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佛教大学大学院紀要
第36号(2008年3月)
通信 制大学 院生 の現状 と今後 の課題
宇
〔抄
野
絹
子
録〕
近 年 、 生 涯 学 習 に 対 す る社 会 人 の ニ ー ズ が 高 ま っ て い る 。 ま た こ こ十 数 年 の 問 に、
大 学 の 開放 は飛 躍 的 に 広 が り、 社 会 に 開 か れ た大 学 へ と大 き く変 化 し、 社 会 人 を対 象
とす る大 学 院 が増 加 して い る。
そ の形 態 は様 々 で あ る が 、 今 回 は通 信 制 大 学 院 に焦 点 を あ て 、 通 信 制 で 学 ぶ 大 学 院
生 へ の面 接 調 査 結 果 を 分析 す る こ とに よ り、 通 信 制 大 学 院 の 課 題 と発 展 へ の 道 を考 察
して い き た い。 特 に通 信 制 にお い て、 ドロ ッ プ ア ウ トす る こ とな く修 了 に至 る た め の
ピア サ ポ ー トの大 きな効 果 につ い て も実 証 し て い きた い。
ユ ネス コ に端 を発 した 生 涯 教 育 の ひ とつ の 側 面 で あ る 「学 び続 け る社 会 」 で の 社 会
人 大 学 院 の 存 在 価 値 は、 通信 制 が い か に あ る べ きか を考 え る こ とか ら未 来 へ の 展 望 が
開 け るの で は ない か と考 え る。
キーワー ド
社 会 人 大 学 院 、 通 信 制 大 学 院 、 サ ポ ー ト体 制 、 ピ ア サ ポ ー ト
はじめに
通信制大学院生の現状 と今後の課題
近 年 、 社 会 人 を対 象 とす る大 学 院が 増 加 して い る。 そ の 大 学 院 は、今 や有 職 者 や 年 配 の 人が 、
そ れ ぞ れ に学 ぶ 目的 を持 ち、 夜 間や 週 末 や 通 信 制 な どの 大 学 院 の 多 様 な 制 度 の 中 で 、 「学 び 」 へ
の欲 求 を 実現 で きる時 代 に な った 。
本 論 で は、社 会 人 大 学 院生 増 加 の社 会 的 背 景 を考 察 しつ つ 、 文 部 科 学 省 の大 学 院 制 度 改 革 を
ま とめ る と と も に、 今 回 は通 信 制 大 学 院 に焦 点 を あ て 、 通 信 制 で 学 ぶ 大 学 院生 へ の 意識 調 査 を
分 析 す る こ とに よ り、 通 信 制 大 学 院 の 課 題 と発展 へ の 道 を考 察 す る 。
1社
1社
会人大学院生の増加 と社会的背景
会 人 大 学 院 生 とは
「
社 会 人 大 学 院 生 」 とい う言 葉 は、 学術 用 語 で も な け れ ば 法 律 で 規 定 され た 用 語 で もな い 。
厂文 部 科 学省 学校 基 本 調 査 」(1)にお け る大 学 院学 生 数 の分 類 で は、 社 会 人 とは 厂職 に つ い て い る
一103一
通信制大学院生の現状 と今後の課題(宇
野 絹子)
者 た だ し、 企 業 等 を退 職 した 者 及 び 主婦 を含 む」 と して い る 。
ま た 山 田 礼 子 も 「社 会 人 とい う呼 び方 は 欧 米 に は な い 日本独 特 の もの 。 成 人 学 生 に は現 職 の
職 業 人 、 高 齢 者 、 主 婦 な ど包 括 的 に 含 まれ 、 非 伝 統 的学 生 と呼 ば れ る こ と はあ っ て も、社 会 人
と い う呼 ば れ 方 は定 着 して い な い。」(2)と述 べ て い る 。 こ う して みズ み る と、 「社 会 人 学生 」 と
い う言 葉 は 日本 独 特 の言 葉 で あ る とい え る。
大 学 院 設 置 基 準 の 改 正 や一 連 の 答 申等 の 生 涯 教 育 へ の 取 り組 み か ら考 え る と、 山 田礼 子 が 述
べ て い る 「一 連 の 政 策 的、 制 度 的 進 展 の 中 で 、 職 業 人 、 主 婦 、 定 年 退 職 者 を含 む成 人 学 生 を社
会 人 学生 と呼称 す る こ とが 定 着 した。」(3)とす る記 述 が社 会 人学 生 を包 括 的 に捉 えて い る と考 え
られ る 。本 論 で は こ の定 義 を もっ て論 を進 め る。
社 会 人 大 学 院生 増 加 の 要 因 と して 、 社 会 変 動 や技 術 革 新 に対 応 す る た め① リフ レ ッ シュ ・リ
カ レ ン ト教 育 へ の期 待 ② 社 内研 修 か ら 自 己啓 発 支 援 へ③ 高 度 職 業 人 養 成 に特 化 した専 門 職 大 学
院 な ど、 社 会 的 ニ ー ズ の 高 ま りな どが あ る。 ま た 、④ 企 業 にお け る年 功 序 列 制 か ら能 力 主 義 へ
の 移 行 と も関連 して い る。 さ ら に⑤ わが 国 の18歳 人 口 の 減 少 に対 応 す る大 学 の経 営 戦 略 な どの
理 由 が 考 え られ る 。
2006(平
成18)年
度 の 文部 科 学 省 の学 校 基 本 調 査 に よ る と、全 大 学 院生261,049人 に 占 め る社
会 人 大 学 院 生 は48,609人 で18.6%を
占めている。
また 統 計 要 覧 に よ る と、 平 成18年 度 通 信 制
大 学 院 は放 送 大 学 を始 め と して23校 あ り、学 生 数 は約10,000人 とな っ てい る。
2大
学院の制度整備
わ が 国 に お け る社 会 人 の大 学 院 受 け 入 れ 及 び 通 信 制 大 学 院 の 制 度 の 変 遷 を、 文 部 科 学 省 を中
心 とす る大 学 院改 革 を 中心 にみ て い くこ とに す る
・1974年
大 学 院設 置 基 準 の改 正
修 士 課 程 に社 会 人 を対 象 と した 昼夜 開 講 制 や 夜 間 に も授 業 の で き る夜 間 大 学 院 の制 度 が 整 備
され た。
・1989年
こ の後 、 文 教 政 策 は、 生 涯 学 習 体系 構 築 の 方 向 に 進 め られ て い く。
大学 院設 置 基 準 の改 正
夜 間大 学 院 の制 度 整 備(夜
間 と土 曜 日の 午 後 だ け で 修 士 課 程 を修 了 で きる とい う大 学 院)
修 士課 程 に昼 夜 開講 制
・1991年
大 学 審答 申 「大 学 院 の量 的整 備 につ い て」
平 成12(2000)年
まで に現 在 の規 模(1991年
度 一修 士 ・博 士 合 わせ て約10万 人)の2倍
に 拡 大 す る こ とが必 要 で あ る と され た。
・1993年
大学院設置基準の改正
博 士 課 程 に昼夜 開 講 制 、 大 学 院 に も科 目履 修 制 度 を導 入
・1998年
大 学 審 答 申 「21世紀 の 大 学像 と今 後 の 改 革 方 策 に つ い て」
通 信 制 大 学 院 に修 士 課 程 の み 認 可
一104一
程度
佛教大学大学院紀 要
・2000年
第36号(2008年3月)
専 門 大 学 院 の 開 設 ∼2003年 専 門 職大 学 院 開 設 へ
2000年 に は既 存 の 大 学 院 修 士 課 程 に 高 度 職 業 人 養 成 課 程 で あ る 専 門 大 学 院 が 設 置 さ れ る こ と
と な っ た。 しか し、 そ の後 は 専 門 職 大 学 院 へ と移 行 して い く。 専 門職 大 学 院 は 、2003年 に 開
設 され 、 「経 営 」 「マ ネ ジ メ ン ト」 な どの専 攻 が あ る 。 また 、 司法 制 度 改 革 の一 環 ともか らみ 、
2004年
「法 科 大 学 院」 も登 場 した 。
・2002年2月
中教 審 答 申 「大 学 な どの社 会 人受 け 入 れ の推 進方 策 につ い て」 が 発 表 さ れ た。
主 な内 容 は、a.通
信 制博 士 課 程 の 制 度 化b.専
門大 学 院1年 制 コー ス の 制 度 化c.修
業 年 限 を超 え て履 修 し学 位 等 を取 得 す る仕 組 み(長 期 履 修 学 生)制 度 の 導 入 な どで あ る。
・2005年6月
中教 審
「
新 時代 の大 学 院教 育 」 中 間 報 告 が発 表 さ れ た。
通 信 制 大 学 院 につ い て は、 この 制 度 が 平 成10年 に創 設 され 、 平 成17年 に は19校 、18年 に は23
校 と増 加 して い る。 大 学 院 学 生 数 で み て み る と、1988(昭
2006(平
成18)年
・2007年4月
和63)年87,476人
だ っ た もの が 、
に は 、261,049人 と飛 躍 的 な増 とな り拡 大 発 展 して い る。
教 職 大 学 院 設 立 に 関 す る 省 令 等 が 施 行 され る 。 専 門 職 大 学 院 の 修 了 者 に は 、
「教 職 修 士 」(専 門職)の
学 位 を与 え る こ と とな って い る。 今 の 「
専 修 免 許状 」 と 同等 の もの
とな る 予 定 で あ る。2008年4月
開校 予 定 で あ る 。
