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超臨界二酸化炭素と水の相対浸透率測定

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超臨界二酸化炭素と水の相対浸透率測定
大成建設技術センター報
第 43 号(2010)
超臨界二酸化炭素と水の相対浸透率測定
小川 豊和*1・青木 智幸*1・横山 正利*2
Keywords : supercritical CO2, CCS, relatuve permeability, saturation, sandstone
超臨界 CO2,CCS,相対浸透率,飽和度,砂岩
1. はじめに
技術だけでなく,超臨界 CO2 を貯留したことによる特
性の変化や層内での超臨界 CO2 の挙動を正確に予測で
二酸化炭素の大気放出抑制対策として,地中貯留技
きる技術が必要となると考えられる。
術 が 注 目 さ れ て い る 。 こ れ は CCS ( Carbon dioxide
当社ではこれまでに,深部帯水層に貯留されたCO2
Capture and Storage)と呼ばれ,発電所,製鉄所,セメ
の挙動予測を行うための数値解析技術に取り組んでき
ント工場などから排出される大量の二酸化炭素を分
た3),4)。また,現象の正確な理解や解析精度の向上の
離・回収し,パイプラインや船舶で貯留地点まで輸送
ために地盤の基本物性パラメータを把握する実験技術
して,地中の油層や帯水層に封じ込める総合技術であ
の開発が非常に重要であると考え二酸化炭素浸透試験
。CCS の実施に当たっては,漏洩に関する環境
装置を開発し 1),2)(図-1,2)地盤中の温度・圧力条
影響評価の観点から,安全性を保証するためのモニタ
件下で岩石の浸透率を測定して,装置の基本性能試験
リングが必要となるが,深部塩水層の特性を把握する
を実施してきた。
る
1),2)
二酸化炭素地中貯留の長期安定性評価では,帯水層
を二酸化炭素がどのように移動するかを理解すること
が非常に重要である。圧入時,超臨界状態の二酸化炭
素は水を押しのけるが,一方で浮力により帯水層内を
上昇する。二酸化炭素が移行し,その飽和度が増すと,
水の飽和度が低くなる。よって,地下における二相流
(CO2 と水)の流動挙動を評価するためには二相流特
性の把握が重要である。
本報ではまず,二相流特性を記述するために一般に
用いられる「相対浸透率」とは何かを説明する。そし
て,試験装置の特徴と,水と超臨界CO2 の二相流浸透
試験において,岩石試料から排出される水とCO2 の量
比を測定するために開発したセパレータの性能試験を
概説する。さらに,水で飽和した2種類の砂岩に超臨界
状態の二酸化炭素を圧入した二相流浸透試験結果を報
告する。
2.
相対浸透率
浸透率は,岩石など多孔質物体の物理的性質の一つ
図-1 浸透試験装置全景
Fig.1 Overall Picture of Rock Permeability Test Apparatus
で多孔質物体内における流体の流れやすさを表現する
用語である。間隙を流れる流体に依存せず,多孔質物
*1
*2
体が有する固有の浸透率を絶対浸透率と呼び,m2 もし
技術センター土木技術研究所地盤・岩盤研究室
大成サービス(株)
くはダルシー(d),ミリダルシー(md)という単位で
61-1
大成建設技術センター報
第 43 号(2010)
表す。通常,浸透率と
いえばこの絶対浸透率
を指すが,浸透率には
他に有効浸透率と相対
下流
圧力計
上流
圧力計
浸透率と呼ばれるもの
がある。多孔質物体内
試
料
に 2 種類以上の流体が
存在して流動している
ときに,それぞれの流
上流ポンプ
下流ポンプ
圧力容器
体に対する浸透率をそ
の流体の有効浸透率と
言い,この有効浸透率
差圧計
セパレータ
と絶対浸透率の比を相
対浸透率と呼ぶ。これ
まで,岩石コアを用い
図-2 浸透試験装置概要
Fig.2 Schematic View of Rock Permeability Test Apparatus
た試験では絶対浸透率
測定には空気または水を,相対浸透率測定には主に水/
油,水/ガス,油/ガスの組合せを測定用流体として用
Swr
1.2
5)
いてきている 。
Sgr
図-3 は Corey による相対浸透率曲線の例である。
