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放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周年の動態

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放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周年の動態
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Hiroshima Univ. (
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放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周 年の動態
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)
最近わが国では,春から秋にかけての牧草生育期に草地に放牧し,冬期の聞は舎飼して貯蔵飼料に依存す
るいわゆる放牧中心の乳牛飼育が進んできている.このような飼育形態の場合には,周年舎飼する飼育形態
のものとは,乳牛に及ぼす人為的,自然的環境条件がかなり異なるから,血液性状にも何等かの影響がある
ことが推察される.そこで本研究は,放牧飼育形態の搾乳牛の血液性状の実体を調べるのが目的の一つであ
る.
一方,周知のように血液性状というものは個体の病態を現わす指標となるから,臨床的に血液性状の検査
が広〈行われている.この際いつも問題となるのは,血液の生化学的検査手技が複雑でしかも多くの設備を
必要とすることである
ところが最近人の臨床界では,ごく微量の血液で迅速簡単に生化学的検査ができる
いわゆるキットが普及している.そこでこのキット試薬を乳牛の血液検査に試みてみるのが第 2の目的であ
る.
前記のような目的の下に,本研究は放牧中心の飼育形態である広島大学附属農場の搾乳牛について,キッ
ト試薬を用いて,血液性状の動態を一年間に亘って調べたのである.
材料および方法
この研究は昭和46年 6月から昭和47年 6月までの 13月に亘って行なった.
1)試験牛
試験牛は農場で飼育中のホノレスタイン搾乳牛20
頭の中から, 2-6産のもの 10
頭を任意に選び,試験指定
牛とした.試験牛は何れも健康であって,試験期間中も発病などの事故はなかった.試験牛の詳細は表 1の
とおりである.
2)飼養管理の状態
試験牛は何れもルーズバンで飼育されており
4月始めから 7月中旬まで放牧し〔以下春季放牧期とい
う
)
, 7月ド旬から 10月下旬の約 3月は,放牧地が夏枯れのためと牧草の追播のため舎飼し(以下休牧期),
1
1月上旬から 1
2月上旬までは再び放牧し(以下秋期放牧期), 1
2月中旬から 3月下旬まで、は舎飼している(以
下舎飼期工春季放牧期は牧草を飽食させ, 休牧期は良質のグラスサイレージと青刈ソノレゴーを給与し,秋
季放牧期は牧草の生育が悪いため制限放牧を行い, ソルゴーのサイレージを補足し,舎飼期はソノレゴーのサ
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イレージまたはカブ,イタリヤンライグラスの乾草,濃厚飼料を給与している.濃厚飼料の給与は,放牧期
と休牧期には泌乳量の%量,舎飼期にはJ.3'量を給与している.なお休牧期には,家畜は舎飼しているが,良
質のグラスサイレージと青刈メルゴーを給与しているため,春孝放牧期に劣らない質量の粗繊維を摂食して
いることになる.
3) 放牧地の状態
放牧地は水田を畑地化して造成した平坦地であって,
イタリヤンライグラス (50%) とラジノクローパ
(50%) の良質の混生草地である.しかし西南暖地特有の気象条件によって,放牧地は夏季に夏枯れ現象を
生ずるから,イタリアンライグラスの追播を行うため,夏季は休牧している.夏季の草生状態は春季に比し
00C を越え,梅雨期には高温多湿で,乳牛に対す
て勿論劣っている.気象条件は 7-8月の聞は最高気温 3
る気象条件は悪い.
)血液検査の方法
4
3月に亘って行った.採血は,朝の給飼また
血液検査は測定指定牛について,毎月 1回,各月の中旬に. 1
8時間以内に終わるように行
2時の間に行なった.血液検査は何れも採血後4
時から 1
0
は午前の放牧終了後の 1
なった.血液性分の測定項目と測定方法は次のとおりである.
) 総蛋白量(以下 T.P.) :血清蛋白屈接計(エルマ製)によった.
1
(
) 血清蛋自分画・セルローズアセテート膜を用いての電気泳動法.分画値の計測はデンシトメーター
2
(
(オズマー製〉によった.
) アルブミン/グロプリン比
3
(
(A/G) デンシトメータ一法によった.
) 尿素態窒素(尿素 N) ・ジアセチルモノオキシム・チオセミカルバジド直接法(和光試薬)によっ
仏
た.
) 尿酸: !)ンタングステン酸法(栄研試薬〉によった.
5
(
) ヘマトクリット値 (Ht):毛細管遠心分離法によった.
6
(
慮紙法によった.
ケトン体:i
) カルシウム (Ca):オルトクレゾールフタレインコンプレキソン法(和光試薬)によった.
8
(
) マグネシウム (Mg):マグノレッド法(日本商事試薬試薬〕によった.
9
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(
制 無 機 リ ン (P) :モリブデンブルー法(和光試薬)によった
帥 ナトリウム (Na):炎光光度計法によった.
帥 カリウム (K) :炎光光度計法によった.
帥
s法(和光試薬)によった.
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y 鉄 (Fe):パソフェナントロリン法(和光試薬)によった
帥 銅 (Cu):パソクプロイン法(和光試薬)によった.
。
。
伺
アノレカリホスファターゼ (Alk
.Phosph.):Kind.King法によった.
トランスアミナーゼ
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rankel法(栄研試薬)によった.
帥 血 清 穆 質 反 応 :C
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t法(北研試薬)によった.
同
総コレステローノレ:Rosenthal 法(和光試薬)によった
以上のうち,同,同,(1$は肝機能検査のため行なったものである.
