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超音波装置による生体肉質推定法の肥育牛への活用

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超音波装置による生体肉質推定法の肥育牛への活用
超音波装置による
超音波装置による生体肉質推定法
による生体肉質推定法の
生体肉質推定法の肥育牛への
肥育牛への活用
への活用
ねらい
肉用牛の肥育においては、肉質の向上を目的としてビタミンの制限給与等様々な方法
が取り組まれているが、必ずしも品質の高い牛肉が生産されるわけではない。これは、
素牛本来の産肉能力に加え、育成・肥育期の様々な飼養管理条件が影響し、特定するこ
とが難しいためである。そのため、農家は出荷するまで、肥育牛の経済的評価が得られ
ず、農家経営の大きな不安定要素となっている。そこで、不安定要素を解消する一手法
として超音波装置を用い、肥育牛の肥育状態を早期に推定し、肥育方法や出荷選択の可
能性について調査を行う。
主要成果
1 超音波装置による生体肉質推定法は、肥育牛の出荷時期や出荷先の選択に活用でき
る。
(1)測定装置は、超音波肉質推定装置の他、感熱記録紙コピー器及びビデオデッキを用
いた。
(2)測定部位は、牛の左側肩甲骨後縁から指 5 本分(約 10 ㎝)後方の肋骨間(第6~
7肋骨間)とすることで、枝肉評価と同じ部分を推定することができる。
(3)肉質の推定は、録画した VTR 画像を再生・確認することで、評価対象となる脂肪
交雑、皮下脂肪の厚さ、バラの厚さなど、実測値との相関が高まる。
2 肉質の推定時期は、生後 24 か月齢程度が適当である。
(1)出荷を生後 28 ~ 30 か月齢で行った調査牛の枝肉成績と出荷までの各月齢ごとの推
定値は、生後 24 か月齢以後で高い相関が得られる。
3 飼料給与の改善を図り経済的効果を上げるためには、更なる推定時期の早期化が必
要である。
(1)牛の産肉生理理論では、枝肉評価となるロース芯の脂肪交雑が発達するのは、生後
14 か月齢からであり、25 か月齢以後では飼料給与効果が小さい。
成果の
成果の活用面・
活用面・利用上の
利用上の留意事項
1 超音波装置は高価なため、個人利用ではなく、JA・市町村単位で所有し、広範囲
で活用することが必要である。
2 肉質の推定はVTR画像で行えることから、出荷者を含めて推定・分析を行うこと。
関連文献等
(1)黒毛和種肥育素牛の早期能力判定技術の開発(西田清他:岩手県農業研究センター試
験成績書、岩手農研セ資料畜産9-№1、P14 ~ 15、平成 10 年)
(2)黒毛和種肥育素牛の早期能力判定技術の開発(西田清他:岩手県農業研究センター試
験成績書、岩手農研セ資料畜産 10 -№1、P15 ~ 16、平成 11 年)
(3)黒毛和種肥育素牛の早期能力判定技術の開発(西田清他:岩手県農業研究センター試
験成績書、岩手農研セ資料畜産 11 -№1、P15 ~ 16、平成 12 年)
表1 間接検定牛における推定値と実測値の関係
BMS№
ロース芯面積
区 分 推定値 実測値 推定値 実測値
11年度 23頭 7.9±2.5 8.2±2.2 50.4±6.6 47.5±7.2
相関係数 +0.616※※
+0.343
12年度 27頭 8.3±1.6 8.9±1.8 48.7±3.8 48.5±4.8
+0.388※
+0.140
13年度 19頭 7.4±1.6 8.3±2.2 50.3±4.6 46.5±4.6
+0.646※※
+0.325
全 体 69頭 7.9±1.9
8.5±2.0
49.7±5.1
47.6±5.6
+0.556※※
+0.261※
表2 県共出品牛における推定値と実測値の関係
BMS№
ロース芯面積
区 分 推定値 実測値 推定値 実測値
11年度 68頭 5.9±1.5 6.0±2.1 54.8±6.1 54.8±6.5
相関係数 +0.445※※
-0.04
12年度 92頭 5.8±1.5 5.7±1.9 53.3±5.0 54.4±7.2
+0.379※※
+0.257※
13年度 73頭 5.5±1.7 5.0±1.7 54.9±4.7 51.6±8.1
+0.476※※
+0.143
全 体 233頭 5.8±1.6
5.5±1.9
54.2±5.3
53.7±7.4
+0.434※※
+0.111
試験成績
写真1
研 究
単位:№、c㎡、㎝
皮下脂肪厚
バラ厚
推定値 実測値 推定値 実測値
1.9±0.4 1.7±0.5 6.3±0.8 6.4±0.8
+0.871※※
+0.028
1.9±0.4 1.9±0.7 6.7±0.5 6.6±0.5
+0.787※※
+0.097
2.1±0.4 2.1±0.6 6.9±0.5 6.6±0.7
+0.555※
+0.692※※
1.9±0.4
1.9±0.6
6.6±0.6
6.5±0.7
+0.757※※
0.247※
単位:№、c㎡、㎝
皮下脂肪厚
バラ厚
推定値 実測値 推定値 実測値
2.5±0.6 2.9±0.8 7.3±0.7 7.6±0.8
+0.785※※
+0.364※※
2.6±0.5 2.8±0.8 7.6±0.7 7.4±0.7
+0.678※※
+0.549※※
2.8±0.7 3.0±0.6 7.3±0.6 8.0±0.9
+0.819※※
+0.457※※
2.6±0.6
2.9±0.7
7.4±0.7
7.7±0.8
+0.742※※
0.362※※
※※:p<0.01 ※:p<0.05
測定部位
写真2
測定部位断面
年 度 平成8年~
研 究 課 題 名 肥育素牛の早期肉質判定技術の開発
担
当 畜産試験場改良増殖部改良繁殖グループ 西村隆光・古澤剛
三宅俊三(現 畜産課)・原田佳典(現 全農山口県本部)
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