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恐怖の館 冨永 祐一

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恐怖の館 冨永 祐一
★施設福祉
この文明社会で福祉はまだ人間にこんな粗雑な扱いしかできない
―という現実。あなたも他人事ではない。
インテリ入所者の老健施設生活レポート<1>
恐怖の館
冨永 祐一
京都大学理学部卒業。中高大学で教鞭をとった後、
コンピューター技術者を経て民間福祉機関に勤務。
著作:
『不登校』
(筑摩書房)
、
『親不孝のすすめ』
(文芸社)
私は当年85歳、去年、要介護4となって介護老人保健施設に入りました。その施設に入っ
たというより“入れられた”という感じでした。妻と娘たちで、すべてのお膳立てをして、僕
はハイハイと、ただ従っていればよかったことも、俘虜の幻想をはぐくみました。そこに3ヶ
月お世話になったあげく認知症でもないので、人を小馬鹿にしたような一問一答形式の言語系
テスト(ほかに身体機能系・芸術系など百種にあまるテストがあって、専門のシート販売の会
社もある)を受けて釈放されました。ここでことさら釈放という文字を使ったのは、拘束がき
つ過ぎた―身内が一緒でなければ外出を一切みとめなかったからです。
・・・
★住民主体のご近所福祉
住民が思い切って難ケースにも挑んでみたとき
難問チャレンジ型ご近所福祉活動のすすめ
「そこまでやるか!」というフレーズがある。私たちが期待・想像していたレベル以上のこと
を「やる」ことだ。住民と支え合いマップづくりをしていて、このフレーズがよみがえった。
奄美大島でその実践が始まっている。これまでは住民、特にご近所の人たちの福祉活動と言
えば、一人暮らしの高齢者宅の見守り程度しか期待されていないし、住民もそう考えている。
要介護者の家に踏み入っておむつ替えをするのはプロの役目だと、役割分担が決まっている。
その「役割分担」のルールを破って、住民の手で今まで期待されているレベル以上のことをや
ってもらおうというわけだ。
★日本のマスコミが報じないアメリカの最新福祉情報
私はアルツハイマー病のスポークスウーマン
大学バスケのトーナメント戦といえば、アメリカでは国民的な関心事だが、男子・女子を通
じて歴代最多の勝利数を誇るのが、テネシー大学の女子バスケの監督、パット・サミットさん
(59歳)だ。そのサミットさんが2ヶ月前に公開したメッセージビデオが、スポーツ界に大
きな衝撃を与えた。
「私は、アルツハイマー型認知症の初期と診断されました」
。サミットさん
は大好きな仕事を諦めて引退する代わりに、自分の病状を完全に公開し、みんなの協力を仰ぎ
ながら現役を続けていくという、
アルツハイマー病患者の新しい生き方を社会に提示している。
★TBSテレビ「タイのニューハーフ事情」から
男性力と女性力を絶妙に使い分ける
性同一性障害の村長
タイの社会は、国立の中学校がニューハーフの生徒専用のトイレを設けるなど、ニューハー
フの人にやさしいことで知られるが、その背景には「男か女にこだわるより、人間としてちゃ
んとしている方がいい」という、筋の通った寛容さがあるようだ。ターイバーンマイ村では、
ジェ・コップさんというニューハーフの村長が、男女両面を持ち合わせるトランスジェンダー
として、男性力と女性力を絶妙に使い分けて村をおさめていた。
★支え合いマップづくりで発見した
大和村のすばらしき人々
②認知症の父同伴でご近所活動―村上恵子さん
(鹿児島県大和村保健福祉課(兼)地域包括支援センター
早川理恵)
世話焼きの村上恵子さん(58歳)の父・和夫さんは認知症だが、
「うちのじいちゃんは認知
症だから声をかけてね。よろしくね」と近所に伝えている。和夫さんは毎日集落内のあちこち
に出かけ、これは通常「徘徊」といわれる行動かもしれないが、近所が和夫さんの状況を知っ
ていて声をかけてくれるので、楽しい散歩になっている。畑仕事にも連れて行くし、老人クラ
ブの遠足に連れて行った。
支え合いマップづくりで気持ちに火がついた村上さんは、早速仲間と一緒に活動を立ち上げ
た。得意分野の畑を活かし、集落ブランド、荒れ地対策、集落郷土料理の本づくり、もぎたて
野菜レストラン…アイデアは尽きないが、まずできることから着手する計画だ。
★当事者発の福祉
あなたは何点とれる?
助けられ上手度テスト
助けられ上手さんと言われる人は、どんな資質を持っているのか。これまで私どもは、
(助け
られ下手が)助けられ上手になる方法をいろいろ考えてきたが、視点を変えて、そもそも助け
られ上手さんというのはどんな資質を備えているのかを、考えてみよう。
「助けられ上手さん」と言われる人の共通項を拾い集めてみたら、12項目見つかった。
★支え合いマップ実践講座
「こんな事例はないか?」と問えば「それならある」と反応。
「引き出し」をどれだけたくさん持っているかが勝負だ。
呼び水の効用
「呼び水」という言葉の由来をご存知だろうか。昔、日本人が使っていた井戸。水を汲み出そ
うとする時に、まずバケツで上から水を流し入れる。それをしながらポンプを押していると、
少しずつ底の方にある水が出てくる。
支え合いマップで住民から聴取する時も、同じような作業が必要になる。マップづくりの場
に来ていただいた住民に、ご近所にどんな福祉問題があって、それに対しどんな取り組みを皆
さんはしているのか―と漠然と聞いても、何も出てこない。そんな時に、
「呼び水」が必要なの
だ。
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