがうて,原材料の調達も
エルダー加工( No.20∼22)のごとく, 休日は定めてお
自分の責任で,材料屋から仕入れる場合もすくなからず
らず(月 1∼2回程度), 1 日当り実働1
2
時間といったと
みられる O また,家内労働・熟練労働型の場合,親企業
ころもみられ,さらに,愛知県豊田市の東海ゴム KK下
との結びつきは,家内労働・単純労働型ならびに納屋工
時
請・ゴム成型( No.1)のごとく, 1日当り実働 13∼14
場経営型と比較して,一般的にゆるく,したがって,主
間の長時間労働がみられる。
な親企業はきまっていても,単一ではなく,複数の企業
つぎに,家内労働・熟練労働型をみると, No.8 の顕
と結びついているものが多い。そして,工賃は手形で受
微鏡組立のごとく, 1日当り実働1
3
時間,休日が月当り
取るものが多くなる O したがって,運転資金のやりくり
平均 2日,また, No.10の地震計・硬度計部品製造のよ
にいろいろと苦労することが多い。
う
に
, 1日当り実働 9時間,休日が月当り平均2∼3日と
なお,「松平農村工家」と常陸太田市北部農協のマイ
クロモーター組立工場の場合をみておくとつぎのとおり
である。
「松平農村工家」の場合は,松平農協にある事務局(専
いったものがみられ,やはり, 1日当り実働1
0
時間前後
の長時間労働がみられる。
以上のごとく,家内労働型においては,週休 2日制が
問題になっている今日において,まだ週休制が確立して
従職員・男 8名,女 1名)を通じ,縫製関係の委託加工
おらず,実働1
0
時間前後の長時間労働がすくなからず存
で,複数の企業と結びついている O 昭和48年 1月現在,
在している O 納屋工場経営型の場合は,前述のごとく,
委託先企業は, くれひふく(日清紡系列, 作業服), タ
キヒヨー(子供記婦人服),荒川車体(トヨタ自工系列,
主婦が主要な労働力なので,労働時聞が,家内労働型に
比較して,短くなるのであるが,それは,週休制, 1日
自動車手ノート),竹中(帝人系列,紳士用コート),都紡
当り実働7
∼8
時間が一般的となっている O 主婦の場合,
織(ねまき類)の 5社であり,すべて,委託加工なの
実働 8時間でも,工場勤務の場合は,家事負担を考慮す
で,原材料は委託先企業から供給され,したがって,当
ると,負担が重いので,「松平農村工家」のごとく, 1
然,製品も委託先企業に納入される。
常陸太田市北部農協のマイクロモーター組立工場は,
日当り実働 7時間(土曜日 6時間,週4
1時間)におさえ
ているところもみられる。
形態からすると,マプチモータ− KK系列の全くの下請
e
. 時間当り労働報酬|(賃金)
工場であるといってよく,したがって,マプチモータ−
では,労働報酬(賃金)はどの程度であろうか。これ
K Kから原材料が供給され,製品はマプチモータ− K K
も,当然,業種,地域などの違いにより,大きな差がみ
に納入することになっている O ただし両者の委託加工
られるが,納屋工場で働く主婦の賃金が最も低く,つい
基本契約書によると,委託加工に必要な資材はすべて有
で,家内労働・単純労働型,家内労働・熟練労働型の順
償支給で,製品は買取りということになっており,それ
で,労働報酬が高くなり,納屋工場経営主の所得が最も
は,納品の際に相殺されることになっている O
高いといった傾向をみることができる(表10参照)。
d
. 労働時間・休日
さて,つぎに,労働時間・休日の状態をみてみるとし
よう。
農村家内工業従事者の労働時間・休日は,表 9にみる
まず,納屋工場で働く主婦の賃金であるが,時間当り
にすると, 100∼190円程度で,長野県伊那市の場合は,
150∼160円程度が相場となっている。常陸太田市北部農
協のマイグロモーター組立工場で働く主婦の場合は,時
表 8 農村家内工業調査事例一覧表・その 4
調
対
査
象
t
也
業
N
o
.
