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第3範囲 世界史こぼれ話16

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第3範囲 世界史こぼれ話16
☆桃谷高校通信制の課程 世界史 B スクーリング⑯ 歴史のこぼれ話
いよいよ世界史 B の学習も 20 世紀に入りました。時代が近い分、話が複雑になる所もあります。
例によって、何か分からないことがあったら、質問に来てくださいね。
ざ ん ご う
◎第一次世界大戦、塹壕戦と総力戦について
今回は今からおよそ 100 年前に起こった、第一次世界大戦についてお話をします。塹壕戦という言
葉は聞き慣れないと思いますが、戦場に溝を掘って、そこに姿を隠しながら銃を撃って戦う戦争のス
タイルです。第一次世界大戦はこの塹壕戦が主流になりました。第一次世界大戦は、始まった当初ヨ
ーロッパ中の国が参戦する大規模な戦争になるとは思われておらず、兵士たちは半年ほどで戦争が終
わり帰ってこられると思い、
戦場に出て行きました。
しかし塹壕戦は双方ともに兵士の消耗が大きく、
戦場において一気に決着がつくことがなくなってしまったため、今回習うようにこの戦争は総力戦に
なってしまい、終結までに 5 年もかかってしまいました。戦場での戦いだけでなく、より多くの兵士
と多くの食料や武器、弾薬や薬を届ける体制を作り上げた方が勝利するようになったため、兵士だけ
が戦うのではなく、国を挙げて全ての人が戦争に協力することが必要になりました。これは日本が第
二次世界大戦で経験したような、非常に苦しい生活を皆で我慢するということを意味しますが、実は
意外なことにもつながってきます。それは女性参政権です。第一次世界大戦後にイギリスやアメリカ
で女性に参政権が認められることになるのですが、これは実は大戦中に女性が病院や工場で働き、戦
争を支えることが戦後に評価されたためでした。世の中何が関係するか分かりませんね。しかし、真
面目な話をすると、戦争が生み出すものは悲劇が圧倒的に多いです。20 世紀という私たちが生まれた
世紀は、今から振り返ると二回の世界大戦が起こった「戦争の世紀」ということになります。世界大
戦について学ぶことで、今の私たちの平和な暮らしの意義について、少しでも考えて欲しいと思って
います。
◎第一次世界大戦後のドイツのインフレーション
第一次世界大戦後のドイツで子どもが札束を積み上げて遊んでいる有名な写真があります。これは
第一次世界大戦後のドイツで見られたものです。スクーリングで習うように大戦後のドイツはルール
出兵の際の労働者の抵抗で生産力が低下し、物価が上がり貨幣(マルク)の価値が下がるインフレーシ
ョンになってしまいました。この時のインフレは凄まじいもので、何とマルクの価値は大戦中の 1 兆
分の 1 になりました。日本で言うと、1兆円の価値が今の1円の価値になるわけです。こうなると従
来の紙幣なんて紙くず同然になってしまうわけで、こうした写真のような事態になるわけです。この
インフレ克服のためにシュトレーゼマン首相は驚くべき政策を出します。それは国の土地を担保に1
兆マルクの価値とする新紙幣レンテンマルクを発行することでした。ドイツはこうして貨幣価値を上
げ、インフレを抑えることに成功しました。この出来事は「レンテンマルクの奇跡」と呼ばれました。
◎スターリンの独裁~写真から消されたトロツキー~
ソ連ではレーニンの死後、世界革命論をとなえるトロツキーと、一国社会主義論をとなえるスター
リンが後継者の座を争い、スターリンが勝利しました。これも有名な写真で、レーニンの横で演説の
順番を待っているトロツキーが消されてしまっているものがあります。
権力を奪取したスターリンは、
トロツキーがレーニンとのつながりを持っていたことを消したかったのですね。スターリン時代にソ
連は世界でも有数の大国になりましたが、
「部下達がスターリンの質問に「No」の返事をすると粛清
であり、曖昧な返事でも粛清であり、返事を即答できなければ粛清であった」と言われるほどの恐怖
政治を行ないました。そのスターリンの執念深さはこの写真のエピソードからも何となく分かります
ね。
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