この関係式では,ある流体で飽和した岩石に別の流体
を圧入したとき,置き換えることができない流体の不
動部分を残留飽和度として表現している。例えば,水
と CO2 の相対浸透率(水を液体,CO2 をガスと設定)を
考える場合,図-3 では,水の残留飽和度 Swr が 30%,
Relative Permeability
1
6)
0.8
0.6
0.4
k Rel Liquid
0.2
k Rel Gas
0
0
CO2 の残留飽和度 Sgr が 5%となる。このモデルでは、
残留飽和度のみが相対浸透率曲線の形状を規定するパ
ラメータである。
0.2
0.4
0.6
0.8
1
Liquid Saturation
図-3 Corey の相対浸透率曲線
Fig.3 Corey’s Relative Permeability Curves
相対浸透率に関する研究は、前報 2)で述べたように,
水と油の二相流の浸透特性の研究に関しては1970年代
から実験室での測定法が確立してきており7),定常法,
非定常法,遠心載荷法など異なる相対浸透率計測方法
の長所や短所が整理されている8)。また,超臨界CO2の
浸透特性について国内外で実験的研究が行われている
が,データ量は十分ではなく,一般的な知見が得られ
るには至っていない。実験手法自体もまだ研究段階と
言える 9-12 ) 。その主な理由の一つは,毛管圧やフィン
ガリング(圧入面での不均一な浸透現象)の影響のた
めに,精度の高い相対浸透率の測定には高度な技術が
要求されるためである。
3.
拘束圧と25 MPaの間隙圧、そして常温から90℃までの
温度(精度±2℃)を作用させることができる。また,
シリンジポンプの容量は500ccで,貯留層となる砂岩の
浸透率(10-14 ~ 10-16 m2 程度)を対象に, 0.001から
200cc毎分の範囲で圧入レートを変化させることができ
る。間隙水には,イオン交換水の他,深部地層水を模
擬した塩水なども使用できる。
今回新設したセパレータは容量が250ccのステンレス
管と差圧計を組み合わせたユニットで,岩石試料から
排出される間隙流体の時間変化を最大25MPaの圧力ま
で測定することができる。そのため,これまで困難で
あった超臨界CO2 を取り扱う実験においても,水と超
浸透試験装置と実験手順
臨界CO2 の量比変化を試験中連続的に測定することが
図-1,2に浸透試験装置の全景と概要を示す。2,000m
級の地下深部を想定し,試験装置には最大の40 MPaの
61-2
できる。
水で飽和した岩石にCO2 を圧入すると,最初間隙内
大成建設技術センター報
第 43 号(2010)
[
ΔP = ρ w g H − ρ w g h2 + ρ f g h1
の水が押し出される。圧入したCO2 のフロントが岩石
= ρ w g (H − h2 ) − ρ f g h1
コアの下流端に達する(ブレークスルーする)と,
(1)
= (ρ w − ρ f ) g h1
CO2 と水の混合流体がセパレータ内に流入する。ステ
ンレス管は最初間隙水で満たしておくが,CO2 がブレ
ークスルーした後は水とCO2 の密度差のため,高圧部
となる。よって,流体 F の密度ρf は,
と低圧部でヘッド差が生じるので(図-4),これを差
圧計で測定する仕組みである。
ρ f = ρw −
試験では,CO2 の圧入に先駆けて温度と拘束圧,間
隙圧を所定の値まで上昇させる。CO2 は,定流量(通
ΔP
g h1
ΔP A
ΔP A
= ρw −
= ρw −
g h1 A
g V1
常 0.5-20cc/min)で圧入する。非定常状態での上流・下
流の間隙圧変化や異なる位置での温度変化を測定する
一方,実験ではセパレータと下流側ポンプにより間隙
流体の流量変化を連続的に測定する。
]
(2)
となる。ここで V1 は流体 F の容積である。いま流
体 F が空気の場合,ρf = 0 と考えると,単位体積あたり
なお,これまでは非定常の条件下で浸透実験を行っ
ているが,水と超臨界 CO2 を予め設定した濃度で混合
し,流速と圧力勾配が一定になるまで圧入を続ける定
常試験の実施も本装置では可能である。さらに装置は、
コアの軸方向や直角方向で弾性波速度の測定へと機能
生じる CO2 の飽和度や物性の経時変化を予測すること
H
ρw
も可能である。
4.
