Comments
Description
Transcript
知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な あまみ 中 央 しらさぎ さくら 大阪+知的障害+地域+おもろい=創造 知の知の知の知 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1641 号 2013.11.19 発行 ============================================================================== シクラメン2千鉢鮮やか 高知・黒潮の授産施設 朝日新聞 2013 年 11 月 18 日 ハウス内に並ぶシクラメン=黒潮町田野浦の大 方生華園 【菊池均】黒潮町田野浦の知的障害者 授産施設、大方生華園で16日、恒例の 「シクラメンまつり」が始まった。6棟 のビニールハウス内に色とりどりの花を つけたシクラメン約2千鉢が並ぶ。1鉢 300円~1700円(税込み)で販売 され、年末年始用に買い求める地域住民 らでにぎわっている。24日まで。 シクラメンは同園の入所者41人のう ち園芸グループ22人が種子をまいて育 てた。屋外で楽しめるガーデニング用と 株が大きい室内用がある。ほかに晩秋か ら春にかけて楽しめるビオラやパンジー、 葉ボタンのポット苗(各50円) 、クリスマス用の赤や白色のポインセチア(280円~4 30円)などもある。 開場は午前9時~午後3時半。問い合わせは、同園(0880・43・3666)へ。 【社説】障害者の虐待 声なき被害どう見抜く 中日新聞 2013 年 11 月 18 日 多くの障害者が虐げられている現実に言葉を失う。障害者虐待防止法の施行一年の節目 に、厚生労働省がまとめた全国の実態は衝撃的だ。密室での被害をどう食い止めるのか。 社会全体で考えたい。 子どもや高齢者の虐待、夫婦間の暴力(DV)を防ぐ法律と並び、障害者の人権や尊厳 の擁護に焦点を当てた法律だ。家庭や福祉施設、職場での異変に気づいた人は自治体に通 報する義務がある。 厚労省は昨年十月から今年三月までの実態を明らかにした。相談や通報は四千五百件を 超え、被害者は約千七百人に達した。容易ならない事態だ。 虐待には身体への暴力や性的な接触、言葉や態度での侮辱、介助の放棄といった五類型 がある。年金や賃金の横取りも対象だ。 家庭や施設での被害者の約五割、職場では約七割を知的障害者が占めた。虐待の認識が 薄かったり、意思表示が難しかったりするからだ。 「しつけ」や「指導」との違いの見極め が大きな課題だ。 表面化するのは氷山の一角とみる専門家は多い。救済力の底上げは喫緊を要する。 悲しいかな、被害者全体の約八割は家族ら養護者から虐待されていた。統計には含まれ ないが、一月に川崎市で発覚した母子三人の無理心中には考えさせられる。 高齢の母親と会社勤めの長男が、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、寝たき りだった長女もろとも亡くなった。介護疲れの末の悲劇だったようだ。 近隣の無関心ぶりや社会福祉との隔たりが浮かぶ。出口の見えない重荷は養護者を追い 詰め、不幸な結果を招く危険性が高い。 子どもや高齢者の虐待と似た構図だ。地域で孤立状態に陥らないよう周りが意識を高め、 小さな情報でも素早く窓口に届けたい。 とはいえ、障害者の福祉や権利を守る知識や経験を持つ職員がいるのは都道府県で5 5%、市区町村で28%にとどまった。相談や通報の受け皿となる自治体の体制がもろく ては救済機能は働くまい。 市区町村は住居への立ち入り調査や被害者の一時保護ができる。施設や職場での虐待に は都道府県や労働局がそれぞれ動く仕組みだが、初動対応の中心を担う市区町村の人材育 成が急務だ。 二年後の法見直しでは学校や保育所、病院などの領域でも虐待防止策を充実させるべき だ。今年できた障害者差別解消法とセットで、障害の有無にかかわらず暮らしやすい社会 の支えとしたい。 フライングディスク腕競う 名古屋で障害者大会 中日新聞 2013 年 11 月 18 日 フライングディスクの競技をする参加者=名古 屋市中区の県体育館で 第十二回あいち障害者フライングディ スク競技大会(中日新聞社など主催)が 十七日、名古屋市中区の県体育館で開か れた。 東海三県や京都府などから過去最多の 七百五十人が出場。フライングディスク と呼ばれる円盤を投げ、直径九十センチ の輪を通す「アキュラシー」や、飛距離 で順位を決める「ディスタンス」などで 競った。おそろいのシャツで競技に臨む チームも多く、ディスクが輪を通過するたびに拍手や歓声が起きた。 大会を企画しているあいち障害者フライングディスク協会の河合健太郎事務局長は「障 害者が自由に余暇を楽しめる場はまだまだ少ない。ストレスを発散し、仕事や勉強を頑張 るためのリフレッシュの機会にしてほしい」と話していた。 (鈴木龍司) ◇アキュラシー部門の上位チーム 7メートル (1)春日井クラブA(2)春日井高 等養護学校A(3)安城養護学校A▽5メートル (1)春日台クラブA(2)同クラブ C(3)同クラブG 「ボッチャ」で障害者ら歓声 県立体育館で100人が交流 和歌山 産經新聞 2013 年 11 月 18 日 ボールを使った競技「ボッチャ」を通じて、障害のある人たちが交流し体力向上を図ろ うと、 「フレンドシップ2013」が17日、和歌山市中之島の県立体育館で開かれた。県 内の身体障害者連盟やリハビリセンターなどから30チーム約100人が参加し、館内に は元気な歓声が響いた。 身体障害者の健康づくりや社会参加促進に向けて、県と県障害者スポーツ協会が開催。 ボッチャは的となるボールめがけて持ち玉を投げて競う競技で、的のボールに少しでも持 ち玉を近づけたチームが勝ちとなる。重度の障害がある人も参加することができ、パラリ ンピックの正式種目としても知られている。 この日は、10~70代の身体障害者らが参加。的のボールをしっかりと見定め、赤や 青の持ち玉を慎重に投げていた。 同協会事務局の川内英樹次長は「スポーツを楽しむことは健康増進のほか、障害者の自 信にもつながる。今後も交流の輪が広がれば」と話していた。 熊本の月足さんに金賞 障害者ピアノフェス 共同通信 2013 年 11 月 17 日 国際障害者ピアノフェスティバルのコンクール部門で金 賞に輝いた月足さおりさん 障害者による4年に1度のピアノ音楽の国際 的祭典である「国際障害者ピアノフェスティバ ル」が14~16日、ウィーンの教会で開かれ、 課題曲によるコンクール部門で、熊本県の月足さ おりさん(36)が金賞に輝いた。東京都の太田 将誉さん(27)も銅賞に選ばれた。重い障害が ありながらも音楽活動を続ける月足さんは16 日、左手だけで課題曲を演奏し、大きな拍手を浴 びた。 同ピアノフェスティバルは、2005年に「ピアノパラリンピック」の大会名で、横浜 市で開催されたのが最初。その後、現在の大会名に変更になった。今回は20近くの国・ 地域から約50人が参加した。 このイベントは、迫田時雄・元武蔵野音大助教授が1998年の長野パラリンピックを 見て「あの感動を音楽でも」と発案。海外の演奏者にも呼び掛けて開催が実現した。 コンサート:オペラからアニメ、音楽で障害者支援−−目黒 /東京 毎日新聞 2013 年 11 月 17 日 音楽を通して心身障害者を支援するNPO法人「OneHeart(ワンハート)」(目 黒区)などは22日、若手アーティストによるコンサートを、同区の目黒パーシモンホー ルで開く。 