区
氏名(名称)
2
K
3
,
6
sK合成工業
I
I
I
I
I
高岡
氏
。
氏
1I
豊田市松平
H S工 業
l
K
氏
:
8I
伊那市西春近
労
種
働
時
間
|実働1
3∼1
4時開|
0∼1
1時頃まで(うち食事休憩 2時間)
通常午前 7時から午後 1
富士紡下請・撚糸
AMS, PM2, 8
, AM2の1日4回,取ぬけ・回収,各国 2人で 1時間程度
日曜日はイ木にする
東海ゴム下請・ゴム成型
男子 AMS∼ PMS, 女 子 AMS.30∼ PM6.30(うち休憩 1時間)
月当り平均 3日
|実働・男 1
1時間,女 9時間|
錦 町 ツ ク 明 造 IAM8-PM5(うち休憩 1時間2帆 但 し 男 子 は 平 均 1日当り残業4時 間 | 実 働1
附|
プラスチック成型下請
AM8-PM6(うち休憩 2時間,)残業はやらないことにじて吋
|実働 8時間|
顕微鏡組立下請
AM6∼ PM12(うち食事休憩をとるだけ,但し畳間はいろいろな用事でつぬることあり)
I
I
伊那
1
0
I
I
西春近
J製作所
地震計・硬度計部品製造
AM8∼ PM7(但し冬は PM6時まで,うち休憩 2時間)
1
1
I
I
東春近
N製作所
光学機器金属部品製造
AMS∼ PM5(うち休憩 1時間,但し,①専従の長男は 2∼3時間の残業)
1
2
I
I
美すず
M 工業
信英通信 KK下 請 山 サ ーIAM8∼ :
i
;
>
M
5(うち休憩 1時間20分
)
1
3
I
I
富
県
T
'
氏
自動車部品パネ加工
1
4
I
I
富県
y
氏
1
5
I
I
諏訪形
0製作所
1
6I
埼玉県熊谷市
U鉄 工 所
1
7
I
I
江南村
M −−氏
1
8
I
I
J
I
I本村
K鉄 工
l
9
I
I
妻沼町
日
東海ゴム下請・ゴム成型
9
氏
休
(始業・終業時刻,休憩時間,実働時間)
|パネ賃加工
フィルフユンテ1ンサ一製造
|実働 9時間(冬 8時間)!
|実働 8∼1
1時間!
週休制(日曜)
週休制(日曜)
月当り平均 2日
.,月当り平均2∼3日
週休制(日曜)
|実働 7時間的分|
AMB.05∼ PM5(うち休憩 9
5分),残業月に 2∼ 3日程度
5分
)
AM8∼ PM5(うち休憩 9
|実働1
3時間以上|
月当り平均 4 日
!実働 7時間20
分|
|実働 7時間2
5分|
AMS
−
∼ PM4.30(うち休憩6
5分),残業・夏あり,冬なし|実働 7時間2
5分|
AMS∼ PM 6(うち休憩 2
時間),残業,たまにあり
|実動 8時間|
日曜日はイ木にする
理研ピストンリング KK
鉄管継手ヰモノパリ取り
J__
y
AMS∼ PMlO(うち休憩 2時間)
|実働 1
2時間|
ビニールウエルダー賃加工 IAM8∼ PMlO(うち休憩 2時間)
|実働1
2時間|
小鹿野町農協あっせんの
氏
’ w
氏
2
2
A
|実働 8時間|
A問S
.
3
0∼ PM 5(うち休憩 2時間),但し家畜の世話は別
氏
氏
埼玉県小鹿野町
2
1
AM8∼ PM6(うち休憩 2時間)
下請賃加工
B’
AM6:30∼ PM9(うち休憩 3時間)
|パリ取り実働 7時間|
|実働 1
1時間 3
0分|
2
3I
常陸太田市北部農協・マイクロモーター組立(直営)
AMS∼ P M 9(うち休憩 1時間)
山I
−豊田市松平農協・縫製加工(協業)
AMS.15∼ PM4.15{土曜3
.