測定結果
測定結果は以下に示す
1)血液成分の測定値
測定した 1
0
頭
, 1
3月分,延130
頭の血液成分を平均値で示すと,
蛋自分l
南 ではアルブミン (
A
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.
):49.7土 5.41 (35~63)
T.P. :7.31土 0.75 (5.5~8.9) g/dQ,
~,日一グロプリン(日-Glob.) ・ 16.4 土 2.63
22) ~,月一グロプリン (ß-Glob.) :1
0
.
1土 2.18 C5~14)~ ,
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3.8:
t5.28 C13~
32) ~, A/G:l
.0
1土 0.23 CO.55~1.69) ,尿素 N: 13.68土 2.18 C6.8~22.5) mg/dQ,尿酸・l.1
1土 0.25
CO.6~ l. 6)
mg/dQ,Ht:3l
.6土 3.08 (23.5~40.5)
~,血糖 49.41 土 10.0
(25~72)
mg/dQ,Ca:9.60土
l
.3
6 C8.0~12.5) mg/dQ,Mg:2.62土0.44 C 1. 7~3.5) mg/dQ,P :3.9土1.3
1 (l. 2~7.5) mg/dQ,Na:
299.2土 24.73
C223.6~330.3)
mg/dQ,K:14.32土 2.04
C9.8~20.3)
mg/dQ,CI:649.7土 64.3
732) mg/dQ,Fe:143.3土 49.9 (58~281)μg/dQ , Cu:101.74土 33.67 C60~220)μg/dQ
肝機能検交の諸項目は,毎回は行わなかったので、あるが,
42
6.58土 2.
(2.4~15.5)
K-A単位〔延80
頭
)
,
(562~
で、あった.
Alk
. Phosph.
測定した延頭数の平均値は,
トランスアミナーゼ:GOT58.
40土 23.2
(30~125)
K
頭),血清穆質のための C
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t:全例市(延
A 単位, G PT17.62土 5.76 C7~32) K単位(延40
30
頭〕で、あった
5
.95 (89~236) mg/dQ (延40
頭),血清ケト体.全例陰性
総コレステローノレー 161.9土 3
(延90
頭)で、あった
2) 血液成分の周年変化
次に血液成分の周年の変化をみることにするー
T.P.: T.P.の動態は図 1に示す.図 1に見るように, T.P.量は月別問に大きな変動は認められなか
ったが,これを季節的に見ると,明らかに春季放牧期と休牧期の青草給与時期に高く,舎飼期に低い傾向を
示した.このパターンはすべての個体にも一様に示された(図 2) なお図 2において,
NO.4 と 8号牛が
T.P 量の低下している 1月と 2月に急に上昇しているのは,分娩の影響によるものである.
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放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周/1'.の動態
以上のように T.P.が青草給与の終了した 1
0月に急にドがり,
1
i
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9
放牧開始の 4月に上昇していることは,
T.P.と青草摂取が密接な関係にあることを示唆している
I
血清蛋自分画:血清蛋白を構成している Alb.,
白-Glob.,s-Glob.,r-G1ob 分画値の月毎の変動は図 3に
示す
凶 3に見るように, A
lb. 分画値は年聞を通じて大きな変動は示さなかったが,概して舎飼期に高く,
春期放牧期と休牧期に低い傾向を示した. とくに 4月に Alb. 僚がかなり低下しているのが注目された.
)
f
, Alb. に次いで多い r-G1ob.分画は 8月と 4月に高くなっており
的であった .α
‘
4月の上昇は A
lb. 値の低ドと対照
と s-Glob. 分画値は年間を通じでほぼ恒常的であった.結局血清蛋自分値は, Alb. と r
Glob. 分 i
同値 i
こ変動が認められたといえよう.
A/G: A/G比の動態は図 4に示すー図 4に見るように, A/G比は春期政牧期と休牧期に f
尽 く (1以ド),
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舎飼期において高い(1以上)傾向があった.
非蛋白性窒素:尿素 Nと尿酸の動態は図 5に示す.
尿素 N量は図 5に見るように,舎飼期には比較的安定しているが,春期放牧期,休牧期,秋期放牧期の聞
は不安定で動揺がはげしく,一定のバターンは見られなかった.しかし年聞を通してみると,尿素 N値は 4
~12月の聞に高く,
1~3 月の間に低く,とくに 8 月と 10月, 1
0
月にはことに著しく低下し 1
2月と 4月に
は上昇しているのが注目される. 8月は休牧期の始めであり, 1
0月はその終わりであり, 12月は秋期放牧期,
4月は春期放牧期の始まりであることなどから判断すると,先に見た T.P.と同様に尿素 Nも青草摂取と関
係があることがうかがえる.
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,magnecium,and inorganicphosphorus.
Fig.8. Changes i
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尿酸は年聞をとおして大きな変動は認められなかったが,春期放牧期と休牧期には 1r
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Q以上と,舎
飼期の 1r
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g
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Q以下に比べると高い傾向であった.
Ht:Ht値の動態は図 6に示す.図 6に見るように, Ht値は春期放牧期,休牧期,秋期放牧期の聞は,
30%またはそれ以上であったが,舎飼期は 30%以下であった. 1
2月に Ht値が一過性に高くなっているのは,
秋期放牧の結果と考えられる. 4月以降の上昇も春期放牧の影響である.
