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特 許 公 報 特許第5788908号

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特 許 公 報 特許第5788908号
〔実 9 頁〕
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許番号
特許第5788908号
(45)発行日
(P5788908)
(24)登録日 平成27年8月7日(2015.8.7)
平成27年10月7日(2015.10.7)
(51)Int.Cl.
FI
A61K 36/48
(2006.01)
A61K
36/48
A61K 31/353
(2006.01)
A61K
31/353
A61K
9/20
(2006.01)
A61K
9/20
A61K
9/14
(2006.01)
A61K
9/14
A61K
9/08
(2006.01)
A61K
9/08
請求項の数10
(全16頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2012-551467(P2012-551467)
(86)(22)出願日
平成22年11月11日(2010.11.11)
北京▲緑▼色金可生物技▲術▼股▲フン▼
(65)公表番号
特表2013-518824(P2013-518824A)
有限公司
(43)公表日
平成25年5月23日(2013.5.23)
中華人民共和国100081北京市海淀区
(86)国際出願番号
PCT/CN2010/078627
中▲關▼村南大街12号中国▲農▼▲業▼
(87)国際公開番号
WO2011/095021
(87)国際公開日
平成23年8月11日(2011.8.11)
審査請求日
平成25年5月17日(2013.5.17)
(31)優先権主張番号
201010111327.8
(32)優先日
平成22年2月2日(2010.2.2)
(33)優先権主張国
中国(CN)
(73)特許権者 512203023
科学院科海福林大厦三▲層▼
(74)代理人 100108453
弁理士
村山 靖彦
(74)代理人 100110364
弁理士
実広 信哉
(74)代理人 100133400
弁理士
阿部 達彦
前置審査
最終頁に続く
(54)【発明の名称】黒大豆種皮抽出物の骨関節炎の予防及び治療用製品の製造における応用
1
2
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
【請求項1】
前記黒大豆種皮抽出物を含有する製品の剤形は、粉末、
黒大豆種皮抽出物の骨関節炎を予防及び治療する製品の
経口液剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び丸剤の少なく
製造への使用であって、前記製品は薬品であることを特
とも一種であることを特徴とする請求項1に記載の黒大
徴とする黒大豆種皮抽出物の骨関節炎を予防及び治療す
豆種皮抽出物の使用。
る製品の製造への使用。
【請求項6】
【請求項2】
黒大豆種皮抽出物を含有することを特徴とする骨関節炎
前記黒大豆種皮抽出物に、ポリフェノール系化合物が含
治療用の薬品。
有され、その中、総ポリフェノールが50∼95重量%
【請求項7】
で、アントシアニンが5∼30重量%であることを特徴 10
前記黒大豆種皮抽出物に、ポリフェノール系化合物が含
とする請求項1に記載の黒大豆種皮抽出物の使用。
有され、その中、総ポリフェノールが50∼95重量%
【請求項3】
で、アントシアニンが5∼30重量%であることを特徴
前記骨関節炎は、変形性骨関節炎による骨損傷、又は関
とする請求項6に記載の骨関節炎治療用の薬品。
節老化による摩耗を含むことを特徴とする請求項1に記
【請求項8】
載の黒大豆種皮抽出物の使用。
毎日摂取する前記薬品に黒大豆種皮抽出物を100∼8
【請求項4】
00mg含有することを特徴とする請求項7に記載の骨
毎日摂取する前記製品に黒大豆種皮抽出物を100∼8
関節炎治療用の薬品。
00mg含有することを特徴とする請求項1に記載の黒
【請求項9】
大豆種皮抽出物の使用。
前記薬品の剤形は、粉末、経口液剤、錠剤、カプセル剤
( 2 )
JP
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、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種であることを特徴と
【発明の概要】
する請求項6∼8に記載の骨関節炎治療用の薬品。
【発明が解決しようとする課題】
