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3-3-4 バベルの塔 「バベルの塔」

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3-3-4 バベルの塔 「バベルの塔」
クレーン(起重機)の歴史(3)
…重いものを動かすことの変遷…
3-3-4
バベ ル の塔
「 バ ベ ル の 塔 」 は 、 旧 約 聖 書 に で て く る 教 え の な か で 、「 壮 大 な も の
を建 設 し よう と す る 人間 の 傲 慢さ 」 を 戒 める た め の教 え に 出 てく る とい
われ る 架 空の 建 造 物 であ る 。
このバベルの塔を画題として描かれた絵は筆者が見かけたものだけ
でも 十 数 種類 以 上 に 達す る 。 当然 そ れ ぞ れ塔 の 形 は異 な っ て いる が 、や
はり 、 な んら か の 建 設の 情 景 をと り い れ て描 い て いる も の が 多い 。 それ
らの 中 で、ブ リュ ー ゲル( 16 世 紀 のオ ラ ンダ の 画 家)作の バ ベル の 塔( 図
3- 34) は 、 ク レ ー ン の 歴 史 を 覗 く と い う 点 か ら み る と 最 も 適 当 な 題 材
であ る 。
オーストリアのウィーン美術館にあるブリューゲル作の「バベルの
塔」 に は 、中 世 の ク レー ン が 詳細 に 描 か れて い る 。ブ リ ュ ー ゲル は 、そ
の当 時 の チェ ー ン 式 浚渫 機 も 描い て 残 し てい る ら しく 、 こ の 種の 機 械に
は相 当 興 味が あ っ た 画家 の よ うで 、 ご 覧 のと お り 、十 分 に ポ イン ト を把
握し た 描 き方 の も の があ る 。
塔そ の も のは 架 空 の 建造 物 で あり 、 ブ リ ュー ゲ ル のイ メ ー ジ のみ で描
かれ た も ので あ る が 、絵 の 中の 到 る とこ ろに 建 設 の状 況 が 描 かれ て い て、
クレ ー ン はは っ き り 判別 で き るも の だ け でも 4 基 描か れ て い る。 こ れら
はき っ と ブリ ュ ー ゲ ルが 活 躍 して い た 1500 年 代に 一 般 に使 用さ れ て い
たも の を その ま ま ス ケッ チ し て、 塔 の 絵 と調 和 さ せて 配 置 し たも の であ
ろう 。
図 3―35 は 、図 3-34 の中 の クレ ー ン が 描か れ て いる 部 分 を 拡大 した
もの で あ る。
直立 し た タワ ー の 頂 上に 水 平 のジ ブ を 設 けた タ イ プの ク レ ー ンが 2 基、
踏み 車 を 有す る タ イ プの ク レ ーン が 2 基 描か れ て いる 。
前 者 は 、こ ん に ち の「 水 平 ジブ ク レ ー ン」 に 似 た形 状 で あ る。 旋 回機
能は 持 ち 合わ せ て い ない よ う なの で 、 つ り上 げ た 荷の 「 荷 取 り」 は 、手
でフ ッ ク の部 分 を 手 繰り 寄 せ て地 上 に 下 ろす し か 仕方 が な い よう に みえ
る。 上 部 に描 か れ て いる 1 台 は、 水 平 の ジブ の 後 端と 先 端 に 各1 個 の定
滑車 を 有 する 1 本 掛 けで あ る。ウ イ ンチ は手 廻 し のも の で、3~4 人 の 作
業者 が か かわ っ て い るよ う に 見え る 。 下 部の 1 台 は、 絵 で は 詳細 に 描か
れ て い な いの で は っ きり し な いが 、 ど う 見て も 「 2本 掛 け 」 にな っ てい
る よ う に みえ る 。
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クレーン(起重機)の歴史(3)
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図 3―34
ブリ ュ ー ゲル 作
バベ ル の 塔 * 19