血糖・血糖の動態は図 7に示す.図 7に見るように,血糖は月毎にかなり変動していて一定の傾向を見る
ことができない.しかし放牧開始の 4月に血構量が増えていること,春期放牧期の聞は個体聞の差が著るし
く,分散巾が広いことが指摘される.
無機質:Ca,Mg,P などの無機質の変動は図 8に示す.図 8に見るように, Caは月毎にかなり変動して
いるが,通覧すると 1
1月から 2月の冬期に高く,春夏の青草摂取期に低い傾向を示した. Ca の月毎の変動
の大きいことは,個体別の変動を示した図 9にもよく現われている. Pは Caとは全く対照的であって, Ca
値が高い冬期に低く,それが低い夏期に高い傾向を示している. Pの個体別変動は図 1
0
に示す. Ca とPの
両者の関係は,逆相関的であるといえよう. Mgは年聞をとおして大きな変化は認められなかったが, 9月
にピークを示し, その後は次第に低くなって, やはり Ca と逆相関を示した. しかし青草給与期になると
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1にみるように, Clは舎飼期に少こし
1に示す. 図1
lなどの電解質の動態は図 1
血中の電解質:Na,K,C
低下していることが認められた. Na とKは年間をとおして大きな変動は認められなかった.
2に示す.図に見るように,両者は年聞をとおして大きな変動は
血中の徴量元素:Fe と Cuの動態は図 1
示さなかった.
2)肝機能その他の検査所見
この項の測定は,前述のように血液性状に大きく影響を及ぼす要因の一つであるので,いわば健康診断のス
グリーニングテストの意味で行なった.従って全期間を通じて行なっていないから,測定値のみを示すことに
.Phosph.の測定値は表 2, トランスアミナーゼは表 3,総コレステロールは表 4にそれぞれ示す.
する. Alk
乙見るように, No.1 と 2号牛を除いては,1"Jれの個体も似た値を示している. No.1
.Phosph.は表 2t
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と 2号牛は臨床的には健康であったが,実験牛の中で一番老令であったから,あるいはそのようなことが関
係しているかもわからない. トランスアミナーゼは GOT,GPTともにやや高い値を示していた.月毎の
変動も大きい.総コレステロールは個体聞にも差があり, No.1 と2と3が老令のためか高い値を示してい
放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周年の動態
163
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165
放牧を主とする 搾乳牛の血液性 状とその周年の 動態
3) 分娩前後の血液 性状の変化
上記の血液成分値は,年令,泌乳量,分娩などの血液成分に影響を与える諸要因を考慮しないでの結果で
ある.従って厳密にいえば,これらの諸要因の血液性状に及ぼす影響を別々に検討せねばならないところで
ある
しかしそれらについては既に多くの研究者によってなされておるし,また本研究の目的ではない.そ
こで試みに,今回のデータに最も関係しているであろう分娩現象が血液性状値にどのように影響を及ぼした
であろうか検討してみた.
これがため試験期間中に分娩した 7頭 (No・1,4,G,6,7,8号牛〉の牛につ いて,分娩の前 と後の測定値
を比較することにした.その結果は図 13に示す.勿論血液成分の中には,分娩前後に一過性に変化するもの
もあるしまた比 較的長期間に亘 って変わる成分 もある.今回の 血液成分の測定 は,分娩前後一 週間以内は
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藤井俊策・吉本伝
避けているから,分娩前後に一過性に変化する成分はデータには含まれない.図 1
3を見てわかるように,分
娩後に増加の傾向を示したものは, T.P.,尿素 N,尿酸,
C
aであり,低下したものは血糖であり,一定の
,Mg,C
l,Naなとやであった.分娩牛 7頭の分娩月は
傾向を示さなかったものに血清蛋自分画, Ht
頭
, 1
0月 1頭
, 1
1月 2頭
,
1月 l頭
6月 1
2月 2頭で,比較的舎飼期の測定値には分娩の影響による血液性状値
が入っていることになる.いま分娩後に増加傾向を示した T.P に例をとってみると
2頭の分娩のあった
1
2月の平均蛋白質は 1
1月のそれよりも増加していないのである.このような事実から判断する分娩による血
液性状の変化というものは今回のデータから無視してよいであろう.
以上血液成分の年間をとおしての動態を要約すると,放牧開始の 4月に増加し引続き青草摂取期間中高
いレベルを維持する傾向の成分は, T.P.,尿素 N,尿酸, Ht,Pであり,
これらは舎飼期に入いると低下
した.放牧開始時に短期間増加する傾向のものは血糖, r
-G1ob.なとeであった.反対に冬期の舎飼期に多く
て,春夏の放牧期に入いると少くなる傾向の成分は
C
a,A/Gなどで、あった
察
ラ
馨
乳牛の血液成分の正常値についての報告は極めて多い
それらの正常値というものは,ある時点における
i
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述のように 1
0
頭の測定
多数例の測定によって得られたものである.今回のわれわれの血液成分平均値は}I
, 1
3月,延1
3
0
頭分の平均値であるから,多少従来の報告値とは異るかも知れない.
指定牛の毎月 l回
1)血液の含窒素成分
頭の平均値で 6.65 C5.8~7.8) g/dQ,小林 2)は1
4
9例で 6.80土0.63,
乳牛の T.P.については森 1)は牝牛86
橋爪 U は 7.9g/dQ" 梅津 4) は 6.5~7.5
g/dQ,渡部 5) らは7.
0
6C5.80~8.6) g/dQ,友田 6)は6
.
