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本文ファイル - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ

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本文ファイル - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
中国企業の海外進出 : 2005∼2007年(笠原俊彦教授定年退職記念号)
Author(s)
井手, 啓二
Citation
經營と經濟. 2007, 87(3), p. 169-184
Issue Date
2007-12
URL
http://hdl.handle.net/10069/21385
Right
This document is downloaded at: 2017-03-29T09:26:48Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
経営 と経済 第 8
7
巻 第 3号
1
6
9
2
0
0
7
年1
2
月
中国企業の海外進出-2
0
0
5
-2
0
0
7
年
井
手
啓
Abs
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はじめに
1
9
79
年1
1
月に改革 ・
開放政策開始後の最初の海外進 出企業 が東京 に誕生 し
1
7
0
経 営 と経 済
た。その後中国の海外進 出企業の数 と規模 は次第 に拡大 し,2
0
世紀末の 1
9
9
8
年前後 か ら,中国企業の海外進 出は本格化の段階を迎 えている。国内外の二
go
i
nggl
o
ba
l
)
つの市場 ,二つの資源 を経済発展 に役立て る とい う 「
走 出去」(
はすでに中国の重要 な国家戦略の一つ となっている。
小論は,拙論① 「中国企業の国際化,多国籍企業化の現段階」 (
『アジア経
0
号 ,2
0
0
4
年 5月 ,5
7
-6
8
ページ),② 「中国経済 の国際化 と中
営研究』第 1
0
0
7
年3
国企業の海外進 出」 (
『中国における国際化への課題』中央経済社 ,2
月, 3-1
9
ページ,7
1
-7
9
ページ)の続論である。
前 2稿 では中国企業 の海外進 出の歴史的展 開 お よび現段階 の特徴 を扱 っ
た。後者 についての主要な暫定的結論 は次の ようであった。
①
中国企業の技術的優位性は高 くない。 したが って先進 国型の海外進 出
とは,様相が異なる。国家 を背景 とす る資源獲得 ・開発型の投資,ア
ジア,アフ リカ,ラテンア メ リカ等のニ ッチ市場 ,ニ ッチ製品を核 と
す る海外進 出が特徴的であ る。
(
∋ 海外進 出 目的 ・動機 で も,後発性か ら くる市場 ・
資源獲得,先進的技
術 ・管理経験獲得型の進 出が特徴的である。
(
勤 中国企業 が競争優位性を もつのは,漢方薬 ,中華料理な どの伝統産業
及 び織維 ・
アパ レル産業,汎用 タイプの電機 ・電子産業 ,靴 ・鞄 な ど
の皮革産業な どの軽工業である。
④
私企業の海外進 出 も増加 しているが,なお主力は国有 ・準国有企業,
外資 と提携 した中国企業 (
外資系企業 とされ る)である。
本稿では, Ⅰにおいて中国経済の躍進の動 向を例示 し,中国企業の多国籍
化問題分析の重要性 を浮彫 りにす る。 Ⅱにおいて貴重な情報 と分析 を豊富 に
ふ くんでお り,研究の到達点を代表的 に示 している UNCTAD 『
世界投資報
告
2
0
0
6
』 における中国多国籍企業分析 を紹介する。 Ⅲにおいて 「
2
0
0
6
年度
2
0
0
7
年 9月)を用 いて,2
0
0
6
年 の到達状況をみる。
中国直接投資統計公報 」(
最後 に, Ⅳにおいて,近年拡大が 目覚 しい対 アフ リカ直接投資 にふれる。
中国企業の海外進 出 -2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
71
Ⅰ 中国企業の海外進出一 最近の動向
中国経済の躍進が続いている。2
0
0
7
年 に 2桁成長は 5年 目を迎える。2
0
0
5
年 にフランス,イギ リスを抜いて GDP規模 は世界第 4
位 とな り,2
0
0
7
年に
位 となることが確実視 されている。 GDP規模 は
は ドイツを上回 り世界第 3
2
0
0
6
年 には世界の GDPの5
.
5
%, 日本の 6割強 (
6
0.
6
%)に達 した。 日本
を上回 り,世界第 2位になることはほぼ,射程距離に入っている。中国の貿
0
0
4
年にはすでに 日本を上回 り,その後 も日
易規模 も急拡大を遂げてお り,2
2
0
0
6
年 は1
.
4
4
倍)
。貿易規模は,2
0
0
6
年には,世界
本 との差を拡げている (
.
2
%を占め ,2
01
0
年以前に世界最大 になると予測されている。2
0
0
5
貿易の7
年 から中国の外貨準備高は激増 し,2
0
0
6
年 には, 日本を抜 き世界経済史上最
高を記録 したが,その後 も増大を続けている。中国対外直接投資フローは,
2
0
0
5
年 ∼2
0
0
6
年 に1
2
2.
6
-2
1
1
.
6
億ド
ルに達 し, 日本の 2分の 1の規模 に迫 って
いる。中国は,近い将来アジアでは 日本 と並ぶ対外投資国 となろう。中国国
,
0
0
0
社をこえ,海外直接投資企業数は 1万社 を
内の海外進 出企業はすでに5
超 えている。以下,中国の対外直接投資,中国企業の海外進 出に関連する最
近の注 目すべ き動向のい くつかを列挙する。
1)2
0
0
6
年単年度の非金融対外直接投資フローは 1
7
6.
