Comments
Description
Transcript
これまでにいくつかの仕事に携わってきましたが、そこで気づいたことが
これまでにいくつかの仕事に携わってきましたが、そこで気づいたことがあります それはどの業種でも稼いでいる方と稼いでいない方があるということ。 ラーメン屋さんでもコンビニでも大工さんでも稼いでいるお店は長続きします。 では何が違うのでしょうか? 大工さんはいくら腕が良くても仕事が無ければ稼げません。 また、1軒の家にやたら時間をかけていては利益が少なくなります。 コンビニもアルバイトを3人も4人も雇えば利益は出ません。いかに少人数で 店番をするかがポイントです。 ラーメン屋さんは味にばかりこだわっていると高いラーメンができてしまい、 結果お客さんに「値段の割には高いよね」って思われているかもしれません。 では農業ではどうでしょう? 大工さんのように野菜や果実をつくる腕はいいがなかなか売れずに稼げていなか ったり、生産にばかり時間をかけて売ることにまったく無頓着な方はいないでしょ うか? コンビニみたいに忙しいからと言ってパートさんを3人も4人も雇ってはいない でしょうか? ラーメン屋さんみたいに味にばかりこだわって高い果物や野菜ができてはいない でしょうか? ■「儲かる」と「稼ぐ」の違い ■稼いでいる人の特徴(北部農園の事例) ①生産量が平均より多い ②高品質で販売単価が高い ③規格外品をうまく売っている ④安定的供給できている ■己を知る。 (強みを知る・・・自分の土俵で相撲を取る) 自分の商品はいったいどこで勝負しているのか? 商品の強みは? 弱みは? 果樹⇒味、 品質⇒外的要因が大きい レタス⇒単価 単価⇒市場変動が激しい 立地条件の強みは? 戦後、佐世保の駐在アメリカ軍にレタスを供給していたのが始まり。 現在の強みは何か・・・雨量が少なく温暖。扇形の地形、海と山の両方を持つ。 広域合併ぜず、単独農協である。 ■誰からお金をもらっているか(誰を喜ばせたのか) 北部農園は消費者である奥様【女性】が社会進出によって家庭で調理をしなくなった背景 から『カット野菜』の需要が伸びることを察した。 「安価で大量供給すれば売れる」 ・・・ 「サラダクラブ」が爆発的に売れ、見事に的中した。 コッコファームは健康食ブームにのって「ニンニク卵黄」用の材料である生卵を大量に安 定供給することに成功した。 松本農園はイオングループがプライベートブランドを立ち上げる際に安定的に材料供給し、 栽培履歴をいち早く提供しトップバリューの推進役を担った ■ターゲットの絞り込み 誰からお金を頂くか。客を誰にするか?です。 外食産業ですか?惣菜、弁当の中食産業?学校、病院などの給食産業? サプリメント、化粧品の原材料として? 直接お客様に届けるようにネット販売業者に売りますか? これまで同様仲卸業者に卸しますか? 市場はお客さんではありませんよ。あくまで販売と代金回収を委託しているだけです。 農協は仲間ですよ。販売会社ではありませんよ。 また、海外に輸出するとか言っていますが、世界の都市で東京と神奈川だけで 2200 万人い ます。上海が 2000 万人、ソウルで 2200 万人 国内で競争すべきか海外で競争すべきか再検討すべきだと思います ■営業の必要性 ビジネスはモノ、サービスを提供しその対価をもらうトレード(取引)によって成り立つ。 こちらからモノを送ってお金を送金していただくか、こちらまで買いに来ていただくかし かない。 つまり『れいほく』からお届けするか、 『れいほく』に買いに来てもらうかです。 お届けするなら誰にお届けしますか?買に来てもらうなら誰に来てほしいですか? 温州ミカン 176t、ポンカン 95t、デコポン 49t 合計320t 全て卸売市場に任せますか?100名近い生産者の生活をすべて競り任せますか? 成功している企業、事業の特徴は 2 つ 「商品力」と「営業力」です。 これまでの農業は商品力はあっても営業力はありませんでした。 なぜならば必要なかったのです。 作れば売れる時代だったのです。しかしとうの昔にその時代は終わり営業しなければ売れ ない時代です。作る努力ではなく売る努力の時代です。 ■売り方(プロモーションとニーズ) これまでの売り上げを上げる方法は⇒反収増。 これからは売り上げを上げる方法は⇒ジャストインタイム つまり取引先がいつ何を欲しがっているかを的確に知る必要があります。 例えばレタスでは業務関連卸業者が年間必要量を決定します。外食産業では半年前から 1年前には産地を確保しなければなりません。 原材料の確保ができなければメニューが決められないのです。 原材料を確保するために担当者が各県から産地情報を集約し、年間仕入計画を決定します。 この時点で卸単価と出荷量、出荷計画を立てなければなりません。 これができなければ相対取引は成立しません。 これは取引先の要望に合わせる売り方です。 次にこちらから仕掛ける場合です。 この時は取引相手に欲しいと思わせなければなりません。 ではどんな時に欲しいと思うでしょうか? 皆さんが欲しいと思う事はどういうときでしょう? ・思ったよりも安かったとき。 (お得感) ・必要に迫られている時(不可欠) ・今だけ、ここだけ、これだけ(衝動買い) 逆にいらないと思うときはどういうときでしょう? ・思ったより高い ・もうすでに持っている ・いつも、どこそこ、たくさん ■いくら稼ぎたい?(目的と目標) 農業でこれまで高値に当たって儲かったことがあると思います。 レタスが1ケース4000円も5000円もするときのように・・ 必要以上に高値がついてギャンブルで大当たりした時のような気分になります。逆に1ケ ース500円以下の暴落もこれまで何度となく経験されてこられたことでしょう。 これらに翻弄されているのは農家ばかりではありません。むしろ、青果業の方々の方が死 活問題となっているのです。 取引先からは値段を決められているのでそれ以上の高値で仕入れなければならないのは 当然赤字です。赤字が続けば事業は存続できません。 これら青果業者が一番望んでいるのは安定価格、安定供給なのです。 生産者である農家の方々もこれらを踏まえて安定供給安定価格を実現できれば安定経営に つながると思います。 ■原価の話 せっかく安定価格で取引を始めても利益が出ない生産者様も多いのです。 これは経費の使い過ぎ。生産原価が高くなっている場合です。 適正な原価。適正な販売価格。適正な取引。やはり農業も適正さが求められています。 ■ライバルは誰だ 何度も触れますが作れば売れる時代ではありません。 農業も競争に勝たなければ生き残れない時代です。 では誰と競争しているのでしょう? よく、生産者の方に誰と闘っていますか?ってお伺いすると、 イノシシです(笑) 一番多いのが隣の農家と張り合っている。って答えです。 中には愛媛県とか長野県とか・・・ 例えばマクドナルドのライバルはどこでしょうか?ロッテアですか? 違います。答えはケンタッキーではありませんよ。 ファーストフード店は松屋、吉野屋などの外食産業がライバルなんです。 では外食産業のライバルはどこでしょうか? そうです。お弁当を販売しているほっかほっか亭やコンビニなんです。 皆しのぎを削っています。 最近はセブンイレブンが100円コヒーを始めました。スターバックスの客の横取りです。 同業者をライバル視している場合ではありません。産業間で争う時代なのです。 ■売れないものは売るな 現在はモノの飽和状態です。モノ余りの時代。必要なものが必要な分しか売れません。 更にデフレ時代。最近アベノミクスにて景気好転の兆しが見えてきましたが、バブルの時 と同じように農業界には景気の波は遅れてやってきます。浮かれるにはちょっと早いです。 ここでは売れない物を売る努力はムダであるという話です。 福袋を買って、売れ残り商品ばかりはいっていたら嫌ですよね。 やっぱり売れ筋の商品が入っていたが嬉しいものです。 最近の福袋はお得感が満載です。このようにいらない物を売りつけると商売は成り立ちま せん。 同じようにジャパネットたかたでも売れる商品しか紹介しません。1度紹介して反応が悪 ければ次の日には商品を変えます。反響があれば追加で紹介します。 もし在庫になるからと言って売れなかった商品を毎日紹介していたらジャパネットたかた はあんなに大きくならなかったでしょう。 