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CE領域の概説 - 情報処理学会
CE教育委員会 情報専門学科カリキュラムJ07 ‐CE領域の概説‐ CE領域教育委員会委員長 CE領域教育委員会委員長 大原茂之 東海大学専門職大学院組込み技術研究科 研究科長 IPA/SECリサーチフェロー IPA/SECリサーチフェロー 委員長:大原茂之(東海大学) 幹 事:山浦恒央(東海大学) 委 員:(五十音順番) 天野英晴(慶應義塾大学) 阪田史郎(千葉大学) 佐藤和夫(IPA SEC) 中島達夫(早稲田大学) 富山薫順(東海大学) 並木淳治(東海大学) 西村克信(東海大学) 村越英樹(産業技術大学院大学) 二上貴夫(東陽テクニカ) 山田圀裕(東海大学) 渡辺のぼる(IPA SEC) 組込み技術の関連領域 CE (Computer Engineering)領域の考え方 • CE2004をたたき台として検討 • CE2004では、「現代のコンピュータシステムとコンピュータ制御 機器に使用されているソフトウェアとハードウェアの要素の設 計、組み立て、実装および維持する科学/技術を扱う分野」とし て領域定義がなされている. • 具体例も、自動車の燃料噴射システム、医療機器などへのコン ピュータの応用という観点から出されている. • こうした、方向性と日本の今後の産業競争力強化、輸出力強化 などを鑑みるに、コンピュータそのものを開発するというよりも、 製造業に軸足を置いて人材を育成するカリキュラムを構築でき るような知識体系にすることとした. • 以上のことから、次の立場でカリキュラムを開発する。 「日本の産業競争力強化に資するために、組込み技術を重視し たコンピュータ工学のカリキュラム」 経済産業省2007年版産業実態調査より !"#$ ;<)=>#$ %&#$ ?@)AB=>#$ '()*+#$ ABCD#$E ,-#$./0#$ FG#$9HC#$ 12345678#$9:!#$ I;JK9L!#$9M;#$ CD#$ _`[\]^ op4q2irstq2id5ef ‚ƒ{|12d•h€2• ‘’iˆ‰Š‹“”i’•5– NO#$ (abcd5ef uvRF)d5ef „…12d•h€2• CSRgQ—5• PQ#$RST#$E gQRPQd5ef wxyzd5ef :† _`Rhfi—5• UVWVX)#$YZ hfiRjkd5ef {|}~12d•h€2• ‡o•ˆ‰Š ‚ƒ—5• CS[\]^ lmRnkd5ef ]^{|12d•h€2• Š‹Œ•5Ž•2•t45• ˜5oˆ‰Š—5• ]^‹“”i’•5– •t45• [\‘’iˆ‰Š]^ ™š{|]^ ˜5oˆ‰Š‹“”i’•5– ‘’iˆ‰ŠR‹¢£¤— X){|]^ ,-RŸ Žfh–E‚ƒF¥[\ ›œ• UVW UVW ž5o *+¡ƒd5ef 最も有効性の高い公的な技術者資格 技術者の採用時に重要視するスキル(ETSSベース) 経済産業省2007年版産業実態調査より 経済産業省2007年版産業実態調査より #)* 事業責任者 3456789:5;<89=>?@AB3CDD ;OTUVAW989:5; Z[\]LMN \]fghT3i;@j5BGkVl 3456789:5;<\]fghT3iD vwx EFGHI;JKLMN AB3C;XTBG =9^_`abc mnAB3C;@j5BGkVl 2nAB3C;@j5BGkVl $)* %)* &)* 事業責任者 ')* (!" OP:I4GQR:S 3456789:5;<R?GYV4D 3456789:5;<AB3CdeD LMo pqrstuo '!" &!" #0!!!,12 %!" %!!/#0!!!,-. $!" #!!