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2007 生涯学習概論の内容と構成
2007 生涯学習概論の内容と構成 第1日目(9月29日) 講義①の内容 • オリエンテーション(集中講義の内容と方法) • ヒアリング調査・レポート・試験について • 生涯学習の領域:VTR視聴 • 生涯学習の沿革:ラングラン・ユネスコ・OECD・ わが国の動向 • 生涯学習の視点:ライフサイクル論 1 生涯学習概論の内容と構成 講義②の内容: • 生涯学習施設の範囲 • 生涯学習の法制度 • 博物館の範囲 • 博物館の歴史 • 博物館のひと&かね 講義③の内容: • 博物館事例研究(世界と日本) &FPの記入と提出 2 生涯学習概論の内容と構成 講義④の内容 • 徳島城博物館事例研究 &博物館に関する諸課題 WS①の内容 • グルーピングとヒアリング調査の設計(発表・ 全体討議)と調査票の印刷・配布 • 宿題:レポート 3 生涯学習概論の内容と構成 第2日目(9月30日) 見学研修とヒアリング調査(徳島城博物館) WS②の内容 ヒアリング調査のまとめ(各班)・発表と 全体討議 試験 または レポート 4 生涯学習の沿革 1965(昭和40)年ユネスコの第3 回成人教育国際推進委員会 ラングランLengrand, P. によるワーキング・ペーパー。 ①教育は一生を通じて行われなくてはならない。 ②生涯教育は,人格の統一的全体的かつ継続的な発達を強調す るので,教育諸部門の調和と統一という体系化のものと考えら れる。 ③生涯教育を進めるのに,労働日の調整と文化休暇という余暇と 労働との共存が求められる。 ④小・中・高・大学とも地域社会学校community school の役 割を果たすべきである。 ⑤一般教育と職業教育との統合を目指す。 ⑥生涯教育は「所有の領域to have」のものでなく,「存在の領域 to be」のものである。 5 生涯学習の沿革:学習社会論 ハッチンスHutchins, R. M. は, 「学習社会というのはすべての成人男女に,いつ でも定時制の成人教育を提供するだけでなく, 学習達成,人間的になることを目的とし,あらゆ る制度がその目的の実現を志向するように価 値の転換に成功した社会であろう」とあり,生涯 教育は,学習支援であり,そして,「教育は“人 生の真の価値”,……を助けることにかかわる ものである。」 6 生涯学習の沿革:フォール報告書 ユネスコのフォール報告書では, 「すべての人は,生涯教育を通じ学習を続けること が可能でなければならない。生涯教育という考 え方は,学習社会の中心的思想である」(フォー ル,E. ほか)・・・ 人々が,主体的に学習を続けられる学習社会の 達成のために,生涯教育がある。 7 生涯学習の沿革: 生涯教育と生涯学習 ユネスコの第19 回総会の「成人教育に関する勧 告」では、 「生涯教育及び生涯学習とは,現行の教育制度 を再編成すること及び教育制度の範囲外の教 育におけるすべての可能性を発展させることの 双方を目的とする綜合的な体系をいう」。 8 生涯学習の沿革:リカレント教育 OECD はリカレント教育について, 「構造化された学習場面としての教育と,偶発的 な学習の行なわれるその他の社会活動との間 の交錯と相互作用」,「偶発的で非公式的な生 涯学習に,より組織化された意図的な教育の機 会を交錯させる」とし,教育・・・は,組織的,構 造的,意図的なもの・・・。 9 生涯学習の沿革:限界なき学習 ボトキンBotkin, J. W. ほかのローマ・クラブ第6 レ ポートの『限界なき学習』では, 変動する社会において「生きるために必要な新しい技能, 新しい態度,新しい価値感を保持し,実践することを 含む」と同時に,新しい状況に対処する準備過程であ ると述べている。その学習を革新型学習と名づけ,急 速に変わる現況の認識を広げることと,人々との意思 疎通を図ることであるとしている。つまり,その革新型 学習の特質として,先見(前例のない状態に立ち向か う能力)型の学習と参加(社会参加)型の学習を挙げ ている。 10 生涯学習の沿革: 自己管理型学習 Jelpi, E『生涯教育―抑圧と解放の弁証法―』 みずからの学習をみずからが管理・決定してい く自己管理学習self-directed learning の提起,失業者や抑圧されていたり,排除され ている人などへの教育の提起。 11 生涯学習の沿革:学習権宣言 こうした生涯学習の国際的動向は,1985 年, ユネスコの第4 回国際成人教育会議で 「学ぶ権利の宣言」として採択されている。