オペラ「フィガロの結婚」から「宇宙戦艦ヤマト」などのアニメソングまで幅広いジャ ンルを、元宝塚歌劇団の真園(まその)ありすさん、歌手の長谷川大祐(だいすけ)さん のほか、パーキンソン病患者の音大生、青木晋一さんらが歌う。 午後2時からの「昼の部」と、同6時半からの「夜の部」の2回公演。全席自由で29 99円。問い合わせはOneHeartの青木さん(080・4448・1644)。【大 迫麻記子】 映画「アイ・アム・サム」は、知的障害のある父親サムと1人娘… 西日本新聞 2013 年 11 月 17 日 映画「アイ・アム・サム」は、知的障害のある父親サムと1人娘、そして2人を見守る 人たちの物語。心温まる父娘の愛情を、全編に流れるビートルズの曲が優しく包んでいた ▼娘の成長に伴い、サムの養育能力が問題になる。父親から引き離すべきか裁判になった。 サムは「ポール・マッカートニーが『ミッシェル』を作曲したとき」と言って、こう続け た。 「彼は、出だしのところだけ書いてジョン・レノンに渡した。ジョンはアイ・ラブ・ユ ーの繰り返し部分を書いた。それが名曲を生んだ」 ▼つまりは、一緒にいることこそが大切なのだと。レノンとマッカートニー。この2人が 一つのバンドにいた奇跡。メンバーの才能が刺激し合い、ビートルズは音楽史と私たちの 心に残る曲を生み出してきた ▼一昨夜、ヤフオクドームにポールの歌声が響いた。20年ぶりの福岡公演は「帰ッテ来 タバイ」と博多弁のご挨拶(あいさつ)。「イエスタデイ」「ヘイ・ジュード」など今では教 科書に載るビートルズナンバーがそれぞれの思い出を揺さぶった ▼ある女性は「レット・イット・ビー」でこらえきれなくなった。「震災の被災者へ、の言 葉に胸が詰まって」 。白髪が目立つ客席でも制服姿の男の子と両親が同じリズムで体を揺ら していた ▼71歳にして3時間近い熱唱。 「ロックンローラーは年取らない」とばかりに抜群の格好 良さ。 「マタ会イマショウ」の言葉を信じたい。 【 「くじけないで」詩の舞台】 「目を閉じて」 菜の花畑の思い出 産経新聞 2013 年 11 月 16 日 映画「くじけないで」では、柴田トヨさんの幼少時代は、 芦田愛菜さんが演じた=(c)2013「くじけないで」製 作委員会 目を閉じて 目を閉じると お下げ髪の私が 元気に かけまわっている 私を呼ぶ 母の声 空を流れる 白い雲 何処までも広い 菜の花畑 九十二歳の今 目を閉じて見る ひとときの世界が とても 楽しい ( 「朝の詩」平成16年4月11日) 産経新聞1面「朝の詩」の常連だった柴田トヨさん。「目を閉じて」は最初に掲載された 作品だ。 少女時代の記憶を楽しむ92歳のトヨさん。飾らない素直な言葉だけで絵のような情景 が浮かび、人生の豊かさも感じさせる。 夫・曳吉(えいきち)さんに先立たれてから約10年たち、腰を痛めて趣味の日本舞踊 もやめた。気落ちしていたトヨさんに生きがいを見つけてもらおうと一人息子、健一さん (68)が詩を勧めた。 「最初に作った詩の一つ。それからも週に1回、詩を教え、けんか しながらだったけど、親孝行できた」と健一さんは振り返る。 子供の頃のトヨさんはコメ問屋として裕福だった家が傾き、奉公に出た。苦しい思い出 も多かった。それでも、こんなに楽しげな作品が詩人としてのスタートを飾ったのは、人 生を前向きに見つめ、多くの人に勇気を与えたトヨさんにふさわしい。 トヨさんが生まれ育った栃木県栃木市は郊外にはまだ自然も多く、菜の花が見られる場 所も少なくない。ただ、健一さんによると、トヨさんが子供の頃に遊んだ菜の花畑は、当 時の自宅からそれほど離れていない場所で、五叉路になっている交差点(同市日ノ出町) 周辺だ。