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筋損傷にともなう神経筋接合部の変化
ニ原著論文= 筋損傷にともなう神経筋接合部の変化 春日規克 1) 西沢富江2) 山下 晋 3) 辻本尚弥4) NeuromuscularJunctionArchitecturesf o l l o w i n gMuscleI n j u r y . l, NorikatsuKASUGAll ,「fomie NISHIZAW A2 SusumuYAMASHITA3l, HisayaTSUJIMOT04l Abstract t u d ywast oi n v e s t i g a t et h et e m p o r a lc h a n g e st a k i n gp l a c ei nt h en e u r o m u s c u l a rj u n c t i o n Thep u r p o s eof 出1s s .5%d i l u t i o n ) wasi n j e c t e di nt h er a t d u r i n gm u s c l edamageb yh i s t o c h e m i s t r y .B u p i v a c a i n e (BPVC;2 0 0 オ], 0 h i n d l i m bt oi n d u c ee x t e n s o rd i g i t o r u ml o n g u sm u s c l ed a m a g e . Them o r p h o l o g yo ft h en e u r o m u s c u l a rj u n c t i o n v e r1 0d a y s( 1 2ha n d1 ,2 ,3 ,4 ,6 ,a n d1 0d a y sa f t e ri n j e c t i o n )i nl o n g i t u d i n a ls e r i a l was monitor巴d o s e c t i o n s . S k e l e t a lm u s c l ef i b e rdamagewasd e t e c t e de a r l ya f t e rBPVCi n j e c t i o n . Opaquea n dn e c r o t i z e df i b e r swer 巴 first o b s e r v e dond a y2a n dd a y4 ,r e s p e c t i v e l y .R e g a r d i n gt h en e u r o m u s c u l a rj u n c t i o n ,t h en e r v ee n d i n ga n dt h e r a d u a l l y ,r e a c h i n gamaximum o nd a y 4a n dd a y6 ,r e s p e c t i v e l y . a r e ao ft h em o t o re n d plat巴 degenerated g Thet e r m i n a la r b o r i z a t i o nwasr e d u c e dt oaminimumond a y4 .F i n a l l y ,m o r p h o l o g i c a lr e g e n e r a t i o ns t a r t e do n d a y6 . h a tBPVCc a u s e sar a p i dd e g e n e r a t i o no fm o t o rn e r v ee n d i n g sa n dm o t o re n dp l a t e si n T h e s ed a t asu田巴st t h es o m a t i c s k e l e t a lm u s c l e s ,r a i s i n gt h ep o s s i b i l i t yt h a te x e r c i s e i n d u c e ds k e l e t a lm u s c l e damage influ巴nces t n e r v o u ss y s t e m. Keywords;N e u r o m u s c u l a rj u n c t i o na r c h i t e c t u r e sf o l l o w i n gm u s c l ei n j u r y 緒 れる。