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九州工業大学学術機関リポジトリ"Kyutacar"

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九州工業大学学術機関リポジトリ"Kyutacar"
九州工業大学学術機関リポジトリ
Title
リッチクライアント・プラットフォームに基づく数値計
算プログラムの統合開発環境の開発
Author(s)
古賀, 雅伸; 松永, 隆徳
Issue Date
2006-09-01T00:00:00Z
URL
Rights
http://hdl.handle.net/10228/2349
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copyright©2006 By The Institute of Electronics, Information
and Communication Engineers and Information Processing
Society of Japan
Kyushu Institute of Technology Academic Repository
FIT2006(第5回情報科学技術フォーラム)
A-018
リッチクライアント・プラットフォームに基づく
数値計算プログラムの統合開発環境の開発
Development of Integrated Development Environment for
Numerical Computing Program based on Rich Client Platform
古賀 雅伸 †
Masanobu Koga
1.
松永 隆徳 †
Takanori Matsunaga
はじめに
Java
Development
Tooling
(JDT)
数値計算言語は、数学的表現と同等の表現でプログラ
ムを記述できるなどの利点から多くのユーザに利用され
ている。この数値計算言語では、対話的実行 (コンパイ
ラ) や一括実行 (インタプリタ) など複数の実行形式が存
在し、また豊富なデータファイルを扱うので、効率的に
ソフトウェアを開発するには、これらの操作を統合的に
利用できる開発支援ツールが必要である。
近年、Java のソフトウェアの配布や更新を容易にする
Java Web Start、軽快な動作で定評のある GUI ツール
キット SWT(Standard Widget Toolkit) などの技術が登
場したことで、Java はサーバ側だけでなくクライアン
ト側においても広がりをみせている。また、操作性が高
く、配布が容易なリッチクライアント技術が注目を浴び
つつある。このリッチクライアント技術のひとつに統合
開発環境 Eclipse があり、Java 言語の開発環境として利
用されている。
本研究では、数値計算言語 MATX [1] を Java 上で解
析・実行可能にする matj [2] の高機能化を実現し、そ
れに基づいて快適な操作性と軽快な応答性、配布容易性
などの特徴を持つリッチクライアント・プラットフォー
ムに基づいた統合開発環境を開発することで、数値計算
プログラムの統合開発環境を実現することを目的とす
る。尚、リッチクライアント・プラットフォームとして
EclipseRCP [3] を利用する。
2.
SWT
Help
New Tool
Team
New Tool
JFace
Workbench
Platform Runtime
Eclipse SDK
図 1: EclipseRCP の構造
ラムの実行環境として、数値計算言語 MATX を Java 上
で解析・実行可能にする処理系である matj を用いる。
Integrated Development Environment for EclipseRCP
Editor
UpdateManager
CreateJava
matj Compiler
matjRun
Console
matj Interpreter
JMaTX
Numerical Computing Software
図 2: 統合開発環境のアーキテクチャ
リッチクライアント・プラットフォーム
3.2 統合開発環境の機能
本研究で開発した統合開発環境の機能として、数値計
算言語 MATX のソースプログラムファイルである MM
ファイルの Java ファイルへの変換、MM ファイルの直
接実行、対話的に命令を処理するコマンドライン・イン
タプリタ、統合開発環境を最新の状態にアップデートす
る更新マネージャが挙げられる。
ファイルビューで表示されているファイル名をダブル
クリックするとファイルの内容がエディタ部分に表示さ
れる。エディタでは編集・保存が可能である。コンソー
ルでは、コマンドライン・インタプリタとコンパイラと
一括実行インタプリタの実行結果を表示する。
また、他の機能もプラグインとして組み込むことで、
統合開発環境下での利用も可能となる。
数値計算プログラムの統合開発環境
3.1 統合開発環境の概要
本研究では、数値計算プログラムの統合開発環境を開
発した。この統合開発環境のアーキテクチャを図 2 に示
す。また、この統合開発環境の起動画面を図 3 に示す。
図 2 に示すように、ファイルビューとエディタ、そし
てコンソールから構成される。さらに、数値計算プログ
† 九州工業大学,
Workbench
Plugin
Development
Environment
(PDE)
Eclipse は、オープンソースの統合開発環境 (IDE) であ
る。高品質、高機能なうえに無償で利用できる統合開発
環境として、Java 開発環境として広く利用されている。
Eclipse RCP とは、Eclipse を共通の開発ツール (IDE)
のプラットフォームとしての利用から、共通のアプリケー
ション・プラットフォームに拡大する試みである。
Eclipse RCP では、最低限必要な組み込み機能は小さ
なコア部分のみ (図 1 の黒い太枠) とし、その他の機能
については作成するアプリケーションによって必要なも
のを組み込んで利用可能にする。
3.
