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平成25年度 研究開発実施報告書

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平成25年度 研究開発実施報告書
平成 22 年度指定
スーパーサイエンスハイスクール
研究開発実施報告書
第4年次
平成 26 年3月
青森県立八戸北高等学校
▼ SS アクティベイト Ⅰ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
理科基礎実験(生物:5月)
理科基礎実験(物理:11〜12月)
ESD 講演会(6月)
科学史・科学倫理講演会(9月)
環境・エネルギー講座(11月)
ディベート(12〜2月)
i
▼ SS アクティベイト Ⅱ-① ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
IT ラボ(6月)
森林環境講座(6月)
発生実習(8月)
センター研修(8月)
地学・エネルギー巡検(8月)
青森サイエンスキャンプ(9月)
ii
▼ SS アクティベイト Ⅱ-② ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ALT ラボ I(10〜11月)
アウトリーチ・ラボ(12〜1月)
▼ SS リサーチ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
生徒研究発表会(12月・校内)
ALT ラボ II(12〜2月)
東京研修(1月)
数学ゼミ(2月)
iii
▼ SS インテグレイト/SSH 講演会及び他の活動等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
科学英語(4〜6月)
学習成果発表会(6月)
マス・フェスタ(8月)
SSH 講演会(10月)
ESD クラブ(12〜2月)
東北 SSH 研究発表会(2月)
iv
は じ め に
校 長
福
地
進
平成25年度は、本校 SSH にとって基礎枠の継続指定4年目であると同時に、新たに科学技術人材
育成重点枠の指定(2年間)を受け、SSH 事業に質・量ともに厚みが増した1年でした。それに伴い、
校内の SSH 推進委員会も従来の3名体制から、理科教員2名に、数学科教員、英語科教員、実習講師
が加わり、5名体制となりました。
SSH 推進委員会では、今年度は2年次の課題研究の質的向上を重点事項の一つと決めていました。
まず、SSH リサーチの4月のオリエンテーションで仮説設定の重要性を説き、どの課題研究にもきち
んと盛り込むように指導の徹底を図りました。また、外部との積極的な連携を推進した結果、大学の研
究者から研究内容に指導助言をいただいた班や、行政機関、地域の資料館、NPO 団体等から協力を得
ながら研究を進めた班が出てきました。さらに9月には中間発表会を新たに開催し、生徒たちにポスタ
ーセッションの形式で4月から進めている課題研究の内容紹介を行わせました。12月の生徒研究発表
会では、運営指導委員の先生方から、課題研究における論理展開、プレゼンテーションの仕方に対して
高い評価をいただきましたが、これらのことから、課題研究の質的向上に向けた取り組みがプラス効果
をもたらしていることが窺えます。またこの発表会では、昨年度にも増して、フロアと発表者の間で活
発な質疑応答が行われており、探究活動の面白さが学校全体に浸透しつつあると思われます。なお、こ
の発表会で最も優れていると評価された地学班は、東北地区 SSH 指定校発表会口頭発表の部で最優秀
賞、第57回日本学生科学賞青森県審査で最優秀賞を受賞するなど、対外的に SSH の課題研究が高い
評価を受けるようになりました。
これとは別に、基礎枠においてより効果的な事業とするために今年度変更・追加等を行ったのは以下
のとおりです。SS アクティベイトⅠではテーマを環境・エネルギーに統一化し、理科基礎実験をはじ
め各事業のねらいが効果的に達成できるよう工夫・改善を加えました。また、東京研修については、従
来は1年次1月に実施していましたが、1年次に校外行事が集中し過ぎることもあり、実施時期を2年
次1月に変更しました。研修内容も、東京大学での第一線の研究者による講義を盛り込む等、一部見直
しを図っています。さらに、三沢米軍基地内の学校で英語を使って出前実験を行う、1年次のアウトリ
ーチ・ラボについては、昨年度は高校生を対象としましたが、実験内容、知的発達段階、語学レベル等
を踏まえ、今年度は小学生を対象としました。この事業に先立ち、英語科と理科専門の ALT による6
週にわたる事前指導、英語専門の SSH 推進委員による基地内担当者との綿密な事前打合せが行われて
いますが、当日の実験では児童の反応がよく、質問も多く発せられ、生徒・児童間での英語でのやりと
りも積極的に行われるなど、国際性育成の指導体制が着実に成果を生んでいると言えます。
一方、事業成果の普及という点で、いくつかの新しい動きがありました。まず、前述のとおり、今年
度から新たに指定を受けた科学技術人材育成重点枠についてですが、東北地区での指定は唯一本校のみ
です。この重点枠は、八戸市を中心とする小学校・中学校、県内の高等学校等の研究活動を活性化する
ことを目的としており、これまで蓄積してきた本校 SSH 事業の成果を基に、小中高連携フィールドワ
1
ーク、小中高連携ウェルカムラボ、地域連携サイエンスセッション、コンソーシアム青森の4つの事業
を開発し、行いました。参加した児童・生徒たちは、様々な交流を通じて、科学的な興味・関心や科学
的研究への意欲が高まり、また探究活動の方法に対する理解を深めることができたようです。
また、本校 SSH 事業について紹介する機会にも恵まれました。私事になりますが、全国普通科高等
学校長協会誌で「SSH と学校経営、生徒の変容」と題して紙面発表を行いました。さらに、前述の県
教頭・副校長会三八支部の秋季研修会でも、SSH 推進委員長と共に本校 SSH 事業について紹介しまし
た。一方、JST 主催の全国 SSH 交流会支援教員研修会(東日本地区開催)では、英語科主任が英語プ
レゼンテーションに向けた1年次からの指導について実践報告をしています。発表後に多くの質問が寄
せられたとのことで、地方の普通高校における国際性育成の取り組みとして本校の事例に注目が集まり
ました。来年度、本校 SSH は指定10年目を迎えますが、各事業の充実とともに、蓄積された成果を
如何に効率よく校内外に普及させていくかが、これまで以上に大きな課題となります。
最後になりましたが、本校 SSH 事業の推進にあたり、文部科学省、JST、青森県教育委員会、八戸
市教育委員会、SSH 運営指導委員の先生方、大学や研究機関等の先生方、重点枠の連携校の先生方、
他校の ALT 等、非常に多くの方々から多大なる御支援・御指導・御協力をいただきました。この場を
借りて、改めて厚くお礼申し上げます。
2
目
次
Ⅰ 研究開発実施報告(要約)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
5
Ⅱ 研究開発の成果と課題
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
9
1 学校の概要
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
11
2 研究開発課題
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
11
3 研究の概要
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
11
4 研究開発の実施規模
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
12
5 研究内容・方法・検証
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
12
6 研究計画・評価計画
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
16
7 研究開発の経緯
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
16
①理科基礎実験
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
19
②ESD 講座
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
20
③ESD 講演会
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
20
④科学史・科学倫理 講座
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
21
⑤科学史・科学倫理 講演会
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
21
⑥環境・エネルギー講座
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
22
⑦ディベート
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
22
①情報基礎実習
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
23
②IT ラボ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
24
③森林環境講座
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
24
④センター研修
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
25
⑤発生実習
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
25
⑥地学・エネルギー巡検
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
26
⑦青森サイエンスキャンプ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
26
⑧放射線実習セミナー
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
27
⑨ALT ラボ I
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
27
⑩アウトリーチ・ラボ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
28
①課題研究
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
29
②ラボ・インターンシップ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
32
Ⅲ 研究開発実施報告書(本文)
8 研究開発の内容
(1)SS アクティベイトⅠ
(2)SS アクティベイトⅡ
(3)SS リサーチ
3
③東京研修
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
32
④ALT ラボⅡ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
33
⑤数学ゼミ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
33
①科学英語
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
34
②学習成果発表会
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
35
③発展数学
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
35
①SSH 講演会
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
36
②〜⑩他の活動等
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
37
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
40
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
45
1 教育課程
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
47
2 研究組織の概要
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
51
3 運営指導委員会 会議録
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
52
4 全国 SSH 交流会支援教員研修会 報告
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
54
5 生徒対象アンケート集計結果
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
55
Ⅴ 科学技術人材育成重点枠(要約)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
61
Ⅵ 科学技術人材育成重点枠の成果と課題
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
62
1 研究開発テーマ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
63
2 研究開発の経緯
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
64
①コンソーシアム青森
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
65
②小中高連携フィールドワーク
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
69
③地域連携サイエンスセッション
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
72
④小中高連携ウェルカムラボ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
75
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
78
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
78
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
79
(4)SS インテグレイト
(5)SSH 講演会及び他の活動等
9 実施の効果とその評価
10 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
Ⅳ 関係資料
Ⅶ 科学技術人材育成重点枠実施報告書(本文)
3 研究開発内容
5 実施の効果とその評価
6 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
Ⅷ 科学技術人材育成重点枠 関係資料
4
Ⅰ
研究開発実施報告(要約)
Ⅱ
研究開発の成果と課題
青森県立八戸北高等学校
22〜26
平成25年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
① 研究開発課題
(1)探究心や創造性に優れかつ倫理観を備えた、国際社会に通用する調和のとれた科学技術系人材を育
成する。
(2)持続可能で汎用性のあるカリキュラムを研究開発し、大学等とも連携して地域の理数教育をリード
する拠点校を目指す。
② 研究開発の概要
・SS アクティベイトⅠ…環境及びエネルギーに関する一連のプログラムで構成された、持続可能で汎用
性のあるカリキュラムの研究開発に取り組んだ。
・SS アクティベイトⅡ…大学や研修施設への訪問によって科学への興味・関心を喚起するとともに、基
礎的な実験技術の習熟を図った。
・SS リサーチ…大学等と連携しながら課題研究を進めるとともに、ALT による実験授業で科学分野に
おける英語の活用を経験させた。
・SS インテグレイト…2年次に行った課題研究の内容を英訳させ、英語でプレゼンテーションさせた。
③ 平成25年度実施規模
(1)年間を通して対象となった生徒数は以下の通り(学校設定教科「総合 SS」の履修生徒数)
・SS アクティベイトⅠ(1単位)…1年次生全員(240名)
・SS アクティベイトⅡ(2単位)…1年次 SSH クラス生(40名)
・SS リサーチ(2単位)
…2年次 SSH クラス生(40名)
・SS インテグレイト(1単位) …3年次 SSH クラス生(39名) 合計319名
(2)他の事業への参加生徒数
・SS アクティベイトⅠの関連活動…1年次生希望者(7名)
・SS アクティベイトⅡの校外活動…1年次一般クラス希望者(5名)
・SSH 講演会…全校生徒(708名)
・生徒研究発表会…1及び2年次生全員(479名)
④ 研究開発内容
○研究計画
(1)第1年目(平成22年度)
1年次生全員に対し、学校設定科目「SS アクティベイトⅠ(1単位)
」を実施し、ESD、科学史や科学
倫理の講座の導入により、科学に対する興味・関心を喚起し、SSH 校生に求められる科学的素養や態度
を育てる。また、環境・エネルギーを主テーマに、教科横断型カリキュラムによるディベートを取り入
れ、理系文系の別なく将来必要とされる科学的論理的な思考力とコミュニケーション能力の育成を図る。
1年次 SSH クラス生及び希望する1年次生には、学校設定科目「SS アクティベイトⅠ(1単位)
」の他
に、学校設定科目「SS アクティベイトⅡ(1単位)
」を実施し、研究者や技術者に必須な研究の基礎・
基本となる理科4分野の実験技術、データ処理、実験レポートの作成等の習熟を図る。また、センター
研修やサイエンスキャンプ、エクスカーション等、大学・研究施設等での実験・実習を通して、科学に
5
対する関心・意欲を喚起するとともに SSH クラス生としての自覚と目的意識を涵養する。
(2)第2年目(平成23年度)
1年次生に対しては、前記(1)の通り実施する。2年次 SSH クラス生に対しては、物理・化学・生物・
地学・数学からテーマを選択し大学・研究施設等と連携しながらグループで課題研究を行う、学校設定
科目「SS リサーチ(2単位)
」を実施する。課題研究では取り扱う内容をより高度化させ、探究心・独
創性・創造性・科学的論理的思考力やプレゼンテーション能力を高め、科学技術系人材としての資質を
向上させる。また、ラボ・インターンシップを実施し、SSH とキャリア教育をリンクさせることで進路
選択能力の育成を図る。
(3)第3年目(平成24年度)
1・2年次生に対しては、前記(2)の通り実施する(ただし、今年度から「SS アクティベイトⅡ」は
2単位で実施する。
)また、米軍三沢基地内高校を訪問し、米国人高校生と交流を行う中で国際性を育成
する。3年次 SSH クラス生に対しては、2年間の科学英語及び国際性の育成に関する指導の成果を基に、
さらなる科学英語力の向上を目指し、英語による課題研究のプレゼンテーションを行わせる。また、発
展的な数学の内容を集中的に学習することで、科学技術の発展に数学が果たす役割を実感させる学校設
定科目「SS インテグレイト(1単位)
」を実施する。
(4)第4年目・第5年目(平成25・26年度)
第3年目における3年間の事業成果の細かい検証・分析を基に、第4年目以降の取り組みの改善・充実
を図る。
○教育課程上の特例等特記すべき事項
研究開発課題に取り組むに当たって、既存の教育課程における教科・科目では対応できないことから、
次のとおり学校設定教科「総合 SS」を開設する。1年次生全員に対し「総合的な学習の時間」1単位を
減じて「SS アクティベイトⅠ」を、1年次 SSH クラス生に対し「社会と情報」2単位を減じて「SS ア
クティベイトⅡ」を、2年次 SSH クラス生に対し「化学」及び「総合的な学習の時間」各1単位を減じ
て「SS リサーチ」を、3年次 SSH クラス生に対し「総合的な学習の時間」1単位を減じて「SS イン
テグレイト」を履修させる。
○平成25年度の教育課程の内容
(SSH クラス以外の1年次生)国語総合、現代社会、数学Ⅰ、数学 A、化学基礎、生物基礎、体育、
保健、音楽Ⅰ/美術Ⅰ(選択)、コミュニケーション英語Ⅰ、英語表現Ⅰ、家庭基礎、社会と情報、
SS アクティベイトⅠ
(1年次 SSH クラス生)国語総合、現代社会、数学Ⅰ、数学 A、化学基礎、生物基礎、体育、保健、
音楽Ⅰ/美術Ⅰ(選択)、コミュニケーション英語Ⅰ、英語表現Ⅰ、家庭基礎、
SS アクティベイトⅠ、SS アクティベイトⅡ
(2年次 SSH クラス生)現代文、古典、世界史 A、日本史 B/地理 B(選択)、数学Ⅱ、数学 B、
物理基礎、化学、物理/生物(選択)、体育、保健、英語Ⅱ、ライティング、SS リサーチ
(3年次 SSH クラス生)現代文、古典、日本史 B/地理 B、
数学Ⅲ/探究数学Ⅲ(選択)、数学 C/探究数学Ⅳ(選択)、物理Ⅱ/生物Ⅱ/地学Ⅱ(選択)、
化学Ⅱ、体育、リーディング、ライティング、SS インテグレイト
○具体的な研究事項・活動内容
(1)1年次生全員に対する研究開発 <SS アクティベイトⅠ>
理科基礎実験(地学/生物 5月、化学/物理 11・12月)
、ESD 講座(6月)
、
ESD 講演会(6月)
、科学史・科学倫理 講座(7月、10月)
、科学史・科学倫理 講演会(9月)
、
環境エネルギー講座(11月)
、ディベート(12〜2月)
6
(2)1年次 SSH クラス生(一部、希望する1年次生)に対する研究開発 <SS アクティベイトⅡ>
情報基礎実習(4〜6月、10月)
、IT ラボ(6月)
、森林環境講座(6月)
、センター研修(8月)
、
発生実習(8月)
、放射線実習セミナー(8月)
、地学・エネルギー巡検(8月)
、
青森サイエンスキャンプ(9月)
、ALT ラボ I(10〜11月)
、アウトリーチ・ラボ(12〜2月)
(3)2年次 SSH クラス生に対する研究開発 <SS リサーチ>
課題研究(4〜12月)
、ラボ・インターンシップ(8月)
、ALT ラボ II(12〜2月)
、
東京研修(1月)
、数学ゼミ(2月)
(4)3年次 SSH クラス生に対する研究開発 <SS インテグレイト>
科学英語(4〜6月)
、学習成果発表会(6月)
、発展数学(9月)
(5)SSH 講演会及び他の活動等
全国 SSH 研究発表会(8月)
、SSH 講演会(10月)
、青森県理数系課題研究発表会(12月)
、
東北地区 SSH 指定校発表会(2月)
、東北地方 ESD プログラム発表大会(2月)等
⑤ 研究開発の成果と課題
○実施による成果とその評価
(1)SS アクティベイトⅠ
ESD や科学倫理の学習等においては、環境と社会を関連づけたり、環境のためにどう行動すべきかを
考える態度が育成された。理科基礎実験では、環境問題について実感を伴った理解をさせることができ
た。ディベートでは論理的思考力や論点をまとめる力が身についた。意識調査における肯定的回答は、
「科学技術に対する興味関心が増したか(80%)
」
、
「社会で科学技術
SSH クラスを除く一般クラスで、
を正しく用いる姿勢が増したか(61%)
」となった。
(2)SS アクティベイトⅡ
仮説・検証・考察・発表という探究プロセスを理解・習得させることができ、また、科学分野への興味・
関心を引き上げることができた。意識調査における肯定的回答は、
「科学技術に対する興味関心が増した
か(95%)
」
、
「科学技術に関する学習に対する意欲が増したか(94%)
」となった。理科専門の ALT
と英語科教員の連携強化により、ALT による実験指導や米軍三沢基地内の小学生への実験紹介を通して、
科学分野での英語活用の重要性を理解させ、英語コミュニケーション能力を育成することができた。
(3)SS リサーチ
課題研究においては、仮説の明確な設定と論理的な検証を重視するとともに、発表の機会を意図的に増
やした。意識調査における肯定的回答は、
「探究心が増したか(97%)
」
、
「発表し伝える力が増したか
(100%)
」という結果となった。運営指導委員からは、論理展開や発表態度において高い評価をいた
だき、担当教員も生徒の主体性や分析力、情報収集力向上を感じ取った。学習成果発表会の参加や ALT
の実験指導を通して、科学分野における英語活用の重要性を理解させることができた。
(4)SS インテグレイト
科学英語では、課題研究の英訳や発音・発表練習などにより、コミュニケーション能力及び英語学習へ
の関心を高めることができ、学習成果発表会では英語によるプレゼンテーション能力が向上させること
ができた。運営指導委員からは「年々上達してきている」
、指導に協力した他校の ALT からも「昨年
度よりレベルが上がった」との評価があった。
(5)その他の活動
東北地区 SSH 指定校発表会では地学班が最優秀賞を、東北地方 ESD プログラムチャレンジプロジェ
クト発表大会では青森県知事賞を受賞し、数学オリンピックでは北海道・東北地区表彰者が2名出た。
7
○実施上の課題と今後の取組
(1)SS アクティベイトⅠ
構成プログラムの種類が多く、ディベート以外には十分な時間を充てることができない状況である。生
徒にとっても統一感を感じにくい印象があり、今年度は例年以上に「環境とエネルギー」というテーマ
を強調しながら進めた。将来的に「持続可能で汎用性のあるカリキュラム」として普及させるには内容
の精選を進めていく必要がある。探究活動の一般クラス生への拡大については、希望者からなる活動を
継続していきたい。
(2)SS アクティベイトⅡ
探究プロセス及びプレゼンテーション方法習得に関する研修、科学技術への興味・関心高揚に関する校
