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2. 市場実態 (1) 消費動向

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2. 市場実態 (1) 消費動向
2. 市場実態
(1) 消費動向
a.概況
英国の 1 人当り年間水産物消費量は 21kgであり、EU平均の 26kgをわずかに下
回るが、主要な蛋白源として重要な地位を占めている。消費者の 80%は最低月に1度
は水産物を消費する。英国の水産物市場は、消費者価格ベースで年間 52 億ポンド(1
兆 943 億円)、食費全体の4%を占める。うち 46%が小売部門を通じて家庭内で消費さ
れ、54%がフードサービス(ケータリング含む)を通じて消費される。
近年、水産物が肉に比べて健康的であるとの認識が広まりつつあり、消費量は拡大傾
向を続けている。2000 年から 2006 年までの家庭内消費量は、下表のとおり、21%の
増加となっている。特に、脂の乗ったタイプの魚、甲殻類などの増加が注目される。
表1
水産物一人週当たり平均家庭内消費量の推移
(g、%)
2000
2002
2003
2004
2005
2006
2006/00
白身魚
144
157
155
156
158
167
+16%
多脂タイプ
51
56
56
58
58
64
+25%
甲殻類
6
10
11
11
11
12
+100%
201
223
222
225
227
243
+21%
計
出典: Defra Family Food Survey
一般に、英国民の食に対する姿勢は保守的であり、消費される水産物の種類は限定的
である。上位 10 品種で英国消費全体の 75%を占め、サケ、マグロ、タラ、小型タラ
(haddock)等がその中心となっている。
伝統的に水産物の中心であったタラ類は乱獲非難の圧力を受け、また価格も上昇傾向
にあるため、サケが近年その地位に取って代わりつつある。養殖サケは比較的安価で、
色も良く、ステーキ、フィレ等への加工が容易なこともあって、販売が拡大している。
4
図1
英国で消費される魚介類の主要 5 種 (2005 年)
フード
サービス
小売店
サーモン
マグロ
タ ラ
コダラ
エ ビ
出典: Seafish Industry Authority
甲殻類の消費が増加しているのは注目すべき点で、従来、貝類、エビ、カニ等の甲殻
類は家庭用市場になじみが薄く、「高級」な分野とみられてきた。依然として比較的市
場は小規模であるが、販売は金額・数量とも増加を続けており、小売店は、国内産・輸
入物とも取り扱い種類を多様化してきている。脂の乗ったタイプの魚類の消費拡大とと
もに、極めて保守的であった、英国の家庭内消費の変化の兆しとして注目されよう。
魚の約 40%は鮮魚として販売されているが、その3分の2は、あらかじめ処理され、
パックされた状態で売られている。スーパーには魚をそのままの状態で陳列した「鮮魚
コーナー」を設けているところも多いが、これらは、いわば新鮮さをアピールするため
のショーケースといった意味合いも強い。英国の消費者には下ごしらえや処理方法を教
える必要があり、結果的に皮や骨を取り除いたステーキやフィレの形態が最もポピュラ
ーである。
貝類と甲殻類の 70%以上は、冷凍の状態で販売される。ロブスターとカニは、料理
するだけの状態にされており、小エビは頭を取り除き、調理され、皮をむかれ、貝類の
多くは、開けられてむき身にされている。
欧州では、家庭で消費される水産物の大部分は家庭内で調理されるが、英国では 70%
が何らかの下ごしらえをした状態で購入される(主婦が家庭内で調理のために費やす時
間は英国が欧州で最短であるとの話も聞かれる)。一例をあげると、英国はパン粉つき
切り身の欧州における最大の市場である(このうちタラ類が 47%を占める)
。
5
b.消費者嗜好
(a)
水産物選択の基準
ア.水産物を選択する事由
近年の「食への不安」、また魚油のオメガ3脂肪酸(不飽和脂肪酸)が健康に良いと
いう認識の広がりが、水産物の販売拡大に大きく寄与している。下記の水産物を選択す
る事由の調査によると、注目すべき点は、
「味覚」を理由とする消費者が 50%をわずか
に上回る程度に過ぎず、一方において「健康」
、
「オメガ3」を理由とする消費者が 34%
にも達している点である。また、食事の多様性を重視する視点も重要な要素となってい
る。
図2
魚介類を食料として選択する消費者の理由(回答者の%)
味
健康
肉からの変化
食事のバラエティ
「健康」は魚介類の消費における二番目
に大きな要因である。
オメガ 3
肉よりも軽い
宗教的な理由
出典: Seafish Industry Authority
一方、ネガティブな要因として、消費者には、魚資源の減少への認識と懸念が急速に
広がりつつあり、生産持続性とトレーサビリティへの懸念が拡大している。消費者のそ
6
うした姿勢は、後記のとおり、小売業者が水産物を仕入れる際の姿勢にも反映されつつ
ある。
イ.水産物を選択する際の基準
海洋魚産業協会の消費者リサーチによると、英国において消費者が水産物を選択する
際には以下の5つのキーとなる基準があることが示されている。最も重要な基準は、
「体
験」であり、回答者の約93%は、選択の理由として、「家族が食べることを知ってい
るかどうか」と答えている。また、「魚介類の見た目」を重視する姿勢と相まって、新た
な水産物を試してみる、といった行動が働きにくいことを示すものといえよう。このこ
とは、前記のとおり、英国の市場が極めて少数の水産物で占められていることの背景と
なっている。
表2
水産物購入時の基準
家族が好き、または食べることを知っているかどうか
93%
魚、貝類の見た目
90%
価格
60%
ブランド
46%
水産物の産地
38%
出典:Seafish Industry Authority
ウ.生鮮・冷凍の選択
消費者が、どのような品目について冷凍もしくは生鮮を選択するかについての調査に
よると(図3)、全般に加工度の高い商品(パン粉つき切り身など)については冷凍もの
が好まれる傾向にあり、未加工の魚についてはチルドが好まれる傾向にある。特に、さ
ばにおいては冷凍よりチルドを買うという消費者が2倍とその傾向がはっきりしてお
り、サケでは3倍に達している。
なお、市場の浸透度という観点からは、タラとフィッシュステイック(その多くはタ
ラ)の人気がいかに高いかが読み取れる。
7
図3
生または冷凍の魚介類を購入する消費者の割合(2003 年)
冷凍
フィッシュスティック
冷蔵
コダラの切り身に衣をつけたもの
タラの切り身に衣をつけたもの
魚肉団子
タラの切り身にパン粉をまぶしたもの
コダラの切り身にパン粉をまぶしたもの
クルマエビにパン粉をまぶしたもの
甲殻類,貝類
エビ
二枚貝
サケ
ホワイティング(タラ科)
マグロ
ツノガレイ,アカガレイ
サバ
カレイの一種(lemon
sole)
(ニシンなどの)薫製
ニシン
コダラ
オヒョウ
タラ
出典: Seafish Industry Authority
エ.
原産地に対する意識
水産物の原産地は、英国では購入時の重要な要素になりつつあり、1999 年には、購
入時に必ず水産物の原産地をチェックするとしていた消費者は 11%であったが、5 年後
の 2004 年に、その値は 18%となっている。
消費者の約 20%は、特定の原産地の水産物は多少高くてもよい、としており、57%
は「地元水揚げ」という表示のものを購入する、としている。2004 年リサーチでは 43%
が水産物の原産地を何回かはチェックした、としている。
8
図4
魚介類の原産地をチェックする消費者の割合(2004 年)
いつもチェックする
チェックしない
ときどきチェックする
出典: Seafood Scotland
オ.