その宣 言によると,「学ぶ権利とは,読み書く権利であ り,探求し分析する権利であり,創造し創造する 権利であり,……」と述べている。 12 生涯学習の沿革:ハンブルグ宣言 1997 年7 月,ユネスコの第5 回の国際成人教育会議 がドイツ,ハンブルグで開催され,「成人学習に関する ハンブルグ宣言」が出されている。その内容をみると, 「人権を最大限に尊重することを基礎とする人間中心 の発展と参加型の社会」が,公正で持続的な発展をも たらすという認識のもとに,成人教育に代えて成人学 習という言葉が多く使われ,その成人学習は生涯学習 の枠組みのダイナミックな可能性と将来性を追究する ことを宣言している。そしてこの宣言文を発展させるた めに「未来のアジェンダ」が,広範囲にわたる生涯学習 に関して次のような10 個のテーマで考察され,まとめ られている。 13 続:未来のアジェンダ ①成人学習と市民参加,②成人学習の条件と質 の改善,③アジアにおける「識字と基礎教育へ の普遍的権利の保障」,④ 成人学習,ジェン ダーの平等と均等,女性のエンパワーメント,⑤ 成人学習と変化する労働の世界,⑥成人学習 と環境,健康,人口問題,⑦成人学習,文化,メ ディアと新しい情報テクノロジー,⑧成人の学習 とマイノリティ,⑨成人学習の経済学,⑩ 国際 協力と連帯。 14 わが国の動向:46答申 1971(昭和46)年の社会教育審議会答申「急激な社会 構造に対処する社会教育のあり方について」は,生涯 教育のとらえ方について次のように述べている。 「生涯教育の必要は,現代のごとく変動の激しい社会で は,いかに高度な学校教育を受けた人であっても, 次々に新しく出現する知識や技術を生涯学習しなくて はならないという事実から,直接には意識されたのであ るが,生涯教育という考え方はこのように生涯にわたる 学習継続を要求するだけでなく,家庭教育,学校教育, 社会教育の三者を有機的に統合することを要求してい る。」 15 わが国の動向:81中教審答申 中央教育審議会答申「生涯教育について」 (1981年)で,次のように述べている。 「生涯学習のために,自ら学習する意欲と能力を 養い,社会の様々な教育機能を相互の関連性 を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとする のが生涯教育の考え方である。言い換えれば, 生涯教育とは,国民の一人ひとりが充実した人 生を送ることを目指して生涯にわたって行う学 習を助けるために,教育制度全体がその上に 打ち立てられるべき基本的な理念である。」 16 わが国の動向:臨教審答申 臨時教育審議会答申(教育改革に関する第1‐ 4 次答 申,1985‐ 87 年)。 この答申での基本的考え方は,個性重視の原則,基礎・ 基本の重視,創造力・考える力・表現力の育成,選択 の機会の拡大,教育環境の人間化,生涯学習体系へ の移行,国際化への対応,情報化への対応を挙げ,そ の主要な生涯学習推進の整備として,生涯にわたる学 習機会の整備や,生涯学習のための家庭・学校・社会 の連携,評価の多元化,生涯学習の基盤整備,生涯 学習を進めるまちづくり,教育・研究・文化・スポーツ施 設のインテリジェント化等の必要を指摘している。 17 わが国の動向:90中教審答申 1990 年中教審「生涯学習の基盤整備について」 生涯学習は,人々が自発的意志に基づいて行うこと を基本とするので,生涯学習の基盤を整備することが 当面する重要な課題であるとの理解に立って,人々の 生涯学習を支援するための施策を中心に述べている。 その生涯学習を推進する内容を挙げると,学習情報 や学習相談の整備,学習成果の評価,生涯学習施設 相互の連携,関係行政機関等との連絡調整体制の整 備を挙げている。 18 わが国の動向:生涯学習振興法 これらの答申の内容をもとに,1990(平成2)年6 月 「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備 に関する法律」が制定された。 この法律は,生涯学習体系への移行という流れの中 で,生涯学習の振興に資するための都道府県の事業, 都道府県の事業の推進体制整備に関する規準,生涯 学習審議会,市町村の連携協力体制についての整備 等を規定していて,生涯学習に関する初めての法であ る。 