外研修は年々変更を加えながら改善してきたため、次年度も継続する。アウトリーチ・ラボでは、米軍
三沢基地内の児童とさらに親密なコミュニケーションを取れるよう事前指導を強化する。ALT ラボⅠで
は、ALT とのやりとりの場面を増やすことにより、英語学習の意欲高揚につなげる。一般クラスの希望
者による、SS アクティベイトⅡの一部のプログラムへの参加も継続する。
(3)SS リサーチ
課題研究においては、仮説設定プロセスの改善、動機と仮説との相違の認識、データの信頼性や実験の
再現性などについて、担当教員内で共通認識をもって指導改善に取り組む。国際性の育成に関しては、
2年次の後半での ALT ラボⅡや次年度の科学英語の準備のみではなく、年間を通して学習の動機づけ
を工夫する。東京研修は、全国 SSH 生徒研究発表会の参観を考慮して8月に実施する。
(4)SS インテグレイト
生徒は英訳以前に、研究内容を短時間で紹介することに困難を感じており、その対応のためには2年次
からの準備が必要である。また、英語による要旨を作成させ、早期に科学英語に触れさせる工夫も考え
られる。発展数学については、年度ごとに内容のばらつきがあったため、今後は理系学生にとって重要
と思われるものを検討し、継続的に指導していく。
8
青森県立八戸北高等学校
22〜26
平成25年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
① 研究開発の成果
(1)SS アクティベイトⅠ
ESD や科学倫理の学習等においては、環境と社会を関連づけたり、環境のためにどう行動すべきかを
考える態度が育成された。理科基礎実験では、特に放射線及び酸性雨の実験を通して、環境問題につ
いて実感を伴った理解をさせることができた。ディベートでは論理的思考力や論点をまとめる力が身
についた。意識調査における肯定的回答は、SSH クラスを除く一般クラスで、
「科学技術に対する興
味関心が増したか(80%)
」
、
「社会で科学技術を正しく用いる姿勢が増したか(61%)
」という結
果となり、科学に対する素養や態度を身につけさせるというねらいは十分達成されたといえる。
(2)SS アクティベイトⅡ
センター研修では、仮説・検証・考察・発表という探究プロセスを理解・習得させることができ、各種
校外研修において、科学分野への興味・関心を引き上げることができた。意識調査における肯定的回答
は、
「科学技術に対する興味関心が増したか(95%)
」
、
「科学技術に関する学習に対する意欲が増した
か(94%)
」という非常に高い数値を得た。国際性の育成については、ALT ラボⅠで、実験を通して
科学分野での英語活用の重要性を理解させることができ、アウトリーチ・ラボでは、米軍三沢基地内の
小学生に科学実験を紹介することを通して英語コミュニケーション能力を育成することができた。これ
らの指導を通して、理科専門の ALT と英語科教員の連携がこれまで以上に強化された。
(3)SS リサーチ
課題研究においては、仮説の明確な設定と論理的な検証を重視し、中間発表会や地域連携サイエンス
セッションの実施、各種学会への参加など、発表の機会を意図的に増やした。意識調査における肯定的
回答は、
「探究心が増したか(97%)
」
、
「発表し伝える力が増したか(100%)
」という結果となっ
た。12月の生徒研究発表会に出席した運営指導委員からは、論理展開や発表態度において高い評価を
いただき、また、担当教員による生徒観察でも主体性や分析力、情報収集力等が増したことが報告され
た。よって、総合的に探究力が向上したと評価できる。また、SS インテグレイトの学習成果発表会参
加時の英語による質問や、ALT の実験指導による ALT ラボⅡで科学分野における英語活用の場面を増
やし、その重要性を理解させることができた。意識調査の結果、肯定的回答は「英語表現力や国際感覚
が増したか(72%)
」となった。
(4)SS インテグレイト
科学英語では、課題研究の英訳や発音・発表練習などにより、コミュニケーション能力及び英語学習へ
の関心を高めることができ、学習成果発表会では英語によるプレゼンテーション能力が向上させること
ができた。運営指導委員からは「年々上達してきている」
、指導に協力した他校の ALT からも「昨年
度よりレベルが上がった」との評価があった。意識調査の結果、肯定的回答は「英語表現力や国際感覚
が増したか(80%)
」となり、昨年度よりも13%上昇した。
(5)その他の活動
東北地区 SSH 指定校発表会では地学班が最優秀賞を、東北地方 ESD プログラムチャレンジプロジェ
クト発表大会では青森県知事賞を受賞し、数学オリンピックでは北海道・東北地区表彰者が2名出た。
9
② 研究開発の課題
(1)SS アクティベイトⅠ
当初の計画にできるだけ変更を加えず実施してきたが、1単位の授業としては構成プログラムの種類が
多く、やや統一感に欠ける。個々の実施効果は確かにあり、仮説も支持されているが、ディベート以外
には十分な時間を充てることができない状況であり、生徒も「今、何を学んでいるか」を把握しにくい
ことから、今年度は「環境とエネルギー」というテーマを今まで以上に明確に打ち出し、構成プログラ
ムをこのテーマに収束させるよう努めた。将来的に「持続可能で汎用性のあるカリキュラム」として普
及させるには重点項目に沿って開発教材を集約し、誰でも指導しやすい形に改良を進めていく必要があ
る。探究活動の一般クラス生への拡大については、今年度実施した ESD クラブのような希望者からな
る活動を継続して実現させていきたい。
(2)SS アクティベイトⅡ
情報基礎実習及びセンター研修で、情報収集・データ処理も含めた探究プロセス及びプレゼンテーショ
ン方法の習得には十分な効果が得られている。他の校外研修では年々事前学習を充実させ、また内容を
取捨・統合するなど改善を施してきた。よって、これらについては次年度も継続する方向でよいと考え
る。一方、国際性の育成に関しては、英語科教員と ALT との連携強化によりまだ改善の余地がある。
新規に立ち上げたアウトリーチ・ラボでは、米軍三沢基地内の児童とさらに親密なコミュニケーション
を取れるよう、入念な指導を行い不安なく訪問したい。また、ALT ラボⅠでは、ALT とのやりとりの
場面を増やすことにより、英語学習の意欲高揚につなげていきたい。SS アクティベイトⅡの一部のプ
ログラムについては、一般クラスの希望者も参加できる体制をとっており、今後も継続の予定である。
(3)SS リサーチ
課題研究においては、仮説設定プロセスの改善、動機と仮説との相違の認識、データの信頼性や実験の
再現性などについて、次第に運営指導委員から指摘されるようになってきた。これらは、従来ある程度
許容されていた点であるが、課題研究の質的向上に伴い評価の規準も上がってきたことが背景にある。
SSH 推進委員会主導の下、担当教員内で共通認識をもって今後の指導に当たりたい。国際性の育成に
関する取り組みとして、今年度は学習成果発表会に参加させ、英語でプレゼンテーションした3年次生
に英語で質問する指導を行った。2年次の後半は ALT ラボⅡや次年度の科学英語の準備に時間を振り
分けているが、英語学習への意欲を低下させないため、こうした前半での工夫も加えていきたい。東京
研修の実施時期については、全国 SSH 生徒研究発表会の参観を考慮して1月から8月に移行する。
(4)SS インテグレイト
科学英語の授業で解決すべき大きな課題は、英訳以前に「研究内容を4分間に分かりやすくまとめ上げ
る」ことである。現在、仮説や実験方法等を書き出すワークシートを用いているが、十分な時間で行う
日本語プレゼンテーションに慣れた生徒にとって、要点を絞り込むことは即座に適応しにくい課題とな
っている。その解決のためには、2年次のうちに制限時間内で研究を紹介できるような訓練をしたり、
英語による要旨を作成させたりする方法が考えられる。発展数学については、今年度のテーマが統計学
と空間図形だったが、以前は複素数平面や偏微分、微分方程式なども取り上げており、担当教員によっ
て内容にばらつきがあった。今後は理系学生にとって最重要と思われるものを検討し、継続的に指導す
ることとしたい。
10
Ⅲ
研究開発実施報告(本文)
1 学校の概要
あおもりけんりつはちのへきたこうとうがっこう
(1)学校名
校長名
(2)所在地
電 話
青森県立八戸北高等学校
福 地
進
青森県八戸市大字大久保字町道8-3
0178-33-0810 (FAX 0178-33-2439)
(3)課程・学科・学年別生徒数・学級数及び教員数(平成26年3月1日現在)
第1学年
課 程
学 科
普通科
普通科
全日制
SSH
計
第2学年
教頭
学級数
生徒数
学級数
生徒数
学級数
生徒数
学級数
199
5
199
5
190
5
588
15
40
1
40
1
39
1
119
3
239
6
239
6
229
6
707
18
教諭
臨時
非常勤
実習
事務
技能
講師
講師
講師
職員
職員
3
1
2
5
2
/臨時養
護助教諭
1
1
計
生徒数
養護教諭
校長
第3学年
45
2
A
そ
L
の
T
他
1
3
計
66
2 研究開発課題
(1)探究心や創造性に優れかつ倫理観を備えた、国際社会に通用する調和のとれた科学技術系人材を育
成する。
(2)持続可能で汎用性のあるカリキュラムを研究開発し、大学等とも連携して地域の理数教育をリード
する拠点校を目指す。
3 研究の概要
(1)研究開発の実施規模を拡大することで、SSH 校以外でも活用できる持続可能で汎用性のあるカリキ
ュラムの研究開発に取り組む。
(2)環境・エネルギー教育や国際性の育成に関するカリキュラムを一層充実させ、語学力と併せて国際
社会に通用する科学技術系人材の育成を目指す。
(3)小中学校等で出前実験を実施し、理科大好き人間の裾野を広げる。また、県内の高校と合同で講義
・実験・実習を行う交流事業を主催する。
(4)大学や様々な研究機関等との連携を強化し、実験・実習・課題研究を高度化する。
(5)インターンシップを導入し、SSH とキャリア教育をリンクさせたカリキュラムを開発する。
11
(6)外国の高校との国際交流を新規実施するなどして、英語によるコミュニケーション能力を向上させ、
国際性の育成を図る。
(7)高大接続の在り方について定期的な協議の場を設け、積極的に研究・協議を行う。
(8)効果的な指導を行うための、生徒の変容及び到達度を測定する評価方法を研究する。
4 研究開発の実施規模
過去の研究指定では各年次の SSH クラス生のみを対象としていたが、平成22年度からは1年次生全員
及び各年次の SSH クラス生を対象とする他、一般生徒が参加しやすい事業プログラムを設定することで実
施規模を拡大し、SSH 事業の効果を学校全体が享受できるシステムとする。また、各教科・科目において、
それぞれの特性を生かした科学教育に関連する題材を扱い、生徒の生涯に通じる知的・科学的基盤を育成す
るカリキュラムを全校生徒を対象に通年実施する。さらに、放課後や土・日を活用した SSH クラス生の課
外活動を、科学に対する興味・関心の高い一般生徒にも拡大し、科学部活動として全校を挙げて取り組む。
特に、外部の各種コンテストやコンクール及び研究発表会等に積極的に参加させ、生徒の探究活動に対する
モチベーションと SSH 校としての存在価値を高める。なお、SSH 講演会、SSH 研究発表会、各講座等は、
全校生徒または各年次生全員を対象とする。
5 研究の内容・方法・検証等
(1)現状の分析と研究の仮説
① 探究心や創造性に優れかつ倫理観を備えた、国際社会に通用する調和の取れた科学技術系人
材の育成に向けた取り組み
【現状分析】
これまで、SSH クラス生に対し、実験・観察を基礎・基本とする理科の学習や課題研究を中心とす
る学校設定教科「総合 SS」5単位を履修させることで、探究心や科学的論理的な思考力等に富む人材
の育成を図ってきたが、課題研究の内容も年を追う毎にレベルアップしており、確実に成果が上がって
いると判断している。また、国際性の育成を高める取り組みとして、課題研究の内容を英語でプレゼン
テーションさせたり、ALT による理科実験やサイエンスダイアログ、外国人研究者との交流等で英語
によるコミュニケーション能力の向上に努めた結果、文部科学省から平成21年4月の中間評価におい
て高い評価をいただいている。一方で、実験・実習及び課題研究においてより高度な内容を取り扱わせ
たり、海外の高校生との直接的な交流の機会を設けるなどして、設定目標に確実に迫るための条件整
備や教育境の改善・充実に努める必要がある。
【仮説1】
大学・研究機関等との連携を一層強化して、実験・実習及び課題研究の内容を高度化し探究心や創造
性を育むとともに、新たに科学史や科学倫理の講座を導入したり、米軍三沢基地内高校との相互乗り入
れによる交流を図るなど、各種事業を効果的に組み合わせることで、国際社会に通用する調和の取れた
科学技術系人材を育成することができる。
12
② 持続可能で汎用性のあるカリキュラムの研究開発に向けた取り組み
【現状分析】
これまで、SSH クラス生に対し学校設定教科「総合 SS」を開設して、
「Basic SS」2単位、
「Study
SS」2単位、
「Advanced SS」1単位の計5単位を履修させる中で、適切な教材開発を行い指導方法等
を確立させてきた。また、各種事業における実施マニュアル等も作成し、目標達成のためにそれぞれを
有機的に関連付けながら、当初から目指した人材育成のためのカリキュラム開発と条件整備に成果を上
げてきた。一方で、SSH 校として成果の普及に努める役割を期待されているものの、教育課程の特例
と予算措置を受けられない一般の高校では、本校のカリキュラムを直接モデルにすることは容易でない
現状がある。
【仮説2】
学校設定科目「SS アクティベイトⅠ」
(1単位)を、1年次生全員に履修させる他、同じく学校設定
科目である「SS アクティベイトⅡ」と「SS リサーチ」に、SSH クラス生以外の希望する一般生徒を
積極的に参加させるなどして研究開発の実施規模を拡大することで、SSH 校以外でも活用可能な汎用
性と持続性を備えたカリキュラムを開発できる。
③ 理数教育の拠点校を目指す取り組み
【現状分析】
これまで、中学生を対象としたオープンスクールや小学校での出前実験、文化祭における SSH 展、
さらには各種行事の報道等を通して、本校の理数教育への取組や成果は紹介されている。また、SSH
研究発表会や事業実施報告会等には、県内外から多くの教育関係者や保護者の参加も得ている。一方
で、SSH 指定校として県内の中学校・高校に積極的に働きかけてはきたが、地域の理数教育をリード
するまでには至っていないのが現状である。
【仮説3】
これまでの小学生を対象とした出前実験を中学生を対象とした科学実験講座にまで拡大したり、県内
の科学に興味を持つ高校生が一堂に会して実験・実習・発表等を行うサイエンスセッション等を主催し、
また、それらの機会により多くの教育関係者に本校の SSH 事業を理解してもらうことで、その成果を
還元(持続可能で汎用性のあるカリキュラム等の提案)し、地域の理科教育をリードする拠点校として
の役割を果たすことができる。
(2)研究内容・方法・検証
【研究内容・方法】
①希望する一般生徒にまで研究開発の実施規模を拡大することで、SSH 校以外でも活用できる、持続
可能で汎用性のあるカリキュラムの研究開発に取り組む。また、学校設定科目「SS アクティベイト
Ⅰ」
(1単位)を、1年次生全員に履修させ、今世紀地球規模で問題となっている環境・エネルギー
を主テーマに、科学的論理的な思考力とコミュニケーション能力の育成を目指し、ディベートを取り
入れた教科横断型の授業を展開する。さらに、ESD、科学史や科学倫理を導入し、科学技術・研究
分野に対する興味・関心を喚起し、理科4科目の実験・観察を取り入れることにより、文系・理系を
問わず SSH 校生に求められる科学に対する素養や態度を身に付け、持続可能な低炭素社会実現のた
めに必要な科学技術等について理解を深める。
13
②学校設定科目「SS アクティベイトⅡ」
(2単位)では、研究者や技術者に必須な研究の基礎・基本と
なる理科の実験技術、データ処理、実験レポートの作成等の習熟を図る。また、センター研修やサイ
エンスキャンプ、エクスカーション等、大学・研究施設等での実験・実習を通して、科学に対する興
味・関心を喚起するとともにSSHクラス生としての自覚と目的意識を涵養する。
③学校設定科目「SS リサーチ」
(2単位)では、1年次「SS アクティベイトⅡ」で培った研究手法を
基に、物理・化学・生物・地学・数学からテーマを選択し、大学等と連携しながらグループで課題研
究を行う。課題研究を通し、探究心・独創性・創造性・科学的論理的な思考力の育成を目指す。また、
通常の授業ではできない数学の特別講座や ALT の英語による実験及び講義を受講させる。
④学校設定科目「SS インテグレイト」
(1単位)は3年次前期に週2時間開講し、課題研究の内容を英
語に翻訳させるとともに、英語でプレゼンテーションさせることで、科学英語力の向上を目指す。ま
た、高校では取り扱わない発展的数学の内容を集中的に学習することで、科学技術の発展に数学が果
たす役割を実感させる。
⑤小学生・中学生を対象に出前実験を行い、理科大好き人間の裾野を広げる。また、県内の科学に興味
を持つ高校生が一堂に集う「青森サイエンスセッション」を開催し、地域の高校を巻き込んで大規模
な課題研究発表の場を設定することにより、科学技術への興味を増加させる。同時に、引率教員には
SSH カリキュラムの紹介や SSH 指定校以外でも実施できる、持続可能で汎用性のある教育プログラ
ムを提案することにより、地域の理数教育をリードする拠点校としての役割を果たす。
⑥弘前大学、岩手大学、八戸工業大学、青森県産業技術センターなど、比較的近隣にある様々な研究
機関等との連携を強化し、施設及び人的資源を活用することで、1年次生の実験・実習、2年次生
の課題研究の取組を充実させる。
⑦「地学・エネルギー巡検」や「森林環境教室」を実施することで、地学・生物に関するエクスカーシ
ョンを充実させるとともに、低炭素社会実現に向けた科学技術の果たす役割を理解させる。
⑧弘前大学理工学部を主会場に、
「青森サイエンスキャンプ」を実施し、生徒の研究に向かう姿勢やモ
チベーションを高める機会とする。将来的には、他校にも参加を呼びかけ、理数教育の拠点校として
の任を負う。また、同時に、大学側と高大接続の在り方について協議を行う。
⑨「ラボ・インターンシップ」
(理系人材の社会貢献に関する学習)を導入し、地域の科学技術振興に
も目を向けさせると同時に、キャリア教育と SSH をリンクさせたカリキュラムを開発する。
⑩米軍三沢基地内高校との相互乗り入れによる交流、ALT による理科実験、課題研究の英語による発
表等を通し、英語によるコミュニケーション能力を向上させ、国際社会で通用する科学技術系人材の
育成を目指す。
⑪理数科系の各種コンクールや発表会に積極的に参加し、生徒のモチベーションを高めながら研究者の
卵として多くの経験を積ませるとともに、学力の伸長を図る。
⑫効果的な指導を行うために、シラバスの作成に取り組むとともにガイダンス機能を充実させ、事業効
果を高める。また、指導と評価の一体化を図り、生徒の変容や到達度を測る評価方法を研究する。
【評価・検証】
検証作業チームが整理したデータを基に、定期的に SSH 推進委員会及び運営指導委員会等で協議を
行い、事業目標の達成度や生徒の活動状況、変容を中心に評価・検証する。外部評価についても、積極
的に取り入れる。
・評価は原則として、通年の事業は年度末、それ以外の事業はその事業終了時に実施する。
① 学力調査、 ② 内部アンケート(生徒、教員)
③ 外部アンケート(中学校、高校、大学、研究機関、保護者等)
、 ⑤ レポート(実験レポート、課題研究論文等)
、感想文
④ 発表(日本語、英語)
14
⑥ 討論、コミュニケーション、 ⑦ 生徒自己評価
⑧ 定期考査における観点別設問、 ⑨ 外部評価(運営指導委員会、学校評議員等)
⑩ 追跡調査(進学状況、大学等進学後の意識・状況等)
(3)必要となる教育課程の特例等
①必要となる教育課程の特例とその適用範囲
環境・エネルギー教育の推進とコミュニケーション能力の育成、及び研究開発課題に取り組むに当
たって、既存の教育課程における教科・科目では対応できないことから、下記の目標を設定した学校
設定教科「総合 SS」を開設する。
(ア)
「環境・エネルギー」を基軸にした教科横断型授業を行い、
「国連持続可能な開発のための教育の
10年」
(ESD = Education for Sustainable Development)に基づいた環境教育を実施すると
ともに、ディベート等を通じてコミュニケーション能力を養う。
(イ)実験・観察を基礎・基本とする理科の学習や課題研究への取り組みを通して、事象を科学的・論
理的に探究し思考する能力と態度を育てるとともに、創造性や独創性の基礎を培う。
(ウ)課題研究への取り組みや発表を通して、プレゼンテーション能力の向上を図るとともに、英語を
積極的に活用しようとする態度を養う。
【学校設定教科「総合 SS」の科目構成】
<SS アクティベイトⅠ(1単位)>
対象生徒
実施形態
1年次生全員
「総合的な学習の時間」1単位を減じ、水曜日の7校時に実施する。
<SS アクティベイトⅡ(2単位)>
対象生徒
実施形態
1年次 SSH クラス生(一部の活動は、希望する1年次生も参加)
「社会と情報」2単位を減じ、火曜日の6・7校時に実施する。
*学校外の学修による単位認定により、SSH クラス生には1単位を増単する。
<SS リサーチ(2単位)>
対象生徒
実施形態
2年次 SSH クラス生
「化学」
・
「総合的な学習の時間」各1単位を減じ、木曜日の6・7校時に連続
で実施する。
<SS インテグレイト(1単位)>
対象生徒
実施形態
3年次 SSH クラス生
「総合的な学習の時間」1単位を減じ、前期にまとめ取りして火曜日の5校時
と金曜日の7校時に実施する。
「総合 SS」の単位数の合計は6単位(*学校外の学修による単位認定を含めると7単位)
②教育課程の特例に該当しない教育課程の変更はなし。
15
6 研究計画
(1)第1年目(平成22年度)
1年次生全員に対し、学校設定科目「SS アクティベイトⅠ」を実施し、ESD、科学史や科学倫理の講
座の導入により、科学に対する興味・関心を喚起し、SSH 校生に求められる科学的素養や態度を育てる。
また、環境・エネルギーを主テーマに、教科横断型カリキュラムによるディベートを取り入れ、理系・文
系の別なく将来必要とされる科学的論理的な思考力とコミュニケーション能力の育成を図る。
さらに、1年次 SSH クラス生及び希望する1年次生には、学校設定科目「SS アクティベイトⅠ」の
他に、学校設定科目「SS アクティベイトⅡ」を実施し、研究者や技術者に必須な研究の基礎・基本とな
る実験技術、データ処理、実験レポートの作成等の習熟を図る。また、センター研修やサイエンスキャン
プ、エクスカーション等、大学・研究施設等での実験・実習を通して、科学に対する関心・意欲を喚起す
るとともに SSH クラス生としての自覚と目的意識を涵養する。
(2)第2年目(平成23年度)
1年次生に対しては、前記(1)の通り実施する。
2年次 SSH クラス生に対しては「SS リサーチ」を実施し、大学・研究施設等との連携によりグルー
プで理科・数学等の課題研究を行い、探究心・独創性・創造性・科学的論理的な思考力やプレゼンテーシ
ョン能力を高め、科学技術系人材としての資質を向上させる。また、ラボ・インターンシップを実施し、
SSH とキャリア教育をリンクさせることで進路選択能力の育成を図る。
(3)第3年目(平成24年度)
1・2年次生に対しては、前記(1)及び(2)の通り実施する。
3年次 SSH クラス生に対しては、
「SS インテグレイト」を実施し、2年間の科学英語及び国際性の育
成に関する指導の成果を基に、さらなる科学英語力の向上を目指し、2年次の課題研究の英語によるプレ
ゼンテーション等を行う。また、発展的な数学の内容を集中的に学習することで、科学技術の発展に数学
が果たす役割を実感させる。
(4)第4年目・第5年目(平成25・26年度)
第3年目終了時点で SSH クラス生が卒業し、SSH 事業の1サイクルが終了する。毎年、検証・分析を
行うが、特に第3年目においては、3年間における事業成果を細かく検証・分析し、それを基に第4年目
以降の取り組みの改善・充実を図る。
7 研究開発の経緯
1年次生
2年次生
3年次生
Basic SS
Study SS
Advanced SS
22年度(1年目)
SS アクティベイトⅠ・Ⅱ
Study SS
Advanced SS
23年度(2年目)
SS アクティベイトⅠ・Ⅱ
SS リサーチ
Advanced SS
24年度(3年目)
SS アクティベイトⅠ・Ⅱ
SS リサーチ
SS インテグレイト
◎25年度(4年目)
SS アクティベイトⅠ・Ⅱ
SS リサーチ
SS インテグレイト
26年度(5年目)
SS アクティベイトⅠ・Ⅱ
SS リサーチ
SS インテグレイト
21年度
16
(1)1年次生全員に対する研究開発 <SS アクティベイトⅠ>
①理科基礎実験(5月・11月・12月)
:理科4分野の基礎実験を学年全体に実施した。物理分野で
は、放射線に関する基礎講義の後、校内外の放射線を実際に測定させた。
②ESD 講座(6月)
:校内の理科・数学教員の講義を通じて、持続可能な社会づくりへの理解と行動
について考えさせた。
「ESD まんが読本1及び2」及び 絵本「半日村」使用。
③ESD 講演会(6月)
:
「国連持続可能な開発のための教育の10年」にもとづき、岩手大学大学院農
学研究科 比屋根 哲 教授より『ESD への招待』と題する講演を聴いた。
④科学史・科学倫理 講座(7・10月)
:校内の理科・数学教員の講義を通じて、エネルギー利用の
変遷、科学技術の発展と倫理について考えさせた。
⑤科学史・科学倫理 講演会(9月)
:世界ではじめてハレー彗星の太陽面通過を観測した前原寅吉氏
について、そのひ孫にあたる前原俊彦氏を招き、寅吉氏に関わる講演を聴講した。
⑥環境・エネルギー 講座(11月)
:八戸工業大学より7名の教員を迎え、環境・エネルギーに関連す
る各専門分野の内容を聴講した。各テーマに応じて事前学習もさせた。
⑦ディベート(12〜2月)
:ディベートの目的・方法に関して学んだ後、各論題に対して調査・検討