3
億ド
ル,金融関連対
5.
3
億ド
ル,対外直接投資は,合計 2
1
1.
6
億ド
ルであ る。
外直接投資は ,3
2
00
6
年末の非金融対外直接投資残高は7
5
0.
2
億ド
ル,金融関係のそれは
1
5
6.
1
億ド
ルであ り,合計9
0
6.
3
億ド
ルである (
2
0
0
6
年度公報)
0
0
0
4
従来,中国では種 々の対外直接投資統計 が発表 されて きたが,2
年 か ら国際基準 にしたがった新 しい統計が発表 されは じめ徐 々に統計
2
0
0
3
-2
0
0
6
年度の中国対外直
が整備 されて きてお り,現在 この統計 (
接投資統計公報)が最 も詳細で包括的である (
詳 し くは拙稿②参照)
0
ただ し, Ⅱでみる UNCTADの数字 とは多少異なる。 その理 由は不詳
9
9
億ド
ル(
2
0
0
2
年),3
3
2
である。例えば,先の公報では対外投資残高は2
1
7
2
経 営 と経 済
億ド
ル(
2003
年 ),4
48億 ド
ル(
2004年),57
2
億ド
ル(
2005
年 ),9
06.
3
億ド
ル
(
2
0
0
6
年)であ る。一方,UNCTAD数字 は,2
0
0
5
年 は4
6
3.
1
1
億ド
ルであ
る。
2)商務省の 「商務発展第 1
1
次 5ヵ年計画綱要 」(
0
6
年)の 6大発展 目標 の
6番 目に走 出去戦略の大躍進 が挙 げ られ, 5年間の対外 直接投資累 計
6
0
0
億ド
ル,対外請負工事 1
,
3
0
0
億ド
ル,労務輸 出2
5
0
億ド
ル(
新規 1
5
0
万人)の
目標 が掲げ られた (
0
6
年1
0
月1
1日)
0
(
社会科学院の江中洞 は, 5ヵ年累
計は8
0
0
億ド
ルに達 する と予測 している)
0
3)中国の貿易 と貿易黒字の急拡大,それに ともな う外貨準備高の急増 が
顕著 であ り,その対処 が必要 とな っている。 その対策の一 つ として,対
2
0.
9
億ド
ル
外直接投資 の拡大 が推進 され よう としている。貿易黒字 は ,3
(
2
0
0
4
年), 1
,
02
0
億ド
ル(
2
0
05
年), 1
,
7
7
5
億ド
ル(
2
0
0
6
年) とな り,外貨準
備高 は2
0
06
年 2月に 日本 を抜 き,年末 には前年比2,
47
3
億ド
ル増の 1
0,
6
6
3
億ド
ルと世界史上最高を記録 した。 この趨勢は2
0
0
7
年 も続 き, 9月末 には
1
4,
3
3
6
億ド
ルに達 した。 この ことは 『
世界投資報告 2
0
06
』で も指摘 してい
るように,プラザ合意以後の 日本 と同 じ く対外投資のブーム期 を迎 えて
いることを意味 している。人民元 レー トの上昇傾向を考慮 すれば,一層
そ うである。 中国企業 に とっては,先進 国企業 の M&A を通 じての先
進的設備 ・技術の獲得,
競争力強化 の時代 を迎 えた とい うこ とであろう。
2
0
07
年 9月 には2,
0
0
0
億ド
ルの資金で政府系外貨運用会社 を発足 させて も
いる。
4)中国対外直接投資残高の6
割強 (
6
3.
8
%,2
00
5
年) を占め る香港 を別
格 として,近年急増 をみてい るのは,貿易 と同様,ASEAN諸国 (
シン
ガポール,ベ トナム, タイ),アフ リカ諸 国 (
スーダン,アルジ ェリア,
ザン ビア)への直接投資 であ る。対 ASEAN非金融直接投資 は ,2
0
06
年単年度 3.
3
6
億ド
ル,累計 1
7.
6
3
億ド
ルであ る。2
0
0
6
年単年度 の対 アフ リカ
諸 国への非金融 直接投資 は5.2億 ド
ル,2
0
06
年 末残高 2
5.
6
億ド
ルであ る。
中国企業の海外進 出 -2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
73
対アフ リカ直接投資残高は,総額 に占める比重は低い とはいえ,中国
に隣接する対アセアン諸国投資をすでに上回っている。
Ⅱ 『世界投資報告 2
0
0
6
』の中国対外直接投資分析
『
世界投資報告
2
0
06』1
)は,途上国 ・
移行国の多国籍企業の分析 に焦点
を当てている。 したがって,本書は UNCTADによる最初のま とまった中
国対外直接投資の分析 といえる。そこでは,中国文献ではなかなか得がたい
以下の ような,①国際比較,(
参個別企業 レベルのデータが提供 されている。
1)2
0
05
年の中国の対外直接投資は 1
1
0
億ド
ルであ り,世界第 1
7
位の投資国
となった。途上国・
移行国では,投資残高では,シンガポール,ロシア,
番 目の規模である。2
005
年単年度フローでは第 1
位
ブラジル に次 ぐ第4
である。 しか し中国企業 に よる大規模 な対外 M&A は,国外 か らの融
資 によるものが多いため,対外直接投資規模は著 し く過小表示 とな っ
55億 ド
ル (1
990年 ),277.