東武鉄道日光線新栃木駅に近い市街地で、現在はコンビニエンスストアや住宅が 立ち並び、昔の面影は全くない。 それでも目を閉じれば、菜の花畑が見える。人生には辛いことも多いけど、楽しい思い 出に少し浸ってみる。 16日公開した映画「くじけないで」はトヨさんの詩が原作。故郷・栃木市を描いた詩 とともにその舞台を訪ねる。 「思い出II」親子3人、駅からの家路 映画「くじけないで」でも、親子3人で歩くシーンがあ る=(c)2013「くじけないで」製作委員会 思い出 II 子どもと手をつないで あなたの帰りを 待った駅 大勢の人の中から あなたを見つけて 手を振った 三人で戻る小道に 金木犀(きんもくせい)の甘いかおり 何処かの家から流れる ラジオの歌 あの駅あの小道は 今でも元気で いるかしら ( 「朝の詩」平成21年9月12日) 現在の新栃木駅。出口を出た南側(写真奥)は細い小道が続 く=栃木市平柳町 柴田トヨさんが「元気でいるかしら」と気にかけている「あの駅あの小道」は、東武鉄 道日光線新栃木駅(栃木市平柳町)と、駅西口を出てすぐ南へ向かう細い道だ。 木造だった駅舎の外観はとっくに変わっているが、入り口に数段だけの階段があり、基 本的な構造は昔のままだ。長男、健一さん(68)は「奥のホームで列車を降りた父を見 つけ、改札の前で手を振った」と振り返る。 トヨさんの夫、曳吉(えいきち)さんは調理師で、全国の旅館や料理店を回って仕事を しており、1カ月以上の長期間、家を空けることも多かった。親子3人にとって久しぶり の再会は幸せな時間だった。真ん中を歩く健一さんの両手を両親が握っていた。 健一さんにとって、駅周辺は友達と遊んだ場所でもある。「駅のそばに倉庫があり、隠れ んぼして駅員に怒られ、馬車の後ろに勝手に乗って、気付かれて怒られ…」 栃木市中心部は、路地裏や巴波(うずま)川沿いなど所々に昭和の懐かしい風景が残っ ており、トヨさんの詩を感じられる場所もある。 とちぎ蔵の街美術館(栃木市万町)での「柴田トヨ回顧展」(12月8日まで)の関連イ ベントとして周辺の街歩きを楽しむ企画に携わる回顧展実行委員会メンバー、青木浩一郎 さん(59)は「トヨさんの感性を培った街。ゆっくり歩いて詩の世界を肌で感じてもら いたい」と話す。 健一さんにトヨさんとの思い出の場所を聞き、詩の中に登場する場所や映画「くじけな いで」のロケ地なども歩く予定だ。 「幸来橋」 奉公先での苦労も前を向く 奉公先でいじめられ、幸来橋で泣いていたという子供の 頃の柴田トヨさん。映画「くじけないで」でも重要なシ ーンとなっている=(c)2013「くじけないで」製作 委員会 幸来橋(こうらいばし) 奉公先でいじめられ 幸来橋のたもとで 泣いている私を ふーちゃんが がんばろうね って 笑いかけてくれた 巴波川(うずまがわ)のせせらぎ 青い空 白い雲 幸せが来るという橋 やさしい ふーちゃん がんばれる気がした 八十年前の私 ( 「朝の詩」平成22年2月16日) 柴田トヨさんの作品の中でも、その舞台が明示されている数少ない作品の一つが「幸来 橋」だ。奉公に出ていた頃の辛い思い出と、友達で励ましで前を向くトヨさん。映画「く じけないで」でも名場面の舞台となっている「幸せが来るという橋」だ。 明治の頃は木橋で、何度か架け替えられて今の形になった。栃木市中心部の目抜き通り から郊外へ向かう県道に架かっており、交通量も多い。 それでも巴波川沿いの塚田歴史伝説館(同市倭町) の長い黒塀が、歴史の中にたたずむ街の風情を象徴し ている。栃木市教委文化課の渡辺浩志さん(48)も 「蔵が点在し、石畳の道がある。幸来橋周辺は街歩き が楽しめる場所で、観光に来た人は必ず通る場所とい っていい」と話す。 巴波川(うずまがわ)に架かる幸来橋。塚田歴史伝説館の黒塀、 川をゆく小舟が印象的だ=栃木市倭町 橋の近くには、巴波川を遊覧する舟の乗船場がある。 