消費者セグメンテーション
2003 年の水産物に対する消費者志向リサーチは、消費者の4つのタイプを示してい
る。
・こだわり派
26%
品質
・現代的伝統派
34%
利便性
・経済的主婦
13%
価格
・冷凍品愛好派
27%
味と利便性
日本の水産物の高品質さをアピールするのであれば、ターゲット市場が「こだわり派」
たちであることを示唆している(彼等は、冷凍物より生鮮やチルドを好む)
。
各グループの主要な特性は表3のとおりである。
9
表3
グループ別:冷凍食品に対する考え方と購入態度
社会的立場
冷凍食品一般
こだわり派
現代的伝統派
経済的主婦
冷凍品愛好派
26%
34%
13%
27%
上流階級
広範囲の階層。一人
一種の収入に依存
若者一人または二
子供無し
ぐらし、または家族
2 人以上の子供を含む
人暮らし
持ち。多忙
家族
品質
便利さ
価格と便利さ
味
あまり、または全
日常的に購入。必要
ヘビーユーザー
ヘビーユーザー
く利用しない
以上に買いすぎる
特にナチュラルまた
傾向
はコーティングした
の購入動機
消費態度(冷
凍食品一般)
商品
安全でない、健康
便利さに対しては
価格、味、便利さ、無
便利、味が良い、
的でない、味が悪
肯定的だが、やや後
駄の少なさ、等から肯
バラエティに富
冷凍食品に対
い、低品質等と考
ろめたさ。ただし状
定的。ただし、冷蔵の
む、等の理由によ
する考え方
え概して否定的
況によってはやむ
方が品質が良いとの
り肯定的。ただし、
を得ない
潜在意識を有す
ナチュラルの冷凍
品には否定的
甲殻類、貝類は日
ナチュラル、または
概してヘビーユーザ
概してヘビーユー
常的に購入。冷凍
コーティングされ
ー。ナチュラル、また
ザー。調理済み、
消費態度(冷
の調理済み食品
た、パン粉付などを
はコーティングされ
パン粉付などをよ
凍水産物)
は購入しない
よく購入するが、調
た、パン粉付などをよ
く購入
理済みはあまり購
く購入。冷凍甲殻類は
入しない
あまり買わない。
臭いが悪い、食
冷凍食品は栄養的
品質と栄養に関して
味、新鮮さに関し
感、見た目からも
に劣るという意識
は冷蔵に劣ると感じ
ては価値を認め
冷凍水産物に
低品質という意
を持ちつつも、日常
つつも、冷凍物の質が
る。ただし、ナチ
対する考え方
識が非常に強い
の食事としては良
悪いとは思っていな
ュラルの冷凍に関
い選択であり、注意
い。新鮮さも、あまり
してはやはり冷蔵
して選べば品質の
問題にはしない。
のほうが良いと感
問題も改善
じる
出典:Seafish Industry Authority
10
(b)
主な調理法
英国の水産物はフライ、グリル、ベイク、ゆでる等により供されることが多い。生や
マリネは一般的ではなく、それらは、しばしば日本式料理などに限られる。
「水産物は、切り身を蒸すか、グリルで供されるのが最も多く、健康的とされる。魚は
健康的として、より多く選ばれる傾向にあり、特に、「グリル」が最近最も人気のある
調理法で、日本式調理だけではなく、全ての魚の調理に使われる」
(シーフード専門家)
。
英国における水産物調理の一般的な手順を示すと以下のとおりである。
<グリル>
グリル器具を中位の適温に上げておき、水産物によっては、調理時間半ばにひっくり
返す。白身魚はグリル中に肉汁をかける。
<軽いフライ>
水産物を味付けした小麦粉にまぶす。油を加熱し、調理中ひっくり返す。
<ディープフライ>
油を180度Cに加熱し、バターやパン粉にまぶし、きつね色になるまでフライする。
<ベイク>
オーブンをあらかじめ加熱し、適当な皿に載せ、レモンジュースをふりかけ、ふたをし
てオーブンの中央に置く(ファンオーブン使用説明書を参照のこと)
。
<蒸す>
沸騰したお湯に大きめの平なべをかけ、2つの皿の間か、ステイーマーに置く。
ゆでる
70ml(8分の1パイント)の水とレモンジュース2,3滴に規定時間、とろ火にか
ける。
<レンジ>
(800ワットレンジの例―詳細は取り扱い説明参照)適正な器に入れ、15mlのス
プーン2杯水分を加え、覆って調理、調理後2-3分そのまま置く。
白身魚は、少々半透明の表面がなくなり、色が白っぽく、あるいはくすんできたら、
十分調理されている。簡単なテストは、フォークか串が簡単に肉にささるかみること。
その他の水産物も調理は簡単である。英国において一般的ないくつかの事例をあげると、
以下のとおりである。
・ 白身魚のディープフライ
身を保護し、あぶらが過度に逃げないように、味付けした小麦粉、卵、パン粉、オー
11
トミール、バターでまんべんなくつつみ、180度Cの油で4-6分あげ、供する前に
吸収性のあるキッチンペーパーでふき取る。
・ 白身魚のかるいフライ
ここでも魚をつつむのが大事。味付けした小麦粉と少量の油(テーブルスプーン2,3
杯がよい)を使い、4-5分あげて1度ひっくり返す。
・ グリル
最もポピュラーな水産物調理の1つ。グリルは健康的、手早く、簡単。うまみが逃げ
ないように調理の間、肉汁をかけること。通常、中火で8-10分調理。小さい、まる
ごとの魚や薄い切り身はひっくり返さなくてよいが、丸ごとの場合は一番厚い部分に切
り目を入れておく(グリルの熱を反対側まで通すため)。串刺ししたさいころ状の切り
身や厚い切り身はひっくり返すこと。
・ ゆでる
ミルク、煮出し汁、ワイン、水、サイダー等に沈め、調理した汁はソースに使用。常
に、ゆで汁に没していることが大事。さいころ状で約5分、厚めの切り身で10-15
分である。
・ 蒸す
2枚の皿かスティーマーを使い、固有の香りや、柔らかさを保つため、液がつくのは禁
物。調味料と少量のレモンジュースを加え、薄いフィレで5-10分、厚い、又はまる
ごとで15-20分蒸す。
・ 焼く
焼き魚には2つの簡単な方法がある。オーブンでも大丈夫な皿に、調味料、ハーブ、
レモンジュース、(野菜も可)等と置き、煮出し汁、ワイン、ミルク等を加え、オーブ
ンで焼く。ホイールに包む前にハーブや汁2,3杯を加えてもよい。小さい、まるごと
の魚、フィレ、ステーキ、カットレット等は、厚さに応じて、200Cで(ガスマーク
6)15-20分焼く。大きな、まるごとの魚は180C(ガスマーク6)で30-4
0分焼く。
(2)
生産動向
a.概況
英国は欧州第5位の漁業生産国であり、2006 年には 633 千トン、609 百万ポンド
(1,282 億円)を水揚げした(英国籍漁船が海外に水揚げした分を含む)。特に貝類、
ホタテガイ、マキビガイ、ノルウェイロブスター(北大西洋イセエビ)、イガイ等の主要
12
漁獲国であり、ノルウェイロブスターとイガイは各々世界漁獲量の 13%、6%を占める。
漁獲高の長期推移を見ると、1950 年台初めのブームの後は減少傾向を続け、2000 年
にはピーク時の 50%以下の水準にまで減少した。近年は、個体数の減少と全漁獲許可
量(TAC; Total Allowance Catch)の上限の引き下げが、水揚げ量の減少に大きく影響
しており、特にタラにおいて顕著である。一方、他種を対象とする漁への移行が進み、
より収益率の高い甲殻類,貝類の水揚げ量が増加しており、ここ数年では漁獲量の回復
傾向も見られる。
図5
英国における魚介類水揚げ量の推移
千トン
甲殻類
浮遊魚
定生魚