1
?
) |実働・月∼金曜 7時間,土曜 6時間,週4
1時間|
週休制(日曜)
α
∞cv
』
.
一
ー
=
=
=
=
'
1
1
‘
︵
宅='=司 F
|実働 8時間|
とくに定休なし
.
(640)
表 9 農村家内工業調査事例一覧表・その 5
調
査
対
象
N
o
.
売上げ
区
地
1
豊田市松平
2
I
I
I
I
3
I
I
I
I
6
I
I
高岡
8
伊那市西春近
業
氏名(名称)
干
主
。
氏
!
.
l
C
毎コーム下詰・ゴム成型
売上げ年間約 3
0
0万円(昭4
7)
一
K
氏
富士紡下請・撚糸
月当り平均工賃収入4
0
J
j円一諸
東海コーム下請・ゴム成型
売上げ年間約 1
,
0
0
0万円(昭4
7
)
HS工 業
金型(プラスチック・ゴム)製造
売上げ年 l
l
l
l
l
,
2
0
0
1
,
3
0
0万円(昭
K
氏
プラスチック成型下請
1人 1日当り平均労働報酬4
,
0
0
0
氏
顕微鏡組立下請
工賃平均 1台当り 8
0
0∼ 9
0
0円
,
sK合成工業
9
I
I
伊那
I
10
I
I
西春近
J製作所
地震計・硬度計部品製造
1人 1日当り売上げ 5
,
0
0
0円
,
1
1
I
I
束春近
N製作所
立
光学機器金属部品製i
月当り平均工賃収入2~ ~ 30万円,
12
I
I
美すず
M 工業
信英通信 KK下請コンデンサー
0万円,必
月当り平均工賃収入7
1
3
I
I
富県
T
氏
自動車部品ノ fネ加工
1日当り総労働報酬1
2万円. 1
1
4
I
I
f
ry
目
"
y
氏
ノfネ賃加工
0万円,)f
i
月当り平均工賃収入 5
1
5
I
I
諏訪形
O製作所
フィルムコンデンサー製造
0
0万円,雇人(女 日
売上げ月 4
埼玉県熊谷市
U鉄工所
1
6
1
7
I
I
司
江南村
M
氏
L
0万円/2人
月当リ平均労働組酬2
l
.
i
l
l石庁ピストンリグン KK
月当り平均労働報酬1
3∼ 1
4万円
1
鉄管継手イモノパリ取り
1
8
I
f
川本村
K鉄工
1
9
I
I
妻沼町
y
氏
月当り平均労働
I
氏
1日当り工賃収入6
,
2
5
0円/ 2人
A
氏
w
氏
2
0
埼玉県小鹿野町
2
1
I
I
2
2
I
f
I
I
I
I
下請貨加工
小鹿野町農協あっせんの
ビニールウエルグー賃加工
3万円/2
.
0
月当り平均労働報酬1
m酬 10万円/2人
1日当り工賃収入7
,
5
0
0円/2
.
5
1日当り工賃収入8
,
7
5
0円/3
.
0
2
3
常陸太田市北部農協・マイクロモーター組立(直営)
女 子 1日当 1
)1,040-1,120円
2
4
_
豊田市松平農協・縫製加工(協業
労働報酬月額制(出勤率で差が
(641)
時間当り労働報酬(賃金)
げ・工賃・労働報酬(賃金)など
経営主(家族)|
人
円
nL
o
b
円
n
u
/2人
諸経費(,原料,償却,手数料e
t
c
)
今180万円, 1日当り推定労働報酬5,800円
0万円(流動費6
万円,償却費 4
万円)キ3
0万円, 1日当り推定労働報酬1
2
,
0
0
0円
/3
.5人
経 費1
4
1
0
−諸経費キ400万円,月給制・男 7万円( 1日当り 2,600円),女3
.
