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大浦天主堂と関連施設 14の資産が語る キリスト教の伝播と 浸透の

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大浦天主堂と関連施設 14の資産が語る キリスト教の伝播と 浸透の
長崎の教会群と
キリスト教関連遺産
16世紀におけるキリスト教の日本への伝播及び
日本国内での普及の時代
信徒が密かに信仰を継承した
1614年
「禁教令」
発布以降の潜伏の時代
長崎県西部海岸沿いと五島列島の島々に点在する
「長崎の教会群とキリス
産」
は、
西洋文化との遭遇の中で生じた、
日本におけるキリスト教の伝播と浸
ト教関連遺産」
。
250年にもわたる長い弾圧の歴史的背景の中、
日本的な生
透のプロセスを示す代表的な事例です。
これらをキリスト教の伝播を示す
「城
活環境、
自然環境及び民族的習慣に独自の形態で順応した宗教的・文化
跡」
、
禁教時代の独特の文化的伝統が形成された
「集落」
、
そして復活により
的伝統が形成され、
農漁業集落と一体になった景観が保存されています。
各地の集落に建てられた
「教会建築」
の3分野に分類される14の資産が今
16世紀の伝播と普及、
17 ∼19世紀前半の禁教時代の潜伏、
19世紀半ばの
に伝えています。
③④平戸の聖地と集落
14の資産が語る
キリスト教の伝播と
浸透のプロセス。
8 旧五輪教会堂[五島市]
9 出津教会堂と関連施設[長崎市]
⑪黒島天主堂
⑧旧五輪教会堂
⑥野崎島の野首・舟森集落跡
5 天草の﨑津集落[天草市]
7 大浦天主堂と関連施設[長崎市]
⑭頭ヶ島天主堂
⑫田平天主堂
19世紀半ばの禁教が解かれた後の復活の時代
⑤天草の﨑津集落
平戸の聖地と集落
[平戸市]
4 (中江ノ島)
6 野崎島の野首・舟森集落跡[小値賀町]
解禁に伴う復活という3つの段階からなる
「長崎の教会群とキリスト教関連遺
②原城跡
2 原城跡[南島原市]
平戸の聖地と集落
[平戸市]
3 (春日集落と安満岳)
Churches and Christian Sites in Nagasaki
①日野江城跡
1 日野江城跡[南島原市]
⑬江上天主堂
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」
を
物語る上でなくてはならないもの、
10 大野教会堂[長崎市]
それが構成資産である14の資産です。
11 黒島天主堂[佐世保市]
これらの資産は、
日本におけるキリスト教の
12 田平天主堂[平戸市]
3つの段階に分類されます。
伝播と浸透のプロセスから、
13 江上天主堂[五島市]
14 頭ヶ島天主堂[新上五島町]
⑩大野教会堂
⑨出津教会堂と関連施設(外海の石積集落景観)
⑨出津教会堂と関連施設(出津教会堂)
⑦大浦天主堂と関連施設
⑨出津教会堂と関連施設(旧出津救助院)
⑨出津教会堂と関連施設(集落)
⑦大浦天主堂と関連施設
(旧羅典神学校)
⑦大浦天主堂と関連施設(堂内)
⑦大浦天主堂と関連施設(堂内)
⑦大浦天主堂と関連施設(左:大浦天主堂/中:旧羅典神学校/右:旧長崎大司教館)
世界遺産とは…
世界遺産とは、
地球の生成と人類の歴史によって生み出され、
過去から引き継がれた貴重なたからもの
です。
これら人類共通の遺産を未来に守り伝えていくため、
ユネスコは1972年に
「世界遺産条約」
を
採択しています。
2014年6月現在、
191ヵ国が条約を批准しています。
世界遺産は、
この世界遺産条
約に基づく世界遺産リストに記載された遺産のことで、
「文化遺産」
と
「自然遺産」
、
その両方を兼ね備
えた
「複合遺産」
とに分けられています。
世界的にみて価値の高い建造物、
記念物や彫刻・絵画、
文化的景観など
重要文化的景観である
「外海の石積集落景観」
は、構成資産の
「出津教会堂と関連施設」
とともに、独特の景観をつくりだしています。
メンフィスとその墓地遺跡[エジプト]
長崎の3つの資産が語る復活
ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯
法隆寺地域の仏教建造物[日本・奈良県]
厳島神社[日本・広島県]
禁教下におけるキリスト教信仰の継続と解禁後の復帰を示す教会
すぐれた地形や地質、
生態系、
景観、
絶滅のおそれのある動植物の生息・生息地などを
含む地域
グランド・キャニオン国立公園[アメリカ]
屋久島[日本・鹿児島県]
文化遺産と自然遺産の両方の価値を
兼ね備えている遺産
マチュピチュの歴史保護区[ペルー]
日野江城跡、原城跡、平戸の聖地と集落、旧五輪教会堂、野崎島の野首・舟森集落跡、黒島天主堂、頭ヶ島天主堂、
田平天主堂、江上天主堂の写真 Ⓒ濱本政春 天草の﨑津集落写真提供:天草市教育委員会
世界遺産登録件数
(合計1007件/2014年6月現在)
文化遺産 779件
自然遺産 197件
複合遺産 31件
出津教会堂と関連施設
大野教会堂
大浦天主堂と関連施設
長崎市の外海地域では禁教下においてもキリスト教信仰
1893年にド・ロ神父により、
外海地域の大野地区周辺の
19世紀の開国後に再来日した外国人宣教師によって、
1864年
代以降は、
パリ外国宣教会の日本における再布教の拠点となり
が組織的に継承されてきました。
1873年のキリスト教解禁
26戸のため、
出津教会堂の巡回教会として建てられまし
に建てられた
「大浦天主堂」
は、
それまでひそかに信仰を継承して
ました。大浦天主堂境内は、大浦天主堂(国宝)や旧羅典神学
後に、
ド・ロ神父の指導のもと、
次々と建てられた出津教会
た。
ド・ロ壁という西洋技術が融合した外海独特の石積み
いた信徒発見の舞台となりました。
これを契機に多くの人々がキリ
校(重要文化財)他2棟の施設が保存されており、
幕末以降のキ
堂
(1882年)
や旧出津救助院
(1883年)
等は、
禁教から教
をもつ大野教会堂は、
禁教初期から信仰が継続された歴
スト教に復帰することになり、
長崎各地では、
禁教時代から信仰
リスト教史に関するわが国初の国指定史跡にも選ばれています。
会復帰へと至る歴史的なプロセスを示す構成資産です。
史的な背景の中にある教会です。
の継承を象徴する教会堂が建設されていきます。
そして明治時
フランス人宣教師マルク・マリー・ド・ロ神父は1879年に外海地域の主任司祭として赴任。
宣教のみならず、
外海で生きるための知恵を授けるため、
産業・社会福祉・土木・建築・医療・農業・教育文化に奉仕しました。
この活動の一つである旧出津救助院は、
当時を物語る遺跡として、
国指定重要文化財に指定されています。
1865年、
「サンタ・マリアの御像はどこ?」
の言葉がもたらした信徒発見。
約250年にわたる潜伏からの奇跡の復活として、
驚きをもってヨーロッパに伝えられました。
信徒発見のマリア像は、
1864年に建設された現存する国内最古の
天主堂である国宝大浦天主堂内の右側の小祭壇に祀られています。
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