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2010

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2010
授業料等不徴収協定に基づく派遣交換留学終了報告書
所
属
氏
名
理工学研究科
―
報告書提出時の学年
留 学 先 国 フランス
留 学 期 間
2010 年
建築学専攻
修士
1年
留学先大学 パリ建築大学ヴィレット校
9月
16 日 ~
2011 年
7月
7日
① 留学先大学についての概略
私が留学したのは、パリ・ラヴィレット建築大学というパリにある建築専門の単科大学です。生徒数はフ
ランスに21ある建築大学の中でも最も多く、また多くの(主にヨーロッパからの)交換留学生を受け入れて
いる学校でもあります。正規入学の学生の中には中国、韓国などアジア人の学生もいます。
校舎はキャンパスと呼べるほどのものではなく、中庭を囲った1区画しかない小さなものです。設備とし
ては小さいカフェテリア、展示スペース、図書室、ビデオテーク、写真用アトリエ、模型用アトリエが校舎内
にあり、校舎から徒歩5分程度の別の建物内にパソコン室(スキャナ、A0 プリンターあり)があります。
工学部内に設置されている日本の建築学科とは異なり、美術学校としての色合いが強いのが特色で
す。そのため授業もメインとなる設計の授業以外に、造形やデッサン、写真などの授業が数多く用意され
ています。
② 留学前の準備
・学部:研究室配属、学士論文研究、就職活動または大学院入試と留学との兼ね合いを含め、卒業ま
での計画
・大学院:就職活動、修士・博士論文などとの兼ね合い、修了までの計画
その他、派遣交換留学情報の入手方法、専門分野・語学の準備方法、留学先の研究室に所属した
場合、留学先大学の指導教員との準備、ビザ取得方法、住居の探し方など
学部4年時の夏に修士1年の夏から1年間の留学をしようと、学内の派遣交換留学に応募しました。そ
れ以前に、学部3年時に留学を試みたことがあり、すでに留学説明会に参加し資料なども入手していまし
たが、学部で留学するのは卒業、就職、進学などとの兼ね合いで難しいことが分かり、当時はあきらめま
した。修士1年で留学することは周囲(建築学専攻)で一般的であったので、今度は同じ学年で留学を計
画している友人達と情報交換したり、すでに留学された先輩方の情報を多く入手することができました。半
年ではなく1年間留学したいという思いと、就職活動や修士論文のことを考え、卒業期間を1年間延長す
ることに決めました。帰国後に修士1年の後期に復学し、残りの単位を取得しながら就職活動を開始し、
修士2年春の就職活動終了後から修士論文を執筆する計画です。
留学のための本格的な準備を始めたのは、実際に留学が決定し修士 1 年に進学した春からでした。住
居やビザなどについて、分からないことだらけだったので、当時ラヴィレット建築大に留学していた1つ上
の先輩とメールで頻繁にやり取りし、そのつど質問や相談にのってもらいました。ビザについてですが、フ
ランスの場合現地での住所が決まっていないと(住居証明がないと)申請できないので、まずは住居探し
から、早めに始めることをおすすめします。住居について詳しくは項目6で後述しますが、私の場合この住
居探しに手間取ったためにビザの申請が遅れ、既に買ってあった航空券の日付を手数料を払って遅らせ
る、という事態になってしまいました。その他の書類(学校からの受け入れ証明書(確か 5 月か6月に届い
たと記憶)、海外使用可能な銀行口座の残高証明書など)を一つずつ揃え、いざビザ申請をしようと思って
も大使館の申請日の予約がいっぱいで、1週間以上先まで予約できなかったので注意が必要です。(特
に夏季は非常に混んでいます。)
また私の年から申請の制度が変わり、学生はまず campus france というサイトに登録せねばなりません。
