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第2章 実験用備品、計測機器

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第2章 実験用備品、計測機器
新欲張り電子工作(第2章)
第2章
実験用備品、計測機器、及びソフトウェアツールについて
本書を理解する上で必要となる各種の実験用備品や、計測機器などの概要について見ていきます。
2.1 実験用備品について
2.1.1 ブレッドボードとジャンパーワイア
各種の電子機器では、電気配線された基板(電子基板)の上に各種の電子部品を搭載した(電気/電子
回路を構成しています)ものを使っています。ブレッドボードとは、この電子基板の代わりとして使用
されるものです。通常の電子基板では、目的とする回路に沿って基板上に配線が組み込まれていますが、
このブレッドボードには最低限の配線しか行われていません。このブレッドボード上に発行ダイオード
や抵抗等の電子部品を差し込むことにより電子回路を組み立て、実験用として使用することができます。
いろいろな電気製品の中を覗くと、一枚の基板の上に沢山の電子部品が載ったものを見ることができる
と思います。このブレッドボードはこの基板部分と考えてください。
また、このブレッドボードに回路を作るためには、個々の電子素子間を導通(電気を通させる)させる
ための銅線が必要になります。これをジャンパーワイアー(ジャンパー線)と言います。
ジャンパーワ
イヤーです
IC や抵抗やコンデンサ等の電子素子を各ホールに
差し込み、その素子間をジャンパー線で接続する事
により回路を作成します。
この部分は行毎に同通してい
ますので、この各々のホール
に接続された素子は接続され
た状態となります。
お互いの列は同通していませ
んので、2 列の足を持つ IC の
接続等に使用します。
電源接続用ブロックで、各々の列に電源のプラスとマイナス(グランド)を接続します。
各列は各々のホールが導通していますので、列のいずれかのホールに電源又はグランドを
接続すれば、その列の全てのホールに電源又はアースが供給されます。
2-1
新欲張り電子工作(第2章)
補足:
ブレッドボード仕組みは以下の通りですが、ブレッドボードの種類により、特に電源系の導通ライン
は異なりますので、十分に注意をしてください。
2-2
新欲張り電子工作(第2章)
2.1.2 ユニバーサル基板
通常の電化製品で使用されている基板は、エッチング処理などにより、基板に回路(導通する部分)
を焼き付けたものを使用し、その基板上に各種の電子部品を搭載する方法を使いますが、このエッチン
グ処理を行うためにはそれなりの設備と手間が必要になります。本書では、その代用品として以下のよ
うなユニバーサル基板を使用します。このユニバーサル基板を使う場合は、電子素子間の結線等を全て
ハンダ付けで行うようになりますが、比較的に簡単に基板製作が出来ますので、簡単な回路であれば、
このユニバーサル基板で十分と考えます。また、本書の主旨は、各種の技術を理解して頂くことであり、
エッチング等により基板を製作することではありませんので、エッチング等に関しては省略します。
補足1:
ユニバーサル基板に回路を実装する場合は、基本的には配線を全て裏面で行い、表面は電子部品だけ
となるようにします。
補足2:
ユニバーサル基板に回路を実装した場合、回路の接触が起きないようにスペーサーを使って基板を浮
かせます。
補足3:
エッチングによる本格的なプリント基板製作に関しては、第7章で扱います。
2-3
新欲張り電子工作(第2章)
2.1.3 ハンダ関連備品
電子回路を設計し、基板(ユニバーサル基板など)に実装する場合は、各種の電子素子を基板上に実
装する必要があります。このときに使用するのが、半田ごてとハンダです。以下にハンダゴテとハンダ
を揃えるにあたっての推奨を紹介します。
ハンダゴテおき
ハンダゴテ
30W 程度のもので、コテ
先がアルミニウム酸化物でコ
ハンダ
ーティングされたもの
フラックス(ヤニ)
が入っている糸ハンダ
補足:
各種の電子素子をユニバーサル基板などにハンダ付けする場合は、以下の考慮は必要です。

