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USTrends - 第一生命保険株式会社

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USTrends - 第一生命保険株式会社
U.S.Trends
米国
マクロ経済分析レポート
サブプライム問題の影響を受けながらも個人消費は底堅く推移する公算
発表日:2007年10月16日(火)
~信用不安が再燃すれば成長の足枷になるリスクも~
第一生命経済研究所 経済調査部
桂畑 誠治(かつらはた せいじ)
(03-5221-5001:[email protected])
ポイント
●資金調達コストの上昇、リスクの拡大等により住宅ローンの融資基準が厳格化され住宅投資の減少幅が拡大
している。ただし、足下での住宅ローンの延滞率・不履行率の上昇は、ここ数年急騰していた住宅価格が下
落に転じた地域や、雇用環境が悪化している地域が中心となっているため、住宅部門以外への悪影響は限定
的なものにとどまっており、米国経済は9月も緩やかな拡大を続けた。これまでの信用収縮の影響や、一部
市場で依然として信用不安が残存しているうえ、当面多数のサブプライム向け変動型住宅ローン(ARM)
の金利見直しが行われるため、信用不安の再燃による米国経済の大幅な減速が警戒されている。
●信用不安を高めないため、信用力の低い借り手の救済、住宅ローン市場の機能回復、今回の金融市場の混乱
で依然改善がみられないABCP(資産担保CP)市場に対して基金を作ることなど、様々な対策が実施さ
れている。これらの対策によって、金利のリセットによる延滞率などの大幅な上昇が回避され、信用不安は
徐々に薄れていくとみられる。このため、今後FRBは信用不安に対応した利下げを行う必要には迫られな
いと予想される。ただし、エネルギー価格の上昇による需要下ぶれに対応した小幅の利下げの可能性はある。
●以上のように金融市場の混乱が沈静化することを前提にしても、2008 年前半までは住宅需要の低迷が続き、
住宅価格も下落、不動産資産残高は減少する可能性が高い。2008 年の住宅価格の下落によって不動産資産残
高は▲1.5%減少すると見込まれ、個人消費を▲0.24%程度押し下げよう。しかし、家計は株式関連資産も多
く保有し、海外景気の好調、ドル安によって企業業績が 2008 年も増益基調を維持するとみられ株価は押し上
げられると予想される。このため株式関連資産残高(株と投資信託)は 2008 年に+6.6%程度増加すると見
込まれ、個人消費を+0.3%程度押し上げ、住宅価格下落の悪影響を緩和すると見られ、個人消費は底堅く推
移し、米国経済は拡大基調を維持する公算が大きい。
信用不安の拡大
金利上昇や融資基準の適正化の動きによって、米国のサブプライム向け変動型住宅ローン(ARM)で延滞
率・不履行率が上昇した。さらに、それらを裏づけとした証券の価格下落をきっかに信用収縮、金融市場の混
乱が生じた。住宅ローン残高(約 11 兆ドル)に占めるサブプライム向けの割合は約 15%と低く、さらにその
約 15%が延滞し、約 5.5%が債務不履行となっている。サブプライム向け住宅ローンでの延滞率・不履行率の
上昇による損失にとどまっていれば、住宅ローン全体では延滞率が 5.12%、不履行率が 1.4%と米国経済の規
模から考えて損失額は大きいものではなかった。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
(%)
(%)
住宅ローンの延滞率
18
住宅ローンの遅延率
16
16
14
14
12
12
10
10
8
プライム(固定)
サブプライム(固定)
6
プライム
サブプライム
8
プライム(変動)
サブプライム(変動)
全体
6
4
4
2
0
2002
2003
2004
2005
2006
2
2007
(出所)MBA
0
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
(出所)MBA
しかし、サブプライム向け住宅ローンでの延滞率の上昇を受け、CDO(債務担保証券)など同ローンを裏
づけとした証券の価格が下落、この証券に投資していたファンドや、金融機関の損失が拡大している。損失は
海外のファンド、金融機関でも発生し、これをきっかけに銀行間取引金利が上昇、信用スプレッドも拡大した。
さらに、CP市場ではABCP(資産担保コマーシャルペーパー)を中心に借り換えが困難になり金融機関の
資金繰りに悪影響が出るなど金融市場の混乱が拡大した。モーゲージ市場では、サブプライム層よりは信用度
が高い層向けのALT-A、さらに信用度はプライムと同程度だが融資額の大きいジャンボローン市場でも買
い手が減少し金利が上昇した。証券化などの金融技術の発達はリスクを広く薄く分散させた一方、リスクが商
品や地域などどこに潜んでいるかを分かり難くし、信用不安を高めた。
このような中、FRBは9月 18 日のFOMCで金融市場の混乱が景気全体に与える可能性のある悪影響の
一部を未然に防ぐことを支援し、経済が長期的に緩やかな成長を促すためとし 50bp の利下げを実施した。ま
