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TL(Technical Limit)手法の基礎試錐「新津」 への適用について
TL(Technical Limit)手法の基礎試錐「新津」 への適用について 石 川 正 紀* 石油開発費の中でも掘削費は大きな部分を占めており,掘削費の低減化が石油開発費の低減 化に直結することは自明である。一方,新技術の積極的導入や管理精度の向上などによる効率 向上・コスト削減が,多くの産業界において達成されつつある現状において,石油開発,殊に 油井掘削のシーンにおいては, “計画立案のマンネリ化・形骸化” , “慣れ親しんだ方法への盲目 的追従” , “妥協( 「技術的に正しいことは判るが,それを達成するためには初期投資が必要であ るし,労力が必要だから今回は見送ろう」といった妥協) ”等による効率向上への立ち遅れがあ る。そのように考えたShell,BP,Unocalに代表されるメジャーカンパニーは,掘削計画・作業 に対してエンジニアリングレベルにとどまらずマネージメントレベルまでを含めた方針の積極 的な変革を取り入れ,またこれまでのラーニング効果を体系的に整えた作業管理システムを採 用することにより技術的限界(Technical Limit)の達成を目指し,トータルの効率向上・コス ト削減を成し遂げている。 石油公団では,このTechnical Limitという考え方を国内石油開発業界に紹介し,彼らがこれ を積極的に活用,実践するようになれば,本邦業界の活性化はもとより,世界的に競争力のあ る業界になるための足掛かりを作ることを主目的として,技術動向調査の一貫としてTL手法に 関するスタディ,および経産省からの受託事業である国内基礎調査 基礎試錐への適用により, 効果実証を考えた。 本文では,平成13年度国内石油天然ガス基礎調査 基礎試錐「新津」へのコンセプト適用例 を紹介する。 最短化)のオペレーションを成し遂げ,技術限 1.TL手法への石油公団の取り組み 界:TL(Technical Limit)を目指す。 」という 考え方を導入し,掘削日数の短縮を達成・掘削 探鉱・開発対象となる油ガス層の大深度化, 及び対象地域の大水深域・リモートエリア等へ の拡散に伴い,探鉱・開発費の多くを占める掘 費の削減に成功している。 石油公団では当初,石油開発技術動向調査の 削費はますます膨れ上がっており,掘削費の削 一環としてTL手法のスタディを実施し,効率 向上・コスト削減への有効性を確信したため, 減は常に課題として挙げられている。 同手法を経済産業省からの受託により実施する このような中でShell,BPは, 「事前の調査・ 検討を徹底的に行い,必要によってはリグの大 国内基礎調査事業へ適用することにより,本事 幅改造,掘削計画や実施方法の見直しにより, れまでの過程を紹介する。 業の効率化・コスト低減化を試みた。以下にこ 最高効率(1ビット1セクションの達成,最大 掘進率による掘進,トラブルレス,ケーシング ・平成11年度:国内石油開発会社の掘削エンジ 降下・セメンチングなどの必要フラットタイム ニアを対象として,Shell(カスピ海)におい *本 稿 は 地 質 調 査 部 石 川 正 紀 ( E-mail : isikaw-m @jnoc.go.jp)が担当した。 てDTL(Drilling Technical Limit)コンセプト を推進していたエンジニアによるセミナーを開 石油/天然ガス レビュー ’03・3 ― 38 ― 催し,国内石油開発会社各社から出席した掘削 積極的利用など,掘削エンジニアリング結果に エンジニアにこのコンセプトを紹介している。 基づく掘削要領最適化により,平均掘進率を最 ・平成12年度:石油公団が経済産業省から受託 し実施している国内石油天然ガス基礎調査 基 大化し,またビット交換頻度最小化等を実践す 礎試錐(平成12年度「チカップ」)に対し本手 法を適用することにした。その適用は,本コン ることによるフラットタイム極小化を目指す。 ③掘削記録の統一書式・様式による保存・伝承 による知識の共有化,新技術やエンジニアリン セプトに精通し,世界的な適用実績のある米国 グに基づく改善提案を積極的に実践できるよう Frontline社を招聘し,石油公団エンジニア・ 委託先会社掘削エンジニアを交え,基礎試錐の な体制整備など,システマティックなプロジェ 掘削計画立案・作業への適用を進めることによ り実施した。ただし,この計画を受託会社に対 続的な効率向上を目指す。 このような最適化というものは,特に新しい し提示・提案したところ,会社も興味を抱いて ものではなく,旧来より掘削エンジニアリング はいたが,計画が既に進行段階にあり,実作業 により有効性が叫ばれていたものである。しか に対しては充分反映できなかった。 