5
万円( I日当り 1,300円
)
(
男
) 2
4
0
(
女
) 1
4
0
47),経営主(妻含む)の月当り所得3
0∼ 4
0万円,雇人男・月給10万円 1人
, 8万円 1人,女時間給1
7
0
5
5
0∼ 720
円
5
0
0
耳産 200台,月当り平均所得 16∼ 18万円, 1日当り推定労働報酬6,000円/ 2人
2
3
0
手取3
,000円/ 2人
,
雇
1日当り推定労働報酬6,000円
/ 2人
2
0
"∼ 400
(
男
)3
(
女
)
1
7
0
3
3
0
必要経費月当り 7∼ 8
万円, 1日当り推定労働報酬{8,800円
/2
.
5人,雇用(女)日給 1
,
3
0
0円
I
3
2
0∼ 440
(
女
) 1
6
0
要経費4
7万円,経営主月当り所得2
3万円, 1日当り推定所得9,000円,雇人(女)日給1,200円
I
g
o
o
(
女
) 160
770
(
男
) 250
(
女
) 190
日当り労賃支払8,800円
, l日当り家族労働報酬11,200円
/2人,雇人日給・男 1,800円,女1,400円
|
人(女)時間給1
5
0円
〔 1日当り 1
5
0×8時間= i,200円
)
(
女
) 150
給1
,
2
0
0円,ボーナス・夏I
.5カ月分,冬1.5カ月分
(
女
) 1
6
0
5
0
0
/2人,雇人(男)時間当り 2
5
0∼ 3
0
0円(出来高給)
3
5
0
(
男
)
2
5
0∼ 3
0
0
人,雇人(女)時間給120円
3
4
0
(
女
) 1
2
0
2
5( ) 『 ー
〈所得率95%), 1人 1日当り労働報酬約3,000円,雇人(女)日給 7-800円
250
人(所得率95%), 1人 1日当り労働報酬約2,900円
240
人(所得率95%), l人 1日当り労働報酬約2,800円
2
3
0
(
女
) 1
0
0
(時間給 A140円
, B135円
, C130円
)
(
女
) 1
3
5
ある)。 1日当りにすると女子2,000∼ 2,500,男子3,200円(残業含めると月 10万円)
(
男
,
) 460
(
女
) 300
(642)
間当り賃金が 1
3
5円で,納屋工場に準じているとみてよ
がおこなわれているのであるから,農村の家内工業とい
1日当り
えども,いわゆる副業的家内労働として存在することは
で
, L000∼1,200円程度でしかなく,著しく低賃金であ
できず,専業的家内労働とならざるをえない。したがっ
ることが特徴であるといえよう。要するに,納屋工場で
て,農業経営を存続するにしても,手間のかからない作
い。すなわち,納屋工場で働く主婦の賃金は,
働く主婦の賃金収入は家計補助的なものでしかない。こ
目に限定されてしまうのである ζ その京,今日の稲作
れに対して,「松平農村工家」の場合は,主婦の時間当
は
, 2ヘグタール程度でも,一定の機械装備を有するな
り賃金(協業方式なので,正確には「賃金」でなく,「労
らば,片手間農業の範囲に入ってしまっている O
働報酬」である)が 300円になっている点に注目してお
したがって,今後の農業経営の意向という点では,一
般的にいって,稲作をおこなっているものについていえ
きたい。
つぎに,家内労働・単純労働型の場合であるが,従事
ば,ほとんどが現状維推とこたえ,なかには,水田を売
者 1人・ 1時間当り労働報酬は, 2
20∼500円で,平均す
るものがあれば拡大しでもよいというものもいる O そう
時
ると 330円程度となる O いま,仮りに, 2人で 1日10
したものは,現に 1ヘクタール以上の水田を経営し,乗
間労働だとすると, 1日当りの労働報酬が 6
,
6
0
0円,月
用トラグター,パイ γダーなどの機械を導入しているも
25日稼動とすると,月当り 1
6
万円程度の所得となるので
のに多い。要するに,水田農業の場合,家内工業の導入