従っ て 、 下の フ ッ ク の部 分 は 動滑 車 を 有 する 「 フ ック ブ ロ ッ ク」 に なっ
てい る 筈 であ る 。 そ して 、 玉 掛け 作 業 と して は 、 2 人の 作 業 者が お り、
ちゃ ん と した 玉 掛 け 用ロ ー プ によ り 2 点 吊り を し よう と し て いる 様 子が
判る 。 こ のク レ ー ン のウ イ ン チも 上 部 の もの と 同 様で あ る が 、駆 動 用の
バー は 2 箇 所 で、 現 在は 1 人で 操 作し て いる よ う であ る 。
「踏 み 車 」式 の ク レ ーン の う ち上 部 に 描 かれ て い るも の は 、 一対 の 踏み
車を 有 す る相 当 大 型 のも の で 、人と の 比 較で み る と踏 み 車 の 直径 は 4~5
m位 に は なる 。
フ ッ ク の掛 け 数 は 2 本 掛け で 、ド ラ ムの 直 径 はは っ き り 分か ら な いが
踏み 車 の 1/ 4 と し 、片 方 の 踏み 車 に 2 人づ つ 入 って 作 業 を 行う も のと
する と 、 クレ ー ン 能 力は 1 t 近く に な る 。
こ の ク レー ン の 「 荷取 り 」 も問 題 で あ り、 こ の 絵で は わ か らな い が、
おそ ら く 別の ロ ー プ を荷 又 は つり 具 に か けて 引 き 込む 方 法 で あろ う 。
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図 3―35
前図 の 部 分拡 大 図
筆 者 の 感想 で は 、 この よ う な大 掛 り な 踏み 車 式 のク レ ー ン は、 こ の絵
のよ う な 高い と こ ろ で、 こ み いっ た 建 設 現場 で は 使用 し に く いの で はな
いか と 思 う。 ま ず 、 この 場 所 に据 え 付 け るこ と が 大変 な 仕 事 であ る 。踏
み 車 1 つを と って も これ を 丸 ごと 担 ぎ 上 げる こ と は無 理 で あ り 、相当 細
かく 分 解 でき る 構 造 でな け れ ばな ら な い 筈で あ る 。そ の 上 、 建設 現 場で
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使用 す る クレ ー ン は 、作 業 の 進捗 に 従 っ て頻 繁 に 別の 場 所 へ 移動 さ せる
必要 が 起 こる こ と は 明白 で あ り、 そ の 際 にま た 相 当な 手 間 が かか る こと
にな る 。以 上 のこ と から 、こ の タ イプ の クレ ー ン は 、図 3- 30 と同 じ よ
うに 、 港 湾や マ ー ケ ット な ど の物 資 が 常 に流 動 す る場 所 で 用 いら れ るこ
とが 多 か った と 考 え られ る 。
「 踏 み 車」 式 の ク レー ン の うち 下 部 に 描か れ て いる も の は 、「 踏 み車」
の外 径 部 に巻 上 げ ロ ープ を 巻 きつ け て い るが 、 構 造と し て は 非常 に 珍し
く、 尐 な くと も 今 回 調査 し た 範囲 で は 他 に例 を み ない 。 ブ リ ュー ゲ ルが
全く の 想 像だ け で 描 いた と は 思い た く な いが 、この 構 造で は 、
「減 速」さ
れな い た め力 の 利 益 がな い こ と、 ま た 、 減速 さ れ ない た め 、 つり 荷 の上
下方 向 の スピ ー ド が 速く 、 荷 のコ ン ト ロ ール が む つか し く て 危険 で ある
こと な ど 、ク レ ー ン の理 に か なっ て い な い点 が 多 く、 実 際 に 存在 し たと
は と て も 考え ら れ な い。
と い う こと で 、 全 体的 に は 、ブ リ ュ ー ゲル の 「 バベ ル の 塔 」は 、 クレ
ーン の 描 写と し て 若 干の 問 題 点は あ る も のの 、 こ の時 代 の ク レー ン の状
況を か な り詳 し く 今 に伝 え て いる と い う 点で 、 わ れわ れ ク レ ーン に 興味