しながら,それを実践するためには,例えばリ ・平成13年度:前年度の反省から,TL手法の コンセプトを実作業に反映させるため,より早 グポンプの改造や,新しいソリッドコントロー 期段階から会社にアプローチした。すなわち, 伴うデリック改造などのリグ改造・諸準備作業 前年より8ヵ月早い段階でエンジニアを招聘 が必要であり,当然費用が発生するし,会社内 し,オフセットウェル・地質データ・リグ能力 ポリシーの見直しや機器導入・改造の立案・決 等に関するスタディ,TL計画作成・立案・提 示,必要な設備増設の可能性検討までを行った。 裁といった諸作業が発生する。また,従来以上 国からの委託である基礎調査事業の性質上,委 整備しなければならず,コストと労力が必要で 託先会社設備の改造や増設などは不可能である ある。そのため,従来からとられていたような, クトマネージメントを推進することによる,継 ル機器の導入,ドリルパイプの大径化とそれに の綿密な計画立案のために大量の情報を収集・ こと等の諸事情により,全てのコンセプト反映 「導入すれば効率向上・コスト削減につながる は出来なかったが,委託先会社の協力により, と判ってはいるが,今回は見送る」というスタ 可能な限りTL手法のコンセプトを掘削計画・ 作業に導入することとなった。次項以降に, ンスをできるだけ改め,マネージメントサイド TL手法のコンンセプト概要,基礎試錐「新津」 重要なファクターとなる。石油公団としては, における適用過程及び結果を示す。 国内石油開発各社が作業効率向上・コスト低減 を変革することが,このコンセプトのもっとも 化を可能ならしめ,国際的な競争力を確保でき 2.TL手法のコンセプト概要 るためには,このTL手法のような効率向上技 術が有効であると考えた。 掘削作業におけるTL手法とは,下記の①∼③ により,効率最大の作業・最短の作業時間によ る作業を達成することと捉えることができる。 ①坑井計画の最適化:近傍井の状況・問題点と 3.基礎試錐「新津」への適用 原因・使用リグ能力・最新理論・技術などの情 平成13年度基礎試錐「新津」(事業委託先: 基礎試錐「新津」共同事業者(帝国石油株式会 報を充分に解析し,トラブル原因の認知・即時 社・三菱瓦斯化学株式会社))へのTL手法適用 の対応策まで盛り込んだ掘削計画を立案・実施 経緯,導入内容,導入結果について述べる。 することにより,ロストタイムをなくし,オペ レーションの最適化をめざす。 ②エンジニアリングに基づく掘進:泥水循環量 最大化・必要最低泥水比重・ソリッドビットの (1)基礎試錐「新津」TL事前スタディ・共同事 業者へのリコメンデーション ・オフセット井選定・掘削作業分析・問題点等 ― 39 ― 石油/天然ガス レビュー ’03・3 (National 1320-UE)であることからも,オフ の抽出: 石油公団TLチームは,基礎試錐「新津」の オフセット井として, 「新南阿賀-1(帝国石油) 」 を選択した。この坑井は本試錐の掘削ロケーシ セット井として適していると判断した。 まず,選定したオフセット井の「掘削日報」 や「物理検層ログ」 , 「マッドログデータ」 , 「ビ ョンに近く,震探解釈断面等による地質対比が ット記録」などの情報提供を会社に要請し,石 容易で,また比較的最近に掘削された坑井でデ ータの信憑性も高いと判断された。また,掘削 油公団TLチームで作業解析(日報レベルでの 作業解析・各問題点抽出・解析)を行った(資 リグが,本試錐で使用するリグと同型 料1,抜粋)。なお,本試錐の目標地層であっ Hole Section - Production ∼ M 2900 M ? 4166 資料1 オフセットウェル解析(例) Discussion of Shin-Minami-Aga Problems Potential Solutions and Avoidance ? Mitigation for METI Niitsu Exercised dangerous well control techniques. Weighting was applied judiciously, however, when flow is detected, SIDP should ALWAYS be taken, proper well control procedures should be applied. Beginning to get gas increase at 3876m, increased mud weight form 1.61 to 1.67-flow check-had some flow, incr. Mw while drilling, had connection gas, built mud to 1.63, cont. drilling, incr. To 1.65, had some flow, incr. To 1.67. General fluids comments: Sweep the hole with high viscosity