...

問題階層・循環経済

by user

on
Category: Documents
8

views

Report

Comments

Transcript

問題階層・循環経済
問題階層・循環経済
駒宮博男
階層化している問題の構造
◆単に技術的問題解決に向かっていないか
◆表層的に問題解決可能なのか
◆より深層の問題はないのか
◆そもそも、根本問題は何か?
課題
方策
○技術的課題・初期投資が高い/導入しやすいハードがない
・電気の使い道がない
表層
○制度上の制約 ・水利権の手続きが煩雑
表層
・複雑に絡まった水利権者
○合意形成上の課題
表
面
的
な
解
決
策
・低コスト化
・エネルギー利活用技術
・許認可のあるべき姿
・利害調整方式
・地域主体形成
・事業主体が決まらない
○強すぎる中央集権
・技術の中央集権:地域のものづくり力の衰退。
ブラックボックス化する技術
・制度の中央集権:河川法、電気事業法など。お上に許可をもらう必要。
・地域のガバナンスの喪失:行政依存・公共事業頼み。人口流出。
○国民国家の形成
○生産と消費の分離 → 公共サービス/巨大システム依存
「電気は誰かがつくってくれる」という意識
日常生活では、「誰も電気に困っていない」
○右肩上がり前提経済→ 際限のない電力消費
○石油漬けの近代
→ 地域からの資金流出
科学技術万能主義
コミュニティからの個人の離陸
根本
○地域の自治・自立
→ コモンズの喪失
「水は行政のもの」という意識
水争いの遺恨 → 複雑な権利関係
中層
○地域からの持続可能
社会構築
○人と自然の乖離 ○霊と神の否定 ○言語至上主義
○自然資本主義
○コモンズとしての
自然資源
○適正技術
○等身大の科学
○自然観 ○宇宙観
3
地域自治再生の3層モデル(根本問題研究会、JST-RISTEX 研究成果)
• 表層
表層的課題を表層内部で解決する
手法=技術的解決
(例:温暖化問題、南北格差)
• 中層
表層内部での解決困難な課題解決の
手法=政策提言
⇒ より広い社会の変革の必要性
(例:中央集権、国民国家)
• 深層
中層でも解決不能な問題は・・・・
⇒ 社会全体の価値観の変革が必要
(例:二元論、表記言語、自然観)
4
旭を事例に
《表層的問題》
• 少子高齢化(一夫多妻制で解決???)
• 人口流出(IUターン促進で解決??)
• 産業構造の変化(一次産業重視は可能か??)
《中層的問題》
• 戦後の急速な近代化(高度成長・アメリカ化)
• 世界の近代化
自然科学・産業資本主義・国民国家・・・・・・
《深層的問題》
• 西欧の自然観、世界観・・・・・・
• デカルトの二元論、キリスト教的二元論
地域の循環経済とは
•
•
•
•
地域の経済を考える
自給率とお金の循環
地域通貨を考える
生存経済=「FEC自給圏」は可能か
地域の経済を考える
• 下手をすると、公共サービスが最大の産業?
◆地域最大の産業は、役所と学校、病院、高齢者施設・・・
⇒ 消費は地域外??
• 地域の収入は、高齢者の年金+税金??
◆高齢者数×年金はかなりの金額に!
⇒ 残念ながら、これも消費は地域外?
• ホソボソと続く、土建業
◆公共事業の縮小で地域土建業は急速に縮小
⇒ 悲しいかな、大規模工事は地域外企業が受注!!
• 地場産業はあるのか??
◆米中心の農業では何ともならない?
◆林業はどうか??
◆観光は地域産業足り得るか???
自給率とお金の循環(その1)
お金の流れ
《商品自給率20%の場合》
物の流れ
80%
20%
80%
外部資金調達
財・サービス・労働
《商品自給率80%の場合》
20%
20%
80%
外部資金調達
材・サービス・労働
◆地域外部へ出勤
◆政府系補助金
◆有力地場産業
自給率とお金の循環(その2)
《自給率20%の場合》
1巡目
2巡目
80万円
16万円
《自給率80%の場合》
1巡目
2巡目
20%
16万円
地域経済とお金の流れ(その1:企業誘致)
◆工場(企業)が生み出す付加価値の内、地域に落ちる部分は実はあまりない!
地域内従業員
原料等