を持 つ 者 にと っ て は 貴重 な 作 品で あ る と 思う 。
ク レ ー ンの 描 写 と いう 視 点 でみ る と 、 ブリ ュ ー ゲル の 「 バ ベル の 塔」
が最 も 大 掛り で あ る が 、これ 以 外 にも 多 くの 画 家 が描 い た「 バベ ル の 塔」
があ る の で、 そ れ ら のい く つ かを 紹 介 す る。
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図2 - 36
バベ ル の 塔( 15 世 紀頃 ― 作 者不 明 ) * 19
図 3- 36 は、同 じ画 題( バ ベル の 塔)で、べド フ ォ ード 公 の 時 祷書( Duke
of Bedford’s Book of Hours) にあ る も ので 、 1433 年の 作 とい う こ とで
ある 。 2 台の ク レ ー ンが 描 か れて お り 、 下側 の ク レー ン は 踏 み車 式 のも
ので 、 建 物の 大 き さ との 比 較 でみ る と ク レー ン が 相当 誇 張 し て描 か れて
いる よ う に見 え 、 こ とに よ る とこ の 絵 の 作者 は 、 クレ ー ン を 主題 と して
描い て い る可 能 性 が ある と 思 う。 こ の ク レー ン の よう に ウ イ ンチ を 地上
に置 き 、 滑車 を 建 築 途上 の 建 物の 一 部 に 置い た 形 式の も の は 当時 の 建設
用ク レ ー ンの 代 表 的 な形 式 で あっ た も の であ る 。
図 3-37 は 、16 世紀 の 画 家ヘ ラ ル ド・ホ ー レン バ ウ トが 1515 年頃 に
描 い た 「 バ ベ ル の 塔 」 で 、 参 考 文 献 * 34 に は 、 ブ リ ュ ー ゲ ル の バ ベ ル の
塔と の 比 較で 記 述 さ れて い る 。こ の バ ベ ルの 塔 は 、い か に 架 空の 建 造物
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とは い え 構造 自 体 が 奇抜 で 、 外周 の 通 路 が螺 旋 状 にの ぼ っ て い る よ うに
描か れ て いる 。 わ れ われ の テ ーマ は ク レ ーン で あ るか ら 、 こ の点 に つい
ては 無 視 する こ と と する 。
図 3- 37
ホ ー レ ンバ ウ ト の バベ ル の 塔 * 34
ク レ ー ンは 建 物 の 屋上 と 右 側の 地 上 に 「踏 み 車 」式 の ク レ ーン が 各1
台、 建 物 の左 側 の 地 上に ジ ブ クレ ー ン が 1台 描 か れて い る 。
筆 者 は 、踏 み 車 式 クレ ー ン は、 特 に 、 人が そ の 内部 で 動 か すタ イ プの
もの は 大 型に な る の で、 常 に 作業 場 所 が 変動 す る ため の 移 設 を伴 う 建設
作業 に は 不向 き で 、 主と し て 、岸 壁 や マ ーケ ッ ト など に お け る荷 役 作業
に用 い ら れる こ と が 多か っ た と考 え て い る。
こ の 絵 にあ る 踏 み 車式 ク レ ーン で 、 地 上に 描 か れて い る も のは 、 細 か
い部 分 ま で描 写 さ れ てい な い ので 判 然 と しな い が 、感 じ と し ては 図 3-
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35 の上 部 に描 か れ てい る も のと ほ ぼ 同 じ構 造 の クレ ー ン で 、他の 場 所か
ら荷 馬 車 等に よ っ て 運び 込 ま れた 建 設 資 材を ま と めて 下 ろ す よう な 用途
に用 い ら れた 比 較 的 大能 力 の クレ ー ン で ある こ と が容 易 に 想 定さ れ る。
一方 、建物 の 屋 上に あ る も の は、踏 み車 とジ ブ を 別の 構 造 物 とし て 作 り、
それ ぞ れ の相 対 的 な 位置 を 自 由に 選 ん で 設置 で き るよ う に し たも の のよ
