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DarWin Capital Partners オプションと宝くじ
DarWin Capital Partners オプションと オプションと宝くじ 2011.3.29 はじめに、この度の東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた方々に、お見舞い申しあげるとともに、 亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申しあげます。また、ご家族やお知り合いが被害に遭われた 方々に、ご心労お察し申し上げます。 震災後、ニュースも震災関連一色となりました。そんな中、ファンド業界では、こんなニュースがあ りました。 【2008 年にプラス 234%の運用成績を記録した「ブラック・スワン・ファンド」を閉鎖していた英ヘ ッジファンド運用会社、36 サウス・キャピタル・アドバイザーズは、予見不可能で強い衝撃を与える事 象からの投資収益を目指す戦略を再び駆使する新ファンドを計画している。(中略)同ファンドが購入 するのは世界の通貨や債券、株式、商品市場で割安と見なす長期のオプション。ニューヨーク大学のナ シーム・タレブ教授が著書「ブラック・スワン」で称したまれにしか起きないものの甚大な影響を及ぼ す出来事が発生すればこうしたオプションは著しく大きな利益をもたらすという。】 オプションというのは、特定の資産がある時点においてある価格(行使価格という)で買うことので きる、または、売ることのできる権利のことです。買うことの出来る権利をコールオプション、売るこ との出来る権利をプットオプションと言います。例えば、日経 225 指数を対象とした場合、日経 225 の 5 月限 10,000 円コールオプションであれば、5 月 13 日時点で、日経 225 指数を 10000 円で買うことの出 来る権利となり、この日に日経 225 が仮に 10,500 円をつけているのであれば、10000 円で日経 225 を買 って 10500 円で売れるわけですから、この権利の価値は 5 月 13 日時点で 500 円となります。反対に、 日経 225 が 9500 円だった場合、誰も 9500 円の価値のものを 10000 円で買う人はいませんから、権利の 価値は 0 円になってしまいます。 さて、ファンドの話に戻りましょう。まれにしか起きないものの甚大な影響を及ぼす出来事が発生す ればこうしたオプションは著しく大きな利益とありますが、これはディープアウトオブザマネーのオプ ションを買うことであると考えられます。ディープアウトオブザマネーとは、行使価格が現在の価格か ら著しく離れているオプションになります。 例えば現在の日経平均が 10000 円としましょう。このとき、 1ヶ月後に日経平均を 13000 で買うことのできる権利(1 限月の 13000 円のコールという。1ヶ月後に 日経平均が 13000 より高くないと価値は1ヶ月後のゼロとなる。 )や 7000 円で売ることできる権利(1 限月の 7000 円のプット。1ヶ月後に日経平均が 7000 円未満にならないと価値はゼロとなる。 )は、通 常であれば起こる確率が著しく低いと考えられますので、その価格はかなり安くなります。 ただし、こういったオプションの価格は、今回の震災のようなまさに何千年に一度という稀にしか起 こらないような事態に遭遇したとき、急激に跳ね上がるのです。 今回の震災前日(3 月 10 日)の日経 225 指数の値は 10,434 円。この時、日経 225 先物の 4 月限 7,500 円プットオプション(4 月 8 日時点において日経 225 が 7,500 円で売れる権利)はわずか 1 円でした。 DarWin Capital Partners 誰もが一ヶ月弱で日経平均が 3,000 円も下がるとは考えていなかったわけです。ところが、震災が起こ ってから 4 日後の 3 月 15 日にはこのオプションの価格は 295 円となりました。わずか 5 日でこのプッ トオプションの価格は 295 倍となりました。 そして、こういうファンドが存在するということ自体、こういったディープアウトオブザマネーのオ プションを買うことにチャンスがあることを意味しています。言葉を変えれば、稀にしか起こらないと 考えられていることは、実際には考えられているより頻繁に起こりうるということなのです(ディープ アウトオブザマネーのオプションが不当に安く放置されている可能性がある。)。 現実、このわずか 3 年の間にリーマンショックと今回の震災の影響で日本市場は恐らく誰もが想定し ていた以上に急落しました。 オプションの他に、身の回りでまれにしか起きないものに賭けているケースはないでしょうか。すぐ 思いつくのは、日本人の大好きな宝くじです。Wikipedia によると、2008 年度の宝くじ売上はなんと 1 兆 419 億円にも上ります。内訳は当せん金 45.7%、経費 14.2%、自治体の 収益金 40.1%。期待値で考え ると、10000 円払っても、4010 円は税金、1420 円が経費、当選金はわずか 4570 円しか戻ってきません。 投資という観点でみたとき、宝くじというのはかなり分の悪い賭けとなるわけです。 さて、ディープアウトオブザマネーのオプションと宝くじ。どちらも稀にしか起こらない事象にかけ るという点は同じなのに、そのイメージは大きく違います。宝くじが夢を買うというポジティブなイメ ージがあるのに対して、オプションに対するイメージは、よく分からない、もしくは様々なニュースに よってオプションは損する・怖い・危険といったネガティブな要素の方が強いように思います。しかし ながら、実際には、夢を売るはずの宝くじが実際にはかなり期待値が低く、逆に危険なイメージのある ディープアウトオブザマネーのオプションにおいては期待値が高い可能性があるのです。 宝くじは私も過去何度か買っていますが、どうせ 10000 円払って 4570 円しか平均的には戻って来な い宝くじを買うのなら、そのお金をディープアウトオブザマネーのオプション購入費用に当てる。そし てもし儲かったのであれば、その儲けを、今回のケースであれば震災の義捐金に回すという方が、投資 としては有意義なのではと思わされたニュースでした。 (W) 当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ダーウィンキャピタルパートナーズ株式 会社(以下当 社)が作成したものであり、特定の有価証券の勧誘および投資顧問契約の勧誘等 を目的とするものではありません。また本情報に基づいて行われる判断につい て、当社は一 切の責任を負いませんので、投資にあたっては利用者自身の判断になされるようお願いいたし ます。