h1
ρf
を展開することで,超臨界 CO2 の圧入により岩石内で
ρw
セパレータの較正
h2
セパレータは,水と超臨界 CO2 の二相流浸透試験に
おいて,岩石試料から排出される水と CO2 の量比を測
HIGH
定するためのユニットである。本研究では,水,油,
図-4:
超臨界二酸化炭素を用いたセパレータの較正試験を実
LOW
セパレータの読み値
Fig. 4 Readings on the Fraction Collector
施した。用いた 差圧計は,気体,液体,蒸気の流量,
圧力,液位などの測定に多く用いられるもので,最
大圧 23MPa までの圧力に対し,2 点間の水頭差を
5kPa(50cm)までフルスパンの±0.1%の精度で測定
1.800
パンの位置をデジタル値で%表示する窓が取り付け
1.400
出力値 (V)
1.600
y = 0.0112x + 0.3673
1.200
1.000
超臨界CO2(高圧 12500KPa)
0.800
図-4 にセパレータの読み値を模式的に示した。い
0.600
ま,水色で示した密度ρw の水を薄い黄色で示した密度
0.200
ρf の流体 F で h1 まで置き換える場合を考える。差圧計
はハイサイドにかかるヘッドと,ローサイドにかかる
ヘッドの差ΔP を測定するので,
61-3
流速 5ml/min
2.000
ログ信号を出力する。また,差圧計本体には測定ス
られている。
セパレータ 校正 (出力値)
2.200
可能である。測定差圧に対応した 4~20mADC のアナ
線形 (超臨界CO2(高圧
12500KPa))
0.400
0.000
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
下流ポンプ 容積 (ml)
110
120
130
140
図-5: セパレータの校正結果(超臨界 CO2)
Fig. 5 Result of Fraction Collector Calibration
150
160
大成建設技術センター報
第 43 号(2010)
ケロシンの密度公表値は 0.80 であるので,ケロシンを
ρ
A
= w
g
ΔPair
(3)
用いた校正はほぼ予測どおり実施されたと判断できる。
一方,超臨界 CO2 の密度についても温度圧力を実験条
件とした場合の理論値
となるので,流体 F の密度は
13)
は,実験で求めた値と非常に
よく整合していることが分かる。
ΔP ⎞
⎛
⎟
ρ f = ρ w ⎜⎜1 −
ΔPair ⎟⎠
⎝
(4)
5.
試験結果
5.1
相対浸透率
と表わすことが出来る。このΔP あるいはΔPair は,例
表-2 に,試験に用いた岩石試料を示す。二種類の
えば単位容積あたりの電圧の出力値,あるいは単位容
砂岩(ベレア砂岩・多胡砂岩)を円柱状に成形し浸透
積あたりの差圧計の%表示値を用いることで,流体 F
率測定試験を実施した。実験条件は実際の CO2 圧入が
の密度を計算することが出来る。
深 度 800-1,000m で 行 わ れ る も の と 仮 定 し , 拘 束 圧
12.0MPa,間隙圧 9.5MPa,温度 40℃に設定した。
図-5 に,超臨界 CO2 を用いて行った較正試験結果
( 流 速 5cc/ 分 , 間 隙 圧 力 12.5MPa , 温 度
表-1: 較正試験結果のまとめ
Table 1 Results of Fraction Collector Calibration
40℃)を,差圧計の出力電圧と下流側のポン
プで測定した流量の関係として示した。両者
はほぼ直線関係にあることが分かる。
出力値
表-1 に,較正試験結果をまとめた。表には
差圧計
%表示
ρ
ρ
1.00
1.00
ケロシン常温低圧
0.79
0.79
3
ケロシン常温高圧
0.78
0.77
水の常温常圧での密度を 1g/cc と仮定する
4
CO2 1 回目
0.73
0.75
と,ケロシン,ならびに超臨界 CO2 の密度は
5
CO2 2 回目
0.74
0.74
それぞれ 0.77-0.79,0.73-0.75 と計算される。
*http://lnx.lbl.gov/gaseos/13)で計算
それぞれのケースについて,単位容積あたり
1
の電圧出力値,%表示値と,既往値をあわせ
2
て示した。
水
既往値
ρ
0.80
0.74*
表-2 試験に用いた試料と諸量
