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オンラインゲームに関する相談の傾向
資料2 オンラインゲームに関する相談の傾向 ~未成年者の相談を中心に~ 独立行政法人国民生活センター 相談情報部 情報通信チーム 2013年12月10日 1 PIO-NETとは 全国消費生活情報ネットワーク・システム (Practical Living Information Online Network System) ・全国の消費生活センターの相談業務の支援 ・消費者に対する注意喚起 ・行政機関における消費者政策の企画立案、 法執行 など ・PIO-NETで収集した情報は、2012年度約85万件 2 3 今回紹介する オンラインゲームに関する相談とは 本資料において、「オンラインゲーム」とはパソコ ン、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、携帯 型ゲーム機器、携帯型音楽プレイヤーなど、機器 の種類を問わず、インターネット回線を通じたゲー ム全てを指している。 相談件数は、2013年11月15日までにPIO-NET (全国消費生活情報ネットワーク・システム)に登録 されたものである。 4 オンラインゲームに関する相談件数 オンラインゲームに関する年度別相談件数の推移 図1.オンラインゲームに関する相談件数 件数 5616 6000 5000 総数 4000 うち契約当事者が未成年者 3505 3181 3000 ※()内は前年同時期の件数 (3029) 2043 2000 1000 1437 1371 1341 2012 2013 781 378 353 2009 2010 (532) 0 2011 年度 (2013年11月15日までの登録分) 5 オンラインゲームに関する相談件数 オンラインゲームに関する相談の年齢別割合 図2.オンラインゲームの契約当事者年代別割合 年代 20歳未満 11.7%15.3% 19.1% 20歳代 30歳代 60歳以上 不明等 0.0% 29.0% 13.8% 18.4% 40歳代 50歳代 4 2 .2 % 24.4% 4.3% 3.8% 1.8% 1.6% 2013年度(n=3181) 2012年度(n=5616) 7.1% 7.5% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 割合 (2013年11月15日までの登録分) 6 オンラインゲームに関する相談件数 契約当事者が未成年者の年齢詳細 図3.契約当事者の未成年者の年齢詳細 年齢 15.7% 16歳以上 26.5% 41.5% 37.6% 13歳~15歳 25.2% 23.6% 10歳~12歳 6歳~9歳 5歳以下 0.0% 9.6% 13.0% 2013年度(n=1341) 2012年度(n=1371) 4.6% 2.8% 10.0% 20.0% 割合 30.0% 40.0% 50.0% (2013年11月15日までの登録分) 7 オンラインゲームに関する相談件数 未成年者の契約購入金額の分布 図4.オンラインゲームにおける未成年者の契約購入金額の 分布 金額の分布 100万円以上 2.2% 2.8% 50万~100万円未満 6.4% 9.5% 10万~50万円未満 35.1% 15.3% 14.7% 5万~10万円未満 13.2% 13.7% 1万~5万円未満 1万円未満 2013年度(n=1341) 4.9% 7.0% 2012年度(n=1371) 11.8% 不明等 0.0% 43.1% 5.0% 10.0% 15.0% 20.2% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 40.0% 45.0% 50.0% 割合 (2013年11月15日までの登録分) 8 オンラインゲームに関する相談件数 オンラインゲームに関する相談の支払手段 図5.オンラインゲームの未成年者の支払手段 (2013年度 n=1341) 不明等 28.3% その他 0.2% 電子マ ネー 0.6% ク レジッ ト カー ド 70.8% (2013年11月15日までの登録分) 9 相談からみられる問題点 (1) クレジットカード等の仕組みを理解していなくても、子どもは決済の 手続きを容易に行っている 子どもは、大人が思っている以上に、友達やインターネット等から多く の情報を収集している。また、家族で共有するタブレット等の端末でオ ンラインゲームを親子で楽しんでいる場合には、子どもは大人の利用 する姿をよく見ている。 そのため、決済の意味を十分理解していなくても、クレジットカード情 報の入力等、決済の手続きができてしまう。「アイテムがほしい」等の思 いから、大人のクレジットカードを黙って利用してしまった結果、高額な 請求となるケースもみられた。 さらに、インターネット取引においては、カード本体がなくてもクレジッ トカード番号、有効期限等の情報だけで取引ができるため、クレジット カードを折って処分するだけではトラブルを防ぎきれないというケースも みられた。 10 相談からみられる問題点 (2) 大人はオンラインゲームの決済の仕組み等を十分に理解していな い 1回であってもパスワード認証後、数分間はログインが有効なために、 決済ができてしまう場合や、課金時にパスワードが必要ない場合があ る。スマートフォン等の機器の決済における、パスワードの仕組みなど について大人が十分に把握せず、子どもに利用させることで、思わぬ 高額な請求につながっている。 最近の携帯型ゲーム機は、インターネットに接続でき、また、クレジッ トカードやプリペイドカード型電子マネーを用いて、ゲームの購入などが できる。携帯型ゲーム機に一度クレジットカードを登録すると、削除する まで登録がなくならないケースがある。また、クレジットカードの限度額 まで使えてしまうため、高額化する可能性がある。クレジットカードの管 理を徹底し、子どもが手にすることがないように留意することが求めら れる。 11 相談からみられる問題点 (3) スマートフォンやタブレット端末のIDに、クレジットカード情報を登録 していたり、機器をそのまま子どもに渡して使わせている スマートフォンやタブレット端末を利用する際に、それぞれの機器の IDにクレジットカード情報を1回登録することで、アプリやアイテムを継 続して購入することができる。パスワードの入力が省かれているケース も有り、子どもに機器を渡した結果、クレジットカードの限度額いっぱい まで使えることになる。 また、タブレット端末自体は、家族共有に近い状態で管理していたも のの、パスワード等の設定をしていないと、子どもが勝手に使いすぎて しまう可能性がある。また、携帯型音楽プレーヤーでもスマートフォン等 と同様の決済の仕組みができるものもあり、インターネットに接続し、ク レジットカードを登録することで、アプリやアイテムを購入することができ る。 12 相談からみられる問題点 (4) オンラインゲーム会社等は利用者の年齢を把握しにくい 最近では、未成年者の利用による高額請求のトラブルを防ぐため、オ ンラインゲーム会社においても年齢の確認画面や、利用金額の上限設 定などの仕組みを講じている例が増えてきている。ただし、この仕組み を活用するためには、利用者の年齢を正確に入力することや選択する ことが必要であるが、消費者とりわけ子どもはそれほど深刻に考えず、 正確ではない年齢でサイトに登録してしまった結果、この仕組みを十分 に活用できずトラブルとなる場合もみられる。 さらに相談の多くで決済手段として、クレジットカードが利用されてい る。クレジットカードは会員規約において管理責任を明記しており、子ど もが使った場合は家族間使用となり、クレジットカードの名義人である 親等の保護者に請求がなされることになる。 13 今後の課題 1. オンラインゲームに関する相談件数は増加しており、また、契約当事 者の低年齢化が見られる。相談件数を減らすため、さまざまな取り組 み(※)がなされてきているが、現状では相談件数の低下に結びついて いない。また、未成年者契約の取り消し等による解決が難しい。 2. 被害の未然・拡大防止のためには、オンラインゲームの仕組みに加 えて、クレジットカードの管理責任について、消費者に対する継続的な 注意喚起が必要。一方、消費者も自ら情報収集に努め、オンライン ゲームの仕組みなどについて理解し、未成年者の利用について注意 するという意識も求められる。 ※ 行政機関等による注意喚起、業界団体による課金上限金額の設定といった自主 規制の取組、事業者ごとの年齢確認画面の導入など 14