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解剖実習にあたっての心構え - Anatomy

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解剖実習にあたっての心構え - Anatomy
解剖実習にあたっての心構え
骨学実習も含めて人体解剖実習では実物観察の大切さ̶これは臨床で患者さんを診察する際の
観察力の養成にもつながります̶を学んで下さい。いくら本やコンピューターの図あるいは写真
で勉強し、頭で覚えていても実物を前にすると混乱してしまうということは往々にしてあること
です。それで解剖実習では時間のとれる限り、実物を使った実地試験をも実施します。
その他に人体解剖実習の目標とするものは、
(1) 篤志献体により提供された御遺体を解剖することにより、生と死についての洞察を得、将来
医師になる際の生命倫理の基礎をつくる。皆さんが解剖する御遺体は、自らの遺志で進んで
皆さんの勉強のためにと自分の体を提供して下さった方々の御遺体ですから、呉々も失礼の
ないよう常に感謝の気持ちを持って接して下さい。そしてその方々の御厚意を無にしないよ
う実習には全力を尽くしあたって下さい。そして実習の終了時には献体して下さった方の御
霊に向かって『あなたの御厚意を無にすることのないよう頑張りました。どうも有難うござ
いました。』と胸をはって言えるよう努力して下さい。
(2) 個々の肝臓や腎臓といった器官(臓器)についても勿論勉強してゆきますが、それ以上に人
体解剖実習では人間という存在が、いくつもの構造̶血管や神経あるいは消化器、泌尿器、
内分泌、呼吸器などに属する器官など̶が個々バラバラに寄せ集まってできているのではな
く、三次元的に複雑な配置をとりながら、一個の有機体一個体としてまとまり、存在するの
だということを実感して下さい。その意味で実習の際にまた注意しますが、局所を解剖して
いても絶えず全体の中の局所ということを忘れずにいて下さい。
(3) 解剖学は非常に多くの構造の名称が出てきます。これをただ棒暗記しようとはしないで下さ
い。『かたち』は多くの場合、何らかの意味を持ち、それを理解しながら覚えてゆくと比較
的簡単に名称も頭に入るはずです。実体の理解なしにただ丸暗記するのでは電車の時刻表を
丸暗記するのと同じことになってしまいます。構造の意味づけあるいは一般的な『かたち』
の理解の仕方については最初の総論の授業で話をする予定です。
(4) 人体解剖実習では奥の構造を見るには表層のものを壊してゆかなければ観察はできません。
即ち、解剖実習は不可逆過程ということです。その意味で欠席・遅刻・早退はやむ得ない場
合を除いて避けて下さい。
(5) 教科書、参考書、などについては群馬大学の解剖のホームページ「教科書・参考書のおすす
め」(http://anatomy.dept.med.gunma-u.ac.jp/)を参照して下さい。
(6) 実習は骨学、人体解剖実習を問わず、必ず予習して実習のポイントを把握した上で出席して
下さい。予習せずに出席するとただ手を動かしてただけで、観察した構造が自分のものにな
りません。
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(7) 実習中生じた疑問を大切にして下さい。なるべくならその疑問は実習中に解決するのが望ま
しい(そのためになるべく詳しい参考書を実習室に持ち込むことを奨めます)のですが、必
ずしもすべてがそうできるとは限らないので疑問をメモ、ノートに書き留め、その日あるい
は印象の薄れないうちに調べるようにして下さい。この姿勢が身につくと将来いろいろなこ
とに役立ちます。
以上が解剖実習についての一般的心得です。希望者には上級生になってからも解剖する機会を
作っていますが、まとまった時間、全身を隅々まで観察できるのはこの2年生の実習のみです。
その意味で一期一会の心得で解剖実習にあたって下さい。
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骨学実習にあたっての心構え
解剖学は人体の正常な構造、位置、形を理解する学問で、暗記をする学問ではない。教科書の平