あるが,これは,一家総働き的な就労で得られるもので
あることを見落しではならない。家内労働・熟練労働型
と農地移動が直接的に結びつく事例は一般的にすくない
とし、ってよし、。
も,これに準ずるのであるが,時間当り労働報酬が,平
しかし,畑作についていえば,耕作放棄するものが多
く,長野県伊那市の事例では,そうした耕作放棄地が,
均3
6
0円と,若干高い。
最後に,納屋工場経営主の就業時間 1時間当りの所得
をみておくと,伊那市美すずの M工業( No.12,信英通
畜産専業農家(酪農)に,飼料畑として貸付けられると
いった事例もみられる。
信下請・コシデ γサー加工)が 900円,伊那市富県の T
なお,つけ加えておくならば, 1:"'グタール以上の水
民( No.13,自動車部品パネ加工)が 770円
, 豊田市高
田を経営するものからは,基盤整備,大型機械化を要望
岡・ HS工業(金型製造)が550∼720円となっている O
するものが比較的多くみられた。
f
. 労働安全衛生
I
I
I
. 農村家内工業の問題点
農村家内工業の作業所は,すでに指摘したごとく,一
般的にいって,安全衛生の点で,配慮されていないもの
以上,高度経済成長に伴う工場の地方分散,農村工業
が多く,したがって,労働災害,職業病発生の恐れが多
化が展開するなかで,各地の農村に広範にひろがってい
る下請家内工業の実態を明らかにしたが,最後に,その
分にあるといってよい。
たとえば,プレスなど工作機械によるケガ,
パリ取
り,研磨での粉じん発生,それからゴム成型による有害
問題点を整理し,今後の政策課題を示しておくこととし
T
こ
し
、
。
ガスの発生,さらに,有機溶剤,鉛の取扱いによる中毒
A. 問 題 点
発生などの危険性がすくなからずみられた。しかし,家
今日の農村における下請家内工業の成立条件を確認し
内労働型の場合,労災保険の特別加入は,ほとんどみら
れなかった。
ておくと,つぎのようにいってよいであろう。
すなわち,その外部的条件は,安い労働力と土地を求
3
. 農業経営
めての「地域開発」, 農村工業化が, 都市工業資本の側
各地の実態にもとづく,農村家内工業の状態は,以上
から,積極的におしすすめられていることにあり,ま
のとおりであるが,ところで,当該農家の農業経営はど
た,その内部的条件としては,農業,農村の「近代化 j
,
うであろうか。これは,当然,地域の農業事情,当該農
「都市化」に伴って,中高年,婦女子を中心とする相対
家の経営耕地規模などによって,その状態に違いがみら
的過剰人口が広範に生みだされていることにあるといっ
れる。たとえば,山間部の限界地的なところでは,全面
てよい。要するに,農村における下請家内工業は,離農
耕作放棄といったものがみられるのにたいして,平担部
転職が困難な中高年,婦女子の就労の場となっているの
の水団地帯では, 1ヘグタール以上の稲作をつづけてい
である。
るものもみられる。ただし,どこでも,共通しているこ
とは,稲作以外の作目は,自家野菜を除くと,ほとんど
一般的にいって,家内労働は,その需要側にとって
は,下記のようなメリヅトをもつものである。
みられない点である o 要するに,近代的工場制工業下請
イ.工賃が安い。
の家内工業の場合,親企業の生産計画にもとづいて事業
ロ.労務管理の費用と手数の節約。
(
'
6
4
3〕
ハ,,季節的繁閑,景気変動に応じて委託量の調節が可
合U
t
:
;
o
チ.業種は,プラスチック成型,
ゴム成型,
パリ取
り,研磨など O
ニ.土地,建物,機械設備などに投下する固定資本が
2
. 家内労働・熟練労働型の特徴
少なくてすむ。
イ.熟練労働力……一定年限,すくなくとも, 5カ年
ホ.労賃聞の紛争が回避される。
以上の技術習得期聞が必要であり,したがって,比
へ各種社会保険料負担な L0
較的若い時代から当該業種の住事に従事してきたも