た、9月以降続く米国金融機関の決算発表でサブプライム関連の損失額が明らかになっている。大手金融各社
とも他の収益拡大によって黒字を維持していることで、損失額への不透明感が徐々に払拭され、金融市場は落
ち着きを取り戻し始めている。
一方、TEDスプレッド、LIBOR(3ヵ月物)など信用不安の程度を示す金融指標は引き続き拡大したま
まとなっている。また、ABCP市場では発行残高が減少を続けている。
(%)
(%)
2.5
LIBOR(3ヵ月物)の推移
7.5
7.0
2.0
ポン
ド
6.5
TEDスプレッド(ユーロドル3ヵ月物-TB3ヵ月物)
1.5
6.0
カナダ
ドル
5.5
5.0
4.5
1.0
米ド
ル
4.0
3.5
0.5
0.0
ユーロ
-0.5
07年10月
07年9月
07年8月
07年7月
07年6月
07年5月
07年4月
07年3月
07年2月
07年1月
3.0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2
(10億ドル)
ドル
15000
CPの発行残高(週次)
1200
14000
ABCP
1000
NYダウ
13000
金融機関
12000
非金融
800
11000
10000
600
9000
400
8000
7000
1998/5/1
1998/9/21
1999/2/9
1999/6/30
1999/11/18
2000/4/7
2000/8/28
2001/1/16
2001/6/6
2001/10/25
2002/3/15
2002/8/5
2002/12/24
2003/5/14
2003/10/2
2004/2/20
2004/7/12
2004/11/30
2005/4/20
2005/9/8
2006/1/27
2006/6/19
2006/11/7
2007/3/28
2007/8/16
200
0
01
02
(出所)FRB
03
04
05
06
07
今後ARMのリセットの増加を受け信用不安が再燃すれば米国経済の失速リスクに
信用不安が再び強まるリスクが残存していることやこれまでの金融市場の混乱によって住宅需要が下ぶれ
ており、住宅価格下落によって個人消費が大幅に減速することが懸念されている。信用不安を再燃させる要因
としては、サブプライム向け変動型住宅ローン(ARM)の金利見直しに伴う住宅ローンの延滞率、不履行率
の上昇、金融機関のサブプライム向け融資基準のさらなる厳格化が挙げられよう。2003~2006 年にサブプラ
イム向けARMが大幅に増加したが、これらの多くは、当初2、3年間は固定金利で設定され、3、4年目に
金利が見直されるものとなっている。したがって、ARMの金利見直しは 2007、2008、2009 年に多数行われ
るため、向こう2年間程度は延滞率・不履行率が想定以上に上昇し、再び信用不安が高まる可能性がある。そ
うなれば、融資基準がさらに厳格化され、住宅需要を一段と落ち込ませることになり、全米での住宅価格の大
幅な下落につながる可能性が高い。そのような状況になれば、個人消費への悪影響を回避することが難しくな
り、消費の低迷は避けられないだろう。また、信用不安に伴いこれまでほとんど厳格化されていなかった企業
向けの融資基準も厳格化され資本調達コストが上昇、経営者マインドの大幅な悪化につながり、設備投資が停
滞する可能性がある。以上のように、金融機関・ファンド等で損失が拡大し信用不安からリスク回避の動きが
さらに強まれば、金融市場の混乱が拡大・長期化することで、健全な部門にも必要な資金が向かい難くなり米
国経済失速のリスクを高めよう。
(%)
住宅ローンの融資基準を厳格・緩和した銀行の割合
60
50
サブプライム
非伝統的
プライム
40
30
20
厳格
10
0
-10
緩和
2007年9月
2006年9月
2005年9月
2004年9月
2003年9月
2002年9月
2001年9月
2000年9月
1999年9月
1998年9月
1997年9月
1996年9月
1995年9月
1994年9月
1993年9月
1992年9月
1991年9月
1990年9月
-20
(出所)FRB
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3
金融市場混乱により住宅部門が下ぶれているが、その他の部門への波及は限定的なものにとどまっている
実体経済への影響をみると、既に資金調達コストの上昇、リスクの拡大等により住宅ローンの融資基準が厳
格化され住宅販売、住宅投資の減少が続いている。ただし、足下での住宅ローンの延滞率・不履行率の上昇は、
ここ数年急騰していた住宅価格が下落に転じた地域や、雇用環境が悪化している地域が中心となっているため、
住宅部門以外への悪影響は限定的なものにとどまっている。特に、ここ数年減速が懸念され続けている個人消
費は雇用・所得の拡大持続、株式資産残高の増加、マインドの安定等によって底堅く推移している。
(%)
12
(千)
8000
住宅販売
(%)
7000
10
小売・飲食サービス売上高
(3ヵ月移動平均、3ヵ月前対比年率)
12
8
