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2013年12月号(PDF:534KB)

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2013年12月号(PDF:534KB)
2013 年(平成 25 年)12 月
第3号
長野県野菜花き試験場
野菜花き試験場ニュース
試験場もすっかり冬になり、試験圃場の片付けが終わって調査結果をまとめる時期に入っています。
今回の試験場ニュースでは、10 月に開催された試験場一般公開について御報告いたします。
毎年恒例の試験場一般公開を 10 月5日に開催しました。
当日の天気予報では雨天が心配されましたが、職員の祈りが天に通じたのか、終日雨は降らず穏
やかな 1 日となりました。家族連れの皆様を中心に、約 800 名の皆様に御来場いただきました。
今年のテーマは、昨年度に引き続き「来て見てふれて体験しよう!食と農業最新技術」とし、研
究成果の紹介や農作業・農産加工体験、試験ほ場案内等により、農業や試験場に対する関心を持っ
ていただくことを目的に実施しました。
公開セミナーでは、「野菜栽培での肥料と有機物の使い方-基礎から最近の技術まで-」を今年度
のテーマにして、「肥料の種類と使い方」と「土づくりに生かす有機物」の2つの演題で環境部研究
職員が講演しました。土作りの時期も近いこともあり、大勢の方が聴講され、熱心な討論がされて
いました(講演の概要は裏面に掲載しました)。
研究成果の紹介やではパネルのほか、試験研究に使っている作物の実物展示があり、圃場案内で
は試験中の花や野菜の状況を見学しました。またスタンプラリーでチェックポイントを回り、無事
ゴールした参加者の皆様にはビオラの苗をプレゼントしました。
野菜、花、きのこ、豆類の販売は開始と同時に行列ができ、また、サツマイモ、落花生などの収
穫体験も行われ、大勢の方で賑わいました。そのほか、十割そば作り、ざる豆腐作り、そば粉のクレ
ープ作りなど試食も含めた体験もたくさんの方に御参加いただきました。
今後、いただいたアンケート等の御意見を踏まえて次年度の一般公開に向けて準備を進め、地域
の皆様に身近に感じていただける試験場を目指したいと思います。
研究成果の展示
そば粉のクレープ作り
公開セミナー「肥料の種類と使い方」
農産物の加工体験(十割そば作り)
農作業体験(落花生・ニンジン掘りなど)
カボチャ重量当てクイズ
長野県野菜花き試験場
〒399-6461
塩尻市大字宗賀床尾 1066-1
TEL:0263-52-1148(担当:大澤)
FAX:0263-54-6340
)
公開セミナー「野菜栽培での肥料と有機物の使い方
-基礎から最近の技術まで-」講演概要紹介
肥料の種類と使い方
講師 野菜花き試験場環境部
出澤主任研究員
肥料は化学肥料、有機肥料、汚泥肥料などの「普通肥料」と、米ぬか、魚かす、たい肥などの「特殊肥料」の
2つに大別され、普通肥料は 25000 種類登録されています。
植物の必須元素には多量要素として炭素・水素・酸素・硫黄・窒素・リン・カリウム・カルシウム・マグネシ
ウムがあり、このうち炭素・水素・酸素は水と二酸化炭素から吸収され、硫黄は天然供給量が多いため、ほとん
ど不足しません。一方、微量要素としては、塩素・ホウ素・鉄・マンガン・亜鉛・銅・モリブデンがあります。
野菜では窒素、リン、カリウム、カルシウム、ホウ素が欠乏しやすいです。
施肥の基本として、①野菜が必要とする時期(→施肥時期)に、②吸収しやすい位置(→施肥位置)に、③必
要とする量の養分を補給する(→施肥量)ことがあげられます。
① 施肥時期については、野菜が一番養分を吸収する時期に肥料を効かせたいので、効き方(速効性、緩効性、遅
効性)に違いに着目して肥料を選びます。
② 施肥位置については、根の近くに養分があることが必要であり、また降雨や作物の吸収、有機化によって肥料
