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国際交流」
2014 年 7 月 18 日(金)平成26年度夏休み前終業日講話 「国際交流」 皆さん、おはよう。 夏休みを前に、どんな気持ちですか。休みとはいえ、受験勉強も宿題も補習も部活もあります から、小学生の時のような解放感はないでしょうが、やっぱり、30日あまりも学校の日課から 解放されるというのはうれしいものだと想像します。 その夏休みに是非やってほしいことがあります。自由にできる時間のうち、一定の割合を、キ ャリア教育・キャリア学習、つまり自分の進路選択のために使ってください。大学調べ、大学見 学、職業体験、職場見学、来週の夢ナビなどへの参加、その他もろもろの機会をとらえてくださ い。 ちょっと確認してみます。今言った大学。職場見学等に参加する人、手を挙げてください。 はい、1年生を中心にたくさんいますね。 2・3年生で手を挙げなかった人の中には、もう十分調べたから必要ない、見学等には行かな い人もいると思います。そういう人は、自分の好きな学問・目指す職業について本や雑誌を利用 してより深く調べるのもよいです。自分の将来を考える契機となる本を読むことにも価値があり ます。是非積極的に挑戦して、時間を消費するのではなく、自分の未来のために投資してくださ い。 さて、今日のメインテーマ、国際交流について話をします。 今日現在、先月の壮行会で応援した3年6組のH君は、国際物理オリンピック大会で奮戦中で す。カザフスタンの首都アスタナに向かって声援を送りましょう。彼はきっと競技以外でも、た くさんの得難い交流を経験できるでしょう。 また、先週岐阜新聞でも報道されましたが、2年7組のN君は、個人的にAIU国際交流プロ グラムに挑戦して見事合格し、来週から20日間、アメリカのニューヨーク、ワシントン、プリ ンストンで、 向こうの高校生と国際交流をしてきます。 日本の政治をテーマに発表するそうです。 頑張ってください。 学校全体では、今年はアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにある姉妹校のカトリン・ゲイ ブル校との相互交流の年にあたります。まず、8月下旬にカトリン・ゲイブルから9人の生徒が 本校へやってきます。9人は北高の生徒の家にホームステイします。楽しみですね。 では、全校生徒諸君の中で、これまで、ホームステイやホストファミリーを経験したことがあ る人はいるでしょうか。聞いてみましょう。経験者は、手を挙げてください。 (ほんの数人が挙手) さすがにホームステイやホストファミリーの経験者は少ないですね。 私はこれまで外国でのホームステイを2回経験し、反対にホストファミリーとして合計6人の 外国人を我が家に迎え入れています。 ホームステイというのは、最初は誰しも緊張します。私も、最初の時の緊張を今でもはっきり と覚えています。もっとも、私の場合は、初体験は1992年、37歳のいい大人になってから でしたから、若い皆さんよりは緊張の度合いは強かったかもしれません。 ホストが「緊張しないで」と言ってくれるのですが、その言葉も聞き取れません。皆さん、か りますか。ホストが英語でなんと言ったか。 「relax」です。緊張していると、この単語も耳に入ってきません。リラックスしろと言ってい ることすらわからないという状態から私のホームステイ経験・国際交流経験は始まりましたが、 おかげさまで、この友人、アメリカ合衆国アイオワ州のトウモロコシ畑の中に住んでいる高校の 世界史、政治・経済の教師のSとは、今でもメールをやりとりする仲です。先週は、 「日本の本州 アイランドを大きな台風が通過したそうだが大丈夫か」と心配するメールをくれました。 私は社会科の教師として、彼から教科書に載っていないアメリカについて様々なことを学びま した。大統領選挙の具体的な仕組み、アメリカ人の日本への関心・知識などなど。 彼の勤務する高校の生徒にアンケートを取ってもらったこともありました。 「日本列島の形を描 け」という問いを試みたのですが、答えを見て驚きました。少なくともアイオワ州の高校生のほ -1- とんどは、日本列島の形など知らないことがわかりました。中には、日本を大陸の一部として描 いた生徒もいました。 イベント的な派手な交流も重要ですが、こういった地味な草の根の国際交流にも大きな価値が あると信じています。 国際交流をする意義は、一般的に言えばお互いを理解し合えるようになることですが、もう一 歩突っ込んでいうと、交流によって自分の国がわかるようになることにより意義があると思いま す。つまり、日本人や日本文化に対して私たち自身の理解が深まるのです。 ホームステイでの話が弾む話題のひとつに、それぞれの国の伝統や文化に話が及び、お互いが 興味を持ち合うということがあります。 どんな分野でもよいのですが、日本的なものの詳しい人は、それだけで国際交流の主役になれ ます。剣道などの武道、盆踊りなどの伝統行事、和食、和服、茶道・華道・香道、能・狂言・歌 舞伎、そして国際的に流行している音楽やアニメなどの“クールジャパン”を象徴するもの・・・ これらに秀でていると、その芸や知識の存在そのものが国際交流の主役となります。それを英語 等で説明できると申し分ありません。 私は我が家にホームステイした6人に、伝統的日本料理?を食べてもらいました。鉄板でたこ 焼きを作ったのです。タコが嫌いという人もいましたが、たこ焼きを作るという作業過程は、6 人全員になかなか好評でした。もっとも、 「来客にたこ焼きを振る舞うのが日本の伝統」というこ とを外国人に刷り込んでしまったとしたら、ちょっと罪作りでした。 ところで、日本人というのは他国からどう見られているのかというのも、気になる点です。 アイオワの友人に、日本人や日本をどう思っているか、どんなイメージを持っているかを改め て聞いてみました。 neat、clean、dedicated worker who can provide superior products、safe、low crime・・・ などの答えが返ってきました。 neat というのは、就職しない Neet とは違います。きっちりしているという意味の neat です。 「正確な」日本を代表する鉄道が、彼を感動させたエピソードを紹介します。日本を訪れて最初 に東京駅に行った時、彼は新幹線の運行状況を見て本当に感動していました。鉄道ファンだから という訳ではありません。たくさんの人間が働いて、到着した列車が短時間で車内清掃や車内点 検を終え、時刻表通りに出発していく様子に驚きを覚えたのです。 「これはアメリカではまねはで きない。 」と何度も言っていました。 Safe と low crime についての彼の実体験も紹介しましょう。ある博物館に行った時、展示を 見るのに夢中だった私が、どこかにカメラの入った手提げバックを置き忘れてしまいました。し ばらく探しても見つからず、入り口のカウンターに問い合わせると、落し物として届けられてい て、無事回収できました。この時も、彼はいたく感動していました。 自分の国の誇りうる点は何でしょう。そして美徳は何でしょう。他の国に紹介できる日本文化 は何でしょう。そして、他国の若者からは何を受け取ることができるでしょうか? カトリン・ゲイブル校の皆さんとの楽しい国際交流が進むことを期待します。 最後に、皆さんに気を付けてほしいことを念を押して言います。 日常から解放される夏休みは、その分、危険も増えます。交通事故、水難事故、熱中症、心の ストレスなどなどです。 どうか自分の命を大切にしてください。どうか人の命を大切にしてください。自他の生命の安 全という基本を忘れずに過ごしてください。 健康で安全、かつ収穫の多い夏休みであることを願っています。 ※時間の関係で、講話の中では一部を省略しています。 -2-