の時間を取り、クラス内で班対抗の討論会を行った。
(2)1年次 SSH クラス生(一部、希望する1年次生)に対する研究開発 <SS アクティベイトⅡ>
①情報基礎実習(4〜6月、10月)
:研究活動の基本となるデータ処理、画像処理、スライド作成の
能力を身につけた。情報機器の活用に際し、注意すべき情報倫理についても理解した。
②IT ラボ(6月)
:八戸工業大学にて、ロボットアームの制御や画像情報の処理、ゲームプログラムの
作成を通して、最新の IT 技術に対する理解を深めた。
③森林環境講座(6月)
:環境エクスカーションの一環として、森林の役割と保全について学んだ後、
東北地方太平洋沖地震の被災地域である市川地区の防災林の植樹を行った。
④センター研修(8月)
:青森県総合学校教育センターにて、物理分野の実験およびプレゼンテーショ
ンを行い、探究活動の過程を体験させた。また、電子顕微鏡・天体観測の実習も行った。
⑤発生実習(8月)
:東北大学浅虫海洋生物学教育研究センターにてウニの受精・発生実習、ホタテの
解剖等を体験させた。各過程で顕微鏡の操作に慣れさせ、海岸で海洋生物の採集も行った。
⑥地学・エネルギー巡検(8月)
:環境エクスカーションの一環として、松川地熱発電所、焼走溶岩流
及びひろのまきば天文台等にて、自然エネルギーと地学に関する理解を深めた。
⑦青森サイエンスキャンプ(9月)
:弘前大学理工学部及び農学生命科学部で9テーマのうちいずれか
の班に配属して実験実習を行い、帰校後レポートを作成・送付して指導を仰いだ。
⑧放射線実習セミナー(8月)
:講師として八戸工業大学 佐藤 学 教授を迎え、霧箱の製作や放射線の
遮蔽についての実習を通して放射線への理解を深めた。
⑨ALT ラボ I(10〜11月)
:ALT 指導による実験授業であり、今年度は「重力加速度の測定」を
を題材とした。事前学習を課すとともに到達度テストも実施した。
⑩アウトリーチ・ラボ(12〜1月)
:米軍三沢基地内の小学校児童に対して、本校生徒が簡単な実験
を英語で紹介しながらコミュニケーション能力の向上を図った。
(3)2年次 SSH クラス生に対する研究開発 <SS リサーチ>
①課題研究(4〜12月)
:各テーマについて担当教員の指導のもとで研究を進めることを通じて、探
究心・創造性・科学的論理的な思考力を高め、研究成果を校内外で発表することでプレゼンテーシ
ョン能力を養った。
17
②ラボ・インターンシップ(8月)
:八戸工業大学の協力で、講義や体験実習を通して、大学卒業後の
進路や理系人材としての地域社会での貢献について考えさせた。
③東京研修(1月)
:筑波宇宙センター、日本科学未来館、東京大学地震研究所等を訪問し、科学技術
への関心を高めるとともに、理系人材としての将来の進路決定の一助とした。
④ALT ラボ II(1月)
: ALT 指導による実験授業であり、今年度は「酵素のはたらきと性質」を題
材とした。事前学習を課すとともに到達度テストも実施した。
⑤数学ゼミ(2月)
:高校数学の範囲にとらわれない6テーマについて学び、数学各分野に対する関心
を高めるとともにその有用性を理解した。
(4)3年次 SSH クラス生に対する研究開発 <SS インテグレイト>
①科学英語(4〜6月)
:2年次に行った課題研究の内容に関する英語の用語や表現等を学び、英訳及
び発音の確認をした。指導には本校英語科教員及び ALT 以外に、他校 ALT の協力も得た。
②学習成果発表会(6月)
:課題研究の内容について「科学英語」の授業で英訳した内容を、観衆の前
でプレゼンテーションした。質疑応答も英語で行った。
③発展数学(6〜7月)
:将来の探究活動や理系分野の専門的内容に役立てられるよう「統計」と「空
間図形」を学び、進学後の数学への橋渡しを目指した。
(5)SSH 講演会及び他の活動等
①SSH 講演会(10月)
:千葉大学大学院医学研究院 病原細菌制御学 野田公俊教授を招き、
『ミクロ
の世界からのメッセージ』と題した講演を聴講した。
②全国 SSH 生徒研究発表会(8月)
:昨年度高い評価を得た、課題研究『八戸市牛ケ沢遺跡から産出
した縄文土器の胎土分析』班が代表として参加し、パシフィコ横浜にてポスター発表を行った。
③東北地区 SSH 指定校発表会(2月)
:2年次の課題研究班3班が学校代表として参加し、山形県立
米沢興譲館高等学校にて口頭・ポスター発表を行った。地学班が最優秀賞を受賞した。
④他校 SSH 事業参加:大阪府立大手前高校 数学生徒研究発表会「マス・フェスタ」
(8月)
、愛知県
立一宮高校「夜空の明るさに関する研究発表会」
(11月)に参加した。
⑤科学の甲子園青森県大会(11月)
: SSH クラス以外の生徒も含め1・2年次生希望者19名、
計3チームが参加した。
⑥高校生科学研究コンテスト(11月)
:青森大学主催の研究発表会で、今年度はじめて開催された。
2年次の課題研究地学班が参加し、最優秀賞を受賞した。
⑦青森県理数系課題研究発表会(12月)
:弘前大学理工学部において、2年次の各課題研究班すべて
が口頭発表を行った。1年次 SSH クラス生はいずれかの分科会に参加した。
⑧科学オリンピック(6・7・12・1月)
:物理チャレンジ、生物オリンピック、化学グランプリ、
地学オリンピック、数学オリンピックに参加した。
⑨東北地方 ESD プログラムチャレンジプロジェクト発表大会(2月)
:一般クラスも含めた1年次生
の希望者が探究活動をし、その成果を東北大会で口頭発表発表した。青森県知事賞を受賞した。
18
8 研究開発の内容
< 学校設定科目『総合 SS』>
SS アクティベイトⅠ
1 対象生徒
1年次生全員
2 単 位 数
1単位(
「総合的な学習の時間」1単位の代替)
3 年間計画
《実施時期》
4月
ガイダンス
5月
理科基礎実験(地学/生物)
6月
ESD 講座①②
6月
ESD 講演会
7月
科学史・科学倫理講座①
9月
科学史・科学倫理 講演会
10月
科学史・科学倫理 講座②
11月・12月
理科基礎実験(化学/物理)
11月
環境・エネルギー講座
12月〜 2月
ディベート
[1] 理科基礎実験
1 仮
説
《実施内容》
<実施日>平成25年5月・11月・12月
理科4分野の基礎実験を体験することで科学への興味・関心が喚起され、科学的素養・
態度が育成される。
2 内容・方法
以下の理科4分野の実験を1時間ずつ体験した。
地学「空気の重さ・大気圧・光の散乱等」
、生物「生存のための環境適応」
化学「酸性雨の原因物質」
、物理「放射線の基礎講義と自然放射線の測定」
3 結果・検証
今年度は「環境理解」を軸に4分野の実験内容に関連性を持たせた。物理分野では、
基礎講義の後、放射線測定器を用いて班別に校内外を自由に測定させた。アンケート
では、一般クラス・SSH クラスとも97〜98%の生徒が「実験に意欲的に取り組め
た」と答えている。また、
「環境への理解」について、実施前の平均値が全体で3.7
であったが、実施後は4.3〜4.4に伸びた。放射線に関心があっても学ぶ機会に恵
まれなかった生徒に、実感を伴う理解を得させられたと評価できる。生徒の感想から
も、4分野どれにおいても実験・観察によって環境をとらえていくことの重要性を認
識させることができたといえる。
4 生徒の感想
○様々な実験によって、楽しみながら身の回りの現象を詳しく知ることができた。
○生物が環境に適応したり、子孫を残すため工夫された形をしていることがわかった。
○酸性雨が金属を溶かしていく様子や、そのとき発生する有毒ガスについて理解できた。
○原発事故以来、気になっていた放射線について正しい知識を得られた。学校の中にも
意外と線量が高いところがあり驚いた。
<会場>各実験室、<対象>1年次生全員、<担当>赤坂・鈴木泰・菅原・岩岡
19
[2] ESD 講座
1 仮
説
<実施日>平成25年6月5日(水)、6月26日(水)
「国連持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)
」に基
づいた講座を受講することで ESD への興味・関心が喚起され、この概念に基づいた行
動原理を理解できる。
2 内容・方法
校内教員による以下の各テーマに関する講義を聴講した。①ESD の説明、②ESD に
基づく行動とは(
「ESD まんが読本1及び2」を教材として使用)
3 結果・検証
講義①では、持続可能な社会をつくり上げる例として、絵本「半日村」の読み聞かせ
を行い、ESD について考えさせた。講義②では、持続可能な開発について歴史の中か
ら例を挙げ、今後どのような行動をとっていけばよいか考えさせた。また、講義①と
②の間に ESD に関連する課題を与え、実際に ESD に基づく行動を実践してみるよう
促した。アンケートによると、
「理解」の深まりについて、講義①終了時では4.2、
講義②終了時では4.4となり、2回の講座をとおして ESD に関する理解は深まった
といえる。また、
「環境と社会を関連づける力」と「主体的に何かしていこうとする態
度」については、それぞれ4.0と4.3となり、仮説は立証されたといえる。
4 生徒の感想
○始まるのを待つのではなく、自分が始めていくことができるようになりたい。
○1人でやることからはじまって何かが変わるなら、その1人になりたい。
○「できることをしよう」というキーワードを胸に刻んで、これから生きていきたい。
○地球市民として何ができるかを考え、その役割を果たしていきたい。
<会場>第2体育館、<対象>1年次生全員、<担当>1学年教員・岩岡・日戸・杉山・荒谷
[3] ESD 講演会
1 仮
説
<実施日>平成25年6月12日(水)
「国連持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)
」の専
門家よる講演によって ESD への興味・関心が高まるとともに、その概念に基づいた環
境問題への対応方法が理解できる。
2 内容・方法
講師として岩手大学大学院連合農学研究科 比屋根 哲 教授を招き、
「ESD への招待」
と題した講演を聴講した。
3 結果・検証
環境教育に関する国際的な議論の流れや ESD の意義について学び、個々人の主体的
な「学び」が持続可能な社会の実現に近づく力になることを学ばせた。アンケートで
は「興味・関心」についての平均値が SSH クラスでは実施前3.1から実施後3.8へ、
一般クラスは実施前3.3から実施後4.0へそれぞれ伸びた。また、
「理解」について
の平均値は、実施前3.0〜3.1であったが、実施後は3.9〜4.0となり、内容は
十分浸透したと思われる。生徒の感想にも、環境を考える良い機会となった、環境の
ためにできることをさがしていきたいという内容が多く、仮説は支持されたといえる。
4 生徒の感想
○自分の意見を述べ、周囲の人々と協力して行動することが大切だと思った。
○常に疑問を持ち、解決しようとする積極的な姿勢が必要と感じるようになった。
○被災地での活動報告や富士山の例話などで、わかりやすく学習することができた。
○気づき、理解し、行動する(in, about, for)を意識して、地域の活動にも積極的に
参加してみようと思う。
<会場>第2体育館、<対象>1年次生全員、<担当>1学年教員・岩岡・日戸・杉山・荒谷
20
[4] 科学史・科学倫理 講座
1 仮
説
<実施日>平成25年7月4日(水)、10月23日(水)
科学を歴史的・倫理的側面から取り上げることで、科学に対する社会的側面からの興
味・関心が喚起されるとともに、科学的素養・態度が育成される。
2 内容・方法
校内教員による以下の各テーマに関する講義を聴講した。①科学技術史(エネルギー
利用の変遷について)
、②科学技術の発展と倫理
3 結果・検証
講義①では、エネルギーの変遷から地球環境はどうなってきたのか、よりよい環境を
取り戻すためにどのようなことをすればよいのか、ESD と関連させながら講義を展開
した。②では、
「科学倫理とは?」をテーマにクイズを交えながら、科学技術と倫理的
課題について考えさせた。アンケートでは、
「科学技術と社会を関連づける力」につい
て「身についた」という肯定的回答が、講義①では SSH クラス66%、一般クラス
72%であり、講義②では SSH クラス77%、一般クラス82%であった。また、生
徒の感想からも、深い理解に基づく記述が多く、科学的素養・態度の育成に効果があっ
たといえる。
4 生徒の感想
○普段のなにげない生活の中で、大量のエネルギーが動いていることが理解できた。
○1人ひとりの努力で地球を支えられるのだから、何かしらの対策をすべきだと思った。
○「持続可能」という考え方はこれからとても大切になってくると思う。
○偉大なる先人が残した科学技術という遺産を、倫理的に扱えるように心がけたい。
<講師>日戸・岩岡、<会場>第1体育館、<対象>1年次生全員、<担当>1学年教員・日戸・岩岡
[5] 科学史・科学倫理 講演会
1 仮
説
<実施日>平成25年9月18日(水)
科学を歴史的・倫理的側面から取り上げることで、科学に対する社会的側面からの興
味・関心が喚起されるとともに、科学的素養・態度が育成される。
2 内容・方法
講師として、郷土の偉人 前原寅吉氏のひ孫にあたる前原俊彦氏を招き、
「八戸の生ん
だ野の天文学者 前原 寅吉」と題した講演を聴講した。
3 結果・検証
1910年(明治43年)に世界で唯一ハレー彗星の太陽面通過を観測したとして世
界的に有名となった前原寅吉氏について、その人となりや様々な研究についての講演
であった。アンケートにおける「興味・関心」についての肯定的回答は、SSH クラス
が60%に対し、一般クラスは64%と、SSH 生徒よりも一般生徒の関心を高められ
たようである。これは、元々歴史的な観点で構成されていたことに加え、当時の八戸
市の町並みの写真を用いるなど地域色が強かったことによって、いわゆる文系生徒に
もなじみやすい内容だったからではないかと思われる。科学を社会的側面からとらえ
るという点で有意義な講演会であったといえる。
4 生徒の感想
○世界で初めてハレー彗星の観測をするという偉業を成し遂げた人が、地元八戸にい
たとは思わなかった。世界に誇れる存在だと思った。
○失明してもなお独学で天文学を学んだ努力はとてもすばらしいと感じた。
○ハレー彗星が近づいて来たときの人々の驚きようや、明治時代の市中心街の町並み
など知ることができた。
○寅吉さんの趣味・仕事を通じて人のために役立つという生き方が印象に残った。私
も郷土や人々の為に貢献できるような人間になりたい。
<会場>第1体育館、<対象>1年次生全員、<担当>1学年教員・岩岡・日戸・杉山・荒谷
21
[6] 環境・エネルギー講座
1 仮
説
<実施日>平成25年11月20日(水)
環境やエネルギーに関する専門家から学ぶことを通して環境理解や保全、エネルギー
利用への興味関心が高まり、SSH 校生に求められる科学的素養・態度が育成される。
2 内容・方法
自分の配属テーマの課題について情報処理室において事前調査をし、講座当日は以下
の八戸工業大学教員による講義を聴講した。
講師:橋本 典久 教授、 武山 泰 教授、 若生 豊 教授、 坂本 禎智 教授
小玉 成人 准教授、 川本 清 准教授、 鈴木 拓也 講師
3 結果・検証
八戸工業大学の教員7名の協力を得、環境及びエネルギーに関するテーマ別講義を聴
講した。アンケートによると、
「興味・関心」についての平均値が SSH クラスでは実
施前3.8から実施後4.5へ、一般クラスは実施前3.7から実施後4.4へそれぞれ
増加した。また、
「聴講姿勢」は SSH クラスで95%、一般クラスで90%が肯定的
回答だった。今回も事前学習を通して自ら調べる態度の育成を図った。生徒は当日の
講義内容の興味深さに加え、事前の調査によって一層関心が高まったと考えられる。
4 生徒の感想
○紫外線の性質について詳しく理解でき、紫外線から身を守ることの大切さも学んだ。
○電磁波には害があると思っていたが、医療現場などで役立っていると知った。
○水と衛生について広い角度から学び、特に八戸のループ管と耐震管に興味を持った。
○風力発電の未来技術について関心が高まった。空を飛ぶ風力発電機や羽がない風力
発電など自分で調べてみたい。
<会場>各理科室、会議室等、<対象>1年次生全員、<担当>1学年教員・SSH 推進委員会
[7] ディベート
1 仮
説
<実施日>平成25年12月〜平成26年2月
ディベートの実施により、論理的思考の重要性が理解できるとともに、主体的に情報を
収集・整理する態度が育成される。
2 内容・方法
各テーマで肯定側と否定側の班をつくり、調査活動を踏まえてプラン・メリット・デメ
リットを作成した後、対抗戦を行った。今年度のテーマは環境・エネルギー・ESD 関
連で統一し、SS アクティベイトⅠで1年間学んできたことのまとめとして位置づけた。
指導教員は1クラスあたり4名、合計24名とし、責任者を国語科主任とした。
3 結果・検証
アンケート結果を見ると、
「論理的思考の重要性についての理解」についての平均値は、
実施前で一般クラスが3.6、SSH クラスが3.5であったが、実施後はどちらも4.6
となった。また、
「取り組み姿勢(調査活動を含む)
」では約9割が「意欲的に取り組
んだ」という回答だった。実際、生徒は授業以外にも時間を取り、対抗戦に向けた準
備を自主的に進めていた。感想では論理的思考力や論点をまとめる力が身についた、
もう一度やってみたいという感想が多く、仮説は支持されたといえる。
4 生徒の感想
○筋道をたてて考え、相手を納得させることの重要さと難しさを学んだ。
○論理の構成や要点をまとめる力が養われてよかった。将来、絶対に役に立つと思う。
○反対意見を聞くことにより、異なる価値観を知ることが出来てよかった。
○根拠の示し方や先を見ることがどんなに大切かということに気づくことができた。
<会場>情報処理室、1年各 HR、<対象>1年次生全員
<担当>舘・太田・宮川・奈良・亀橋・穂浪・加藤・古市・岡田・赤坂・山本恵・鈴木・小笠原・菅原・
小田桐・菅野・櫻田・吉田・山本貴・小田・岩岡・日戸・杉山・荒谷
22
< 学校設定科目『総合 SS』>
SS アクティベイトⅡ
1 対象生徒
1年次 SSH クラス生
2 単 位 数
2単位(
「社会と情報」2単位の代替)
3 年間計画
《実施時期》
説
4月〜 6月
情報基礎実習①
6月
IT ラボ
6月
森林環境講座
8月
センター研修/発生実習
8月
地学・エネルギー巡検
9月
青森サイエンスキャンプ
9月
放射線実習セミナー
10月
情報基礎実習②
10月〜11月
ALT ラボⅠ
12月〜2月
アウトリーチ・ラボ
[1] 情報基礎実習
1 仮
《実施内容》
<実施日>平成25年4月〜6月、10月
情報収集、画像処理、データ処理およびプレゼンテーションの実習によって、研究に
必要な各能力が身につく。
2 内容・方法
①情報倫理:引用時の著作権への注意、詐欺及び架空請求等への対処方法を学んだ。
②画像処理:図や写真の調整・編集、文字ファイルとのデータ量の違いを理解した。
③数値処理:表計算ソフトの基本操作、関数の利用、グラフ作成方法を理解した。
④プレゼンテーション:スライド作成の基本、効果的な発表方法を理解した。
3 結果・検証
ここで学ぶ内容は、研究の際のデータ整理、資料作成、スライドやポスターづくりの
基礎となる。アンケートでは「プレゼンテーションへの理解」に関する肯定的回答が
実施前24%に過ぎなかったが、実施後は83%となった。授業は単なる画面上での
操作法の習得に終始せず、生徒1人ひとりに実際にプレゼンテーションをさせること
によって、相手に分かりやすく伝えられるよう配慮させた。趣味や娯楽で PC に触れ
るのとは違い、研究活動に生かすという明確な目的が強い動機づけとなり「意欲的に
取り組んだ」という回答は92%に上った。
4 生徒の感想
○表計算は特に大変だったが、将来使うことを考え練習しなければならないと思った。
○来年度の課題研究で今回学んだ画像処理や数値処理を活用できると思う。
○実験をまとめたり発表したりする際に必要になるスキルなのでしっかり復習したい。
○プレゼンのときは、聞く人に理解してもらえるようしっかり準備できた。これからの
研究発表で学んだことを生かせるようにしたい。
<会場>情報処理室、<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>吉田
23
[2] I T ラボ
<実施日>平成25年6月15日(土)
1 仮
最新の IT 技術に触れることにより、それらの可能性を実感するとともに、基礎理論や
説
操作、有用性が理解できるようになる。
2 内容・方法
①ロボットアームの制御、②画像処理、③ゲームプログラムの作成について学んだ。
講師=八戸工業大学工学部 藤岡 与周 准教授、 小玉 成人 講師
3 結果・検証
地元の大学の協力により、本格的に工学、特に IT 分野を体験できる貴重な校外学習で
ある。アンケートの結果、
「IT 技術への理解」について肯定的回答を見ると、実施前は
28%で、実施後は83%に増加した。否定的回答を見ると、実施前は35%もあった
が、実施後はわずか3%(生徒1名)となった。生徒の感想には IT 技術の可能性に言
及する内容が多く、仮説は支持されたといえる。一般クラスからも 5 名参加した。
4 生徒の感想
○インターネットを経由したロボットアーム操作で、IT 技術の進歩を実感できた。
○ロボットの改良が、国境を越えた手術など人命を助けることに役立つと分かった。
○単純なゲームでも大量のプログラムが必要だった。今後、自分でもつくってみたい。
○普段何気なく使っているコンピュータのしくみが分かった。これから身の回りの電
子機器の見方が変わってくると思う。
<会場>八戸工業大学、<対象>1年次 SSH クラス生、一般クラス希望者、<担当>山本・岩岡
[3] 森林環境講座
1 仮
説
<実施日>平成25年6月18日(火)
自然界における森林の役割や森林資源の有効利用の仕方が理解できる。また、森林が
防災にも役立つことも理解できる。
2 内容・方法
①青森県における森林資源について理解し、その有効活用について学ぶ。
②海岸における防災林の役割を理解し、東北地方太平洋沖地震において被害を受けた
八戸市市川地区において、防災林の植林を行う。
3 結果・検証
昨年度内容を刷新したところ顕著な学習効果が認められたことから、今年度も同様の
内容で実施した。アンケートでは、
「取り組み姿勢」における肯定的回答が100%
となり、全員が意欲的に参加したことが分かる。また、
「理解」における実施前後での
肯定的回答は、23%から86%へと予想どおり大幅な増加が見られ、仮説は裏づけ
られた。生徒の感想には、震災復興への貢献について書かれていたものも多かった。
4 生徒の感想
○講義では生命が重なり合い、互いに作用し合っていることを実感した。また、青森
にはマツが多く、痩せ地や乾燥地でも育つことなども知って興味を持った。
○実際に被災した現場を見て改めて防災林の大切さを知ることができた。
○私たちの活動は本当に小さいものだが、まだ復興が進んでいない地域もあるので、
植林を続けていくことに意味があると思った。
<会場>市川地区海岸,青森県林業研究所、<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>山本・岩岡・荒谷
24
[4] センター研修
1 仮
説
<実施日>平成25年7月31日(水)~8月2日(金)
実験に適した施設で専門の指導主事の指導を受けることにより、探究活動への理解が
深まるとともに、興味関心が高まる。
2 内容・方法
生徒40名を A、B の2グループに分け、それぞれ1泊2日で実施した。
①紙や竹ひごで製作した物体の滞空時間ができるだけ長くなるように改良する研究を
行い、ポスターにまとめてプレゼンテーションを行った。②電子顕微鏡を操作した。
③大型天体望遠鏡に触れ、プラネタリウムを用いて天体の動きを理解した。
3 結果・検証
指導主事との事前の打ち合わせにより、探究活動のプロセス理解に重点を置いた研修
とするために、あえてシンプルなテーマとした。アンケートでは、
「探究活動への興味
関心」の平均値が実施前から3.8と高めであり、実施後は+0.8となった。一方、
「探
究活動への理解」については、実施前3.2、実施後は+1.1、肯定的回答93%とな
り、ねらいは十分達成できたといえる。班員で協力して実験、ポスターづくり、発表
を行い、次年度の課題研究の基礎が身についた意義深い研修であった。
4 生徒の感想
○限られた時間の中でメンバーの知識を集めて実験・記録し、そのデータを分析し、
わかりやすくまとめて発表するという一連の流れを経験することができた。
○探究活動では、仮説をしっかり立て、検証することは大切であることが理解できた。
○2日目の発表では、自分たちで研究したにも関わらず質問されると答えられなか
った。もっと客観的に物事をみることが必要だと思った。
<会場>青森県総合学校教育センター、<対象>1年次 SSH クラス生、
<担当>山本・漆原・日戸・荒谷
[5] 発生実習
1 仮
説
<実施日>平成25年7月31日(水)~8月2日(金)
海洋生物研究に適した施設で専門の大学教員の指導を受けることで、生物学への理解が
深まるとともに、生物学への興味関心も高まる。
2 内容・方法
ウニの受精及び発生実験、岩礁海岸や藻場の生物の観察、ウミホタルの採集及び観察、
ホタテ貝の解剖等の研修を、1泊2日で行った。
講師=東北大学大学院生命科学研究科 経塚 啓一郎 准教授
3 結果・検証
生息環境とともに生物の自然の姿に触れることは、教室ではなかなかできない貴重な
体験である。毎年、東北大学の経塚准教授には日程調整のことも含め多方面で配慮い
ただいている。アンケート結果では、
「生物学実験・観察への理解」について、実施前
3.2であったが、実施後は4.3となり、実習を通して理解が十分深められたことが
わかる。また、
「興味・関心」についても実施後の肯定的回答は85%に達し、仮説は
支持されたといえる。屋外での活動の中に学びを見いだす有意義なプログラムであり、
今後も大学との連携を取りながら実施を継続させたい。
4 生徒の感想
○やはり実物を観察することは心にも響き、深く理解もできた。生物の動きはとても
不思議で興味深かった。
○ウニの受精卵のことは事前学習で知っていたが、本物を見ることができて感動した。
○学校ではできないような海洋生物の観察や実験ができ、非常によい経験になった。
この実習を通して、以前より生物に興味を持つようになったと思う。
<会場>東北大学大学院生命科学研究科附属浅虫海洋生物学教育研究センター