sweeps in at least 100m intervals. Circulate until “ shakers”are clean before drilling ahead. Use a good Polymer system, water loss system, and good viscosity ? according to mud company recommendations. Review appropriate ROPE documents prior to Spudding each section ? ECD guidelines and Loss Circulation guidelines. All weight should be drilled off each Kelly down, and verify and circulate until the hole is clean ? especially if cleaning rates are less than 500 GPM. This is an indication of existing tectonic stress at this depth. Increase MW enough to avoid “caving”,nut gradually and carefully. Spot LCM if Lost Circ occurred (never decrease MW). ROP remains poor-have used 16-12-1/4" bits to Same comments as previous regarding fixed 4039, and other depths. cutters, compressive strength, and optimum hydraulics, hole cleaning. High torque and jarring at 4,110m Possible tectonic condition - look for caving, splintered cuttings over shaker. Apply Technical Limit ROPE Guidelines. 石油/天然ガス レビュー ’03・3 ― 40 ― た基盤岩類については,地質デ―タや掘削デー タが存在しないため,TL手法の適用範囲から とにした。 以下に簡単に共同事業者の示したケーシング計 外した。 ・ケーシング計画,および泥水計画の妥当性確 画・泥水計画の内容を示す。 本試錐のオペレーターである帝国石油株式会社 認 (H11-12)において, の企業探鉱井「新桑山-1」 椎谷層最下部の旧桑山ガス田におけるガス産出 共同事業者は,石油公団が本井へのTL手法 導入依頼をする以前から,本井の掘削計画の作 層と,その下位の高圧泥岩層を同一セクション 成を開始しており,その中でも特にケーシング で掘りぬこうとして,深刻な差圧抑留に遭遇し, 計画に関しては非常に綿密に立案されていた。 サイドトラックをした。そのため共同事業者は, そこで,石油公団TLチームでは,共同事業者 のケーシング計画の内容・根拠等について事業 相当早くから慎重な検討を行った上でケーシン 者から説明を受け,必要なら修正を要請するこ 当初,石油公団TLチームは「新桑山-1」をオ グ計画・泥水計画に着手していた。 資料2 ケーシング計画概要 Hole Size CSG OD 17-1/2” (PH) 30” 36” (OH) 17-1/2” (PH) 20” 26” (OH) 設置深度(m) 泥水比重 (SG) 250m 1,650m 13-3/8” 2,300m 9-5/8” 3,950m 7”Liner 5,000m ― 41 ― 目的 本ケーシング設置後の26”坑を1,650mまで 掘削するためには泥水比重をSG1.35程度ま で増加する必要があると予測されため、こ れに耐える地層破壊圧を持つ深度以浅の軟 弱層をケーシングする。 本ケーシング設置後の17-1/2”坑で掘り抜 く寺泊層は高圧泥岩層と予測されており、 泥水比重をSG1.60程度まで増加する必要が 予測されたが、その上部の椎谷層での比重 増加は差圧抑留の危険性が非常に高いこと が認知されたため、椎谷層を掘り抜いた深 度でケーシングを設置する。 本ケーシング設置深度以深の高圧寺泊泥岩 層(必要泥水比重SG1.60と予測)下位には、 シール能力を有する上部グリンタフが予想 されているが、中部グリンタフからは地層 破壊圧が低下すると予測されたため、133/8”ケーシング設置深度を2,300mに決定 した。 13-3/8”ケーシングで上位高圧層の崩壊を 抑制した後、泥水比重をSG1.45程度まで下 げ12-1/4”坑を掘進する。プライマリターゲ ット(基盤岩)とセカンダリターゲット(深 部グリンタフ)を分離するため、ケーシング 設置深度を3,950mに設定している。 