9
1土 0.65g/dQ,
飯塚 7) らは 1,
253
頭の調査で7,
039土 0.578 C6.46~7.62) g/dQと報告している.われわれの測定値は7
.
3
1土
0.75C5.5~8.9) g/dQであって,上記i
渚報告よりやや高い値となっているーこのように T.P.が高いのは,
6, 7, 8, 9月の青草摂取期の高蛋白血清を含んで、の平均値であることも一因と考えられる.
乳牛の血清蛋自分画値については,渡部日らはA
l
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.46.3%,a-Glob. 15.0%,かG
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.11
.2%, r
G
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3土 3.40%, s-Glob. 1
2
.
8土 2
.
1
8
27.5%,A/Gは0.86と述べ,友田 6)は A
%
,
l
b
.41
.5土 6.8% C25.2~60.1) %
,
r-Glob.26.4土 6.90%, A/GO.88, 小林 2)は A
2
.
7 C7.6~19.2) %
, s-Glob. 1
O.
7土 2
.
1 C4.7~15.9) %
,
日
G
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.1
3
.
8土
r
G
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b
.1
3.4土 6
.
8 C19.5~55.3) %
,
A/G
0.73土 0
.
2
1 CO.34~1.51) とそれぞれ報告しており,報告者によって差が認められる.われわれの値は Alb.
49.7土 5
.
4
1 (35~63) %
, a-Glob. 1
6.4土 2.63 C11~22) %
, s-Glob.10.1土 2
.
1
8(5~14) %
,
23.8土 5
.
2
8 C13~32) %
,
r
G
1
o
b
.
A/G1
.0
1土 0.23 CO.5~ 1. 6) %で、あった. これを上記諸報告値と比べると,
A
l
b
.分画値においてやや高く, r
-G1ob.値において低い,その結果A/Gが高いようになっている.
前述のように,
いことを指摘した
T.P.は春期放牧期,休牧期などの牧草や青刈飼料摂取期において高く舎飼期において低
試みに A
l
b
.分画値を A
l
b
.の実量に換算してみると,春夏の A
l
b
.分画値は 6, 7,
8, 9月にそれぞれ5
/
3,48.8,4
8
.
1,48.4%で,それぞれの月の T.P.は 7.9,8.0,7.9,8.2g/dQであ
ったから, A
l
b
.実量は4.05,3
.
9
. 4.0,3.8gとなる.一方冬期の 1
1,1
2, 1, 2月の A
l
b
.分画値はそれ
ぞれ49.5,53.4,49.9,51.8%であり,
T.P.は 6.7,6.6,6.7,6.8g/dQであったから Alb.実量は 3.0,
3.5,3
.
3,3
.
4g/dQ となり,冬期の低蛋血清時には A
l
b
.分画値は低くないが, A
l
b
.の実量が低いことが
わかる.反対に夏期には相対的に A
l
b
.が多い.従って春夏耳目の高蛋白血清の実体というものは A
l
b
.蛋白
が増加したことによってもたらされたものと解される
周知のように A
l
b
.蛋白は,
栄養蛋白とも称せられ,摂取する飼料成分と密接な関係をもっている,大
森 8) らは,年間同一飼料で牛の飼育実験をしたところ,血清蛋白質には季節的変動は認められなかったと報
告している.新林と米村 9)はホルスタイン育成牛の放牧にともなう血中窒素成分の変動を報告しているが,
それによると入牧後 1ヵ月後から血清蛋白濃度は増加して, 7月にピークに達したと報告している.当農場
の放牧地はイタリヤンライグラスとラジノクロパー約50%す*つの混生草地で、あって,乳牛は約50kgの牧草を
7
6
1
放牧を主とする搾乳牛の血液性状とその周年の動態
採っていることから,いきおい高蛋白飼料を摂取していることになる.従って結局春夏期の高い蛋白濃度は,
.濃度の結果であり,高蛋白青草の摂取によってもたらされたものと思われる.休牧期には草地に
b
l
高い A
1ソノレゴーと良質の牧草サイレージを給与しているため,放牧時と同様に高蛋白飼
放牧しないけれども,青メ)
料をとっていることになり,高蛋白血症を維持するのである.
0月以降になると,摂取蛋白量が低下することから,
これと反対に放牧ならびに青刈飼料の給与の途絶える 1
牧をしても,摂食料を制限するこ
のである.たとえ秋季放
冬期舎飼期にみたような低い血清蛋白濃度となる
育蛋白濃度を上げるにはいたらない.春夏に放牧を主とする飼育形態では,終
と,草の栄養価などから,血i
注怠を必要とすることを指摘しておく
牧後の舎飼期に格別に飼育管理に i
.分画値が高くなったのは, 放牧という環境変化によって抗体産生機能が刺
b
o
l
G
jに r
の 4)
ケ
放牧開始H、
戟されたためと考える.
Qであった. 乳牛の尿素 Nの平均値については,農林
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g
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8 C6.8~22.5) r
1
.
8土 2
6
.
3
尿素 Nの平均値は 1
0)_12)らは R
IDE1
Q(ユニグラフ法)とされており
d
/
g
n
省の調査による栄食障害判定基準によると 15~17 r
4mg/dQ,
, FOLIN と DENISI3) は 1
Q
d
/
g
n
4(7~20) r
4.
Q,大森 8) らは 1
d
/
g
n
NC 標準飼育下では1O~15 r
Q と述べている.われわれの平均値は大体上記諸報告の値と一致する.
d
/
g
n
FEARON I4 ) は 13.6~15.3 r
前述したように,尿素 Nは大体春期放牧期と休牧期に高く,舎飼期に低い傾向を示し,ことに春夏期には
月毎の変動がはげしかった.
