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月経随伴性気胸(胸郭子宮内膜症)に対する骨盤内子宮内膜症の影響

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月経随伴性気胸(胸郭子宮内膜症)に対する骨盤内子宮内膜症の影響
日エンドメトリオーシス会誌
; :
−
135
〔一般演題/希少部位
〕
月経随伴性気胸(胸郭子宮内膜症)に対する骨盤内子宮内膜症の影響
―骨盤内子宮内膜症は胸郭子宮内膜症の広がりに影響を与えるか?―
)日産厚生会玉川病院気胸研究センター
)同・婦人科
)同・放射線科
秀之 ),栗原
片岡
正利 ),金子
)
田尻下怜子 ,吉田
緒
均 ),仁平
慶之
光彦
)
U/ml 以下は 例( %)であった.
言
月経随伴性気胸(Catamenial Pneumothorax:
子宮内膜症治療歴を認める例は
例であり,
以下 CPT)は胸膜,横隔膜に子宮内膜様組織
うち手術既往が
が認められる稀少部位子宮内膜症である.胸腔
例であった.治療歴なしは 例であった.
成
内の内膜組織は,骨盤内子宮内膜症の横隔膜経
由による胸腔内播種であると考えられている.
績
術前骨盤 MRI で子宮内膜症ありと診断され
CPT において,胸腔内の内膜組織の広がりは
たのは
横隔膜のみに病変が認められる症例から胸壁
・子宮筋腫合併
(壁側胸膜)
,肺(臓側胸膜)にまで病変が広が
例,ホルモン療法の既往は
例(子宮内膜症のみ
断されたのは 例(子宮筋腫 例,その他の卵
っている症例までさまざまである.CPT 確定診
巣疾患
断例において,骨盤 MRI 診断を用いて骨盤内
形腫)
,明らかな所見なし
子宮内膜症が CPT の胸腔内の広がりにどのよ
年
例)であった.
胸腔内の内膜組織播種の広がりは,横隔膜に
壁(壁側胸膜) 例に内膜組織を認めた.
方法(対象)
月から
例(機能性囊胞,多胞性囊胞腫瘤,奇
全例内膜組織を認め,肺(臓側胸膜) 例,胸
うに影響しているかを検討した.
年
例,子宮内膜症
例)で,子宮内膜症なしと診
月までの胸腔鏡手術
骨盤内の子宮内膜症あり
で CPT と病理診断された 例に対し,術前骨
膜組織の広がりは横隔膜のみ
盤 MRI で子宮内膜症の有無を検討した.骨盤
展している例は
MRI は .T Philips 社 製 Gyroscan InteraNova
と胸壁
を使用し,T WI 横断矢状断像,T WI 脂肪抑
制横断像,T WI 横断矢状断像で診断を行った.
次に胸腔鏡所見と病理診断による胸腔内の内
例中,胸腔内の内
例,胸腔内に進
例(横隔膜と肺
例,横隔膜と肺と胸壁
例,横隔膜
例)
であった.
骨盤内子宮内膜症なし 例中,胸腔内の内膜
組織の広がりは横隔膜のみ
例は 例(横隔膜と肺
例,胸腔内に進展
例,横隔膜と胸壁
例,
膜組織播種の広がり(横隔膜・肺(臓側胸膜)
横隔膜と肺と胸壁
・胸壁)を検討し,骨盤内の子宮内膜症との関
内膜症の有無は胸腔内子宮内膜組織の広がりに
連を検討した.
有意差を認めなかった(p= . (χ 乗検定)
)
患者背景は,年齢 ∼ 歳(平均 .歳)
,妊
娠歴は,未経妊未経産 ,経妊未経産
,経産
)
.
症例を呈示する. 歳女性,月経
日前に右
気胸を発症し,ドレナージ施行した.次の月経
であった.
術前血清 CA
(表
例)であった.骨盤内子宮
は平均 .U/ml で正常値の
日目に右気胸を発症し,安静加療を行った.