計 画 T D は 5 , 0 0 0 m で あ る 。泥 水 比 重 は SG1.45と予測 石油/天然ガス レビュー ’03・3 資料3 石油/天然ガス レビュー ’03・3 ― 42 ― フセット井として選択しなかったため,この問 ソリッドコントロール機器で処理して掘削砕を 題を認識していなかったが,共同事業者の示し 除去し,クリーンな状態にしてから再び坑内に たケーシング計画・泥水計画の妥当性を認め, 送入する。という過程を通じて初めて坑井掘削 この計画に合わせた形でTLに関する検討・提 案を実施した。以下に,本井のケーシング計画 を継続することができる。そして,より高い掘 の概要(資料2)を記す。 砕を地上まで運搬する必要があり,より大きな ・ビット計画について 共同事業者の協力により,オフセット井にお 循環量を得る必要がある。一方,管内摩擦およ ける物理検層データ・マッドログデータ・ビッ するため,流量を増加すると泥水の吐出圧力も ト記録等の情報を入手し,ビットメーカー数社 増大することになる。しかしながら,リグの泥 に提供し,彼らの持つ地層強度解析ソフトによ 水循環システムには常用限界圧力があるため, り,地層圧縮強度を計算させ,ビットリコメン ポンプ吐出量を増加するには限度がある。 デーションの作成を依頼した。ビットリコメン そこで,TL手法では,ドリルパイプの大径 化による管内圧損減少やリグポンプ・その他循 デーションの作り方としては,「TLコンセプト 進率での掘進を行うためには,より多くの掘削 び流体流動による圧力損失は流速の二乗に比例 の一つ「1ビット1セクション」の達成を基本 理念としたビット選定をして欲しい,あるいは 環機器の改良等,による循環システム耐圧増加 コンティンジェンシープランとして「2ビット を提唱する。また,泥水中の微細ソリッドを除 1セクション」を達成して欲しい。」と要請し 去するソリッドコントロール機器(セントリフ た。 ュージ)の追加などにより,微細ソリッド除去 そして,Smith社,REED-Hycalog社, Security DBS社の三社からビットリコメンデ ーションを受けた(資料3)。これを共同事業 者に対して提示し,ビット計画に反映してほし を実践することにより,最大流量の確保・増加 に努め,大量のリターン泥水をより高効率に処 理できるようにすることも,ハイドロリクス最 大化のために寄与する。 更に,泥水中の微細ソリッド含有率の低下は, いとリコメンデーションした。 しかしながら,ビット計画へのリコメンデー ポンプやポンプライナー,その他循環ライン等 ションに対する,共同事業者の返答は,「20” あるはずで,リグリペアによるNon CSG設置予定深度(1,650m)以浅においては, レキ層の存在が予測されており,掘進中の激し Productive Time(以下NPT)の低減化にも 役立つ。そのため,共同事業者へのリコメンデ いバンピングが懸念されたため,PDC Bit等の ソリッドビットの使用による掘進率の向上は不 ーションとして,下表の目標フローレートによ 可能と考えられる。よって従来どおりローラー ク改造・大径ドリルパイプの採用をリコメンド コーンビットを使用したい。 また,グリーンタフ中においては,これまで した。 の地上機器のダメージを減らすことにも効果が る掘進,ハイドロリクス計算結果およびデリッ ホールサイズ の経験からフィックスドカッタービットによる 掘進率向上が見られたことはないため,ローラ ーコーンビットを使用したい。ただし,深部に 予測される硬質岩層においては,インプリグネ イテッドダイヤモンドビットの使用について検 ポンプ吐出量 26” 指定なし 17-1/2” 1200gpm 12-1/4” 800gpm しかし,共同事業者内でこのリコメンドに従 討している。 」というものであった。 うためにどのような改造が必要で,その改造に ・リグハイドロリクス最大化について リグポンプにより坑内に送入された掘削泥水 どのような問題があるかについて具体的な検討 が地上までリターンしてくる際に掘削砕を運搬 され,リグ改造・大径ドリルパイプの採用によ する。そして,リターンしてきた泥水を地上の り目標フローレートを常時達成することは不可 を行ったところ,下記の①∼③の問題点が抽出 ― 43 ― 石油/天然ガス レビュー ’03・3 能と考えられた。 リグハイドロリクス最大化に伴うリグ改造 とが可能か,という疑問点があること。 しかし,リグハイドロリクス最大化を実施す に関する問題点 ①セカンドプラットフォーム:ドリルパイプ ることの利点は理解できるため,現状設備をも を並べるため,パイプフィンガーの改造が い,ハイドロリクス目標を可能な限り達成する 必要であるが,不可能ではない。 ②ドリルパイプを大径化すると,各ジョイン こととした。 