出典:Fisheries Administration in the UK
図6
UK漁船による水揚げ
×103トン
イングランド
ウェールズ
北アイルランド
スコットランド
全イギリス水揚げ量
出典:Fisheries Administration in the UK
13
×106ポンド
英国の消費者は、近年、珍しい、エキゾチックなものに興味を持ちつつあり、伝統的
な国内漁獲物(タラ等)の漁獲量が減少していることとも相まって、英国水産業にとっ
てのマイナス要素となっている。
英国水産業は、漁船数 6,600 隻で 11,600 人を雇用している。英国における漁港は約
280 であり、水揚げ高でみる主要漁港は、ピーターヘッド、ロッチンバー、フレイザー
バー等スコットランドに多く位置する。地域的に見ると(図6)、スコットランドが水揚
げ量・金額の 70%を占め、一方イングランドの港の水揚げは 23%にとどまる。
b.魚種別動向
2006 年の水揚げの内訳を見ると
・ 底生魚:140,700 トン、184.6 百万ポンド
・ 浮遊魚:142,500 トン、72 百万ポンド
・ 甲殻類:133,400 トン、237.1 百万ポンド
となっている。甲殻類は量的には 18%にとどまるが、金額ベースでは 35%を占めてい
る。
1キロ当り水揚げ金額は、2004~06 年に 21.5%増加し、0.88 ポンドから 1.07 ポン
ドとなった。
図7
イギリスにおける、タイプ別の底生魚水揚げの推移
千トン
タラ
コダラ
ツノガレイ(アカガレイ)
ブルーホワイティング
従来から生息するホワイトフィッシュのうち、
数種で個体数の減少がみられる。2001年から
イギリスの水揚げ量はタラで30%、ツノガレ
イ(アカガレイ)で20%減少した。それに対
して、2005年にはブルーホワイディングの漁
獲量は前年に比べて86%増加した。
出典:United Kingdom Sea Fisheries Statistics
・底生魚
伝統的な白身魚は、資源量、水揚げ高とも減少傾向であり、ブルーホワイテイング(B
W)等のあまり知られていなかった魚種にシフトしつつある。2005 年にBWは底生魚
水揚げの 40%を占め、量的にはタラの 2 倍に達したが、価格は非常に安く金額では全
14
体の 3%にすぎない。一部フードサービス産業において「ホワイトフィッシュ」として
利用される以外は魚油・ミール産業向けである。
・浮遊魚
図8のとおり、サバは最も重要な浮遊魚であり、浮遊魚水揚げの 80%、英国全体の
すべての魚種中でも 18%を占める。しかし漁獲高は、乱獲とプランクトン(サバの主
要えさ)の減少により、2001 年以降 22%減少している。
図8
タイプ別の浮遊魚水揚げ量(2005)
スプラット
ピルチャード
ニシン
アジ
サバ
出典:United Kingdom Sea Fisheries Statistics
・甲殻類
水揚げ量では前2者より少ないが、金額・利益は上回っている。重要魚種はカニ、ホ
タテガイ、ノルウェーロブスターなどである。ノルウェーロブスターは甲殻類漁獲金額
の 72%、重量の 25%を占める。
年間の甲殻類漁獲は過去 20 年間に拡大し、1985 年の 75 千トン、65 百万ポンドから、
2006 年には 133 千トン、237 百万ポンドとなった。
15
図9
タイプ別甲殻類,貝類水揚げ量(2005)
百万£
タマキビ
その他
二枚貝
ウミザリガ
タラバガニ
イカ
ホタテ
ロブスター
クッキー
クイーン
小エビ
ニ
出典:United Kingdom Sea Fisheries Statistics
c.養殖
養殖は英国における成長分野であり、600 超の養殖業者が約 1500 ケ所で、3千人を直
接雇用している。生産高の約 90%がスコットランドであり、その 85%はノルウェーの
会社が管理運営している。
図10
イギリスにおいて養殖量の多い魚介類 12 種(2004 年)
トン
イギリスの魚介類製品
の約3分の1は養殖もの
である。
大西洋サケ、二枚貝、
ニジマスが漁獲量にお
ける3傑である。
タラ
クッキー
ホタテ
クイーン
ハマグリ
土着の
カキ
コイ
ヒラメ
カキ
二枚貝
ニジマス
サケ
出典:United Kingdom Sea Fisheries Statistics
英国で養殖される主要魚種はアトランティックサーモンと虹マスであり、次いでコイ、
16
ブラウントラウト、カレイ、タラ、イワナ等である。養殖物のタラは、導入間もなく、
現在はまだ少ないが、バイヤーやマスメデイアから注目されている。
イガイは養殖貝類中、最大で、カキや二枚貝はより小規模、ホタテガイは試験的に成
功しつつある。
図11
イギリスで消費される大西洋
図12
サケの原産地
イギリス養殖サケの最終
的な消費のされ方
その他
外食産業
ノルウェー
輸出
チリ
小売り
イギリス
小売販路にて養殖サケの75%が国内市場に回され
ている。大半の小売店はイギリスの食品加工業者
(魚をおろす業者、簡易包装をする業者)を通し
て商品を仕入れる。外食産業者は卸売業者からサ
ケを買い入れる。有機農場などのすき間製品製造
者が直接販路を提供することもある。
イギリスで消費されるサケの3分の2はスコットラ
ンドで養殖されている
出典:Ernst & Young
(3) 輸出・入動向
図13
イギリスの魚介類輸出入バランス
百万トン
輸入
輸出
バランス
出典:United Kingdom Seafood Authority
17
図13に見られるとおり、英国は水産物の主要な生産国であり、輸出も相当量行われ
ているが、一方において輸入も拡大している。一例として、英国へのサバ輸入は増加し
ているが、英国のサバ漁獲の相当部分は、国内よりも高値で欧州大陸に輸出される。そ
うしたパターンは他の多くの水産物においても見られる。
過去10年間に英国への水産物輸入は、120%増大し、2005 年にはタラ 131 千トン、
マグロ 102 千トンであった。
図14
イギリスにおける魚介類輸入のトレンド
百万トン
出典:UK Seafood Statistics 2005
水揚げ高減少と割り当て削減にも関わらず、依然タラは英国の最大輸入水産物であり、
2005 年には 370 百万ポンドであった(内 65%は冷凍物)
。また、ハドック(小型タラ)
は、120 百万ポンド、全EUのハドック輸入金額の 73%を占めた。
この最もポピュラーな魚種の主要輸入先は、アイスランドと北欧諸国であるが、中国
も重要性を増しつつあり、輸入タラの 12%、輸入ハドックの 9%を供給している。
18
図15
イギリスに輸入される
図16
イギリスに輸入される
Haddock の原産国
タラの原産国
その他
アイスランド
その他
中国
ノルウェー
中国
デンマーク
ロシア
アイスランド(生)
アイスランド
(冷凍)
出典:Eurostat
2005
エビ輸入は着実に増加しつつあり、現在、全甲殻類等輸入の 70%を占め、その 50%
超がインド、バングラデシュ、インドネシアからである。
図17のとおり、輸入水産物の形態としては、冷凍が 40%と最も多く、次いで加工
済 38%、生鮮・チルド 21%となっている。
図17
2006 年のタイプ別輸入魚介類 (トン)