Eclipse RCP
3.3 統合開発環境下での数値計算プログラムの利用
本研究で開発した統合開発環境では、matj を用いて
数値計算プログラムを実行する。matj は以下の機能を
持つ。
KIT
37
FIT2006(第5回情報科学技術フォーラム)
表 1: 性能評価
—–
操作性
配布容易性
容量
起動時間
Eclipse プラグイン
△
○
×
52 秒
EclipseRCP
○
○
○
12 秒
図 3: EclipseRCP による統合開発環境
• コンパイラ (MATX のソースを Java ソースに変換)
• インタプリタ (MATX のソースを直接実行)
また、matj は数値計算言語として、以下の特徴を持つ。
• 複素行列など様々なデータ型に対応
• 高速フーリエ変換を行う関数 fft など 159 個の関数
を標準で利用可能
• 円周率 π などの定数や特殊変数に対応
図 5: Eclipse プラグインによる統合開発環境
5.
まとめ
EclipseRCP を用いてリッチクライアント・プラット
フォームに基づく数値計算プログラムの統合開発環境を
提案した。
そして、今回提案した統合開発環境と Eclipse プラグ
インによる統合開発環境を性能比較することで、有用性
を確認した。
本研究の一部は科学研究費補助金 (基盤 C:17560396)
による助成を受けて行われた。ここに謝意を表す。
図 4: matj コンパイラの動作
4.
参考文献
[1] 古賀雅伸. 制御 · 数値解析のための MATX. 東京電
機大学出版局, February 2000.
統合開発環境の性能評価実験
EclipseRCP によって開発した統合開発環境 (図 3) と
Eclipse プラグインとして開発された統合開発環境 [4] (図
5) の性能比較を行った。このときの実行環境は、CPU は
Athlon 64 3000+、メモリは 1GB、OS は WindowsXP
Professional、Eclipse のバージョンは Eclipse 3.1.1、JRE
のバージョンは build 1.5.0_06b を用いた。結果を表 1 に
示す。
Eclipse プラグインによる統合開発環境では、数値計算
プログラムの開発に不必要な機能が含まれるため Eclipse
本体を含めて 150MB 以上の容量を必要とし、さらに起
動時間には 52 秒を必要とした。
一方、EclipseRCP では、数値計算プログラムの開発
環境のみを実現しており、容量も 17MB という軽量で提
供可能であり、起動時間は 12 秒であった。
[2] 古賀雅伸, 油利耕平, 石田聡. プログラミング言語の
オブジェクトモデル化に基づく Java における数値計
算言語の利用. 平成 14 年 電気学会 電子 · 情報 · シス
テム部門大会, 2002.
[3] 宮本信二. Eclipse 3.1 完全攻略. ソフトバンク パブ
リッシング株式会社, Dec 2005.
[4] 古賀雅伸, 松木毅, 佐田宙. オブジェクトモデル化
に基づく java による数値計算プログラム開発環境.
第 49 回システム制御情報学会研究発表講演会, pp.
369–370, 2005.
38
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