2月に上昇しその後は恒常的に
0月に低下し, 1
すなわち尿素 Nは 4月の放牧開始とともに上昇し 8月と 1
低値を示した.渡辺 15)らは粗飼料を主体として飼育されている乳牛は,冬期に尿素 Nが低下するのを見てい
る.米付らによると,
尿素 N は蛋白摂取量と密接な関係を有すると述べ,
また
IDEllJらは血清尿素レベル
は摂取するカロリーに影響され,カロリーが十分であれば尿素 N レベルには摂取蛋白量に比例して増減し,
カロリーが不足すると蛋白質の増減によって極端に増減すると述べている • IDEllJらは実験的に低エネルギ
高蛍白飼料を給与した乳牛の尿素レベルが非常に高くなったことを報告している.われわれの今回の春夏期
の尿素レベノレの極端な増減は,摂取蛋白量とカロリーの関係によるものと解される.牧草,青草を多給する
と高蛋白食にはなるけれども,低カロリーであり,その結果尿素レベルの変動が著しかったのであろう.従
って放牧時には T D Nの点を多いに考慮せねばならない.
牛の尿酸についての報告は乏しく,星 16)によ
尿酸の平均値は1. 09 土 0.25CO.6~ 1. 1) mg/dQであった.手L
仰の範囲内にあるという . 尿酸量には年聞を通じて大きな変動は認められなかったが,
ると 0.05~ 2mg/
T.P.ならびに尿素 Nと同様に夏期に高く,冬期に低い傾向があった.尿酸は核酸の破壊に由来し,体蛋白
の変作作用が進むと増加するといわれている
尿酸量が夏期が冬期よりも多かったのは,夏期に代謝が充進
しているためと考えられる.
2) Ht値
6であった.乳牛の Ht値についての報告は極めて多い.そのうちの
8 C23.0~40.5) 9
0
.
.6土 3
Ht値は31
1土 3.6と
.
0
. 元井18)らは3
6
9
0
.
2土 2
. 二本柳17) らは 3
6
1 C27~40) 9
0
.
4
2. 3の例をあげると,大森酌らは3
われわれの結果もこれらと一致している. Ht値は年聞を通して大きくは変動しなかったが,
2月は秋季放牧期である.このように
2月にやや高い値であった. 4月は春季放牧の開始期であり. 1
4月と 1
放牧期に Ht値が上昇したのは,運動量が関係しているものと考えられる.運動は赤血球を増すことはよ
述べている
6であったのが 2か月
9
6
.
9
く知られており,渡辺 15)らによると.乳牛の育成牛で,放牧開始時の Ht値が2
6に増加したと報告している.
.79
後には 31
3) 血 糖
,
KANEKO I9 ) は 35~55 mg/dQ
Qであった. 乳牛の血糖について
d
/
g
n
0 (25~72) r
.
0
41土 1
9.
血糖は 4
,農村省調査の栄養障害判定基準
CAMPHELL と KRONFE 印刷は血紫の血糖値は Somogi 法で 47~63 mg/dQ
mg/dQ とされておる.血糖の検査方法には種々の方法があり,また採食後の時間,採血か
ら測定時までの経過時間などにより,血糖値はかなり異なる.われわれの測定値は上記報告と一致している
によると 60~70
1
6
8
藤井俊策・吉本伝
といえよう.血糖値の年聞を通じての観察では,放牧開始の 4, 5月に上昇する傾向があった.反努獣の血
糖はルーメン醗酵と関係しており,放牧初期の血糖上昇は,粗飼料の飽食による V F Aとの関係に帰せられ
る.
4)血中の無機質
Caの平均値は 9.60土1.36 (8.0~12.5) mg/d.sであった.乳牛の Ca値については, CROOKSHANK と
SIMS2
3
)の 1
8
5
頭の値は 11.08土 0.67mg/d
,
s
. MYLRERAと BAYFIELD
却は 1
0
.
2土 0.28mg/d.s"紺野2
5
)らは
1
0
.
0mg/d.s,飯塚2
6
)らは 1
0.
2
6mg/d.s,村上2
わらは 1
0
.
3
4土 0.62mg/d.sと述べておる.本研究の値は上記
諸報告より少こし低い. Caの年間を通じての変動は,冬期の舎飼期に高く, 夏期の青草摂取期に低い傾向
を示した.
Pは 3
.
9土 1
.
3
1 (1.2~7.5) mg/d.sであって, 極端に低い個体が散見された. 乳牛の Pについては,渡
部5
)らは4.90mg/d.s,飯塚'
2
6
)らは6
.
0
9mg/d.s,村上2
7>らは5.996mg/d.s,紺野2
5
)らは 5.6mg/d
,
s
. MYL1
>E
RA
と BAYFIELD
却は牡牛で5.5土 0.8mg/d.s,幼牛で6.2土 0.6mg/d.sと報告している.諸報告を見ると Pの正
常値は 5~6mg/d.ßとなる.われわれの P 値は,
これに比べるとかなり低値である. 前述のように Pは年
Pは外来性の因子で,とくに濃厚飼料
に含まれていることなどから,今回の冬期の低 P血症は,濃厚飼料の不定に直接的原因があるものと考えら
聞を通じての変動で,とくに冬期の舎飼期に低いことが注目された.
れる.