筋線維が非常に細長い細胞のため,筋損傷は 日 筋線維のごく一部での損傷に留まることが多い3)。こ 骨格筋は適応性に優れる組織であるが,動的形態 のため、運動性の筋損傷を観察研究することに技術 変化とメカニカルストレスを持つことが第一の機能 的困難性がともなうのしかし,運動性筋損傷の部位 であるため、過度の連続的筋収縮などで容易に筋組 が神経筋接合部の付近であるなら、脱神経を受け運 織・筋細胞は損傷を受ける 1 .2)。筋損傷は「遅発性筋 動機能へ重大な影響を及ぼす可能性が高く。また傷 痛」として自覚されるが,この時の損傷量は痛みを 害の程度が拡大延長することが予測される。 感じる筋のー横断面に対し数%にも満たないと考えら 1)愛知教育大学保健体育講座 2 )至学館大学体育学科 3 )岡崎女子短期大学 4 )久留米大学健康・スポーツ科学センター そこで、本研究では、薬物(塩酸ブピパカイン) 2 久留米大 学健康・スポーツ科学センター研究紀要第 2 1 巻第 1 号 投与により 、 骨格筋に広範囲の筋損傷を引き起す筋 20 1 4 BPVC注入後の各 実験時に、再びラットの腹腔内に 損傷モデノレを用いて,損傷進行から回復過程におい ペントパノレピターノレナトリウムを注入し, て筋縦断面の損傷様相 ・ 形態変化,さらに神経筋接 酔下状態にて屠殺し,筋を摘出し湿重量を測定した 。 ト分な麻 合部の形態変化 を検討した 。 次ぎに,液体窒素直で冷却したイソベンタン中にて筋 を凍結し、 - 25℃に保たれたミクロ卜ームにM 1 850, LE ICA 社製)内で厚さ 50 オ rn の連続縦断切片を作 方法 成した 。 切片は,筋収縮を防ぐため 、 3%E DT A で 実験は動物としてFischer 34A 系雌ラット( El 本 S L コーティングしたカバーガラスに貼附した 。 その後 C )の長指伸筋(extensor d ig i t o r w nl o n g u s;ED L) 2時間の 室温 で‘の乾燥を行い,コリンエステラーゼ染 を被験筋とした 。 実験群のラットの腹腔内にぺン ト 色により運動終板を染め,さらに銀染色により運動 パノレビタールナ ト リウムを注入し,十分な麻酔下状 神経軸紫終末を染める 二重染色を行った」)。 態にて下肢外側面部を切開し, EDL に生理食塩水にて BPVC による筋崩猿の過程を、筋線維崩壊の特異的 0.5% に希釈した塩酸ブヒ。パカイン( Bupivacaine 係柑から 5つのパターンに分類し図 l に示した 。 Hydroc h lo ri de ;BPVC) 200オ Q を注入した 。 その後 , パターンl 1 2時間 , 1 , 2 ,3 ,4 ,6 , 10 日間の通常飼育を行った パターン2. Zl o s s; Z 線の乱れが観察さ れる 。 群を設け、それぞ、れ1 2h , l cl , 2 c l ' 3l c '4 l c '6 パタ ーン3 . Op a que, Caイオンの細胞内流入による過 パターン11. Em pty ,筋線維の 一部に Z線や収縮タン パターン5 . Necrosis ,広範囲にZ線や収縮タンパクの c l '1 0d群とした 。 また,被験筋に生理食境200 収縮また水の貯留をおこしたII彰潤細胞。 オQ を3 目前に注入した対照群(Con trol ; C 群)を合わせ パクの消失が観察される空洞化細胞。 計8群とした 。 ラッ ト は室混23 ~ 25°C に保たれ、常に 換気しである専用室内にて飼育した 。 餌は固形飼料 (CE-2 ,日本クレア)とし , 飲7k とあわせて 24時間自 由摂取とした 。 norma l ,正常な筋線維 消失が観察 され壊死細胞。 染色結果は光学顕微鏡画像をコンビューターに取 図 l 筋損傷の分類 A :正常筋線維 B:Z線の消失 C; 膨潤線維 D; 空洞化線維 ε:壊死線維 3 筋損傷ーにともなう神経筋接合昔II の 変化 (%) 100 80 60 40 20 I : 1 1 1q. 。 c 12h 1d 2d 3d 4d 6d 10d Ti mea f t e rBPVCi n j e c ti on ~ 1 .n o r m a l D 2. Zl i n e l o s s~ 3.opaqueCコ 4 . empt y . 5.n e c r o s i s 図 2 BPVC 注入後の各崩壊パタ ーンの割合 り込み、画像処理システム(久直f im a g e v巴r . 