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アジア美容 リアルレポート - 株式会社ブルームス
iPS細胞の皮膚科学研究への応用に着手 研究成果をもとに次世代の エイジングケア化粧品の開発へ 代替法への応用などに広 いくため、iPS細胞に れ、iPS細胞の機能に 機能解析や化粧品成分の 同社では、次世代の化 も影響を及ぼさない可能 評価系の確立、動物実験 粧品の開発へと応用して 性が示唆された。 今後の展望としては、 げることが可能となって ついて、より深化した研 iPS細胞化と供与者の くる。 究を進めていく方針だ。 一提供者から継続的に細 来事があり、この技術を 細胞を使って行われてき になっていた。一方、同 エポックメイキングな出 たという。 「細胞を用いた老化研 胞を採取し、老化研究を 老化研究に応用できない 究というと、年代の異な 行うことがベストではあ かと考えた。幸いにも加 る複数の人から細胞を採 るが、この研究には非常 治氏がiPS研究所特認 は次第に短縮するが、初 ベルでの知見を蓄積する 取し、その間で評価する に 長 い 年 月 を 要 す る た 教授に就任したことで、 期化されたiPS細胞の ことで、老化過程の再現 10 15 20 開発に応用してきた。中 個人差というものを完全 た。幸い、当社では加治 し、それを活用すること 見を美容成分・化粧品の こうした実験においては ま で な さ れ て こ な か っ 細胞をiPS(初期化) もに、そこで得られた知 ということが通例だが、 め、こうした試みはこれ 同一提供者から得られた コ ー セ ー は、 元 京 都 大 学 i P S 細 胞 研 究 所 特 任 教 授 で 現 コ ー セー研究顧問の加治和彦氏とともに、同一供与者から異なる年齢 「 テ ロ メ ア 」 は、 い ず れ やメカニズムの解明が進 加齢について、遺伝子レ で得られた皮膚線維芽細胞よりiPS細胞を作製し、解析・評価 約 年前からiPS細胞用いて 細胞の老化研究を推進 した。その結果、老化過程の痕跡である短縮した「テロメア」が 石 塚 氏 の供与年齢においても、 むことが期待される。ま コーセーは 月 日、 真皮に関する様々な研究 でも、細胞の老化に関す に 排 除 す る こ と が で き 氏と共同で、この貴重な ができる環境が整った。 ず、結論としてはっきり 細胞を扱うことができ、 この研究を通して、老化 長さが回復していること た、iPS細胞やそれを 「 i P S 細 胞 を 用 い た 皮 や表皮幹細胞に関する研 る研究については、約 20 供与年齢に関わ ら ず 回 復 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。 加 治 氏 歳) 芽細胞から作製したiP 67 研究企画室の石塚由紀子 氏が「エイジングケア研 歳までの間に線維芽細 刻まれた老化の痕跡は、 肌に応じた化粧品の使い方、 肌タイプに適した成分の開発へ 酸素にいち早く着目し研 後、 質疑応答が行われた。 なげていく。 成 皮膚の生理機能解 ては、非常に難しい研究 析は、我々の一番の着目 領域であり、かつ世界各 点・注力点であり、数年 国の研究者に共有しても 以内に何らかの成果につ らうというプロセスを経 なげていきたい。成分の る必要があるため、少な 評価系についても、皮膚 くとも5年以上先になり への応用について、今後 実現していく。 るような実験法を構築し した。 り「iPS細胞の皮膚科 ることで肌に応じた化粧 ――皮膚の生理機能解 の生理機能解析と並行し そうだ。ただ、できるだ 同社は1980年代、 学研究への応用着手」に 品の使い方、肌タイプに 析、化粧品成分の評価系 て進められるので、同じ け早い段階で様々な化粧 老化の原因としての活性 関する概略が説明された 適した成分の開発にもつ の確立、動物実験代替法 ようなタイムテーブルで 品会社で採用してもらえ 続 い て、 同 研 究 所 基 くとともに、いろいろな 皮膚科学研究への応用」 について、それぞれ説明 礎研究室の成英次氏によ 肌質のiPS細胞を用い 英次氏が「iPS細胞の 究の経緯」について、同 万 能 性 を も っ た 幹 細 胞 た。 