68億 ド
ル
て い る。対外 直接投 資累計 は ,44.
(
2
0
0
0
年),4
6
3.
1
1
億ド
ル(
2
0
0
5
年)であ った。2
0
05
年の対外投資ス トッ
5ド
ルで きわめて低い。
クの GDP比は 2%,人口一人当 りは3
主要対外投資先は,香港 ,ケイマン諸 島,ヴ ァージン諸島,アメ リ
カの順であ り,対外投資の 4分の 3は,香港 に向かっている。
2)投資分野は,①貿易関連,②鉱業,③石油関連である。近年,製造業
2
0
0
5
年は6
0
%を占めている。
と鉱業 ・石油関連への投資が増大 してお り,
3)1
9
8
7
-2
0
05
年の途上国 ・
移行国企業 による国境をこえる大規模 M&A
の上位 25
位の第 8位 に中国石油 (
CNPC)によるペ トロカザフスタン
41.
41
億ド
ル)
0
(
カナダ)買収が入 っている (
4)2
0
0
4
年の非金融多国籍企業の世界上位 1
0
0
社 (
国外資産規模順位)の
4位 に CI
TI
C (中国中信集団公司) グループ 1社 が入 ってお り,
第9
1)UNCTAD `
ẁo
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s
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me
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r
t2
0
0
6
"
・
1
7
4
経 営 と経 済
CI
TI
Cの国外資産 は1
4
4.
5
億ド
ル,国外販売高 1
7.
5
億ド
ル,国外雇用 1
5,
91
5
人,多国籍度2
0.
4
%である。
5)2
0
0
4
年の途上 国 ・移行国の非金融多国籍企業q)
上位 1
0
0
社 には,l
o柾
CI
TI
C)
, 中 国遠 洋 運 輸 集 団
が 入 って い る。 中 国 中信 集 団 公 司 (
(
COS
C
O)
,中国建築工程総公司,中国石油天然ガス集団公司
(
中国石
油),中国石油化工 (
中石化),TCL集団有限公司,中国海洋石油総公司,
中国五鉱集団公司,中国糧油食品集団公 司 (
中程),京東方科技集団公
39.
5
億ド
ル),
司である。その中では,国外販売高 では中国石油化工 (1
4
7,
2
31
人),国外拠 点数 では中国遠洋運輸 (
4
0
),
国外雇用では TCL (
多国籍度では中程 (
8
6.
6
%)がそれぞれ第 1位である。
6)以上のほか,本書ではコラムにおいて,走 出去戦略および海爾,華為
を とりあげ,独 自取材 にもとづいてかな り詳 し く記述 している。『
世界
投資報告2
0
0
6
』は,中国対外直接投資についてバランスよ く描 き出 して
いるが, とくに貴重なのは 4), 5) にみ られ る個別企業 に関する情報
を提供 している点にある。
7)なお,最近 (
2
0
0
7
年1
0
月)出版 された 『
世界投資報告 2
0
07
』は,鉱山 ・
採掘産業におけ る FDIに焦点をあてている。2
0
0
5-2
0
0
6
年度の最新統
0
0
6
年度版 と若干の数字 ・順位異動 があ るが,上記 に
計を挙げている。2
かかわる部分では大差はない。『
世界投資報告 2
0
0
7
』 によれば ,2
0
0
6
年
61
億ド
ル,世界第 1
8
位 としている。
の中国の対外直接投資額は,1
Ⅲ『
2
0
0
6
年度 中国対外直接投資統計公報』 (
2
0
0
7
年 9月)にみる
中国企業の海外進出
2
0
0
3
年度以降国際基準にしたがって,商務省,国家統計局,外国為替管理
局 (
2
0
0
7
年 か ら)の三者共 同で発表 されは じめた上記 『公報 』 2)は,逐年的
2) 中華人民共和 国 ・商務部 ・国家統 計局 ・外 貨管理 局 『
200
6
年度 中国対 外直接投 資統 計
公報』20
07
年 9月。
1
7
5
中国企業の海外進 出 -2
0
0
5
-2
0
0
7
年
に内容が充実 し,提供情報量が増 えている。2
0
0
6
年度公報 は,本文 3
4
ページ
で,金融関係直接投資,海外販売高,海外就業者数な どに初めてふれ る等,
新 しい情報 を提供 している。注 目すべ き点は,以下の とお りである。
1)2
0
0
6
年単年度の対外直接投資 フローは ,2
1
1
.
6
億ド
ル(
非金融 1
7
6.
3
億ド
ル,
5.
3
億ド
ル)であ り,その内訳は新規股木 (
資本 ・株式)投資 5
1
.
7
億
金融3
2
4.
4
%)
,利潤再投資 6
6.
5
億ド
ル(
31.
4
%)
,その他投資 1
9
7.
1
億ド
ル
ド
ル(
(
4
4.