以 上 か らわ か る と お り、 生 涯 学 習 体 系 へ の 移 行 及 び 大 学 院 の 量 的 整 備 が 進 展 して い る。
社 会 か ら寄 せ られ る大 学 院へ の 期 待 、 そ して、 そ う した ニ ーズ に応 え る た め の 新 た な姿 を模 索
して い る大 学 院 、 双 方 の 思 い に よ り社 会 人 大 学 院 が 発 展 し、 新 しい教 育 の あ り方 を生 み 出 し、
さ らに め ま ぐる し く変 化 し続 け て い る。
授 業 形 態 も従 来 型 の ほ か に、 昼 夜 開 講 制 や夜 間 に も授 業 の で きる夜 問 大 学 院 の 開 設 、 ま た 、
1989年 に は夜 間 と土 曜 の 午 後 だ け で修 士 を修 了 で き る夜 間大 学 院 の設 置 が 認 め られ た 。1993年
に は 、 博 士 課 程 に も昼 夜 開 講 制 や 夜 間大 学 院が 認 可 され た 。 さ らに1998年 に は 、 修 士 課 程 に通
信 制 大 学 院 が 認可 さ れ、2002年 に は博 士 課 程 も認 可 され て い る。
また 、 サ テ ラ イ トキ ャ ンパ ス や イ ン タ ー ネ ッ ト大 学 院 な ど、 あ らゆ る学 生 が 地 理 的 、 時 間的
制 約 を こえ て通 学 制 の大 学 院 の授 業 に参 加 で き る時 代 に な っ て い る。
さ ら に、 バ ーチ ャ ルユ ニ バ ー シ テ ィが 、 東 大 大 学 院 ・信 州 大 学 ・東 北 大 学 な どで 実 施 さ れ て
お り、 職 業 等 を持 っ て学 習 を希 望 す る 人 々 の様 々 な学 習 需 要 に対 応 す る た め 、 様 々 な制 度 の改
革 が な され て い る。
∬
1通
社 会 人 大 学 院 生 へ の 学 ぶ 目 的 ・動 機 等 の 意 識 調 査
信 制 大学 院 の現 況
通 信 教 育 課 程 は授 業 の 形 態 が 違 う だ け で 、 通 学 の 学 生 と同 じ よ うに評 価 基 準 が あ り、 修 了 要
一105一
通信制大学院生の現状 と今後の課題(宇
野
絹子)
件 の 単 位 数 も同 じで あ る 。 大 学 院設 置 基 準 第16条 に定 め られ て い る30単 位 以 上 を修 得 す る必 要
が あ る。
通 信 制 の大 学 院 の授 業 方 法 に つ い て は 、 設 置 基 準 の 規 定 に よ り大 学 の 通 信 教 育 の 場 合 と同 様
厂印刷 教 材 等 に よる授 業 」 「放 送 授 業 」 厂面 接 授 業 等 」 を適 切 に組 み合 わせ る こ と に よ り、 当 該専
攻 分 野 の 教 育 を効 果 的 に 実 施 す る必 要 が あ る と され て い る 。
ま た、 履 修 形 態 に は様 々 な もの が あ る 。 放 送 大 学 の 放 送授 業 を始 め と し て、 東 亜 大 学 、 中京
大 学 等 の大 学 院 で は イ ン タ ー ネ ッ トを利 用 した ブ ロー ドバ ン ド放 送 に よ る履 修 方 法 や イ ン ター
ネ ッ トの双 方 向 ス クー リ ング 、 また 聖 徳 大 学 や 名 古 屋 学 院 の 大 学 院 にサ テ ラ イ トキ ャ ンパ ス で
の ス ク ー リ ング な どが あ る。 今 後 さ ら にマ ルチ メ デ ィア技 術 の 進 展 や イ ン タ ー ネ ッ トの 普 及 が
拡 大 し、 各 大 学 院 にお い て も最 先 端 技 術 の 活 用 が 進 む もの と考 え られ る。
現 在 、通 信 制 で 行 われ て い る 「面 接 授 業1に
も、 直 接 対 面 して 行 うス ク ー リ ング や 面 接 な ど
の 従 来 型 の 授 業 形 態 の ほか に、 「遠 隔授 業」 が取 り入 れ られ て い る とこ ろが あ るが 、 今 後 、 そ れ
ぞ れ の 方 法 の もつ 教 育 効 果 の メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トを検 証 し なが ら、 各 大 学 院 が積 極 的 に そ れ
ら を活 用 してい くこ とが 期 待 され てい る。
2意
識調査の概要
(1)面
接 対 象 者 及 び調 査 方 法
本 調 査 の 目的 は 、 大 都 市 の 文 科 系 通 信 制A大
学 院 教 育 学研 究 科(以
下 「A大 学 院 」 とい う)
で 学 ぶ 学 生 に対 して 、 学 ぶ 目的 、 動 機 等 を調 査 し、 また 同 学 生 が 抱 え る悩 み や 課 題 を き き と る
こ とで、 今 後 の社 会 人 大 学 院 の あ りか た を探 り、 また 「A大 学 院 」 の 実 態 を ま とめ る と と もに、
今 後 の課 題 につ い て考 察 す る こ とを 目的 とす る。 調 査 概 要 は以 下 の とお りで あ る 。
①調査 方法
基 本 項 目を対 面 に よ り質 問紙 に沿 っ て 回 答 を得 、 あ わせ て全 員 か ら追 加 調 査 の協
力 の 了承 を取 り、 随 時 に メ ー ル ・電 話 ・郵 便 に よ り調 査 を行 う。
②調査 対象
「A大 学 院」B専
攻
平 成13年 度 入 学生9名(入
学 時10名 、1名 が 早 期 に退 学 し
て い る た め9名)
③ 調 査 期 間9名
の う ち8名 に つ い て は、 平 成17(2005)年2月11・12日
の 広 島 へ の研 修 旅 行
期 間 中 に実 施 。 不 参 加 の残 り1名 につ い て は郵 便 に よ り調 査 を行 っ た 。補 足 的 に は 「同期 生 通
信 」(平 成13年4月
の属 性 は(表1)の
(2)内
号 ∼ 平 成14年6月
計13回)の
記 名 原 稿 も分 析 に使 用 した 。 調 査 対 象 者
とお りで あ る。 住 所 地 は東 北 か ら中 国地 方 の7府 県 で あ る。
容 及 び分 析 結 果'
質 問 を行 っ た 内容 は次 の9項
目で あ る。
① 大 学 院 へ の入 学 の動 機 、 目的
修 了 後 の 進 路(予 定)④
と
号
② 大 学 院 で 学 ん だ こ との 自分 の 将 来 へ の 影 響
大 学 院 で研 究 を進 め る う え で の課 題
⑥ 社 会 人 大 学 院生 を続 け てい く うえ で励 み に な る こ と
一106一
③ 大学院
⑤ 大 学 院 につ い て 望 む こ
⑦ 社 会 人 学 生 と して あ なた の
佛教大学大学院紀要
表1調
名前
年 齢(歳)
A
50代
B
40代
C
50代
D
40代
E
60代
F
30代
G
50代
H
60代
1
40代
所 属 す る会 社 ・団体 等 に望 む こ と
の変 化 の可 能性
第36号(2008年3月)
査対象者
性別
女
女
女
男
男
女
女
男
男
(17.2.11調
査 日 現 在)
職業
公務員
教 員 ・中 学校
教 員 ・中 学校
公務員傲 育職)
企業定年退職
看護職
教 員 ・小 学校
教育職定年退職
教 員 ・高校
⑧ 大 学 院 を修 了 す る こ とに よる勤 務 先 や 社 会 で の評 価
⑨ 生 涯 学 習 社 会 に あ っ て、 社 会 人大 学 院 の あ り方
まず ① ② ③ の項 目 につ い て 、Aか ら1に つ い て 聞 き取 りを行 い 、 ま とめ た 内容 を表2の
り作 成 した。
表2入
氏名
1
資格型
学 の動 機 ・目的 に よ る タ イ プ分 類
入 学 の 動 機 ・目的
・論文 をまとめるという長年の 目的
了
・卒論 を充 実 させ る た め
・看 護 学校 で 働 くこ と、 看護 教
・博 士 課 程 に進 学 H17.3修
了
(結果 と して院卒 は副 校長 資格)
・専 門性 を高め る(教 育職のた め)
育 の 中で 十 分役 に立 って い る
・多 い に役 立 っ た
(結果 として専修免 許)
・内地留学 の選考基準 の不 明
・論理的に物事を考えられるようになった
達成のため(結 果 として専修免許)
確 さ に触 れ、自分 の 力 の み で
入 学 しよ う と思 っ た
G
修了状況
H15.3修
D
研究型
修了後の 目標
・仕 事 に活 か す
F
B
学んだ成果 は何 か
・自信 につ な が っ た
・自分 と して は役 に 立 っ て い
るが 、 他 人 ま で の影 響 力 は
・子 ど もの 見 方 、'研究 の仕 方 、
的 に研 究 し ま とめ た い と思
文献の読み方 などを学ぶ こ
った
C
・仕 事 に活 か す
H17。3修
了
・放 送 大 学 で の
H17.3修
了
H17.4再
入 学
x1.4再
入学
H17.3修
了
H17.4再
入学
且17.4再
入 学
H18.3修
了
履修
持 ち合 わせ ていない
・今 まで を振 り返 り教 育 を多 角
・研 究 した い テ ーマ が あ っ た
希望
・通 信 制博 士
課程 に進学希望
とが で きた
・将 来 の 学 び の生 活 に入 る た
めには生涯教育 は私 の将来
・博 士 課 程 に 進
学希望
を言 い 当 て て い る