面的な記載と実際とをよく見比べ、立体的、三次元的な理解を深められるように心掛けることが
大切である。骨学の実習にあたっては次の諸点に注意して、他の器官系との関連についても理解
を深めよ。
(1) 骨標本は人体の一部であり、遺体解剖保存法に基づいて実習を行うものであり遅刻、欠席、
早退はできる限り避けること。また骨標本は近年非常に手に入りにくくなっており、取り扱
いには充分気を付けること。
(2) 骨を学ぶ目的は人体という建築物の骨組み(支柱)を理解することであるから、一つ一つの
骨が身体のどこに、どんな方向に位置しているか、実際に自分の体あるいは同じ斑の仲間の
体に骨をあてがって確かめてみよ。同時に、骨の上・下、内・外側、前・後面の正確な判断
となる指標を確かめよ。
(3) 隣接する骨との関係、すなわち連結の種類(線維性の連結、軟骨性の連結、滑膜性の連結
(関節))、関節の種類や構造などを確かめよ。
(4) 骨の形、外観、特徴、大きさ、重さ等をよく観察する。骨の種類(長骨・短骨・扁平骨・不
規則形骨・種子骨)、骨の構造(緻密質、海綿質、髄腔、骨端線)についても理解する必要
がある。
(5) 各骨の部分の形状(凹凸、孔、管)を観察する。これらの構造が存在する意味をよく考える。
一般に突起や粗面は筋や靭帯などのつく場所であり、孔や管は血管や神経が通るので、他の
器官系についても知る必要がある。
(6) 骨の構造には個体差、性差、年齢差があるので他のグループの標本とも比較する。
(7) 実習に使用される標本は「晒した骨」であり、生体には存在するはずの骨膜、軟骨、骨髄、
靭帯などの有機物はここでは取り去ってあるが、引きつづきおこなわれる解剖学実習に備え
て十分に理解しておくことが大切である。また解剖実習中にも必要に応じて絶えず骨標本と
対比させながら実習を進めることは軟組織の理解にも大いに役に立つので、励行すること。
(8) 実習中は名称(特に英語ないしラテン語)を声に出し五感を動員して最大限記憶に留める努
力をせよ。名称を覚えるには実物を前にした実習で、口に出し、耳で聞く、手で触れてみる
など、あらゆる感覚を使っておこなうのが近道である。その意味で実習をいい加減に済まし、
後で紙の上だけで多数の名称を一度に憶えようとするのは効率的な時間の使い方とはいえず、
また実際には覚えきれないし、例え覚えたとしても生きた知識とはならない。実物には紙に
は書ききれない様々な要素が含まれている。これを見つけ、発見する目を養うのが将来臨床
に出た場合あるいは広く社会に出た場合、役に立つのである。
(9) 実習では単に構造と名称の対応をつけることで満足し、終えてしまう者が多い。これでは
(8)で記した 視る目 は養えない。①ある構造があった時、その構造の存在意義、他の類似の
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構造との相違、機能的な役割などを考えてみること、②教科書的な図には記載されていない
病的あるいは老化などによる変化についても何故このような変化が出るのか自分なりに考察
してみる、などが役に立つ。①については例えば、脊柱は部位により運動の可動範囲が異な
っている。これはかなりの部分はそれぞれ部位の椎骨の形状により説明がつく。これについ
ても少し詳しい本なら説明が書いてある。それを予習で知り、実物と対照させて知り納得す
ることは大きな意義があるがそれに止まって欲しくない。これをもとに、形(現在は骨標
本)から人体の各部の可動性が説明できる、という事実、さらには骨標本と言うものを人体
の理解のためにどう使って行けばうまく使いこなせるかという点の理解まで進めてもらいた
い。ここまで来れば実習は受動的なものにならず、能動的に自ら標本を生かしてゆく実習が
可能となる。単なる名称確認の実習に堕しないこと。
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骨学実習注意事項
(1) 骨標本は4名または 3 名からなる一班(なお班の編成は解剖実習の班と同一の構成員とす
る)で1個体の標本を使用する。班に割り当てられた骨標本は解剖実習期間を通じて班に貸
与の形をとるので、第 1 回目実習の際に班で1枚の借用証を提出する。また、実習を進めな