2
%)であ る。2
0
0
6
年末の対外直接投資累計純額 (
以下,残高 とす
0
6.
3
億ド
ルであ り,その内訳 は,股木投資 3
7
2.
4
億ド
ル(
4
1
.
1
%)
,
る)は,9
3
6.
8
億ド
ル(
3
7.
2
%)
,その他投資 1
9
7.
1
億ド
ル(
2
1
.
7
%)であ
利潤再投資 3
る3)0
2)2
0
0
6
年単年度の金融関連対外直接投資は,3
5.
3
億ド
ルであ り,その うち
5.
0
8
億ド
ル(
71
%)を占め る。2
0
0
6
年末の金融関連対外投資残
銀行業 が2
高は,1
5
6.
1
億ド
ルであ り,銀行業が 1
2
3.
3
6
億ド
ル(
7
9
%)
,保険業 7
.
7
6
億ド
ル
(
5
%)であ る。2
0
0
6
年末 に中国国有商業銀行は ,2
9ヵ国 ・地域 に4
7
分
1
付属機構 ,1
2
代表事務所 を もち,外 国人雇用者 は2
万人 を超 えて
行 ,3
い る。保険業は海外 に1
2
機 関を擁 している。
3)2
0
0
6
年単年度 の非金融対外直接投資 は,1
7
6.
3
億ド
ル(
対前年比 ,4
3.
8
%増),海外企業販売 高は 2
,
7
4
6
億ド
ル,海外納税額 は2
8.
2
億ド
ル,海外企
業就業者数 は 6
3
万人 , うち外 国人雇用数 は2
6.
8
万人,海外進 出企業 を
通 じる輸 出入額 は9
2
5
億ド
ルである。
4)2
0
0
6
年単年度の対外直接投資 に占め る M&Aの比重 は3
9
%,非金融
投資 7
0
億 ドル ,金融 関連投資 1
2.
5
億ド
ルの計 8
2.
5
億ド
ルであ る。非金融投
資額 の 5割 は,国内投資主体 か らの融 資であ る。前年 に較べ ,利潤 か
らの再投資 の比率が大幅 に高 まった。 なお,中国企業 に よる これまで
の M&Aは,金額的 には採掘業が圧倒的 (
約7
0
%)であ り,ついで I
T
3)「股本投資」以下の各項 目の定義は次を参照。高
経済科学出版社 ,2
0
0
5
年2
月 ,1
3
3
-1
3
5
頁。
敏雪編 『
対外直接投資統計基礎読本』
1
7
6
経 営 と経 済
産業 関連 ,先進 的技術取得 を 目的 とす る製造業企業 に集 中 してい る。
5)2
0
0
6
年単年度 の対外 直接 投資 フ ロー 2
1
1
.
6
億ド
ルの業種別 構成 は,採 鉱
5.
4
億ド
ル(
4
0.
4
%)
,商務 サー ビス業 4
5.
2
億ド
ル(
21
.
4
%)
,金融 業 3
5.
3
業8
億ド
ル(
1
6.
7
%)
,交通 ・運輸 ・倉庫 業 1
3.
8
億ド
ル(
6.
5
%)
,卸 ・小売業 1
1
.
1
億ド
ル(
5.
2
%)
,製 造業 9
.
1
億ド
ル(
4.
3
%)
,不動 産業 3
.
8
億ド
ル (1
.
8
%),
.
9
億ド
ル(
0.
9
%)の順 であ る。
農林 ・水産業 1
2
0
0
6
年 末対外 直接投資残 高 9
0
6.
3
億ド
ルでみれば,商 務 サー ビス業 1
9
4.
億ド
ル(
2
1.
5
%)
,採鉱業 1
7
9
億ド
ル(
1
9.
8
%)
,金融業 1
5
6.
1
億ド
ル(
1
7.
2
%,
6
うち銀行業 が 7
9
%を占め る),卸 ・小売 業 1
2
9.
6
億ド
ル
5.
7
億ド
ル
運輸 ・倉庫 業 7
(
1
4.
3
%)
,交通 ・
(
8.
4
%)
,製造 業 7
5.
3
億ド
ル(
8.
3
%)
,不動産 業
2
0.
2
億ド
ル(
2.
2
%)
,建 築 業 1
5.
7
億ド
ル(
1.
7
%),情報 通信 ・計算機 サ ー
4.
5
億ド
ル ((
1
.
6
%)
,住民サー ビス業 1
1.
7
億ド
ル(
1
.
3
%)
,技術 サー
ビス業 1
1
.
2
億ド
ル(
1
.
2
%)
,水利 ・環境 ・公共 施設管理業 9
.
2
ビス ・地 質探査 業 1
億ド
ル(
1
% ),農林 ・水産業 8
.
2
億ド
ル(
0.
9
%)
,その他 5
.
3
億ド
ル(
0.
6
%)
であ る。
6)2
0
0
6
年 の非金融対外 直接投 資 フ ロー 1
7
6.
3
億ド
ルの地域別構成 は, ラテ
4.
7
億ド
ル(
4
8
%, うち 8
3.
6
8
億ド
ルは,ケ イマ ン諸 島 ・ヴ ァー
ンア メ リカ 8
6.
6
億ド
ル(
4
3.