うで あ る 。
この ウ イ ンチ と ジ ブ を別 々 に 作る 方 法 は 、普 通 の 手廻 し 式 ウ イン チ によ
る中 世 の クレ ー ン で はご く 一 般的 な も の で、 前 節 の移 動 式 ク レー ン にも
採用 さ れ てい る 機 構 であ る 。
建 物 の 左側 に あ る ジブ ク レ ーン は 地 上 であ る が ちょ っ と し た崖 の 上に
あり 、 低 い場 所 の 荷 を上 げ る 作業 に 従 事 して い る 様子 を 描 い てい る 。ウ
イン チ の 構造 ま で 描 いて い な いの で 不 明 であ る が 、恐 ら く 手 廻し 式 のも
ので あ ろ う 。ロ ー プ に手 を 触 れて い る 男 が 1 人 描か れ てい る が 、こ の 人
が玉 掛 け 者兼 合 図 者 であ ろ う 。
こ の 絵 も中 世 の ク レー ン の 実情 を 如 実 に伝 え た もの で あ り 、踏 み 車式
のク レ ー ンが 頻 繁 に 活用 さ れ てい た こ と を示 す 貴 重な 記 録 で ある と いう
こと が で きる 。
3-3-5
現 存す る 中世 の ク レー ン
太古 の 時 代か ら 人 類 の文 明 は 大河 の 流 域 に発 達 し 、そ れ に 関 連す る物
資の 輸 送 は船 に よ っ て行 わ れ てい た わ け であ る が 、荷 の 船 へ の積 み 下ろ
しは 主 と して 人 力 で 行わ れ て いた 。中世 に入 る と 商業 が 一 層 盛ん に な り、
鉄道 が で きる ま で の 商品 を 運 搬す る 主 要 な手 段 と して は 依 然 とし て 船が
利用 さ れ てい た が 、 船の 荷 の 積み 下 ろ し を行 う た めの ク レ ー ンが 用 いら
れる よ う にな っ た 。 中世 の 初 め頃 ま で は 、こ の 作 業は 主 と し て「 水 上ク
レー ン 」 で、 つ り 上 げた 荷 を 船の 操 舵 に よっ て 横 方向 へ 移 動 して 岸 壁へ
下ろ す 方 式で 行 っ て いた よ う であ る が 、13 世紀 頃 から ク レ ー ンの 重 要な
機能 で あ る旋 回 装 置 が役 に 立 つ程 度 ま で に発 達 し たの で 、 大 きな 河 川の
岸壁 に 数 多く の 旋 回 式ク レ ー ンが 設 置 さ れた 。 こ のよ う に し て数 世 紀以
上前 に 設 置さ れ た ク レー ン で 、ド イ ツ に おい て 手 厚い 保 護 の もと に 現在
まで 保 存 され て い る もの が 相 当数 存 在 す るの で そ のい く つ か を紹 介 す る。
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(1)
Weinverlade kran (Weinverlade は 「 ワ イ ン を 運 ぶ 」 の 意 )
(Oestrich-Winkel 市 )
この ク レ ーン は 、 ド イツ の ラ イン 河 畔 に あり 、 マ イン ツ と コ ブレ ンツ
の間 で 、 有名 な 観 光 地「 ロ ー レラ イ 」 の すぐ 上 流 側に あ る 。 正確 に は、
ライ ン 河 東岸 の リ ュ ウデ ス ハ イム と い う 町( 駅 ) から 車 で 20 分位 上流
側へ 行 った Oestrich-Winkel と いう 町 に ある 。
図 3―38 は、現在 ラ イン 河 畔 に保 存 さ れ てい る 実 物の 写 真 で ある が 、図
3 - 40 の 看 板 の 説 明 に よ る と 、 こ の ク レ ー ン は 16 世 紀 ( 管 轄 の
Oestrich-Winkel 市 の資 料 室 から の 資 料 によ る と 1528 年 ) に図 2 - 41
のよ う な 「水 上 ク レ ーン 」 と して 誕 生 し 、そ の 後 17 世 紀に はス ウ ェ ー
図 3-38
Weinverlade kran------筆 者 撮 影
デン 軍 に よる 略 奪 な どの 経 過 があ っ た が 、1744 年 に 現在 の 場 所に 移 設さ
