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車いす(1) (pdf 1.65MB)
車 い す 1 車いすの定義と分類 車いすは歩行が不能の者、若しくは歩行が可能であるが、歩行の実用性が低下している者が移動のため に使用する補助具である。主として下肢や体幹に機能障害がある場合に用いられるが、心臓や呼吸器に障 害がある場合にも使用される。 車いすは、バックサポート、座席、レッグサポート、フットサポート等の身体を支持するためのいす部 と車輪部で構成されている。いす部を構成するフレームの組み方や車輪の組み方によって、機能の異なる 車いすを製作することができる。 車いすは基本的な構造の違いにより、体系的にリクライニング式(バックサポートの角度を変えられる もの)と、非リクライニング式(バックサポートの角度を変えられないもの)とに分けられる。また、基 本的な製作行程の違いにより、既製品(レディメイド)と注文品(オーダーメイド)とに分けられる。既 製品(レディメイド)とは、メーカーにより標準化され既製のサイズの部品を組み立てて製作するもので あり、注文品(オーダーメイド)とは、障害の状態や体型等により既製のサイズの部品では適合としない 場合に、特定の個人に適合するように部品のサイズを変えて個別に新たに製作するものである。換言する とメーカーによりカタログ化されたものが既製品(レディメイド)であり、カタログ化されていないもの が注文品(オーダーメイド)である。 2 車いす基本構造と各部の名称 (1) 車いすの基本構造 車いすは次の三つの構成からなっている。 ア フレーム 車いすの枠組みの支柱で、座る部分及び車いす全体を支える重要な部分で、下図のバックパイプ、 ベースパイプ、フロントパイプ等である。体重や身長等によって各部の寸法が決定される。 イ 駆動輪とキャスター ハンドリムのついた大車輪が駆動輪で、小車輪がキャスターで左右への方向転換が容易な構造にな っている。 ウ 付属品 車いすを構成しているその他の部品。アームサポート、サイドガード、バックサポート) 、座席(シ ート) 、フットサポート、レッグサポート、手押しハンドル、ブレーキ等がある。 (2) 車いす各部の名称 車いす各部の名称は次のとおりである。 ④ ⑦ ⑤ ⑬ ⑪ ⑥ ① ⑧ ② ⑨ ⑫ ⑩ ⑭ ① 大車輪 ② ハンドリム ③ キャスター ③ ⑥ 座席(シート) ⑦ アームサポート ⑨ レッグサポート ⑩ フットサポート ⑪ サイドガード ⑬ バックパイプ ⑮ ④ バックサポート ⑤ 手押しハンドル ⑫ ティッピングレバー ⑯ ⑭ ベースパイプ ⑧ ブレーキ ⑮ バンパー ⑯ フロントパイプ 3 車いすの各部の機能 ア 大車輪 左右の車輪の主軸は、別々に車体に取り付けてあり、左右の回転を変えて方向転換を行う。22 イン チ、24 インチが一般的に用いられている。介助用の車いすや、スポーツ用等、用途により外径を変え て製作する。 イ ハンドリム 車いすの大車輪に固定した操作用リングで、これを握って回転させて車いすを駆動する。握力の低 下等で駆動力の弱い人には、ノブを取付けたり、ゴム等でコーティングする。 水平ノブ付きハンドリム 垂直ノブ付きハンドリム コーティングハンドリム ウ キャスター 左右の方向転換が容易になるように、車軸を車体に直接固定しないで、垂直に取り付けた回旋可能 な軸受けによって車体を固定している。空気の入っていないソリッドタイヤが一般的であるが、使用 環境に砂利道等の悪路や段差がある場合には、クッション性の高い屋外用タイヤが用いられる場合も ある。 屋外用キャスター エ バックサポート 背部を支持する部位。後方に倒れる機能を持ったリクライニング式や、自動車等への積み込みに便 利なバックサポートが後方に折れる背折れ機構等がある。体幹筋力低下や脊柱変形等により座位が不 安定な場合は張り調整式バックサポートとし、座位姿勢の安定を図る。また、頭部を支持するために バックサポートの延長を行ったり、頭部位置を調整可能なヘッドサポートベース(マルチタイプ)を 取付ける場合もある。 バックサポート背折れ機構 張り調整式バックサポート 延長バックサポート ヘッドサポートベース(マルチタイプ)