・今 ま で の仕 事 を総 括
・現役時代の学校教育 や社会
教育 を振 りかえ り総括す る
H
こ とが で き た
り調査な ど
・生 涯学 習 の援 助
・教 育 現 場 に モ ラ ルバ ック ボー
総括型
ンとしての宗教性 の大切 さ
・老 後 の生 きが い
E
A
・役 立 って い る
・教 育 コ ンサ ル タ ン トに活 かす
・仕 事 の課 題 の解 決
教養型
・地 域 で 聞 き取
・現 状 に飽 き足 ら な くて
\
・社 会 教 育 ボ ラ
ンテ イア
・長 い 目で 見 た 時、 考 え方 の
幅や分析の仕方 など分か っ
た ことが有益
一107一
・NPO法 人 で の
生涯学習の支援
とお
通信制大学 院生の現状 と今後の課題(宇
野
絹子)
① 資格 型 は、 専 修 免 許 状 の取 得 や 修 士 修 了 資 格 を め ざす タ イ プ、 ② 研 究 型 は研 究 した い テ ー
マ を持 っ て い た り、 多 角 的 に研 究 し よ う とす る タ イ プ 、③ 総 括 型 は定 年 退 職 を迎 え 、 今 ま で の
仕 事 や 人 生 を総 括 しよ う とす る タ イ プ、④ 教 養 型 は 資格 取 得 や 研 究 目的 で もな く幅 広 い 知 識 を
得 た い と考 え る タ イ プ で あ る。
今 回 の調 査 に よ る と別表 の とお り、9名
教 養 型:1名
中、
資 格 型:3名
、 研 究 型:3名
、 総 括 型:2名
、
とな っ た 。
資 格 型 は30代40代 の 人 で 、 大 学 院 修 了(15.3修
了 ・17.3修了)に
よ り結 果 と して 、 専 修 免 許
を 取 得 し主 幹 教 諭 とな り、 ま た看 護 職 で は看 護 学 校 の 副 校 長 資格 を取 得 して い る。 研 究 型 は、
30代 か ら50代 にわ た っ て お り、 テ ー マ を持 っ て研 究 した い と考 え る人 達 で あ る。 ま た、 総 括 型
は 、60代 で 現役 を定 年 した 人が 生 涯 の仕 事 を 総 括 し、 老 後 の生 きが い を追 求 し系 統 的 に学 ぼ う
とす る人 で あ る。 これ は西 岡 の い う 「教 育 者 と して の 高 齢 者 」(4)の側 面 を具 現 して い る。 教 養
型 は、 物 事 を多 面 的 に捉 え る力 を養 い現 状 を 改 革 し教 養 を深 め る こ と を 目的 と して い る。 現 在
の 仕 事 に活 か す の は も ち ろ ん で あ る が 、 多 面 的 な教 養 を志 向 して い る。 本 調 査 にお け る学 ぶ 目
的 ・動 機 の 分 析 は以 上 の とお りで あ った 。
社 会 人大 学 院 生 は大 学 院 で新 しい 知 識 や 技 能 ・分 析 能力 や もの の 見 方 な どを 身 に付 け 、 世 の
中 で そ れ を役 立 て よ う と して い る こ とが わ か る。 社 会 人 で あ る こ とで 制 約 の多 い、 決 して 平 坦
とは い え な い学 業 生 活 の なか で、 獲 得 した 知 識 や 新 た な 視 点 の も と に、 自分 の 生活 を切 り拓 き、
あ る い は深 め て行 こ う と して い る。
社 会 人 が 学 ぼ う とい う意 欲 は 、 安 定 の なか か らは生 まれ て こ な い もの で あ ろ う。 大 学 院 を め
ざ す 多 くの 人 は、 仕 事 や 自分 自身 の 生 き方 な どで さ ら な る 目標 が あ り、 そ れへ の 飛 躍 を期 待 し
て 学 び の場 に戻 っ て来 て い る とい え る。 そ れ だ け学 び に対 す るモ チ ベ ー シ ョンは 高 い 。
この よ う に して み る と、 大 学 側 に とっ て も、 社 会 人 大 学 院生 か らの様 々 な 目的 に 対 応 す る た
め の カ リ キ ュ ラ ム の検 討 が 求 め られ て い る とい え るで あ ろ う。 こ れ か らは 各 大 学 院 が もつ 個 別
の 特 色 に応 じた カ リキ ュ ラム の検 討 が な され て い くべ きだ と考 え る。
次 に、 ④ 研 究 を す す め る う え で の課 題 、 ⑤ 大 学 院 に求 め る こ と、⑥ 学 習 を進 め る う え で励 み
に な る こ と につ い て 得 た 回 答 は別 表 の とお りで あ る。(表3参
照)
こ こ で は 前 述 の 資 格 型 、 研 究 型 、 総括 型 、 教 養 型 の タイ プ 分 類 や 年 代 等 に よ る顕 著 な傾 向 は
見 られ ず 、 目的 ・動 機 ・年 代 等 の プ ロ フ ィー ルの 違 い は あ っ て も同 じ大 学 院 ・同専 攻 で学 ぶ 者
と して の共 有 で き る課 題 や 大 学 院 へ の 要 望 で あ る こ とが 分 か る。
は じめ に 、 ④研 究 を進 め て い く う えで の 課 題 につ い て 、 み て い く。 こ こで は⑦ 所 属 す る 会社 ・
団体 に 望 む こ とで 得 た 回答 も含 め て 、 本 人 に 関す る こ と と職 場 に関 す る こ との二 項 目に 分 け て
考 察す る。(表4参
照)
本 人 に 関 す る こ とで は30∼60代 とい う こ とで、 特 に 壮 年 以 降 で は個 人 差 が あ る と はい え、 仕
事 と学 業 を こ なす に は 、体 力 的 に無 理 が 利 か な い 年代 と な り、 若 い時 の よ うな根 気 が 続 か な い
108一
佛教大学大学院紀 要
表3研
タイプ
氏名
第36号(2008年3月)
究 を進 め る う え での 課 題 及 び 励 み に な る こ と
研 究を進 めるうえでの課題
・職 場 の 理 解 と協 力
大学 院に求 めること
・ス ク ー リ ン グの 増 や大 学 間の
1
励み になること
・同 じ目的で学 んでい る仲 間の支 え
・強 い 目的 意識
単位互換
・学 生 へ のIT技 術 の 推 進
・文 献 を読 み こ なす こ と
資格型
F鹽
D
B
時間の確保
・eラ
・仲 間や 大 学 との 連 帯 感 を ど う
リ ン グの 増
・仲 間や 大 学 との 連 帯 感
ーニ ン グの 推 進
・教 員 や 院 生 との 情 報 交 換
時間の確保
・同 じ志 を持 つ 人 との 交 流 の 必
・教 員や 院生 との出会 いや情報 交換
・多 くの 人 に学 ぶ 機 会 を
・同 じよ う に学 んで い る仲 間 と
・休 日夜間な ど年間通 じて受講 したい
の交流
・日常 の 学 習 の 支 援 体 制
要性
・田舎 住 まい の た め 文 献 の
・修 了後 も安価 に聴講 で きる とよい
・同期 生 と の ネ ッ トワー ク
・宗教性 を活か した教科 内容 を増やす
入手が困難
H
・共 に学 び あ う仲 間の 存 在
・院生同士の メールや手紙 のや り取 り
が困難
・仕 事 との 両 立
C
・勉 強 を続 け て い る と い う 自信
・ス ク ー
・学 びや す い 環 境 整 備
もつ か
G
・エ ク ス テ ン シ ョ ン セ ン タ ー 開 設
・若 い 時 の 根 気 が 続 か な い
・仕事量が多 く時間の確保
・通信制博士課程の 開設
総括型
E
教養型
・同期 生 と の連 絡 や助 け合 い
・教員 とのや り取 りをメールで したい
・仕 事 との 両 立
研 究型
・ス クー リン グ を増 や して ほ しい
A
・通 信 制 の ため 自分 だ け で の研
・通 信 制 の さ ら な る発 展
・同期 生 との交 流 や仲 間 との接 触
究の難 しさ
・年 齢 的(仕 事 の 比 重 ・健 康 面)
・修 了 に む けて の サ ポー ト体 制
・同期 生 と の交 流 や 情 報 交 換 に
な困難の種があ る
表4大
よ り孤独か ら解放 され る
学 院 で研 究 を 進 め て い く うえ で の課 題
研 究 を 進 め て い くうえ で の課 題
・体 の 無 理 が 利 か な い
本人 に
関す る こ と
年
齢
時
距
間
離
・若 い と きの根 気 が 続 か な い
・仕 事 が 忙 し く研 究 時 間 の確 保 が 難 しい
・田舎 住 まい の た め 文 献 入 手 が 困 難
・モ チ ベ ー シ ョ ン維 持 の た め 仲 間 や 大 学 との 連帯 感 を ど う もつ か
精神面
・同 じ志 を持 つ 人 との 交 流 の 必 要 性
・研 究 計 画 を しっ か りた て る こ と
学業面
・通 信 制 の た め 自分 だ けで研 究 を行 う こ との 難 しさ
・文 献 を読 み こな す こ と
仕事 の量
転 勤
・仕 事 が 忙 し く研 究 時 間の確 保 が 難 しい
・在 学 中の 転 勤 の 配 慮 が ほ しい
・勤 務 形 態 を工 夫 し、 学 び や す い 環 境 をつ くっ て ほ しい
職場 に
関す る こ と
学 び易 い
環境整備
・ス ク ー リ ン グ時 の 特 別 休 暇 を認 め て ほ しい
・平 日に講 義 に出 席 す る際 の 配 慮 が ほ しい