一方、農業界では市場が飽和状態にもかかわらず余った商品を売る努力を一生懸命にして いる姿をよく見かけます。 お隣さんから「晩御飯のおかずが余ったからどうぞ」ってあまりもんはタダでもあまりう れしくないですよね。 ■キャッシュポイント とは言え、経費を掛けて作ったからには無駄にはしたくないのが心情です。 何とかタネ代だけでも取り戻したい。 これが農業の難しいところであり皆さんのジレンマだと思います。 農産物は圃場で栽培しそれを収穫してお客さんにお届けして、代金を回収できなければ 商売になりません。 しかし市場が暴落すればお客様にお届けする以前に圃場で鋤きこまなければならないとき も出てきます。 農産物は需要と供給のバランスで成り立っているので仕方がありません。 これらを防ぐには生産原価を極力抑える努力しか方法はありません。 そうすれば収穫する際に必ず利益が出る仕組みが出来上がります。 つまりキャッシュポイントを生産工程に置くのではなく、出荷工程に置くのです。 それが嫌なら取引先様の要望にすべて対応する生産工程を構築するしかありません。 今考えられる稼ぐポイントはこのいずれかしかありません。 ■誰と組むか 農協の共販で出荷されている部会の部会長さんは取引先をどこと組むかよく検討するべき です。 最終的に誰が消費するのか。仲卸業者はどこなのか?どの小売り【量販店】に卸している のか?小売り店舗ではどのような売り方をしてあるのか?本当に販売促進してくれている のか? 「商品力と営業力」互いに協力できる、信頼できる取引先と組むことがベストである。 ■企業の稼ぎ方(ラーメン屋の稼ぎ方)正当に稼いでる⇒ミラクルでも魔法でもない ヒト⇒育成 モノ⇒費用対効果 カネ⇒投資⇒費用?消費?⇒固定費、流動経費 ■コンビニのおでんとアイスクリーム 真夏にコンビニでプロ売り子さんを雇っておでんを売らせるのと、 全く物を売ったことが無いド素人の学生にアイスクリームを売らせるのでは どちらが売れるでしょうか? いくらプロの売り子さんとはいえ、真夏におでんは売れないでしょう。 だって、だれも喜ばないでしょう。 今の農業界はこのような現象に見えて仕方がありません。 いくらプロの農家だからと言って真夏におでんを売るようなことはしてないでしょうか? 本当にお客さんの要望に答えているのでしょうか? アイスクリームを売れば飛ぶように売れるのにおでんに執着してはいないでしょうか? 稼ぐ農業はアイスを売らなければなりません。 ■企業が農業に参入するわけ 既存の事業だけでは先行きが不安。 経済界は飽和状態。ビジネスチャンスが多い農業に参入 ヒト、モノ、カネ、情報を右から左に流すことで利益を 上げていた構造は競争が激化。 一方、原料、材料供給事業は縮小傾向にある。 生産者が少なくなる⇒チャンス到来 企業は不思議に思っています。 「なんで農家の人はおでんを売っているのだろう?」 「俺だったらアイスを売るのになって」 。 これからはヤマダ電機が家を建てます。 イトーヨカドーがネット販売をします。 ドラックストアが野菜を売ります トヨタ自動車が宮城でパプリカを栽培しています JR 九州が玉名でトマトを栽培します じゃあ皆さんは何をしますか? 農業ビジネス ① 材料ビジネス【材料供給】 農産物製造業 ⇒ 仲卸業 ⇒ 小売業 ⇒ 一般消費者 ② 青果業ビジネス【流通サービス】 ③ 観光ビジネス【農業体験】 ④ 加工ビジネス【食品加工業】 仲卸業 ⇒ 小売業 ⇒ 一般消費者 レジャー産業 ⇒ 一般消費者 加工業 ⇒ 小売業 ⇒ 一般消費者 ■強い農業をつくる 農業が強い国には農協はない。各農家が自立し、農業を事業として取り組んでいる。 日本は農協という組織で強くなるか、個別の農業法人が自立し強くなるしか方法はない。 農協という組織で稼ぐ努力をするか、個別に自立して稼ぐ努力をするか。 海外からの輸入はモノが入ってくる脅威ではありません。ハングリーながつがつした 商売、ビジネスで鍛え抜かれた外国の商社が入り込んでくることが脅威なのです。 いいものだけを作れば外国産に勝てるなど思ってはいけません。 これからは真夏のコンビニでアイスクリームをプロの売り子さんが売り込んでくる時代な のです。