1.61) また II彰潤細胞が28.6% 観察された 。 l 日後には空洞化 を用いて経時的に筋線維の各形態指標の木数を算出 細胞が出現( 10.8 % )し, 2 日後 には空洞化細胞は3 1.5 % し割合を求めた。 また, E.P (コリンエステラーゼ染 に僧加,嬢死j泉純も新たに観察された( 10 .9 % ) 。 BPVC 色により染められた部佼面積を測る運動終板面積), 注入4. 13 後には正常細胞が4.0 % まで減少し, JI彰潤細 N (銀染色により染められた部位面積を測る軸索終末 胞が 1 8 . 9% ,空洞化細胞28 . 4% , 壊死線維は3 6.5 % 面積) 5) ,i11由索終末構造から算出した !1!1!1 索の分岐数を と最も崩壊が進んでいる様相が観察 され,それ以降 測定した 。 には回復傾向がられた 。 各測定値はBPVC注入後 の経過日数と ,形態指標ご 次に,コリンエステラーゼ染色結果から測定した とに平均値,標準偏差 ・ 標準誤差を求め,全群聞の差 運動終板の面積を平均値と標準誤差をもちいて図3-1 を ー要因の分散分析(ANOVA ) にて検定し,主効果 に示した 。 C 群の運動終板面積は約300 オ nf で、あった が有意となった場合の多重比較にはScheffe法を用い 、 のに対して, BP VC注入 1 日後から 2 日後にかけ急激な 有意水準は5% (p<0.05 )とした 。 なお,実験動物 面積低下を示し, 6 日後に最低値を示した 。 BPVC注 扱いについては「実験動物の飼育及び保管等の基準 J 入後 UI から最低値を示 した6 日後までの値は, に基づいて行った 。 C群 との聞に有意差が認められ、 10 日後には回復傾向が 見られた 。 運動終板上の神経軸索の面積(匡1 3 2 )にも 結 果 BPVC 注入後に低下が認められ、 4 日後には C 群の半 分以下の最低値を 示 し, 6 日後からは回復傾向がみら BPVC による筋崩壊の過 程を 、 5つのパタ ーンに 分 れた が 、 10 日 後の値でも pre値に 比 べ有意に低値 を示 け,その経時的変化を 図2 に示した 。 C{t{:にはほとん した.神経終末の発達J立を表す分岐点の数(匡1 3-4)は, どが正常な筋線維( 87 .5 % )で占められるが、 Z線の C 群が4 . 27fs:: であ っ たのに対し , BPVC注入後に時間 不鮮明なパターン2が 12. 5% 含まれていた 。 BPVC注 経過とともにその数は減少し, 4 日後には2 目 6本とな 入後 12時間ではZ線の乱れがある線維が57% に増加し、 り,そ の後は回復し , 10 日後に は3 .2木と なった 。 運 4 久留米大学健康・スポーツ科学センター研究紀要第 21 巻第 1 号 オm2 オm2 350 60 t n u n u J 角 ’ I 3 2 Na rea 3 1 E . Pa r e a i 250t 50 I ¥ 200t 可......- 150 ‘ -" j c 12h 1d 2d 3d 4d Gd 10d 40 30 20 c 12h 1d 2d 3d 4d Gd 10d Number (%) 30r 5 3 4 branchnumber 3-3 N /E.P 25 20 2014 . 15 3 10 5 2 c 12h 1d 2d 3d 4d Gd 10d Timea f t e rBPVCi n j e c t i o n 関3 c 12h 1d 2d 3d 4d Gd 10d Timea f t e rBPVCi n j e c t i o n meanまS E 、'"' i如、'"' d 日kr• 川ド!?り'"‘ • 'ドド、 0.05 運動終紙面繍,神経納索終末の面積、分岐点数、神経軸索終末/運動終飯盛ifl比の経時的変化 動終板面積に対する神経軸索の面積は C群に比べBPVC 注入後213 ~6 日後の{直は有意に低値を示すが,変動 は大きくなく司終板面積と軸索面積がほぼ並行して 変化していたことが示された。 図4 には,筋線維の直径を各測定 H ごとに,また個々 考察 本研究は、運動性筋損傷における神経制御系への 影響を知る目的で、 BPVC投与による筋崩壊モデルを 作り、損傷回復過程に関して組織染色手法を用い、 の測定データの全てをプロッ卜した。 BPVCi注入後の 筋線維と神経筋接合部の構造変化を観察した。 