<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>山本・漆原・日戸・荒谷
25
[6] 地学・エネルギー巡検
1 仮
説
【環境エクスカーション②】
<実施日>平成25年8月26日(月)
自然観察を通して岩石の特徴などが理解でき、地学分野に対する興味関心が高まる。
また、地熱発電所の訪問により実用的な自然エネルギーへの理解が得られる。
2 内容・方法
松川地熱発電所、岩手山焼走り溶岩流、月の石・火星の石展示館、ひろのまきば天文
台を巡検した。
3 結果・検証
昨年度の実施時期は気温が低かったため、今年度は8月に前倒した。また、プリント
による事前学習も徹底した。アンケートによると、
「地学分野への興味関心」に関する
実施後の肯定的回答が100%となった。また、
「エネルギー分野への理解」の平均値
が実施前の3.1から実施後は4.2へ増加が見られ、仮説を裏づける結果となった。生
徒の感想から、その場に行って五感を働かせて学ぶことの意義も再確認した。
4 生徒の感想
○火山活動の力強さや地層の中の歴史を、目や肌で感じ取ることができた。
○月や火星の石など地球ではでき得ない石も見られて貴重な体験だった。また、南極
大陸の探査の話もしていただき、その内容にとても興味を持った。
○天文台では黒点が動く速さを観察したことで、地球の自転の速さが実感できた。
○地熱発電のしくみや、他の発電方法と比較したときのメリットが理解できた。
<訪問先>松川地熱発電所、岩手山焼走り溶岩流、月の石・火星の石展示館、ひろのまきば天文台
<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>山本・岩岡・荒谷
[7] 青森サイエンスキャンプ
1 仮
説
<実施日>平成25年9月7日(土)・8日(日)
2日間に渡って大学教員から指導を受けながら実験・実習を体験することで、研究へ
の理解が深まるとともに、そのやりがいが実感できる。
2 内容・方法
数・物・化・生・地・工の各分野8テーマのいずれかに配属され、大学教員から直接
指導を受けた。また、後日レポートを作成・送付し、各教員から添削指導を受けた。
指導教員=弘前大学理工学部及び農学生命科学部
榊
真 教授、
福澤 雅志 教授、
石川 隆二 教授、
小野 俊郎 教授、
柴
萩原 正規 准教授、 御領
正敏 教授、
潤 准教授、
中澤日出樹 准教授、 花田 修賢 准教授
3 結果・検証
校内においてテーマごとに事前学習に取り組ませ、知識・意識面で準備をして当日を
迎えた。アンケートでは、
「理解」に関する平均値は実施前2.9であったが、実施後
は4.1へ増加し、2日間の研修内容への理解が十分深まったといえる。
「研究活動に
やりがいを感じることができたか」という質問への肯定的回答は95%に達し、仮説
は支持された。一般クラスから参加した5名も大きな達成感を得たようであった。
4 生徒の感想
○フーコーの振り子については事前学習から興味深い内容であり、実験では理想値に
近い数値が出て嬉しかった。地球の自転が目に見えて確認できたことに感動した。
○プライマーやマイクロピペットなど多くのことを学習・経験でき、DNA にとても
興味を持つようになった。ぜひ将来研究してみたい。
○午前の講義で理系に要求される資質とは何かを学んだ。これからの生活では疑問を
持つことやコミュニケーション能力の向上を目標にしていきたい。
<会場>弘前大学理工学部・農学生命科学部、<対象>1年次 SSH クラス生、一般クラス希望者
<担当>山本・岩岡
26
[8] 放射線実習セミナー
1 仮
説
2 内容・方法
<実施日>平成25年9月17日(火)
専門家による講義や実習によって放射線に関する知識が身に付き、興味関心が高まる。
放射線の遮蔽、霧箱の製作の実験・実習を通して、放射線への理解を深めた。
講師=八戸工業大学機械情報技術学科 佐藤 学 教授
3 結果・検証
今年度も SS アクティベイトⅠの理科基礎実験で「放射線の測定」を行う予定として
いたことから、内容が重ならないように実習内容を組んだ。原子力文化振興財団から
の派遣講師は普段から協力いただいている八戸工業大学の佐藤教授であり、高校1年
生の学力に合わせた分かりやすい講義であった。アンケート結果では、実施後の「興
味関心」に関する肯定的回答が90%に達した。また、
「理解」の平均値ついては実
施前3.1であったが、実施後は+1.1の4.2となり、十分な成果が得られたことか
ら仮説は支持されたといえる。
4 生徒の感想
○放射線の種類や性質、利用例について聞くことができ、
放射線のイメージが変わった。
○自分の周りを飛び交う放射線を、霧箱で実際に見るのはとても興味深かった。
○放射線はただ危険なものと思っていたが、医療や農業に利用されていることを知った。
○自然放射線を測定したのははじめてだったし、放射性物質が非常に多くの放射線を
出すことも数字を見て実感できた。
<会場>物理室、<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>荒谷
[9] ALT ラボ Ⅰ
1 仮
説
<実施日>平成25年10月30日(火)〜11月26日(火)
ALT 指導による実験を通して、英語を用いた実験に対する興味関心が高まり、科学英
語の重要性が理解できる。
2 内容・方法
物理分野「重力加速度の測定」の実験において、ALT が操作・現象の解説及び単語発
音指導を行った。実験実施後、ALT が作成した到達度テストを実施した。
3 結果・検証
今回は事前に日本語で説明をするのではなく、最初から英語で説明し、間に日本語の
解説をはさむ形で進めた。アンケートによると、
「英語で行う実験への興味関心」の
平均値は実施前から3.7と十分高く、実施後には4.3にまで増加した。ALT の指導
により、生徒は英語の重要性を理解しながら意欲的に取り組んでいるようであった。
学習効果を上げるために、事前に単語や表現を調べさせ、まとめの筆記テストも実施
した。生徒にとって理科と英語の融合ははじめての体験であり、もともとの英語力に
も差があったためか、生徒が感じた難易度にはある程度の開きがあった。
4 生徒の感想
○実験書は理解しやすい英文が使われており、とても取り組みやすかった。
○専門用語は辞書がなければ分からなかったが、文法等は比較的理解できた。
○Mitchell 先生はとても分かりやすく説明してくれた。実験でデータの誤差が出て
しまったのは残念だった。
○英語での説明スピードについていくことができなかった。
○単語の意味が分からなければ理解できず、理科分野の語彙力不足を感じた。
<会場>化学室、<対象>1年次 SSH クラス生、<担当>Mitchell・赤坂・岡田・杉山・小田桐
27
[10] アウトリーチ・ラボ
1 仮
説
<実施日>平成25年11月26日(火)〜平成26年1月28日(火)
英語による実験紹介によってコミュニケーション能力が向上し、語学習得への意欲が
増す。
2 内容・方法
米軍三沢基地内カミングス小学校の児童に対して、本校生徒が英語を用いて簡単な科学
実験を紹介した。訪問当日の交流に向け、英語科教員と ALT を中心として6週に渡り
以下の指導を行った。①実験内容の理解、②実験手順の英訳、③原稿を使用した発音
練習、④原稿を使用しない発音練習、⑤実験しながらの実演練習
3 結果・検証
昨年度は、エドグレンハイスクールを訪問し、簡単な実験の紹介をしながら共に科学を
楽しむ形をとったが、高校生に対して紹介するには内容が簡単すぎたこともあり、円滑
なコミュニケーションをとることが難しかった。そこで今年度は、対象を小学生に変更
することとした。カミングス小学校の児童たちは科学実験を行う機会が少なく、このよ
うな体験は日米の文化交流という点でもたいへん意義のあるものであったと思われる。
本校生徒にとっては英語学習への、基地内児童にとっては理科学習へのよい動機づけの
機会となったと思われる。当日は各班とも小学生に理解してもらえるよう創意工夫を加
え、無理のないコミュニケーションをとることができた。アンケートにおける肯定的回
答は、
「コミュニケーション能力の向上」について92%、
「語学習得への意欲向上」に
ついては95%となり、生徒の感想と合わせて判断すれば、仮説は支持されたといえる。
今回のアンケートに、コミュニケーション能力の向上に「ALT の指導は効果があった
か」という問いを加えたところ、肯定的回答が95%となり、事前指導から理科専門の
ALT が積極的に関わったことによる効果の大きさも裏づけられた。
4 生徒の感想
○実験では苦労した部分もあったが、徐々に対応することができるようになった。
○普段あまり使わない科学の単語を使っての交流だったが、何とかできてよかった。
○初めて英語での実験で大変だった。自分の語彙力の無さに気づかされたと同時に、ま
だ準備不足と思う面もあった。
○英語で実験をするのは難しかったが、これからの自分の課題を見つけられた。英語を
もっと勉強し話せるようになりたい。
《ALT の指導について》
・先生から質問してくれたので、分かりやすい表現に訂正するきっかけになった。
・ネイティブの感覚で添削してくれた。微妙なニュアンスの違いを教えてくれた。
・実験中のとっさの表現など、具体的アドバイスが役に立った。
・正しい発音で耳が慣れた。実験の見せ方まで教えてもらえた。
・コミュニケーションの感覚が少し分かった気がする。
<訪問先>カミングス小学校、<対象>1年次 SSH クラス生、
<担当>岡田・小田桐・Mitchell・山本・杉山・荒谷
28
< 学校設定科目『総合 SS』>
SS リサーチ
1 対象生徒
2年次 SSH クラス生
2 単 位 数
2単位(
「総合的な学習の時間」1単位 及び「化学」1単位の代替)
3 年間計画
《実施時期》
4月〜12月
課題研究
8月
ラボ・インターンシップ
1月
東京研修
1月
ALT ラボⅡ
2月
数学ゼミ
3月
[1] 課題研究
1 仮
説
《実施内容》
(次年度「科学英語」準備)
<実施日>平成25年4月〜12月
仮説・実験・考察及び発表という一連の活動を通して、探究力が育成されるとともに、
プレゼンテーション能力が向上する。
2 内容・方法
物・化・生・地・数の分野9テーマで実施し、生徒研究発表会等で発表した。
○課題研究中間発表会 <実施日>平成25年9月12日(木)、<会場>視聴覚室
<聴講者>三八地区教頭等12名、本校教員
○生徒研究発表会
<実施日>平成25年12月13日(金)
、<会場>第1体育館
<聴講者>1・2年次生
3 結果・検証
今回はじめて中間発表会を実施し、地区教頭会の先生方等12名に参観いただいた。
生徒にとっては研究の進捗状況をまとめ、発表する絶好の機会となった。12月に実
施した校内生徒研究発表会では、どの班も原稿を見ることなく堂々としたプレゼンテ
ーションを行い、活動の成果を感じ取ることができた。アンケート結果は、
「研究内容
を分かりやすく伝えるよう努めたか」に対する肯定的回答が91%、
「他人に伝わるス
ライドを作成したか」に対する肯定的回答が96%だった。運営指導委員からも、論
理展開やプレゼンテーションの仕方に対して高い評価を受けた。指導において、仮説を
明確に設定し、論理的にその検証を進めることを重視した成果が現れたものと考える。
一方、仮説設定に至る過程やデータの信頼性向上について、さらに改善が必要とのア
ドバイスもあった。アンケートでは、
「仮説の検証を目指して、論理的に研究を進めた
か」に対する肯定的回答が90%となったものの、そのうち「十分に達成できた」は
33%に留まった。次年度はこの数字をさらに伸ばしていきたい。なお、本研究開発
の仮説については、アンケート結果ならびに下記の生徒の感想、教員による観察を合
わせて、支持されるといえる。
4 生徒の感想
○実験のための基礎知識や技術が身についただけでなく、得られたデータを仮説と照
らし合わせて考察していく力も身についたと思う。
29
○実験結果について1つの解釈に固執せず、班員で議論したり調べたりして論理的な
思考をするようになった。
○データ収集に失敗しながら試行錯誤の連続だったが、何とか結果を出すことができ、
大きな達成感を味わえた。
《教員による観察》 ・予想と異なる結果が出るたびに班内で多くの意見が出され、活発な議論になった。
・研究テーマに関連する論文を多数集め、必要な情報を抽出・統合するようになった。
・大学レベルの内容に果敢に挑み、指導する側も共に研究を楽しむことができた。
・研究の進め方が理解できるようになるにつれ、生徒が自主的に動くようになった。
・発表経験が増すにつれて、聴く側が疑問に思う点を先回りできるようになった。
・データの積み上げとその変化を考察していくことの楽しさが研究意欲につながった。
《研究テーマ一覧》
【1】ペットボトルロケットの研究 <担当>赤坂
以前 SSH の授業でペットボトルロケットに触れる機会があり、詳しく調べたいと思っていた。ペットボトル
ロケットとはペットボトルに水を入れ内部の空気を圧縮し飛ばすものである。まず、最もよく飛ぶ条件を探る
ために水の量と気圧、この2つの水平到達距離との関係を調べた。水の量については、多すぎても少なすぎて
も遠くへ飛ばないという、予想通りの結果が得られたが、気圧については、気圧を高くしても飛距離が伸びな
いという、予想と異なる結果が出たため、さらに「気圧と初速度」
、
「気圧と水がなくなるまでの時間」を調べ
ることによってこの原因を探った。
【2】柿渋を用いたストロンチウムの吸着・除去 <担当>漆原 <連携先>八戸工業大学 鶴田猛彦 教授
原子力発電所の事故で拡散した放射性ストロンチウムはカルシウムの代わりに骨に蓄積される危険性があり、
その除去が急務となっている。今回の研究では、固定化した柿渋を用いて、溶液中のストロンチウムイオンを
吸着・除去できることを確認した。ストロンチウムイオンの吸着量は pH の上昇に伴い増加したことから、フ
ェノール性 OH の電離と関係が深いと考えられた。また、溶液中に共存するナトリウムイオン濃度を増加さ
せたところ、ストロンチウムイオンの吸着量が減少したことから、吸着時における他の陽イオンとの競合も考
えられた。
【3】乾燥亀裂の検証 <担当>阿部 <連携先>八戸工業大学 小比類巻孝幸 教授
地面や壁が乾燥すると、乾燥亀裂と呼ばれるセル状の模様ができる。これは粉末粒子と水の濃度の濃淡差が生
み出す現象である。この濃淡を意図的に作り出し、乾燥亀裂の模様をコントロールできるのではないかと考え
て実験を行った。まず、ペースト状にした粉末粒子溶液に、様々な方向から振動(外力)を与えることで、溶
液中に濃度の濃淡差を作り出し、亀裂模様に違いが現れるかを検証した。また、実験には炭酸カルシウム粉末
を使用したが、炭酸カルシウム粉末によく似た他の粉末粒子でも同じような亀裂模様ができるのかを検証した。
【4】八戸市蕪島に生息するうみねこの糞による土壌の変化 <担当>鈴木泰 <連携先>名城大学 村野宏達 助教
八戸市蕪島(天然記念物)では、ウミネコの営巣活動によって土壌へ多量の窒素が供給されており、繁殖期を
過ぎると変化することなどが報告されている。しかし、その変化が植生に与える影響は未だ明らかではない。
、pH、EC を定期
そこで、その点を明らかにすることを目的に、土壌の各イオン濃度(NH4+、NO3−、PO4 3−)
的に測定するとともに、コマツナの発芽試験によって評価を行った。その結果、蕪島の土壌が弱酸性であるこ
と、EC が繁殖期以降急激に低下すること、土壌の窒素分が多いほどコマツナが育ちにくいことが分かった。
30
【5】オオハンゴンソウの生態と駆除 <担当>菅原 <連携先>弘前大学 青山正和 教授
オオハンゴンソウの駆除を目的に以下の 3 つの実験を行った。実験Ⅰでは、pH とオオハンゴンソウの地下茎
500 mm3と 1000 mm3の 2 種類の体積の関係性を調べ、pH 4.5 未満からは発芽しないという結果を得た。実
験Ⅱでは、pH 4.5〜3.98 で発芽できないボーダーを探した。また、実験結果から pH が低くなると成長速度
が遅くなるということも分かった。実験Ⅲでは、身近な酸性と考えられる食品や食品の廃棄部分で駆除ができ
ないか検討した。最も pH が下がったものは梅干し果肉で pH 3.46 であった。レモン、グレープフルーツの
果汁、皮、搾りかすを比べたところ、搾りかすが最も pH を下げる効果があったが、調節は難しいと思われた。
【6】八戸沿岸におけるフジツボ類の分布調査 <担当>山本恵 <連携先>北里大学 加戸隆介 教授
大型の船舶が出入りする八戸港では、北米沿岸が原産の外来種であるキタアメリカフジツボの生息が確認され
ている。そこで、昨年度明らかにできなかった八戸水産科学館(マリエント)付近のキタアメリカフジツボと
オオイワフジツボの生息の有無と八戸沿岸における分布拡大の実態を明らかにしようと試みた。船の航行、海
流、フジツボの繁殖方法などからマリエント付近ではキタアメリカフジツボやオオイワフジツボが生息し、八
戸港からみて南東に位置する種差海岸では生息していないという仮説をたてた。区画法、外見的特徴、遺伝子
解析などの結果、マリエント付近ではイワフジツボが優勢であるがキタアメリカフジツボの生息も確認できた。
また、種差海岸では外来種が移入しておらずイワフジツボの生息のみを確認できた。
【7】八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析 <担当>岩岡 <連携先>弘前大学 柴正敏 教授
高校生でもできる研究で地域に貢献したいと考え 2011 年度から縄文土器について研究を行っている。研究対
象は八戸市南部にある牛ヶ沢(4)遺跡とし、この遺跡から出土した各時代の土器をプレパラートに貼り付け、
薄く削り、実体顕微鏡を使い薄片中に含まれる鉱物をカウントして土器の組成を明らかにした。この土器の胎
土組成と八戸市周辺における河川堆積物の分析結果とを比較することにより、土器の産地を推定した。その結
果、縄文時代早期から前期の途中までは遺跡周辺で土器が作られていたものの、縄文時代前期の後半からは別
の地域で作られた土器が流入していることが明らかになった。
*本研究に用いた縄文土器は、八戸市立是川縄文館から提供いただいたものである。
【8】正十七角形の作図 <担当>日戸
教科書に正五角形の作図が載っていたことから、さらに角の多い正 n 角形を作図しようと調べてみた。そして
調べる過程で、
「正十七角形は作図可能である」ということを知った。ここでいう作図可能とは、定規とコン
パスのみを用いて作図できることを意味する。そこで、なぜ正十七角形は作図可能といえるのか、その証明方
法を探り、さらには既知の作図方法であるリッチモンド法との関連性について調べてみた。その結果、証明は
できたものの、作図方法との関連性についてはまだ解明までには至らず、今後の課題となった。
【9】ポーカーにおける合理的なベット金額を導き出す式について <担当>奈良
高校で学習する数学を用いてポーカーにおける合理的なベット金額(賭け金)を導き出す式を作成することを
試みた。合理的なベット金額を導き出すために「もらえる見込みのある金額」が分かればよいと考え、数学A
で学習する「期待値」という考え方を用いることにした。ポーカーの場合、期待値を求めるためには「勝利す
る確率」と「勝利した時に得ることができる金額」の 2 つの要素を考えればよい。この2つはゲーム中に自分
が置かれている状況から導き出すことができるので、期待値を求めることが可能である。これを用いることで、
合理的なベット金額を導き出す式を作成することができた。
31
[2] ラボ・インターンシップ
1 仮
説
<実施日>平成25年9月30日(月)
講演や実習によって、理系大学と社会とのつながりが理解でき、将来の科学系人材と
しての意欲と自覚が生まれる。
2 内容・方法
午前は全体会として、
『大学卒業後の進路と現代の社会情勢』及び『科学技術の振興と
地域社会への貢献』と題して講演を聴講した。午後は各研究室に分かれ、工学系の研究
内容について体験実習の指導を受けた。
講演講師=関
秀廣 教授、 藤岡 与周 教授
実習指導=橋本 典久 教授、 栗原 伸夫 教授、 武山
若生
3 結果・検証
泰 教授
豊 教授、 榊原 利彦 准教授、 信山 克義 准教授、 迫井 裕樹 講師
アンケートの結果、
「理系大学と社会貢献への理解」についての平均値は実施前3.6、
実施後4.2と増加した。実施前の曖昧な理解が一層深まり、大学卒業以降の将来像を
イメージしやすくなったと思われる。
「取り組み姿勢」についても意欲的だったという
回答が84%を占め、否定的回答はなかった。
4 生徒の感想
○今、何が求められているか、科学技術と社会とのつながりについて深く理解できた。
○研究結果を社会に生かす上で、
「P・D・C・A」の考え方は大切であると思った。
○八戸市が発電技術などの分野で発展していることを初めて知った。
○コンクリートの耐久性の違いや早強セメントがどのようなものなのかが分かった。
<会場>八戸工業大学、<対象>2年次 SSH クラス生、<担当>岩岡・日戸
[3]東京研修
1 仮
説
<実施日>平成26年1月4日(土) 〜1月6日(月)
最先端の科学技術および現在までの科学全般について見聞を広げることにより、科学
に対する興味関心が深められるとともに、理解が一層深まる。
2 内容・方法
<1日目>筑波宇宙センター・サイバーダインスタジオ‥‥施設見学
<2日目>日本科学未来館‥‥見学・ワークシート記入、班内プレゼンテーション
ソニー・エクスプローラサイエンス‥‥デジタルアトラクションの体験
報告会‥‥各班による見学内容のプレゼンテーション(宿泊先にて)
<3日目>東京大学地震研究所‥‥施設見学、講義聴講
3 結果・検証
従来本事業は1年次1月に実施していたが、1年次は校外行事が集中しすぎる上、生
徒の理科に関する知識不足は否めなかったため、今回は実施時期を2年次1月とした。
それに伴い、各施設の見学以外に東京大学での第一線の研究者による講義を聴講させ
た。日本科学未来館での見学及びプレゼンテーションは学習効果が高いため、今回も
継続実施した。アンケートでは、未来館研修後の「興味関心」の肯定的回答は100%
であり、うち「とても関心が高まった」は80%に達した。また、
「理解」においても、
実施前の平均値2.8から実施後4.4へ大きく増加が見られた。生徒は班員同士で熱
心にプレゼンテーションに励んでおり、その点においても充実した研修となった。
4 生徒の感想
○東大の研究所に入れたことそのものが嬉しかった。講義も理解しやすかった。
○ロボットスーツ研究の進歩に驚いたし、それを福祉に役立てていることに感心した。
○科学未来館では、医療技術の進歩と倫理的な問題について深く考える機会となった。
<対象>2年次 SSH クラス生、<担当>阿部・時村・岩岡
32
[4] ALT ラボ Ⅱ
1 仮
説
<実施日>平成26年1月16日(木) 〜平成26年1月30日(木)
ALT 指導による実験を通して、英語を用いた実験に対する興味関心が高まり、科学英
語の重要性が理解できる。
2 内容・方法
生物分野「酵素のはたらきと性質」の実験において、ALT が操作・現象の解説及び単
語発音指導を行った。実験実施後、ALT が作成した到達度テストを実施した。
3 結果・検証
アンケートでは、
「英語での実験への興味関心」についての平均値は実施前3.2から実
施後4.0と増加した。一方、内容が「難しかった・とても難しかった」という回答が
58%となり、生徒は実験自体が平易であっても英語を介することで大分困難を感じた
ようである。しかし、
「取り組み姿勢」において否定的回答はなく、科学英語の重要性
は生徒各自が十分認識したと思われる。今回は、最初から ALT が英語で説明し、実験
書への記入も英語で行うこととした。ALT は図形や簡単な表現を用いるなど説明に気
を配り、到達度テストも作成するなど、自主的に生徒の理解度を高めるよう努めた。そ
の結果、実験後の英問英答に文章で答えられる生徒も出てくるようになった。
4 生徒の感想
○英語の実験書には慣れていないので、普段より難しく感じた。
○最初は質問の意味が分からなかったが、説明が進むにつれ実験の趣旨が理解できた。
○英語で表現したくてもできなかった。まだ英語力が足りないと感じた。
○はじめは抵抗感もあったが、将来に向けてとてもよい勉強の機会になった。
○生物分野の実験で化学分野の英単語力がついた。とてもためになった。
<会場>生物室、化学室、<対象>2年次 SSH クラス生、<担当>Mitchell・菅原・山口
[5]数学ゼミ
1 仮
説
<実施日>平成26年2月27日(木)
高校数学の範囲にこだわらない内容を学ぶことで、数学に対する興味関心が高まり、
その有用性が理解できる。
2 内容・方法
以下のテーマのうちから1つ選び、担当教員指導のもと3時間連続で学習する。
A:漸化式、 B:ε-δ、 C:テーラー展開、 D:紙、
E:フィボナッチ数列と母関数、 F:場合分け
3 結果・検証
大学レベルの講座もあり極めて難しい内容であったが、集中力を切らすことなく3時
間連続の講義で数学を満喫した。アンケートでは、89%が「意欲的に取り組んだ」
と答えており、
「興味関心」についての肯定的回答も実施前64%から実施後87%へ
増加した。感想においても、1つの解法だけでなく色々な別解を調べてみたいなど、興
味関心が高まった様子がわかる。
「理解」については実施前の平均値は2.2だったが、
実施後は3.8と激増した。今年度は3年生1名がアシスタントとしてE班の指導に加
わり、数学を通じて SSH クラスの先輩と後輩の交流を試みたが、大変好評であった。
4 生徒の感想
○数学は難しいが理解が出来ると楽しい。大学の専門的内容を学ぶのが楽しみだ。
○先生や先輩の数学愛に圧倒された。数学に対しての抵抗感がなくなった。
○頭の中でからまっていた何かが一瞬で解けたような気分になった。
○フィボナッチ数列の一般項について、母関数を用いて求めることができたことに驚
いた。数学の奥の深さが実感できた。
<対象>2年次 SSH クラス生、<担当>亀橋・尾崎・沼宮内・奈良・日戸・舘
33
< 学校設定科目『総合 SS』>
SS インテグレイト
1 対象生徒
3年次 SSH クラス生
2 単 位 数
1単位(
「総合的な学習の時間」1単位の代替)
3 年間計画
《実施時期》
《実施内容》
4月〜 6月
科学英語
6月
学習成果発表会
9月
発展数学
(前期まとめ取りのため、後期なし)
[1] 科学英語
1 仮
説
<実施日>平成25年4月〜6月
2年次に実施した課題研究について発表することを目標に英訳・発表練習することに
より、コミュニケーション能力が身につくとともに、英語学習への関心が高まる。
