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NP-PAK ism Vol.13 ダウンロード(PDF:1.2MB)

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NP-PAK ism Vol.13 ダウンロード(PDF:1.2MB)
環境や資源の保護に優れた容器「紙パック」を提供する「日本紙パック株式会社」が、
リサイクルのさらなる推進を願って発行する環境情報誌です。
環になる 人を結ぶ 1
平井成子 さん
全国牛乳パックの再利用を考える連絡会(全国パック連)代表
不可能を可能に
紙パックリサイクル
山梨県大月市の母親サークル「たんぽぽ」のリーダー平井初美さん
が、日本で初めて紙パックの回収に取り組みはじめた1984(昭和59)
年当時、紙パックはリサイクルできない紙(禁忌品)とされていました。
「行動しよう」という初美さんの情熱が、中身を飲み終えたらゴミにな
るしかなかった紙パックの回収システムを確立させ、リサイクル運動を
全国規模にまで展開させたのです。
他の飲料容器のリサイクルにはない、独自の回収の歴史をもつ紙
パックのリサイクル運動。初美さんが発足させた「全国牛乳パックの再
利用を考える連絡会」の現代表で、初美さんのご長女である平井成子
さんに、全国パック連と紙パックリサイクルの道のりや現在の活動に
ついて伺います。
人を結ぶ
母・初美さんと。大学卒業後、養護学校で 2 年
勤務したのち、全国パック連の事務局で母と
ともに歩む。
昭和五十九年当時、ポリエチレンでコーティング
たと言えます。
﹂
な 行 動 が、紙 パ ッ ク リ サ イ ク ル を 社 会 的 に 位 置 づ け
させていきました。母の強い信念とエネルギッシュ
説 得 し、回 収 業 者 と 連 携 し な が ら 回 収 ル ー ト を 確 立
ら と、回 収 の ル ー ル を 徹 底 す る と 再 生 紙 メ ー カ ー を
で も 母 は、こ の ひ と 手 間 で 紙 パ ッ ク が 資 源 に な る な
が 定 着 す る わ け が な い と、誰 も が 思 っ て い ま し た。
﹁ 洗 っ て、開 い て、乾 か し て。こ ん な 面 倒 臭 い こ と
パックのリサイクル運動はスタートしました。情報
た母親たちの学習グループ﹁たんぽぽ﹂によって紙
地域での子育てを考えようと、初美さんが組織し
してきました。
平井さんは、学生時代から初美さんと活動をともに
創 始 者 で あ る 母、初 美 さ ん に つ い て そ う 語 り ま す。
ク連︶
の代表 平井成子さんは、紙パックリサイクルの
全国牛乳パックの再利用を考える連絡会
︵全国パッ
たと思います。﹂
身もまた成長していきたいという思いが母にはあっ
はつ み
ひ ら い せい こ
された紙パックは、集めてはいけないも の
︵禁忌品︶
が全くないことから、横のつながりをもとうと、初
さん
全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 代表
風がふくとき
連絡会が設立してから
すでに四半世紀が過ぎた。
可能性を信じながら
新たな活動はつづく。
と さ れ、上 質 な パ ル プ が 使 わ れ て い る に も か か わ ら
美さんはその翌年全国パック連を発足させます。
けではない。行動することで、いろいろな人と交流
込まれますよね。でも、間違ったことをしているわ
ない市民の手によるものであったということを知る
その仕組みを確立したのが、行政でも民間企業でも
紙パックをリサイクルはしていても、回収を始め、
回収の仕組みづくりから
し視野を広げていきたい、そしてそのなかで自分自
感じでした。当然、家族である私たちはそれに巻き
ができるかと日々考え、思い立ったら即行動という
﹁母は台風の目のような人。社会に役立つために何
ず廃棄処分されていました。
平井成子
1
いきいきとした
環になる
photo kadoi sachiko
全国パック連発足から20年目、
平成18 年度の環境保全功労者
として表彰される。
