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資料9 第4回電力安全小委員会 資料 電気保安管理業務に関する意見 平成14年 3月12日 日本テクノ株式会社 代表取締役社長 馬本 英一 1.当社の特徴について【資料1】 私ども日本テクノ株式会社は、民間保安サービス会社として法規制の枠の中で、保安管理に対 する顧客満足度を高めるために最大限の企業努力を行っている。電気設備24時間遠隔監視装置 「ESシステム」を顧客に販売し、キュービクルで発生する漏電・トランス温度上昇・停電を2 4時間監視センタで常時監視する保安サービスと、万が一発生した電気事故や設備故障による損 害を保証する「テクノ電気設備保証サービス」を提供。全国25拠点を展開して、現在では月間 650件程度の新規契約を獲得するまでに成長し、顧客数は販売開始から約5年間でおよそ1万 8千件となるなど、当社は民間の保安サービス会社の第一人者として日本全国の需要家から支持 され認められております。 電気事業法で定められている電気保安管理業務については、民間企業が行うことができないた め、電気管理技術者の任意団体である「日本電気保安サービス協会」 (略称、日電協)と提携し、 顧客には日電協所属の技術者による保安管理を紹介。ESシステムによって記録した詳細な監視 データを同協会所属の技術者に提供することで、従来の保安管理方法に加え、民間企業ならでは の管理サービスを行っている。 当社社員は現在300名を超え、平均年齢は28歳と若く、より多くの需要家に、安全で安心 できる電気保安をご提供できるよう、日夜、改善努力しております。 2.自由競争の見解について 法規制があることで、業界内でのサービス競争は全くと言って良いほどなく、保安管理費用や サービス面も横並びの内容で、需要家には、外部に保安管理を委託する場合の選択肢がほとんど ない状況が続いてきた。これは、 「民間企業が点検を行った場合には、利益優先によるサービスの 悪化や、価格競争による手抜き点検などにより、キュービクルでの事故増加が懸念される」とい う、既得権益保護の施策が行われてきたためであると思われる。 現状での不選任申請の保安要件では、換算点数と、技術者居住地から需要家所在地までの到着 時間の制限があるが、本来であれば需要家が判断して契約するものであり、遠隔地の業者では需 要家は契約しない。点数については、同一の設備容量であっても変圧器台数や結線方法は設備に よって違うものであり、新設と30年前の設備とでは当然、内容や状態はまったく異なるもので ある。そのような設備を点数で管理することは、非常に難しいと思える。また、需要家の管理件 数があまりにも増加した場合には、管理・点検、緊急時の対応が疎かになり、需要家から認めら れるわけもないと考える。 よって、競争原理の中で必然的に需要家のニーズに合致したサービスを提供する企業や団体が 残り、自己の利益をだけに偏った企業は淘汰されていくことが明らかであるから、これらの規制 を廃止することによって、保安管理費用が低減された上にサービスが向上するなど、需要家の利 益につながると考える。 ただし、現行の不選任制度を踏まえ、適切な安全管理体制の整備や、法人形態を問わず保安管 理業務を受託できる仕組み作りを行い、民間企業が電気主任技術者免状を所持する者を雇用し、 一定の保安要件を満たした上で電気保安ビジネスに参入させるべきだと考える。なお、当社が考 える一定の保安要件とは、下記の通りである。 ① 企業内に研修用の受電設備を設けること ② 電気保安に関して年1回以上の社内研修を行うこと ③ 継続して技術水準の維持・向上に努めること ④ 電気主任技術者免状を所持する者が保安管理業務に従事すること ⑤ 電気主任技術者免状を所持する者を複数雇用していること 他の民間分野と同様に、良質で適正価格のサービスを需要家が享受できるよう、制度を改革し ていく転換期を迎えていると考える。 3.保工分離について 電力安全小委員会においては、保安協会、管理技術者協会ともに、それぞれの立場で意見を述 べていた。 「技術者が自身で工事を行えば、自己の利益を図るために、不要、不急の改修、改善を 進めているとの誤解を与えないためである」 「不選任承認の場合、技術者が併せて電気工事業を行 うとすれば、保安管理をいたずらに厳しくして、必要でない工事を行ったり、工事の監督、検査 が甘くなったりするなどの弊害が生じ、冷静な判断が損なわれる恐れがある」と言っているが、 いたずらに、そのような工事を行ったり、監督が甘くなったり、冷静な判断ができないようであ れば、やはり需要家が納得するはずもない。 本来、保安業者と工事業者を選択するのは、需要家の判断に委ねるべきであり、保工分離は、 保安に従事する人や団体を守るためのものではないと考える。