成分が失われるので、肥料を根の近くにとどめるための施肥技術として局所施肥、部分施肥、ポット施肥、植
穴施肥、セル内施肥などの施肥方法が開発されています。養分を根の近くにとどめるためには、適度なかん水、
雨よけやマルチの利用、早く肥料をまきすぎないこと、根の近くにまとめてまく(濃度障害に注意)
、肥料の
種類(緩効性・流されにくい・分解されにくい肥料を選ぶ)などの方法があります。
③ 適切な施肥量については、野菜には肥料以外にも様々な由来の養分が供給されているので、野菜が必要とする
分を肥料で補うという考え方が必要です。たとえばブロッコリーの窒素成分では、肥料から供給される窒素は
55%であり、残りの約半分は地力(19%)、土壌(17%)、残渣(6%)、堆肥(3%)から供給されていま
す。
最後にまとめると、上手な肥料の使い方として、肥料をまく①量を加減する(足りない量を補うという考え方)、
②時期を変える(早く効く肥料と遅く効く肥料を使い分ける)、③位置を変える(流されにくい肥料を選ぶ)こと
がポイントとしてあげられます。
土づくりに生かす有機物
講師:野菜花き試験場環境部 齋藤主任研究員
1.
「土」って何?
「土」には長い歴史があります。長い時を経て土の元である岩石や火山灰が風化して、風や水で運ばれて土の
材料(母材)となり有機物が付加されて、機能を持つ土壌となります。
「土」のはたらきには、①物理的働き(水を蓄える保水性、空気を供給する通気性、雨水を逃がす排水性、②
化学的働き(養分を供給する、養分を保持する保肥性、土の状態を維持する緩衝性)
、③生物的働き(生物に場を
与える、多様性を維持する)の3つがあります。
2.
「土づくり」とは?
土づくり=土壌の働き(物理的・化学的・生物的)を強化することです。それを生かすのが「有機物」です。
3.
「有機物」土づくりにいかすため
有機物の施用効果として物理性の面では膨軟化・団粒化、化学性の面では養分供給・腐植化、生物性の面では
微生物へのえさ供給・生物相の多様化があげられます。有機物の材料には稲ワラ・籾ガラ、家畜排泄物、きのこ
廃培地等があり、このうち半分弱を家畜排泄物が占めています。これを有効に活用するために堆肥化します。堆
肥化の過程では、堆積初期に細菌や糸状菌による糖分解、堆積中期に放線菌・細菌によるセルロース分解、堆積
後期に担子菌などによるリグニン分解の過程を経ます。堆肥化成功のポイントとしては、水分の調整(水分量 60%
になるように調整)と、炭素率の調整(C/N率、炭素と窒素成分の比率=20 が適するので、窒素が多い材料に
は炭素が多い材料を混ぜて調整)の2つがあります。
4.堆肥の効果=物理的改善=肥料としての効果
カボチャ重量当てクイズ
アスパラガス畑に 10aあたり3tの牛ふん堆肥やコーンコブ堆肥を施用したところ、いずれも畝肩部分の土が
膨軟化しました。また養分の過剰施用は環境に負荷を与えるため、堆肥も過剰施用しないことが肝要です。堆肥
を肥料的に活用するためには、①堆肥の養分濃度を知ること(牛ふん・豚ぷん・鶏ふん堆肥など、それぞれの)
、
②肥効率(施用当年に肥料として見積もれる割合)を勘案することの2点があげられます。
5.試験場での「有機物」関連の成果
過去の試験場での有機物に関する成果を一覧で紹介し、その中から、きのこ廃培地の堆肥化(コーンコブ堆肥)
と減肥の達成、ペレット肥料の開発について説明しました。
イベントのお知らせ
えんぱーくで開催される「えんぱーくクリスマス 2013」で野菜花き試験場も生産物を販売します。
★とき:12月8日(日)午前 10 時~午後 3 時
★ところ:えんぱーく(塩尻市市民交流センター)3 階 市民サロン
★野菜、花束等の販売がありますので、御来場の際はぜひ御利用ください。
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