Table.1 Samples used in the Experiment and their Physical Properties
Sample Number
B-100-3
B-100-4
T-100-3
T-100-6
T-100-7
Material
Berea
Sandstone
Tako
Sandstone
Height
Diameter
Dry Density
Wet Density
Porosity
(mm)
(mm)
(g/cc)
(g/cc)
(%)
100.1
100.1
100.1
100.1
100.1
50.2
50.2
50.2
50.2
50.1
2.01
2.09
1.98
1.98
1.98
2.19
2.19
2.09
2.13
2.13
20.7
20.9
24.7
24.4
24.4
Flow rate
(cc/min)
5.0
1.0
表-3 浸透率測定結果
Table.2 Results of Permeability Measurements
Sample Number
B-100-3
B-100-4
T-100-3
T-100-6
T-100-7
Material
CO2 saturation at breakthrough (%)
Corey's Parameters
predicted
material balance
rock model
Slr
Berea
Sandstone
38
38
38
Tako
Sandstone
31
33
40
Notes: * residual liquid saturation, ** residual gas saturation
61-4
*
**
Permeability
2
Sgr
m
0.2
0.05
5.00E-14
0.3
0.05
5.00E-15
大成建設技術センター報
第 43 号(2010)
試験結果を図-6 から図-9 に示す。実験結果を評価
CO2 のブレークスルーが生じており,Corey の式で水の
するため,実験の温度圧力条件、圧入速度、岩石コア
残留飽和度が 20%のケースに最も近くなっている。こ
14)
れに対し多胡砂岩の場合は,実験開始から CO2 のブレ
を用いて一次元解析を実施した。相対浸透率の推定に
ークスルーまで 15 分以上あり,Corey の式で水の残留
当たり,計算では毛管圧の影響を考慮していない。
飽和度が 30%のケースに最も近い結果となった。
の大きさと間隙率を考慮して、解析コード TOUGH2
今回の検討では,図-3 に示す Corey の曲線
6)
を用
いて相対浸透率曲線の形状を推定した。表-3 に試験
結果をまとめた。ベレア砂岩の絶対浸透率は 5 × 10
このように,比較的簡単なモデルでも水と超臨界
CO2 の相対浸透率を概ね表現できる可能性が示された。
-14
m2 であり,多胡砂岩については 5 × 10-15 m2 程度で
6.
考察
ある。また,実験で得られた相対浸透率の値は,既往
の文献値
11)
や,数値解析による予測値と概ね整合して
おり,実験装置の有効性を示している。
5.2
一般に,CO2 の圧入に際し相対浸透率は毛管圧に非
常に敏感であると考えられる。今回の検討ではこの影
飽和度
響を考慮していない。今後は対象となる岩石の毛管圧
図-7 と図-9 では,セパレータで測定した岩石試料
を測定する傍ら,Corey の関係式以外で,毛管圧を記
から排出される水と CO2 の量比の変化をもとに質量保
述できるモデルを用いるなどして,この影響を考慮し
存則より求めた岩石内の CO2 の平均飽和度を数値解析
た検討をする必要がある。
による値と比較している。数値解析では、図-3 の
同様に,超臨界状態の CO2 の流動特性は,対象とな
Corey の式で水の残留飽和度が 20%,30%,40%の場合
る岩石の濡れ性に依存する可能性がある。巨視的だけ
の 3 ケースについて計算を行った。
でなく,微視的な角度からの検討も今後の検討では必
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120
H20
-140
CO2
-160
B-100-3(measured)
-180
B-100-4(measured)
要となる。例えば水銀ポロシメータによる間隙容積分
cumulative flow volume (cc/min)
cumulative flow volume (cc/min)