調理済み/保存加工
生/冷蔵
21%
38%
冷凍
1%
40%
塩漬け
Fresh/chilled
Frozen
Cured
Prepared/preserved
出典:Pro-Intal Consulting, UK Trade Statistics
表4のとおり、水産物輸入の付加価値レベルはその形態により異なる。2006 年のデ
ータによると、生鮮・チルド輸入の85%は頭を除いたまるごとの魚が占め、冷凍輸入
の60%はフィレが占める。
19
表4
加工状態別魚介類輸入状況
生または冷蔵
トン
千ポンド
冷凍
ポンド/トン
トン
千ポンド
ポンド/トン
切り身
19,257
107,627
5,592
154,105
472,166
3,064
丸ごと
116,717
209,205
1,793
45,641
72,844
1,596
-
-
-
5,985
13,780
2,303
42
289
6,881
45,206
184,993
4,093
魚肉
665
2,685
4,100
8,641
12,230
1,416
肝臓と魚卵
129
527
4,117
810
1.200
1,482
136,810
320,333
2,342
260,304
756,212
2,906
軟体動物
甲殻類
合計
調理済み/保存加工
トン
千ポンド
塩漬け
ポンド/トン
トン
千ポンド
ポンド/トン
切り身
14,289
30,742
2,152
1,701
6,444
丸ごと
158,094
263,036
1,664
-
-
2,422
5,091
2,102
1,257
2,217
1,764
甲殻類
48,657
173,144
3,559
346
1,861
5,379
すり身
10,193
12,163
1,194
195
3,378
17,323
349
855
2,450
13,056
24,629
1,887
2,794
5,813
3,081
246,905
512,992
2,078
6,448
17,189
2,666
軟体動物
肝臓と魚卵
その他
合計
出典:UK Trade Statistics
2007 年1~7 月の、輸入水産物1トン当り平均価格は表5のとおりである。
表5
2006 年と 2007 年の輸入魚介類平均価格(1 月~7 月)
2006
2007
生/冷蔵
£2,536
£2,143
冷凍
£2,853
£2,786
塩漬け
£2,626
£2,928
調理済み/保存加工
£2,027
£2,580
出典:UK Trade Statistics
20
3,789
英国水産物協会によれば、今回調査の主要対象魚種(ホタテ、タイ、サバ、ブリ、イ
クラ)のうち、サバ、タイ類、ホタテのみが07年1-7月に英国に輸入され、詳細は
以下の表に示すとおりである。
表6
2007 年 1 月~7 月における魚種別輸入状況
トン
千ポンド
- 生/冷蔵
4,051
2,758
- 冷凍
5,213
3,634
- 調理済み/保存加工
3,183
8,767
- 生/冷蔵
328
728
- 冷凍
345
415
- 生鮮
319
1,764
- 冷凍または塩漬け
777
4,333
サバ
タイ
ホタテ
出典:UK Trade Statistics
(4) 日本産品の位置づけ
a.日本食普及動向
英国における日本食は、従来はそれ程一般的なものではなかったが、近年、その健康
的イメージにより急速に拡大しつつある。この拡大は、健康と持ち帰り用食品としての
利便性を結びつけた「寿司」によるところが大きい。今回の調査において、日本食普及
の状況を示すものとして関係者からのヒアリング等により得られた事例を示すと以下
のとおりである。
・ 寿司は、スーパーの持ち帰り用食品として近年最も急速に拡大している商品である。
・ 英国最大のスーパーチェーンのテスコは、年間 3 百万パック、40 百万ポンドのすし
パックを販売する。
21
・ テスコの寿司販売は 2006 年に 300%増大した。
・ Pret a Manger(マクドナルドが一部出資するサンドイッチチェーン)は週 30 千パ
ック(単価 4.95 ポンド)のすしを販売する(年間 1.5 百万パック、8 百万ポンド)
。
・ フードサービス「ヨースシ」は 24 店舗を展開し、フードサービスのファーストカ
ジュアルすし市場の40%を占めるとしているが、以下のように述べている。
・我々は、回転すし方式で「西洋風にアレンジした日本の寿司」を提供する
・現在年間 2.5 百万の顧客を 2008 年には 3 百万にできると予想している
・我々は年間 15 百万皿を提供し、その 60%は水産物を使っている
・年間 2.2 百万ポンドを魚類に使う。主にサケ、マグロ、マダラで、日本産はない
が、日本産の乾燥・冷凍品に年間 3.5 百万ポンドを使っている。
・1皿 1.5~5 ポンドで、100 種類以上のメニューを用意している。
・毎年320トンの「サシミ」グレードの鮮魚を購入する
・ 日本レストラン「ワガママ」は、英国内で 36 店舗を展開し、110 百万ポンドの売上
高を有する。
またフードサービス関係者からは、以下のような見解が聞かれた。
「英国には 173,237 のフードサービスの店舗があり(仕事場、医療施設、学校等社会分
野を除く)
、うち 400、0.3%が日本レストランである。パブ、レジャー&クイックサー
ビスレストランを除けば(主にレストランとホテルになるが)、日本レストランのシェ
アは 0.6%となる。この 400 の日本レストランのうち半数程度は日本人以外の経営であ
る。
」
「英国人口の約 3~4%が日本レストランに行ったことがあり、うち約 15%が寿司に挑
戦している。
」
「日本食はヨースシとワガママで注目を集めつつあり、ガストロパブとバーは日本スタ
イルスナックのアウトレットで人気がある」
(パブチェーン)
「過去10年で消費者の嗜好は大きく変化し、特に生魚分野でそうだ。97 年に店を開
いた時は、生魚を食べるのは革命的と考えられ、カリフォルニアロールはエキゾチック
とみなされた。今日のメニューには、初心者にも食べ易いものから、経験者向けのイク
ラ軍艦巻きやハマチといったものまで、幅広いメニューが並んでいる」(日本レストラ
22
ンチェーン)
「寿司とサシミは最も人気がある」
(日本レストラン)
「寿司、刺身以外にも、てんぷらなども人気があり、西京漬けの焼き魚なども非常に好
まれる」
(日本レストラン)
専門家の間では、ヨースシのような日本スタイルレストランの拡大等により、日本式
食品は今後重要性を増し、テイクアウトとしての寿司も利用が広がるだろう、とされて
いる。
「マークス&スペンサー、駅、テスコ、セインズベリー等の小売部門に見られるとおり、
英国での日本食は広まりつつある。ファーストフード、昼食、プレットーアーメンジャ
ーのようなところでは理想的である」
英国における日本レストランのメニュー、価格等の事例を次ページ以降に掲載する。
23
•
UMU レストラン
24
・OZUレストラン
•
Yo 寿司
25
•
日本料理店のメニュー例
・サンドイッチチェーン Pret a Manger のカウンター寿司コーナーで販売されるすし
26
・高級スーパー Marks & Spencer で販売される持ち帰り寿司