【請求項10】
【0006】
前記骨関節炎は、変形性骨関節炎による骨損傷、又は関
今まで、黒大豆種皮抽出物の機能性及びその薬理効能に
節老化による摩耗を含むことを特徴とする請求項6に記
対する研究において、黒大豆種皮抽出物の骨関節炎の予
載の骨関節炎治療用の薬品。
防及び治療に関する報告はなかった。本発明者は黒大豆
【発明の詳細な説明】
種皮抽出物製品を開発する際に、黒大豆種皮抽出物が骨
【技術分野】
関節炎を抑制し、骨関節炎の予防及び治療に利用できる
【0001】
こと発見した。
本発明は食品由来の抽出物の応用に関し、特に、黒大豆 10
【課題を解決するための手段】
種皮抽出物が骨関節炎を予防及び治療する食品、健康食
【0007】
品及び薬品における応用に関する。
骨関節炎(osteoarthritis)は、関節軟
【背景技術】
骨の変性による疾患で、関節のエッジに骨棘が形成され
【0002】
、変形性関節症とも呼ばれる。主な症状は、手足の硬直
黒大豆は、ラテン名がGlycine max(L.)M
や痛み、腫れ、関節摩擦音である。骨関節炎は高齢者に
errであり、中国語における別名が黒大豆、櫓豆、料
よく見られ、人類の平均寿命が延びているに伴って骨関
豆、REIUTOU(零烏豆)、冬豆などがある。中国伝統医
節炎の発病率も引き続き上昇し、仕事に支障をきたすた
学によると、色の黒いものが腎に入る。黒大豆は甘温、
め、心臓病に次いで五十歳以上の労働能力喪失の二番目
毒性は無く、腎臓、脾臓、心臓に入り、補腎強身、除湿
の原因となる。欧米諸国の骨関節炎罹患率が特に高く、
利水、アンチエイジングの効果がある。その高い栄養価 20
統計によると、それは通院患者の2.3%を占めている
値が多くの研究者によって発見されて、特に黒大豆種皮
。骨関節炎の病理学的構造変化は、膝関節包の滑膜炎症
の薬理効能に対する研究が日増しに深まっている。黒大
による増生癒着、関節軟骨の破損、膝関節周辺の軟部組
豆種皮は色が黒く、大豆衣、大豆皮、黒豆衣、黒豆衣、
織及び靭帯の退行性変化である。発病機序は、内分泌の
RYOTOUI(リョ豆衣)、RYOTOUHI(リョ豆皮)、UTOUI(
変化、体重の増加、膝関節にかかる負荷の増大による関
烏豆衣)とも呼ばれる。
節周囲組織の供血不足、神経栄養不良等によるものであ
【0003】
る。骨関節炎は、プライマリーとセカンダリーとがある
黒大豆種皮抽出物はアントシアニン、ポリフェノールな
。プライマリーは原因が不明で、セカンダリーは元の病
どの有効成分を含有している。
気から骨関節炎に発展されたものである。先天性関節発
これらのアントシアニン成分は着色料としての用途だけ
育異常、児童期の関節病理変化、外傷、及び様々な代謝
でなく、黒大豆中の機能性を有する成分である。毛細血 30
性疾患と軟骨崩壊を引き起こした関節内炎症などを含む
管の微小循環の改善、及び抗疲労においても顕著な効果
病気はいずれも骨関節炎である。
がある。ポリフェノール系化合物は自然における重要な
【0008】
化合物で、酸化防止剤でもある。
臨床に用いる骨関節炎の治療薬品は、アセトアミノフェ
【0004】
ン(即ちパラセタモール)などのような鎮痛剤、副腎皮
黒大豆種皮抽出物は、視力改善、利尿、抗壊血病、止血
質ホルモン、関節腔内又は病理変化局部に注射するベタ
などの効果があり、毛細血管の保護、視紅細胞再生の促
メタゾン、リメタゾン(LIMETHASON)などの非ステロイド
進、暗闇への適応能力の増強、眼精疲労の改善などがで
性抗炎症薬、及びボルタレン、Difene、英太青(ジクロ
き、かすみ目、眼球腫れ、眼痛、羞明、ドライアイ、疲
フェナクナトリウム徐放カプセル)、ジクロフェナク、
れ目などのような青少年の視覚疲労の緩和にも顕著な効
レルパックスを含むジクロフェナクナトリウムと、スリ
能がある。また、黒大豆種皮抽出物は抗酸化やアンチェ 40
ンダク、アセメタシン、オキサプロジン、セレブレック
イジング、フリーラジカル除去の効果があり、高血圧、
ス、バイオックスなどが挙げられる。上記一部の薬品は
高コレステロール及び高血糖を患う患者に用いられ、そ
症状を迅速に解消できるが、それに伴う消化管、心血管
の生活品質を改善することができる。日本の研究では、
及び腎臓の合併症などの副作用が大きく、関節炎を逆転
黒大豆種皮抽出物はチロシンキナーゼを抑制することに
させる役割が果たされない。さらに、関節軟骨に対する
より、優れた美白効果有することから、理想的な抗酸化
さらなる損傷をもたらす薬品もある。
、アンチェイジング製品となる。
【0009】
【先行技術文献】
従って、本発明の一つの目的は、黒大豆種皮抽出物が骨
【非特許文献】
関節炎を予防する健康食品の製造における応用である。
