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レゾナントコミュニケーションネットワーク アーキテクチャ(RENA)

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レゾナントコミュニケーションネットワーク アーキテクチャ(RENA)
RENA
次世代ネットワークアーキテクチャRENA
レゾナント
ネットワークアーキテクチャ
レゾナントコミュニケーションネットワーク
アーキテクチャ(RENA)
ながやま
かずひろ †1
はなざわ 長山 和弘 /花澤
わたなべ
たかし †2
隆
のぶゆき †3
渡部 信幸
NTTの「
“光”新世代ビジョン」の中で示されたユーザビリティに優れ,
†1
ニケーション環境を実現するためのネットワークをアーキテクチャ(RENA)
†2
の観点から紹介します.
†3
レゾナントコミュニケーション
ネットワークのコンセプト
昨年11月25日,NTTは“光”新世
代ビジョン――ブロードバンドでレゾナ
・通信品質の確保:ベストエフォー
トから品質保証までの多様な品質
および信頼性条件を選択できる
こと.
・安全性と信頼性の確保:利用者
ントコミュニケーションの世界へ――,
のプライバシが保護され,安心し
と題するビジョンをNTTグループの今
て利用できること.
ベンチマークサービス
RENAネットワークにおいては,次
のベンチマークサービス/機能を経済的
に提供することによりRENAネットワー
クのコンセプトを具現化していきます.
① 双方向エンド・ツー・エンドリ
後の重点的な取り組み方針として策定
・使いやすさ(ユーザビリティ)の
アルタイム通信:音声や高品質映
しました.このビジョンの目指すもの
向上:利用者が複雑な知識を持っ
像 など, さまざまなメディアで
は,
「ユーザビリティに優れたレゾナン
て,複雑な設定を行わずとも,安
1:1からN:Nまでユーザ間で
トなコミュニケーションネットワーク環
全で安心な通信が利用できること.
双方向のリアルタイム通信を提供
境の実現と,これを活用する多彩で豊
・ビジネス機会を創出するためのプ
します.
富な新サービス,ビジネス機会の創出」
ラットフォーム機能の提供:誰で
② IP電話サービス:IPプロトコル
にあり,5年後にこのような環境が実
もネットワークを利用して新たな
を用い,既存電話網(PSTN)と
現されることを目標としています.こ
ビジネスが簡易にできるための認
の相互接続を含むエンド・ツー・
のためにネットワークには,以下のよ
証連携,代行徴収などが利用でき
うな条件が要求されると考えています.
ること.
エンド音声通信を可能とします.
③
仮想専用網サービス:複数の
・数千万加入規模のブロードバン
これらの要求条件を満足するための
ドユーザへの対応:I Pネットワー
レゾナントコミュニケーションネット
クの利用ユーザ数は確実に増加
ワーク(RENAネットワーク)のコン
する傾向にあり,情報家電,無
セプトとして「確実なエンド・ツー・
線IDタグ,センサを含む膨大な数
エンドコミュニケーションの提供」
「多
でかつセキュアに配信します.
の端末がネットワークにつながる
彩で豊富なサービス,新たなビジネス
⑤ ユビキタスサービス:ネットワー
こと.
の機会創出の促進」「エンドユーザの
クの接続環境が異なってもシーム
ユーザビリティを常に進化」を掲げま
レスなユーザ・端末の通信を提供
・利用形態 の変化への対応:エン
ド・ツー・エンド型通信,多地点
を含む多様な通信形態,多彩な
アクセスが可能なこと.
8
NTT情報流通プラットフォーム研究所
NTTサービスインテグレーション基盤研究所
NTT第三部門
ナローバンドの時代には実現できなかったリアルで自然なレゾナントコミュ
NTT技術ジャーナル 2003.7
した(図1).
指定された拠点間の専用網をセ
キュアに公衆網上に提供します.
④
コンテンツ配信サービス:映像
などを複数のユーザに適切な品質
します.
⑥
センサネットワークサービス:
センサや無 線 I D タグ( R F I D タ
特
集
確実なエンド・ツー・エンドコミュニケーションを
提供できるネットワーク
エンド・ツー・エンド
リアルタイムコネクティビティの確保
多様な品質・信頼性の実現
多様なセキュリティの確保
多彩で豊富なサービス,新たなビジネスの機会の
創出を促進するネットワーク
付加価値ネットワークサービス/ユビキタス
サービスのための基盤機能配備
APレイヤのための基盤機能配備
多様なサービスメニュ−の提供
規模拡張性と
機能拡張性の確保
サービス連携機能の配備
技術動向への追従
端末/ネットワーク設定の自動化・省力化
ホームネットワーク,端末まで含めた
エンド・ツー・エンドオペレーションの実現
エンドユーザのユーザビリティを常に進化させるネットワーク
図1 レゾナントコミュニケーションネットワークのコンセプト
グ)のネットワーク化によるユビ
(RENA)と呼びます.RENAネット
提供します.