がらその日使う骨の個数、破損状況などの点検をする。もし欠損している部分があれば点検
表に記入する。点検表は標本箱の蓋の裏に貼付する。標本は別個体のものが混じらないよう
注意すること。班の編成及び座席は別紙を参照のこと。
(2) 実習にあたっては十分な予習をしてくること。
(3) 実習の骨格標本は我々の先人にあたる人々の遺骨である。従って、敬虔な態度で接し、くれ
ぐれも礼を失する事のないよう注意する。
(4) 標本を鉛筆で汚したり、破損することのないように注意する。(眼窩や鼻腔の骨は非常に薄
くもろいので、指や鉛筆を突っ込まないこと。)現在は骨標本は非常に手に入りにくく貴重
なものになっており、万一標本を紛失もしくは破損した場合には弁償を要求されることがあ
る。
(5) 必要に応じて他の班の標本、実習室の交連骨格標本も参考にし、個体差、性差などを実感す
る。また病的変化の出ているものについては、図書館などで整形外科の教科書を調べ、自己
学習せよ。
骨学実習予定
第 1 回 概観、体幹
第 2 回 上肢
第 3 回 下肢、骨盤
第 4 回 頭蓋
日時は予定表参照:
http://anatomy.dept.med.gunma-u.ac.jp/blogs/anatomy/gcalendar.html
※ 骨学実習は顕微鏡実習室(実習棟3F)を使用する。但し実習講義は基礎大講堂で実施する
ので基礎大講堂に集合のこと。
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解剖実習注意事項
解剖実習中の注意
(1) 解剖中に出た組織片などは、臓器保存容器(小)に入れておき、実習終了時に実習室北側の
棚にある、臓器保存容器(大)に入れる。なるべく乾いた状態が望ましい。
(2) 保存容器の番号(解剖台配置番号)を間違えずに使用すること。他の遺体のものと混合しな
いよう細心の注意を払う。また、臓器保存容器(大)はふたについている留め金で必ず密閉
する事。
(3) サイドテーブルの道具箱中の道具を使用した場合は、毎日洗い、所定の場所に戻す。道具の
貸借はしない。(実習最終日に道具の確認をするので管理はきちんと!)
(4) 解剖を終えたらその都度、布(白のネル)をかぶせビニールにて露出部分のないように完全
に包む。(実習中の一時中断時も乾燥防止対策をきちんとすること)
(5) 解剖中または連休前のご遺体の乾燥・カビ防止には以下の防腐液を噴霧する。
【実習中】→各解剖台にあるスプレー容器に水を入れ、乾燥しそうな部分に噴霧する。
【毎日の実習終了時】→青いバケツにある防腐液(アルコール)をかける。
【週末など休み前】→サンシールスプレー(除菌・消臭剤)を噴霧する。
アルコール、サンシールは実習室に表示しておきますので、適時使用して下さい。なお、過
剰なかけ過ぎには注意!
(6) ゴミの分別を行っています。感染性廃棄物(手袋、血液のついたもの)、燃えるゴミ、メス
の替え刃、ビニールゴミ等は必ず分けて捨てること。
(7) 実習中、気分が悪くなったり、流涙・発赤などのアレルギー症状の出た時は教員に申し出る
こと。
更衣室使用上の注意
(1) ロッカーおよび下駄箱は別紙の実習班名簿を見て各自の決められた番号を使用する。
(2) ロッカーは鍵がかかりません、貴重品は持ち込まないこと。
(3) 実習用サンダルでの外出(トイレ)は禁止。必ず履き替えてから外出する。
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骨学実習及び解剖実習の必要物品
(各自事前に用意するもの)
骨学実習
• 白衣
• 各々の骨の特徴について詳細な記載のある参考書
解剖実習
必須
• 白衣
• サンダル
• 解剖実習器具セット
• 使い捨て手袋
• 「解剖実習の手引き(改訂 11 版)」(寺田・藤田著、南山堂)
希望者のみ購入
• ビニールエプロン、帽子、マスク
※ 以上のものは学生生協で取り扱っています。サンダルのサイズの合わない者は生協以外のも
のでも構いません。
※ ホルマリンに対するアレルギーのある者、あるいはその可能性のある者は前もって申し出て
下さい。ホルマリン対策用防護マスク、ゴーグル等の使用が望ましい。
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