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水理計算と管径の決め方

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水理計算と管径の決め方
水理計算と管径の決め方
1.
測量図面をもとに,水理計算書に所要データを転記します。
水 利 計 算 書 (様式)
○○地区スイングスプリンクラー工事
測点
区間距
離
(m)
地盤高 水量
(m)
(l/sec)
管
種
管径
流速
(mm) (m/sec)
損失水
頭
(m)
散水ブロック:(
動水頭 静水頭
(m)
(m)
)
備
考
2. 水理計算の基本は,各スプリンクラーが標準水頭(水圧)が維持され,計画水量が吐出されるものとして,当
該管路の合計通水量を求め,目的位置において必要な動水頭が得られるよう,管摩擦損失水頭と高低差を
加味しながら区間ごとの管径を算出します。
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3.管摩擦損失水頭(Hf )の計算公式
配管内の水理計算には,Scobey 公式,または Herzen Wiriams 公式,Darcy 公式などがありますが,ここでは比
較的よく利用されるScobey,Herzen Wiriams 両公式を紹介します。
Scobey 公式
変形して
Williams & Hazen 公式
ただし,Hf :管摩擦損失水頭(m)
Ks :管壁の形状による係数で,塩化ビニル新管では 0.32
C:管壁の形状による係数で,塩化ビニル新管では 140
L:管長(m)
V:平均流速(m/sec)=Q/A (Q:流量 m3/sec,A:
管断面積㎡)
D:管径(m)である
水利公式での計算は関数電卓では手間を要することから,大面積の設計には通常はコンピュータソフト
を用いて
計算する。
小規模施設の場合,計算を簡略化するために,管径別に管長 100m 当たりの管摩擦損失水頭を流量毎に予め
算出した一覧表にしたもの,あるいはこれを図化したものを用いても大凡の損失水頭が求められます。
4.配管設計作業の留意点
◎ポンプから各散水ブロックに至る送水ラインの管径は,散水ブロック間の流量に大きな変動がない限り同一管径
とし,最も遠い散水ブロックや最大流量となる散水ブロックに適応できるように設計します。
◎小規模施設では散布ブロック毎に送水ラインを設けて,基地でバルブ操作できるようにすると,配管コストが幾
分高くなるが便利です。
◎設計作業は,まず散布ブロックを大まかに決めたうえで,各散水ブロックの入り口(バルブ位置)に通ずる送水ラ
インの経路を決定めます。
5.散水ライン上のスプリンクラー立ち上がり位置の所要動水頭
(1)スプリンクラーの計画動水頭
スイングスプリンクラーは,水圧が変動すると揺動装置の回転速度が変化します。従って,各スプリンクラーの
ノズルの動水頭が 30.0±1m の範囲におさまるよう,管径または流量を設計する。
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(2)散水ライン上での所要動水頭
散水ライン上での所要動水頭(LDh)は,スプリンクラーの所用動水頭(SDh)と散水ラインからスプリンクラーノズル
までの高さ(Rh),立ち上がり管や導水ホースの損失水頭(RHf)の合計である。LDh=SDh + Rh + RHf (m)
ここで,
SDh:スプリンクラー所要動水頭(m)
Rh:立ち上がり高さ(m)
RHf:立ち上がり,導水ホースでの損失水頭(m)
第8図 散水ライン上での所要動水頭
6.水理計算の方法
(1)水理計算書による計算
測点nにおける動水頭(m)=(基点aの動水頭m)−(高低差 m)−(a∼n間における管摩擦損失水頭 m)
(2)平面図に計算結果(管径,区間長)を記入します
第9図 各立ち上がり位置の地盤高,管径と区間長さの記入例
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(3)配管詳細図を作成する
ポンプ周り,立ち上がり位置,配管の複雑な分岐位置など
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配管工事の施工
1.配管溝の掘削
埋設配管の場合,設計図面に従って引かれた管経路のテープに沿って埋設溝を掘るが,配管の埋設深さは必
要に応じて変えます。例えば,運搬車の通路となるような場所は,深さ30 ㎝以上とします。管理機などで園地を耕