Ca とPの関係において,今回のわれわれの観察では両者は逆相関の関係にあった. とくに冬期の舎飼期
に顕著にこの関係が認められた.実験的には Pと Caは相関関係を示すといわれていることから考えると,
試験牛に無機質の代謝障害があるのかもわからない.
Mgは2.62土 0.44 (1.7~3.5) r
n
g
/
d.sであった.乳牛の Mgについて CROOKSHANKと BAYFIELD2
3)2.3
土0
.17r
n
g
/
d.s,渡部おらは 2.12土0.34r
n
g
/
むと報告している.われわれの値もこれと一致している. Mg
は Pと同じように Ca と逆相関を示すように変動した.この理由についてはわからない.
Cu と Feはそれぞれ 1
0
1
.
7土 33.67 (70~220)μg/d.ß, 1
4
3
.
3土 49.96(58-281)μg/d.Q.であった Cu,
Feについての報告例は乏しく, Cuは早川船らによると 79.5-88.6pg/d
9
,
s
. Feは KANEK01
)によると 97
土2
9 (57~160)μg/d .ßと報告している. これに比べるとわれわれの値は相当高いといえる. Cu,Feは年
聞を通じて,変動の少い成分であった.早川 23)は放牧牛において, Cuは放牧後次第に減少してゆくのを見
ており,これは牧草が一番刈,二番刈と Cuの含量が低くなろからだと説明している 2
9
)
Na,K,C
lはそれぞれ 299.2土 24.73(223.6-330.3) mg/d
,
s
. 1
4
.
3
2土 2
.
0
4(9.8-20.3)r
n
g
/
d
,
s
. 649土
64.3 (562-732) r
n
g
/
d.sであった.乳牛の Naについては MCSHERRYと GRINYER
3
0)は303-349.6mg/d
,
s
.
昼間は330r
n
g
/
d.s,宮尾3
1)らは3
1
7rng/d .ß,大森 8) らは 318~387 r
n
g
/
d.sと述べており,われわれの測定値は
これに比べるとやや低い. Kについては, 星1
6
)は 1
9
.
5mg/d.s,大森 8) らは 17.8-23.7mg/d.
s(血撲),
MCSHERRY と GRINYER30) は 9.36~21. 0
r
n
g
/
d.sと述べており,われわれの値は MCSHERRYの値と一致し
3
ている. C
lについては, MCSHERRY と GRINYER
0
)は339土 388.5r
n
g
/
d.sと述べている. これに比べると
われわれの Cl値は非常に高い.多分測定法の差によるものと考えられる. Na とKは年聞を通じて同じよ
うな傾向をもって変動した.すなわち 8月と 1
1月に C
l値は高い値を示した.大森 8)らは千葉において,通
年観察の実験牛において, Cl値は 6月 9月に高いのをみている.
5)肝機能検査所見について
A
l
k
.Phosph.は6
.
6
6土 2.
42(
2.
4-15.5) K-A単位であった. Alk
.Phosph. について,市川船らは 24単位,
GARNER 37 ) はZebu 牛294頭の測定値は 11.8K-A 単位 (4.7~62 .4)と述べている.
このように
Alk
.Phosphは研究者によって異なった報告がでている.
G O T,G P Tはそれぞれ 63.0土23.2K単位, 1
7
.
6
2土5.76K単位であった.牛のトランスアミナーゼ
の報告は少く, CORNELlUS
紛らによると 2-10
才牛で Sigma.Frankel単位でGOT56土 1
4,G PT16土 8
3
4
単位, HANSEN
)らは G O T,6
8
.
7土 1
7
.
5,GPT24.1土5.0と報告している.われわれの測定値は HANSEN
9
6
1
放牧を主とす る搾乳牛の血 液性状とその 周年の動態
.t白 tで調べた全例制であった.以上のように肝機能検査
.F
.L
.C
方血清穆質反応は C
.,血清謬質は人の場合に比べるとかなり高い値である.もし人の肝機能の判
h
p
s
o
h
.P
lk
,A
,GPT
の GOT
基準が適用で
定基準に従う と,調べた牛 は肝機能障害 ということに なるが,果し て反釘獣の場 合に人の判定
の値に似ている
A
きるかどうか疑問である.
)総コレステロール
6
5 (89~236) mg/dQ で、あった.市 J11 32 ) らは 100~200 mg/dQ,梅
.9
5
.9土 3
61
総コレステロールの平均値は 1
g/dQ と報告してい る.われわれ の測定値も上
.3(49~169) m
g/dQ,大森 8) らは子牛で 81
津 36) は 50~230 m
えば LENNON
記報告と似て いる.総コレ ステローんは 種々の要因に よって差があ ることが知ら れている.例
105.6
令のものは
15~1iHi
,
Q
d
/
g
1m
.
6
9
妊娠牛は
,泌乳中の非
Q
d
5
/
3
g
9m
.
1
4
と M!XNER )は妊娠中の乾乳牛は 2
mg/dQ と述べ,
大森 8) らは総コレステロールは加令と共に増加することを見ている
われわれの測定値は
るといえよう
2~6 産の乾乳牛,奴娠牛,泌乳牛を含めての平均値であって,大体正常値を示してい
試薬での測
今回の血液成 分の生化学的 検査は,主と してキット試 薬を用いて実 施したのであ るが,キット
のと考える.