・多 くの人 に学 ぶ 機 会 の 提 供 を
・職 場 の理 解 と協 力 が ほ しい
理
解
・在 学 して い る こ とで 仕 事 に全 力 投 球 して い な い よ うに 見 る 意識 を
変 えてほしい
109一
通信制大学院生の現状 と今後の課題(宇
野
絹子)
と答 えて い る。
さ ら に、 精 神 面 で は 通 信 制 で あ る た め 、 モ チ ベ ー シ ョ ン維 持 の た め の 大 きな要 素 と して 、 仲
間 や 大 学 との 連 帯 感 を ど う持 つ か を課 題 と して あ げ て い る 。 この こ と は 自分 だ け で の研 究 を 進
め る こ との 難 しさで もあ る。 そ れ は同 じ志 を持 つ 人 との 交流 の 必 要性 とい う とこ ろ につ な が る。
学 業 の 面 で は、研 究 計 画 を し っか り立 て る こ とや 文 献 を読 み こな す こ と をあ げ て い る。
職 場 に 関す る こ とで は、 仕 事 の量 が多 い 、研 究 時 間 の確 保 が 難 しい と答 え た者 が9名 中5名
で
あ っ た 。 中 堅 で あ るが ゆ え に 、 相 応 に責 任 も あ り、 質 量 共 に 仕 事 の負 担 が 大 き い 時 期 で あ る。
家 庭 と職 場 の生 活 に加 え て大 学 院 生 と して の暮 ら しが 加 わ る こ と は 、 想 像 以 上 の 困 難 が 伴 う。
仕 事 と勉 強 との 両 立 は、 現 実 面 の 困 難 さ に加 え て、 常 に 心 理 的 なス トレス を 呼 び起 こす こ とで
も あ る。
他 に は在 学 中 の 転 勤 の 配 慮 を して も らい た い とい う意 見 や 、 授 業 に 出席 で きる勤 務 体 制 の確
保 を望 む 者 もい た 。 転 勤 につ い て は、 今 回 の調 査 で も9名 中4名 が 転 勤 して お り、 う ち2名 に
つ い て は、4年
間 で住 所 を移 して の転 勤 が 各 々2回 行 な われ て い る。 仕 事 の種 類 や 内 容 に よ り、
転 勤 は や む を得 ない 部 分 もあ る と は思 う も の の、 限 られ た 在 学 期 間 で あ る わ け だ か ら、 そ の あ
た りの 配 慮 が ほ しい とい う意 見 で あ る。 た だ で さえ研 究 時 間 の 確 保 が 困難 な と ころ に、 転 勤 は
あ る 時期 ま た研 究 の足 踏 み を余 儀 な くされ る こ と に な る。
そ の他 に は、 勤 務 形 態 を工 夫 す る こ とで、 学 び易 い 環 境 を作 っ て ほ しい 、 また ス クー リ ン グ
に 出 席 す る際 の 配慮 や特 別 休 暇 を 認 め て ほ しい な どの 意 見 が あ っ た 。OECD(経
構)で
済協 力 開 発 機
は 、 職 場 で有 給 休 暇 を も ら っ て学 校 に 帰 り、 新 しい 知 識 ・技 術 を身 に付 けて 再 び職 場 に
戻 っ て 仕 事 をす る。 これ を生 涯 の う ち に何 回 も繰 り返 す こ とに よっ て 、 人 間 は成 長 発 展 す る と
い う考 え 方 で あ る 。(5)
わ が 国 に お い て は、OECDの
い う リカ レ ン トで は な く、 また 、 教 育 休 暇 制 度 に は至 っ て い な
い 。 む し ろ わが 国 の職 場 の 実 態 は、 「職 場 で は仕 事 に没 頭 して い る方 が 高 い 評 価 を受 け る」 「社
会 人 大 学 院 生 で あ る こ と を社 内 で 公 言 しず らい 雰 囲 気 を な く して ほ しい」(『社 会 人 大 学 院 生 の
実 像 発 見 』-1995年
度 調 査 結 果)な
どの 声 に象 徴 さ れ る よ うな勤 務 先 の 無 理 解 が あ り、現 在 で
も概 ね 同 じ状 況 に あ り、 職場 の 雰 囲気 の改 善 を 求 め る声 が あ る の が現 状 で あ る。
本 調 査 に お い て も、精 神 面 で は、 職 場 に 対 して 、 学 ん で い る こ と に対 して の理 解 と協 力 を求
め て い る。 全 体 と して職 場 に 関 して は 、 中 堅 とい わ れ る 人達 が ほ とん どで あ り、 控 え め な 意 見
とな っ て い る。 『日本 人 の しつ け と教 育 』(6)によ る と、 「ど う して も誰 か が特 別 な利 益 を得 れ ば 、
誰 か が そ の 分 、 損 をす る とい うゼ ロサ ム 原 理 が働 くの で 、 突 出へ の抑 制 が必 要 に な る 。」 と述 べ
られ て い る よ うに 、 暗黙 の う ち に衝 突 回 避 の 知 恵 と も言 え る抑 制 が働 い て い る よ うに 思 う。 そ
れ ぞ れ が 経 費 も 自費負 担 で 、 ス ク ー リ ング 等 も休 暇 を とっ て参 加 して い る に もか か わ らず 、 職
場 か らは十 分 な理 解 が得 られ て い な い こ と な どの 不 満 が 、 職 場 に対 す る厳 しい批 判 と して で は
な く、 意 見 ・要 望 とい う形 で 現 わ れ て い る。 大 学 院 生 で あ る こ と を職 場 が 支 援 して くれ 、 ま た
110一
佛 教 大 学 大 学 院紀 要
第36号(2008年3月)
学 ん で い る こ との効 果 を認 め て くれ る な ら ば、 どれ だ け心 理 的 に 負 担 が 軽 くな る だ ろ うか。
職 場 に 関 連 す る こ と で は、 ⑧ の項 目で 修 士 課 程 を修 了 す る こ とで 、 所 属 す る 会社 ・団体 等 で
の 評 価 が 変 る と思 い ます か と問 い か け た 。 結 果 は
・評価 の 向 上 はあ る と思 う。3名
・そ の他
・そ ん な に 変 らな い と思 う4名
自信 につ なが る(定
年 退職 者)2名
と な って い る。 教 員 にお け る専 修 免 許 や看 護 教 員 にお い て は副 校 長 資 格 な ど具 体 的 な昇 進 の 可
能 性 は あ る もの の 、6名
は、 評 価 は そ ん な に変 わ ら な い と思 うが 自分 自身 の 自信 につ なが る と
述 べ て い る。 これ は わ が 国 で は、 生 涯 学 習 の 機 会 を作 っ て も、 評 価 され ない と い う評 価 の実 態
を 表 して い る。 元 々 、 入 学 の 目的 ・動 機 か ら資 格 型 に分 類 で きた の は3名 で あ り、 残 りの者 は
外 か らの 評 価 を 第一 義 的 に は期待 し て い な い 人 た ち で あ る。 全 員 が 地 位 や 評 価 の た め とい う よ
りは 、 自分 の働 き方 を 考 え 直 す こ とや 、 社 会 貢 献 を 目指 す な ど の 強 い 動 機 づ け を も っ て い る 。
しか しな が ら、 通 学 へ の熱 意 な ど を含 め、 人 は 評価 され て さ らに成 長 す る もの で あ る とい う の
は変 わ らな い教 育 の原 理 で あ ろ う。
次 に⑤ 大 学 院 に求 め る こ と、 「A大 学 院 」 に対 し て求 め る こ とや 望 む こ と につ い て質 問 した 。
⑨ の社 会 人 大 学 院 は ど うあ るべ きか で 得 た 内容 も合 わ せ て 、 大 学 に対 して と教 員 に対 して の2
つ の項 目 に分 類 した。(表5参
照)さ
らに大 学 に 対 して で は 、履 修 、 制 度 、 設 備 の3項 目に 分 類
す る こ とが で き る。
表5大
学院 にもとめること
大 学 院 に も とめ る こ と
・ス クー リ ン グ科 目を増 や して ほ しい
・ス クー リ ン グ の 開催 時 期 を増 や してほ しい
履
修
・宗 教 性 を生 か し た教 科 内容 を増 や して ほ しい
・通 学 生 と通 信 生 を ま じえた ゼ ミ ナー ル を
・休 日 ・夜 間 な ど年 間通 じて 受 講 で きる よ うに
・夜 間大 学 院 の 開設
大学 に
対 して
・e一 ラー ニ ン グの 導 入 を
制
度
・大 学 院 間 の 単 位 互 換 を
・教育学通信制博士課程の新設 を
・修 了 後 も安 価 に聴 講 で き る と よい
・エ ク ス テ ン シ ョ ン セ ン タ ー の 設 立
・図 書 館 の 休 日利 用 と遅 くまで の 開 館
設備等
・図 書 館 の 文 献 の 充 実
・学 生 へ のIT技 術 の 推 進 方 策 を
・通 学 院 生 と通信 院 生 交 えて の ゼ ミナ ー ル を
・日常 の 学 習 支援 体 制 が 必 要
日常 の
教員 に
対 して
指導で
・教 員 と院 生 との 情 報 交 換
・修 了 に む け て の サ ポ ー ト体 制 を
・教 員 の研 究 分 野 を オ ー プ ンに
・面接 指 導 で は本 来 の 修 論 指 導 を
修論指導