抵抗
:
基板から1mm~2mm 浮かせてハンダ付けします。また、端子を曲げる部分も
抵抗の端から1mm から2mm離れた場所で折り曲げます。

セラミックコンデンサ
:
基板から2mmから3mm浮かせてハンダ付けします。

電解コンデンサ
:
基板から密着させても問題はありませんが、多尐は浮かせてハンダ付けします。

IC
:
基本的には、IC ソケットをハンダ付けし、IC をその上に装着します。

ダイオード
:
放熱が必要ですので、基板から5mm以上浮かせてハンダ付けします。

トランジスター
:
基板から5mmから10mm浮かせてハンダ付けします。
基板
セラミックコンデンサ
抵抗
ダイオード
電解コンデンサ
トランジスター
IC
2-4
新欲張り電子工作(第2章)
2.1.4 ニッパー/ストリッパー
本書で扱う部品には、それほど硬いものはありませんので、ニッパー程度で十分と思います。ジャン
プワイアー(ジャンパー線)を作成する場合は、ストリッパーが便利ですので、ちょっと高額になりま
すが、ストリッパーも揃えられるのが良いと思われます。
ニッパー
ストリッパー
2.1.5 電源(5V)
電源は、1.5V の電池を直列に4ケ接続したものでも、9V の電池に対して5V 用 3 端子レギュレ
ータを使って変圧したものでも構いません。以下に1.5V を直列に接続した電源と、5V 用3端子レ
ギュレータを使って5V に変圧する回路を紹介します。
補足:
電子回路の電源として、使い捨ての1次電池(アルカリ電池など)と、充電により再利用できる2次
電池(ニッカド電池)があります。また、交流を直流に変換する電源回路を使い、安定した電圧/電流を
供給できる電源があります。
2.1.6 パソコン
本書で必要とするパソコンの種類や性能は特に問いません。基本的には、以下が可能であれば問題は
ありません。
2-5
新欲張り電子工作(第2章)

Windows98 以上の OS が搭載されていること

Com1 コネクター(9ピン)が搭載されていること
USB ポートの場合は、COM ポート変換ケーブルが必要になります。
補足:
電子部品や電子素子の使用確認はインターネットを使って行う方が効率的ですので、出来れば
インターネット接続ができる環境が望ましいです。
1)
ルーペ活用のお勧め
電子部品上には、その部品の名称や特性が記載(刻印など)されているものが多々あります。ですが、
電子部品は一般的には極めて小さい為に、裸眼で判読する事が困難です。視力に自信がない方は、ホー
ムセンターなどで販売されているルーペを購入(3000 円程度)されることをお勧めします。
(虫眼鏡で
は難があります)
2-6
新欲張り電子工作(第2章)
2.2
計測機器
2.2.1
テスター
電圧や抵抗を測定する最も一般的な計測機器です。このテスターには、コンデンサ容量や、電流を測
定することの出来るものもあります。本書では、最も一般的な、電圧及び抵抗値が測定できるテスター
を使用します。
基本的な使用方法は以下の通りです。
<電圧を測定する場合>




測定用つまみを直流電圧か交流電圧に設定します。
(本書では直流電圧のみを扱います)
赤い端子を測定したい回路上の電位の高い位置に接触させます。
黒い端子を測定したい回路上の電位の低い位置に接触させます。
上記には、テスターの画面上に電圧が表示されます。
<抵抗を測定する場合>

測定用つまみを抵抗測定用の位置に設定します。

赤い端子と黒い端子を測定したい抵抗の各々の端子に接触させます。

上記には、テスターの画面上に抵抗値が表示されます。
<回路の導通状態を検証する場合>

測定用つまみを抵抗測定用の位置に設定します。

導通状態の時にブザーが鳴るように設定します。

赤い端子と黒い端子を測定したい抵抗の各々の端子に接触させます。(導通でブザーが鳴りま
す)
2-7
新欲張り電子工作(第2章)
<電流及びコンデンサ容量を測定する場合>
テスターには、電流やコンデンサの容量を測定する機能がついているものもあります。このよう
なテスターを使って電流やコンデンサ容量などを測定する場合は、取扱説明書に従って測定を行い
ます。
2.2.2
オシロスコープ
回路上の特定の信号線上の、時間とともに変化する電圧の変化等を画面上に表示してくれる計測器で
あり、電子素子などから出力されるパルス信号などの計測には必須のものです。オシロスコープには、
アナログ用とディジタル用がありますが、本書が扱うような高い周波数を使う電子工作では、ディジタ
ル計測器でないと難しいものがあります。オシロスコープはメーカや機種に応じて、その操作方法や提
供される機能は大きく異なります。本書では、テクトロニクス社(Tektronix 社)の TDS2002 を前提と
した機能、及び操作の要点だけを紹介します。なお、他の機種を使われる場合は、個々の機能の名称や、
用語に関しては、ほぼ同じようですので参考としてください。
TDS2002 オシロスコープの基本的な使用方法は以下の通りです。なお、一般的なディジタルオシロス
コープには、本機種同様の機能がついていますが、機種により機能、性能、及び操作方法が異なります
ので、実際の操作においては、その取扱説明書を参照ください。
<準備操作>
 電源を投入します。
 プローブ補正を行います。
ウイザードによる補正を行う場合:
2-8
新欲張り電子工作(第2章)

