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ハリウッドビジネスとアメリカ法

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ハリウッドビジネスとアメリカ法
2013/5/17
映像マネジメント
第6回:アメリカ法
2013.5.17
宿南達志郎
Boxoffice MOJO
• 映画興行収入等DB
• 米+海外
• 諸機能
– 歴代、年間、月間等のランキング
– 類似映画比較、シリーズ比較等
• http://www.boxofficemojo.com/
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2013.5.16 Ranking
• The Great Gatsby
• Ironman 3
• Star Trek
アメリカ法
• 『映像産業とフィルム政策』 第7章 ハリウッ
ドビジネスとアメリカ法
① 映画製作
② タレント契約
③ 資金調達
④ 収益分配
⑤ 著作権
⑥ ビデオ化、テレビ放映契約
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①映画製作
• 映画化権の取得
– 作家はプロデューサーに独占かつ撤回できない
オプションを付与する契約を結ぶ
– 映画化が決まると、映画化権取得契約が結ば
れ、利益の分配(5%程度)が約束される
• パッケージング
– 監督やタレント集め、映画会社などに資金提供の
魅力を与え、資金調達を成功させる
– 資金調達に成功すると主演以外のキャストや撮
影クルーなどと雇用契約を締結する
• 詐欺防止法
– 契約成立後1年以内に履行が完了しない場合は詐欺
となる
– タレント契約では契約期間は短い場合が多い
• 契約の有効性
– 原則は書面によるが、重要部分の合意があれば、口
頭でも効力を持つ
• CMの挿入は違法か?
– テレビ放送を目的とした映画編集権はテレビ放映権
に含まれる
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• 契約解除
– 雇用者は、労働者の故意の違反や繰り返された
違反が起きた場合に、契約解除が可能
– モラル条項が規定される場合が多い
• 履行不能
– 天災等で製作が中断された場合には、映画会社
が契約の停止や解除の権利を留保する
– 雇用者の故意や継続的な違反に対しては、労働
者は契約解除しうる
• 損害賠償
– 映画会社がタレント契約を破棄した場合には、契
約の対価の全額を賠償する
– 但し、その損害を回避する合理的な努力を怠って
いた場合は、減額も認められる
– 逆に、不当解雇の場合は、懲罰的損害賠償が求
められることもある
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• 差し止め命令
– 他の劇場への出演を行わないとの契約に違反し
た場合など
– タレントに対する差止命令は7年まで、かつ書面
が必要
②タレント契約
• タレントには:
– 監督、脚本家、俳優などを含む
• プロデューサーと監督
– プロデューサーは制作会社から報酬を受けるととも
に、事後に利益の分配金も得る
– 監督は、プロデューサーと雇用契約を結ぶ
– 監督は、制作に関する権限を得る
– 監督の報酬は、一定額の報酬、前払い金、利益また
は収入の一定率の分配を受ける
– 映画の著作権はプロデューサーが取得する
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• プロデューサーとキャスト
– プロデューサーはキャストと出演契約を結ぶ
– スターは、報酬、前払い金、利益(収入)分配など
を得る
– プロデューサーはキャストのパフォーマンスを広
告等に利用する独占的権利を取得
– キャストは映画以外での映像・肖像の使用に関
する権利を留保する
• ギルドとユニオン
– 米国では職種別に組織化されており、未加入の
キャストとは契約締結ができない
• クレジット
– 契約不履行時には、損害賠償が請求できるが、
実際は困難。差止命令も可能。
• プレイ・オア・プレイ条項
– 制作会社は、保証報酬額を支払うことにより、出
演を拒否できる
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③資金調達
• 資金を投資家から調達
– ジョイント・ベンチャー:証券法の手続き不要
– リミティッド・パートナーシップ:有限責任
• 金融機関からの融資
– Negative Pickup(配給会社に全世界配給権を譲渡)
やPre‐Sale(完成前にビデオ化権などを譲渡)
– 対価として受け取った前払金や保証金を担保に金
融機関から融資を受ける
– 完成保証会社は、未完成の場合に全ての融資額を
返済する
• 映画会社からの資金供給
– PFD契約(制作と出資と配給に関する契約)
• 映画会社は製作の遂行か放棄かの決定権を持つ
• 利益の50%以上が映画会社に
• 外国の配給事業者や放送会社の出資
– スプリットライツと呼ばれる
– 「タイタニック」は20th Century FoxとParamountの共
同出資
• Paramountは北米の配給権取得を対価として求めた
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④収益分配
• 興行収入を配給と劇場で折半
– 劇場は物品販売等で追加収入を得る
– 配給側は、二次・三次利用で稼ぐ
• 純利益
– グロス収益ー(制作費+配給手数料+税金等)
• 配給手数料や映画会社へ
• 制作費とは、ロケ費、セット費、スタッフ費用など
• タレントへの利益分配
– グロス収益方式
• ギャラの前払い+グロス収益 X 一定率
– ネット収益方式