小池百合子元環境大臣と。
平成13年 フィリピンにて。地元高校生に
平成13年、
紙パックによる手すきはがき作りを指導。
「リサイクル」への理解によい体験となる。
平成 22年、
韓国での資源循環政策フォーラムに出席。
全国パック連と、
韓国のソウル牛乳協同組合との10年
近くにわたる交流を経て実現したものだ。
李満宰 韓国紙パック資源循環協会会長を囲んで。
トラック1台 分︶を
に、さまざまな難問が湧いてきました。活動当初は
人は、多くはないかもしれません。前例がないだけ
ともに活動した長さの倍となる時間が過ぎました。
さんの後を引き継ぎ代表となってから十七年。母と
発足から七年目、病に倒れ帰らぬ人となった初美
た。回収作業や積み込みなど古紙市場に流れるまで
ヤードとして無償提供したいとの申し出がありまし
紙 市 場 へ と 送 り 出 す な か、建 物 の 一 室 を ス ト ッ ク
紙パック以外の古紙と抱き合わせにすることで古
確保することも困難でした。
祉作業所と連携をとり、障がい者の社会活動への支
刊行物の印刷やリサイクル製品の販売などでは、福
パック資源循環協会との交流も進んでいます。各種
などと幅広く、また国内だけにとどまらず、韓国紙
供、全 国 牛 乳 容 器 環 境 協 議 会 と の 出 前 授 業 や 講 習 会
現在全国パック連の活動は、回収に関する情報提
回収業者の採算に見合う量︵2
の 作 業 は ボ ラ ン テ ィ ア が 行 う、こ の 形 で 運 動 が 広
援を行っています。
考えることで一歩先の未来へ
がっていきました。メディアにも紹介され、さまざ
まな市民運動の団体が共鳴し、地域のスーパーなど
に店頭回収を働きかけると同時に﹁洗って、開いて、
乾かして﹂の回収ルールの指導も行いました。試行
も、す で に 紙 パ ッ ク リ サ イ ク ル が 定 着 し た と い う こ
出 前 授 業 に 参 加 し て い る 子 ど も た ち を 見 て い て
仕組みは作られていきます。
とは十分に感じとれると平井さんは言います。しか
錯誤を繰り返し、多くの力に支えられながら回収の
ま た、運 動 を 継 続 し て い く た め の 経 済 的 な 問 題 に
しながら、定着したということでは終わらない、終
いのです。リサイクルするだけではなく、その意味
も直面します。市民運動といっても、社会と関わる
いくひとつの鍵となりました。
を考えてほしい。牛乳パックをレンズに社会をみて
わらせてはならないとの言葉には力がこもります。
﹁企業と市民が互いに歩みより、一緒に課題に取り
ほしいのです。一歩先を考えると、またその先へと
以上、経済性を伴う活動をしていく必要があります。
組んだことで、より充実した啓発活動をしていくこ
視 野 が 広 が っ て い く。世 界 が 広 が る こ と で 子 ど も た
﹁紙 パ ッ ク を リ サ イ ク ル す る こ と は 当 た り 前 な こ と
とが可能となりました。さまざまな困難はありまし
ちは成長し、相手を思う心も育くまれていくと思う
紙パックに関連する企業の環境部門と交流したり、
たが、関わる人たちが、皆とてもいきいきとしてい
のです。﹂
に な っ て き て い ま す。で も、リ サ イ ク す る こ と で、
ました。人が何か強い意志をもって動くとき、そこ
人としてどう生きるのか、人と人との関わりとは
業界団体と連携したりすることで、企業の立場や役
にはいきいきとした風が吹くんですね。それがどん
どういうものなのか、紙パックリサイクルは多くの
どんないいことがあるのか答えられない子どもも多
どんうねりになって、ものすごい力になり何かをな
ことを語りかけています。
割を理解することができたことも、運動が継続して
し遂げるんだなって実感しています。
﹂
1993(平成 5 )年、母の後を引き継ぎ平井成子が代表となり、事務局を東京都中野区東中野に開設し、現在に至る。
t
1985(昭和60)年、
「たんぽぽ」
を中心に、全国各地で牛乳パックの回収、再利用運動に取り組んでいた11 団体で全国パック連を結成。
全国パック連との連携
(全国牛乳パックの再利用を考える連絡会)