プローブを、CH1 の BNC 端子、プローブ補正端子、及びアースに接続し、
「プローブ補正」
ボタンを押します。

プローブの付け根にあるつまみをドライバーで調整し、画面上に表示される波形が方形波
になるようにします。波形は方形波になったら「終了」ボタンを押します。
手動による補正を行う場合:

プローブを、CH1 の BNC 端子、プローブ補正端子、及びアースに接続し、10x(10倍)
に設定します。

「オートセット」ボタンを押し、方形波波形になるようにプローブの摘みをマイナスドラ
イバーで調整します。
 オシロスコープの設定を行います。

「オートセット」ボタンを押し、画面上に、p-p 値、平均値、周期、周波数が表示されるこ
とを確認します。
<本番測定操作のキーワード>

プローブを測定したい信号線とアースに接続します。

「オートセット」ボタン、
「単発波形」ボタン、或いは「Run/Stop」ボタンを押すことにより波
形を表示します。


「オートセット」ボタン
:自動的に最適な表示を行います。

「短発波形」ボタン
:単発の波形の表示を行います。

「Run/Stop」ボタン
:連続表示及び停止を行います。
スケールを切り替えて波形を確認します。

“垂直軸”の「位置」つまみ

“垂直軸”の「VOLTS/DIV」つまみ :縦方向(電圧)のスケール値を切り替えます。

“水平軸”の「位置」つまみ
:メモリされている波形を検証します。

“水平軸”の「SEC/DIV」つまみ
:横軸(時間軸)のスケールを切り替えます。
:波形表示上下位置を設定します。
<一般的な計測操作例>

プローブを、測定したい端子とアースに接続します。

“垂直軸”の「位置」つまみで電圧ラインを画面の中心に合わせます。

“水平軸”の「位置」つまみで矢印を画面の左側に合わせます。

「トリガ」つまみで矢印を、0V を示すラインの尐し上の方に設定します。

“垂直軸”の「VOLTS/DIV」つまみにより、1メモリ当たりの電圧を設定します。
(例えば2V)

“水平軸”の「SEC/DIV」つまみにより、1メモリ当たりの時間を設定します。
(例えば5ms)

「RUN/STOP」ボタン⇒「単発波形(SingleSEQ)」ボタンを押します。

信号を発生させます。
2-9
新欲張り電子工作(第2章)
上記により、モニタリングされた信号が、
“水平軸”の「位置」つまみで設定された場所から表示され
ます。この後で“位置ボタン”の「VOLTS/DIV」ボタン、
「SEC/DIV」ボタンを操作することにより信号を
調べることができます。
補足:
オシロスコープにはさまざまなタイプがあり、操作方法も異なります。以下に他のオシロスコープの
操作例を紹介します。
補足:
IC(PICなど)を使った回路上で、その回路が正常動作をしているかどうかを確認する基本的
な手順は以下のとおりです。
 電源回路からの電源供給を確認(回路上の電源ラインとアースラインにプローブを設定)
 ICへの電源供給状態を確認(ICの電源ピンとアースラインにプローブを設定)
 ICのアース接続を確認(ICのアースピンとアースラインにプローブを設定)
 PICの場合、PICに対するOSCからのクロック供給を確認(PICのOSC接続ピンと
アースピンにプローブを設定して、信号を確認します)
 発信の場合、発信ピンの信号の変化を確認(ICの出力ピンとアースにプローブを設定して、
信号を確認します)
 受信の場合、受信ピンの信号の変化を確認(ICの入力ピンとアースにプローブを設定して、
信号を確認します)
 上記で信号の確認を行った後で、Trigger モードにより信号を確認します。
2-10
新欲張り電子工作(第2章)
2.3 ソフトウェアツール
電子工作を行う上で必要となるソフトウェアツールは以下の通りです。これらのソフトウェアは何れ
も Windows 上(Windows98以降のバージョン)で動作するものです。詳細の使用方法などに関しては、
それらを使用する部分に記載されていますので、その部分を参照してください。

