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「レポートVol2 「アセアン現地視察」報告 ~インドネシア・タイ~」(PDF
「アセアン現地視察」報告 ~インドネシア・タイ~ 経営支援課 梅木智史 去る1-2月、事業の海外展開に意欲ある企業さんに参加いただき、当財団主催 で 開 催 し た「 島 根 も の づ く り 企 業 海 外 展 開 勉 強 会 」。全 4 回 の 講 習 で ア セ ア ン の 現 状 と海外事業展開について知識を深めていただいた受講者の中から、希望者数名にご 参加いただき、オプション企画「アセアン現地視察」を3月上旬に実施しました。 視察先はアセアンの中でも日系企業の進出事例が多いインドネシアとタイ。4泊 6 日 で 2 ヶ 国 を 巡 る 視 察 ツ ア ー に 事 務 局 含 め 総 勢 10 名 ほ ど で 出 か け ま し た 。 現 地 で見聞きした情報をかいつまんでお伝えしたいと思います。 インドネシア アセアン全体の 4 割を占める 2 億 4 千万の人口 を 抱 え る イ ン ド ネ シ ア 。 14,000 か ら な る 島 で 形 成 さ れ る 島 国 で す が 、今 回 滞 在 し た 首 都 ジ ャ カ ル タ が あ る ジ ャ ワ 島 に は 全 人 口 の 6 割 に あ た る 1 億 3,000 万人が集中しています。 近年急速に経済が発展、国民の所得水準も高ま り 、中 間 所 得 層 が 増 加 し て い ま す 。ジ ャ カ ル タ で は 巨 大 な シ ョ ッ ピ ン グ モ ー ル が 乱 立 、空 港 か ら の バ ス での道すがら幾つも続けて目に飛び込んできます。 乱立するジャカルタ市内 ジ ャ カ ル タ 市 内 に 170 店 舗 ほ ど も あ り 、 シ ョ ッ ピ ン グ の シ ョ ッ ピ ン グ モ ー ル モールに家族ででかけるのがジャカルタ市民の一般的な休日の過ごし方とのこと。 立ち寄ったショッピングモール「グランドインドネシア」も現地の方で賑わって いました。モール内の日本食レストランはいずれ も 盛 況 。日 本 食 人 気 は 高 く 、近 年 相 次 い で 進 出 し て いるようです。インドネシアには飲食店展開も大 いに可能性があることを感じました。 某大手日系牛丼チェーンは日本で見るカウンタ ー 席 を 置 か ず 、ボ ッ ク ス 席 の み の 店 舗 設 計 。イ ン ド ネシアでは外食は家族ででかけ、一店舗にある程 度長時間留まって食事をとるのが一般的で、カウ ンターは好まれないとのこと。展開する国の習慣 団体客で店内は盛況 に合わせ柔軟にビジネススタイルを変えていくのは成 功の一要素でしょう。また、イスラム教徒が大半のインドネシアでは、ハラルへの 対応も重要な要素です。 タイ タ イ は 自 動 車 産 業 を 中 心 に 古 く は 1960 年 代 か ら 日 系 製 造 業 が 現 地 進 出 を し て き た国です。現在ではアセアンでも屈指のサプライチェーンを形成しています。今回 視察で訪問した日系製造業も、規模の大小にかかわらず、全て自動車関連産業に従 事する企業でした。 タイは製造業への外資規制がアセアン各国の中で は 比 較 的 緩 や か で す 。ま た 、多 く の 工 業 団 地 で レ ン タ ル工場が整備されています。こういったインフラが 整っていることも、現地進出のハードルを下げてい ます。 訪問したある企業の社長さんから大変印象に残る お 話 を お 聞 き し ま し た 。 首 都 バ ン コ ク の 南 東 100km ほどに位置するある工業団地に工場を構えておられ 工 業 団 地 内 に 整 備 さ れ た レ ン タ る A 社さんは自動車部品製造を行っていらっしゃる ル工場群 企業さんです。約80名のローカルスタッフがいま すが、スタッフの業務管理については「日本式の厳格な業務管理を押し付けず(あ まりガチガチに管理せず)タイ人のペースに任せてやっている」とのことでした。 事実、工場内では時折スタッフ同士が談笑しながら生産作業をしている様子が見ら れ( 日 本 の 自 動 車 部 品 製 造 工 場 で は ま ず 見 な い 光 景 で す )、少 し の ん び り し て い る よ うな印象も受けました。日本的な業務管理を導入すれば、生産効率はある程度上が るが、同時に離職率もぐっと上がる。タイで仕事をしているのだから、タイ人のや り方に合わせなければ結局うまくいかないだろう。勿論、締めるべきところは締め る ( 連 続 の 欠 勤 ・ 遅 刻 な ど に は 厳 し く 対 処 )、 と い う こ と で し た 。 私がこれまで数回のタイ訪問時、見学させていただいた現地日系製造業さんはい ず れ も「 日 本 の 業 務 管 理・生 産 管 理 方 式 や 業 務 マ ニ ュ ア ル を タ イ 工 場 に 持 ち 込 ん で 、 ローカルスタッフを管理・教育している」企業さんでした。A 社さんのように現地 のやり方に合わせている製造業さんを見るのは初めてでした。勿論、どちらだけが 正解、ということはないのだと思いますが、インドネシアの某日系牛丼チェーン店 と同じく、現地の事情や気質に合わせて、柔軟にビジネスのやり方を変えていく。 これは業種を問わず、その国に根付いてビジネスを行っていくための一手法なのだ と思います。 今回の現地視察、インドネシアとタイという 2 か国 を訪問したのには、参加者の方々に 2 か国を比較して 見ていただこうという意図がありました。アセアンと 一括りに言っても10か国、気候や雰囲気は似ていて も 、そ れ ぞ れ 制 度 や 慣 習 も 様 々 。現 地 の 方 の 気 質 も 異 な り ま す 。ア セ ア ン へ の 事 業 展 開 を 考 え ら れ る 際 に も 、複 数 の 国 に 実 際 に 足 を 運 ん で 、比 較 し て み て 、ご 自 身 の 展 開されるビジネスに最も最適な国を選定されるべきで 日系企業や店舗が建ち並ぶ はないでしょうか。 バ ン コ ク・ス カ イ ト レ イ ン の プ しまね産業振興財団では、平成27年度も引き続き ロンポン駅周辺 「 海 外 展 開 勉 強 会 」と オ プ シ ョ ン 企 画 と し て「 ア セ ア ン 現地視察」を実施予定です。ご興味のある方は是非参加をご検討ください。