2 内容・方法
2年次に実施した課題研究の目的・方法・結果・考察等の英訳、プレゼンテーション
及び質疑応答の練習。
3 結果・検証
課題研究班ごとに1名ずつ英語科教員を配置し、英訳添削、スライド作成、発音・表現
及び発表方法について指導した。ALT も全体指導に加わり、質疑応答の練習では他校
ALT にも協力を依頼した。今回指導効果を上げるため、各班が同じ ALT から継続して
指導を受けられるようにし、従来1回の来校につき1時間×2回で行っていた指導を
2時間×2回に増やした。協力した ALT からは「科学は世界中どこでも求められてい
る。生徒のコミュニケーション能力を向上させるため、このプログラムは大変有効で
ある」というコメントをいただいている。実施後のアンケートでは、
「英語学習への興
味関心」についての肯定的回答が97%、
「コミュニケーション能力の向上」について
の肯定的回答が85%に達し、他校の ALT からも「昨年度よりレベルが上がった」と
の評価を得たことから、仮説は支持されたものと考える。
4 生徒の感想
○はじめにうち ALT とのやりとりが全然できなかったが、何回も繰り返しているうち
にできるようになったと実感できた。
○英語をこれほど話す機会はこれまでなかった。もっと学びたい。
○返答を思いついても、すぐに英語に変換できないのは悔しかった。
○英語を聞き取る力とどうにかして答える力がついたと思う。
○難しかったが楽しかった。この経験は将来絶対に役に立つと思う。
<会場>情報処理室、視聴覚室、<対象>3年次 SSH クラス生、
<担当>杉山・岡田・小田桐・小原・山口・鎌田・伊藤・八木田・福士・Murray
Patrick Owens(八戸高)
・Yeung Wing Kei(八戸東高)
・Andrew Read(八戸商業高)
Peter Weeks(三本木高)
・Edith Hanson(八戸西高)
34
[2] 学習成果発表会
1 仮
説
<実施日>平成25年6月11日(火)
課題研究の成果を英語で発表することで、英語によるプレゼンテーション能力が向上し、
国際性が育成される。
課題研究で取り組んだ成果を、外部からの招待者及び2年次 SSH クラス生等を前に英
2 内容・方法
語で発表する。また、司会・質疑応答もすべて英語で行う。
3 結果・検証
今年度は昨年度と同様に「研究紹介4分間+質疑応答4分間」とした。どの班も原稿を
持たずに発表し、他校 ALT や大学教授との質問にも堂々と答えていた。アンケートの
結果、
「英語によるプレゼンテーションを理解できたか」への肯定的回答が95%、
「国
際性が身についたと思うか」への肯定的回答は82%となり、否定的回答はいずれもな
かった。今回、新しい試みとして、2年 SSH クラス生から英語で質問させたところ、
生徒間での活発なやりとりがみられ、運営指導委員や他校 ALT、保護者からも高く評
価されていた。今後も継続していきたい。
4 生徒の感想
○本番では落ち着いてやれた。3年間の締めくくりとして成功させることができた。
○英語でプレゼンテーションする難しさを思い知ったが、とてもよい経験だった。
○ゆっくり、はっきり声に出すように心掛けた。練習の成果が出せたと感じた。
○想定外の質問が出たとき、短時間で答えられたのはよかった。
○日本人は、もっと英語を聞き取る力や答える力をつけていくべきだと思う。
<会場>生徒会館、<対象>3・2年次 SSH クラス生、<担当>SSH 推進委員会
[3] 発展数学
1 仮
説
2 内容・方法
<実施日>平成25年9月3日(火)〜9月20日(金)
数学の発展的内容を学ぶことで、大学での勉学へ興味関心が高まる。
将来理系大学での学びに連結する内容の分野を用意し、各自の進路や興味に応じていず
れかを選択受講させた。
3 結果・検証
今年度は高校教育と大学教育のつなぎの内容として「統計学」と「微分積分と空間図形」
の2分野を用意し、2班に分けて授業を行った。アンケートにおいて、発展数学への「興
味関心」の平均値は「統計学」では実施前2.5から実施後3.6に、
「空間図形」では
実施前3.5から実施後4.2となった。統計分野は高校(旧課程)ではあまり扱わない
内容であり、実施前の興味関心が低かったと言えるが、生徒の感想を見ると今後の研究
では必要になるという認識を持った生徒が多く、大学での勉学への興味関心が高まった
といえる。また、
「理解」の平均値は「統計学」では実施前2.5から実施後3.6に、
「空間図形」では実施前2.6から実施後3.8となった。これまでは担当教員の専門
分野を活かした講義を行ってきたが、次年度からは新課程になることを踏まえ、内容を
毎年統一し、誰でも指導できるようなものを実施していきたい。
4 生徒の感想
○数学に対する見方・考え方を広げることができた。進学意欲が高まってきた。
○細かい計算が多く大変だったが、統計を学んで実験データへの親しみがわいた。
○らせん型の立体や植木鉢のような立体の体積を求める事ができ、物づくりの際の作図や
計算に役立てることができそうだ。形を想像しながら楽しんで勉強できた。
<会場>3年4組 HR、選択教室<対象>3年次 SSH クラス生、<担当>工藤淳、南
35
<『総合 SS』以外 >
SSH 講演会 及び 他の活動等
《実施時期》
《実施内容》
《対象》
6月
物理チャレンジ
希望者 4名
7月
生物オリンピック
希望者12名
7月
化学グランプリ
希望者 2名
8月
マス・フェスタ
2・3年次 SSH クラス生(選抜)
8月
生徒研究発表会(全国 SSH)
3年次 SSH クラス生(選抜)
10月
SSH 講演会
全校生徒
11月
夜空の明るさに関する研究発表会
地学部
11月
科学の甲子園青森県大会
1・2年次生(選抜)
11月
高校生科学研究コンテスト
2年次 SSH クラス生、地学部
12月
青森県理数系課題研究発表会
1・2年次 SSH クラス生
12月
東北植物学会
2年次 SSH クラス生(選抜)
12月
地学オリンピック
希望者 4名
1月
数学オリンピック
希望者 7名
2月
東北地区 SSH 指定校発表会
2年 SSH クラス生(選抜)
2月
東北地方 ESD プログラム発表大会
ESD クラブ
[1] SSH 講演会
1 仮
説
<実施日>平成25年10月3日(木)
一流の科学者による専門分野の講義を聴くことで、科学に対する理解が進み、興味関心
が一層喚起される。
2 内容・方法
講師として 千葉大学大学院医学研究院 病原細菌制御学 野田公俊教授を招き、
「ミク
ロの世界からのメッセージ」と題した講演を聴講した。
3 結果・検証
平成20年にも同教授を招いて講演会を行っているが、前回の講演がよかったことと、
地元出身者で世界の一線級で活躍している人物であるため、2度目の実施とした。専
門的な内容の中に、クイズ形式で生徒と対話を交えながらの講演であり、生徒の興味
を大いに引きつける講演となった。アンケート(1年次生)では、
「医学・生物分野
への理解」の肯定的回答は、SSH クラスは聴講前28%から聴講後86%へと激増し、
一般クラスは聴講前25%から聴講後59%となった。また、
「医学・生物分野への
興味関心」の肯定的回答は、SSH クラスは聴講前60%から聴講後90%、一般ク
ラスは聴講前45%から聴講後72%となり、仮説は支持されたといえる。
4 生徒の感想
○薬剤師を目指しているので、抗生物質の作用を学ぶことができてよかった。
○細菌の特徴が理解できた。特に、O-157 の解説が詳しくてわかりやすかった。
○また世界には感染症で亡くなる人が二千万人もいると知り驚いた。
○生物の授業で今習っている大腸菌やバクテリアファージが出てきて嬉しかった。
<会場>第1体育館、<対象>全校生徒、<担当>日戸、SSH 推進委員会
36
[2] 生徒研究発表会(全国 SSH)
<実施日>平成25年8月6日(火)~8日(木)
1 発表テーマ
口頭発表=『八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析』
2 内容・結果
本校代表としてポスター発表形式でプレゼンテーションを行った。
<会場>パシフィコ横浜、<対象>3年次 SSH クラス生(2名)
、<担当>岩岡
[3] 東北地区 SSH 指定校発表会
1 発表テーマ
<実施日>平成26年2月1日(土) ・2日(日)
口頭発表=『八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析』
ポスター発表=『正十七角形の作図』
『乾燥亀裂の検証』
『八戸市蕪島に生息するうみねこの糞による土壌の変化』
2 内容・結果
17 校が参加した口頭発表で『八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析』が
最優秀賞を受賞した。
<会場>山形県米沢興譲館高校、<対象>2年次 SSH クラス生(9名)
、<担当>漆原・岩岡・日戸
[4] 他校 SSH 事業参加
1 参加事業A
大阪府立大手前高校 科学技術人材育成重点枠事業
数学生徒研究発表会「マス・フェスタ」 <実施日>平成25年8月24日(土)
発表テーマ『素数を生み出しやすい数列』
(数学)
2 内容・結果
今年度から本校はこの重点枠事業の連携校となった。数学のみの発表は全国的にめず
らしく、今回参加した数学好き生徒は、他校の研究内容や発表方法から多くの刺激を
受けたようである。また、このような意識の変化とともに数学を通した交友関係も生
まれた。
<会場>大阪府立大手前高校、<対象>3・2年次 SSH クラス生(3名)
、<担当>日戸
1 参加事業B
愛知県立一宮高校 科学技術人材育成重点枠事業
「夜空の明るさに関する研究発表会」 <実施日>平成25年11月2日(土) 〜3日(日)
2 内容・結果
本共同研究には昨年度に引き続き連携校として参加をしている。発表会には生徒3名
が参加し、
『青森県八戸市周辺における夜空の明るさ』というタイトルで口頭発表を
行った。
<会場>愛知県立一宮高校、<対象>地学部(3名)
、<担当>岩岡
37
[5] 科学の甲子園青森県大会
1 内容・結果
<実施日>平成25年11月9日(土)
2年生選抜チーム・1年次 SSH クラスチーム・科学部チームの3チームが出場した。
<会場>青森県総合学校教育センター、<対象>1・2年次生希望者(19名)
、<担当>岩岡・日戸
[6] 高校生科学研究コンテスト
1 発表テーマ
<実施日>平成25年11月16日(土)
口頭発表1=『八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析』
口頭発表2=『夜空の明るさに関する研究』
2 内容・結果
青森大学が主催し青森県教育委員会が後援する高校生科学研究コンテストに参加。
口頭発表1が学長賞(最優秀賞)を受賞。
<主催・会場>青森大学、<対象>2年次 SSH クラス生(5名)
、地学部(2名)
、<担当>岩岡
[7] 青森県理数系課題研究発表会
1 発表テーマ
<実施日>平成25年12月7日(土)
『正十七角形の作図』
(数学)
『ポーカーにおける合理的なベット金額を導きだす式について』
(数学)
『ペットボトルロケットの研究』
(物理)
『乾燥亀裂の検証』
(化学)
『八戸市蕪島に生息するうみねこの糞による土壌の変化』
(化学)
『柿渋を用いたストロンチウムの吸着・除去』
(化学)
『オオハンゴンソウの生態と駆除』
(生物)
『八戸沿岸におけるフジツボ類の分布調査』
(生物)
『八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析』
(地学)
2 内容・結果
三本木高等学校(SSH 指定校)及び五所川原高等学校(理数科)の生徒とともに、本
校2年 SSH クラス生が課題研究9テーマについて口頭発表を行い、1年 SSH クラス
生は各会場に分かれて聴講した。助言者として弘前大学の教員に協力をお願いした。
<会場>弘前大学理工学部、<対象>1・2年次 SSH クラス生 <担当>課題研究担当教員・SSH 推進委員
[8] 東北植物学会
高校生・中学生研究発表会
<実施日>平成25年12月14日(土)
1 発表テーマ
ポスター発表=『オオハンゴンソウの生態と駆除』
2 内容・結果
東北植物学会主催の第3回秋田大会における「高校生・中学生研究発表会」に参加。
優秀賞を受賞。
<会場>カレッジプラザ(秋田市)
、<対象>2年次 SSH クラス生(選抜)
、<担当>岩岡・菅原
38
[9] 科学オリンピック参加
1 参加種目
①物理チャレンジ
<実施日>平成25年 6月23日(日) 、<参加数> 4名
②生物オリンピック <実施日>平成25年 7月14日(日) 、<参加数>12名
③化学グランプリ
<実施日>平成25年 7月15日(月) 、<参加数> 2名
④地学オリンピック <実施日>平成25年12月15日(日) 、<参加数> 4名
⑤数学オリンピック <実施日>平成26年 1月13日(月) 、<参加数> 7名
北海道・東北地区表彰者2名
[10] 東北地方 ESD プログラム
チャレンジプロジェクト発表大会
<実施日>平成26年2月8日(土)
1 発表テーマ
口頭発表=『再生可能エネルギーだけで青森県の電力をまかなえるか』
2 内容・結果
1年生の希望者を対象に ESD クラブを結成し、エネルギー分野をテーマとして、事前
研究のリサーチ、仮説の設定、調査研究、施設見学、まとめと発表という一連の探究
活動を行った。その活動内容を環境省が主催する「東北地方 ESD プログラムチャレン
ジプロジェクト」に応募した結果、一次審査を通過し、発表大会では青森県知事賞を受
賞した。
3 結果・検証
本事業は1年次のうちから探究活動を体験する場を設けること、また SSH クラス以外
の生徒も探究活動に参加できる機会をつくることを目的に、今年度初めて行ったもの
である。テーマとしては1年次生全員が「SS アクティベイトⅠ」で学習している ESD
に関連するものがよいと考え、上記のとおりとした。メンバーは SSH クラス生4名及
び一般クラス生3名であり、クラスの区別なく一緒に活動をする貴重な機会となった。
その成果を外部にて発表できたことは大きな成果である。本校の課題の1つとして、探
究活動を SSH クラス生以外の生徒にも拡大させていくということがあげられるが、そ
の点において次年度につなげる価値が大いにある活動であった。
4 生徒の感想
○エネルギーについて研究をし始めたら、現在だけではなく未来についても考えること
ができた。
○主観的に結論を出すのではなく、他の人からの客観的な意見も取り入れることが大切
だと思った。
<会場>仙台国際センター、<対象>ESD クラブ(7名)
、<担当>岩岡
39
9 実施の効果とその評価
(1)学校の取り組みに対する外部評価(
「学校評価システム」の利用による)
本校では保護者からのアンケート結果を教育活動や学校運営に生かして改善を図る「学校評価システ
ム」を導入している。その中から SSH 関連の2つの質問について集計結果を示す。
① SSH を核とした特色ある学校づくりに取り組んでいる。
《平成25年度》
《平成24年度》
「そう思う・どちらかといえばそう思う」と答えた保護者は 1年 94.1%、2年 96.2%、3年
92.9% だった。よって、SSH 事業が特色ある学校づくりの核となっていることが、保護者からも
十分認められているといえる。教職員で同様の質問をしたところ、肯定的回答は98%となり、SSH
を中心とした学校づくりに対する意識は、校内で確実に浸透しているといえる。次年度も教職員全員
による事業を推進していきたい。
② SSH の活動内容が、学校ホームページ、文化祭展示、課題研究の発表会(日本語・英語)
、新聞報
道等を通して周知されている。
《平成25年度》
《平成24年度》
「そう思う・どちらかといえばそう思う」と答えた保護者は 1年 89.9%、2年 89.6%、3年
87.5%だった。昨年度の平均は93%程度であったため、わずかに低下したといえる。ただし、こ
のアンケート調査を実施した時期から学校ホームページ更新頻度を上げる体制が整い、SSH の事業内
容と生徒の様子を写真で素早く発信するよう改善した。よって、この調査結果はその効果がまだ現れる
前だったといえる。今年度は重点枠事業もあって、小中学生・他の高校生などに直接本校の特色ある活
動を紹介することができたほか、新聞記事として何度も取り上げていただいた。今後も地域の科学教育
の中核拠点として積極的な情報発信に取り組んでいきたい。
(2)生徒・教員・保護者の意識(
「SSH 意識調査」の利用による)
文部科学省及び科学技術振興機構が12月に実施した「SSH 意識調査」から数項目を抜粋し、それ
らの集計結果を示す。グラフ中の「1年一般」には「1年 SSH クラス」のデータは含まれていない。
凡例 及び 調査年度 は、各ページの最初のグラフを参照。
40
① SSH 事業を通して、科学技術に対する興味関心が増したか。
《平成25年度》
《平成24年度》
SSH クラスの肯定的回答は 1年 97.5%、2年 92.3%、3年 84.6% と各学年とも例年並み
であり、いずれも8割を超えている。また、SS アクティベイトⅠ実施の効果が反映される1年一般の
肯定的回答も80.3%に達し、対象生徒全体として十分満足できる効果があったといえる。1年一般
の肯定的回答は昨年度から2.1%伸びたが、これは主に「大変増した」の増加による。希望者対象の
ESD クラブや科学部・地学部などによる発表活動による影響があると考えられる。
② SSH 事業を通して、科学技術に関する学習に対する意欲が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は3年が77.0%と、昨年と比較してやや減少したが、1年は92.5%、
2年は89.7%に達し、昨年度より増加した。特に「大変増した」に注目すると、今年度の2年が
25.6%の大幅な増加となった。今年度は科学オリンピックの参加をこれまで以上に推進したが、
これが学習意欲の向上に関係していると思われる。
③ SSH 事業を通して、探究心が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は 1年 87.5%、2年 97.4%、3年 89.8% と、2年と3年にお
いて昨年度を上回る値を得た。
「大変増した」
を昨年度と比較すると、
1年12.5%、
2年 23.1%、
3年7.7% の増加が見られた。これは、外部での研究発表の機会や重点枠事業関連の活動を増やし
たことによる効果と考えられる。
41
④ SSH 事業を通して、考える力が増したか。
《平成25年度》
《平成24年度》
SSH クラスの肯定的回答は 1年 87.5%、2年 87.2%、3年 89.8% となり、特に「大
変増した」に注目すると、昨年度と比較して2年が+28.2%と顕著な増加となっている。これは、
先の設問 ②学習意欲 や ③考える力 に関連が深いと考えられる。また、1年一般の肯定的回答は
ディベートの実施によるところが大きいと思われ、指導に関わった多くの教員が生徒の変容を感じ
取ったことにより肯定的回答68.9%という高い値が出たに達したと考えられる。
⑤ SSH 事業を通して、問題解決力が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は 1年 85.0%、2年 84.6%、3年 89.7% であり、全学年とも
昨年度よりも増加した。特に2年の「大変増した」は、昨年度と比較すると+15.3%となった。
これは、今年度の課題研究で仮説設定を重視したことにより、各テーマで探究する内容が焦点化し、
考察や課題などの思考プロセスに好ましい影響を与えたのだと考えられる。
⑥ SSH 事業を通して、独自なものを創り出そうとする姿勢が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は 1年 52.5%、2年 74.4%、3年 76.9% であり、昨年度と比べ
ると2年と3年の増加が目立つ。この設問においても2年の「大変増した」の増加が、昨年度と比較に
おいて+7. 7% と顕著になっている。今年度の課題研究において、測定の新たな記録方法や教員が考
えつかなかった考察など、生徒からのユニークな発想もいくつか報告されており、この調査結果とも関
連があると思われる。
42
⑦ SSH 事業を通して、発表し伝える力が増したか。
《平成25年度》
《平成24年度》
SSH クラスの肯定的回答は 1年 82.5%、2年 100%、3年 92.3% となり、2年の値が
突出している。要因としては、課題研究の質的向上を目指して指導体制に改善を加えたことが考えら
れる。その効果は生徒研究発表会(校内)にも現れ、発表の様子は例年以上に堂々としていた。
⑧ SSH 事業を通して、英語表現力や国際感覚が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は 1年 65.0%、2年 71.8%、3年 79.5% となり、学習成果発表
会(英語による課題研究発表会)の実施対象である3年がやはり高い数値だった。ただし、
「大変増し
た」に注目すると2年が最大値になっている。一見不自然に思われるが、この学年は3年の学習成果発
表会を聴講した際に英語で積極的に質問をしていた。また、昨年度、米軍三沢基地内の生徒に英語で科
学実験を紹介し、交流を深める新規の事業に参加した経験もある。従来の指導に改善を加えた効果が数
字にも現れてきたと考えられる。
⑨ SSH 事業を通して、社会で科学技術を正しく用いる姿勢が増したか。
SSH クラスの肯定的回答は 1年 70.0%、2年 77.0%、3年 69.2%となった。1年一般は
昨年度より「やや増した」が+10.0%となり、肯定的回答全体が60.7%に達した。これは今年度
の SS アクティベイトⅠで、テーマを「環境とエネルギー」として指導内容を明確化したことと関連が
あると思われる。この調査後、
「環境とエネルギー」を主テーマとしたディベートを実施しており、そ
の効果が加味されていれば数値はさらに上昇したものと考えられる。
43
(3)学校設定教科「総合 SS」等の実施の効果と評価
各事業ごとの結果・検証および意識調査の結果については、それぞれの該当ページを参照。
① SS アクティベイトⅠ
ESD や科学倫理の学習等においては、環境と社会を関連づけたり、環境のためにどう行動すべきかを
考える態度が育成された。理科基礎実験では、特に放射線及び酸性雨の実験を通して、環境問題につ
いて実感を伴った理解をさせることができた。ディベートでは論理的思考力や論点をまとめる力が身
についた。意識調査における肯定的回答は、SSH クラスを除く一般クラスで、
「科学技術に対する興
味関心が増したか(80%)
」
、
「社会で科学技術を正しく用いる姿勢が増したか(61%)
」という結
果となり、科学に対する素養や態度を身につけさせるというねらいは十分達成されたといえる。
② SS アクティベイトⅡ
センター研修では、仮説・検証・考察・発表という探究プロセスを経験・理解させることができ、各種
校外研修において、科学分野への興味・関心を引き上げることができた。意識調査における肯定的回答
は、
「科学技術に対する興味関心が増したか(95%)
」
、
「科学技術に関する学習に対する意欲が増した
か(94%)
」という非常に高い数値を得た。国際性の育成については、ALT ラボⅠで、実験を通して
科学分野での英語活用の重要性を理解させることができ、アウトリーチ・ラボでは、米軍三沢基地内の
小学生に科学実験を紹介することを通して英語コミュニケーション能力を育成することができた。これ
らの指導を通して、理科専門の ALT と英語科教員の連携がこれまで以上に強化された。
③ SS リサーチ
課題研究においては、仮説の明確な設定と論理的な検証を重視し、中間発表会や地域連携サイエンス
セッションの実施、各種学会への参加など、発表の機会を意図的に増やした。意識調査における肯定的
回答は、
「探究心が増したか(97%)
」
、
「発表し伝える力が増したか(100%)
」という結果となっ
た。12月の生徒研究発表会に出席した運営指導委員からは、論理展開や発表態度において高い評価を
いただき、また、担当教員による生徒観察でも主体性や分析力、情報収集力等が増したことが報告され
た。よって、総合的に探究力が向上したと評価できる。また、SS インテグレイトの学習成果発表会参
加時の英語による質問や、ALT の実験指導による ALT ラボⅡで科学分野における英語活用の場面を増
やし、その重要性を理解させることができた。意識調査の結果、肯定的回答は「英語表現力や国際感覚
が増したか(72%)
」となった。
④ SS インテグレイト
科学英語では、課題研究の英訳や発音・発表練習などにより、コミュニケーション能力及び英語学習へ
の関心を高めることができ、学習成果発表会では英語によるプレゼンテーション能力が向上させること
ができた。運営指導委員からは「年々上達してきている」
、指導に協力した他校の ALT からも「昨年
度よりレベルが上がった」との評価があった。意識調査の結果、肯定的回答は「英語表現力や国際感覚
が増したか(80%)
」となり、昨年度よりも13%上昇した。
⑤ その他の活動
東北地区 SSH 指定校発表会では地学班が最優秀賞を、東北地方 ESD プログラムチャレンジプロジェ
クト発表大会では青森県知事賞を受賞し、数学オリンピックでは北海道・東北地区表彰者が2名出た。
44
10 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
① SS アクティベイトⅠ
当初の計画にできるだけ変更を加えず実施してきたが、1単位の授業としては構成プログラムの種類が
多く、やや統一感に欠ける。個々の実施効果は確かにあり、仮説も支持されているが、ディベート以外
には十分な時間を充てることができない状況であり、生徒も「今、何を学んでいるか」を把握しにくい
ことから、今年度は「環境とエネルギー」というテーマを今まで以上に明確に打ち出し、構成プログラ
ムをこのテーマに収束させるよう努めた。将来的に「持続可能で汎用性のあるカリキュラム」として普
及させるには重点項目に沿って開発教材を集約し、誰でも指導しやすい形に改良を進めていく必要があ
る。探究活動の一般クラス生への拡大については、今年度実施した ESD クラブのような希望者からな
る活動を継続して実現させていきたい。
② SS アクティベイトⅡ
情報基礎実習及びセンター研修で、情報収集・データ処理も含めた探究プロセス及びプレゼンテーショ