ここの対応が非常に遅いため、返信が来ない場合は遠慮なく電話するなどして対応を促しましょう。大使
館とのやりとりが、フランスという国のシステムと付き合う第一歩になります。
語学に関しては、学部1、2年時に第二外国語としてフランス語を学習して以来、少しずつ独学で勉強を
続け、検定なども受検していました。それでもかなり不安を感じていたため、留学半年前から週1回語学
学校に通いました。詳しくは項目7で述べます。
③ 留学中の勉学・研究
授業登録の有無、授業や研究方法についての感想
授業登録は学期はじめのガイダンスを受けて、オンラインで行います。人気の授業は早いもの順、教授
のサインがいるなどの決まりがありましたが、基本的に留学生は自由に履修することができ、学校事務も
柔軟に対応してくれます。渡仏前5月頃にも手続き上一度履修計画を提出しますが、これは参考程度のも
のなので、気にしなくて大丈夫です。
授業はほぼ100パーセントフランス語で行い、英語が話せる先生は少ないように感じました。
④ 留学中に行った勉学・研究以外の活動
ボランティア、インターン、旅行、スポーツなど、幅広く体験を教えてください。
クリスマス、イースター、夏休みなど休みのたびにヨーロッパ内を旅行して建築・美術館めぐりをしまし
た。
パリからは各国への交通が非常に発達しており、また値段も安いため、予定さえ上手く組めば週末にも
旅行できます。また、仲良くなったフランス人の友人の卒業制作を手伝ったことも、非常に良い経験となり
ました。
⑤ 留学費用について
渡航費、生活費、住居費、保険料、奨学金の有無など。
渡航費は往復で17万円程度。1年間のオープンチケット(往復)を日本で購入していきましたが、復路
に関しては現地で購入した方が圧倒的に安いようです。住居費が光熱費・ネット込で月450ユーロかかり
ました。ルームシェアのため、フランスにおける学生向けの家賃補助はもらえません。(通常、契約者であ
れば外国人でも200ユーロ程度受け取れます。)パリは比較的物価が高く、自炊メインでも生活費はミニ
マムで月1000ユーロ程度。旅行などするとそれ以上かかり、平均1500ユーロでした。
保険は日本で11万程度の留学保険に加入していきましたが、留学先大学で200ユーロ程度の社会保
険への加入が義務だったので、その分で大分カバーされ、今考えると日本で加入する保険はもっと低額
のものでも良かった気がします。私はパックになったプランを契約しましたが、個別の内容ごとに加入でき
るようなので、自分に必要な内容をよく検討して加入することをおすすめします。
留学費用に不安があったので、日本学生支援機構から二種奨学金(貸与・月額15万)を受けました。
実際には渡航後(10月)に東工大基金(奨与・月額8万円・半年分)に採用が決まったので、二種奨学
金の金額はもう少し少なくても良かったかと思います。
⑥ 留学先での住居について
寮の有無、申し込み方法、ルームメイト、その他
留学先大学には付属の寮はなく、また斡旋などのシステムもないため、自分で家を探さなくてはなりま
せんでした。また他のヨーロッパ諸国と違い、前述したビザの関係で、日本にいる間に住所を決定する必
要があります。パリ市内にはシテ・ユニベルシテという大きな国際学生寮があり、日本人用の建物もある
ため、まずはここに応募するのが一般的なようです。しかし定員数は限られており、研究者・正規留学生
が優先されることもあって、私の場合選考(7月上旬)に落ちてしまいました。そのため、その時期からビザ
のために慌てて家探しをしました。パリは住宅難で、とりわけ外国人の家探しというのは難航しますが、私
は運よく当時留学していた先輩に、入れ違いに帰国するアパート住まいの友人を紹介してもらうことがで
きました。
フランス人兄弟との3人でのルームシェアで、弟が数年前に東工大に交換留学していた留学先大学の
卒業生でした。そのため日本人に慣れていて、また学校についても詳しく教えてもらうことができたので、
非常に恵まれた環境でした。ルームシェアは人によって相性や感じ方などもあり、一概に良いとは言えな