起するような場合も耕起深さよりも深く,そうでない場所は配管の土被りが 15 ㎝もあれば十分です。ただ,補助事
業等で工事を実施する場合はその設計,施工基準に従って下さい。
2.配管作業
配管作業に先立って,まず管を立てて管内のゴミ,泥,ノコギリ屑を完全に排除することが重要です。管内にゴミ
や泥が入っている恐れのある場合は,あらかじめ水で洗浄,乾燥させておく必要があります。
傾斜地での配管作業は,高い位置から低い位置に向かって順次,配管をすすめます。これは,配管作業中に石
ころや泥が配管内に転がり込まないようにするためです。配管の終わった位置の開口部にはビニル袋などをかけ
て,異物が転がり込まないようにします。石ころや泥ばかりでなく,蛙や昆虫などの侵入で思わぬトラブルを起こす
ことも少なくありません。ただし,接着に用いる塩化ビニル糊には,多量の有機溶媒が入っているので,冬季の低
温な時期の工事に,接着直後に管口をビニル袋等で密封すると,管内で揮発した溶媒による管のひび割れ(
ソル
ベント・クラッキング)を起こすことがあります。接着後は,管内の通気を考え,しかも管口からゴミや異物が入らない
よう注意する必要があります。
(1)配管資材と配管用具
①資 材:塩化ビニル管,継ぎ手類,バルブ,接着糊(低粘度速乾性),シール材
②用 具:ガスバーナ,塩ビ管用ノコギリ,パイプレンチ,バイスなど
(2)立上り管への導水ホースの取り付け
3.配管溝の埋め戻し
配管は接着施工しながら,管が移動しない程度に,要所要所を順次土をかぶせて固定するが,通水によって
接着不良や接着もれを確認し易いように,接着部には土を被せないようにし,水漏れのないことを確認した上で本
戻しをします。
埋め戻しにあたっては,管に接する部分には細かい土を,管によく密着するよう突き固めます。
4.配管の通水と排泥
管内に入ったパイプの切り屑や泥を洗浄するため,導水ホースを取り付けてから,スプリンクラーを取り付ける前
に必ず十分に通水洗浄する(2回以上)ほか,配管の接着もれなどがないか,通水して確認します。
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スイングスプリンクラーの取付け、調整と散水テスト
①導水ホースとスイングスプリンクラーをカップリングで連結し,スイングスプリンクラーの向きや設置角度を見定
めた上,地面に固定支柱を打ち込みます。この場合,平坦地ではスイングスプリンクラーを水平になるよう丁寧に
取り付けます。傾斜地では周辺の傾斜や棚面に対して固定支柱を直角になるように打ち込みます。
②園地周縁部に配置するスイングスプリンクラーは,揺動軸が園地の周縁ラインに対して直角となるように設置し
ます。
第9図 スイングスプリンクラーの取り付け模式図
6.散布角度の調整と散水テスト
(1)目詰まりノズルの点検,除去
(2)配管の水漏れ点検,補修
(3)散布角度の設定
①農薬散布の場合
○スプリンクラーの切替レバーを引き上げてフリーにし,二つの切替スットッパーを指でつまんで回し,第 10 図の
ように回転角度が約 155 度になるように角度を調節して下さい。
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第 11 図 スイングスプリンクラーの角度設定
○切替レバーを下げて,Aの範囲に入れて下さい。
○防除・散水切替レバーを防除側にセットします。
○本体の導水ホース接続側を持って,スタンドのピンが本体から外れるまで持ち上げ,軸受けケースをLとRにセ
ットして下さい。
スイングスプリンクラーの本体,即ち揺動装置は左右に 77.5゜,つまり155゜の角
度を往復作動するようになっていますが,スプリンクラーはノズルが任意の角度
に回転するよう設定できます。通常は揺動装置の作動角度と同様に設定します
が,園地周縁部に配置したものは,ノズルが鉛直から75.5゜の作動角度になるよ
うに切替ストッパーを設定して下さい。
②潅水の場合
○スプリンクラーの切替レバーを上げて回転をフリーにして下さい。
○本体の防除・散水切替レバーを散水側にセットして下さい。
○本体の導水ホース接続側を持って,スタンドのピンが本体から外れるまで持ち上げ,スタンドを軸受けケースL
とギヤケースにセットして下さい。
【防除側】
【潅水側】
第 10 図 スイングスプリンクラーの防除/潅水の切り替え
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第 12 図 スイングスプリンクラーの各部名称
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