トは便利なも
グ検査にキッ
スクリーニン
家潜の臨床的
定値は従来の報告と大体一致しており,
要 約
頭の試験牛を
0
法は, 1
i
放牧を主とす る搾乳牛の血 液性状を,年 聞に亘って調 べてその動態 を調査した え
おりであ
結果は次のと
した
を用いて測定
てキット試薬
3月の間,血液成分を主とし
, 1
)
白
指定して,毎 月一 i
る.
Q,血清蛋白分画では,アルブミン
d
/
5g
7
.
1土 0
3
.
頭分の血液成 分の平均値は ,総蛋白 7
0
3
1)測定した延 1
8土 5.28%, A/G
.
3
ーグロプリン 2
1土 2.18%, r
.
0
4土 2.63, sグロプリン 1
.
6
7土 5.4%,aーグロプリン 1
.
9
4
.6土 3.08%,
1
,ヘマトクリット値 3
5mg/dQ
2
.
1土 0
8mg/dQ,尿酸l.1
1
.
8土 2
6
.
3
3,尿素態窒素 1
2
.
1土0
比1.0
9土
.
3
,無機リン
Q
d
/
g
4m
4
.
0
土
2
6
.
2
ム
,マグネ、/ウ
Q
d
/
g
6m
3
.
l
士
6
.
9
0mg/dQ,カルシウム
.
0
1土 1
4
.
9
血糖 4
dQ,
/
g
3m
.
4
6
土
2
.
9
4
6
レ
ノ
ー
ロ
ク
,
Q
d
/
g
4m
2
.
0
土
2
3
.
4
1
3mg/dQ,カリウム
7
.
4
2土 2
.
9
9
1mg/dQ,ナトリウム 2
.3
l
Qであった
d
/
μg
7
6
.
3
4土 3
銅1Ol.7
Q,
d
/
μg
9
.
9
3土 4
.
3
4
鉄1
42K-A単位, トランスアミナーゼの GOT
8土 2.
5
.
ーゼは 6
リホスブァタ
ためのアルカ
肝機能検査の
2)
t は全例十社であった.これ
s
e
.t
.F
.L
.C
0土 23.2K-単位, GPT17.62土 5.76Kー単位,血清謬質の C
4
8.
5
らの値は人の正常値に比べると,いずれも高値であるが,これをもって反鈎獣の場合に肝機能
障害とは判定
できない.
,総蛋
3)血液成分の うち,春の放 牧開始ととも に増加し引続 き青草摂取期 間中高い値を 保ったものは
期に
分は冬の舎飼
.これらの成
値で、あった
マトクリット
窒素成分とへ
窒素などの含
白,アノレブミン,尿素態
.
.
.
:
.
は{l&fしt
ぽ素窒素量は夏期の聞は著しく変動した.
放牧を終えて舎飼期に移行して増加したものはカノレシウムであった.無機燐は
-')j
とくに舎飼期に低
るのが注目された.
春の放牧開始とともに一過性に増加したものは血糖と
-グロプリンで‘あった.
r
引用文献
.
)
8
5
9
1
8(
5
1
5
5
1,1
1)森貫一・: 1獣会誌, 1
.
)
9
5
9
1
6(
5
7
2) 小林好(乍.栄養障害研究会報, 4,4
.
)
7
5
8 (19
1
l,1
p
p
u
9,S
3)橋爪啓三郎他・日獣学誌, 1
.
)
7
5
9
1
0(
l,7
p
p
u
9,S
4)梅津元昌,柴田章夫他.日獣学誌, 1
.
)
5
6
9
1
1(
4
5
4,3
3
9
(合併), 2
5
4と1
5) 渡 部 敏 , 永 井 享 , 原 田 豊 造 他 東 京 獣 医 学 雑 誌 , 1
.
)
2
6
9
1
7(
4
3
7
3
4,3
6)友田 勇:日獣学誌, 2
す
F
1
7
0
藤井俊策・吉本伝
7)飯塚三喜,野口一郎,常包正他:獣畜新報, 268
号
, 5- 9 (
1
9
6
5
)
.
8)大森昭一郎,千葉博,加藤道弘他畜 産試験場研究成果, No. 1
,5
2
7
1(
1
9
6
4
)
.
9)新林恒一,米村寿男.日畜会報, 43,677-683 (
1
9
7
2
)
.
1
0
) IOE,Y. and YONEMURA,T: N
a
t
.I
n
s
t
.Anim.H
l
t
h
.Q
u
a
r
t
.,6,230-240(
19
6
6
)
.
1
1
) IOE,Y.,SHINBAYASHI,K. and YONEMURA,T
.・]
a
p
.]
.V
e
t
.S
c
i
.,29,33-39 (
1
9
6
7
)
.
1
2
)I
b
i
d
.
:J
a
p
.f
.Zootech.S
c
i
.,
38,1
1
0
1
1
6(
1
9
6
7
)
.
1
3
) FOLIN,U
.呂ndDENIS,W.: f
.B
i
o
l
.Chem.,1
4,2
9(
1
9
1
3
)
.
(大森論文より引用)
1
4
) FEARON,
"人R.: P
h
y
s
i
o
lR
e
v
.,6,
3
9
9(
19
2
6
)
.
〔大森論文より引用〉
1
5
) 渡辺文男,野本貞男,井上勇他: 1
:1獣会誌, 24, 7-10(
1
9
7
1
)
1
6
) 星冬四郎:家畜生理学, 1
6版,金原出版,東京.
1
7
) 二本柳霞子,飯塚三喜,米村寿男他: 1
ヨ獣会誌, 20,425-429 (1967~.