・教 員 とメ ー ル で や り取 り した い
一111一
通信制大学院生の現状 と今後の課題(宇
野
絹子)
まず 大 学 に対 して の要 望 の うち 、履 修 に関 して は、 ス ク ー リ ン グの 科 目や 機 会 の増 を望 む 者
が3名 い た。
制 度面 で は、 休 日、 夜 間 な ど年 間 を通 じて受 講 で きる よ うに 、eラ
ー ニ ング の導 入 や夜 間 大
学 院 の 開 設 、 大 学 院 問 の単 位 互 換 制 度 の 創 設 な どの声 が あ っ た 。eメ
ー ル は、 学 生 と教 員 と の
コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン不 足 を補 う手段 と も な る。 中央 大 学 通信 制 大 学 院 な どで は遠 隔 ゼ ミナ ー ル
や 遠 隔 デ ィ ス カ ッ シ ョ ン等 の 共 同 学 習 の 試 み が進 ん で い る 。佛 教 大 学 で も レポ ー トや 試験 の 提
出 がSSTネ
ッ トで オ ン ラ イ ンに よ る提 出 が 可 能 と な り利 便 性 の 向 上 が 図 られ て い る。 そ の他 、
教 育学 の通 信 制博 士 課程 の新 設 な どを望 む声 が あ っ た。 「A大 学 院」 に お い て は、 通 信 制 の 教 育
学博 士 課 程 の新 設 には まだ 時 間 が か か る と して も、 修 了 後 も安 価 に聴 講 で き るな ど大 学 と の 関
わ りを持 ち た い との 声 もあ っ た。
最 後 に、 ⑥ 社 会 人 大 学 院 生 を続 け る うえ で励 み に な る こ と と い う問 い に 対 して は 、 表3に
あ
る よ う に、 圧 倒 的 に同 期 生 あ るい は 院生 同 士 の 交 流 や 情 報 交 換 等 を励 み に して 、 孤独 な研 究 作
業 に立 ち 向 か っ て い る こ とが うか が え る 。 月 一 回 発 行 の 「同期 生 通 信 」 や 懇 親 会 等 で 得 ら れ た
内 容 も含 め て大 き く分 け る と、 精神 面 で の励 ま し、技 術 面 で の情 報 の提 供 及 び相 互 交 換 に よ り、
モ チ ベ ー シ ョ ンの 維 持 あ る い は学 習 の 支 援 に大 い に貢 献 して い る 。 学 び は一 人 で で き る も の で
は な い。 共 に学 ぶ 仲 間 の存 在 は必 要 不 可 欠 で あ り、 対 話 す る 中 で研 究 内 容 も深 ま っ て くる もの
なの で あ る。 「達 成 し よ う とい う学 生 の熱 心 な努 力 を奮 い 立 た せ るの は、 大 切 な友 人 か らの 人 間
的支 援 や 、 そ の 友 人 に対 す る責 任 感 な の で す 」 とD.W.ジ
ョ ン ソ ン らは 『学 生 参 加 型 の 大 学
授 業 』(7)で述 べ て い る。
精 神 面 で は、 年 齢 的 に も仕 事 で も家 庭 で もそ の他 諸 活 動 で も、 責 任 あ る 中堅 とい わ れ る 立 場
に あ る もの が 大 半 で あ り、 一 方 、 身体 面 で も病 気 等 の リ ス ク が 高 ま る年 代 で あ る 。 病 気 ・転
勤 ・被 災 な ど長 い 学生 生 活 の なか で い ろ ん な困 難 に遭遇 した 時 、 学 生 同 士 が 近 況 を報 告 しあ い 、
励 ま しあ い 、 一 時 の学 習 の停 滞 か ら抜 け だ し、 また 目標 にむ け て 頑 張 る力 に な っ て い る。
具体 的 に は、 レポ ー トや研 究 計 画 書 の再 提 出 な ど順 調 に 進 ま な い学 習 の 過程 で 、 そ れ ぞ れ の
経験 を情 報 交 換 し、励 ま しあ い 、 資 料 の提 供 や 文 献 の 紹 介 な ど支 え あ うな か で 連 帯 感 を高 め て
きて い る。 そ れ は 同 期 生 の 中 で 個 々 の研 究 テ ー マ を公 開 し、 共 通 理 解 の 基 盤 が あ るか ら こ そ情
報 が 的 を射 た もの に なっ て い る の だ と考 え る。
技術 面 で は、 文 献 の探 し方 や 紀 要 の入 手 方 法 、HPの 利 用 方 法 な どが 、 熟 知 した者 か ら同 期 生
全 員 に、 情 報 提 供 され て い る。 論 文 の脚 注 の 打 ち方 、 ペ ー ジ設 定 な どパ ソ コ ンの 操 作 技 術 に 至
る まで 、 経 験 か ら知 り得 た こ とが 惜 しみ な く提 供 され て い る。 一 般 に 友 人 間 で は当 た り前 の こ
とで あ る と思 わ れ るが 、 住 所 地 が 全 国 に 散 在 して い る 同期 生 が 、 学 ぶ とい う共 通 の 目的意 識 の
も とに友 好 的 な 関 係 が 築 か れ た と考 え られ る。 そ れ に至 る に は 、 回 を重 ね る親 睦 の場(懇
や 研 修 会)に
親会
よ り親 近 感 が 増 し、 人柄 へ の 高 感 度 も高 ま り近 しい 友 人 の 関 係 へ と発 展 して きた
ので あ ろ う。
-112一
佛教大学大学院紀要
第36号(2008年3月)
また 修 士 論 文 の 中 間発 表 会 で、 教 員 か らの 厳 しい語 調 の苦 言 に 落 ち込 ん だ場 合 、 レポ ー トが何
ヶ月 も返 却 され なか っ た時 な ど の 落胆 や 心 配 も、 ゆ と りあ る 時 間 の 中で は、 話 し合 うこ とで 誤
解 を解 き理解 し合 え る事 柄 で あ るが 、 通信 生 に とって は 時 間 の 制 約 が あ り、 学 生 同士 の交 流 の
中 で 解 決 され な けれ ば、 ひ と りで抱 え 込 む こ とに な る 。
これ らの学 生 が 感 じた不 安 や 疑 問、 不 満 とい った こ とは、 な か なか オ フ ィ シ ャ ル な場 で は語
りに くい 一 面 が あ る。 分 か り合 っ た者 同士 が 、 同 じ目的 意 識 を もっ て 集 って い る者 同士 の 問 で
こそ 、 語 り合 い励 ま しあ う こ とが で き、 また 実 際 に心 に届 き効 果 を発揮 し、 強 い 力 に な っ て い
くこ とが 分 か る。 そ の 様 子 は次 の よ うに な る 。(図 参 照一 筆 者作 成)
③ ピア サ ポ ー ト体 制 で の ネ ッ トワ ー ク
①テ
《
←→
研究指導
蠣
事務
学習相談
凾
燗 的支援
②ス
(図の 説 明)
① テ キ ス ト履 修
学 生 と教 員 ま た は教 務 事 務 との 関 係 は、 研 究 指 導 等 、 個 別 に対 応 さ れ る もの で あ り、 そ れ ぞ
れ で は完 結 され て い く事 柄 で は あ るが 、 そ れ以 上 の発 展 性 は ない 。
② スクー リング
専 門 科 目の ス ク ー リ ング は ゼ ミ形 式 で行 わ れ る場 合 が 多 く、 教 員 を交 え て の意 見 交 換 が 、 通
学 制 と同 様 に展 開 され る 。学 生 同 士 も 同 じ場 を 共有 す る こ と に よ り、 講 義 内容 も深 ま り、 親 密
な人 間 関係 作 りの きっ か け とも な る。
一113一
通信制大学院生の現状 と今後の課題(宇
野 絹子)
③ ピア サ ポ ー ト体 制 で の ネ ッ トワー ク
ピ アサ ポ ー ト体 制 で は 、 学 生 間の 関係 が 、 ス クー リ ング履 修 時 の 関 係 に比 べ 、 太 いパ イ プ と
な り連 携 が 強化 され る。 学 生 と学 生 との個 々 の つ なが りだ け で は な く、 ひ と りか ら全 体 へ 、 全
体 か らひ と りへ と、 情 報 及 び 人 間 的 支援 の ネ ッ トワー クが 構 築 さ れ て い る。
イ ヴ ァ ン ・イ リ ッチ は 『脱 学 校 の 社 会 』(8)のな か で 、 学 習 に 泌 要 な 資 源 と して 、 「事 物 ・規
範 ・仲 間及 び 年 長 者 」 をあ げ 、 「そ の 資 源 を利 用 可 能 な もの にす る学 習 の た め の ネ ッ トワ ー ク」
と して4つ の もの を上 げ て い るが 、 そ の3番
目に 「
仲 間 選 び」(ピ ア ・マ ッチ ン グ)を あ げ て い
る。 「一 人 一 人 の活 動 が特 殊 化 さ れ そ の活 動 の た め に、 そ れぞ れ が 仲 間 を捜 す よ う な もの 、 あ る
任 意 の 時 期 に 同 じ特 殊 な 関心 を 持 っ て い る人 々 が 出 会 う た め の チ ャ ンス を 増 や す よ うな 制 度 」
(7)の必 要性 を述 べ て い る。
これ らを 総括 す る と、 学 生 が 学 生 を支援 す る、 相 互 に学 び あ い 教 えあ う く ピ アサ ポ ー ト〉 の
重 要 性 に つ い て 気 付 か され る。 ピ アサ ポ ー ト制 度 につ い て は 「Between」2005No214で
礼 子 が 「ア メ リ カの 大 学 で は、 様 々 な場 面 で 学 生 が 学 生 を支援 して い る。(略)ピ