19 わが国の動向:92生学審答申 1992(平成4)年7 月の,生涯学習審議会「今 後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方 策について」の答申では,一人ひとりの生涯学 習への熱意を高め,生涯学習社会を築いていく ために,取り組むべき重点課題として,①リカレ ント教育の推進,②ボランティア活動の支援・推 進,③青尐年の学校外活動の充実,④現代的 課題に関する学習機会の充実,を示している。 20 わが国の動向:98生学審答申 1998(平成10)年9 月,生涯学習審議会は答 申「社会の変化に対応した今後の社会教育行 政の在り方について」を出し, 地域住民の多様化・高度化する学習ニーズに 対応した学習支援・促進,学校教育を含めた首 長部局・民間の活動との連携(ネットワーク型行 政の推進等),地域や家庭の教育力の向上・充 実に資する施策の推進,地方分権・規制緩和 の推進(法令等の規制の廃止・緩和等)等を挙 げている。 21 わが国の動向:99生学審答申 1999(平成11)年6 月,生涯学習審議会答申 「学習の成果を幅広く生かす―生涯学習の成果 を生かすための方策について―」が出され, 学習成果を個人のキャリア開発に生かすこと, ボランティア活動に生かすこと,地域社会の発 展に生かすことが提言されている。 22 わが国の動向:社会教育法一部改正 2001(平成13)年、社会教育法の一部が改 正され、教育委員会事務として、家庭教育へ の支援や青尐年の体験活動等について明記 された。 → 学社融合を促進 23 わが国の動向:学校週5日制 平成10年における学習指導要領の改訂により、 平成14年度より小・中学校、 平成15年度より高等学校において 完全週5日制が実施された。 土・日曜日の子どもの過ごし方や 地域社会や家庭における対応が 課題となった。 24 わが国の動向:中教審経過報告 平成16年中教審生涯学習分科会は「今後の 生涯学習の振興方策について」(経過報告) を発表し、今後取り組むべき重点分野として、 次の五つを指摘した。 ①職業能力の向上 ②家庭教育への支援 ③地域の教育力の向上 ④健康対策等高齢者への対応 ⑤地域課題の解決 25 わが国の動向:教育基本法改正 2006(平成18)年12月、教育基本法が全面 改正され、従来の理念法から行政施策法へ と転換された。 第3条(生涯学習の理念) 第10条(家庭教育) 第12条(社会教育) 第13条(学校、家庭及び地域住民等の相互の 連携協力) 26 改正教育基本法第3条 生涯学習の理念 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊か な人生を送ることができるよう、その生涯に わたって、あらゆる機会に、あらゆる場所に おいて学習することができ、その成果を適切 に生かすことのできる社会の実現が図られな ければならない。 27 わが国の動向:中教審中間報告 2007(平成19)年1月、中教審生涯学習分科 会は、中間報告「新しい時代を切り拓く生涯 学習の振興方策について」をまとめた。 ①今後の生涯学習振興方策の基本的考え方 ②国民の生涯学習を促進する具体的方策 ③家庭・地域の教育力の向上に関する具体的方策 ④地域社会全体で学習活動を支援する具体的方策 ⑤国・地方公共団体・生涯学習関連施設・民間団体等 の今後の役割等 28 生涯学習社会の定義 生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して 学ぶことができ、その成果が社会において適 切に評価されるような社会(平成4年 生学 審答申) 29 重要課題・・・ こうした生涯学習推進の動向を踏まえると、 @総合的行政の推進 @学社融合 @地域ネットワークの構築 @公私(官民)の役割分担と総合的取り組み @現代的課題への対応 などが喫緊の重要課題として挙げられよう。 30 生涯学習の視点:ライフサイクル論 1902-1994 31 生涯学習の視点:ライフサイクル論 論語の“ライフサイクル論” 「われ十有五にして学を志す 三十にして立つ 四十にして惑わず 五十にして天命を知る BC551-479 六十にして耳従う 七十にして心の欲するところに従いて矩を越 えず」 32 生涯学習の視点:ライフサイクル論 資料:ハヴィガースト(R.J.Havighurst)の 発達課題(1900-1991) @ 発達課題の3つの源泉 第1は身体成熟:歩行の学習・青年期における異性への関 心. 第2は社会の文化的圧力:読みの学習・市民としての社会 への参加の学習. 第3は個人的な動機や価値意識;職業の選択や準備・人生 観の形成. 33