136 片岡ほか
表
骨盤内の子宮内膜症の有無と胸腔内の内膜組織
の広がりの関連
骨盤内の 横隔膜 胸腔内進展
計
子宮内膜症 のみ (肺・胸壁)
あり
P= .
(χ 検定)
なし
計
図 ―
図 ―
骨盤 MRI(T WI 横断)
明らかな内膜症は認めない.
―
胸腔鏡所見
臓側胸膜に内膜組織を認める.
図 ―
胸腔鏡所見
壁側胸膜に内膜組織を認める.
図
図
―
胸腔鏡所見
横隔膜に内膜組織を認める.
骨盤 MRI(T WI 脂肪抑制横断)
明らかな内膜症は認めない.
月経随伴性気胸(胸郭子宮内膜症)に対する骨盤内子宮内膜症の影響―骨盤内子宮内膜症は胸郭子宮内膜症の広がりに影響を与えるか?― 137
局所麻酔下胸腔鏡検査で横隔膜腱中心に血腫,
は低いことから,CPT に合併した骨盤内子宮
裂孔を認めた.術前骨盤 MRI では子宮内膜症
内膜症は無症状の軽症例が多いと推察される.
を認めなかった.全身麻酔下胸腔鏡手術を施行
CPT の胸腔内の広がりは横隔膜を
次起源
し,横隔膜腱中心,肺,胸壁に内膜組織を認め
として発生すると考えられ,横隔膜生着が診断
た.横隔膜,肺,胸壁の部分切除を行い,横隔
された場合,手術時すでに肺(臓側胸膜)
に %,
膜,肺をサージセルで covering した(図
胸壁(胸壁胸膜)に %播種していた.臨床子
考
)
.
察
宮内膜症の有無に基づき胸腔内子宮内膜組織の
骨盤内子宮内膜症の確定診断は開腹術または
広がりを検討したところ有意差は認めなかっ
腹腔鏡検査が必要であるが,実際は問診,内診,
た.骨盤内子宮内膜症の程度は CPT の進行度
経腟超音波,骨盤 MRI などの非侵襲的診断が
に影響を与えないことから,以下の
行われている.なかでも骨盤 MRI が最も診断
が考えられる.
能の高い検査である.骨盤 MRI は内膜症性囊
①臨床子宮内膜症の程度で CPT の存在や進行
胞を確実に診断でき,その正診率は %ときわ
めて高い.また,腹膜表面の小さい implant や
軽微な膜様癒着の診断は正診率 ∼ %と低い
が,強い癒着性変化は同定しうる方法である
度を判定することはできない.
② CPT の進行度と骨盤内子宮内膜症の程度と
独立した関係である.
結
語
CPT に合併する臨床子宮内膜症は %であ
〔 〕
.
CPT は子宮内膜組織が横隔膜に生着貫通の
のち,
つのこと
り,臨床子宮内膜症の存在のみで CPT の存在
次性に胸腔播種する経路と骨盤内臓器
を判定することはできない.骨盤内子宮内膜症
から血行・リンパ行性に直接肺転移する経路が
の程度は胸腔内の子宮内膜組織の広がりを反映
考えられている〔 〕
.自験約
するものではない.
例では横隔膜
の病変を認めず,血行性に転移したと考えられ
る例はきわめて稀で,ほとんどが横隔膜への生
着が認められる例である.MRI 診断による臨
床子宮内膜症の合併は %( 例中
例)であ
った.小林らは CPT と診断されるも臨床子宮
内膜症なしと診断された
を行った
例中,骨盤内の観察
例全例に腹膜病変を主体とした骨盤
内子宮内膜症を認めた報告している〔 〕
.骨盤
MRI は軽微な癒着や小さい implant の診断精度
文
献
〔 〕日本産科婦人科学会編.子宮内膜症取扱い規約(第
部)治療・診療編.東京:金原出版,
〔 〕栗原正利.月経随伴性気胸の診断と治療(特集
月経随伴症状を診る)
.産と婦
; ⑾:
−
〔 〕小林優子ほか.月経随伴性気胸の病態と治療(特
集 子宮内膜症の新しい考え方)
.産と婦
;
⑴: −
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