1
8
) 元井稜子,飯塚三喜,西村弘:向上, 25,663-668 (
1
9
7
2
)
.
1
9
) KANEKO,J
.J
. and CORNELIUS,C. E
.
: Clinical Biochemistry of DomesticAnimals,AcademicPress,
NewYorkand London (
19
7
0
)
.
2
0
) CAMPHELL,L
.A. and KRONFELD,D. S
.
: Am.]
.V
e
t
.ResRes.,22,587 (
19
6
1
)
. KANEKO'S Clinical
Biochemistry o
f Domestic Animal よりヲ│用.
2
3
) CROO瓦 SHANK,H. R.and SIMS,F.H.: ]
.A
nim.S
c
i
.,1
4,964-969 (
1
9
5
5
)
.
2
4
) MYLREA,P. J
. and BAYFIELO,R. F
.
:A
u
s
t
r
a
l
i
a
nV
e
t
.,J
.4
4,565 (
1
9
6
8
)
. KANEKO'S Clinical Bio.
chemistry o
f Domestic Animal よりヲ│用.
2
5
)紺野悟,林光昭,吉田勲他:1:1獣会誌, 1
6,学界号 1
5
7(
19
5
4
)
2
6
)飯塚三喜,径道護男,野口一虫1他.獣畜新報, 277
号
, 5- 9 (
1
9
6
0
)
.
2
7
)村上大蔵,安田純夫,関毅一他:日獣学誌 25,学会号, 506 (
1
9
6
3
)
.
2
8
)早川龍雄:医学と生物学, 6
1,111-112 (
1
9
6
2
)
.
2
9
) 1
司上:同
上
6
0,165-167 (
1
9
6
1
)
.
3
0
) MCSHERRY,B.J
. and GRINYER,I
.
: A刑 . ]. V
e
t
.R
e
s
.,1
5,5
0
9(
1
9
5
4
)
.
3
1
) 宮 尾 惨 , 石 黒 茂 , 渡 瀬 弘 ・ 日 獣 会 誌 , 24,538-547 (
1
9
7
1
)
.
3
2
) 市川
収,須川章夫,米村寿男:農林水産技術会議研究成果, 3(
1
), 1-245 (
1
9
6
0
)
.
3
3
) CORNELIUS,C. E
.,BISHOP,J
. A.,e
t al
.
: Cornell Vet. 4
9,1
1
6(
1
9
5
9
)
. KANEKO'S Clinical Bio.
chemistryof Domestic Animal より手│用.
3
4
)HANSEN,M. A.: N
o
r
d
.V
e
t
e
r
i
n
a
r
.Med.,16,323 (
1
9
6
4
)
.
│司上
3
5
) LENNON,H.D. and MIXNER,J
.P
.
:]
.D
ai
γyS
c
i
.,40,1424-1428 (
19
5
7
)
.
3
6
)梅津元昌:家畜の生理学,養賢堂,東京 (
1
9
5
4
)
.
3
7
) GARNER,R
.J
.
:i
n“
C
l
i
n
i
c
a
l Biochemistry of Domestic Animal" (KANEKO,J
.J
. and CORNELIUS,
C.E
.e
d
s
.
) Vol
.2,p
.2
1
1,Academic Press,NewYork (
19
7
1
)
.
171
SUMMARY
The blood compositions and their changes through the whole year were examined in lactating
dairy cattle raised mainly by pasturing.
Examination of the blood was carried out once a month,
over a thirteen-month period, in 10 designated individuals.
The results from the present study are
summarized as follows.
1)
The mean values of serum constituents m a total of 130 individuals examined were 7. 31 ±
0.75 g/dQ in total serum protein; 49.7±5.4% in albumin fraction;
fraction;
10.1±2.18% in ,8-globulin fraction;
16.4±2.63% in a-globulin
23.8±5.28% in r-globulin fraction;
13.68±2.18
mg/dQ in urea nitrogen; 1.11±0.25 mg/dQ in uric acid; 1.01±0.23 in albumin/globulin ratio; 31.6
±3.08 in hematocrit value; 49.41±10.0 mg/dQ in blood glucose; 9.6±1.36 mg/dQ in calcium; 3.9
±1.31 mg/dQ in phosphorus; 2.62±0.44 mg/dQ in magnecium; 299.2±24.73 mg/dQ in sodium; 14.32
±2.04 mg/dQ in potassium; 649±64.32 mg/dQ in chloride; 143.3±49.9 pgjdQ in iron, and 101.74±
33.67 pg/dQ in copper.
2)
The results of various tests for liver function were 6.58±2.42 K-A units m alkaline
phosphatase (in total 80 individuals); 58.04±23.2 K units in gultamic oxalacetic transaminase (in
total 40 individuals); 17 .62±5. 76 K units in gultamic pyruvic transaminase (in total 40 individuals);
161.9±35.95 mg/dQ in total cholesterol (in total 40 individuals), and grade
ffi in cephalin-cholesterol
-lecitin £loculation test (in total 30 individuals).
3)
The serum total protein, urea nitrogen, uric acid, albumin/globulin ratio, hematocrit value,
and serum inorganic phosphorus tended to increase in value with the opening of pasture season in
April, and they maintained a high level value until October, when pasturing end.
With the in-door
season, they tended to decrase in value and continued their low levels during winter period.
On the
other hand, the level of serum calcium was high during the in-door period in winter, while it was
low during the pastur period.
Concentration of serum glucose and percentage of r-globulin fraction
went up for several weeks after the beginning of pasturing.
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