6000
10
5000
8
6
6
4
4000
4
3000
2
0
2000
2
1000
実質モーゲ ージ金利(左)
除く自動車・ガソリン・建材
-4
98
住宅販売( 右)
0
-2
99
00
01
02
03
04
05
06
07
0
85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07
(千人)
400
300
200
100
0
-100
-200
-300
-400
-500
98
99
消費者マインドの動向
民間雇用者数の推移(前月差)
130
実数
3ヵ月移動平均
120
110
100
90
80
民間(3ヶ月移動平均)
00
01
02
03
04
70
民間
05
06
60
07
01
02
03
04
05
06
07
企業部門はISM統計が示すように9月も緩やかな拡大を続けている。この背景として、①在庫・雇用にほ
とんど過剰感がなく、消費が拡大していること、②企業向け融資基準があまり厳格化されず社債の利回りも低
い水準にとどまっているなど、企業金融への影響は限定的だったこと、③さらに、ドル安、海外経済の好調を
背景に輸出が高い伸びを維持していること-が挙げられよう。このように現時点では住宅部門以外への波及は
限定的なものにとどまっており、米国経済は9月も緩やかな拡大を続けている。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
4
(%)
銀行の企業向け融資基準の推移
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
(%)
米社債利回り(日次)
14
大中企業
小企業
13
12
BBB
AAA
11
厳格
10
9
8
7
6
5
2007年6月
2006年6月
2005年6月
2004年6月
2003年6月
2002年6月
2001年6月
2000年6月
1999年6月
1998年6月
1997年6月
1996年6月
1995年6月
1994年6月
1993年6月
1992年6月
1991年6月
1990年6月
緩和
4
83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07
ISM景気指数の推移
68
66
64
62
60
58
56
54
52
50
48
46
44
42
40
38
36
ドル実効レートの推移
160
150
広域ベース
主要国通貨
140
130
120
110
100
90
80
70
非製造業
製造業
(注)シャドー部は景気後退期。
98
73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07
99
00
01
02
03
04
05
06
07
(出所)ISM
様々なサブプライム問題対策の実施によって信用不安の再燃は回避される可能性
このような中、金利の見直しによって信用不安が高まらないようにするために各種の対策が検討・実施され、
実際に効果も出始めている。
●信用力の低い借り手の救済策としては、8月 31 日にブッシュ米大統領が信用力の低い借り手を保護する
ための総合対策を発表した。内容は米連邦住宅局(FHA)による信用保証の拡充、立ち退きに直面する住宅
保有者に税の所得控除を拡大、融資基準の明確化など貸し手への対策、住宅ローン業者の包括的な登録制の検
討、金融教育を充実などである。9月4日には米金融監督当局が銀行・サービサー(債権回収業者)に対して
差し押さえを抑制するように指導し、既に実施され効果をあげている。10 月 10 日には、ポールソン財務長官
主導で住宅金融会社やカウンセラー、投資家、住宅関連組織からなる官民合同のサブプライム層の住宅保有者
を救済する組織を立ち上げた(米国住宅ローン市場で 60%のシェアを持つ金融機関が参加)
。これは、住宅ロ
ーンのカウンセラー、住宅金融サービスの提供を目的とするものであり、借り換えをさらに促すと考えられる。
●住宅ローン市場の機能低下によって住宅販売が下ぶれているが、この回復のために、9月 19 日にOFH
EO(米連邦住宅公社監督局)が住宅保有を促す政府系機関であるファニーメイ(連邦住宅抵当公社)とフレ
ディマック(連邦住宅貸付抵当公社)のローン債権の上限規制を緩和(年2%の増加)、住宅ローン市場の機
能回復を図った。また、融資額が 41 万7千ドルを超えるジャンボローンでは信用収縮を背景にローン金利が
上昇し住宅需要を落ち込ませる一因となっているが、米政府はGSE(政府支援企業)によるジャンボローン
投資を、他の規制改革をあわせて実施するなどの条件付きで一時的に認める方針を示唆した。
●未だ改善がみられず、裏付けとなる債権が健全でも購入に消極的な投資家の姿勢が続くABCP(資産担
保コマーシャルペーパー)市場に対しては、米財務省当局はABCP市場の活性化策に関して大手銀行と協議
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
5
し、SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル:サブプライム住宅ローン関連証券などの資産