研究所 基礎研究室の成 で得られた線維芽細胞か S細胞をケラチノサイト で、ヒトの皮膚などの体 老化の指標として知ら ら、京都大学iPS細胞 に分化させることに成功 細胞に遺伝子などの特定 れ る 細 胞 の 染 色 体 の 両 端 研 究 所 と 加 治 研 究 顧 問 が し た 。 因子を導入し、培養する にある「テロメア」は、 共同で作製したもの。「テ このことから、異なる ことにより、分化した細 細 胞 分 裂 を 繰 り 返 す と と ロ メ ア 」 の 長 さ を 比 較 す 細 胞 に 分 化 す る と い う i 胞から未分化の多能性幹 も に 短 く な り 、 あ る 限 界 る た め 、 i P S 細 胞 と そ P S 細 胞 の 特 性 は 、 細 胞 細胞に初期化することが を 超 え て 短 く な る と 細 胞 れ ら の 元 と な る 線 維 芽 細 の 供 与 年 齢 に 関 わ ら ず 、 できる。一方、老化の過 分 裂 が 止 ま っ て し ま う 。 胞 を 用 い て 評 価 を 行 っ 正 常 に 機 能 す る こ と が 確 程は不可逆的であり、老 今 回 の 研 究 で は 、 細 胞 の た 。 そ の 結 果 、 歳 か ら 認 さ れ た 。 つ ま り 細 胞 に 化は細胞レベルでも進行 初 期 化 に よ っ て 、 老 化 し することが知られている た 細 胞 の 「 テ ロ メ ア 」 が 胞 の 「 テ ロ メ ア 」 の 長 さ 初 期 化 の 過 程 で 取 り 除 か ループ・キャ 資生堂インターナショナ 究を推進。 年代には、 ――次世代の化粧品と ――化粧品会社として の見通しを教えてほしい。 動物実験代替法につい ていきたい。 は、具体的に何を想定し 今回の研究成果をどのよ カニズムに関するところ ことはできないし、細胞 ているのか。 台湾とタイ、そしてシ で、アトピーや敏感肌な を今ある状態のまま若く ジョンソン・エンド・ ジデントなどを経て、ジ ( 2 0 0 2 年 ) 、資生堂 ど皮膚の生理機能を損ね することは困難だ。それ ジ ョ ン ソ ン コ ン シ ュ ー ョンソン・エンド・ジョ デパート部NARS事業 の中国、そして親日国 ンガポールかクアラル るようなトラブルで未解 を実行しようとすれば、 マーカンパニーは は、マレーシア等の海 ノンデールジ ル コ ー ポ レ ー シ ョ ン 上 すし、あるいは海外の ンプールに拠点を置き ャパンのシニ 級副社長兼NARSコス ハラル認証機関から承 今後数年かけてインド 明 な も の が た く さ ん あ iPS化してつくった細 日付で、代表取締役プレ なお、柴田透前代表取 堂販売デパートブランド る。どの要因が悪影響を 胞を何らかの形で体内に ジデントにマリオ・スタ 締役プレジデントは、 営業本部営業本部長(2 いくつか選び、カウン うに応用していくのか。 スタイン氏が プレジデントに をおすすめします。 認を受けている日本国 ネシア等その他アジア 成 我々が最も注目し 成 体内のテロメアを ているのは皮膚の生理メ 生きた状態のまま伸ばす 申請を行えば認証機 関の監査が始まるので 内の機関に申請を行う を網羅するという考え でそれなりの規模の市 すが、その対象は原材 方法もあります。認証 及ぼしているのかを研究 入れ込むことが必要にな イン氏を就任させた。 場を持ち進出しやすい 料から製造方法そして 機関の選定がハラル認 方です。 する際に、毎回、多くの り、それは美容医療、外 スタイン氏は、196 メティチイタリア取締役 人から皮膚を採取するの 科的処置の範疇になる。 7年9月 日生まれ( ▪PFJ、新社長に牧 社長(2009年)を経 は事実上難しい。iPS 当 社 は 化 粧 品 会 社 な の 歳 ) 。 P & G の マ ー ケ テ 野美則( 月1日付) て、2013年7月に資 外の認証機関に直接申 パッケージ、さらには 証取得の第一ステップ 少なくとも3つ目の その他アジアにおいて 請をする方法もありま 品質管理から物流方法 となりますので、条件 は、ハラルに対応した セリングを受けること に至るまで幅広く及ぶ をよく確認し、自社の グループリーダー兼資生 月 日付で退社している。 