ベレア砂岩については,実験開始から 5 分以内に
0
-20
-40
H20
-60
CO2
T-100-3(measured)
-80
T-100-6(measured)
T-100-7(measured)
-100
-120
-200
0
10
20
30
0
40
50
100
150
200
elapsed time (min)
図-6 二酸化炭素の累積流量(ベレア砂岩)
Fig.6 Cumulative Amount of Effluent CO2
図-8 二酸化炭素の累積流量(多胡砂岩)
Fig. 8 Cumulative Amount of Effluent CO2
1
rp1-0.2
0.9
rp1-0.2
0.8
0.3
0.8
0.3
0.7
0.4
0.7
0.4
0.6
質量保存則
0.6
質量保存則
飽和度
飽和度
1
0.9
0.5
0.5
0.4
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
0
0
5
10
15
20
25
30
35
0
40
0
時間(分)
20
40
60
80
時間(分)
図-7 CO2 飽和度の経時変化(ベレア砂岩)
Fig.7 Variation in CO2 Saturation with time
図-9
CO2 飽和度の経時変化(多胡砂岩)
Fig.9 Variation in CO2 Saturation with time
61-5
100
大成建設技術センター報
影響を調べることが必要である。
布測定を行うことで,卓越する間隙の大きさが分かり,
間隙流体の表面張力の大きさ(毛管圧や濡れ性との相
第 43 号(2010)
ii)
関)が推定できる。
これまでの相対浸透率測定は,CO2 の圧入開始時
の非定常状態でのデータを用いたものである。今
圧入レートが大きい場合,現在のシステムでは圧入
後,定常状態での試験を実施して,得られた結果
開始時に系の温度を一定に保つのが困難な場合がある。
この件についても今後検討の余地がある。
の妥当性を検討することが望ましい。
iii) 浸透実験で得られた知見を,超臨界 CO2 の浸透現
象の把握ならびに物性パラメータを精度良く測定
7.
まとめ
するための実験技術・手法の開発,データ蓄積に
活用していく。
超臨界状態の CO2 の浸透特性を実験的に調べるため
に,貯留対象となる地盤中の温度・圧力条件下で 2 種
参考文献
類の砂岩試料を用いた相対浸透率の測定を行った。そ
の結果,以下のような結論が得られた。
1)
1) 保存則より求めた岩石内の CO2 の平均飽和度を数
2)
値解析による値と比較した。ベレア砂岩について
は,実験開始から 5 分以内に CO2 のブレークスル
ーが生じ,水の残留飽和度が 20%のケースに最も
3)
4)
近くなっている。これに対し多胡砂岩の場合は,
ブレークスルーまでの時間が長く、水の残留飽和
5)
度が 30%のケースに最も近い結果となった。
2) 二相流を取り扱う浸透試験において,岩石試料か
6)
ら流出する水と CO2 の量比変化を測定するために
7)
セパレータを作成した。その計測精度は良好であ
8)
る。
9)
3) ベレア砂岩については,絶対浸透率は 5 × 10-14
m2、多胡砂岩については 5 ×10-15 m2 程度である。
これらの値は,既往文献値
12)
た,実験で得られた相対浸透率の値は,既往の文
献値
11)
10)
と整合している。ま
や,数値解析による予測値と概ね整合して
11)
12)
おり,実験装置の有効性を示すことができた。
今後の研究においては、以下のような課題の検討が
必要となると考えられる。
i)
毛管圧や濡れ性が相対浸透率に与える影響につい
ては考慮していない。毛管圧や間隙容積の分布を
測定することにより,微視的な面からもこれらの
61-6
13)
14)
小川豊和,青木智幸:二酸化炭素地中貯留に関する技術の現状
と動向,大成建設技術センター報,第 41 号,No.41,2008。
小川豊和,横山正利:超臨界二酸化炭素浸透実験装置の開発,
大成建設技術センター報,第 42 号,No.42,2009。
山本肇:地下水-岩石反応を考慮した水理・物質移行解析,大
成建設技術センター報,第 38 号,No.48,2005。
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