かい1本で小舟をこぐ船頭の説明を聞きながら約20分間、ゆったりと蔵の街をながめ、 江戸時代へのタイムスリップを楽しむ。 巴波川の水運は江戸時代のこの街を発展させ、多くの豪商が蔵を残し、現在の景観につ ながっている。豪商らは浮世絵師、喜多川歌麿に作品を依頼し、市内の旧家から歌麿の肉 筆画が発見されたこともあった。また、文豪・山本有三の出身地でもある。同市は文化を 生かした誘客、地域活性化に取り組んでいる。 トヨさんの詩も歌麿、有三に並ぶ栃木市ゆかりの文化としてクローズアップされている。 街のあちらこちらに残る明治、大正、昭和の暮らしが感じられる場所をめぐると、詩の世 界も楽しめる。渡辺さんは「何度来ても新たな発見があれば、リピーターも楽しめる」と、 足元を見つめ直している。 弁護士:自治体の採用、右肩上がり 活躍の場増える 毎日新聞 2013 年 11 月 18 日 ◇契約書確認、公共料金督促、虐待対応… 弁護士ら法曹有資格者を職員として採用する自治体が増えている。日本弁護士連合会(日 弁連)によると、今年度の採用者数(10月1日現在)は既に5年前の14倍に急増し、 現在は48自治体に64人が勤務。法改正で弁護士の公職兼務が可能となり、地方分権に 伴う業務多様化で自治体側のニーズが高まっているうえ、司法制度改革で弁護士が急激に 増えたことなどが背景にあるようだ。 福岡県糸島市は7月、弁護士資格を持つ舞弓紫(まゆみゆかり)さん(33)を総務課 法制係の担当課長として採用。任期は2016年3月までだ。07年から弁護士として交 通事故や離婚を巡る訴訟などを手がけてきたが「一般の弁護士が行政分野の法律事務に集 中して関わることは少ない。飛び込んで知識を広めたい」と応募したという。 未払い水道料を督促する文書や、土地売買の契約書を法的に問題ないかチェックするな ど、市が関わるあらゆる業務に助言。職員の法律の知識を高める研修を開くのも役割だ。 市の友池重藤総務課長は「同じ職員なので顧問弁護士より気軽に相談しやすい。その時点 で解決する問題もあり、顧問への相談は減った」。舞弓さんは「この町の特徴や行政事務に 詳しくなり、適切な助言をして役に立ちたい」と意気込む。 このほか、弁護士が児童虐待など専門分野に特化する例もある。福岡市の児童相談所「こ ども総合相談センター」には、虐待を受けた子どもを親から強制的に引き離す「職権保護」 などを担当する弁護士が常駐する。 日弁連によると、年度ごとの自治体の法曹有資格者採用数は08年度は2人だったが、 11年度は14人、今年は既に28人。来春も少なくとも5人が採用予定で、今後も増え る見通しだ。九州・山口では福岡、山口、宮崎各県と鹿児島県南さつま市などが採用して いる。 法曹有資格者採用増の要因には、地方分権一括法施行(00年)がある。これで自治体 の裁量が広がり、独自の事業実施が可能になったが、同時に難しい法的判断が必要な場面 も増えている。しつこく苦情を繰り返し、謝罪を求める「クレーマー」への対応などもそ の一つだ。 また、法曹有資格者側の事情もある。司法制度改革で弁護士が急激に増え、法律事務所 の雇用先がないため借金を抱えて独立。経験不足のために更に生活に苦しむ事例もあると いう。弁護士の就職難だけでなく、法科大学院の人気低迷も深刻化し、政府は今年7月の 法曹要請制度関係閣僚会議で司法試験合格者年間3000人の目標を撤回した。 そんな就職難にあえぐ若手弁護士にとって、改正弁護士法施行(04年)で公職兼務が 可能になったことは、キャリアアップに絶好の機会となるようだ。 今春、福岡県弁護士会会長に就任した橋本千尋弁護士は各自治体にあいさつ回りした際、 弁護士採用を呼びかけた。橋本会長は「採用はまだ手探り状態。