ン方法の習得には十分な効果が得られている。他の校外研修では年々事前学習を充実させ、また内容を
取捨・統合するなど改善を施してきた。よって、これらについては次年度も継続する方向でよいと考え
る。一方、国際性の育成に関しては、英語科教員と ALT との連携強化によりまだ改善の余地がある。
新規に立ち上げたアウトリーチ・ラボでは、米軍三沢基地内の児童とさらに親密なコミュニケーション
を取れるよう、入念な指導を行い不安なく訪問したい。また、ALT ラボⅠでは、ALT とのやりとりの
場面を増やすことにより、英語学習の意欲高揚につなげていきたい。SS アクティベイトⅡの一部のプ
ログラムについては、一般クラスの希望者も参加できる体制をとっており、今後も継続の予定である。
③ SS リサーチ
課題研究においては、仮説設定プロセスの改善、動機と仮説との相違の認識、データの信頼性や実験の
再現性などについて、次第に運営指導委員から指摘されるようになってきた。これらは、従来ある程度
許容されていた点であるが、課題研究の質的向上に伴い評価の規準も上がってきたことが背景にある。
SSH 推進委員会主導の下、担当教員内で共通認識をもって今後の指導に当たりたい。国際性の育成に
関する取り組みとして、今年度は学習成果発表会に参加させ、英語でプレゼンテーションした3年次生
に英語で質問する指導を行った。2年次の後半は ALT ラボⅡや次年度の科学英語の準備に時間を振り
分けているが、英語学習への意欲を低下させないため、こうした工夫を前半でも加えていきたい。東京
研修の実施時期については、全国 SSH 生徒研究発表会の参観を考慮して1月から8月に移行する。
④ SS インテグレイト
科学英語の授業で解決すべき大きな課題は、英訳以前に「研究内容を4分間に分かりやすくまとめ上げ
る」ことである。現在、仮説や実験方法等を書き出すワークシートを用いているが、十分な時間で行う
日本語プレゼンテーションに慣れた生徒にとって、要点を絞り込むことは即座に適応しにくい課題とな
っている。その解決のためには、2年次のうちに制限時間内で研究を紹介できるような訓練をしたり、
英語による要旨を作成させたりする方法が考えられる。発展数学については、今年度のテーマが統計学
と空間図形だったが、以前は複素数平面や偏微分、微分方程式なども取り上げており、担当教員によっ
て内容にばらつきがあった。今後は理系学生にとって最重要と思われるものを検討し、継続的に指導す
ることとしたい。
45
《次年度の予定》
4月
5月
6月
SS アクティベイトⅠ
SS アクティベイトⅡ
SS リサーチ
ガイダンス
情報基礎実習①(〜6月) 課題研究 (〜12月)
SS インテグレイト
その他の活動
科学英語 (〜6月)
ESD 講座①
ESD 講演会
理科基礎実験①
ESD 講座②
IT ラボ/森林環境講座
学習成果発表会
フィールドワーク事前研修
(重点枠関連)
7月
科学史・科学倫理 講座①
発生実習
8月
9月
10月
11月
12月
センター研修
科学史・科学倫理 講演会
地学・エネルギー巡検
東京研修
青森サイエンスキャンプ
中間発表会
発展数学
ラボ・インターンシップ
SSH 講演会
放射線実習セミナー
科学史・科学倫理 講座②
情報基礎実習②
環境・エネルギー講座
ALT ラボⅠ
理科基礎実験②
アウトリーチ・ラボ
科学の甲子園青森県大会
(〜2月)
ディベート (〜2月)
生徒研究発表会
理数系課題研究発表会
ALT ラボⅡ(〜2月)
1月
ウェルカムラボ事前研修
2月
3月
数学ゼミ
(重点枠関連)
1年間のまとめ
課題研究準備
発表会
科学英語準備
46
東北地区 SSH 指定校
Ⅳ
関 係 資 料
1 教育課程
(1)平成25年度入学生(文類型・理類型)
47
(2)平成25年度入学生(理類型 SSH)
48
(3)平成24年度入学生(理類型 SSH)
49
(4)平成23年度入学生(理類型 SSH)
50
2 研究組織の概要
(1)組織図
(2)業務内容
①SSH 推進委員会‥‥‥SSH 事業の総括
②企画・調整 G‥‥‥SSH 事業の企画・運営、内外の連携・調整、高大接続の研究
③課題研究推進 G‥‥‥1年次理科基礎実験、2年次課題研究の推進
④カリキュラム開発推進 G‥‥‥SSH カリキュラムマネジメント、横断型授業の推進
⑤国際性の育成研究 G‥‥‥科学英語力・英語プレゼンテーション能力の育成、国際性の育成の研究
⑥評価研究 G‥‥‥SSH 事業の評価方法の研究、実施記録・報告書の作成、広報等
⑦予算・管理 G‥‥‥SSH 事業に関わる経理全般、備品等物品の管理
(3)運営指導委員会 SSH の運営に関する専門的見地からの指導、助言、評価
①組織
野田 英彦(八戸工業大学工学部機械情報技術学科 教授)
関
秀廣(八戸工業大学工学部電気電子システム学科 教授)
小野 俊郎(弘前大学大学院理工学研究科 教授)
上村 松生(岩手大学大学院連合農学研究科 教授)
市田 淳治(青森県産業技術センター八戸地域研究所 所長)
②活動内容
SSH 事業の運営に関する専門的見地からの指導、助言、評価(6月・12月)
51
3 運営指導委員会 会議録
第1回 運営指導委員会
1 期
日
平成25年6月11日(火)15:30〜18:00
2 場
所
青森県立八戸北高等学校 会議室
3 出席者
運営指導委員:野田 英彦(八戸工業大学工学部教授)
関
秀廣(八戸工業大学工学部教授)
小野 俊郎(弘前大学大学院理工学研究科教授)
上村 松生(岩手大学農学部教授)
市田 淳治(青森県産業技術センター八戸地域研究所所長)
青森県教育庁:吉田
杉森
八戸北高教員:福地
健(学校教育課副参事)
晋(学校教育課指導主事)
進(校長)
岩見 一郎(教頭)
漆原俊一郎、 岩岡
洋、 日戸
杉山 純子、 荒谷 睦子
4 内
容
孝
(以上、SSH 推進委員会)
(1)事業概要説明
(2)課題研究進捗状況説明
(3)アンケート結果及び中間評価の報告
(4)質疑応答・協議
(5)指導・助言
5 発言内容
《課題研究/学習成果発表会について》
・仮説・検証・結論という形が整ってきた。仮説設定までの背景も必要だろう。
・生徒は年々上達している。日常会話と異なる英語に接するのは貴重な機会である。
・定量的扱いを心掛けてほしい。正確なデータは大学や研究施設で得られる。
・大学教員からアドバイスをもらう際には、生徒の主体性が保たれるよう留意すべき。
・テーマを継続するか、新規にするか。そのバランスも重要だろう。
《科学技術人材育成重点枠について》
Q:小中学生を巻き込むねらいは何か。
A:地域の拠点校として探究活動を広めること。本校生徒の成長の機会にもなる。
→ 負担が増えるので広げすぎないように注意してもらいたい。
《ALT について》
Q:ALT 関係の経費はどこからくるのか。
A:文科省から出ている。ALT 配置の効果を示してもらいたいと考えている。
→ 何らかの数値も必要だろう。生徒の変容もまとめられる。本校では ALT が
英語によるプレゼンテーションを指導している。また、ネイティブスピーカー
だからこそわかる表現上の細かいニュアンスの違いも教えている。
《探究活動の対象拡大について》
Q:まず理系とか希望者で始めてみてはどうか。
A:教員側でテーマを設定して募集をしたが、希望者が出なかった。
→ 探究活動なら理数系に限定しなくてもよい。別の方法も考えられる。
52
第2回 運営指導委員会
1 期
日
平成25年12月13日(金)16:50〜17:30
2 会
場
青森県立八戸北高等学校 会議室
3 出席者
運営指導委員:野田 英彦(八戸工業大学工学部教授)
関
秀廣(八戸工業大学工学部教授)
小野 俊郎(弘前大学大学院理工学研究科教授)
上村 松生(岩手大学農学部教授)
市田 淳治(青森県産業技術センター八戸地域研究所所長)
青森県教育庁:吉田
杉森
健(学校教育課副参事)
晋(学校教育課指導主事)
清野 達雄(学校教育課指導主事)
八戸北高教員:福地
進(校長)
岩見 一郎(教頭)
漆原俊一郎、 岩岡
洋、 日戸
杉山 純子、 荒谷 睦子
4 内
容
孝
(以上、SSH 推進委員会)
(1)今年度 SSH 事業の概要説明
(2)質疑応答
(3)指導・助言
5 発言内容
《課題研究/生徒研究成果発表会について》
・論理展開には感心した。高校教員の指導スキルも上がってきていると思う。
・下級生からの質問が的確だった。発表者も真摯に答えていたのはよかった。
・助言者の発言は1件につき1名を割り当て、生徒からの質問を増やしてはどうか。
・仮説に至るまでの過程が重要であり、研究動機とは区別する必要がある。
《科学技術人材育成重点枠について》
Q:小中高連携フィールドワークの参加者は何名か。
A:小学生11名、中学生9名。宣伝効果を上げる取り組みが必要。
→ 情報発信については県の支援・協力も依頼すべき。
Q:コンソーシアムは次年度も継続実施するのか。
A:同様のテーマで実施予定。科学への興味づけという種を蒔きたい。
→ 地域の研究機関として協力できる。必要ならば相談してほしい。
《高大接続について》
・平成28年度は大学が入試システムを変える時期。八戸北・三本木・五所川原高校
は3校合同で「理数系課題研究発表会」を行っているが、理数系の特別枠を設けて
もらえるよう大学に働きかけてはどうか。
・弘前大学では、大学生と同じ講義を受けた高校生には、それを入学後に単位として
認めるシステムがある。しかし、大学近隣の高校生にしか利用できない。
・大学1年生から、やりたい研究が始められる制度をつくれないだろうか。
・大学入学者の学力は同じではなく、その補習のために大学教員も多忙になってきて
いる。SSH 出身者の特別カリキュラムを設けるのは難しいかもしれない。
・研究の手伝いなどをさせれば、経験を積むことになる。単位に関係なければ何かで
きるかもしれない。突出した学生には特別な場を与えたい。
53
4 研修会報告
全国 SSH 交流会支援教員研修会
『全校体制による SSH 事業推進および課題研究における英語の活用について』
1 期
日
平成25年11月17日(日)10:00〜16:00
2 場
所
サイエンスプラザ
3 日
程
10:00 開会行事
講演『自然科学と外国語 ささやかな経験から』
東京理科大学総合教育機構理数教育研究センター 渡辺 正 教授
11:30 事例報告①『英語プレゼンテーションに向けた1年次からの取り組み』
青森県立八戸北高等学校 山口 泰子
13:00 事例報告②『水沢高校におけるサイエンス・イングリッシュの取り組み』
岩手県立水沢高等学校
村上 龍弘 教諭
13:30 分科会協議『課題研究における英語の活用』
、
『科学英語』
14:45 全体会・質疑応答
15:30 閉会行事
4 発表内容
事例報告①『英語プレゼンテーションに向けた1年次からの取り組み』
発表者=山口 泰子(英語科主任)
(1)指導の流れ
1年次:ALT ラボⅠ(物理分野の実験)
アウトリーチ・ラボ(米軍三沢基地内学校を訪問、英語で理科実験・交流)
2年次:学習成果発表会 参観(3年生の英語でのプレゼンテーションを参観・質問)
ALT ラボⅡ(生物分野の実験)
3年次:科学英語(課題研究の英訳、キーワード表及び発表原稿作成、口頭発表及び
質疑応答の練習、直前には近隣校の ALT にも協力を要請)
学習成果発表会(英語でのプレゼンテーション)
(2)成果
生徒の感想から、英語学習の動機づけになっていることがわかる。
模試の英語で、表現力を問う問題では SSH クラスの成績が他クラスのそれより高い。
(3)今後の課題
普段の英語の授業と切り離されている面があるため、効果的に連動させる必要がある。
また、担当者が代わっても継続指導できる体制の確立も図っていきたい。
5 所
感
事例報告後、思いがけなく多くの質問が寄せられた。その大半が科学専門の ALT を
どのように配置していただいているのか、他校の ALT の訪問要請をどのように行っ
ているのか、また、カリキュラムがどのようになっているのか、というものだった。
本校では ALT が SSH クラスの指導において中心的な役割を果たしており、恵まれ
た環境にあると感じた。また、質問の中には、プレゼンテーションにおける質疑応答
はうまくいっているのか、評価はどのように行っているのか、といった、本校が現在
課題として改善に当たっている内容も含まれていた。分科会では、他校の取り組みの
中から、今後の指導のヒントを得ることができ、有意義な研修会だった。
54
3 生徒対象アンケート(自己評価票)集計結果
各研究開発について、下記と同様あるいは類似のアンケートを実施し、各設問について5段階で評価させた。
実施前の①興味関心・②理解、 実施後の③興味関心・④理解、 ⑤取り組み姿勢、⑥難易度
実施前後での①と③の各平均値、 ②と④の各平均値
また、研究開発の種類に応じて、仮説の検証に必要な設問に変更、または、新たな設問の追加を行った。
数値の集計結果はグラフに変換して評価に用いたが、紙面の都合上、掲載しているのは各研究開発の評価に
関連が深いものとした。生徒の感想等については、特徴的なものを各研究開発報告の下部に掲載した。
◎集計結果グラフ例
SaⅠ-[1] 理科基礎実験 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
55
SaⅠ-[2] ESD 講演会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅠ-[3] ESD 講座 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅠ-[4] 科学史・科学倫理 講演会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅠ-[5] 科学史・科学倫理 講座 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅠ-[6] 環境・エネルギー講座 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
56
SaⅠ-[7] ディベート ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[1] 情報基礎実習 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[2] IT ラボ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[3] センター研修 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[4] 発生実習 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
57
SaⅡ-[5] 放射線セミナー ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[6]森林環境講座 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[7]青森サイエンスキャンプ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[8]地学・エネルギー巡検 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
SaⅡ-[9] ALT ラボ I ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
58
SaⅡ-[10] アウトリーチ・ラボ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Sr -[1] 課題研究 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Sr -[2]ラボ・インターンシップ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Sr -[3] ALT ラボ II ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Sr -[4] 東京研修 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
59
Sr -[5] 数学ゼミ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Si -[1] 科学英語 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Si -[2] 学習成果発表会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Si -[3] 発展数学 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
[全校生徒対象] SSH 講演会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
60
Ⅴ
科学技術人材育成重点枠 (要約)
Ⅵ
科学技術人材育成重点枠の成果と課題
▼ コンソーシアム青森(4月・7月)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
土壌処理の実習
ポスター発表
口頭発表
参加生徒・教員
▼ 小中高連携フィールドワーク(8月)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ワラジムシの採取
室内実験
椀かけ
参加生徒・児童
i
▼ 地域連携サイエンスセッション(2月)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ポスター発表
全体講演
口頭発表
SSH 校生協議
▼ 小中高連携ウェルカムラボ(3月)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
紙の落下実験
発表会
化学実験の指導
参加生徒・児童
ii
青森県立八戸北高等学校
25〜26
平成25年度科学技術人材育成重点枠実施報告(要約)
① 研究開発のテーマ
八戸市を拠点とした青森県の初等中等教育における研究活動の活性化
② 研究開発の概要
(1)コンソーシアム青森:青森県及び岩手県北におけるエゾタンポポの分布と生態に関する共同研究
(2)小中高連携フィールドワーク:小中学生による野外実習を題材とした探究活動
(3)地域連携サイエンスセッション:ポスターセッションを中心とした大規模な研究発表会
(4)小中高連携ウェルカムラボ:小中学生による屋内実験を題材とした探究活動
③ 平成25年度実施規模
(1)コンソーシアム青森:青森県及び岩手県内の高校5校、八戸市内中学校1校の自然科学系部員36名
(2)小中高連携フィールドワーク:八戸市内小学生11名、中学生10名、本校生徒20名
(3)地域連携サイエンスセッション:青森県及び岩手県内の高校14校の生徒207名
(4)小中高連携ウェルカムラボ:八戸市内小学生9名、中学生18名、本校生徒20名
④ 研究開発内容
(1)コンソーシアム青森:自然科学に興味がある中学・高校生が、エゾタンポポの分布と生態について
共同で研究を行った。これにより科学的な興味・関心が高まり、探究活動に対する意欲が高まった。
(2)小中高連携フィールドワーク:小学生が「ワラジムシの行動」
、中学生が「河川の鉱物」について仮
説を立てた上で野外観察・実習を行い、ポスターにまとめて発表した。
(3)地域連携サイエンスセッション:研究活動を行っている県内外の高校生が、本校にて研究成果を発
表した。また、本校及び三本木高校の SSH クラス1年生が課題研究に関する協議を行った。
(4)小中高連携ウェルカムラボ:小学生が「紙落とし」
、中学生が「化学反応の量的関係」について仮説
を立てた上で室内実験を行い、ポスターにまとめて発表した。
⑤ 研究開発の成果と課題
○実施による成果とその評価
コンソーシアム青森では、共同研究を通して探究活動を理解・実践できるようになった。アンケートでは、
「研究意欲」について「高まった・とても高まった」が93%となり、生徒の大きな変容が見られた。地
域連携サイエンスセッションでは、ポスターセッションを通じて、互いに刺激を与え合った。連携校への
アンケートでは、
「探究活動への関心・意欲」について「高まった・とても高まった」が88%となり、運
営指導委員からも「有意義な事業である」との評価をいただいた。小中高連携フィールドワーク/小中高
連携ウェルカムラボでは、時間をかけた探究プロセスを経験することで、参加した小中学生の科学的見方
や考え方が養われた。アンケートでは、
「予想を立てて確かめることの大切さ」ついて「理解できた・とて
も理解できた」がフィールドワークで100%、ウェルカムラボで97%に達した。
○実施上の課題と今後の取組
コンソーシアム青森では、連携校をさらに増やすとともに調査範囲を広げることで、研究の信頼性を高め
つつ共同研究の普及と部活動活性化に寄与したい。地域連携サイエンスセッションでは、県外へも広く参
加を呼びかけるとともに、ディスカッションのための十分な時間を確保したい。小中高連携フィールドワ
ーク/小中高連携ウェルカムラボでは、小中学校への参加の呼びかけを継続するとともに、八戸市教育委
員会に評価・助言の協力を依頼し、実施内容の完成度を向上させたい。
61
青森県立八戸北高等学校
25〜26
平成25年度科学技術人材育成重点枠の成果と課題
① 研究開発の成果
○コンソーシアム青森:連携校の中にはこれまで科学系部活動が停滞気味の学校も多かったが、本コンソ
ーシアムへの参加を通して生徒が探究活動を理解・実践し、最終的にはすべての連携校が日本植物学会等
で発表するまでに至った。連携校へのアンケートでは、
「研究意欲」について「高まった・とても高まった」
が93%、
「部活動への効果」について「活性化した・とても活性化した」が66%、うち「とても活性化
した」が44%となり、生徒の大きな変容が見られた。
○地域連携サイエンスセッション:ポスターセッション中心とすることで、生徒全員がディスカッション
に参加できる形態とし、発表する側と聴講する側とが入れ替わりながら互いに刺激を受ける場となった。
連携校へのアンケートでは、
「探究活動への関心・意欲」について「高まった・とても高まった」が88%、
「探究活動の活性化」について「役立つ・とても役立つ」が連携校93%となった。運営指導委員からは、
有意義な事業である、どの研究内容も興味深い、との評価をいただいた。
○小中高連携フィールドワーク/小中高連携ウェルカムラボ:普段の授業で行う単純な実験・観察とは異
なる「予想や仮説を立て、それを自分の目で確かめ、まとめて発表する」プロセスを経験し、参加した小
中学生は探究活動に大きな達成感を得たようである。アンケートでは、
「予想を立てて確かめることの大切
さ」ついて「理解できた・とても理解できた」がフィールドワークで100%、ウェルカムラボで97%
に達した。また、サポート役を勤めた本校生徒全員が「探究活動への理解」が深まったと自己評価してい
る。
② 研究開発の課題
○コンソーシアム青森:今年は実施初回であったこともあり、共同研究の呼びかけに応じた学校が少なく、
運営においても本校生徒を活動させる場面に限界があった。次年度は連携校を増やすとともに、生徒をス
タッフとして活動させることを通してその企画運営能力を育てていきたい。また、連携校数だけでなく、
範囲を青森市周辺や下北地域、秋田県にも広げ、研究の信頼性を高めつつ共同研究の普及と部活動活性化
に寄与したい。
○地域連携サイエンスセッション:運営指導委員の助言を踏まえ、次年度はさらにポスターセッションの
比重を高め、より濃密なディスカッションを促していきたい。今回の参加については専門高校も含めて呼
びかけたが工業高校からの応答はなく、中学校からの参加も生徒5名、教員1名に留まった。今回、県外
では釜石高校の参加があったが、次年度も岩手県及び秋田県の SSH 校、市内中学校への呼びかけを地道に
進めていきたい。
○小中高連携フィールドワーク/小中高連携ウェルカムラボ:本プログラムに対して、今年度は多くの小
中学校がまだ様子を見ている段階と思われ、参加者が定員に満たなかった。引き続き小中学校への参加の
呼びかけを進めていきたい。この2つの事業は他の重点枠事業と同様、地元新聞に記事として取り上げら
れており、地域での認知度上昇とともに今後の参加者の増加も期待している。体験内容は小学校5年生及
び中学校2年生までの既習事項に関連させるよう配慮しており、児童・生徒も非常に意欲的に取り組むこ
とから、この内容を次年度も踏襲することとし、新たに八戸市教育委員会に評価・助言の協力も依頼して
実施内容の完成度を向上させたい。
62
Ⅶ
科学技術人材育成重点枠実施報告書 (本文)
Ⅷ
科学技術人材育成重点枠
関係資料
1 研究開発テーマ
(1)研究のねらい
八戸市を拠点とした青森県の初等中等教育における研究活動の活性化
(2)研究の内容
a.小中学生がフィールドワーク及び室内実験を基とした探究活動を経験することを通して、実感を
伴った理解をし、科学的な興味・関心を高め、科学的な見方や考え方を養う。
b.SSH クラス生が小中学生の活動をサポートすることを通して、児童生徒の科学への興味・関心の
高揚に対する意識を高め、科学的な探究活動の方法に対する理解を深める。
c.研究活動を行っている県内高校生が研究成果について発表し研究仲間として刺激を与え合うこと
を通して研究活動への意欲を高め、県全体の科学技術系研究活動を活性化する。
d.研究発表に対する審査を、聴講していた児童生徒に行わせ、研究活動のポイントを理解させて、
研究に対する意欲を高める。
e.八戸市を中心とした小中学生の中で研究活動に興味・関心のある生徒が、高校の研究活動を知る
ことを通して、科学技術全体への興味・関心を高め、理数系の高等学校への進学意欲を高める。
f.青森県内の SSH 校生徒をはじめとする自然科学に興味のある生徒及び高校の自然科学系部活動
に所属する生徒が、同じテーマについて共同研究をすることを通して、科学的な興味・関心及び研
究意欲を高める。
g.本校地学部並びに科学部の生徒が他校との共同研究を企画運営することにより、企画運営能力及
びプレゼンテーション能力を向上させる。
【研究内容と事業の対応】
①
②
③
④
コンソーシアム
小中高連携
地域連携
小中高連携
青森
フィールドワーク
サイエンス
ウェルカムラボ
セッション
a.