4
%, うち 6
9.
3
億ド
ルは香港 へ
ジン諸 島へ の投 資 ),アジア 7
.
9
億ド
ル(
3.
4
%, うち 4.
5
2
億ド
ルは ロシアへ の投 資 ), ア
の投 資),欧 州5
フ リカ5
.
2
億ド
ル(
2.
9
%)
,北 米 2
.
6
億ド
ル(
1.
5
%)
,大 洋州 1.
3
億ド
ル (1.
3
% ) で あ る。 した が って, ラテン ア メ リカ とア ジア で 9割 強 を 占め て
い る。
2
0
0
6
年末非金融直接投資残 高 7
5
0.
2
億ド
ルの地域別構 成 は,アジア4
7
9.
7
億ド
ル
(
6
3.
9
%)
, ラテンア メ リカ 1
9
6.
9
億ド
ル(
2
6.
3
%)
,ア フ リカ2
5.
6
億
3.
4
%)
,欧 州2
2.
7
億ド
ル(
3
%)
,北米 1
5.
9
億ド
ル(
2.
1
%)
,太平 洋州 9
.
4
ド
ル(
億ド
ル(
1.
3
%)で あ る。 した が って,単 年 度 フ ロー と同 じ く9
割 強 をア
ジア, ラテン ア メ リカが 占め てい る。 と りわけ,香 港 , ケ イマン諸 島 ,
中国企業の海外進出- 2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
7
7
ヴ ァージン諸 島で81
.
5% を占めていることが中国対外直接投資の大 き
地域 に続 くのは,米国の 1
2.
3
8
億ド
ル,韓 国の9.
49
な特徴である。 この3
億ド
ル,ロシアの9.
30
億ド
ル,オース トラ リアの7.
9
4
億ド
ルであ り,以下マ
カオ,スーダン, ドイツ,シンガポール,モンゴル,カザフスタン,
サウジアラビア,ザンビア,ヴ ェ トナム,アルジ ェリア,タイ,イン
2.
2
4
億ド
ル
)である。 日本は第2
0
位 に位置する。
ドネシア, 日本 (
2
0
0
6
年度公報」の主要内容である。 これについて若干のコメン ト
以上が 「
を述べておこう。
0
0
6
年度公報は,2
0
0
3
-2
0
0
5
年度公報 に較べ,
第 1は,既にふれたように,2
叙述 も詳細にな り,かつ従来公表 してこなかった情報を開示 している。公報
としては,①金融関連対外直接投資を初めて明 らかにした。②海外進出企業
販売高,海外進出企業納税額,海外進出企業就業者を明 らかにした。以上 2
点が主要な点である。① により,中国銀行業の多国籍化がかな り大規模に進
んでいることが明 らかになった。②により,海外進出企業就業者に占める中
国人の比率の高さが明らか となった。 これが何を意味 しているかについては
解釈の余地があるが,海外進出の初発段階における雇用の現地化の遅れ,お
よび請負工事の多さと関係 していよう。
0
0
5
,2
0
0
6
年 から急増を開始 してお り,
第 2は,対外直接投資フローは,2
0
0
4
年か ら急増 している。それは何故か,2
0
0
4
年あるい
対外直接投資残高は2
0
0
5
年か らの急増をどう解釈すればよいか ?それは一時的 もしくは一過性
は2
8
5
億ド
ル)の動 きに
の ものか ?とい う問が生 じよう。ユノカル買収 (
撤退 ,1
もみ られるように,数十億 ド
ル規模の M&A も現れているので,年度 によ り
変動は生 じるが,一過性 とはみ られず,当面の増勢は続 くであろう。
9
9
2
年以降,中国企業 による M&A が次第 に大規模化 して きた
第 3は,1
00
5
年 ,2
0
06
年の両年の M&A は,2
0
0
2
-2
0
0
4
年の 1
0.
5
-1
6.
5
億ド
ル台
が,2
2.
8
億ド
ル,8
2.
5
億ド
ルに拡大 した。中国企業による M&A は,
か ら一気に,5
採掘業,先端産業 ・技術,銀行業 に集中 しているが, この ような M&A の
1
7
8
経 営 と経 済
動 向が注 目され る4)0
第 4は,中国企業の海外進 出に ともない,関係邦語文献 も増 えてきたが,
なお不明の点が少な くない。対香港投資はかな り明 らかにされているが,対
ケイマン ・ヴ ァージン諸島投資,
商務サービス投資等の内容は定 かではない。
国別 ・産業別 ・企業別の詳細な調査 ・分析の課題はなお多 く残 されている。
Ⅳ 中国企業のアフ リカ諸国への進出
2
0
00
年前後 か ら中国 とアフ リカ諸 国 との経済関係の緊密化 の進展 が著 し
い。中国はすでに,アメリカ,フランスに次 ぐアフ リカ諸国の第 3位の貿易
相手国である。 まず これ らの点を確認 してお こう5)0
1)中国 とアフ リカ諸国 との貿易は,2
0
0
0
年 に対前年比 6
3.
3
%増大 し,初
0
0
億ド
ルの大台 (
1
0
8
億ド
ル)に乗 り,歴史上最高を記録 した。その後
めて 1
も,0
2
年1
2
3.