0 0 7 年 ) 、資生堂コス 月1 ンソンに入社した。 アバイスプレ メティックスインク会長 ため、監査に1年ほど 目的に最も合う機関を J&J かかることも珍しくあ ルについて学び、ハラ また、社内にハラル 管理者を設置する必要 でしょう。 細胞を用いて、表皮細胞 で、老化の過程で起きて ィングディレクターや、 ピエールファーブルジ 生堂国際事企画部部長に や皮膚モデルを作製でき いる傷や変化がどのよう サイクリングスポーツグ ャポンでは、牧野美則氏 就任していた。 りません。 ル製品を製造する体制 製品開発は必須となる す。そのため概しての きています。 けれれていなかった領域 ニズムを解明することが スタイン氏 選んで下さい。 説明となりますが、今 前回のコラムでハラ ルには国際的な認証基 コンサルティングを 通じ、化粧品業界では まず巨大な消費市場 の研究に応用を進めてい 役割だと考える。 ト部参事 (1994年) 、 資生堂に入社し、デパー 大学商学部を卒業、同年 牧野氏は1960年生 まれ。1983年早稲田 が取締役社長に就任した。 があり、ハラル認証取 ○ ○ 氏 れば研究は非常にしやす に治るのか、老化を早め を整える必要がありま くなる。今後は、次世代 る要因は何か、どういう 回はハラル認証申請に の 化 粧 品 の 開 発 に 向 け 状況になると肌や細胞が 準がなく、認証団体に 中長期的な化粧品の アジア戦略にとってハ す。しかし、そもそも ラル対応は、もはや欠 ハラル化が不可能な場 アジア市場を3つに分 関するプロセスについ けて考えられている方 てご説明します。 られています。 得後も適正な製造及び よって若干異なること 合もありますので、こ 管理体制の維持が求め を書きましたが、手続 の段階から認証機関を 申請する認証機関 まずハラル認証の申 請をする企業は、ハラ きや料金体系も認証団 て、これまで中々手がつ 老化するのかというメカ ムスリム化粧品市場②ハラル認証について 10 し、ほぼ無限に増殖する れ る か と い う 点 に 着 目 し 異 な る 年 齢 ( ~ 36 かせない論点となって (おきの まき) ●沖野 真紀 が多いと感じています。 10 31 11 67 36 アジア女性専門調査会社 ㈱ブルームス代表。 定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意と する。また、日本とアジアのメディアで美容通としても 活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズ の分析に努めている。 ㈱ブルームスホームページ http://blooms.jp.net/ 90 67 成 氏 47 第10回 体によってさまざまで 21 36 iPS細胞(人工多能 こ と か ら 、 同 社 で は 、 老 回 復 可 能 か を 調 べ た 。 が明らかとなった。さら 分化させた細胞を用いる 膚科学研究について」と 究など、あらゆる可能性 年 前 か ら 加 治 氏 と 共 同 したことが言えないとい 研究の過程で様々な知見 メカニズムの解明がさら そうした中、 に進むことを我々は非常 性幹細胞)は、様々な組 化 し た 細 胞 が 初 期 化 さ れ 同研究で用いたiPS に、 歳から 歳までに ことで、老化研究の領域 題し、 研究発表会を開催。 を探りながら老化メカニ で、ある一個人から一定 う問題が起こってしまう を得てきた。 織 や 臓 器 の 細 胞 に 分 化 たとき、どの程度回復さ 細胞は、同一供与者より 得られた、すべての線維 だけでなく、皮膚の生理 当日は、コーセー研究所 ズムの解明に努めるとと の間隔で採取した希少な ため、研究の大きな課題 iPS技術の開発という に期待している」(石塚氏) コーセー アジア美容 リアルレポート 2014年(平成26年)11月10日(4) 週 刊 粧 業 (第3種郵便物認可) 第2949号