以上の事実を総合すると、英国における日本食ブームは、単なる一過性のものではな
く、より根本的な変化と捉えるべきものであろう。注目すべきは、英国における日本食
フードサービスが、新たな段階に移行しつつあるように思われる点である。
海外における日本食レストランの展開は、当初、在留邦人(含む日本人旅行者)をタ
ーゲットとした、極めてニッチなマーケットへの展開であり、日本人の経営によるもの
が中心であった。その後、日本食の浸透、バブル崩壊による在留邦人の減少等もあって、
それらのレストランの現地顧客獲得の動きが強まり、また日本人以外の経営も出現する。
しかし、この段階における現地顧客も、依然、極めて限定的な「日本通」といったニッ
チなマーケットであり、経営も基本的には個人的な経営にとどまっていた。
しかし、最近の英国における変化は、マスマーケットとしての一般的英国人をターゲ
ットとした日本食レストラン等が生じつつあり、かつその企業的な展開が開始されてい
ることが特徴的である。また、そうした展開と合わせ、従来、すし(刺身)に偏ってい
た「日本食」にも、かなりの広がりが見られる。前記のヨースシにおいては、回転すし
形式のメニューとして、とんかつ、卵焼き等すし以外のメニューも多数供されている。
また、ワガママにおいては、ラーメン、うどん、やきそば、カレーライスといった、日
本の大衆的なメニューが人気をよんでいる。
b.日本産水産物輸出の現状と日本産品のイメージ
こうした日本食の普及の一方で、日本からの直近の水産物輸入状況は下表のとおり、
極めてわずかなものにとどまっている。
27
07 年 1-7 月の日本からの水産物輸入額、
表7
重量(t)
金額(千ポンド) 単価(£/t)
11
119
10,818
調整・保存品
4
17
4,250
貝・甲殻類
1
8
8,000
144
9,000
冷凍
合計
16
出典:UK Trade Statistics
2006 年トータルでは、約 33 トンが日本から英国に輸入されているが、これは、英国
の水産物輸入の合計 330 千トンに対比し 0.01%にとどまる。この数値は、英国の水産
物市場における日本産水産物を評価するにはあまりにも小さい。
日本産水産物は主に「純粋」日本レストランに販売され、「西洋」所有の日本レスト
ランチェーン(一般的になりつつある)やテイクアウト寿司市場(これも一般的になり
つつある)は主に低価格の、しばしば地元産の水産物からの仕入れが多い。
日本スタイルレストランの英国最大チェーンにおいても、日本産水産物の仕入れは
5%にとどまり、
「日本産」は、日本式シーフード分野ですら、重要なファクターとはな
っていない。
・ 「産地は購入のキーファクターではない。価格・品質・特徴の3つの要素が重要で
あり、我々が水産物を購入する際には、この順で検討を行う」
(日本式レストランチ
ェーン)
現実の輸入量は極めて僅少であるものの、「日本産品」は一般に英国の消費者に大変
好イメージを与えており、「現代的であるが、高いレベルの文化と伝統がある」とみな
され、これが食品にも及んでいる。主要な関係者とのインタビューにおいては、以下の
ような意見が聞かれた。
・ 高品質
「極めて高い品質、高価格、めずらしく、かつ健康的―大変良いイメージだ」(シーフ
ードチェーン)
「私のもつ日本のイメージは、彼等が質に非常にこだわり、良いものでありさえすれば、
値段にまったくこだわらない、ということだ。
」(水産物輸入業者)
・ 健康的
「日本の食品のイメージは、伝統的に健康によく、不飽和脂肪がメリット。オキシダン
ト濃度が高く、特に女性にアピールする」
(レストランチェーン)
28
・ エキゾチック
「高品質、高価、あまり知られていない、めったにない-あるものは珍奇だが、ヨース
シなどを通じて人々は慣れつつある」
(水産物卸売業者)
日本産品の市場でのプレセンスが極めて低いので、日本式レストラン分野はさておき、
供給元として実際に日本企業との取引を行った英国のサプライチェーンは極めて限ら
れる。したがって、その評価はあくまで「印象」にとどまるものであるが、ヒアリング
によれば、水産物供給者としての日本に対する認識は、以下の4つのレベルの印象の組
み合わせとなっている。
(ア) 日本は高品質水産物の提供者として大変良いイメージである。
・ 「極めて高品質、高価、めったにみかけないが、非常に健康的―良いイメージ」
(水
産物卸売業者)
・ 「日本産水産物のメリットは疑いも無く高品質であること」
(流通業者)
(イ) 高品質は高コストであり、価格という大きな課題がある。
・ 「日本産水産物は、その他の国の産品に較べて高価である」
(シーフードチェーン)
・ 「日本産の水産物メリットは高品質だが、デメリットがはるかに大きい-価格、利
便性等。日本は結局、魚の純輸入国だ」(輸入業者)
・ 「日本産とその他の価格差は、関税を入れたら約2倍になる」(水産物卸売業者)
・ 「日本産水産物は大変高価で、価格と量志向のグローサリーが圧倒的な英国市場で
のチャンスはない」
(日本の商社)
・ 「恐ろしく高価で、そのプレミアムは正当ではない」
(シーフードレストランチェー
ン)
・ 「日本スタイルの魚に対する欧州の味覚-マグロ、サシミ等―は、ヨースシのよう
なチェーンによりつくられてきたが、日本や日本産シーフードの店より安価な場所
が発信源であったし、今後もそうだろう」
(フードサービス卸売業者)
・ 「テスコやプレットなどでのテイクアウトの寿司をみると、日本の水産物のマス市
場があるように見えるが、間違いなくテスコの価格で、日本からの輸入品に払うよ
うな値段ではない」
(レストランチェーン)
しかしリサーチ結果は、これらの価格意識は多分に歴史的なもので、近年におけるイ
ンフレ率の格差、為替レートの変化(ポンド高)、TAC(漁獲許容総数)による供給
29
制限等により、英国と日本産水産物との価格差は狭まりつつある。
水産物価格は変動が大きいが、日本とロンドン・ビリングスゲイト卸売市場との卸売
市場価格を比較すると、日本産品は価格競争力がついている可能性もあり、実際ある品
種では日本産は英国より安い。一例として、あるフードサービス会社は生鮮サケをキロ
6.5 ポンドで仕入れており、日本の卸売り価格ではキロ約3ポンドとなっている。
(ウ) 水産物資源に対する配慮という観点からは非常に悪いイメージがある。
・
「日本人は実際のところ持続性を心配していない」
(水産物流通業者)
・ 「持続性とカーボンフットプリント(輸送時の CO2 排出)は英国の顧客には大きな課
題」
・ 「持続性は将来大きな課題となり、日本は捕鯨問題に見られるようにイメージは良
くない」
(レストランチェーン)
・ 「日本は持続性に無関心だという印象があり、このままの状態で(漁業を)続けて
いくことはできないだろう」(水産物卸売業者)
・ 「ここで安く買えるのに、世界中から2、3トンづつ船積してくるのは理屈が通ら
ない。持続性を取り巻く多くの資源問題と悪い慣行があり、フードマイルを最優先
にすることは考えられない」(フードサービスCEO)
・ 「二酸化炭素は顧客によっては問題であり、空輸をできるだけ避けるようにしてい
る」
(水産物輸入業者)
・ 「日本は魚を1本釣りせず、トロールし、底からさらっていて、捕鯨でもイメージ