ワークはユーザ網,アクセス網,コア
ユーザ網はユーザの持つネットワー
データコミュニケーションサー
転送網,制御信号転送網,保守運用
クで,電話,PCやプリンタ,TVや
ビス:ホームコントロール,カス
網,サービス/ネットワーク制御プラッ
DVDなどのAVディジタル機器,情報
タマサポートなどの遠隔機器制御
トフォームの機能により構成されてお
家電などのホームネットワーク,IPセ
環境を提供します.
り, その構 成 を図 2 に示 します.
ントレックスやEメールやWebサーバ
公衆インターネット接続:グ
RENAでは,その特徴である品質にお
などの企 業 ネットワーク, センサ,
ローバルなインターネット網への
いて,複数の通信品質レベルを提供し
RFIDタグリーダがつながると想定され
アクセスを可能とします.
ます.具体的には最上位レベルから順
ます.ユーザ 網に接 続されるこれら
に,専用線並みの帯域保証を行うギャ
種々の端末はそのインタフェースに関
ランティレベル,帯域・遅延・揺ら
係なくRENAネットワークへ接続でき,
RENAネットワークは,ベンチマー
ぎ・損失率を組み合わせて保証する優
RENAの特徴であるエンド・ツー・エ
クサービスはもとより今後追加される
先制御レベル,品質制御を行わない
ンドのコネクティビティ,品質保証,
サービスに対してもエンド・ツー・エ
公衆インターネットと同様なベストエ
セキュリティ,ユーザビリティが利用
ンドのコネクティビティ,セキュリティ,
フォートレベルを想定しています.さ
できることが必須です.そこでRENA
品質,ユーザビリティをユーザへ提供
らに,ギャランティレベルに対しては,
ネットワークにおいては,ネットワーク
するもので,そのネットワークアーキテ
安定したトラヒック転送を提供するた
への入り口機能としてホームゲートウェ
クチャを特にレゾナントコミュニケー
め,エンド・ツー・エンドコネクティビ
イ(HGW)機能を用意します.ホー
ションネットワークアーキテクチャ
ティの信頼性についても複数クラスを
ムゲートウェイの機能としては,ネッ
キタス環境を提供します.
⑦
⑧
ネットワークアーキテクチャ
NTT技術ジャーナル 2003.7
9
次世代ネットワークアーキテクチャRENA
アプリケーションサービス提供機能
ISP/ASP
複数品質クラス
RENAネットワーク
サービス
固有機能
かつセキュアに
双方向
VoIP エンド・ツー・ VPN
機能
機能
エンド機能
CDN
機能
エンド・ツー・
ユビキタス
機能
エンド通信サー
ビスを提供
共通機能
サービス/ネットワーク制御プラットフォーム
コア
コア
PSTN
制
御
信
号
転
送
網
エッジ
コア転送網
エッジ
OLT
OLT
ONU
アクセス網
ホームゲートウェイ
TV
OSS
ONU
ホームゲートウェイ
情報家電
ユーザ網
保
守
運
用
網
TV会議
TV会議
PC
PCPhone
図2 RENAネットワーク構成
ルとIPパケット流量制御レベルをマッ
トワークとのインタフェースである
ワーク(PON),メディアコンバータ,
IPv4/v6プロトコル終端,マルチキャ
そして光と組み合わせた固定無線をア
ピングするので, 全ノードでのQoS
ストプロトコル終端,SIP信号終端,
クセスラインと想定し,帯域や品質が
(Quality of Service)制御を実施しな
IP電話終端,レイヤ2VLANタグ制御
外的要因に影響されやすいADSLにつ
くても適切な品質の確保が可能となり
およびレイヤ3トラヒッククラスによる
いては,補完的な位置づけと考えてい
ます.
品質制御,品質劣化補償,不法アク
ます.
R E N A におけるインタフェースは
コア転送網はベンチマークサービス
IPv4とv6の両プロトコルを許容します
ケットルーチング制御,アドレス管理,
の伸びを考慮すると数年後には超テラ
が,コア転送網内においてもIPv4/v6
リモートオペレーションを持っています.
ビット級のネットワークが要求されま
デュアルスタック転送方式を適用しま
アクセス網はユーザ網とコア転送網,
す.そこで,RENAにおいては,光の
す.さらに,IPv4またはIPv6の専用
制御信号転送網,保守運用網のエッ
波長による高速な転送能力とIPの融
端末の相互接続のためにネットワーク
ジまでの専用または共用のリンク回線
合による経済的かつ柔軟性のある転送
内での自動変換もサポートします.