9
億ド
ル,0
3
年1
8
5
億 ドル,0
4
年2
9
4.
6
億ド
ル,0
5
年3
9
7.
4
億ド
ル,
0
6
年5
5
5
億ド
ル,0
7
年 1-9
月5
2
6.
0
億ド
ル, と急増を続けている。なお,2
0
0
6
年1
1
月に北京でアフ リカ5
3ヵ国の うち48ヵ国の3,
0
0
0人が会 して開かれ
た中国 ・アフ リカ協力フ ォーラムでは,2
01
0
年 までに両者間の貿易 を
1,
0
0
0
億ド
ルとする 目標が合意 されている。
2)中国からアフ リカへの主要輸出品は,機械 ・電機 ,紡織 ・アパ レルで
あ り,中国へは圧倒的に原油 (
最大の供給先,約7
0
%),鉱石,原材料
である。
3)現在の主要貿易相手国は,南ア,アンゴラ,スーダン,ナ イジ ェリア,
コンゴ,アルジ ェリア,エジプ トである。
4)以上の中国 とアフ リカ諸国 との貿易関係拡大の背景は,①アフ リカに
4)詳細 は,次を参照。慶運夙編 『中国企業海外併購案例分析』企業管理 出版社 ,2
0
0
7
年
4月。
5)李 桂 芳編 『中国企業対外直接投資分析報告』 中国経済 出版社 ,2
0
07
年 6月 ,1
7
91
8
7
頁。
中国企業の海外進 出 一2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
7
9
おけ る地域大 国であ る南 アフ リカ共和 国 との 1
9
98
年の 国交 回復 に象徴 され
る,アフ リカ諸国 との政治 ・外交関係の改善 であ る。②経済の高成長 に とも
ない中国がますます必要 としている原油,鉱物資源の確保であ る。③先進 国
との貿易摩擦 回避のためのアフ リカ諸 国の途上国待遇の活用,新市場獲得の
必要である。④ 中国の経済力の強化 と中国企業の対アフ リカ進 出であ る。
中国のアフ リカ諸 国進 出は,なお開拓段階 にあ ると考 え られ るが,中国 と
アフ リカ諸 国 との経済関係拡大 について見逃せないのは,中国が比較優位 ,
0
05
年単年度のアフ リカ
国際競争力を もつ対外工事請負,労務輸 出である。2
におけ る請負工事 ・労務輸 出額 は,6
2.
4
億ド
ルであ り,2
0
0
5
年末 までのそq)
累
計完成額は2
8
9.
5
億ド
ルとな っている。2
0
0
5
年 の上記 にかかわ る中国人労働者
2
万人であ る (
2
0
0
7
年 には 1
0
万人を超 えた)
。アフ リカにおける請負工事 ・
は8.
労務輸 出は,その後 も拡大の趨勢 にあ る。 スーダン,アルジ ェリア,エジプ
トな どでは,橋梁,道路,発電 ・変電所,港湾,ホテル建設 な ど大規模な イ
1.
9
億ド
ル),
ンフラ建設 を請負 っている。アルジ ェリアでの外務省 ビル建設 (
6
2.
5
億ド
ル,2
0
0
6
年),スーダンでの発電所建設 (
1.
49
億
国際高速道路建設 (
0
01
年),ダム建設 (6億ユーロ,2
0
0
3
年)はその代表的な ものであ る。
ド
ル,2
9
9
0
年代初めか ら開始 されている。中国の
中国の対アフ リカ直接投資は ,1
0
0
3
年 ∼2
0
0
6
年 の各年末でそ
対 アフ リカ直接投資残高は,先 の公報 によれば2
91
億ド
ル,9.
0
0
億ド
ル,1
5.
9
5
億ド
ル,2
5.
5
7
億ド
ルである。単年度フロー
れぞれ ,4.
は,上記期間にそれぞれ ,0.
7
5
億ド
ル,3.
1
7
億ド
ル,3.
9
2
億ド
ル,5.
2
0
億ド
ルであ る。
2
0
0
6
年末の直接投資残高は,スーダン (
4.
9
7
億ド
ル),ザンビア (
2.
6
8
億ド
ル),
2.
47
億ド
ル),ナ イジ ェリア (
2.
1
6
億ド
ル),南ア (
1.
6
8
億ド
ル),
アル ジ ェリア (
エジプ ト (
1.
0
0
億ド
ル)の順 に多 い。2
0
06
年 単年度 フローではアル ジ ェリア
(
0.
9
9
億ド
ル),ザン ビア (
0.
8
7
億ド
ル),ナ イジ ェリア (
0.
6
8
億ド
ル),スーダン
(
0.
51
億ド
ル),南ア (
0.
41
億ド
ル)の順である。
商務省発表 の別 の数字 も挙げてお こう。『中国商務年鑑 2
0
06
』に よれば,
2
0
0
5
年 にアフ リカ諸 国で新設 された非金融 中国企業は,9
8
企業 (
2
0
0
2
年3
6
企
1
8
0
経 営 と経 済
莱 ,2
0
03
年5
3
企業),中方協議投資額 3.
5
億ド
ル,中方投資実行額 2.