また,ソリッドコントロール機器の増設につい ト締め付けトルクを大きくする必要があ ては,セントリフュージのレンタル使用によ り,締め付け具(アイアンラフネック含む) り、効率向上に努めることとした。 って可能な限りの高ポンプ流量による掘進を行 の改良・増設を行う必要がある。これは, 費用により可能であるが,作業の危険性が 増大すること,及び機器納期から不可能。 ③この改造は本試錐のためだけのものである ため,改造のための費用を本試錐費用でま かなうことになるが,契約上そのようなこ (2)導入結果・セクションごとの評価 基礎試錐「新津」の掘削作業へのTL手法の コンセプト導入結果を以下のようにまとめる。 (参照:資料4 NPT/PT比率,資料5 NPT分 類表,資料6フローレート記録) 資料4 基礎試錐「新津」PT/NPT 石油/天然ガス レビュー ’03・3 ― 44 ― 資料5 基礎試錐「新津」NPTブレークダウン ①26”坑セクション 100spm×2台)のフローレートでの掘進を行 った。このときの掘進中のポンプ圧は最大で ・掘削深度: 計画250m∼1,650m,実績265m∼1,280m 196kscであった。結果として,砕溜まり等に起 因するホールプロブレムによるNPTは発生し ・20”ケーシング: 計画0m∼1,650m,実績0m∼1,273m ていない。 ②17-1/2”坑セクション ・フローレート: ・掘削深度: 17-1/2”パイロットホール, 計画1,650m∼2,300m,実績1,280m∼2,362m 目標1,100gpm,実績875gpm 26”オープンホール, ・13-3/8”ケーシング: 目標 特に指定なし,実績1,287gpm ・セントリフュージの連続使用によるソリッド 計画0m∼2,300m,実績0m∼2,328m ・セントリフュージの連続使用によるソリッド コントロール向上 コントロール向上 ・作業時間分析:NPT割合7.3%(内訳:リグ ・フローレート:目標1,100gpm,実績1,280m リペア68%) ∼1,700m近辺においては掘進中のフローレー NPT分析・概要:26”坑セクションの17-1/2” ト1,000gpm-1,100gpm前後(ポンプライナー パイロット坑ではダウンホールモータ+MWD による傾斜コントロールを行ったため,フロー サイズ7-1/4”×155spm程度)を達成してい るが,その後は坑壁崩壊抑制のため泥水比重 レートが制限されたが,26”坑拡掘時は坑内状 を増加しているため,フローレートを 況を考慮して最大1,287gpm(7-1/4”Liner× 800gpm程度(ポンプライナーサイズ6- ― 45 ― 石油/天然ガス レビュー ’03・3 資料6 石油/天然ガス レビュー ’03・3 ― 46 ― 1/2”×155spm程度)まで減少させて掘進し 50%,リグリペア24%,ストリングトラブル ている。 22%,検層トラブル4%) ・作業時間分析:NPT割合8.4%(内訳:物理 NPT概要および原因:リグリペアーの原因は 検層トラブル44%,逸泥10%,リグリペア BOP漏洩,ドリルストリングトラブルはドリ 8%) ルパイプのウォッシュアウトによるNPTであ NPT分析・概要:NPTの4割強を占める物理 る。 検層トラブルは,ツールス(PEX-DSI)の降下 (3)総評・まとめ 本井においては,リグの改造・機器導入を最小 ができなかった事による。 ③12-1/4”坑セクション ・掘削深度: 限にとどめ,掘削パラメーターのみをTLチー 計画2,300m∼3,950m,実績2,362m∼3,957m ムの推奨するものに近づけることで,TL適用 による作業効率の向上を図った。 リグの改造や機器の導入が可能であれば更なる ・9-5/8”ケーシング: 計画0m∼3,950m,実績0m∼3,932m ・ セントリフュージの連続使用によるソリッ ドコントロール向上 ・ フローレート:目標800gpm,実績2,300m∼ 3,220m近辺まではポンプ圧力上限を240kscとし 作業効率の向上が期待できると思量される。 しかし,本井における作業時間分析結果をみる と,8-1/2”坑におけるトラブル以外のほとん ど全てが,リグリペアや物理検層ツールストラ て750gpm∼780gpmのフローレートによる掘進 を実施しているが,深度増加・泥水比重の増加 ブルに起因するものであることが判明してお に伴う循環圧力上昇により,徐々にレートを下 業要領を実施することの有効性を示していると げざるを得なくなっている。3,560m付近の掘進 時より逸泥が発生しているため,ポンプ圧力上 考えられる。そのため,石油公団としては今後 限を210ksc程度に下げており,これ以降は 向上を進めていくことを考えている。 り,ドリリングエンジニアリングに基づいた作 も基礎試錐において,今回と同様の作業効率の 600gpm程度のフローレートで掘進をしている。 ・ 作業時間分析:NPT割合4.0%(内訳:逸泥 ― 47 ― 以上 石油/天然ガス レビュー ’03・3