の購入資金を調達するため銀行などによって設立された)から資産を買い取るために 800 億ドルの基金を設立
することなどが検討されている。これにより総額 3200 億ドルの資産を保有するSIVが保有資産を安値で処
分して、信用市場のさらなる混乱を招く事態は避けられるとみられる。
FRBは当面様子見姿勢の可能性
これらの対策によって、ARMの金利見直しによる担保の差し押さえ件数の増加には一定の歯止めがかかる
とみられる。また、モーゲージ市場の流動性回復に繋がり、米住宅市場に対する過度に悲観的な見方も徐々に
後退する可能性が高い。信用不安による金融市場の混乱も金融機関の決算、不透明感の緩和に伴い歯止めがか
かり徐々に落ち着くとみられる。
このように金融市場の一段の混乱が回避され、景気が底堅く推移するなかFRBは当面FFレートの誘導目
標を 4.75%で据え置き、様子見を続けると予想される。ただ、エネルギー価格の上昇による需要下ぶれに対
応した小幅の利下げの可能性はある。
住宅価格下落の悪影響は株式関連資産の増加で緩和
上記のように金融市場が年末にかけて落ち着いても、既に住宅市場が下ぶれていることで住宅価格の下落は
避けられそうにない。このため、住宅価格下落の個人消費に与える影響を試算することとする。
今回の金融市場混乱による住宅ローン市場での流動性縮小や金融機関の融資基準厳格化によって 2008 年前
半までは住宅需要の低迷が続き、住宅価格は前年水準を割り込み(2007 年4~6月期前年同期比+3.2%)、
不動産資産残高も減少する可能性が高い。そこで、過去の実績から所得や資産効果などによる名目個人消費へ
の寄与度分析を行った。不動産資産残高が1ドル下落すると個人消費が7セント減少するとの結果が得られた。
2008 年には住宅価格の下落によって不動産資産残高は 1.5%減少すると見込まれ、個人消費を▲0.24%程度押
し下げよう。2007 年には約+0.6%の押し上げ要因となっていたが、2008 年はこの押し上げ効果がなくなるう
えに、逆資産効果が生じるためマイナスの影響は大きい。
(%)
12
10
資産残高の名目個人消費への寄与度(前年同期比)
不動産
名目可処分所得
名目個人消費
予測
株式+投資信託
その他
12
10
8
8
6
6
4
4
2
2
0
0
-2
-2
-4
-4
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
(出所)FRB、米商務省データより当社推計。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
6
<推計結果>
log(個人消費) = -0.3735 + 0.9078×log[可処分所得]+ 0.0430×log[株式関連資産残高]
(-6.8) (34.2) (5.3)
+ 0.0747×log[不動産関連資産残高)]
(6.3)
R×R=0.99
推計期間:80年7~9月期→2007年4~6月期
カッコ内の数値はt値
株式関連資産残高=家計保有の[株式+投信]残高。
ただし、家計は株式関連資産も多く保有しており、その動向次第で住宅部門による押し上げ効果剥落の悪影
響が緩和されよう。株式資産残高の変化の個人消費への影響を試算すると、株式関連資産残高が1ドル増加す
ると個人消費が4セント増加する。企業業績は海外景気の好調、ドル安によって 2008 年も増益基調を維持す
ると予想される。また、景気の緩やかな拡大を背景に物価も落ち着いて推移し、長期金利は低い水準で推移す
るとみられ、株価を押し上げる要因となろう。このため株式関連資産残高(株と投資信託)は 2008 年に+6.6%
程度増加すると見込まれ、個人消費を 0.3%程度押し上げ、住宅価格下落の悪影響を緩和すると見られる。加
えて、個人消費にもっとも影響を与える可処分所得は雇用・賃金の上昇によって前年比+5%程度の伸びが予
想される。
以上のように、住宅価格の下落など不動産資産減少の悪影響を受けながらも、可処分所得の増加、株式関連
資産残高の拡大を背景に個人消費は底堅く推移すると見込まれ、米国経済は拡大基調を維持する公算が大きい。
(%)
住宅価格動向(前年同期比)
予測
16
14
12
10
8
6
4
2
0
-2
-4
2500
2000
1500
SP500の推計(四半期平均値)
予測
実績
下限
上限
推計値
1000
500
0
76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08
87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
(出所)OFHEO、予測は当社
以上
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容
は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
7
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