BPVC 経時的変化としては, 1 から 4H 後には筋線維幅のば は一般には局所麻酔剤マーカインといわれ、毛細血 らつきが大きくなり,極端に太い筋線維も見られる 管や神経に対する影響を持たないが筋線維を広範囲 が611 後以降には太い筋線維は消失した。またこれと に壊死崩壊させるため、筋の再生研究で広く用いら は逆に. 2 日後から 10 日後にかけて C 群では見られな れている問。 BPVC は、筋小胞体膜に作用しカルシウ い萎縮または新生と思われる細い線維が出現してい ム(Ca2 ')の取り込み放出機能を乱すことで筋線維内の た。 Ca2'濃度を高める。筋線維(細胞)内のCa2'濃度上昇は 筋損傷にともなう神経筋接合部の変化 ~ 55 50 『 ロ 。 ' E45J ロ ロ ロ ロ ロ E ロ コ. 』 ~ ロ~I 35 E :m~ ~ c o ロ可、 E ~ι 。 。 自国 ~ 回目 t よロ t n l - ロ 可コ ‘ω 主 20 LL 15 l~宅 B 『 I : 3 (I) 町| i噌 l i D 5 c 12h 1d 2d 3d 4d Gd 10d TimeafterBPVCinjection 図4 筋線維のl直俸の分布域 細胞外からのCa2·流入も誘発し 7),さらに細胞内のCa が観察される。また,透過性の克進や過収縮による b濃度は上昇する。細胞内Ca2· はZ線付近に局在する 膨潤線維もみられた。 2 日から 4 日後にかけては,そ タンパク分解酵素(Ca2•依存性中性プロテアーゼ(cal れらの線維が減少するとともに、断片化したタンパ ciwna c t i v a t e dn e u t r a lp r o t e a s e;CANP)をi舌性化し、 クが食食流失した結果と考えられる空洞化線維や壊 最初に α アクチニンを分解し,結果としてZ線の構造 死線維の割合が増加していた。 に乱れが起こる 8)。また同時にCa2•流入は,膜損傷部 次ぎに, BPVC注入6t:l 以降では,衛星細胞の活動 の透過性の尤進により水を取り込み、また不可逆的 と考えられ修復・再生が開始され, 6 日目の正常線維 過収縮を起こす。その結果として損傷部位は崩壊す の占める割合は57% にまでの回復が示された。 BPVC る。崩壊した線維の断片は血管を通して移動してき は神経軸索に対して損傷誘発剤とはならないが, BPVC た貧食細胞や単核細胞に消化されるが、この食食細 注入により壊れた筋線維上の神経筋接合部の構造変 胞が幹細胞などの再生系の活性化に一役を担う 9)。再 化が起こることは知られている 10)。本研究において, 生には、筋線維の形質膜と基底膜聞に存在する筋衛 筋線維上の神経筋接合部の構造変化として(図3)運動 星細胞がその主役となるが, BPVC は神経軸索や毛細 終板の面積の変化では, I3PVC注入から面積の減少が 血管に対しては影響を及ぼさないことが確認されて 起こり, 6 ri 目に最低慌を示した。図2 に示した筋線 いる IO)。このため. BPVC注入実験は、筋損傷により 維パターンでは6[1 目は正常な筋線維が多くみられる 起こる神経筋接合部の変化を観察する事のできるモ 回復期に入っていたが,神経筋接合部での回復は筋 デルとなる。また,損傷を受けた筋線維は約 1 カ月程 タンパクのいl復とは異なる様相を示した。筋線維の 度で正常な筋線維の大きさにまで回復するが,これ 損傷により神経との接合維持が出来なくなり、軸索 は、 BPVC は筋衛星細胞を損傷させないことによるこ 終末の解離が起きた場合、筋は神経軸索との再接合 と l I )と考えられる。 を可能にするため筋線維膜状の広範聞な部位にアセ 図2 に示された損傷をパターン化した割合の変化で チルコリンエステラーゼの感受性を高める 12)。アセチ は.注入 12時間・ 1 日後ではZ線に乱れた線維が急激 ルコリンエステラーゼは、軸索終末から放出される に増加し, CANP によるタンパク分解が促進した結果 情報伝達物質アセチルコリンを筋側が受け取り,コ 6 久留米大学健康・スポーツ科学センター研究紀要第21 巻第 1 号 2014 リンと酢酸に分解する酵素であり,コリンは再び軸 筋の再生が進行することが考えられた。他方,損傷 索側に取り込まれアセチルコリンの再合成に働く。 筋から回復過程に軸索終末に対する発芽誘発の促進 このため神経筋接合部の筋側の情報伝達機能をコリ 因子としてのシグナル伝達物質や,逆行性輸送物質 ンエステラーゼ染色は反映するものである。