山田
ア リー ダ ー が
オ リエ ンテ ー シ ョン授 業 の 中 で、 指 導 や 助 言 を して い る 。 デ ィス カ ッシ ョ ンの リー ダ ー役 を務
め た り、 レポ ー ト作 成 の指 導 を した りす る。 そ れ が ピア リー ダー を務 め る学 生 自身 の 成 長 に つ
なが って い る」 と して い る。
国内 で は、 通 学 制 の学 部 にお い て で あ るが 、 愛 媛 大 学 の ホ ー ム ペ ー ジ に よ る と、 「ピ ュ ア@カ
フ ェ」 を設 置 し、 先 輩 学 生 に よ る何 で も相 談 や ボ ラ ンテ ィア情 報 の掲 示 を行 っ て い る と あ る。
ま た名 古 屋 大 学 で は、 学 生 の 「困 っ た1」
の解 決 の た め の 「名 大 ピ アサ ポ ー ト」 が あ る。 学 生
同士 が相 談 に 乗 り、 ア ドバ イ ス を し合 い 、 支 え あ う とい う当 た り前 の よ うで い て古 くて新 しい
手 法 が 、 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンに 欠 け る現 代 を反 映 す る 現 象 で あ るが 、 そ の教 育 効 果 が 期待 され
て い る。
皿
1「A大
サ ポ ー ト体 制 の 必 要 性
学 院 」B専 攻 の事 例
II章 の 調 査 の 分 析 で 、社 会 人 大 学 院 生 を続 け る う えで 励 み に な る こ とは 、 共 に学 ぶ 同期 生 や
仲 間 の励 ま しで あ る と述 べ られ て い た 。 同様 の声 は 、 体 験 記 や 各 種 ホ ー ム ペ ー ジで も よ く見 か
け られ る が 、 本 章 で は優 れ た ピ アサ ポ ー トを行 っ て い る具 体 的 な もの を紹 介 し、 サ ポ ー ト体 制
の 具体 例5項
まず1点
目を 明確 にす る と とも に、 ピ アサ ポ ー トの必 要 性 につ い て考 察 す る。
目 は、 入 学 式 終 了後
個 人 情 報 保 護 に 基 づ く取 り扱 い に 配慮 し なが ら リ ー ダ ー を決
め 、 メ ー リ ング リス トを作 成 す る と共 に集 合 写 真 の撮 影 を行 い、 世 話 人 を互 選 し通 信 費(会 費)
を徴 収 した こ と。
-114一
佛 教大学大学院紀要
第36号(2008年3月)
2点 目は 、 集 合 写 真 を 送 る 際 、 顔 と名 前 が 一 致 す る よ う に 、 写 真 に名 前 を付 して 各 自に 送 付 し
た こ と。
3点 目 は 、 月 刊 の 「同 期 生 通 信 」(A4版)を
発 行 し た こ と。
平 成13年4月
∼ 平 成14年6
月 の 間 に 計13回 発 行 した 「同 期 生 通 信 」 は 、 入 学 後 の 初 期 段 階 に人 間的 つ なが りを深 め る重 要
な役 目 を果 た した。 各 自の 近 況 を掲 載 した 「同 期 生 通 信 」 が 果 た した 役 割 は大 き く、 同期 生 の
間 に親 近 感 が芽 生 え、 緊 密 な人 間 関係 へ と発 展 した。
4点 目 は、 機 会 を と らえ て 懇 親 会 を 開催 した こ と。 大 学 院 の行 事(中
間発 表 会 ・ス ク ー リ ン
グ等)が
開催 され る と きに は 、 そ の機 会 を逃 さず 懇 親 会 を 開 催 して きた 。(H13∼H17延
回)会
場 は各 自 の帰 宅 の便 を考 慮 し、 主 に新 幹 線 の タ ー ミナ ル付 近 で 開催 して きた 。
5点 目 は、研 修 旅 行 を実 施 した こ と。1回
開催 した 。 同 期 生9名
目の研 修 旅 行 は、 平 成17年2月11・12日
中8名 が 参 加 し、 他 の期 生3名
べ15
に広 島 で
が 加 わ り、 一 泊 二 日で 広 島 ・江 田 島 ・宮
島 をそ れ ぞ れ テー マ を も っ て旅 行 した。
ま た 、 上 記 以 外 で も2∼3名
規 模 の 懇 親 会 は面 接 指 導 時 等 に 随 時行 わ れ 、 各 々同 期 生 との メ
ー ルや 手 紙 の交 換 に よ り情 報 交 換 や 交 流 が 行 われ て い る。
交 流 の成 果 につ い て 、 調 査 内 容 か らま と め る と次 の よ う に な る。
精 神 面 で は 、 励 ま し合 い親 しむ こ と に よ り、 モ チベ ー シ ョ ンの維 持 に貢 献 して い る。 通 信 制
で は孤 独 にな りが ち な履 修 計 画 の 進 め 方 や 時 間管 理 の 難 し さが あ る が、 交 流 の都 度 、 刺 激 と励
ま しを受 け克 服 へ の 力 と な って い る。
技 術 面 で は 、研 究 に関 して、 文 献 の 調 べ 方 、 パ ソ コ ンの 設 定(表 作 成 や 脚 注 の入 れ 方 な ど)、
レ ポー トの書 き方 、 参 考 資 料 の 交 換 ・提 供 な ど具 体 的 な ノ ウハ ウが 失 敗 談 も交 え情 報 交 換 され、
学 習 の 進 行 の 助 け と な って い る。,
2サ
ポ ー ト体 制 にお け る大 学 院 へ の 要 望
前 節 で事 例 を紹 介 した が 、 大 学 と して も学 生 の 自主 的 な 活 動 に任 せ る だ け で な く、 学 生 の履
修 を支 援 す る とい う立場 か ら、 次 の 点へ の 配 慮 が 求 め られ るの で は ない だ ろ うか。
① 入 学 して 問 もな い 頃 や 、 困難 に 直 面 し 自信 喪 失 した時 、 先 輩 学 生 か らの 体 験 に基 づ い た ア ド
バ イス は励 み に な る 。 オ リエ ンテ ー シ ョンや 中 間発 表 会 な ど、 対 面 の 場 で 意 見 交 換 で き る場 が
必 要 で あ る 。② ス クー リ ン グ等 の対 面 の機 会 を と らえ、 学 生 側 の 要 望 が あれ ば、 同期 生 の ミー
テ ィ ン グ の 時 間 と場 所 を提 供 す る 。③ 大 学 ホ ー ムペ ー ジ で の 同 期 生 の 会 議 室 、 メ ー ル マ ガ ジ ン
の 活 用 等 で情 報 交換 を図 る。 人 的 サ ポ ー トは ボ ラ ンテ ィ ア を募 る な ど して 行 う。 ④ 修 了生 へ の
フ ォ ロ ー ア ップ と して 、 大 学 との 関係 を継 続 す る ため の 、 修 了 生 も参 加 で きる新 しい学 習 コー
ス の 開 講 や研 究発 表 の場 の提 供 を行 う。
-115一
通信制大学 院生の現状 と今後の課題(宇
N通
1社
野
絹子)
信制大学院の今後の展望
会 人 大 学 院 の あ り方
す で にII章 で は、 「A大 学 院 」 生へ の 調 査 に 基 づ き考 察 し、 皿 章 で はサ ポ ー ト体 制 の必 要 性 に
つ い て検 討 して きたが 、 こ こで は、 社 会 人 大 学 院 の あ り方 を さ ぐ り、 さ らに 通信 制 大 学 院 の今
後 を展 望 す る。
生 涯 教 育 は 自分 の可 能性 を伸 ば し自 己実 現 で きる こ とで あ るの み な らず 、 ひ とが 進 むべ き方
向 を模 索 しつ つ も見 極 め 、 す べ て の人 と共 に相 互 に 学 び あ い 教 え あ う 中 で 、歴 史 を創 造 す る 力
と もな りう る もの で あ る 。
社 会 人 が 大 学 院 で 学 ん だ こ とが 、 昇 給 ・昇 進 な ど、 社 会 で 評 価 され る こ とが 期 待 さ れ るが 、
そ の た め に は、 既 存 の 学 歴 シ ス テ ム か らの脱 皮 を図 る こ とが 必 要 で あ る。 具 体 的 に は企 業 等 に
お い て 修 士 の学 位 を 自己 申告 させ る制 度 や 、社 内 選 抜 ・国 内留 学 選 考 外 で あ って も、 修 了 者 を
事 後 承 認 して 費用 の 補 助 を行 う な どの 制 度 の 緩 和 が 求 め られ る。 一 方 、 院 卒 とい う ひ と く く り
の 評 価 は あ ま りに粗 雑 で あ り、 学 位 に の み注 目す る の で は な く、 実 際 に 修 得 し た教 育 内容 が 問
われ るべ きで あ る。 ま た そ れ は 、大 学 院 の 教 育 内 容 並 び に大 学 院 生 の 質 が 問 われ る こ とで もあ
り、 評 価 す る社 会 、 評 価 され る学 生 及 び 大 学 院 双 方へ の刺 激 とな る。
大 学 院 が 多 くの 社 会 人 を進 ん で 受 け 入 れ る こ とは、 学 生 個 人 は もち ろん の こ と、 当 の大 学 院
や大 学 教 育 に と って も大 きな 意 味 が あ る。 年 齢 、 職 業 、 学 歴 な どで 多 様 な背 景 と属 性 を もつ 社
会 人 が 、 高 い 学 習 意 欲 や 問 題 意 識 を も って 、 学 生 同士 あ る い は 教 員 と触 れ 合 う こ とで新 鮮 な刺