• ネット収益 x 一定率・・・「費用算定に恣意性が含まれる」
• ネット収益算定に関する訴訟(バックワルド事
件)
– パラマウントのネット利益算定は、経費の加算が非
良心的で、合理的な根拠を欠き、無効であると判決
– その後、和解が成立し、損害賠償
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• 「星の王子ニューヨークへ行く(Coming to America)」エディ・マーフィー主演
– コラムニストであるバックワイルドが書いたtreatment
を1983年にパラマウントに売った
– 1988年にBuckwild氏が提訴
– パラマウントはこのtreatmentは使用していない。仮
に使用しているとしても、純利益は出なかったので
バックワイルド氏に報酬支払義務はないと主張(興行
収入は、$140million)
– しかし、1992年に裁判で負けたパラマウントは、
$1millionを支払って和解した(1995)。
⑤著作権
• 米国憲法第1条第8節第8項
– (8) 著作者及び発明者に対し、それぞれの著作
及び発見に対する排他的な権利を一定期間保障
することにより、科学及び有能な芸術の進歩を促
進すること。
– To promote the Progress of Science and useful Arts, by securing for limited Times to Authors and Inventors the exclusive Right to their respective Writings and Discoveries.
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• 著作権法
• §201 Ownership of copyright
• 著作権は著作物を創作したものに帰属する
– (a) Initial Ownership.—Copyright in a work protected under this title vests initially in the author or authors of the work. The authors of a joint work are coowners of copyright in the work.
• 著作物が雇用関係において創作された場合
は職務創作物となる
– (b) Works Made for Hire.—In the case of a work made for hire, the employer or other person for whom the work was prepared is considered the author for purposes of this title, and, unless the parties have expressly agreed otherwise in a written instrument signed by them, owns all of the rights comprised in the copyright.
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• 著作権法による著作権保護の要件
1.
2.
3.
4.
独創性
著作者による表現
非実用性
有形の媒体への固定
• 著作権局への登録
– 保護の要件ではない
– 著作権侵害の救済を求める場合は必要
• 独占的な権利の行使。第三者への利用許諾
の自由。(§106)
• 損害賠償(§504)
• 差止命令(§502)
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• 著作権保護期間(1998年10月に20年延長された)
• 1978年1月1日以前
– 著作権成立から28年
– 更新で47年、その後20年延長
– ⇒合計95年(§304)
• 1978年1月1日以降
– 個人著作:死後70年まで、または創作後95年まで
– 職務著作物:公刊後95年、または創作後120年まで
(§302)
⑥ビデオ化、テレビ放映契約
• ビデオ販売のロイヤリティは卸売価格の15‐
20%。
• ベータマックス訴訟(Sony v Universal)[1976‐
1984]
– ユニバーサルとディズニーが、著作物を録画する
機器は著作権侵害と提訴
– 一審は、非営利の録画は違法でない(1979)
– 二審は、著作権侵害(1981)
– 最高裁は、非営利の録画は違法でない(1984)
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• フェアーユース(§107 ∙ Limitations on exclusive rights: Fair use)
– 許容されるかどうかは、商業性、量、影響度によ
る
– (1) the purpose and character of the use, … is of a commercial nature or …;
– (2) the nature of the copyrighted work;
– (3) the amount and substantiality of the portion used …as a whole; and
– (4) the effect of the use upon the potential
market for or value of the copyrighted work.
• 有料テレビ放送会社は、加入者数に比例した
額を支払う
– 支払額 = 基準額 x 有料テレビ加入数
• ネットワーク放送局(地上波)は、固定額を支
払う
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