また, の存在も報告され17)18),その回復には多くの機構が働 除神経筋ではその活性が低下し,再生で回復するこ いている事が予測される。筋と神経は相互依存の関 とから 13),再神経支配の指標としてコリンエステラー 係により機能と形態が維持されており,運動性に起 ゼ染色濃度を求めることが出来るが,筋膜上のアセ こる筋損傷は,損傷部位の骨格筋だけの問題で機能 チルコリンエステラーゼ活性の回復・充進は膜構造 低下などが起こるものではなく,支配神経の解離な の安定のもとで起こる現象であり,神経と筋の再接 どによる制御機構にも影響を及ぼすことが考えられ 合には筋構造の回復が優先されることが考えられた。 た。 筋への中枢情報は神経筋接合部での刺激伝達のみ で行われる。本研究では,神経軸索終末の形状,面 結論 積は刺激伝達量を現す一指標と考え, BPVC投与から 神経軸索終末の面積,分岐数を測定した。神経筋接 本研究では、 BPVC投与により筋損傷を起こさせ, 合部において,神経側の構造体である軸索終末面積 筋縦断像から形態変化と神経筋接合部の経時的な変 は筋側の構造体である運動終板の面積と同様にBPVC 化を観察した。 投与から減少し始め4 日目に最低値を示した。このた め,運動終板上を占める軸索終末面積の占有率は損 BPVC を筋内に注入し, 12時間, l, 2 ,3 ,4 ,6 , 10 日後の筋縦断像を観察する事で,筋損傷に対して 傷回復の期間を通して顕著な変化がみられなかった 神経筋接合部の形態変化を経時的に検討した。 (図3-3)。また,神経軸索終末の分岐点の数も BPVC注 ( 1 ) BPVC注入後の筋縦断像にはタンパク分解,過収 入後に減少し4-6 日後に最低値となり 10 日に向かい回 縮などの損傷の初期と思われる線維が観察された。 復傾向が見られた。終末面積の減少は軸索終末分岐 2n から 4 日後には空洞化や壊死線維が多く観察さ 点の数の減少に起因することも示された。これらの れた。 6Fl 後からは回復傾向を示した。 結果から,筋の損傷による運動終板の面積の低下(ア (2)神経筋接合部の経時的変化では、運動終板の面 セチルコリンの感受性の低下)が,神経軸索終末の構 積は6 日後に最低値を示した。神経軸索終末の面積 造変化を誘発し筋膜上に設置する終末面積の減少, は4 日後に最低値を示した。終末分枝の数も 4 日後 分岐数の減少を起こしたことが考えられた。神経の に最低値を示した。 解離状態からの再結合に対して電気刺激や筋活動が BPVC投与による筋損傷モテールは,各筋線維の損傷 筋の萎縮を抑制することは知られている 14, 15)。これは 再生の過程を観察出来る良いモデルで、あった。筋線 筋タンパクの合成促進と分解抑制が筋活動により誘 維が損傷することにより,線維上の運動終板の面積 発されるためである。また,部分除神経による実験 が減少し,平行して筋を支配する神経軸索面積も減 では,生き残った神経軸索の発芽・側枝延長による 少した。筋と神経は相E依存の関係で互いの機能と 再結合が解離神経の機能を助長することが報告され 形態が維持されており運動性に起こる筋損傷はー骨 ている 16)。神経軸索終末の面積の C 群の値が55 オ rrfで 格筋だけの問題でなく神経制御機構にも影響する可 あり, BPVC投与4 日後の最低値が21 オ rrf まで低下し, 能性が示唆された。 10 日後には37 オ rrf まで回復していた。これに対して、 正常筋線維の割合は, C 群の値が88% であり, BPVC 投与4 日後の最低値カSil% まで低下し, 10 日後には約75% 引用文献 まで回復していた。この比較と BPVC投与が筋のみへ 1) A r m s t r o n g RB, W a r r e n GL, W a r r e n JA. の損傷効果しか持たない事実を考え合わせた場合, M e c h a n i s m so fe x e r c i s ei n d u c e dm u s c l ef i b e ri n ュ j u r y .S p o r tMed 1 9 9 1 ;1 2 : 1 8 4 2 0 7 . 2)F r i d e nJ ,S j o s t r o mM, EkblomB .M y o f i b r i l l a r 筋損傷が軸索終末の変化より大きいことは当然であ るが,筋の損傷が起こるために、運動終板の神経と の接続が維持出来なくなること,また回復初期のわ ずかな神経の再結合(支配)により筋活動が可能となり, さらに,他の解離したままの軸索にも影響し急激に nm an. I n t damagef o l l o w i n gi n t e n s ee c c e n t r i ci JS p o r t sMed 1 9 8 3 ;4 :1 7 06 . 