○
○
b.
○
○
c.
○
○
d.
○
e.
○
f.
○
g.
○
63
2 研究開発の経緯
①コンソーシアム青森:自然科学に興味がある中学・高校生が「エゾタンポポの分布と生態」について
共同で研究を行った。これにより科学的な興味・関心が高まり、科学研究に対する意欲が高まった。
《実施時期》
《実施内容》
4月21日(日)
コンソーシアム青森 研修会
<4月〜7月>
各校での野外調査・土壌分析・まとめ等
<5月〜6月>
青森県内及び岩手県洋野町の小中学校によるタンポポ分布調査協力
7月28日(日)
コンソーシアム青森 報告会
9月15日(日)
日本植物学会第77回大会にて発表
10月26日(土)
県高校総合文化祭自然科学部門にて発表
11月16日(土)
高校生科学研究コンテストにて発表
12月14日(土)
東北植物学会第3回大会にて発表
②小中高連携フィールドワーク:小学生が「ワラジムシの行動」
、中学生が「河川の鉱物」について仮
説を立てた上で野外観察・実習を行い、ポスターにまとめて発表した。
《実施時期》
《実施内容》
6月25日(火)
校内研修①
7月 9日(火)
校内研修②
8月17日(土)
小中高連携フィールドワーク
③地域連携サイエンスセッション:研究活動を行っている県内外の高校生が本校にて研究成果を発表
した。また、本校及び三本木高校の SSH クラス1年生が課題研究に関する協議を行った。
《実施時期》
《実施内容》
2月 6日(木)
ポスター発表練習
2月 9日(日)
地域連携サイエンスセッション
④小中高連携ウェルカムラボ:小学生が「紙落とし」
、中学生が「化学反応の量的関係」について仮説
を立てた上で室内実験を行い、ポスターにまとめて発表した。
《実施時期》
《実施内容》
2月25日(火)
校内研修①
3月 1日(土)
校内研修②
3月 2日(日)
小中高連携ウェルカムラボ
64
3 研究開発の内容
[ 科学技術人材育成重点枠事業 – 1 ]
コンソーシアム青森
○ 仮
説
SSH 校生徒をはじめとする自然科学に興味のある生徒及び自然科学系部活動の生徒が
同じテーマについて共同研究をすることにより、生徒の科学的な興味・関心及び研究
意欲が高まる。また、このプログラムを体験することにより、生徒が科学的な探究活
動の進め方を身につけることができ、本校生徒の企画運営能力及びプレゼンテーショ
ン能力が向上する。
<1> コンソーシアム青森 研修会
1 実 施 日
平成25年4月21日(日)
2 会
化学室及び本校敷地
場
3 当日の日程
9:30〜 9:40 開会行事
9:50〜10:40 講義「植物の生育と土壌の性質」
講師=北里大学獣医学部 馬場 光久 准教授
10:50〜11:00 実験内容説明
11:00〜12:00 土壌採取と土壌処理の実習①
指導=馬場 光久 准教授(補助=大学院生1名)
12:00〜12:50 昼休み
12:50〜13:20 先行研究の報告=八戸北高等学校地学部
13:20〜14:00 土壌採取と土壌処理の実習②
14:10〜14:30 プレゼンテーション及びポスターに関する説明
14:30〜14:50 閉会行事
4 参 加 校
青森県立八戸北高等学校(地学部15名+科学部9名、教員5名)
青森県立三沢高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立三本木高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立弘前南高等学校(自然科学部4名、教員1名)
岩手県立大野高等学校(自然科学部2名、教員1名)
八戸市立大館中学校(教員1名)
5 内容・方法
(1)講義「植物の生育と土壌の性質」
植物の生育と土壌の性質には深い関係があること、オオハンゴンソウなどの外来生物が
青森県内に分布を広げている実態について理解をした。また、今回の研究テーマである
タンポポについての基礎的な知識を得た。
(2)土壌採取と土壌処理の実習
タンポポの分布と土壌との関係を研究するための実験方法の習得を目的とし、本校地
学部の生徒がサポートしながら、実際に一連の実験方法を学んだ。
65
(3)先行研究の報告
本コンソーシアムの研究テーマである「タンポポ」については、八戸北高校地学部の生
徒が 2010 年度から研究を行っている。3年間の研究である、タンポポの生態及び土壌
の性質との関連性について、連携校の生徒及び教員に紹介した。
(4)プレゼンテーション及びポスターに関する説明
本コンソーシアムで得られた研究成果については、7月の報告会で各校ごとに発表する
他、各種学会等で発表するために、わかりやすいプレゼンテーションの方法や効果的な
ポスター作りについて学んだ。
<2> コンソーシアム青森 報告会
1 実 施 日
平成25年7月28日(日)
2 会
視聴覚室
場
3 当日の日程
9:50〜10:00 開会行事
10:00〜10:50 講演「青森県内における外来生物による生物多様性の危機」
講師=北里大学獣医学部生物環境科学科 杉浦 俊弘 教授
11:00〜12:15 連携校研究結果報告
12:15〜13:00 昼休み
13:00〜13:30 ポスターセッション
13:30〜13:50 タンポポに関する映像教材視聴
13:50〜14:00 アンケート記入 (13:30〜14:00 評価会議)
14:00〜14:15 閉会行事
4 参 加 校
青森県立八戸北高等学校(地学部8名+科学部4名、教員5名)
青森県立三沢高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立三本木高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立弘前南高等学校(自然科学部4名、教員1名)
岩手県立大野高等学校(自然科学部3名、教員1名)
八戸市立大館中学校(大館エコクラブ2名、教員1名)
5 助 言 者
北里大学獣医学部生物環境学科
杉浦 俊弘 教 授
北里大学獣医学部生物環境学科
馬場 光久 准教授
青森県教育庁学校教育課
杉森
晋 指導主事
6 内容・方法
(1)講演「青森県内における外来生物による生物多様性の危機」
各校で行われたタンポポに関する研究成果を踏まえ、さらに青森県内の生態系・生物
多様性へ目を向ける意味で上記の講義を受講した。
(2)連携校研究結果報告及びポスターセッション
①青森県立八戸北高等学校 … 連携校からの調査結果をもとに青森県内におけるエゾタ
ンポポの分布地図を作製し、その地域ごとの傾向について紹介した。
②青森県立三沢高等学校 … エゾタンポポとセイヨウタンポポではその種の形態に違い
があるという仮説を立て、その検証を行った。
66
③青森県立三本木高等学校 … エゾタンポポの自生する環境には規則性があるという仮
説を立て、検証を行った。
④青森県立弘前南高等学校 … エゾタンポポとセイヨウタンポポではその発芽条件が異
なるという仮説を立て、その検証を行った。
⑤岩手県立大野高等学校 … 岩手県北部洋野町および軽米町におけるエゾタンポポ自生
地を探査し、それを発見した。
⑥八戸市立大館中学校 … 室内で育てたエゾタンポポとセイヨウタンポポについて、様々
な面からその生態を比較した。
7 結果・検証
本コンソーシアムでは、これまで本校が行ってきた内容を共同研究のテーマとした。連
携校が取り組むのははじめてであり、研修会にて基礎知識と研究方法を身につける必要
があったため、本校が先行研究の報告を行った。アンケートでは、
「興味・関心が高まっ
たか」について、本校・連携校の平均で96%、
「研究意欲が高まったか」について平均
92%の肯定的回答を得たことから、それぞれの観点で申し分のない効果があったといえ
る。また、すべての連携校が報告会や学会で口頭及びポスター発表を行ったことにより、
プレゼンテーション能力も高まった。ただし、アンケートの回答では「ある程度高まった」
が圧倒的に多く、
「とても高まった」は連携校7%のみであった。この点については本校
と連携校とでは事情が異なるかもしれない。すなわち、本校生徒は以前から取り組んでい
る研究である上に、発表慣れしていることもあって、プレゼンテーション能力の向上が感
じにくく、一方、連携校の生徒については自信を持って最高の自己評価をつけるのに、も
う少し練習や発表経験が必要であったのではないかということである。しかし、下記の感
想も合わせて総合的に判断すると、
「科学的な探究活動の進め方を身につけることができ
る」という仮説は十分支持されたと考える。なお、
「この共同研究による部活動への効果」
については「活性化した・とても活性化した」という肯定的回答が連携校では66%とな
り、うち「とても活性化した」が44%を占めた。本校の肯定的回答は78%であったが、
「とても活性化した」は7%であったことから、部活動活性化については、特に連携校に
おいて大きな効果が現れたといえる。また、本校生徒の「企画運営能力向上」については
78%が「ある程度向上した」で留まっていることから、次年度はさらに生徒の活動の場
面を増やしていく工夫が必要である。本コンソーシアムの活動と平行して、青森県内及び
岩手県洋野町の小中学校にエゾタンポポの分布調査を依頼したところ、486校中245
校から回答があり、そのデータに基づいて作成した分布図は学会での発表等で有効に活用
させていただいた。この調査は小中学校での野外活動のきっかけにもなり、連携校の中に
は、調査協力いただいた小学校の児童との交流に発展した例もあった。
8 生徒の感想
○とても大変な調査・研究だったが協力して最後まで行うことができた。具体的なアド
バイスももらえたのでこれからの調査に生かしたい。
○タンポポは外見が似ていても、性質・生態はだいぶ異なっていて興味深かった。
○調べたことや考察を交換し合い、指摘してもらうことで振り返り、再発見ができた。
科学部の活動も活発化しそうで楽しみである。
○報告会はプレゼンの方法・ポスターのまとめ方など比較できるよい機会だった。
○他校のプレゼンを聞き自分たちで発表することで、研究に対する意欲が高められた。
9 評価会議
・身近で誰もが取り組みやすいタンポポを研究題材として設定しているところがよい。
・連携校それぞれが仮説を立て、その上で検証を行っているのがよい。
・データを報告する際、どの程度のサンプル数から得たものなのかを示すべきである。
67
・仮説と異なった結果が出た場合や、明らかに不適切な実験データが出たとき、どうし
てそのようになったかを考えさせるようにしたい。
<3> 学会発表及びコンテスト参加
【日本植物学会第77回大会 高校生研究ポスター発表】
1 実 施 日
平成25年9月15日(日)
2 会
北海道大学学術交流会館
場
3 参 加 者
青森県立三本木高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立三沢高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立弘前南高等学校(自然科学部3名、教員1名)
4 備
考
優良賞・・・三沢高校
奨励賞・・・弘前南高校、三本木高校
【青森県高等学校総合文化祭自然科学部門】
1 実 施 日
平成25年10月26日(土)~27日(日)
2 会
青森県立弘前高等学校
場
3 参 加 者
青森県立三本木高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立三沢高等学校(自然科学部6名、教員1名)
【青森大学主催 高校生科学研究コンテスト】
1 実 施 日
平成25年11月16日(土)
2 会
青森大学
場
3 参 加 者
青森県立三本木高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立三沢高等学校(自然科学部6名、教員1名)
青森県立弘前南高等学校(自然科学部3名、教員1名)
青森県立八戸北高等学校(地学部2名、教員1名)
4 備
考
4校合同で発表
【東北植物学会第3回大会 高校生・中学生研究発表会】
1 実 施 日
平成25年12月14日(土)
2 会
カレッジプラザ(秋田市)
場
3 参 加 者
青森県立八戸北高等学校(地学部2名、教員1名)
岩手県立大野高等学校(自然科学部3名、教員1名)
八戸市立大館中学校(エコクラブ2名、教員1名)
4 備
考
最優秀賞・・・大館中学校
優秀賞・・・大野高校、八戸北高校
《学会発表及びコンテスト参加後の連携校からのコメント》
・コンソーシアムに参加したことで、学会での発表という普段はできないような経験をすることができた。
実験結果をまとめて考察する能力も養うことができた。
・学会には日本全国の大学の先生方や高校生が参加していて驚いた。多くの方々が自分たちの研究に興味
を持ってくれて嬉しかった。
・植物学会に参加して県レベルとの違いを感じた。特に自分たちの発表方法には改善が必要だと思った。
68
[ 科学技術人材育成重点枠事業 – 2 ]
小中高連携フィールドワーク
1 仮
説
(1)小中学生がフィールドワークをもとにした探究活動を行うことにより、実感を
伴った理解が得られると同時に、科学への興味・関心が高まり、科学的な見方や考え
方が養われる。
(2)SSH クラス生が小中学生の活動をサポートすることにより、児童生徒の科学へ
の興味・関心の高揚に対する意識が高まるとともに、科学的な探究活動の方法に対する
理解が深まる。
2 実 施 日
平成25年8月17日(土)
3 助 言 者
青森県総合学校教育センター 山田
昭 指導主事(生物)
青森県総合学校教育センター 千葉
努 指導主事(地学)
4 当日の日程
9:00〜 9:10 開会行事
(9:15〜15:20 分野別活動)
15:30〜15:45 閉会行事
15:50〜16:20 評価会議
【生物分野 活動日程】
【地学分野 活動日程】
9:15〜 9:45 事前学習
9:15〜 9:45 事前学習
9:50〜11:30 フィールドワーク
9:50〜12:20 フィールドワーク
11:30〜12:00 室内実験1
12:20〜13:00 昼休み
12:00〜12:40 昼休み
5 案内・募集
12:40〜14:00 室内実験2
13:00〜13:50 室内作業
14:10〜14:55 ポスター作成
14:00〜14:40 ポスター作成
15:00〜15:20 発表会
14:50〜15:20 発表会
計画案については、あらかじめ青森県総合学校教育センター及び八戸市総合教育セン
ターの指導主事に確認いただき助言を得た。その計画をもとに、青森県教育委員会を
通じて八戸市教育委員会に説明をした上で、八戸市内の各小学校・中学校に案内を送
付した。
<1> 生物分野「ワラジムシの行動」
1 対
象
市内小学校5年生 計11名
八戸市立湊小学校(4名)
、 八戸市立青潮小学校(3名)
八戸市立鮫小学校(2名)
、 八戸市立根城小学校 (1名)
八戸市立桔梗野小学校(1名)
SSH クラス1年次生(10名)=小学生の活動補助
2 指 導 者
菅原
3 会
生物室(室内実験)
、 旧青森県立八戸南高等学校敷地(フィールドワーク)
場
4 活動内容
孝、 山本 恵美、 漆原俊一郎
児童2〜3名ずつ5グループをつくり、各班に SSH クラス1年次生2名が入ることで
以下の活動全般をサポートさせた。その際、小学生の主体的な活動となるよう、結論
を教えたり、代わりに実験をしたりしないよう留意させた。
①事前学習:ゾウリムシ、ワラジムシ及びダンゴムシの違いを理解させ、小学校の学
69
習内容を踏まえてワラジムシが多くいる場所を予想させた。
②フィールドワーク:旧八戸南高等学校敷地にバスで移動して各班の予想をもとにワラ
ジムを探させ、
多く見つかった環境の特徴を記録させた。
また、
室内実験で用いるため、
吸虫管を使用してできるだけ傷つけずにワラジムシを採取させた。
③室内実験1:アルミ製の大型バット1つに小型ライトを入れて明所と暗所をつくり、
そこに採取したワラジムシ30匹を放して、一定時間後に観察・計測することでワラ
ジムシが好む光環境を確かめさせた。
④室内実験2:アルミ製の大型バット1つに水分量の異なる4種の土(乾燥、湿り、
濡れ、泥)を入れ、そこに採取したワラジムシ30匹を放して、一定時間後に観察・
計測することでワラジムシが好む湿度環境を確かめさせた。
⑤結果まとめ・ポスター作成:探究活動のまとめとして、予想、採取結果、実験方法、
結果、考察と感想で構成したポスターを作成させた。
⑥発表会:ポスターを掲示して、各班5分程度で今回の探究活動の結果を発表させた。
さらに児童同士で質疑応答も行わせた。
<2> 地学分野「新井田川に砂金はあるか」
1 対
象
市内中学校2年生 計10名
八戸市立東中学校(4名、教員1名)
、 八戸市立明治中学校(3名)
八戸市立鮫中学校(2名)
、 八戸市立下長中学校(1名)
SSH クラス1年次生(10名)=中学生の活動補助
2 指 導 者
岩岡 洋、 荒谷 睦子
3 会
地学室(室内作業)
、 新井田川支流の松舘川周辺(フィールドワーク)
場
4 活動内容
中学生2名ずつ5グループをつくり、各班に SSH クラス1年次生2名が入ることで
以下の活動全般をサポートさせた。その際、中学生の主体的な活動となるよう、結論
を教えたり、代わりに実験をしたりしないよう留意させた。
①事前学習:
「川の石は上流から流れてくること(小学校の学習内容)
」
、
「火成岩の組
成(中学校1年の学習内容)
」を踏まえ、新井田川支流の松舘川に砂金があるかを予想
させた。このようにいくつかの根拠にもとづき予想することを、探究活動では「仮説
を立てる」ことであることを説明した。
②フィールドワーク:階上町金山沢にバスで移動して、松舘川の河川堆積物に含まれ
る特徴的な金色に光る鉱物について「ルーペでの観察」や「椀かけ」などを体験させた。
また、その鉱物が砂金であるかどうかの判別について考察させ、室内実験用の河川堆
積物を採取した。
③室内実験:持ち帰った河川堆積物を乾燥させた後、実体顕微鏡を使い鉱物図鑑を見
ながら金色の鉱物が砂金であるかどうかを判別させた。砂金でないとすれば何の鉱物
であるかも調べさせた。
⑤結果まとめ・ポスター作成:探究活動のまとめとして、仮説、調査方法、実験結果、
考察で構成したポスターを作成させた。
⑥発表会:ポスターを掲示して、各班5分程度で今回の探究活動の結果を発表させた。
生徒同士で質疑応答も行わせた。
70
5 結果・検証
小中学生へのアンケートでは、
「興味・関心」について95%、
「野外調査による理解」
について90%、
「野外調査による理解」について95%の肯定的回答があり、実感を
伴った理解を通して自然への興味関心が高まったといえる。今回は屋外へ出かける前に
各分野とも事前学習を徹底させ、基礎知識の確認と調査の目的・留意点等を明確にした
ことも理解を深めることにつながったと思われる。また、
「予想を立てて確かめること
の大切さ」に対しては、すべての小中学生から「わかった・よくわかった」という回答
を得た。持てる知識を活用して見通しを立て、それらを踏まえて観察・実験し、確かめ
ることの重要性が理解できたといえる。以上により、仮説(1)は支持されたと考える。
一方、本校生徒のアンケート結果を見ると、
「小中学生の探究活動をサポートする意識」
が「高まった・とても高まった」は85%、
「探究活動の進め方」が「理解できた・と
ても理解できた」が100%であった。したがって、小中学生に責任を持って科学の
面白さ伝えようとする意識が高まると同時に、生徒自身も探究活動への理解が深まると
いう仮説(2)も支持されたといえる。参加した小中学生及び本校生徒の感想も、この
結果に沿うものとなった。
6 感
想
《小学生》
○学校の理科と違い、高校生のみなさんが教えてくれてよく分かったし、楽しかった。
○虫の実験で普段考えていないことを考え勉強になった。まとめ方も分かりやすかった。
○ワラジムシ・ダンゴムシ・ゾウリムシの違いが分かった。
虫が好きになれてよかった。
《中学生》
○予想を立てることの大切さがわかり理科への興味・関心が高まった。
○理科により興味を持つこともできたし、中学校の授業よりもより深く理解できた。
○砂金らしいものは黒雲母だと分かり、色々な鉱物を観察できてとても勉強になった。
○正しい発表の仕方を確認できた。中学校での発表の機会にも生かしていきたい。
《本校生徒》
○自分たちだけで探究活動するだけでなく、教えることで自分の理解も深められた。
また、教え方も学べるよい機会だった。
○小学生と一緒に活動をしながら、何かを伝えて実際にやってもらうのは難しかった。
自分自身も改めて探究活動の流れを理解できた。
7 評価会議
・高校生自身の探究活動に対する理解が深められる効果的な方法である。
・なぜ調べる価値があるのかが明確になった上で調査に出掛けたのがよかった。
・発表のとき、なぜそのように考えたかという理由も確実に伝わってきた。
・高校生がしっかり面倒を見ていた。夏にセンター研修に来たときよりも成長した。
71
[ 科学技術人材育成重点枠事業 – 3 ]
地域連携サイエンスセッション
1 仮
説
探究活動を行っている高校生同士が研究成果について発表し、研究仲間として刺激を
与え合うことにより、探究活動への関心・意欲が高まる。また、中学生が高校生の研
究活動を知ることにより科学技術への興味・関心が高まる。
2 実 施 日
平成26年2月9日(日)
3 会
第1体育館、多目的室、化学室
場
4 助 言 者
八戸工業大学工学部機械情報技術学科
野田 英彦 教授
八戸工業大学工学部電気電子システム学科 関
5 参 加 校
秀廣 教授
岩手大学大学院連合農学研究科
上村 松生 教授
青森県産業技術センター八戸地域研究所
市田 淳治 所長
八戸工業大学基礎教育研究センター
川本
清 准教授
青森県教育庁学校教育課
杉森
晋 指導主事
青森県総合学校教育センター
千葉
努 指導主事
青森県立八戸北高等学校(生徒84名、教員10名)
青森県立三本木高等学校(生徒73名、教員4名)
青森県立青森高等学校(生徒3名、教員1名)
青森県立青森南高等学校(生徒8名、教員1名)