激 を与 え合 う こ と は、 大 学 院 に とっ て も静 か ら動 へ と活 性 化 の 原 動 力 と な る だ ろ う。 また 、 企
業 に 評価 シス テ ム の改 善 を 求 め るの で あ るか ら、 大 学 院 と して も学 位 に見 合 う資 質 ・人材 の 養
成 が急 務 で あ る。 大 学 院側 が 責 任 を も っ て送 り出 した 学 生 が確 固 た る社 会 的評 価 を 得 て い くこ
とは 、大 学 院 に とっ て も重 要 で あ る。
2通
(1)通
信 制 大学 院 の今 後 の展 望
信 制 の メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トにつ い て の 考 察
白石 は 「通 信 制 は 、 通 学 の 時 間、 修 学 の期 間 も各 々の 生 活 のペ ー ス で進 め や す い 。 学 費 も通
学 課 程 に 比 べ低 廉 で あ る。 修 了 まで の心 理 的不 安 は消 え な いか も しれ ない が 、 地 理 的 、 時 間的 、
経 済 的 制 約 が小 さい の で 不 安 は軽 減 で きる 。 …
た だ し修 了率 の悪 さ、 卒 業 率 の 悪 さ、 中 途
退 学 者 の 多 さ は社 会 人 の遠 隔高 等 教 育 の大 きな課 題 と して残 る」(10)と課 題 を あ げ て い る。 この
点 に 関 して 、 本論 で は通 信 制 の マ イ ナ ス 面 を補 完 す る もの と して 、 サ ポ ー ト(学 生 同士 の 助 け
合 い や 大 学 院 との パ イ プ)体 制 の 必 要性 をあ げ 、 サ ポ ー トが 強 くな け れ ば学 生 が 修 了 に至 らず 、
途 中退 学 して い く可 能 性 は高 くな る と考 え る。 様 々 な場 面 で の 学 生 同 士 の 援 助 活 動 く ピア サ ポ
ー ト〉の 大 き な効 果 とい う もの を本 調査 か ら明 らか に す る こ とが で きる。
-116一
佛教大学大学院紀要
第36号(2008年3月)
物 理 的 あ る い は 心 理 的 に他 の学 生 の 近 く にい て 、 他 の 学 生 を助 け る こ と、 他 の 学 生 と学 習 内
容 を共 有 す る こ と、 これ らは学 生 同士 の励 ま しあ い を生 む 。 また 社 会 的 技 能 と もい え る リ ー ダ
ー シ ッ プ や信 頼 形 成 、 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン能 力 の 養 成 に も役 立 つ 。 これ は イ ン ター ネ ッ ト等 の
普 及 に伴 い、 今 改 め て 求 め られ て い る学 力 観 と も い え る もの で あ り、 青 年 層 な らず と も現 代 を
生 き る者 へ の共 通 の 時 代 的 要 請 とい え る もの で は な い か と考 え る。 何 よ りサ ポ ー ト体 制 を進 め
るた め の ネ ッ トワー ク作 りが 重 要 な 要素 とな る 。
通 信 制 大 学 院 に あ っ て は、 サ ポ ー ト体 制 に よ り通 信 制 の マ イ ナ ス 面 を補 完 し、 最 終 的 に質 の
高 い 学 生 を養 成 し、 か つ 修 了 率 を上 げ る努 力 が 求 め られ る。
また 、 昨 今 の イ ン ター ネ ッ トの 普 及 に よ り、 大 学 との事 務 的 な 連 絡 や 教 員 か ら受 け る研 究 指
導 は非 常 に便 利 に な っ た 。 学 生 側 か らは更 な るeメ ー ル の 利 用 拡 大 を望 む 声 が あ る反 面 、 本 調
査 で もわ か る とお り、 対 面 式授 業(ス
クー リ ング)へ の 期 待 も大 きい。 「同 期 生 通 信 」 に も 「対
面 して うけ る講 義 は 、 身体 全 体 に刺 激 を与 え る 」 と述 べ られ て い る。
2002年2月
の 中 教 審 答 申 で は、 各 大 学 院 に よ る指 導 教 員 と学 生 との 接 触 機 会 を よ り多 く確 保
す るた め の努 力 に つ い て 「学 習 過 程 に お い て 、 学 生 間 で 意 見 交換 や 情 報 交 換 等 の交 流 を行 う こ
とは 、 相 互 に刺 激 を 与 え合 い 、研 究活 動 に も好 ま しい 影 響 を もた ら し得 る」 と述 べ られ てい る。
これ ら は通 信 制 を 考 え て い くう えで 重 要 な 課 題 で あ る と思 わ れ る 。 特 に 通 信 制 に あ っ て 、入 学
を志 した 者 が 研 究 目標 を達 成 し、 ドロ ップ ア ウ トす る こ とな く修 了 に 至 る た め の 方 策 を検 討 す
る こ と は、 学 生 に とっ て も大 学 院 側 に とっ て も重 要 で あ る 。解 決 に 向 け て の 作 業 は、 生 涯 学 習
社 会 の 発 展 へ の 阻 害 要 因 の解 決 策 とな る で あ ろ う。
(2)通
信 制 大 学 院 にお け る コ ミュニ ケ ー シ ョンの 方 法 につ いて
通 信 制 大 学 院 に お け る コ ミュニ ケ ー シ ョ ンの 方 法 に つ い て は 、 イ ン ター ネ ッ ト等 の マ ル チ メ
デ ィ アの 利 用 が 急 速 に 進 む 中 、 様 々 な意 見 が あ る。 大 き く分 け る と3つ の 立 場 に分 類 す る こ と
が で きる 。
1つ 目 は、 従 来 の 通信 制 の 授 業 を補 完 す る もの と して 、IT等 を利 用 した 遠 隔 教 育 を活 用 し よ
う とい う立 場 が あ る 。
学 生 が 自宅 で 自学 自習 す る テ キ ス ト履 修 に お い て も、情 報 機 器 を 活用 す る こ と に よ り、 教 員
と学 生 と の双 方 向 の コ ミ ュニ ケー シ ョ ンを援 助 す る こ とが 、 学 習へ の モ チ ベ ー シ ョ ンを高 め る
こ と に な る。 こ れ に つ い て は 「学 生 が 求 め る授 業 とは 、双 方 向 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが 可 能 で
あ り、 授 業 に参 加 して い る意 識 を高 め る こ とが で き る もの で あ る。」(11)との 高 橋 らの 報 告 が あ
る。
2つ 目は、 対 面 式授 業 の マ イ ナ ス面 を改 善 す る もの と して 、 通 信 制 あ るい はIT利 用 の遠 隔教
育 に期 待 す る立 場 で あ る。 「対 面 の集 合 学 習 で は師 弟 問 や学 生 間 の社 会 的 身 分 が 反 映 され、 学 習
者 は 自 由 な言 動 を 差 し控 え、 対 人 的 緊 張 感 も生 まれ や す い。」 と白石(10)は述 べ て い る。 人 間 関
係 と は、 そ れ ぞ れ の 関 係 性 の 中 で周 囲 の状 況 を見 な が ら 自分 の 立 ち 位 置 を補 正 しつ つ 、 構 築 さ
一117一
通信 制大学院生の現状 と今 後の課題(宇
野
絹子)
れ て い く もの で あ る。 しか し、 そ の こ とに よ り 自由 な学 習 活 動 が 阻害 され る場 合 は 問題 で あ る。
そ の た め 「閉 ざ され た研 究 室 か ら公 開 され た ネ ッ トワ ー クへ 変 え て い く こ と」(12)の必 要性 を加
茂 は述 べ て い る 。
3つ 目 は マ ル チ メ デ ィア 利 用 の遠 隔教 育 を も って して も、 対 面 式 授 業 を補 完 し得 な い と い う
立 場 で あ る。 「デ ジ タル メ デ ィア を駆 使 して も、 暗 黙 知 をす べ て反 映 す る こ とは 出来 な い。」(10)
「自己 実 現 、 自分 探 し、 仲 間作 りは通 学 す る プ ロ セ スが 大 事 で あ っ て、 通 信 制 が 彼 らの 何 か を満
たす こ とが で き るか とい う と、 私 は懐 疑 的 に な る」(12)とす る意 見 もあ る。確 か に 直 接 経 験 に 及
ば な い こ と は多 くあ るが 、 こ の 限界 を見 据 え る こ とが 重 要 で あ り、 そ の う え で そ の補 完 を何 に
求 め何 が 有 効 と な るか が 、今 問 わ れ て い る こ とで あ る 。
以 上 が 、3つ
の 立 場 で あ るが 、 見 方 や 立 場 が 変 わ れ ば 評価 は相 反 す る もの で もあ る。 対 面 式
授 業 の有 効 性 を 認 め 、 一 層 の利 便 性 を高 め る た め に、 遠 隔 教 育 を補 完 的 に導 入 す る とい う立 場
が あ り、 一 方 、 そ の 対 面 式 に も、 閉 鎖 的 な人 間 関係 が 生 じた 場 合 、 弊 害 もあ る とす る立 場 が あ
る 。 さ ら に対 面 式 で しか獲 得 で き な い もの が あ る とす る立 場 が あ る。