弁護士向けの会報に体験 談を載せており、自治体での勤務状況を広く知ってもらいたい」と話す。 【山本太一】 高次脳機能障害 全国支援の輪 子ども対象、家族ら連携 東京新聞 2013 年 11 月 18 日 病気や事故による脳損傷で、記憶や認知能力、注意力などに支障が出る高次脳機能障害 の子を持つ親が、各地の子どもの家族会と専門家に呼び掛け、全国ネットワークをつくっ た。専門医が少なく、成長に応じた支援のあり方など情報が乏しいため、まずは家族会が 連携し、障害への理解を広げたい考えだ。 (奥野斐) 発起人は、長男太一(たいち)君(13)が三歳の時の食中毒でこの障害になった東京 都北区の主婦中村千穂さん(44) 。首都圏の幼児から中学生の当事者を持つ約二十世帯で つくる家族会「ハイリハキッズ」の代表をしている。九月末に全国の家族会代表の交流会 で、ネットワークづくりを提案。神奈川や愛知、富山、北海道などの家族会八団体と医師、 臨床心理士、教員らが賛同した。 直前の出来事を忘れてしまう、落ち着きがなくなる、言動が別人のように変わる-。高 次脳機能障害の症状は、脳の損傷時期や箇所によって多岐にわたる。二〇〇四年に診断基 準ができたが、専門医は少ない。 このため、医師から障害と診断されずに不登校や自傷行為など「二次障害」につながっ たり、発達障害と誤診されたりする場合もある。 外見では分からないことから、子どもの場合は特に、問題となる言動が障害によるのか どうかが区別しづらく、本人も周囲も気付かないケースもある。 ネットワークでは、支援状況や活動報告などの情報交換、交流、啓発をしていく。中村 さんは「障害と分からず、診断も付かずにいたつらい思いを他の人にさせたくない」と話 している。 <高次脳機能障害> けがや脳卒中、脳症、脳炎などにより脳が損傷して起こる後天的な 障害。記憶や注意力が欠けたり、感情のコントロールができなくなったりして日常生活に 支障を来す。厚生労働省は全国の患者数を約30万人と推計。磁気共鳴画像装置(MRI) の脳画像などで診断され、適切な評価や対応により改善することもある。 「高次」は、社会 生活に必要な高いレベルという意味。 記者ノート:特別支援教育の視点 毎日新聞 2013 年 11 月 18 日 「3×5は難しいかな?」 「かんたーん!」。小学2年の算数の授業。かけ算について、 教員が図を示して問いかけると、児童の手が次々と挙がる。岐阜県神戸(ごうど)町立北 小が力を入れるのは、特別支援教育の視点を生かした「ユニバーサルデザインの授業」だ。 発達障害の児童らを想定した「どの子にも分かりやすい授業」を目指す。板書の色を工夫 して視覚に訴え、余計な掲示物を外して授業に集中しやすい環境作りをしながら、児童の 理解度に合わせた指導を心がける。 「子供たち一人一人の適性に合わせた支援」は町の方針だ。生まれてから社会に出るま で子供たちを継続して見守ろうと、町は2011年度から、教育、福祉、医療などの専門 家が連携した取り組みを始めた。専門家らは小学校などを定期的に巡回し、発達障害の兆 候がある子について、特別支援学校に進んだ方がいいのかを検討するなど「たくさんの目」 が子供たちの実態把握に努める。 文部科学省の調査では、普通学級で学ぶ小中学生の6.5%は発達障害の可能性があり、 うち4割は支援を受けていない。そうした現状からも「どの子も分かる」授業や専門家の 巡回は意義があるだろう。人口約2万人の小さな町の実践は、子供たちを社会全体で育む モデルケースになると感じた。 【加藤沙波】 月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も 大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行