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~ 人事労務管理コラム ~ ©社会保険労務士事務所セオス

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~ 人事労務管理コラム ~
★テーマ★
発行日
2014年1月5日
03-04
有期労働契約の雇止めの制限とは?
派遣社員や契約社員などの有期契約雇用が増える
につれ、既存の法律では有期契約で働く労働者を保護
することが難しくなってきていました。そこで、有期契約
雇用については、様々な変更がなされていて、内容を
正しく理解することが非常に難しくなっています。
意味することになります。告示は法律ではなく行政の基
準ですから、直接の法的な拘束力をもっているわけでは
ありませんし、私法上の効力も有しません。しかし、違反
すれば行政指導等の対象になりますので、実務上は重
要な意味をもっています。
1.有期労働契約の適正な運用のための基準
2.平成24年の労働契約法の改正
ややこしいのですが、まずは平成15年に厚生労働省
から出された告示についてお話しする必要があります。
さて、次に平成24年に公布された労働契約法改正に
ついてお話しする必要があります。改正された労働契約
法では、それまでは判例のルールとして存在していた雇
止め法理が法定化されました。その雇止めのルールを
具体的に見ていきましょう。
これは、労働契約の更新の場合の手続や、雇止めす
る場合には事前に通知すべきことなど、有期労働契約
の適正な運用のための基準についての告示です。
まず、会社は、有期雇用契約を締結する際には、期
間満了時に更新する可能性が有るのか無いのかを明ら
かにして、更新する可能性がある場合はその判断基準
を示さなければなりません。あいまいな形で有期労働契
約を結んだ場合、期間満了時のトラブルが生じる可能
性があるからです。そして、更新の有無やその基準につ
いて変更する場合は、会社は速やかに労働者にその旨
を通知する必要があります。
次に、更新有りと伝えた上で、有期労働契約が3回以
上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されて
いる労働者に対して、有期労働契約を更新せずに雇止
めをするときは、会社は、少なくとも当該契約期間の満
了時の30日前までにその予告をしなければなりません。
第三に、上述の雇止めをする際に、会社は、労働者
が更新拒否の理由について証明書を請求したときには
遅滞なく交付しなければなりません。これは、雇い止め
後に請求された場合も同じです。明示すべき雇止めの
理由は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必
要です。つまり、3回以上更新した有期労働契約や1年
以上継続雇用している労働者に雇止めをする際には、
「期間が満了したから更新はしません」という理由では駄
目だということです。
そして最後に、会社は、更新があることを明示された
上で契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて継続勤
務している有期労働契約の労働者に対して、なお期間
を更新する場合は、当該契約の実態および当該労働
者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするよう
努めなければなりません。
以上のように、この基準は、それがすべて厳格に遵守
されれば有期雇用の労働者には非常に手厚い保護を
一般的な正社員の場合は、いわゆる期間の定めのな
い労働契約を結びますが、会社が正社員を解雇するに
は「客観的に合理的」で「社会通念上相当」な理由が必
要とされています。解雇するには正当な理由が必要で、
正当な理由がない解雇は無効になります。これを解雇
権濫用法理といいます。
一方で、契約社員などの有期契約社員は、期間が満
了すれば契約更新がされない限り契約は終了となりま
す。実態として、更新するかどうかは会社が主導権を握
りますので、この雇用形態で働く労働者の地位が不安
定であることは明らかです。
そこで、これまでの判例においては、
①有期労働契約が何度も更新され実質的に無期労働
契約と変わらない状態となっていた場合
②契約期間が満了しても労働者に雇用の継続を期待
させる合理性が有る場合
以上の場合には、契約期間が満了したからという理由
だけで雇止めをすることはできず、解雇と同様の正当な
理由が必要とされてきました。これを「雇止め法理」とい
います。
平成24年の労働契約法の改正で、判例で認められて
きた「雇止め法理」を法律に引き上げ、反復・継続して
更新されてきた有期労働契約の労働者が雇止めされ
た場合に、その労働者が雇止めをされる前かあるいはさ
れた後に遅滞なく更新を申し込めば、正当な理由がな
い限り、会社は契約を更新しなければならないものとさ
れました。
上記の「雇止め法理」の①については、a.業務の客観
的内容(業務が臨時的・季節的なものか)、b.当事者
間の主観的態様(たとえば会社から労働者に対し更新
を期待させるような言動があったか)、c.更新の手続き
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~ 人事労務管理コラム ~
発行日
2014年1月5日
02-04
有期労働契約の雇止めの制限とは?
★テーマ★
について判断されます。このうち、cの更新の手続きにつ
いて、たとえば手続きが杜撰で、毎回の更新手続きが
書面でなされていないならば、実質的に無期契約が結
ばれていると扱われてしまいます。
上記の「雇止め法理」の②について、契約更新の手続
きが毎回しっかりなされていても、「契約期間満了後の
雇用の継続を期待することが法的に保護されるに値す
る」と判断されれば、契約期間満了という理由だけで雇
止めをすることができません。たとえ契約の更新の上限
を契約時に明らかにしていても、それを超えて契約を更
新している例が社内にあれば、「自分も更新してもらえる
もの」と期待することに合理性があれば雇止めできない
可能性があるのです。
労働契約法の改正では、他に有期労働契約で5年間
継続して働いた労働者が期間の定めのない労働契約
への転換を申し込めば、会社はその申し込みを承諾し
たものとみなす(=承諾しなければならない)という変更
点もあります。その解説は別の機会に譲りますが、法律
上の要請としては有期契約労働者を保護する方向性に
あることをまず理解し、法律や告示の趣旨をくみ取る必
要があります。
所長からコメント
雇止めが社会問題化されていることを鑑みると、有期労
働契約は今後は様々な制限が加えられていくものと思わ
れます。試用期間としての有期労働契約は存続し続ける
でしょうが、常態としての雇用形態としては、有期労働契約
は減少するでしょう。
発行元 : 社会保険労務士事務所セオス
〒577-0837 大阪府東大阪市寿町2-5-15-102号
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FAX : 050-3737-9771
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