が悪く、消費者によってはボイコットしている」
(レストランチェーンCEO)
・ 「捕鯨、日本の漁獲方法、持続性に対する配慮の欠如が大きな問題だ」
(日本の水産
物輸入業者)
なお、捕鯨問題では、11 月 19 日のインデペンデント紙は、第一面全てを割いて日本
の捕鯨続行の問題を報道した。
「イルカのような鯨もおり、水から跳ね上がるところは地上で最大の見ものであり、多
くの人を魅了する。これを日本人が殺すのはもってのほかだ。世界中の反対意見のただ
中で科学的調査とは笑止である-日本の捕鯨船は昨日も最も愛される鯨を狩った-」
上記は有名紙からの、長文で、やや感情的な記事のごく一部の抜粋だが、他の新聞も
同様の論調で、日本の水産物に対するマイナスイメージを拡大している。
30
(エ) 安定供給への懸念
・ 「ダントツの高品質と高価格だが日本は巨大な純輸入国であり、なぜ輸出したがる
のか-彼等がここで売りたいものには何か悪い点があるのではないか?」
(水産物卸
売業者)
・ 「日本人は取れる魚はすべて食べる。残り物のためにEUを狙うのか?」
(流通業者)
・ 「日本の加工場はEUへの輸出資格は充分と言えず、必要量を得ることはできない」
(水産物輸入業者)
・ 「日本での需要により、輸出向けの水産物供給は限定的にならざるを得ない。我々
にとって重要なことだが、日本の需要がそのままなら、欧州に対し安定供給を続け
られるものではない」
(水産物輸入業者)
英国において、水産物供給国としての日本を実際に体験した企業が極めてわずかであ
るということは改めて認識しておくべきであろう。
英国水産物市場は、極めて競争的で、日本の水産物が本格的参入をする場合、競争上
の明確なメリットを見出さなければならない。
・ 「適正な価格と品質で埋め合わせるような、魚の在庫不足はまったくなく、我々は
適正な価格と品質で、いつでも購入できる。日本から魚を求めなければならない理
由はない-超高級冷凍マグロは例外だが」
(水産物卸売業者)
貿易専門家のコンセンサスは、日本産水産物の市場は、現状では高級日本レストラン
等に限定されており、他の日本式レストランは、他のソースから、より低価格の産品を
購入する。輸入量が少ないのを見ても、この仮説が裏付けられる。
・ 「主に純粋日本レストラン等だけ。その他の日本式レストランのコンセプトは、あ
まり高価でない、日本産以外のものでよしとするもの。」
(水産物供給業者)
・ 「純粋、高品質な日本レストランだけがここでの市場、というのが本当のところ」
(日本の商社)
この市場は規模が非常に限定され、高価なので、英国の日本料理以外の他のエスニッ
ク料理分野においても、水産物供給源としての日本への関心は薄い。
c.品目別参入機会
今回の調査においては、①さけ、②さば、③カニカマ(現地呼称ではスリミ)、④いく
ら、⑤ほたて、⑥ぶり、⑦真鯛、の7品目について特に重点をおいて参入の可能性を調
査した。以下は品目別の調査結果である(なお、タラについては対象品目ではないが、
31
英国における最大の消費品目であり、漁獲制限から輸入需要が高まっていることから、
一部ヒアリング対象に加えている)
。
前記のとおり、英国の消費者は、水産物消費に関しては保守的で伝統志向であり、上
位 10 品目で水産物消費の 75%を占める。対象とした 7 品目の英国における現状のマー
ケットを勘案すると、それらは以下の 3 グループに分類され、それぞれ異なったアプロ
ーチが必要となる。
・現状、既にかなり大規模なマーケットが存在している品目
<さけ・さば・スリミ>
・現状一定規模のマーケットが存在するが比較的高コストでニッチな品目
<いくら・ほたて>
・現状一般消費者にはなじみが薄く非常に小さなマーケットの品目
<ぶり・真鯛>
以下は、英国の水産物市場での中心的位置を占める業者へのインタビューから得られ
た各品目の主なプラス要素とマイナス要素を示すものである。
表8
品目別のプラス・マイナス要素等
プラス要素
さけ
マイナス要素
主な競合国
-大きな市場がある
-低価格の養殖物の供給
スコットランド
-家庭(51%)、フードサービス
-日本産品への認識不足
ノルウェー
チリ
ともに需要あり
-肯定的なイメージから成長中
さば
スリミ
-伝統的な魚種
-豊富な供給量を誇るイギリ
イングランド
-15%が家庭で消費
スは重要な輸出国
スコットランド
-TAC 制限でノルウェーサバの
-低価格(高値がつくサバはヨ
ノルウェー
生産量が減少
ーロッパに輸出される)
-確立された市場
-超低コストの普段の食材
東南アジア
-高価な市場の欠如
イクラ
-小さなニッチ市場
カナダ
-主な利用方法はカナッペの
アラスカ
トッピング
ノルウェー
32
-外食産業に大きな市場
-程よい漁獲量
-近年ブーム
-卵無しが好まれる
チリ
-価格如何では小さいホタテ
ホタテ
が好まれる
-家庭での消費の限界
-成長を続ける市場
マダイ
-イギリスの家庭での消費に
ギリシャ
対する消費者の認識の限界
スペイン
-ギリシャから入ってくる低
アフリカ
価格のタイ
-冷凍がうまくいかない
ブリ
-極めて小さく高級な日本の市
-消費者の認識不足
場
-扱い方や調理方法が不明
オーストラリア
-非常に高価
-大きな市場
タラ
-低価格
-大西洋タラは危機的状況
アイスランド
ノルウェー
-フィッシュ&チップスの代替製
品
出典:インタビュー結果の取りまとめ
(a)
サケ
前記のとおり、タラに代わり、近年需要が拡大しており、大手スーパーチェーンにお
いても店頭に多くが並んでいる。家庭内消費が 51%程度で、フードサービスセクター
においても需要がある。スコットランドで相当量養殖されている他、ノルウェー、チリ、
カナダなどから輸入されている。全体に日本産に比して脂ののったものが多い。参入に
際しては価格競争力と同時に、そうした品質の差が消費者にどう受け入れられるかの見
極めが必要。
「サケは一番多量に売る品目で全体の20%を占める。スコットランドとカナダから充
分に仕入れられる」
(水産物流通業者)
小売店調査による店頭価格は以下のとおり。
33
表9
さけ店頭価格
売り場
品名
形態
産地
内容量
£
£/100g
円/100g
Waitrose、ロンドン郊外店舗
生鮮パック
Salmon
Fillet
Scotland
300g
4.49
1.497
315
生鮮パック
Salmon
Fillet
Scotland
500g
7.99
1.598
336
生鮮パック
Premium salmon
Fillet
Scotland
500g
8.99
1.798
378
鮮魚売り場
Salmon
Fillet
Scotland
量り売り
1.099
231
鮮魚売り場
Organic salmon
Fillet
Scotland
量り売り
1.499
315
鮮魚売り場
Premium salmon
Fillet
Scotland
量り売り
1.599
337
Marks & Spencer、 ロンドン郊外店
生鮮パック
Salmon
Fillet
Scotland
500g
7.99
1.598
336
生鮮パック
Salmon
Fillet
Scotland
280g
4.99
1.782
375
Sashimi
n.a.