れた と さ れて い る 。爾来 、ワ イ ンの 樽 を 船に 積 み 込む た め の クレ ー ン(こ
の場 所 の 入り 口 に は Weinverlade kran と書 い た立 て 札 が ある ) と し て
使用 さ れ 始め た と の こと で 、1925 年 ま で 使用 さ れ てい た と の こと で あ る。
1995 年に は 250 年 祭が 行 わ れた 由 で あ る。当 然、1528 年 に水 上 ク レー
ンと し て 建造 さ れ た とき に は 旋回 の 機 能 はな か っ たわ け で あ るが 、1745
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年に 移 設 され た と き には 、 旋 回機 能 を 持 った も の とし て 生 ま れ変 わ った
こと に な る。
図 3-39
Weinverlade kran の ハ ウ ス にあ る 看 板 ------筆 者 撮影
図 2-40
Weinverlade kran の 内 部 構 造
----- Oestrich-Winkel 市提 供 の 資料 に よ る
図 3-40 は 、そ の 内部 の 構 造を 説 明 し た図 で 、巻 上 げ 機構 には 一 対 の
踏み 車 が 採用 さ れ、更に 踏 み 車の 下 に あ るバ ー で 行う 旋 回 機 構を 有 す る。
上 記 Oestrich-Winkel 市の 資 料 によ る と 、ワ イン の 樽は( 樽 の実 物 も
クレ ー ン の横 に 保 存 され て い る。)はお おむ ね 1200 ㍑ で 、重さ が 0.25
トン あ る との こ と な ので 、ク レ ー ン能 力 は尐 な く 見積 も っ て も 2 ト ン程
度は 必 要 にな る 。
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クレーン(起重機)の歴史(3)
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図 3-39 はハ ウ スの 看板 で 、ド イ ツの「 重要 建 造 物 」であ る こと と こ
のク レ ー ンの 歴 史 に つい て の 記述 が あ る 。
図 3-41 は 、上 記 のよ う に Weinverlade kran が 陸 上に 移 設さ れ る 前
に水 上 ク レー ン と し てで き た 時の 想 像 図 (あ る い は、 当 時 に 実際 に スケ
ッチ さ れ たも の か も しれ な い。)で あ る。いわ ゆ る クレ ー ン 船 であ り 、陸
に移 設 さ れる 前 に は 水上 か ら ワイ ン の 樽 の荷 役 を 行っ て い た ので あ ろ う。
図 3- 41
Weinverlade kran が陸 上に 移 設 され る 前 の 浮ク レ ー ン
--- Oestrich-Winkel 市提 供 の 資料 に よ る
し か し 、こ の 絵 を 見る と 、 水上 ク レ ー ンを 陸 上 へ「 移 設 し た」 と いっ
てい る が 、実 際 は ほ とん ど 新 製し た に 近 いも の で あっ た と 思 う。
B.KaufhausKran( Kaufhaus は 百貨 店の 意 )( Lüneburg 市)
こ の ク レー ン ( 図 3- 42) は、 ド イ ツの ハ ン ブル グ か ら ハノ ー バ ーの
方へ 国 鉄 で約 1 時 間 ほど の リ ュ- ネ ブ ル グ駅 か ら 徒歩 で 5 ~ 6分 の 、エ
ル ベ 河 の 支 流 で あ る イ ル メ ナ ウ 川 ( Ilmenau) の 岸 に あ る 。 ク レ ー ン の
ハウ ス の 外壁 に あ る 看板 ( 図 3-44)に は、 こ の 場所 に は 既 に 1346 年
にク レ ー ンが あ っ た と記 さ れ てい る 。 現 在の ク レ ーン は 1797 年 に再 建
され た も ので あ る と のこ と な ので 、1346 年当 時 の クレ ー ン の 構造 等 は全