一応保工分離にはなっているが、 一般用電気工作物の保安業務には民間企業の参入が認められている。一般用電気工作物の需要家 は、ほとんど消費者(一般家庭)であり、電気への意識が薄い方が多いと考えられる。 一方の、電気主任技術者の外部委託制度に関わる需要家は、企業もしくは事業主であり、消費 者に比べ電気への認識をもった方も多く、また、企業ということもあり、価格・サービスなどに 対する意識も強い。保工分離が必要だとすれば、消費者を守るために一般用電気工作物の保安に ついて行うべきであり、自家用電気工作物については、規制する必要もないのではないだろうか。 一般用電気工作物の場合、保守費用は電力会社が負担しているため消費者は無料であるが、自家 用電気工作物の需要家では、毎月の保安管理費を有料として負担している。 自家用電気工作物の需要家であれば、商取引をしている上で業者を選択する能力には長けてお り、需要家が設備を運用していく中でサービスの提供が整っているところを選ぶのは当然である。 よって、自家用電気工作物の保工分離については、需要家が選択すべきものと考える。 仮に、電気保安と電気工事を同一の業者が行うことができても、より安全に、より速く、より 確実に、より安く、より丁寧に、保安管理と工事を行う業者でなければ需要家に選択されない。 万一、民間企業が自己利益のための詐欺的な工事を一度でも行えば、すべての需要家の信用を 損ねる行為になるだけでなく、自らの首を絞める行為に等しいと考える。保工一致も選択できる ことで需要家の利益が確保され、本当の競争原理が働き、他の業界と同様に電気保安の分野も公 明正大で適正な市場に育ち、公共の福祉が増進されると考える。 また、離島や山間部・過疎地などの保安管理は保工分離がなくなれば、近隣の地域に保工一致 の業者が存在し得る可能性も充分にあり、電気保安も電気工事も行うことで、需要家が2業者に 費用を支払う必要もなく、費用の軽減にもつながる。 「保工分離の原則」とは、電気保安制度の未 成熟期に作られた制度であることは周知の通りである。 よって、需要家が保安業者と工事業者を自由に選択できるように制度を見直し、電気工事業者 も保安業務に参入させるべきだと考える。逆に、電気保安業者も電気工事業務に参入させるべき だと考える。 4.雇用について 現行の電気管理技術者の不選任申請による承認制度の中では、国家資格である電気主任技術者 免状を所持していたとしても、実務経歴証明書の提出を求められる。しかし、前職の企業の都合 により不選任の承認を得られない若中年層の有資格者が多いと聞いており、資格制度を充分に活 用しているとは考え難い。 よって、既述した一定の保安要件を満たした企業に限っては、有資格者を雇用して実技講習や 学科講習を行うことにより、保安協会の技術社員と同等業務の遂行が認められれば、若中年層の 有資格者の雇用促進にもつながると考える。 5.民間参入後の利点の推測 ①自由競争の市場原理に基づき、公明正大な商取引が行われる。 ②電気保安に対する需要家の認識・知識が向上することにより、電気事故の発生が減少する。 ③名義貸しや、代行者による保安管理がなくなり、現在の保安協会と同様かそれ以上の保安体制 を確立・提供できる。 ④競争によって経費削減や料金体系の新設・変更などが行われ、適正な保安管理費による電気保 安が実現する。 【資料2】 ⑤新たなビジネスチャンスと捉える企業が増え、ベンチャー企業や、電気工事やビル管理など業 界に間接的に関連してきた企業が新規事業として参入し、景気や雇用の活性化にもつながる。 ⑥電気保安にとどまらず、電気設備の省エネルギー化や高効率化によるCO2排出量の低減、自家 発電、コンサルティングなど、関連する他分野も含めた新たなるビジネスを生み出す。これに よる税収増加、雇用の創出などが期待できる。 ⑦競争によって、電気設備の保安レベルおよび需要家へのサービスが向上し、設備の高度化、環 境にやさしい機器の開発・発展が図られる。 ⑧保安協会が負担している離島や山間部、過疎地での保安管理業務に関わる費用が、民間参入に より軽減される。同時に、それらの地域の需要家が支払っている保安管理費用も軽減される。 ⑨現状、電気保安管理業務の委託先が限られていることが、発電・売電などが促進されない理由 のひとつとなっている。民間参入させることにより、保安管理の委託先を複数の業者から選定 できるため、電力自由化を一層加速させることができる。 ⑩小電力発電を行っている需要家は、発電機の保安管理を、メーカーと、保安協会や電気管理技 術者の2社に委託する必要があった。民間が参入することで、1業者だけで管理することがで きるため、需要家の経費削減につながるとともに、電力自由化を一層加速させることができる。 ⑪電気主任技術者免状を所持せずに、保安管理業務を行う者がいなくなる。 以上