全国パック連と当社との関係の始まりは、平井初美前代表の
頃に遡ります。平成元年頃から十條製紙㈱ピュアパック事業本
部(現日本紙パック㈱)との連携が始まりました。
平成1
8年、当社にて。
平井代表に紙パックリサイクルにつ
いて講演していただく。
日本製紙グループ竹橋ビルにて。
左から、
㈱日本製紙グループ本社 芳賀社長、
平井代表、日本紙パック㈱ 府川社長。
平成7年に施行された容リ法(容器包装に係る分別収集及び再
商品化の促進等に関する法律)では、お客様や当社など容器包装
製造・利用事業者に使用済み容器包装の再商品化義務が課せら
「環の縁結びフォーラム」は、
市民、
行政や事業者などで形成した
ネットワークの情報交流会で、
環境省リサイクル推進室などを
始めとして、さまざまな方面か
らの基調講演、事例報告、交流
会が行われます。
歴代の事業本部長、社長や活動
を共にしてきた関係者と平井代
表を囲む。
れましたが、紙パックはすでに回収の仕組みが整備されている
ことから、再商品化義務の対象にはなりませんでした。全国パッ
ク連の活動なしには実現できなかった大きな事例です。
これまで当社は、全国パック連主催の20 回におよぶ「牛乳
パックの再利用を考える全国大会」や、その後、新たにスタート
した「環の縁結びフォーラム」にはその趣旨に賛同し、全面的
に協力してきております。また、平成18年には、平井代表に当社
にお越しいただき、紙パックリサイクルについてご講演いただ
きました。
現在でも全国パック連、全国牛乳容器環境協議会(容環協)共
催による、「牛乳パックリサイクル促進地域会議」、「リサイクル
講習会」や「エコプロダクツ」等の催しに積極的に参加し、社
会貢献活動である「出前授業」にも注力し、紙パックリサイク
ルの啓発や環境教育、紙パックに関する情報交流などの活動を
ともにしています。今後も、全国パック連と一緒に モノの大
切さ や 心の豊かさ を伝える活動を大切にしていきます。
「出前授業」では、学校給食で身近な存在である牛乳パックを通して、リサイクルや
モノの大切さを学びます。平井代表と当社取締役による講義(左)
、当社社員による
手すきはがき作りの様子。
製紙工場の多い富士市に行ったとき、20年前と比べるとパルプの臭いがし
ないことに気付きました。これは工場から出る廃液をきれいにする技術が向
上したことと、もう一つ大きな理由があります。それは、再生紙の割合が多
NP-PAKismは、発行から13 号目を
迎え、リニューアルいたしました。
これまでは、NP-PAK の製造工程
や、LCA についてご紹介してきまし
くなったからなのだそうです。
たが、今号からは、
「環になる 人
製紙工場では木材を溶かしてパルプにするときが一番臭うのだそうです。
を結ぶ」をテーマとし、紙パックに
しかし、再生紙はすでにパルプになったものを漂白して作り直すので、臭い
が少ないのだとか。牛乳パックを集めて再生紙を作るのは、資源の有効活用
という意味でも素晴らしいことですが、作る
携わる人々に焦点をあてて特集し
てまいります。
日本紙パックのウェブサイトから
過程で臭いが出ないという、また違ったメ
環境情報誌「NP-PAKism」がダウン
リットもあるのですね ! ロードできるようになりました。
再生紙を作るのはいろんな面でいいことが
たくさん起きるのだなあと、嬉しくなりまし
た。ホント、
リサイクルは「利再来る」ですね !
■赤星たみこ:漫画家・エッセイスト。
エコや家事に関する連載や
著作多数。環境問題の講演会でも活躍中。
日本紙パック環境情報誌 NP-PAK ism Vol.13 2010 年 10 月発行
編集:日本紙パック株式会社 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋 1-2-2
TEL
(03)
6665-5555
(代表)
FAX
(03)
3212-0605 e-mail [email protected] URL http://www.nipponpaper-pak.com
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