く記 述 が なく 不 明 で ある が 、 尐な く と も 旋回 機 構 を有 す る 本 格的 な クレ
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クレーン(起重機)の歴史(3)
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ーン で あ った こ と だ けは 間 違 いな い 。
リ ュ - ネブ ル グ 市 より 提 供 され た 資 料 によ る と 、こ の 場 所 には 古 くか
らマ ー ケ ット が あ り 、そ の 商 品を 運 ぶ 船 の荷 役 を 行っ て い た との 理 由 か
ら KaufhausKran と呼 ば れ るよ う で あ る。
図 3-43 は、KaufhausKran の 内部 の 構 造を 示 し たも の で、踏み 車 は 1
個で あ る 。旋 回 を 容 易に す る ため に セ ン ター ポ ス トの 下 部 を 尖ら せ て相
図 3-42
KaufhausKran------筆者 撮影
当硬 い ( と思 わ れ る )受 け 台 に載 せ て い る。 ジ ブ はで き る だ けク レ ーン
能 力 を 稼 ぐ た め に 軽 く す る 工 夫 が な さ れ て い る よ う に 思 わ れ 、こ ん に ち
のラ チ ス ジブ を 思 わ せる 木 材 を組 み 合 わ せた 構 造 を採 用 し て いる 。
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図 3-43
KaufhausKran の 内部 の 構 造図
------リュ - ネ ブル グ 市よ り 提 供さ れ た 資 料 よ り
ドイ ツ に は 、AD1500~ 1700 頃 に 建造 さ れた と 考 えら れ る ク レー ン が
数多 く 残 され て お り 、図 3-45 に示 す も のは い ず れも 多 く の 書籍 等 で紹
介さ れ て いる も の で 、ラ イ ン 河の 支 流 に ある も の であ る 。 詳 しい こ とは
実際 に 調 査し て み な いと 判 ら ない が 、 数 世紀 前 に 造ら れ た も ので 、 前記
のも の と ほぼ 同 様 の もの で あ ろう 。
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クレーン(起重機)の歴史(3)
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KRAN
AM
ALTEN
HAFEN
1346 erwahnt, 1797 erneuert.
Er hob die erste Lokomotive aus England
Fur die Braunschweiger Eisenbahn an Land.
図 3-44
図 3- 45
KaufhausKran の 看 板 ------筆 者 撮影
ライ ン 河 支流 に 残 され て い る 中世 の ク レー ン
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クレーン(起重機)の歴史(3)
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以 上 述 べて き た よ うに 中 世 のク レ ー ン は、 旋 回 や起 伏 の 概 念が 導 入さ
れる な ど 若干 の 構 造 的な 進 歩 はあ っ た も のの 、 原 理的 に は ほ とん ど 変化
はな く 、 使用 面 で 、 定置 式 で 用い る も の (主 と し て荷 役 用 ) の大 型 化、
建設 用 等 に用 い る 持 ち運 び が 必要 な も の に対 す る 小型 化 、 そ の延 長 線上
に移 動 式 クレ ー ン の 誕生 な ど 、種 々 の 工 夫が な さ れた 時 期 と 言え る ので
はな い だ ろう か 。
(つ づ く )
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