8
億ド
ルであ
る。2
0
05
年末 までに商務省が設立 を批准 ・準備中の非金融中国企業は,81
3
企業,中方協議投資額 1
7.
1
億ド
ル,中方直接投資累計額 1
1.
8
億ド
ル,アフ リカ4
9
ヵ国に及ぶ とされている。
上記公報の2
0
06
年末 ,2
5.
5
7
億ド
ルという直接投資残高は,それほ ど大 きい
ものではない。む しろ,増大のテンポの急激 さ,および上記数字の捕捉率 に
注 目 ・留意 してお く必要がある。例 えば,2
0
0
6
年 1月に中国海洋石油はナ イ
ジ ェリア南大西洋石油会社 か ら2
2.
6
8
億ド
ルの現金払 で海上石油採掘権益の一
部 を取得 した。 この 1件のみで対アフ リカ直接投資残高に比肩する。 しか も
アフ リカは,中国の最大の石油輸入先であ り,ウラン,クロム,鋼,鉄鉱砂
な ど中国が必要 とす る鉱物資源 にも富んでお り,原油 ・天然ガス,鉱物資源
の大規模 開発 プロジ ェク トへの参加があいついで計画 されているか らであ
る。 この開発輸入の動 向は注 目すべ き点である。
中国はアフ リカ5
3カ国中の4
8ヵ国 と国交を有 し,その全ての国に直接投資
をおこなっている。ニジェール (
1
9
9
6
年国交回復)では,0
6
年現在21
企業が
進 出し最大投資国である。アフ リカ中南部 における商品集散地で もある南ア
フ リカ共和国には,現在首都 ヨハネスブルグを中心 に1
0-1
5
万人の中国人商
人が暮 らしていると言われているが,アフ リカ各国への中国商品,中国人商
人の進出は相当に大規模である。 これ らの商人や商店の投資は小規模投資で
あ り,その大半は統計 に捕捉 されていないが,その集積は無視 し得ない。
統計,情報収集の制約か らアフ リカにおける中国企業の直接投資の具体例
は十分な形で示す ことがで きない。得 られた文献,情報 に精粗があ り,全体
像は描 き出せないが,以下に代表的 と思われ る 5ヵ国の事例を挙げ,その一
端 をうかがっておこう。
*スーダン (
1
9
5
9
年国交樹立)
①
ハルツーム石油精製会社 - 1
9
9
8
年 5月建設 開始 ,2
0
0
0
年 5月操業開
00
万 t予定。 中国に とり,
始。中石油 とスーダン政府 の合弁,年産 5
中国企 業の海 外進 出 -2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
81
石油精製会社 の合弁第 1号。
上海 ・スー ダン製薬有限会社 - 1
9
9
9
年 9月建設 開始 ,2
0
0
0
年操業 開
②
始。上海市医薬有限会社 とスー ダン政府衛生部直属企業 との合弁。総
投資額 1
8
0
万ド
ル,中国側 5
5
%出資。
*ザンビア (
1
9
6
4
年 国交樹立)
2
0
0
4
年末現在 ,1
4
0
企業,総投資額 2
.
7
5
億ド
ル以上,中国側人員 2
,
0
0
0
人が
従事 している。
江蘇農墾新洋農場 - 1
9
9
0
年 に1
8
0
万ド
ルで 1万 ムー (
6
6
7
ha
)の中国 ・
①
ザンビア友誼農場 を購入 ,1
9
9
4
年 には さ らに6
0
万ド
ルで2
1
万ムー (
3,
0
0
0
)のザン ビア中墾農場購 入。小麦 ,大豆 , トウモ ロコシ,養豚 ,
ha.
肉牛 ,乳牛 を生産 ・飼育 し,両農場 の 1
9
9
8
年 の生産額 は 1
6
2.
2
万ド
ル,
利潤額 は4
2.
9
万ド
ルであ った。 なお,中国農墾集 団は,アフ リカ 9ヵ国
6
7
万h
aの農地
で 11プ ロジ ェク トの農業生産 ・加工事業 を実施 し, 1.
を経営 してい る6)0
(
参 紡織会社-ザンビア最大 の紡織工場 ,1
9
9
7
年 ,合弁。
③
無機鋼缶工場 一 合弁。
④
アフ リカ最初 の中国経済貿易協 力区の設置 - 2
0
0
7
年 2月合意 。6
0
企
億 ドル ,6
,
0
0
0
人の雇用 を計画。
業 ,8
*アルジ ェリア (
1
9
5
8
年 国交樹立)
①
So
r
a
l
c
hi
n一 石油精製会社 ,中石油 との合弁。
②
石油 ・ガス販売会社 - So
r
a
l
c
hi
nとアル ジ ェリアの国有石油 ・ガス販
売会社 Na
f
t
a
l
tとの合弁。
1
9
9
8
年 国交樹立)
*南アフ リカ共和 国 (
2
0
0
5
年現在 で中国銀行,華為 ,中興通訊 ,海爾,三九集 団な ど1
0
0
余企
業 が進 出 してい る。南 アはアフ リカの GDPの 2割 を占め る経済大 国で
6)播
偉光著 『
経済全球化与中国農業企業跨国発展』中国農業 出版社 ,20
04年 6月,88
-91
頁C
1
8
2
経 営 と経 済
あるが,中国は,すでに南アに とりドイツに次 ぐ第 2の輸入先である。
①
上海広電 - テレビ組立工場 ,1
9
9
3
年。
(
参 上海服装公司 - 1
9
9
5
年 ,9
8
万ド
ル投資 ,5
0
0
人雇用。
海信集団南アテレビ工場 - 1
9
9
7
年 に韓国 ・大字の南ア工場を,3
7
4.