いようですが、私の場合、2人ととても仲良くなることができ、困った時は相談にも乗ってもらえたので本当
に良かったです。彼らの家族や友人と交流する機会にも多く恵まれ、フランス語を学ぶ環境として良いば
かりでなく、フランス文化やフランス人をごく身近に体験することができました。このことは、留学生活を彩
る重要な要素であったと思っています。
⑦ 留学先での語学状況
例えば、授業、研究には○○語が必須だが、生活は○○語を利用。留学前の TOEFL 等語学試験は、
○○だったが、十分であった(2,3ヶ月は苦労した)など。
私は留学前に仏検3級を取得していましたが、実践的な会話にはほとんど慣れていなかったので、渡航
直後は本当に苦労しました。現地の人は当然日本の語学学校での会話スピードよりも全然速く、耳が慣
れるだけでも 3 か月はかかりました。しかしこれはもうしょうがないことなので、日本にいる間は基礎的な単
語、文法だけでもできる限り学んでおいたら良いと思います。基礎力があるだけで、現地での習得スピー
ドに差が出ます。
授業も学校の友人との会話も全てフランス語で行われ、英語を使用するのは留学生同士の間くらいで
す。
私はフランスの本や映画、音楽などになるべく日常的に触れるようにし、後期は語学力の不足を補うた
めに、パリ市主催の語学講座にも週2回通いました。語学ができれば授業の理解だけでなく、友人関係を
築くのも早いので留学生活が格段に楽しくなると思います。東工大の授業や研究との兼ね合いもあり大変
ですが、留学前にできるだけ頑張っておくことをおすすめします。
⑧ 単位認定、在学期間について
留学中に取得した単位の認定を東工大で行ったか(行う予定か)?在学期間の延長を行ったか?
留学前と帰国後の東工大の単位で十分であるため、単位認定を行う予定はありません。在学期間につ
いては、就職活動、修士論文に時間をかけて取り組むために、1年間の延長を行います。
⑨ 就職活動について
留学先で行ったこと、また帰国後どのように活動する(予定)など。
帰国後の秋から行う予定です。留学によって広がった視野で幅広い企業を検討すること、留学経験を
アピールすることが出来たら良いと考えています。
⑩ 留学先で困ったこと(もしあれば)
特にはありません。怪我や病気、スリや空き巣には十分注意していたので、一年間風邪をひくこともな
く、また犯罪被害にも遭いませんでした。パリの治安はお世辞にも良いとは言えないので、友人(日本人、
フランス人両方)にはスリに遭った人がけっこういましたが、これは本人の気をつけ方次第だと思うので、
必要以上に心配することはないと思います。
強いて言うならば、日本に送った郵便が一度紛失にあったこと、銀行の手違いで残高表示がゼロになっ
ていたこと、くらいです。海外生活にトラブルはつきものですが、何かあっても必ず、味方になってくれる親
切なフランス人や、一緒に立ち向かってくれる日本人が現れるはずです。最後にはきっと、良い経験をし
た、くらいに思えるようになるでしょう。
⑪ 派遣交換留学を希望する後輩へアドバイス
とにかく、「挑戦してみる」の一言に尽きます。得られるものはいくらでもあります。私自身、留学前は海
外経験もほとんどなく、資金面や卒業が延びること、語学に対する不安などから何度か留学をあきらめか
けました。しかし今は絶対に、行って良かったと思っています。誰しもが留学を経験できるわけではない
し、学生という時間のあるうちで、それも東工大のように多くの派遣先や奨学金制度が用意されているの
は、とても恵まれた環境だと思います。不安要素があるのは当たり前ですが、たいていのことは何とかな
ります。それよりもそこで得た経験が、一生の宝物になるはずです。「行ってみたい」というちょっとしたひら
めきや想いが、無限の可能性につながっています。ぜひそれを大事にして実現させて下さい。
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