150g
5.25
3.500
737
Japan Center、ロンドン中心部
生鮮パック
Salmon
出典:店頭価格調査による
(b) サバ
伝統的な魚種であり、家庭内消費が 15%程度。値段の安い魚、との位置づけであり、
高値がつく場合は、英国から他の欧州諸国に輸出されるケースもある。比較的脂がのっ
ており、さけ同様、価格競争力と同時に品質格差の受容性についての消費者調査が必要。
「サバは簡単だ。英国南岸やスコットランドから入手する。なぜ世界の反対側から輸入
するのか。ナンセンスだ。」
(水産物卸売業者)
小売店調査による店頭価格は以下のとおり
表10
売り場
さば店頭価格
品名
形態
産地
内容量
£
312g
1.87
£/100g
円/100g
0.599
126
0.379
80
1.000
210
Sainsbery、ロンドン郊外店舗
生鮮パック
Mackerel
Fillet
Scotland
鮮魚売り場
Mackerel
Whole
UK
Fillet
Scotland
Marks & Spencer、 ロンドン郊外店
生鮮パック
Marinated mackerel
34
446g
4.46
Japan Center、ロンドン中心部
生鮮パック
Vinegared mackerel
Fillet
n.a.
96g
2.88
3.000
631
出典:店頭価格調査による
(c)
スリミ(カニカマ)
スリミは、英国においても、刻んでシーフードサラダに入れるといったかたちで家庭
内、フードサービスともに広く利用されている。しかし、東南アジア等からの輸入もの
が多く、極めて「安価な商品」との位置づけであり、参入に際しては、価格競争力が大
きな問題となる。
「英国のすり身は大きな市場があるが、価格のみがものをいう。中国、タイ、インド等
産で、魚はせいぜい18%しか入っていない。値段が2割も上がれば販売は落ちる。安
いスナックだ」
(日本の輸入業者)
「タイのすり身価格は紀文より7割も安い。オランダでは1キロ 1.5 ドル、日本産は1
キロ 3 ドル」
(水産物輸入業者)
「日本は英国のすり身価格に競争できない、プレミアム分野はない、今や東欧で生産さ
れ、新鮮だ、このためアジア産は減っている」
(日本商社)
「裕福な人々は、カニ棒でなく、本物のカニを買う。すり身にはプレミアム市場はない」
(水産物輸入業者)
小売店調査による店頭価格は以下のとおり
表11
売り場
スリミ店頭価格
品名
形態
産地
内容量
£
250g
0.99
£/100g
円/100g
0.396
83
Waitrose、ロンドン郊外店舗
加工品
SEALORD
Seafood stick
カニカマ
n.a.
加工品
Seafood stick
カニカマ
n.a.
0.12/本
Sainsbery、ロンドン郊外店舗
加工品
Seafood stick
カニカマ
n.a.
250g
0.69
0.276
58
加工品
Seafood stick
カニカマ
UK
250g
0.98
0.392
82
冷凍
Seafood stick
カニカマ
n.a.
250g
0.99
0.396
83
カニカマ
Thailand
250g
0.99
0.396
83
Japan Center、ロンドン中心部
冷凍
KIBUN Crab stick
出典:店頭価格調査による
35
(d)
いくら
極めてニッチなマーケット。家庭でも利用されるが、カナッペのトッピング等、用途、
量ともに限られている。高級レストランでは、ソースの飾りといった使われかたもする
が、やはり量的には僅か。日本レストラン以外の需要開発のためには新たな利用法の提
案等が必要。
「仏、独にはいい市場があるが、英国にはない」
(日本の水産物輸入業者)
「カナダ産のイクラは欧州で既に手に入る。わざわざ日本に行く必要はない」(水産物
卸売業者)
小売店調査による店頭価格は以下のとおり
表12
売り場
いくら店頭価格
品名
形態
産地
内容量
£
塩漬け
US
100g
8.99
£/100g
円/100g
8.990
1,892
Sainsbery、ロンドン郊外店舗
加工品
Salmon roe
出典:店頭価格調査による
(e)
ほたて
比較的高額商品との位置づけであり、高級レストラン等での利用が多いが、有名シェ
フのTV番組をきっかけに一気に家庭内消費が拡大した。スーパーの店頭でも販売され
ている。日本産品はすでに輸出の実績もあり、その品質の高さを勘案すると、拡大の余
地はあるものと認識される。
「ホタテは、顧客の多くはぜいたく品と見ているが、重要品目だ」(レストランチェー
ン)
「仏にはホタテの良い市場がある彼等は魚卵と一緒に食べ、値段もいいが、チリから入
り過ぎている」
(日本の水産物輸入業者)
「ホタテは手に入り易いし、使い勝手も広い」
(水産物卸売業者)
「ホタテは一番よく売れるし、どの産地からでも手に入る。日本からのも、北日本から
の養殖物もある」(日本の輸入業者)
小売店調査による店頭価格は以下のとおり
36
表13
売り場
ほたて店頭価格
品名
形態
産地
内容量
£
剥き身
Patagonia
200g
3.99
剥き身
UK
剥き身
UK
£/100g
円/100g
1.995
420
2.499
526
2.723
573
Waitrose、ロンドン郊外店舗
生鮮パック
Scallops
Sainsbery、ロンドン郊外店舗
鮮魚売り場
Scallops
Marks & Spencer、 ロンドン郊外店
生鮮パック
Scallops
220g
5.99
出典:店頭価格調査による
(f)
ぶり
現状、日本食レストラン以外は極めて限られたマーケット。消費者のなじみも薄く、
大手小売チェーンへの直接的参入は難しい。料理法の提案も含め、まずフードサービス
セクターへの参入が、より可能性があろう。なお、現在一部の日本食レストランにはオ
ーストラリア産の養殖「ひらまさ」が入っており、消費が拡大した際には競合が予想さ
れる。
「真正な日本式フードサービスには市場があるが、小規模で、多くは豪州から持って
きている」
(日本商社)
「ブリは入手が難しい。過去には日本から入れたが、最大手の日本の輸入業者でも豪州
の養殖物を買っている」
(水産物卸売業者)
「ブリもやってみたが、売れないし、続かなかった。他の魚よりずっと高価なためもあ
った。マグロは1キロ20ポンドなのに、1キロ30ポンドで小売せざるを得なかった」
(スーパーチェーン)
表14
売り場
ぶり店頭価格
品名
形態
産地
Sashimi
n.a.
内容量
£
£/100g
円/100g
4.90
1,031
Japan Center、ロンドン中心部
生鮮パック
Yellow tail
出典:店頭価格調査による
(g)
真鯛
ブリ同様、英国消費者にはあまりなじみがなく、大手小売チェーンの販売ルートに直
接参入することは難しいであろう。ブリ同様、フードサービスセクターへの販売が妥当
37
と思料される。なお、真鯛に類似した魚種がギリシャから入っており、また Black sea
bream は一部スーパーの店頭で見られた。
「マダイは高価でスペインやアフリカから入手できるが、顧客にはクロダイを勧める。
ギリシャで養殖され、価格も適正、供給も安定的で、寿司には理想的」
(輸入業者)
「フードサービスでのタイ消費の伸びは、価格下落による。ギリシャからの養殖クロダ
イが下げたのだ」(日本商社)
表15
真鯛(red sea bream)店頭価格
売り場
品名
形態
産地
Whole
France,
farmed
Sashimi
n.a.