ト.各種安全施設(労災,職業病,公害)に必要な経
のが多い。中高年になってからの転業は困難。
費の節約。
ロ‘本人が労働の主体であるが,家族を補助労働力と
以上のような需要側のメリットは,当然,裏をかえせ
ば,家内労働者側のデメリットとならざるをえない。す
なわち,工賃単価の決定は,家内労働者に組織的な交渉
力がないので,企業側のワンサイドベース主なりやす
く,したがって,低工賃とならざるをえない。家内労働
∼
して使用し,さらに 1 2名の雇用労働力を使用する
ものもみられる。
ハ.事業開始時の資本は,すくなくとも,
1
0
0万円以
上必要,機械類は自己調達・自己所有。
ニ.原材料は自己の責任で調達するものが多い。
者は,過長労働と家族総掛りの働きで,それをカパーす
ホ.労働時聞は単純労働型に比較すると,やや短い。
る
。
へ.工賃収入は単純労働型に比較すると高いが,工賃
支払いに手形の場合があるので,資金のやりくりに
季節的繁閑,景気変動に応じて委託量が調節されるこ
苦労することが多い。
とは,家内労働者がたえず不安定な状態におかれている
ことを意味し,また,仕事を継続していくために,仕事
ト.いわゆる専業的家内労働がほとんど……農業がむ
しろ副業。
が多いときには無理をする(過長労働)。
チ.工作機械類の使用が多いので,労災の危険度が高
家内労働者は,各種安全施設に十分な金をかけるほど
の資金的余裕がなく,また,労働安全衛生についての知
識が乏しいから,労災,職業病による健康破壊の危険に
l
さらされているものが多い。しかも,社会保障制度でカ
バーされていない。
し
、
。
リ.業種は,精密機械器具部分の製造, 各種金型製
造,撚糸など O
3
. 納屋工場経営型の特徴
現在,家内労働者は,家内労働法によって,一応,保
イ.不熟練雇用労働力依存……主として近隣農家の中
護されるようになったが,その内容は,著しく不十分で
高年婦女子,したがって,本人は,とくに熟練を要
あり,有名無実に近い。したがって,家内労働者一般に
する技能・技術を有せずとも,一定の資本と経営能
ついての問題点は,そのまま,農村の家内工業従事者に
も通用するものであるといわなければならないし,場合
によっては,より劣悪である。
そこで,今日の農村家内工業(近代工業下請)の特徴
を要約し,その問題点を指摘しておくならば,以下のと
おりである。
1
. 家内労働・単純労働型の特徴
イ.不熟練労働力で可・…・・技術習得が簡単で,中高年,
婦女子でも就労可能。
ロ.少額資本で事業開始可能・…・・親企業から機械を導
入してもらい工賃で月賦返済。
ハ.原材料は親企業から供給される。
ニ.労働時聞は, 1日実働 1
0
時間以上のものが多く,
休日は週休制になっていないものが多い。
ホ.工賃は低く,過長労働と一家総働きで,絶対収入
額確保。
へ.いわゆる専業的家内労働がほとんど……農業がむ
しろ副業。
ト.労働衛生面で,危険有害作業が多い。
力をもっていれば,事業開始可能。
ロ.事業開始時の資本は,すくなくとも,
1
0
0万円以
上必要,ただし主要機械は,親企業の立替で導入
し,工賃から月賦返済,又は親企業から貸与されて
いるものが多い。
へ原材料は,親企業から全面供給されているものが
多い。
ニ.労働時聞は, 1日8時間労働,週休制が普通,パ
ートによる短時間就労も認めるものが多い。したが
って,時間管理は,比較的,厳密である O
ホ.雇用労働力の賃金は,日給又は時給で,夏冬のポ
ーナス支給もみられるが,低賃金(主婦の場合, 1
日当り 1,200円前後)。
へ,本人の所得は,家内労働・熟練労働型よりも高い
が
, リスクも大きい。
ト.労働衛生面で,問題があるものが多い。
チ.業種は,コ γデソサー,抵抗器など電子工業関係
部品,自動車部品などに多い。
4
. 農協の農村工業事業
(644)
イ.家内労働の仲介(小鹿野町農協)
家内労働・単純労働型の特徴と同じ。