筋損傷にともなう神経筋接合部の変化 3) K u i p e r sH ,D r u k k e rJ ,F r e d e r i kPM.K a r n e n b u r g 7 1 5 )H i eI I B ,v a nN i eC J ,V e r m e u l e n v a nd e rZ e eE . GV .M u s c l ed e g e n e r a t i o na f t e re x e r c i s ei nr a t s . w i t c ht e n s i o n ,m u s c l ew e i g h t ,a n df i b e ra r e ao f I n tJS p o r t sMed1 9 8 3 ;4 : 4 5 5 1 . e x e r c i s e dr e i n n e r v a t i n gr a ts k e l e t a lm u s c l e .A r c h P h y sMedR e h a b i l1 9 8 2 ;6 3 : 6 0 8 1 2 . 4)G r o u n d sMD. T o w a r d su n d e r s t a n d i n gs k e l e t a l m u s c l er e g e n e r a t i o n .P a t h o lR e sP r a c t1 9 9 1 ;1 8 7 : 1 2 2 . 5 )埜中征哉臨床のための筋病理学入門 l版.東京. 日本医事新報社出版局, 1987. 6)Nonaka I,T a k a g i A, I s h i u r a S,S u g i t a H. 1 6 )H a v t o nLA,H o t s o nJ R ,K e l l e r t hJ O .P a r t i a lp e r i p h e r a lm o t o rn e r v el e s i o n sc h a n g e si nt h ec o n ュ d u c t i o n p r o p e r t i e s o f r e m a i n i n g i n t a c t m o t o n e u r o n s .M u s c l eN e r v e2 0 0 1 ;2 4 : 6 6 2 6 . 1 7 ) VanM i e rP ,L i c h t m a nJ ¥ V .R e g e n e r a t i n gm u s c l e P h a t h o p h y s i o l o g yo fm u s c l ef i b e rn e c r o s i si n ュ f i b e r si n d u c e dd i r e c t i o n a ls p r o u t i n gf r o mn e a r b y d u c e db yb u p i v a c a i n eh y d r o c h l o r i d e ( m a r c a i n e ). n e r v et e r m i n a l s:s t u d i e si nl i v i n gm i c e .JN e u r o s ュ A c t aN e u r o p a t o l1 9 8 3 ;6 0 : 1 6 7 1 7 4 . 7)O h t aT, Endo M, NakanoT ,M o r o h o s h iY, c i 1 9 9 4 ;1 4 : 5 6 7 2 8 6 . 1 8 )C u r t i sR S c h e r e rS S ,S o m o g y iR ,A d r y a nKM, WanikawaK , OhgaA .C a i n d u c e dCar e l e a s ei n I pNY.ZhuY, L i n d s a yRM, D i S t e f a n o P S . m a l i g n a n thyperthermia剖sceptible p i gs k e l e t a l h y s i o l1 9 8 9 ;2 5 6 : C 3 5 8 6 7 . m u s c l e . AmJP R e t r o g r a d ea x o n a ltr叩sport o fL I Fi sincr1曲sed 8)K a s u g aN, UmazumeY.D e t e r i o r a t i o n indu田d b yp h y s i o l o g i c a lc o n c e n t r a t i o no fc a l c i u mi o n si n s k i n n e dm u s c l ef i b r e s . JM u s c l eR e sC e l lM o t i l . 