内容量
£
£/100g
円/100g
1.349
284
3.798
799
Sainsbery、ロンドン郊外店舗
鮮魚売り場
Black sea bream
Japan Center、ロンドン中心部
生鮮パック
Red sea bream
114g
4.33
出典:店頭価格調査による
(h)
タラ
今回のターゲット品目ではなかったが、多くの業者から可能性を指摘されたのがタラ
であり、価格水準が妥当であれば、比較的大きなマーケットが期待しうる。
「妥当な価格のタラはフィッシュ&チップス向けに最適」
(水産物流通業者)
「来年はタラをねらっている。マークス&スペンサーがここではベンチマークで、高値
のものを扱っている」
(レストランチェーン)
d.市場開発の障壁
英国での日本産水産物市場の開発にとっての主要障壁は4つであり、本プロジェクト
では、前記の 7 品目を中心に述べる。
① 価格・コスト
インタビューしたほぼ全員が主要障壁としてあげる。日本産水産物は極めて高価で、
加えて 18%のEU輸入関税が課される(開発途上国は課されない)
。
ある水産物供給業者は「これらの全部か、大部分が日本産だが、日本式レストランす
ら価格故にあまり興味がないようだ。我々も多くを扱うが、日本産ではない」
38
「高いのになぜ地球を半回りして運ぶのか、グリンビーで手に入るし安い」(主導的水
産物卸売業者)
「地元産の、より高価で高品質の水産物は、大陸へ輸出されるが、いい値がつくからで
ある」
② 供給の安定性
主要市場の参加者の多くは、安定的に一定量を供給できる海外の供給業者を求めてい
る。この点は日本については問題とみなされる。
・ 日本の国内市場では高価格がつけられるので、バイヤーは輸出のモチベーションに
懸念がある
・ 日本は周知の主要な水産物純輸入国である
・ EUへの輸出用加工場のライセンス問題はよく知られている
ある日本法人は「日本産水産物は、我々のモデルにフィットしない、我々はボリュー
ムを求め、どこの産品かは大きな問題ではない」と言う。
③
サスティナビリティへの配慮
懸念が強まっており、日本はより積極的に説明責任を果たし、信頼回復に努めるべき
である。
「日本は、欧州で持続性は大きな問題であり、また捕鯨は受け入れられないことを知る
(水産物輸入業者)
べきである。どちらが正しいかわからないが、イメージの問題である」
④
利益率
リサーチインタビュー結果では、日本産水産物は極めて小規模な市場とみられており、
その小規模市場を価値あるものとするには、最悪でも中位の利益、できれば(関心をつ
なぐために)高利益が上がらなければならないが、日本産品の高い貿易価格に加え、非
第三世界の供給国としての、EUの輸入関税がある。これらのレベルが達成できるか、
問題とされる。
e.主な競合先・SWOT分析
英国は水産物を世界中から調達し、競合国はかなりある。中でも急拡大しつつあるの
が中国である。
「最良の水産物は多くの国から来るが、主な国は白身魚では、ノルウェー、アイスラン
39
ドで、極東ではベトナム、インドだ。加工品はここでも入手できるが、労賃の安い中国
の加工品も多い」(レストランチェーン)
「最良の水産物の供給国は多いが、スリランカも世界水準で、品質も第一級、量も安定
し価格も妥当、日本にもたくさん行っていると思う」
(水産物卸業者)
「全部いい国はない、加工の良いものは極東だ」
(水産物輸入業者)
現存の大きな市場(タラ、サケ、サバ等)では、日本はアイスランド、北欧、カナダ
と厳しい競争になる。
「日本のメリットは「本物」であること、デメリットは価格と利便性。恐ろしく高価で
プレミアムは正当ではない、我々は中国、インド洋諸国、スコットランド(生鮮サケ)
、
韓国、ベトナム等から入れている、5-10%程度が日本からだ」(日本レストランチ
ェーン)
表16
国別・種別輸入量(トン)
2005
2006
デンマーク
5,425
5,302
エクアドル
2,545
3,334
インド
11,533
12,892
中国
2,013
3,447
アイスランド
28,569
28,829
デンマーク
19,227
23,215
中国
16,661
23,594
ノルウェー
606
11,504
デンマーク
3,970
7,939
アイルランド
11,432
5,308
国
貝甲殻類
タ
サ
ラ
バ
出典: UK Trade Statistics, UK Seafood Authority
TNSの消費者リサーチでは、2006 年小売販売の上位 20 品目は以下のとおりで、フ
ードサービス分野を過小評価している点はあるが、英国の水産物市場を表している。こ
れらが主な競合品目となる。
40
表17
小売りにおける魚介製品売上の上位 20 種類
金額
重量
価格
×103£
トン
£/kg
サケ
384,321
39,872
9.64
エビ
164,950
16,831
9.80
コダラ
141,685
18,225
7.77
タラ
126,468
15,864
7.97
サバ
58,629
8,346
7.02
マグロ
40,750
4,878
8.35
マス
40,656
5,602
7.26
セレクション
33,821
4,389
7.71
ツノガレイ
32,184
3,824
8.42
シタビラメ
24,159
1,852
13.04
カニスティック
19,575
4,728
4.14
(ニシンなどの)燻製
15,709
4,347
3.61
白身魚
14,254
3,510
4.06
二枚貝
14,230
2,784
5.11
カニ
9,747
739
13.19
シーバス
8,500
628
13.54
ニシン
8,385
2,213
3.79
ホタテ
7,081
na
na
ギンガエイ
6,967
906
7.69
寿司
6,906
na
na
Source: TNS
日本と中国のSWOT(強み、弱み、機会、脅威)を対比すると、以下のとおりである。
中国のSWOTは韓国・ベトナム等に対しても適用される。
41
日本の SWOT
表18
強み(S)
弱み(W)
•
高品質の製品
•
価格
•
高品質のイメージ
•
購入しやすさ
•
健全な位置づけ
•
純輸入国と認識されていること
•
安全で衛生的な製品
機会(O)
脅威(T)
•
日本国内のレストランおよび海外
•
持続可能性
のレストラン.
•
市場から遠い(CO2フットプリント)
•
高級料理店
•
若い消費者
•
健康重視の消費者
出典:主要業者へのインタビューによる
中国の SWOT
表19
強み(S)
弱み(W)
•
大量の供給
•
品質の調整(とくに加工の段階)
•
低コスト
•
製品の安定性
•
低コストで加工可
•
市場との距離
•
第 3 世界の関税
機会(O)
脅威(T)
•
主な輸入品国に近い
•
衛生上の問題
•
巨大な魚介類市場
•
環境と持続可能性の問題
•
品質と安定性の改善
出典:主要業者へのインタビューによる
3. 流通実態
(1)
概況
他の多くの市場と同様、水産物についても国内生産(漁獲と養殖)、輸入の2つの流
れから国内流通経路に供給される。2006 年においては国内生産8億ポンド、輸入 20
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