/%!!,-. #!" #!!,-. !" !" #!" $!" %!" &!" '!" (!" )!" *!" +!" #!!" 学校教育で強化することが重要なスキル(ETSSベース) 経済産業省2007年版産業実態調査より 事業責任者 ! #% & " $% ' ( *, ) +- . . 1 1 1 1 1 1 . . 7 9 ; = ? A C E G H J L N 7 Q S U W Y [ ] / 0 / 2 3 4 5 6 5 6 8 : < > @ B D F D I K M O P R T V X Z \ ^ CE領域の知識体系の構造(3階層) 100人未満 100∼300人未満 300∼1,000人未満 1,000人以上 人材 市場 会計 パーソナル 経営 解決 交渉 対話 統率 構成 環境 知財 工程 管理技術 調達 危機 伝達 組織 品質 費用 時間 範囲 シ適 統合 シ結 ソ適 開発技術 ソ結 ソ作 ソ詳 ソ方 ソ要 PF シ設 シ要 制御 UI 記憶 MM 情報 通信 技術要素 ビジネス • 知識領域 CE領域における特定の学問領域を提示 三文字の略語で学問領域を提示 例:CE-CAO コンピュータのアーキテクチャと構成 • 知識ユニット 知識領域内の独立したテーマを小分類として提示 小分類は例えば、 CE-CAO3 メモリシステムの構成とアーキテクチャ のように学問領域の略語に通し番号を付与 • トピック 各知識ユニットをさらに細かく分割したものであり、 学習目標、技術スキルを示すもの(今回は省略) CE領域の知識体系の要約の見方 CE-ESY 組込みシステム設計[コア30時間] CE-ESY0 歴史と概要[1] CE-ESY1 低電力コンピューティング[2] ・・・ CE-ESY13 リアルタイムシステム設計[8] ●CE-ESY14 組込みマイクロコントローラ ・・・ ●CE-ESY25 信頼性とフォールトトレラス 最上位レベル 知識領域の タイトルとコア時間 知識ユニット <コアユニット> タイトルとコア時間 知識ユニット <選択ユニット> ●で表示、時間なし CE領域のカリキュラムの基本構成 (全305時間) !" #$%&'()*+,')-./'-0'+1-234.546 H IJKLMN'8OPQRS T IJKIL*'7Y?Z[\98[]^A_`abc W IJKIfN'ghijklm n IJKo)f'p[\q[rsr^S U IJKouN'pvw\Oxy t IJKofz'pvw\Olm{y V IJKJf|'}~•sr^S€; d IJK•Iu'‚Z[ƒY7Y?Z[\„Y\…As†Y e IJK‡ˆ+'^‰7ŠZ‹Œ[s†Y HX IJK*zf'•Ž‰[^vY•sr^S HH IJKz•‘'’“•…ŠY• HT IJKfz•'”•–—y HW IJKfˆJ'˜™>š›8œ• Hn IJKžMf'žMfu9€;ijkŸ HU IJKofI'¡¢B• Ht IJKz•f'£¤¥¦; 789 789 CD9 >?@A9 EF(GH6 :;<= >?@AB >?@AB :; TU V W HX T Wd e T HH W Hd d HX Hd T U W t e H Te t U HH T HV U V HT T WX Hn HT Tt W V U e Hn H TT HX V HV T TT d W HH T Hn U n e T Ht e V Ht T Ht d T HX T d t t HT H TW t H V T HU t t HT T WXU HHU eX TXU WH CE領域の知識体系の要約の見方 コア(30時間) CE-ESY0 歴史と概要 [1] CE-ESY1 低電力コンピューティング [2] CE-ESY2 高信頼性システムの設計 [2] CE-ESY3 組込み用アーキテクチャ [6] CE-ESY4 開発環境 [2] CE-ESY5 ライフサイクル [1] CE-ESY6 要件分析 [1] CE-ESY7 仕様定義 [1] CE-ESY8 構造設計 [1] CE-ESY9 テスト [1] CE-ESY10 プロジェクト管理 [1] CE-ESY11 並行設計(ハードウェア,ソフト ウェア) [1] CE-ESY12 実装 [2] CE-ESY13 リアルタイムシステム設計 [8] 選択 ●CE-ESY14 組込みマイクロコント ローラ ●CE-ESY15 組込みプログラム ●CE-ESY16 設計手法 ●CE-ESY17 ツールによるサポート ●CE-ESY18 ネットワーク型組込みシ ステム ●CE-ESY19 インタフェースシステムと 混合信号システム ●CE-ESY20 センサ技術 ●CE-ESY21 デバイスドライバ ●CE-ESY22 メンテナンス ●CE-ESY23 専門システム ●CE-ESY24 信頼性とフォールトトレ ランス シラバスの例(組込みシステム 1/3) 授業科目名 組込みシステム基礎 単位数 2 開設学期 2年生前期 目的 組込みシステム開発を理解する 概要 組込みシステム開発の初等的な技術を学ぶ 目標 ・組込み用プロセサを理解する ・組込みソフトウェア開発の全体を理解する ・組込みプログラミングと設計の初等実技を習得する 先修科目 Cプログラミング 関連科目 品質管理、ソフトウェア工学 授業方法 講義中心にしてごく小規模な開発の演習を加える 評価方法 評価基 準 試験50%、レポート課題20%、個人演習での成果物30% シラバスの例(組込みシステム 2/3) 授業回数 授業内容 1 組込みシステムの用途、基板技術、発展の経緯を説明し、IT領域プログラ ミング技術との違いを示す。 CE-ESY0 歴史と概要 CE-ESY15 組込みプログラム [選択] 2 組込み制御に特化したコンピュータとしてのマイクロコントローラを説明す る。 マイクロコントローラを動作させるためのソフトウェア機構を説明する。 CE-ESY14 組込みマイクロコントローラ [選択] 4 ・クロス開発の基本を説明し、プログラミング、デバッグ、テストの具体的例 示を行なう。 CE-ESY4 開発環境 5 ・組込みプログラムに必須のプロセッサ初期化や物理IOのプログラミングを 説明し、演習する。 6 ・ライフサイクルの概念を説明する。 ・要件分析の目的と実施の方法を説明する。 CE-ESY5 ライフサイクル CE-ESY6 要件分析 7 ・要件分析と仕様定義の関係を説明する。 ・非機能仕様を説明する。 CE-ESY6 要件分析 CE-ESY7 仕様定義 3 演 習 8 ・具体的な仕様を例にしていくつかの方法での仕様定義を演習する。 ユニット CE-ESY15 組込みプログラム [選択] 演 習 演 習 CE-ESY15 組込みプログラム [選択] CE-ESY4 開発環境 6: CE-ESY15 '()*+,-. [/0] -'?>$b#Oc>d<*+DEef4HI56 -ghiNGj/0*OPQRk<Q4HI56 -m&P'nopqErs#t-u"? -mOPQRk<QEvw2'$ CE-ESY15 '()*+,-. [/0] -&P'nopql'?>$b#Oc>d<4~•$€>'56 -•Gj/0*‚>$ƒ„OPQR34…`M^~•$€>'56 89:; CE-ESY4 CE-ESY4 89:; CE-ESY5 -2<=23> CE-ESY6 %?