付加価値
本社へ
製品
地域外従業員
市役所へ固定資産税
地域経済とお金の流れ(その2:地域資源活用型)
地域内従事
者
作業の報酬
地域内雇用
製品
付加価値
賃金
設備投資
地域通貨をどう考えるか
出来れば、「エンデの遺言」をご覧下さい
• 「木の駅プロジェクト」の「もりけん」とは・・・
◆地域資源(間伐材)を土場に集積
◆パルプ会社等が引き取り
◆地域の特定店舗で「もりけん」利用!
◆「木の駅」は「自治」のツール(全ての決定を地域で!)
• レッテンバッハの地域通貨
◆何と、硬貨(500円相当)を作っている!!
(詳しくは、村長の講演会に御参加を!!!)
• 国家転覆?を意図する地域通貨
◆有効期限、1回のみ使用では、商品券的地域通貨
◆二巡目からは、国家転覆??
消費税・所得税・法人税が地域通貨に含まれ、脱税
◆そもそも論から言うと・・・・・
通貨管理は国家の専権事項!!!!
新しい経済圏(生存経済圏)は可能か
グローバル経済
生存経済
・市場での競争中心
・弱肉強食
⇒ 不安の増大
・安心・安全・幸せ中心
・利益を追わない
・雇用優先
FOOD自給率40%
雇
用
勝ち組
勝つかも知れない
社会階層
ENERGY自給率5%
CARE
勝つ見込みが薄い社会階層
FEC自給圏
地域の伝統値活用が必要
競争を諦めざるを得ない社会階層
どこで折り合いをつけるか(グローバル経済との接点)
地域経済圏
グローバル経済
生存経済
勝ち組
FOOD
ENERGY
外貨獲得
により、豊
かな経済を
確保
勝つかも知れない
社会階層
CARE
勝つ見込みが薄い社会階層
社会的共通資本の維持
競争を諦めざるを得ない社会階層
グローバル経済とは何か(その1)
『羊羹チャート』 = 液晶テレビの製造プロセス(2008年)
①部材行程 ②パネル製造 ③モジュール行程 ④セット行程
米国39%
台湾39%
その他27%
台湾39%
オランダ5%
中国7%
韓国14%
韓国42%
日本47%
日本19%
生
産
立
地
日本35%
韓国34%
日本19%
韓国25%
韓国42%
日本19%
日本7%
日本32%
日本8%
韓国22%
韓国4%
台湾1%
中国36%
韓国42%
中国58%
アジア10%
北米・南米18%
台湾32%
台湾39%
その他12%
EU23%
『新・国富論』浜矩子より、駒宮が着色
アメリカ3%
グローバル経済とは何か(その2)
ー グローバル経済と国際経済の違い ー
《国際経済》
国内
付加価値生産
海外
商品
消費
設備投資・雇用
法人税・所得税
◆国家・国民と企業の利害が一致していた古き良き時代
《グローバル経済》
海外
国内
本社(管理・開発)
人材
付加価値生産
設備投資・雇用
法人税
◆国家・国民と企業の利害が一致しづらいグローバル社会
FEC自給圏への挑戦
food
energy
care
ENERGYは、かなり有望
• 愛知県豊根村のエネルギー消費
人口1,500人、戸数500、エネルギー消費は5億円/年
⇒ 100万円/戸・年!!
エネルギーは全て地域外生産
⇒ 僅かでも自給すれば、地域経済への影響大!!
• 雇用を生むもの、生みにくいもの
水力 : 設置すれば終わり(メンテは有り)
太陽光 : 設置すれば終わり(メンテは有り)
風力 : 設置すれば終わり(メンテは有り)
⇒ 現状ではFITを活用し、利益を地域内公共事業へ!!
⇒ 将来的には、地域内電力自給へ!!(地域内グリッド)
木質バイオマス : 伐木から玉切り、割木、チップ、ペレット・・・・
山からの運搬
⇒ 圧倒的な雇用を生む可能性
食の可能性
• 岐阜県の状況
岐阜県農業者の平均年齢:2005年に66歳、2010年に70才
TPPなど関係なく風前の灯
• 米づくりは儲からない(麦、大豆も)
コネづくり農家の平均自給は・・・・・ 180円/時間
麦、大豆も同様 ⇒ 農業で儲けるなら換金性の高いものしかだめ?
⇒ 基幹作物である、米・麦・大豆はビジネスにはならない!!
• 可能性を秘めたCSA農業
CSA=Community Supported Agriculture