5
③
万ド
ルで買収テレビ市場のシ ェアは1
2.
5
%。なおテレビの中国製品シ ェ
アは2
5
%前後である。
④
クロム鉱業会社-2
0
0
2
年設立 ,2
0
0
6
年採鉱開始,酒泉鋼鉄集団 との合
弁 ,フ ェロ ・クロム生産 も開始。2
0
0
4
年総投資額 1
.
5
7
億ド
ル,中方 2
6
%。
6) S
a
ma
nc
o
rクロム鉱業会社-2
0
0
7
年設立,合弁,中鉱集団が 2億 ドル,
5
0
%出資,クロム採鉱 ・フェロ ・クロム精錬。
*ナイジ ェリア (
1
9
7
2
年国交樹立)
中石化,中海油,中興通訊,中国水産集団総公司,華為,湛江軽騎,金
城モーター,嘉陵モーターな どが進出。ナイジ ェリアは,人 口 1億人を
こえるアフ リカ第一の人 口大国である。
以上のほか,アフ リカ1
0ヵ国への中国企業の進出状況を文献 ・ネ ッ トで調
べて印象的だ ったのは,以下の点である。
・
(
∋ 中国企業のアフ リカ諸国進 出は,商業のみな らず極めてアクテ ィブで
あ る。進 出分野 も石油 ・天然ガス,鉱業,繊維 ・
アパ レル,自動車 ・
オー
トバ イ組立,製革,製薬,ホテル,建設,通信,農水産業,セメン ト
な ど多業種 に捗 っている。
②
中国企業 が,家電,繊維 ・
アパ レル分野で高い国際競争 力を有 してい
ることは,広 く知 られているが,アフ リカ諸国においては,農業 ・
農
産物加工 (
ギニア,ジンバブエ,タンザニア,スーダンで大規模農場 ・
農産物加工工場を経営 している)分野での進 出が 目覚 しい。
③
通信企業の中興通訊集団のアフ リカ進 出は顕著である。2
0
01
年 にニジ
ェール電信公司の5
1
%の株式 を2,
41
3
万ド
ルで取得,同年 1
1
月 コンゴ ・
1
%,8,
0
0
0
人民
中国通信会社 を設立 (
コンゴ政府 との合弁 ,中興 が5
中国企業の海外進 出 - 2
0
0
5
-2
0
0
7
年
1
8
3
元出資) している。
④
中国企業は,一部産業では,ローカル技術への適合 という意味での技
術優位を有 している。
おわ りに
対外直接投資は,いずれの国で も中小企業か ら始 まる。華僑 ・華人企業を
度外視すれば,中国では順序が逆である。企業の海外進 出は国家の許認可事
項で,厳 し く規制 されていたためである。現在,漸 く中小企業 ・私企業の海
外進 出が開始 された ところである。中国の代表的大企業集団 とな らんで,中
小企業の海外進出は,これか ら同時並行的に進行するであろう。また製品輸
出の拡大に企業の海外進 出が続 くことが一般法則 とすれば,2007
年 に ドイツ
を,201
0
年以前 にアメリカを上回ると予測 されている中国貿易の急増は,相
応の中国企業の海外進出に導 こう。
改革 ・開放政策後 の中国企業の海外進 出の歴史 もすでに四半世紀 を こえ
る。東京か ら開始 されたが,日本への生産企業の進出は,まだ限 られている。
秋山印刷機械 (
2002
年,上海電気集団 と英国企業の連携,各 450万 ド
ル,中国
企業 による M &A の成功例 とされている),東亜製薬 (
2003
年 ,三九集団)
池貝 (
2
004年,上海電気集団,株式の65% を取得 ,4.
1
6
億 円),MSK の M
&A が 目立 つ くらいであ る。 2006
年の中国太陽電池大手の尚徳 に よる MSK
買収は約 3億 ドル と過去最大である。 しか し中国企業 による先進的 ・革新的
技術 を もつ企業の M &A は著増 しているので対 日本のケース も増加す るで
あろう。おそ らく,香港 と東南アジアが中国企業の海外進出の跳躍台 となろ
うが,中国企業の海外進 出の今後の推移は注 目される。
小論では,中国内外の最新の 2つの報告 に依拠 して,中国企業の最近の対
外直接投資 ・海外進出の動向を措いてみた。またその具体的事例の一端 とし
て,対 アフ リカ投資 ・進 出を概観 してみた。中国企業の多国籍企業化は,す
1
8
4
経 営 と経 済
でに3
0
年 に近い歴史をもつが,その本格化は前世紀末から開始されたばか り
である。 またそれに関するマクロ ・ミクロ分析 も同様で,今後に残された課
題は多い。
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