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セフェム系抗菌薬セフタジジム皮下投与の試みと問題点
1 1
2
◯冲田 光良 1 ,
海老原 毅 2 ,
根本 英一 1 ,
大嶋 繁 1 ,
小林 大介(
城西大薬,
心
身障害児総合医療療育センター)
【目的】セフタジジム(CAZ)は経静脈的に使用される第 3 世代セフェム系抗
菌薬であり、抗菌スペクトルが広く、緑膿菌感染症に対しても有効で臨床で広く
用いられている。重症心身障害児・者は、血管および筋肉の発達が十分でなく、
血管が皮下組織に埋もれた状態になりやすいため、静脈投与には困難を伴う場合
が多い。そこで、静脈内投与の代替法として皮下投与が有用であるかを、ヒトお
よびモルモットで試験した。
【方法】ヒト試験:医療用 CAZ 1.0 g 製剤を生食 20 mL に溶解し、健常成人の腹
部皮下 2 ヶ所から、30 分かけて定速投与した。経時的に採血し、血漿中 CAZ を
HPLC にて定量した。得られた測定値を解析して、皮下からの経時的吸収量を見積
もった。モルモット試験:Hartley 系雄性モルモットに CAZ を 17 mg/kg およびこ
の 5 倍および 10 倍量を投与して、体内動態パラメータを算出した。次に、生食ま
たは血管収縮剤であるナファゾリンの筋注投与下、ヒトと同じ濃度および速度で
CAZ 320ȝL を皮下投与した。経時的に採血し、また、10 分間隔でレーザードップ
ラー血流計により腹部皮下の血流量を測定した
【結果】ヒトおよびモルモット共に、皮下投与時間 30 分に対して、約 3.5 時間
に亘って皮下からの吸収が持続し、MIC を超える持続時間は静注よりも長かった。
一方、ナファゾリン処理により血流は平均 35%低下し、吸収の完了までに約 5 時
間を要したが、MIC 以上の濃度の持続時間は生食処理とで差が見られなかった。
今後、血管収縮剤の投与量を増減して、血中濃度を評価する必要がある。
なお、本研究は心身障害児総合医療療育センターの倫理委員会にて承認された
後に施行した。
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