1 9 9 0 ;1 1 : 4 1 7 . 9)S c h u l t zE ,J a r y s z a kDL, V l l i e r eCR. R e s p o n s e o fs a t e l l i t ec e l l st of o c a lskel巴ta! m出cle inj田y. M u s c l eN e r v e1 9 8 5 ;8 : 2 1 7 2 2 . .B r u n e tRS a n t a f eM, 1 0 ) TomasIF e r r e] ,F e r n n o lI MayanoE.C h a n g e si nm o t o rn e r v et e r m i n a l s d u r i n gb u p i v a c a i n e i n d u c e dp o s t s y n s p t i cd e p r i v a t i o n . JA n a t1 9 8 9 ;1 6 2 : 2 2 5 3 4 . 1 1 )H a l l G r a g g sECB. S u r v i v a lo fs a t e l l i t ec e l l sf o l ュ l o w i n g e x p o s u r e t o t h e l o c a l a n a e s t h e t i c b u p i v a c a i n e (M紅caine). C e l lT i s s u eR e s1 9 8 0 ; 2 0 9 : 1 3 1 5 . 1 2 )A x e l s s o nJ ,T h e s l e f fS .A s t u d yo fs u p e r s e n ュ s i t i v i t yi nd e n e r v a t e dmammalians k e l e t a lm u s c l e . JP h y s i o l1 1 9 5 9 ;4 7 : 1 7 8 9 3 . 1 3 )G a s p e r s i cR ,K o r i t n i kB , E r z e nI .S k e t e l jJ .Musュ c c u ュ dea c t i v i t yr e s i s t a n ta c e t y l c h o l i n er四eptor a m u l a t i o ni si n d u c e di np l a c e so ff o r n 1 e rm o t o r endplat巴s i ne c t o p i c a l l yi n n e r v a t i o nr e g e n e r a t i n g r a tm u s c l e s .I n tJDevN e u r o s c i2 0 0 1 ;1 9 : 3 3 9 4 6 . 1 4 )H e r b i s o nGJ,J a w e e dh仏1, D i t u n n oJ FJ r .E l e c ュ t r i c a ls t i m u l a t i o no fs c i a t i cn e r v eo fr a t sa f t e rp a r ュ t i a ld e n e r v a t i o no ds o l e u sm u s c l e . A r c hP h y s MedR e h a b i l1 9 8 6 ;6 7 : 7 98 3 . b yp e r i p h e r a ln e r v ei n j u r y: c o r r e l a t i o nw i t h i n c r e a s e dL I Fexpr凶sion i nd i s t a ln e r v e . N e u r o n 1 9 9 4 ;2 : 1 9 1 2 0 4 .