• 自給可能性と、伝統食
自給率向上には、野菜中心の伝統食への切り替えが必要
穀物必要量:牛は約10kg、豚は約6kg、鶏は約3kg
• 「6次産業」に内在する可能性
一次産業の粗利を1とすれば、2次産業の粗利は5、3次は10?
例)米 ⇒ 玄米:37円/合 精米:75円/合 おにぎり2個:200円/合
例)小麦 ⇒ 小麦:3円/100g 製麺:30円/100g パスタ:700円
図解6次産業
玄米:37円/合
小麦:3円/100g
精米:75円/合
製麺:30円/100g
おにぎり2個:200円/合
パスタ:700円
雇用の宝庫=公共サービス(care)
• 教育
現状では、公教育への参入は困難
⇒ フィンランドでは地域住民が教師
⇒ 「学校運営協議会」は、人事権、予算執行権を持つ
⇒ 廃校利用のセカンドスクールはあり!!
• 医療
西洋医学だけでなく、東洋医学・薬草栽培等の可能性
• 福祉
高齢者、障がい者、乳幼児・・・・・・ 雇用の宝庫!
既に多くのNPO活躍の場
• その他
公共交通 : 福祉タクシー、障がい者移送
中間就労 : 一般就労に不向きな多くの人達に
就労準備 : 就労のための準備支援
雇用の場は新たに作るものか?
• 恵那の寒天(安藤由美子さん情報)
◆100軒あった寒天製造者が、今10軒に
(後継ぎ有りは、5軒のみ)
◆秋田からの季節労働者で、人手不足
• 旭(豊田市)の戸田君の事例
◆「新たなビジネスを作らないと若者は来ない」はうそ!?
◆田舎に住めば、仕事は無数にある
(小さな仕事だから、放棄され、跡継ぎなし!?)
• 旭(豊田市)の自然薯
◆1,000本の自然薯畑の耕作者が他界
• 「多業」は進むか?どこまで吸収できるか?
◆昔(50年前)は、多くの人が「多業」(百姓)だった
(「百姓」とは、百の仕事ができる人)
◆100万の仕事を5つ、50万の仕事を10個・・・という発想の転換
◆「単一の仕事」は、人間を馬鹿にする!
• 地域企業は使えないか?
◆恵那の事例 : 角野製作所、デジタグファフィック・・・・
• 地域で潰れかけたスーパーを復活
◆広島県作木地区 : JAのスーパーを地域で復活(非営利)!
田舎に人はいないのか?
• 秋田県藤里町の事例
◆人口3700人、戸数1400
◆孤立無業者(SNEP)は約200人
◆200人中113人が情報提供承諾
◆113人中約60人が地域で就労
◆「シルバーバンク」+若者で、就労
企業活動の新たな動き
• ヨーロッパの幾つかの事例
◆ツェルマットのEV会社(数社あり!)
社員数 : 数名
生産方式:部品は輸入、車体は独自
商圏
: ほぼツェルマット内のみ
生産力 : 1台/2週間 24台/年間
◆ドイツの小水力(オズバーガー他)
社員数 : 50名?
歴史
: 100年
商圏
: ほぼヨーロッパ中央部のみ
◆オーストリーの木質ボイラー
商圏
: 地域が中心、しかし、グローバルマーケットにも!
地域ごとに会社があり、技術を競っている
• 「“Top three” から “Small hundreds” へ」は可能か
◆果たしてEV業界で可能か??
◆エネルギー分野ではどうか?
付録としての簡単な年表
旧石器
50
40
30
縄文+縄文以降
20
縄文
1万年
8000
1500
弥生
6000
4000
室町後期+戦国
1600
2000
江戸
1700
0 万年
10
0
明治 大正 昭和
1800
1900
弥生以降
1000
平成
2000
2000
未来
2100
各種文明
縄文
1万年
8000
弥生
6000
4000
弥生以降
2000
0
1000
2000
石油文明(石油使用量)
室町後期+戦国
1500
江戸
1600
1700
明治 大正 昭和
1800
1900
平成
未来
2000
2100
内山・渡辺・澁澤の世界
経済学のなかった時代
産業資本主義
国民国家
石油文明
車の普及
※何を残し、何を捨てるか??
※何が持続可能か??
コンピュータの普及
サラリーマン就労
ご清聴有り難うございました!
来月はいよいよ最終講座です!
Fly UP