であり,レイヤ1/2/3レベルで複数
網を実現します.具体的には,コア転
マルチキャストにもユニキャストと
の品質クラスを持ち,かつセキュアに
送網のエッジノードにてパケットの対
同一のネットワークを使用しますが,
提供するものです.RENAで想定する
地を識別して最適なパスを選択して送
コンテンツ配信には認証付きのマルチ
アクセス網は,マスユーザ向けには主
出し,コアノード間は高速の波長パス
キャストプロトコル(IGAP: IGMP
として1 0 ∼ 1 0 0 M b i t / s , S O H O を
によって転送するもので,マルチレイ
for user Authentication Protocol,
含む法人ユーザ向けに1 0 M b i t / s ∼
ヤパススルー方式と呼んでいます.こ
MLDA: Multicast Listener Discovery
1 0 Gbit/sの回線速度を提供し,物理
の方式では,品質を確保するためにコ
Authentication Protocol )をサポート
網としてはパッシブオプティカルネット
ア転送網のエッジ間での優先制御レベ
します.
セスを防御するセキュリティ制御,パ
10
NTT技術ジャーナル 2003.7
特
集
表1 サービス/ネットワーク制御プラットフォーム提供機能構成
プラットフォーム提供機能
プレゼンス
機能概要
接続可能な相手の表示,接続したい相手の現在の状態表示
ディスカバリ
キーワードやニックネームなどによる接続相手の位置検索機能
位置情報管理
モビリティを考慮したユーザや端末の位置情報管理
セッション制御
セキュリティ管理
ネットワーク制御管理
アドレス管理
モビリティを含めたエンド・ツー・エンドコネクションの確立
発信者のアクセス環境,端末種別と,着信相手のアクセス環境,端末種別が異なっても,コネクションを確立する
機能
NAT/FireWallを超えたコネクション確立
セキュアな通信路および信号路セッションの確立
ネットワーク自体がDDoS攻撃を防御
サービス種別やユーザ要望に基づいたネットワーク品質の制御機能
ネットワークで利用するアドレスの払出し管理と変換
顧客ID管理
サービスを提供するために必要な顧客情報の一元管理機能
認 証
ユーザ認証および端末認証による不正アクセス防止機能
シングルサインオン認証による上位サービスとの連携機能
課金管理
個々のサービスの利用料徴収のための課金に必要な各種CDRの収集とバンドル課金,複数サービス連携課金機能
また,RENAネットワークにおいて
て信頼性の向上を図ります.
するネットワークの早期実現に向けて
はサービス妨害攻撃や,分散サービス
制御信号転送網はサービス/ ネット
妨害攻撃(DDoS攻撃)からネット
ワーク制御プラットフォームとユーザ
■参考文献
およびコア転送網との制御信号を転送
(1) 和田:““光”新世代ビジョン―ブロードバ
ンドでレゾナントコミュニケーションの世界
へ―,”NTT技術ジャーナル,Vol.15,No.2,
pp.6-17,2003.
(2) 井上:“「知の共鳴」の実現に向けて―レゾ
ナントコミュニケーションを支えるNTTの
R & D戦略―”NTT技術ジャーナル,Vol.15,
No.2,pp.18-24,2003.
ワークを守り,安全かつ安定的にネッ
トワークを提供するためにムービング
するための網であり,制御機能用信号
ファイアウォールと呼ぶ,攻撃を検出
の無紛失,低遅延転送,順序性,セ
すると攻撃防御プログラムを動的に攻
キュリティを担保する専用網です.
撃元に近い個所へ移動して攻撃の抑
止を図る機能を備えています.
保守運用網はエンド・ツー・エンド
オペレーションのための専用網であり,
サービス/ネットワーク制御プラット
アクセス網・コア転送網・制御信号
フォームは,エンド・ツー・エンドでの
転送網内のトラヒック状況や設備故障
コネクティビティ機能,品質制御機能,
状況を迅速に把握し,常時適切なエ
セキュリティ機能,ユーザビリティの
ンド・ツー・エンドオペレーションを
制御機能,サービスの制御機能に加え
可能とするための専用網です.また,
て企業ユーザやサービス提供事業者が
ホームゲートウェイのリモートメンテナ
アプリケーションを構築し,ネットワー
ンスも行います.
クを活用しやすくするための連携機能
を備えています.サービス/ネットワー
ク制御プラットフォームが提供する機
取り組んでいきます.
レゾナントネットワーク構築への
取り組み
能の概要を表1に示します.各機能
通信本来のミッションである「時間
はサーバに実装され,そのサーバは信
と距離の克服」を実現し,「個倍化」
頼性の観点から収容規模が大きい場
や「Web的連鎖」の行動モデルを創
合,複数サーバによる機能分散・負荷
出できる映像などの利用によるリアル
分散技術や二重化運転技術を活用し
で自然なコミュニケーションを可能と
(左から)長山 和弘/ 花澤
隆/
渡部 信幸
確実なコネクティビティ,優れた品質,
高いユーザビリティを持った新しいタイプ
のIP網とホームゲートウェイの連携によっ
て,よりリアルなコミュニケーションを実
現するRENAにご期待ください.
NTT技術ジャーナル 2003.7
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