こ れ か らは 対 面 式 授 業 と遠 隔教 育 双 方 の メ リ ッ ト、 デ メ リ ッ トを理 解 した うえ で 、 両 立 で き
る 方 策 を 考 えて い くこ とが 現 実 的 で あ ろ う。 各 大 学 ・大 学 院 が 、 特 色 を もっ た教 育 内 容 及 び そ
れ に ふ さ わ しい 授 業 形 態 を提 供 す る こ とで 、 利 用 す る側 は、 数 あ る選 択 肢 の 中 か ら 自分 の 条 件
に よ り近 い もの を選 ぶ こ とが で きれ ば よ い。 総 じて い え る こ とは、 マ ル チ メ デ ィ アの 進 展 に よ
り、 通 学 制 と通 信 制 の明 らか な境 界 は な くな りつ つ あ る と い え る こ とで あ る。
(3)通
信 制大学院の今後の課題
加 茂(12)は 「
通 信 制 の独 自性 が 重 要 で あ る」 と して次 の三 つ を あ げ て い る。 要 約 す る と、 ① 公
開 の ネ ッ トワー クへ ② 教 育 用 材 の 開発 ③ 通 学 制 と通 信 制 の 両 方 の メ リ ッ トを享 受 す る た め の 方
法 、 つ ま り、全 国 の拠 点都 市 に平 日、 土 日に 通 え る大 学 院(サ
テ ラ イ ト)で ゼ ミナ ー ル 等 を 、
そ の他 の授 業 は通 信 制 で、 と述 べ て い る。
「A大 学 院 」B専 攻 の場 合 、 カ リキ ュ ラ ム の 内 容 に、 よ り実 践 的 な もの を加 え、 ま た、 宗 教
性 を 生 か し た 「A大 学 院」 独 自 の カ リキ ュ ラム も望 まれ るが 、 これ ら はス ク ー リ ング に よ る対
面 授 業 が ふ さわ しい と考 え られ る 。 一 方 、最 新 の情 報 や 知 識 の伝 達 は 、 テ キ ス ト履 修 等 に加 え 、
オ ー ダ ー メ イ ド型 の オ ンラ イ ン学 習 な ど多 様 な方 法 が 考 え られ て よい。
修 士 論 文 の指 導 に お い て も、eメ
ー ル の 活 用 を併 用 す る こ と に よ り、 対 面 して行 う論 文 指 導
の効 率 を 高 め る こ とに な れ ば 、 時 間 の 制約 の多 い社 会 人 に とっ て は喜 ば しい こ とで あ る。
本 調 査 で もサ テ ライ トキ ャ ンパ ス を望 む声 が あ っ た が 、 「A大 学 院」 の場 合 、 全 国 で 行 われ る学
部 の 科 目最 終 試 験 会 場 の 機 会 を と らえ 、 大 学 院 の ス ク ー リ ング を開 催 す る こ と も可 能 で あ る と
考 える。
-118一
佛 教大学大学院紀要
第36号(2008年3月)
終 わ りに
平 日に お け る勤 務 終 業 後 の 通 学 の 困 難 さ、 地 理 的 な困 難 さ、 経 済 的 な 困 難 さ、 閉 ざ さ れ た 人
間 関係 か らの 忌 避 な ど通 信 制 の 学 び を選 択 して い る 様 々 な理 由が あ る。 種 々 の 制 約 の 中 に あ っ
て 社 会 人 が 、 仕 事の か た わ ら学 ぼ う とす る強 い志 が あ る。 社 会 人 で あ る こ と に よ り、 入 学 の段
階 か ら困 難 な 課 題 を抱 え、 年 齢 的 に も若 い と は い え ず 、 ま た転 勤 や 自分 自身 や 家 族 の 病 気 な ど
職 場 や 家 庭 に お け る状 況 の変 化 の著 しい 年 代 で あ る 。 今 回 の 調 査 で も実 際 に 、様 々 な困 難 に直
面 す る事 例 が あ っ た が 、 通 信 制 で あ る た め に学 び続 け る こ とが 可 能 で あ っ た。 この こ と は、 い
つ で も、 どこ で も、 だ れ で もが 、 学 び続 け られ る場 と して 、 生 涯 学 習 社 会 に お け る大 学 院 の 理
想 を実現 した もの で あ る と考 え られ る。
これ か らは、 働 く こ と と学 ぶ こ とを分 離 せ ず 、 働 くな か で 学 び 、 学 び の う え で働 き、 そ の 中
で仕 事 を深 め、 ま た新 た な発 想 で 人 生 を見 つ め て い く時代 に な っ て い る。 そ れ が 真 の意 味 で の
「学 習 社 会 」 で あ る。 さ らに高 齢 者 に と っ て も、 自分 の進 歩 に合 わせ た 学 習 を生 涯 にわ た り継 続
して い くこ と、 そ の生 涯 学 習 を も っ て こ そ 、長 い 人 生 を豊 か に 過 ご して い くこ とが 可 能 に な る
の で あ る 。(9)
今 回 の 調 査 で も、 仕 事 と学 業 の 両 立 は、 時 間 的 に も物 理 的 に もか な りの負 担 で あ る こ とが 判
明 して い る が 、 修 了 ま で の 年 限 の緩 和 が 必 要 で あ ろ う。2年
あ る い は3年
と決 め るの で な く、
単 位 制 とい うべ き履 修 形 態 も可 能 だ と考 え る。
また 、 何 よ り通 信 制 大 学 院 生 を励 ま し支 え る の は 、 〈 ピ アサ ポ ー トの力 〉(共
励 ま しや 助 け合 い)で
に学 ぶ 仲 問の
あ る 。志 を も って 通 信 制 大 学 院 に入 学 した者 が 、 時 間 の 制 約 な ど様 々 な
困難 に遭 遇 す る中 で 、 学 習 相 談 を含 め 人 間 的 支 援 に 支 え ら れ、 継 続 ・達 成 に む け て 励 む 力 を獲
得 して い くの は 、 ピ アサ ポ ー トに よ る援 助 活 動 で あ る。 ピ アサ ポ ー トに よ り学 生 同 士 が 精 神 的
絆 を 強 め 揺 り動 か し、 モ チ ベ ー シ ョン を維 持 しさ らに 高 め てい く。 学 生 自 らが く ピア サ ポ ー ト
体 制 〉 を構 築 す る こ と は もち ろ ん の こ とで あ るが 、 今 後 、 大 学 院 側 も く ピ ア サ ポ ー ト体 制 〉の
具 体 的 な 方 策 を 立 て る と と もに 、組 織 的 な 運 営 や 大 学 院 修 了 後 の 継 続 して 行 う研 究機 会 と場所
の 提 供 も必 要 で あ る。 これ ら は生 涯 学 習社 会 の構 築 と発 展 の た め に 寄与 す る こ とに な る だ ろ う。
本 論 で は、 調 査 対 象 を 限定 さ れ た 入 学 年 の9名
に よ り分 析 した が 、 様 々 な属 性 を持 つ9名 で
あ り、 通 信 制 大 学 院 生 の ピ ア サ ポ ー トの効 果 を解 明 した この 論 考 は、 大 学 院 修 了 に至 る た め の
方 策 を考 え る一 つ の 提 言 と な る と考 え る。
〔注 〕
(1)文 部科学省 『
学校基 本調査 』2006年版
(2)山 田礼子 『
社会 人大 学院で何 を学 ぶか』岩波書店、2002年 、pp.5-6
-119一
通 信 制 大 学 院生 の現 状 と今 後 の課 題(宇
野
絹 子)
(3)山
田礼 子 「
大 学 院改 革 の 動 向」 『
教 育 学 研 究 』 第70巻 第2号 、2003年6月
(4)西
岡正 子 「人 間 と加 齢 」 竹 内義 彰 編 『
教 育 と福 祉 の 統 合 』 ミネ ル ヴ ァ書 房 、1987年 、p.165
(5)瀬
沼 克 彰 『日本型 生 涯 学 習 の特 徴 と振 興 策 』 学 文 社 、2001年 、p.23
(6)東
洋 『日本 人 の しつ け と教 育 』 東 京 大 学 出版 会 、2002年 、p.10
(7)D.W.ジ
ョ ン ソ ン ・R.T.ジ ョ ン ソ ン ・K.A.ス ミス
関 田 一彦
、p.16
監訳 『
学 生 参 加 型 の大 学 授 業 』 玉 川 大 学
出 版 部 、2001年 、p.34
(8)イ
ヴ ァ ン ・イ リ ッチ.東
pp.168-169(初
(9)西
洋 、小 澤周 三訳 『
脱 学 校 の社 会 』 東 京 創 元 社 、2002年 、p.142
版1977年)
岡 正 子 「人 間 と加 齢 」竹 内 義 彰 編 『教育 と福 祉 の統 合 』 ミネ ル ヴ ァ書 房 、1987年 、p.174
(10)白
石 克 己 「遠 隔 高 等 教 育 の 原 理 と教材 開発 の課 題 」 佛 教 大 学総 合 研 究 所 紀 要 第11号 、2004年3月
(11)高
橋 一 夫 ・原 清 治 「情 報 機 器 を利 用 した 大学 に お け る双 方 向 授 業 の あ り方 」 佛 教 大 学 教 育 学 部 学 会
紀 要 第2号 、2003年
(12)加
茂 英 司 「通信 制 大 学 院 と イ ン ター ネ ッ トの 活 用 」 村 田 治 編 『生 涯 学 習 時 代 に お け る 大 学 の 戦 略 』
ナ カ ニ シ ヤ 出版 、1999年 、pp.:!
(う の
きぬ こ
佛 教 大 学 研 究 員)
(指 導:西
岡
正子
2007年10月6日
一120一
教 授)
受理
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