@A CE-ESY8 FGHI mRW‹ŒW&c*•Ž•RW‹ŒW&curc*FG•RW‹Œ W&cA‰•56‘Ž•1'23ŒW’“RW‹ŒW&cur c”•E1'23*•ŽA–—5˜™•e_•š› -m£¤¨©Eyª«¬*-®*Y¯E./0nol*~`° -mefyªE±²³´*yªµ¶·*bOP>dE¸f• -myªA‰•56‘Ž•¹º••»¼••v½••¾¿¸f -ÃÄE?Wk<QÅAÆ6yª«¬ ()*+, ./01'23*JK47LMN. /0*OPQR3*ST4U6: ./0VW&P;<$P>R*Z[U \4]^_`a747L56: ./0VW&P;<$P>Rl*OP QRk<Q*ST47L56: &P'noABC6rs#tE?> x#$u"?*y.0Ez{|}47 &P'nopq4†{M^‡7Dˆ ghiE*‰Š47L56: ./01'23*œ•NžŸ N¡ ¢•£¤Npq˜™Eno¥}*” •*‰Š4¦§M^N1'23¨© ./01'23*yª«¬*|}À yªÁ+Â*£¤47L56: CE-ESY20 センサ技術 CE-ESY8 構造設計 -ÇÈÅAÆ6yª«¬ -m1'23EŒÍ1'23Â*¨G*Z[•±*ÎÏ*Z[ -mБŽÑÒ*£Ó -mb>Ù2&dÚÑÒ*¶·bOP>d•±*ÛÜEÝÜ CE-ESY8 )*+, -m•fÞßà¡¢•Àá╈ãä4~å56ÑÒ -./0nolÆæ†ç²6è<Œ4éêLH56 CE-ESY20 J5=#K3LMN7OPQ [/0] -./0nolÆæ†ç²6b&d=ë>?4éêLH56 -è<ŒEb&d=ë>?*òê4(ó CE-ESY20 -./01 -~ô*è<ŒEb&d=ë>?4†õö‹$÷øbÑÒ4•ˆõ CE-ESY8 )*+, yª«¬*ÉÊË*Ì£•47L 56: ./01'23ÑÒ*ZÔ`ÕEÐ ‘ŽËÂ*Ö×Ø£47L56: b>Ù2&dÚE•fÑÒ*Ø£4 7L56: ./0l*ìíîïNìírsW' *STNðñ•47L56: è<ŒEb&d=ë>?*z{~Ö4 )]56: CE-ESY9 RS6 ./0*2'$*Z[4(ó: CE-ESY8 構造設計 10 ・ソフトウェアアーキテクチャの設計手法を説明する。 ・性能設計について説明する。 CE-ESY8 構造設計 11 ・センサとアクチュエータについて説明する。 CE-ESY20 センサとアクチュエータ技術 [選択] ・センサ、アクチュエータを制御するソフトウェアの構造設計を演習する。 $%#&' -./01'234()5678495: -;<%=>?@(ABC6./01'23*+DEFG4H I56: -VW&P;<%=>?EVW&P;<$P>R*XY4HI5 CE-ESY14 '()123+456+7- [/0] CE-ESY6 !"#$ CE-ESY7 %&'( CE-ESY7 BCDE ・構造化設計を説明する ・品質の設計時作りこみを説明する。 演 習 !"#$ CE-ESY0 !"#$% CE-ESY1 & '()*+,-. [/0] CE-ESY7 仕様定義 9 12 シラバスの例(組込みシステム 3/3) 13 ・テストの基礎を説明する。 CE-ESY9 テスト 14 ・プロジェクト管理の要点と難しさを説明する。 CE-ESY10 プロジェクト管理 15 期末試験 CE-ESY10 *+TU36VW -mm2'$*•Ž•RW‹ŒW&câwl*~ù•úûDüýú þDˆOPè' -m1'23@(ABC6OPÿø&$!7*•Ž•ZÔa7 -md>3"#•ö‹$÷øbOPÿø&$!7*$M -m%&'¨ OPÿø&$!7*ZÔ4((N./ 0OPÿø&$*$M 4U6: まとめ • ACMのカリキュラムにおいて、コンピュータエ ンジニアリングは応用を主たるゴールとしてま とめている。 • 我が国においても、コンピュータそのものを設 計するというよりは、コンピュータを応用する という意味で、組込み技術をターゲットとする カリキュラムとした。 • 従って、ハードウェアからソフトウェアまで幅 広い領域となった。 ご清聴ありがとうございました