MPLAB
:フリーソフト
PIC プログラム作成用ツールです。このツールには、アセンブラ言語で作成されたプログラ
ムをアセンブルする機能や、PIC 上の動作をシミュレーションしたり、プログラムをデバッグ
する機能などが搭載されています。また、マイクロチップ社製の ROM ライターを使用するの
であれば、プログラムの ROM への書き込み機能もついています。

EScad
:フリーソフト
回路図を作成する場合に使用します。

JW_CAD
:フリーソフト
一般的には建築用 CAD として活用されているソフトです。
このソフトは、建築用途としてだけではなく、様々な分野で利用できる、極めて汎用的な
ソフトですので、本章では、フローチャート作成ツールとして活用します。

ICPROG
:フリーソフト
「知って得する一口情報」の章で紹介している、自製の ROM ライターを使ってプログラム
を ROM に書き込みたい場合に使用するソフトウェアツールです。マイクロチップ社製の
ROM ライターを使用する場合は、MPLAB ツールで書き込むことができます。

ハイパーターミナルソフト
:Windows のアクセサリソフト
RS232C 通信規格を使って通信を行うソフトウェアであり、Windows の標準ソフトウェア
としてアクセサリー(通信)に登録されています。
パソコンと外部機器を Com1 で接続した場合、このソフトウェアツールを使ってデータの送受
信が行えます。

CCS-C
:市販ソフト
CCS 社が提供している、PIC 用 C コンパイラーです。
(PIC-C とも言います)
補足:
PIC 用 C コンパイラには、フリーで提供されている mikroC(英語のみ)や、安価で購入
できるピカント C など、様々なものがあります。これらの基本構文(プログラミング形式)
は基本的には同じですが、提供するライブラリは異なりますので、使用する場合は注意が必
2-11
新欲張り電子工作(第2章)
要です。本書では、電子工作の分野で一般的に使用されている CCS 社製の C コンパイラを
使用します。

VB6
:市販ソフト
マイクロソフト社が提供しているインタープリター言語です。VB6は、ビジュアルベーシッ
ク・バージョン6の略称です。
 PCBE
:個人製作
個人が作成されたフリーのソフトです。パソコンを使って版下を作成し、プリント基板を作
成することができます。本格的な CAD ソフトとは違い(回路図を作成して、その回路図から
版下を作成する一般的な CAD とは違います)
、直接画面上で版下図面を作成してゆくものです。
補足:
フリーソフトとは、インターネット等で無料提供されているソフトウェアのことであり、シェアウエ
アソフトは、一定期間のお試し期間があり、それを過ぎた場合は正式購入を行わなければならないソフ
トウェアのことです。
また、市販ソフトとは、インターネットや、パソコン販売店等で注文購入する事が必要なソフトウェ
アで、不法に入手した場合は犯罪となります。これらを入手する場合は、上記ソフト名でインターネッ
ト検索を行い、入手してください。
2-12
新欲張り電子工作(第2章)
2.4 補足
2.4.1
回路製作上の図表記
2-13
新欲張り電子工作(第2章)
2-14
新欲張り電子工作(第2章)
2.4.2
主な電子素子の表記
2-15
新欲張り電子工作(第2章)
G
D
S
D
G
S
2-16
新欲張り電子工作(第2章)
2.4.3 ハンダの上手な使い方
2-17
新欲張り電子工作(第2章)
<付録>
工事担任者に問われる基礎知識
1) テスターを電流計として使用する場合は、測定しようとする回路に対して直列に接続します。
2) テスターで電圧を測定する場合は、測定しようとする回路に対して並列に接続します。
3) テスターで回路の導通試験(抵抗の測定と同じ方式)を行った場合、回路上が断線した状態ではメ
ータは無限大を示します。
2-18
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