ロ.直営工場方式(常陸太田市北部農協)
納屋工場経営型の特徴と同 Co
ハ.協業組合方式(豊田市松平農協)
「松平農村工家」の場合,企業との関係で相対的
当然,その紹介,あっせん業務もおこなう要がある O
2
. 農村家内工業者の組織化
農村における家内工業者の自主的な組織をつくり,企
業側のワンサイドベースを排除していくために,自主的
な農村家内工業者の組織化を援助し,協業方式を検討す
る必要がある。
独自性をもっており,また,その運営は,参加者の
3
. 農村家内工業の職業訓練,資金援助
自主性を基礎に,労働条件の向上を全員の努力でめ
今日の定形化された職業訓練で、は,農村家内工業の場
ざすものとなっているので,納屋工場に比較する
合,対応することがほとんど不可能に近いから,それぞ
と,労働時聞が短かく,しかも,「賃金」水準が高
れの地域の特殊性に応じた職業訓練方式を検討する必要
い。さらに,作業所設備が,地域(部落)の生活向
がある O その場合,事業開始に必要な資金援助もセット
上と結びつけて考えられているので,納屋工場に比
しておこなう必要があろう。
較して,著しくすぐれている O
4
, 作業設備の建設・改善の資金援助
要するに,家内労働・単純労働型と納屋工場経営型の
農村家内工業従事者の健康を維持し,守るには,適正
場合は,中高年,婦女子の就労が可能で,しかも,事業
な作業環境が確保されなければならないので,作業設備
の開始にあたって,多額の資金を必要としないが,その
の建設・改善にあっては,一定の基準を設け,資金援助
労働条件は著しく劣悪である O これに対して,家内労
をおこなう必要がある O これについては,愛知県で,す
働・熟練型の場合は,労働条件が,単純労働型に比較す
でにおこなわれている県単事業の豊田市松平農協の協業
ると,改善されるが,中高年になってからの転業は比較
方式の経験を検討し一般化する方向が考えられよう。
的困難であり,
しかも,一定の資金が必要である O ま
た,農協の農村工業事業においては,親企業に対して,
5
. 労働安全衛生に関する啓蒙
農村の家内工業従事者のあいだには,労働安全衛生に
自主性を確保するようなものでなければ,納屋工場とな
関する知識が,一般的にいって,普及していないので,
んら変りのないものとなってしまう。
今後,その啓蒙宣伝にいっそう努力する必要がある O
B. 今 後 の 課 題
6
. 社会保障制度の適用・充実
以上のごとく,一般的にいって,農村家内工業は,そ
農村における家内工業従事者は,現行社会保障制度が
の労働条件が劣悪であるから,それを向上させるための
十分に適用されていないので,今後,その適用・充実に
措置がどうしても必要である O したがって,法的行政的
ついて検討する必要がある O とくに,労災保険の特別加
措置としては,当然,現行家内労働法の充実強化が求め
入はほとんど普及していないので,十分,考慮する必要
られなければならないが,今後の政策課題として,下記
がある O
のような点が検討されなければならないであろう。
1
. 農村家内工業に関する情報提供
7
, 農業生産対策
農村の家内工業従事者の労働負担を軽減すると同時
農村における下請家内工業は,一般に,縁故による結
に,当該地域の農業生産の荒廃を防ぐために,合理的な
びつきが多く,したがって,企業側のワンサイドベース
土地利用をすすめる集団的な生産組織の育成が必要で、あ
る。
になりやすい。そこで,公正競争条件を形成するため
に,家内工業に関する情報を公的機関が蒐集し,農村側
に流すようなシステムをつくる必要があるといえよう。
(受付: 1
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年 7月14日
)
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