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第1章 荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の背景・目的
第1章 荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の背景・目的 *のついた用語については、資料編に解説を記載しています。 1 第1章 荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の背景・目的 1.荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の背景 (1)計画改定の背景 地球温暖化*対策として、二酸化炭素(CO2)*の排出量が大幅に削減された「低炭素社 会*」を実現するため、区民・事業者・区(行政)など、あらゆる主体が、連携・協力し、 具体的な行動に取り組むことが必要です。 荒川区では、2010(平成 22)年 10 月に「荒川区低炭素地域づくり計画」を策定し、 「低炭素社会」を目指す取り組みを進めるとともに、区民や事業者の節電意識の高まりな どにより 2012(平成 24)年度には、2000(平成 12)年度比で、20.9%のエネルギ ー消費量*を削減することができました。 一方、東日本大震災の発生に伴う電力の CO2 排出係数*(電気の供給 1kWh あたりの CO2 排出量を示す数値)の増加に伴い、二酸化炭素(CO2)の削減目標だけでは、区民や 事業者の取り組み成果が見えにくい状況となっています。 そのため、計画の中間年度である本年、区内での実現性を重視した目標設定を掲げると ともに、今までの取り組み状況や社会情勢の変化などを踏まえ、 「荒川区低炭素地域づくり 計画」を改定します。 ●電力の CO2 排出係数について 電力の CO2 排出係数は、発電電力量の比率(水力、火力、太陽光等)や発電時に使用した 燃料(石油、石炭、天然ガス等)に応じて変化します。 【 CO2 排出量 = エネルギー消費量(電力使用量) × CO2 排出係数 】 (2)「低炭素社会」を目指す必要性 地球温暖化の問題は、多発する異常気象、食糧生産の困難、飲料水の枯渇、海面上昇に よる居住地の喪失など、私たちの生活の基盤となる全てのものを脅かす、人類の直面する 最も深刻な環境問題であると言えます。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)*の第4次評価報告書(AR4)では、私たちが 消費する大量の化石燃料に起因する二酸化炭素(CO2)等の排出が地球温暖化の要因であ り、地球温暖化が進んでいることは疑う余地がないと指摘されています。 温暖化によって私たちは、かつて経験したことのないような気候の変化に直面していま す。極端な高温や強い台風などの異常気象が各地で発生し、私たち人間の生命や財産に甚 大な被害をもたらしたり、生物を絶滅の危険にさらしたりしているのです。 これらのことから、私たちは、資源を大量に消費する現在の社会を、地球の限界を踏ま えた、物質の循環の仕組みを組み込んだ持続可能な社会へと転換し、化石燃料をはじめと した資源を効率よく活用する、CO2 の排出量が少ない「低炭素社会」を目指す必要があり ます。 2 第1章 荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の背景・目的 (3)気候変動に対する「緩和」と「適応」 IPCC 第5次評価報告書(AR5)では、2081年から2100年の世界の平均地上気温は、 1986年から2005年の平均気温よりも最小で0.3℃、最大で4.8℃上昇すると予測してい ます。 CO2 排出削減などの温暖化対策を今以上に施さなかった場合の(最も温暖化が進む) 「RCP8.5」シナリオでは 2.6~4.8℃、可能な限りの温暖化対策を施した場合の(最も 温暖化を抑えた) 「RCP2.6」シナリオでも、0.3~1.7℃の気温上昇が予測されており、 もはや温暖化による気候変動の影響は避けられない状況です。 このように、従来の温室効果ガス*の排出を抑制する「緩和」の取り組みを実施するだ けでは、気候変動による影響は避けられないことから、その影響に対して自然や人間社会 のあり方を調整していく「適応」の取り組みも講じていく必要があります。地球の現状と 将来のため、 「緩和」と「適応」が融合した社会の実現を果たさなければなりません。 近年顕著になりつつある温暖化のリスクは、国や地域によって様々で、あらゆる場所で 有効な「適応」の方法というものはありません。その地域におけるリスクを把握し、地域 特性に適した社会インフラの整備などの適応策*を講じていく必要があります。 ●2つの温暖化対策: 「緩和」と「適応」 資料: 「適応への挑戦 2012」 (環境省) (4)東日本大震災後のエネルギーを巡る社会情勢の変化 「荒川区低炭素地域づくり計画(現行計画) 」の策定後に発生した東日本大震災により、 我が国のエネルギー政策は、大幅な見直しをすることになりました。 2014(平成 26)年4月、 「第四次エネルギー基本計画*」が閣議決定され、スマート メーターの活用等による省エネルギーの徹底、固定価格買取制度*の運用等による再生可 能エネルギー導入の最大限の加速等、6つの主要重点政策が定められました。 これを受けて、2015(平成 27)年7月、政府は「長期エネルギー需給見通し」を決 定し、2030(平成 42)年度の電源構成*(エネルギーミックス)を、徹底した省エネル ギーの推進を前提に、再生可能エネルギーは 22~24%、原子力は 20~22%等と想定し ました。 2015(平成 27)年 12 月には、フランス・パリで開催された COP*21 において、 2020(平成 32)年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択されました。こ のパリ協定においては、世界共通の長期目標として「世界の平均気温上昇を産業革命前か ら 2℃より十分低く保ち、1.5℃以下に抑える努力を追求する」ことを掲げ、今世紀後半 3 には、人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく方向を打ち出しまし た。そのため、全ての参加国は、5年ごとに排出量削減目標を提出・更新すること、その ための国内対策をとっていくことが義務づけされました。 我が国においては、 「温室効果ガスを 2030(平成 42)年度に 2013(平成 25)年度 比で 26.0%削減【2005(平成 17)年度比で 25.4%削減】 」とする削減目標の達成に向 けて、より一層の省エネルギーの拡大・推進及び、再生可能エネルギーの導入促進に取り 組んでいく必要があります。 2.荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の目的 地球温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)の排出量が大幅に削減された環境負荷*の 小さな「低炭素社会」を実現するためには、区民・事業者・区(行政)など、まちを構成 するあらゆる主体が、連携・協力し、自らのこととして、真剣に取り組むことが必要です。 本計画は、 「地球温暖化対策の推進に関する法律*」第 20 条に基づく「地球温暖化対策 地方公共団体実行計画(区域施策編)」として、荒川区に住み、あるいは関係を持つあらゆ る主体が協働し、地球温暖化対策に取り組む仕組みを構築し、環境と経済が両立した持続 可能な「低炭素社会」を実現するための取り組みの指針を明示するものです。 本計画は、2009(平成 21)年度に設立された区民・事業者・区(行政)が参加する 「荒川区低炭素地域づくり協議会*」における検討に基づき、「荒川区環境基本計画」、国 や都の地球温暖化対策実行計画等との関連性に配慮するとともに、区が策定するその他の 環境に関連する計画や各種事業計画など、各施策の内容について整合を図り、策定するも のです。 ●本計画の位置付け 3.荒川区低炭素地域づくり計画(改定版)の期間 本計画は、2016(平成 28)年度から 2020(平成 32)年度までの5年間を計画期 間とします。 4