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歓迎の辞 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
歓迎の辞 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 在学生を代表いたしまして、皆さんの入学を歓迎いたします。 さて、新入生の皆さんはこれから4年間、この中央大学で大学生活を送られることになり ます。皆さんの中には、大学生活に大きな期待を抱いていらっしゃる方、また新しい環境 に戸惑いや不安を感じている方もいらっしゃると思います。私はこれまで、さまざまな経 験をしてきました。この経験が、少しでも皆さんが有意義な大学生活を送るためのヒント になればと思い、僭越ながら紹介させて頂きます。 話は中学2年生の時までさかのぼります。父親の仕事の関係で、突然ニューヨークで3年 間過ごすことになり、私は現地校に通うことになりました。私は、もともと英語に対して 苦手意識が強く、三人称単数さえも理解していませんでした。このため、毎日朝から晩ま で英語を使う生活に混乱しました。泣きたくなって、日本に帰りたいと思ったこともあり ます。しかし、趣味だった音楽やダンスを通して、少しずつコミュニケーションがとれる ようになり、帰国するころには、人並みに英語が話せるようになっていました。この経験 から、私は英語に対して「やればできる」という思いを抱くことができるようになりまし た。 高校2年生の秋に帰国した私は、都立国際高校という、ハーフや帰国生などが半数を占め るグローバルな高校に編入しました。しかし、編入してすぐにぶつかった壁は、大学受験 でした。ここにいる皆さんも、さまざまな種類の受験をされたと思います。しかし、私に は「センター試験」という選択肢は残されていませんでした。なぜなら、ニューヨークで 学習してきたことが、日本のセンター試験にまるで活かせなかったからです。このため、 私は指定校推薦受験で、この中央大学の総合政策学部に何とか拾っていただけました。 しかし、大学に入ってしまえば、大学生としてのスタートラインは皆さん同じです。何を したらよいのかという自分探しに、明け暮れました。そんな中、私は総合政策学部の Challenger’s Program を受けることにしました。このプログラムの授業は、すべて英語で 行われます。 「これでならニューヨークでやって来たことが活かせる」 「英語能力をより高 めることができる」 。私はそう思い、英語に対して挑戦し続けることを決めました。 また、FLPという学部の垣根を越えたゼミ活動において、ジャーナリズムプログラムの ゼミに入ることにしました。海外生活をしている時に日本の情報を得るためにメディアに 多く触れていました。 その経験から、 知らないことを掘り起こすということに魅力を感じ、 ドキュメンタリー制作を通してジャーナリズムを学びたいと思ったのです。 ここで、転機が訪れます。私はゼミで、太平洋戦争末期に日本軍が秘密兵器として製造し ていた風船爆弾について調査していました。実際に風船爆弾を作っていた当時の日本の女 学生に取材したあと、ワシントンD.C.にいる専門家にインタビューすることになりまし た。日本にはその分野の専門家がいなかったこと、さらに、米国側の視点から太平洋戦争 について伺える貴重な機会だと思い、私は勇んでワシントンD.C.へと飛び立ちました。 しかし、 実際に専門家の方にインタビューする段階になって、 私は責任感のあまり緊張し、 震えながら英語を話し始めてしまいました。途中で、 「私には、取材をして新しい事実を掘 り起こさなければならない使命がある」ことを思い出しました。 「ここで私がやらなければ 誰がやるんだ!」 。そう自分を奮い立たせました。すると、始めはおどおどと小さな声でし ていた質問も、そのうちにしっかりとした声で自信を持ってできるようになっていました。 結果、国内で調査した際には出てこなかった新たな情報を聞き出すことができ、大きな収 穫となりました。 このワシントンD.C.での取材は、私にとって大きな自信となりました。将来は、世界中 で、様々な社会問題を取材しリポートできる国際ジャーナリストになれればと思っていま す。 中央大学には、いろいろな学びの場が準備されています。その中でどのような選択をする のか。それは一人一人の自由であり、みなさんに任されています。どうか、中央大学に準 備されている様々な資源を活用し、自分で自分を大きく成長させてください。 2016年 4月 2日 在学生代表 総合政策学部 国際政策文化学科3年 和田ユリ花