青森県立弘前中央高等学校(生徒3名、教員1名)
青森県立弘前南高等学校(生徒3名、教員1名)
青森県立八戸高等学校(生徒2名、教員1名)
青森県立八戸東高等学校(生徒4名、教員1名)
青森県立五所川原高等学校(生徒3名、教員1名)
青森県立三沢高等学校(生徒3名、教員1名)
青森県立名久井農業高等学校(生徒4名、教員1名)
青森県立弘前実業高等学校(生徒8名、教員1名)
八戸工業大学第二高等学校(生徒5名、教員1名)
岩手県立釜石高等学校(生徒4名、教員1名)
<参観>八戸市立東中学校(生徒5名)
、八戸市立大館中学校(教員1名)
青森県立田名部高等学校(教員1名)
、松風塾高等学校(教員2名)
6 当日の日程
10:00~10:15 開会行事
10:20~11:20 講演「探究活動の進め方」
講師=八戸工業大学 川本 清 准教授
11:20~12:00 ポスターセッションⅠ
12:45~13:40 特別招待発表
13:50~14:20 ポスターセッションⅡ
協議(八戸北高校及び三本木高校の1年生)
14:25~14:50 閉会行事
15:00〜15:30 評価会議
72
7 内容・方法
(1)講演『探究活動の進め方』
自分の資質や興味・関心に応じた研究の方法・方向性について講演いただいた。
○スキル系と創造系それぞれは、計算型、博物型、計算型に分類できる。
○真実を知りたければ理学系、役立つものを探したければ工学系といえる。
(2)ポスターセッション
多くの発表に触れることができるよう、1件あたり7分間のローテーションとした。
ブースによってはポスター以外にタブレット端末も活用させた。
(3)特別招待発表
各種大会で優秀な成績を収めた県内の3つの高校の研究について口頭発表の機会を設
け、高いレベルの研究内容やそのプレゼンテーションに触れ、質疑応答を行った。
(4)協議(八戸北高校及び三本木高校の1年生)
SSH 指定校2校では、2年次に課題研究に取り組むことになっている。その準備とし
て口頭及びポスター発表を聴講するとともに『よい研究のために何が重要か』という
テーマで協議を行った。各班の協議内容は代表者が発表を行い、会場内で共有した。
8 結果・検証
昨年度まで実施していた「青森サイエンスセッション」を発展させ、今年度からは科
学技術人材育成重点枠事業として行った。昨年度からの変更点としては、①ポスター
セッションをメインにして、できるだけ多くの生徒がディスカッションに参加できる
ようにしたこと、②対象範囲を青森県内全域及び一部県外にも広げたこと、③高校に
おける研究活動を知ってもらうために中学校へ参観の案内をしたことである。アンケ
ート結果は、
「探究活動への関心・意欲が高まったか」への肯定的回答が本校95%、
連携校88%、
「探究活動の活性化に役立つと思うか」への肯定的回答が本校98%、
連携校93%となった。生徒の感想では、幅広い分野の研究を知ることができたことや、
他校生との有意義な交流が生まれたことなどの記述が多く見られた。これは科学技術人
育成重点枠として規模を拡大し、多数の高校が一堂に会したことによる効果といえる。
教員対象のアンケートにおいて、
「探究活動の活性化に役立つと思うか」に対する肯
定的回答は100%、うち「とてもそう思う」が73%に達し、本事業は連携校教員
にも探究活動の活性化を期待させているといえる。今回助言者として参加していただ
いた運営指導委員からは「生徒による質疑応答が活発で感心した」
、
「連携や情報交換
という点でプラスになる」という評価をいただいた。残念ながら中学校から参加者は
生徒5名、教員1名と少なかったが、各発表に熱心に見入っており、アンケートでは
全員が「興味・関心が高まり、自分も研究してみたい」と回答した。中学生が高校生
の中に入るのは抵抗があると思われるが、今後も地道に参加を呼びかけていきたい。
6 感
想
《高校生》
○他校生との交流はよい刺激になった。自分の研究を人に伝えることの難しさを感じた。
○発表内容が数学から理科まで幅広いと思った。他校生の発表を聞くことで自分の研
究を客観視でき、どう改善していけばいいのか知ることができた。
《引率教員》
○研究・交流の場として有意義な機会である。また多くの担当教員が集まることで、
研究に対する助言やヒントも得られる点もよいと感じた。
○研究内容のしっかりした優れた発表を見ることができ、生徒の意識は高くなったと
思う。生徒がこの発表会を楽しんでいて生き生きしているところがよい。
7 評価会議
・広域から集まりこの規模で行うのは初めてということだったが、盛況でよかった。
73
・ポスター中心の方法はよい。じっくり見るにはもう少し時間があった方がよい。
・掲示場所が分野別のブロックになっていた方が移動しやすいと思う。
・参加校の教員同士や、中学校の教員とが接する機会を設けてもよいのではないか。
また、保護者に参観を呼びかけることも考えられる。
【特別招待発表テーマ】
(1)
「月・太陽の色 ~地球大気による散乱の影響~」青森県立青森南高等学校
~平成 25 年度全国高等学校総合文化祭自然科学部門 地学部門 最優秀賞~
(2)
「生きた化石『メタセコイア』の知恵~未来へつなげる種~」青森県立八戸高等学校
~平成 25 年度青森県高等学校総合文化祭自然科学部門 最優秀賞(2年連続)~
(3)
「八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析」青森県立八戸北高等学校
~平成 25 年度東北地区SSH指定校発表会 口頭発表の部 最優秀賞~
【ポスター発表テーマ】
(1)
「気体の水への溶解について」青森県立青森高等学校
(2)
「逃げ水~完結編~」青森県立青森南高等学校
(3)
「十二湖の水質調査」青森県立弘前中央高等学校
(4)
「両生類におけるメラトニンとチロキシンの関係について」青森県立弘前南高等学校
(5)
「机の脚の部分に埃を付きにくくするにはどうしたらいいか」青森県立八戸東高等学校
(6)
「発光反応 2013~ルミノールの不思議~」青森県立五所川原高等学校
(7)
「餌の違いによるゲンジボタルの成長の研究」青森県立三沢高等学校
(8)
「蘇れ、伝統野菜!」青森県立名久井農業高等学校
(9)
「弘前 CROW プロジェクト」青森県立弘前実業高等学校
(10)
「放射線で発電は可能か」八戸工業大学第二高等学校
(11)
「条件変化に伴う静止摩擦係数の変化の検証」岩手県立釜石高等学校
(12)
「数列と漸化式からの方程式の数値解法への展開」青森県立三本木高等学校
(13)
「プラズマの植物栽培への利用」青森県立三本木高等学校
(14)
「最速クリップモーターカーを作ろう!」青森県立三本木高等学校
(15)
「三本木高校周辺部の雨の状況」青森県立三本木高等学校
(16)
「小川原湖の水環境に与えるシジミの影響」青森県立三本木高等学校
(17)
「自然エネルギーの利用について~風力発電の効率~」青森県立三本木高等学校
(18)
「三本木夢と生命の森での樹木に関する研究」青森県立三本木高等学校
(19)
「イヌの口腔内細菌叢の T-RFLP 法による解析」青森県立三本木高等学校
(20)
「十和田市の湧水と地形・地質(堆積物)について」青森県立三本木高等学校
(21)
「ペットボトルロケットの研究」青森県立八戸北高等学校
(22)
「柿渋を用いたストロンチウムの吸着・除去」青森県立八戸北高等学校
(23)
「乾燥亀裂の検証」青森県立八戸北高等学校
「八戸市蕪島に生息するうみねこの糞による土壌の変化」青森県立八戸北高等学校
(24)
(25)
「オオハンゴンソウの生態と駆除」青森県立八戸北高等学校
(26)
「八戸沿岸におけるフジツボ類の分布調査」青森県立八戸北高等学校
(27)
「八戸市牛ヶ沢遺跡から産出した縄文土器の胎土分析」青森県立八戸北高等学校
(28)
「正十七角形の作図」青森県立八戸北高等学校
(29)
「ポーカーにおける合理的なベット金額を導き出す式について」青森県立八戸北高等学校
(30)
「納豆菌と乳酸菌の関係性について」青森県立八戸北高等学校
(31)
「再生可能エネルギーだけで青森県の電力をまかなえるか」青森県立八戸北高等学校
74
[ 科学技術人材育成重点枠事業 – 4 ]
小中高連携ウェルカムラボ
1 仮
説
(1)小中学生が屋内実験を中心とした探究活動を行うことにより、実感を伴った理
解が得られると同時に、科学への興味・関心が高まり、科学的な見方や考え方が養わ
れる。
(2)SSH クラス生が小中学生の活動をサポートすることにより、児童生徒の科学へ
の興味・関心の高揚に対する意識が高まるとともに、科学的な探究活動の方法に対す
る理解が深まる。
2 実 施 日
平成26年3月2日(日)
3 助 言 者
青森県総合学校教育センター 小田桐世長 指導主事(物理)
青森県総合学校教育センター 馬渡
4 当日の日程
孝 指導主事(化学)
9:45〜10:00 開会行事
(10:15〜14:30 各分野に分かれて活動)
14:40〜15:00 閉会行事
15:20〜16:00 評価会議
【物理分野 活動日程】
5 案内・募集
【化学分野 活動日程】
10:00〜10:40 事前学習
10:00〜10:30 事前学習
10:50〜12:00 実験
10:35〜12:10 実験A
12:00〜12:40 昼休み
12:10〜12:50 昼休み
12:40〜13:10 ポスター作成
12:50〜13:20 実験B
13:20〜13:50 発表会
13:20〜14:10 ポスター作成
14:00〜14:30 競技会
14:10〜14:40 発表会
計画案については、あらかじめ青森県総合学校教育センターの指導主事に確認いただ
き助言を得た。その計画をもとに、青森県教育委員会を通じて八戸市教育委員会に説
明をした上で、八戸市内の各小学校・中学校に案内を送付した。
<1> 物理分野「紙落とし」
1 対
象
市内小学校5年生 計9名
八戸市立図南小学校(4名)
、 八戸市立青潮小学校(3名)
八戸市立新井田小学校(1名)
、 八戸市立旭ヶ丘小学校 (1名)
SSH クラス1年次生(10名)=小学生の活動補助
2 指 導 者
日戸
3 会
物理室、中央廊下
場
4 活動内容
孝、 岩岡
洋
児童2~3名ずつ4グループをつくり、各班に SSH クラス1年次生2~3名が入るこ
とで以下の活動全般をサポートさせた。その際、小学生の主体的な活動となるよう、結
論を教えたり、代わりに実験をしたりしないよう留意させた。
①事前学習:折り紙でウサギ、カエル、ツル、船、かぶと、テーブルを作り、どの形が
最も滞空時間が長くなるのか予想をさせ、これらを実際に落下させて時間を計測した。
次に、サラダ油が入ったメスシリンダーにピペットでミルクを滴下し、塊の大小での
落下速度の違いを確かめさせた。これらの物体の落下実験を通して流体の抵抗を認識
75
させ、次の活動の土台とした。
②実験:事前学習を参考に、最も滞空時間が長くなる紙を各班で自由に作らせ、実際に
落下させたときの滞空時間を計測・記録させた。作成時の条件は切る・折るのみとし、
「何かを一定にし、何かを変化させたときに、滞空時間がどうなったか」という点を考
えるよう留意させた。
③結果まとめ・ポスター作成:探究活動のまとめとして、予想とその理由、実験方法、
結果、考察、感想で構成したポスターを作成させた。
④発表会:ポスターを掲示して、各班3分程度で今回の探究活動の結果を発表させた。
⑤競技会:各班の作品を本校中央廊下2F から落下させてデータを2回とり、その平
均値を正式記録として順位を決めた。
<2> 化学分野「化学反応の量的関係」
1 対
象
市内中学校2年生 計18名
八戸市立第三中学校(8名)
、 八戸市立是川中学校(7名)
八戸市立明治中学校(2名)
、 新郷村立新郷中学校(1名)
SSH クラス1年次生(10名)=中学生の活動補助
2 指 導 者
漆原俊一郎、 荒谷 睦子
3 会
化学室
場
4 活動内容
中学生4名ずつ5グループをつくり、各班に SSH クラス1年次生2名が入ることで
以下の活動全般をサポートさせた。その際、中学生の主体的な活動となるよう、結論
を教えたり、代わりに実験をしたりしないよう留意させた。
①事前学習:希塩酸に投入する炭酸カルシウムの質量を増やしていくと、発生する二
酸化炭素量がどのように変化していくか予想し、横軸に「炭酸カルシウムの投入量」
、
縦軸に「二酸化炭素の発生量」をとり、グラフを書かせた。このように根拠に基づいた
予想は「仮説」であることを説明した。
②実験A:一定量の希塩酸に投入する炭酸カルシウムを増やしながら、発生する二酸化
炭素の質量を記録し、自分たちの仮説を検証させた。次に、炭酸カルシウムを炭酸水素
ナトリウムに置き換え、仮説を立てた上で同様の実験をさせた。
以上のデータをもとに、
炭酸カルシウムに対する発生した二酸化炭素の質量比、炭酸水素ナトリウムに対する発
生した二酸化炭素の質量比を各々算出させた。
③実験B:炭酸カルシウムと炭酸水素ナトリウムを一定の質量比で混合した試料を用い
て同じ実験を行わせ、得られたデータを用いて、混合物1g中の炭酸カルシウムと炭酸
水素ナトリウムの各質量を求めさせた。
④結果まとめ・ポスター作成:探究活動のまとめとして、仮説、方法、結果、考察、
試料の質量比、実験で気を配ったこと、で構成したポスターを作成させた。
⑤発表会:ポスターを掲示して、各班5分程度で今回の探究活動の結果を発表させた。
最後に試料の正確な混合比を公表し、近い値を出した班を決定した。
76
5 結果・検証
小中学生へのアンケートの結果、
「興味・関心」について全員から肯定的回答を得、最
高評価の「とても高まった」は74%に達した。また、
「予想を立てて確かめることの
大切さ」
の肯定的回答は97%であり、
特に中学生については
「とてもよく理解できた」
は89%を占めた。物理分野・化学分野とも同様の操作の繰り返しが多く、当初は小
中学生が途中で飽きてしまうのではないかという心配もあった。しかし、実際は最後
まで探究姿勢が持続され、小学生・中学生とも自然の法則性の実感につながったよう
である。以上により、仮説(1)は支持されたといえる。一方、本校生徒のアンケー
ト結果では、
「小中学生の探究活動をサポートする意識」が「高まった・とても高まっ
た」は100%、
「探究活動の進め方」が「理解できた・とても理解できた」も100%
となった。感想の内容も総合すると、フィールドワークの時と同様、小中学生に科学
の面白さを伝えようとする意識と、生徒自身の探究活動への理解度がともに高まった
といえ、仮説(2)も支持されたと考えてよい。
6 感
想
《小学生》
○紙の形で落ち方や時間が決まるのがすごいと思ったし、予想を立てて考え、結果が
どうだったか実験できてよかった。
○色々な形の紙で実験をして楽しかったし、どうして回転して落ちるのかという疑問
も持った。参加したことで、理科への関心が持てるようになった。
《中学生》
○実験で仮説が正しいかを確かめたり、化学で説明したりすることはとても面白い。
中学校での実験でも仮説や結果を大切にしたい。
○普段使わない器具を使えたし、考えないことまで考える経験をした。実験結果を考
察するのが新鮮で楽しかった。
《高校生》
○自分たちの事前研修では決して出てこなかった考え方が小学生の間で飛び交い、興
味深かった。様々な方向から見ることの大切さを実感した。
○理科の面白さを伝えられたし、自分自身も関心がさらに高まった。教える立場にな
ってみて、教えることの難しさを知ることができた。
○実験をサポートしたりするうちに、どのような点に気をつけて実験・考察すればよ
いのか分かってきた。これからの課題研究に生かしたい。
○同じ実験で班によって色々な値が出たとき、なぜそうなるのか中学生と一緒に考え
ながら取り組めたことはよかった。
7 評価会議
・小学生は集中力が途切れやすいが没頭してやっていたし、高校生もよくサポートし
ていた。活動内容は次回も継続してよいと思われる。
・小学生を対象としたポスターづくりの指導は難しかったと思うが、高校生の指導力
がよく発揮されていた。
・化学分野は中学2年生にちょうどよい発展内容だった。中学校理科で連立方程式を
使うことはほとんどないので、貴重な経験だったと思う。
・班によって測定値がばらついた理由について、高校生も考える機会になったと思う。
77
4 実施の効果とその評価
○コンソーシアム青森:連携校の中にはこれまで科学系部活動が停滞気味の学校も多かったが、本コンソーシ
アムへの参加を通して生徒が探究活動を理解・実践し、最終的にはすべての連携校が日本植物学会等で発表す
るまでに至った。連携校へのアンケートでは、
「研究意欲」について「高まった・とても高まった」が93%、
「部活動への効果」について「活性化した・とても活性化した」が66%、うち「とても活性化した」が44%
となり、生徒の大きな変容が見られた。
○地域連携サイエンスセッション:ポスターセッション中心とすることで、生徒全員がディスカッションに参
加できる形態とし、発表する側と聴講する側とが入れ替わりながら互いに刺激を受ける場となった。連携校へ
のアンケートでは、
「探究活動への関心・意欲」について「高まった・とても高まった」が88%、
「探究活動
活性化への効果」について「役立つ・とても役立つ」が93%となった。運営指導委員からは「生徒による質
疑応答が活発で感心した」
、
「学校間の連携や情報交換という点でプラスになる」との評価をいただいた。
○小中高連携フィールドワーク/小中高連携ウェルカムラボ:普段の授業で行う単純な実験・観察とは異なる
「予想や仮説を立て、それを自分の目で確かめ、まとめて発表する」プロセスを経験・理解し、参加した小中
学生は探究活動に大きな達成感を得たようであった。アンケートでは、
「予想を立てて確かめることの大切さ」
ついて「理解できた・とても理解できた」がフィールドワークで100%、ウェルカムラボで97%に達した。
また、サポート役を勤めた本校生徒全員が「探究活動への理解」が深まったと自己評価している。
5 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
○コンソーシアム青森:今年度は実施初回であったこともあり、共同研究の呼びかけに応じた学校が少なく、
運営においても本校生徒を活動させる場面に限界があった。次回は連携校を増やすとともに、生徒をスタッフ
として活動させることを通してその企画運営能力を育てていきたい。また、タンポポの調査範囲を青森市周辺
や下北地域、秋田県にも広げ、研究の信頼性を高めつつ共同研究の普及と部活動活性化に寄与したい。
○地域連携サイエンスセッション:運営指導委員の助言を踏まえ、次年度はさらにポスターセッションの比重
を高め、より濃密なディスカッションを促していきたい。今回の参加については専門高校も含めて呼びかけた
が工業高校からの応答はなく、中学校からの参加も生徒5名、教員1名に留まった。県外では釜石高校の参加
があったが、次年度も岩手県及び秋田県の SSH 校、市内中学校への呼びかけを地道に進めていきたい。
○小中高連携フィールドワーク/小中高連携ウェルカムラボ:本プログラムに対して、今年度は多くの小中学
校がまだ様子を見ている段階と思われ、参加者が定員に満たなかった。引き続き小中学校への参加の呼びかけ
を進めていきたい。この2つの事業は他の重点枠事業と同様、地元新聞に記事として取り上げられており、地
域での認知度上昇とともに今後の参加者の増加も期待している。体験内容は小学校5年生及び中学校2年生ま
での既習事項に関連させるよう配慮しており、児童・生徒も非常に意欲的に取り組むことから、今回の内容は
次年度も踏襲することとし、新たに八戸市教育委員会に評価・助言の協力も依頼して実施内容の完成度を向上
させたい。
《次年度の予定》 ・コンソーシアム青森 研修会
… 平成26年4月27日(日)
・コンソーシアム青森 報告会
…
7月27日(日)
・小中高連携フィールドワーク
…
8月17日(日)
・小中高連携ウェルカムラボ
… 平成27年1月25日(日)
・地域連携サイエンスセッション …
78
2月 8日(日)
3 関係資料 生徒対象アンケート集計結果
[1] コンソーシアム青森 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
[2] 小中高連携フィールドワーク ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
79
[3] 地域連携サイエンスセッション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
[4] 小中高連携ウェルカムラボ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
80
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平成22年度指定
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スーパーサイエンスハイスクール
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研究開発実施報告書
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第4年次
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平成26年3月18日発行
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発 行 者 青森県立八戸北高等学校
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青森県八戸市大字大久保字町道8-3
TEL:0178-33-0810 FAX:0178-33-2439
印刷/製本 有限会社 八戸プリント
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