【0005】
【0010】
【非特許文献1】Lequesne MG(1991)
50
また、医薬品の製造における応用も目的のひとつである
( 3 )
JP
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。
させ、VASスコア指標とLequesne指標によっ
【0011】
て骨関節炎の重症度を評価した結果、服用前後の痛み指
さらに、食品の製造における応用も目的のひとつである
標の比較により、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎患者の痛
。
み症状を顕著に改善したことが示されている。また、黒
【0012】
大豆種皮抽出物を服用する患者の血圧や心拍数について
本発明の一つの特徴として骨関節炎予防用の健康食品が
安全性試験を行ったところ、黒大豆種皮抽出物を服用す
黒大豆種皮抽出物を含有することである。
る前と変わりがないことから、黒大豆種皮抽出物が骨関
【0013】
節炎患者に対して安全的であり、信頼できる食品、健康
本発明のもう一つの特徴として骨関節炎予防用の医薬品
が黒大豆種皮抽出物を含有することである。
食品、薬品であることが分かる。
10
【0021】
【0014】
前記の健康食品は、黒大豆種皮抽出物を含有する飲み物
本発明のまた一つの特徴として骨関節炎予防用の食品が
や食品を含む各種の経口製品など様々な種類がある。
黒大豆種皮抽出物を含有することである。
【0022】
【0015】
本発明は、さらに、黒大豆種皮抽出物を含有する骨関節
骨関節炎を予防するために、毎日服用する食品薬品、医
炎治療用の新しい薬品を提供する。その中でも、黒大豆
薬品および健康食品に含有する黒大豆種皮抽出物の量は
種皮抽出物におけるポリフェノール系化合物は有効成分
100∼800mgである。
として役割を果たしている。
【0016】
【0023】
上記食品は、従来の方法により一般の食品を製造して、
本発明は、さらに、黒大豆種皮抽出物を含有する薬品組
黒大豆種皮抽出物を添加することができる。
20
成物を提供する。当該薬品組成物は黒大豆種皮抽出物に
【0017】
含有するポリフェノール系化合物を有効成分として補助
上記健康食品、薬品は、漢方薬を製造する時の従来の方
材料を添加して製造される。
法により、必要に応じて、粉末、煎じ薬、錠剤、カプセ
【0024】
ル、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種に製造することが
上記薬品組成物において、総ポリフェノールが50∼9
できる。
5重量%含有され、その中、アントシアニンが5∼30
【0018】
重量%含有されている。
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物は、有効成分で計算さ
【0025】
れた1日分の用量は100∼800ミリグラムで、4週
上記薬品組成物に含有する黒大豆種皮抽出物の量は10
間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服
0∼800mgであり、100∼200mg、200∼
用することになっているが、個々人の状況や治療目的に 30
300mg、300∼400mg、400∼500mg
よって適切に服用することもできる。1日分の用量は1
、500∼600mg、600∼700mg、700∼
00∼200mg、200∼300mg、300∼40
800mgであってもよい。さらに好ましくは400∼
0mg、400∼500mg、500∼600mg、6
800mgである。
00∼700mg、700∼800mgであり、さらに
【0026】
好ましくは400∼800mgである。
上記薬品組成物は漢方薬製剤を製造する従来の方法によ
【0019】
り、臨床の需要に応じて、粉末、煎じ薬、錠剤、カプセ
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物には、ポリフェノール
ル、顆粒剤及び丸剤の少なくとも一種に製造することが
系化合物が含有されている。本発明において、ポリフェ
できる。
ノール系化合物の含有量、及び抽出方法について特に限
【0027】
定されない。抽出物の含有量が抽出方法によって一定の 40
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物は、有効成分で計算さ
差があるが、黒大豆種皮抽出物におけるポリフェノール
れた1日分の用量は100∼800ミリグラムで、4週
系化合物には、通常、総ポリフェノールが50∼95重
間を1つの治療期間として、3つの治療期間継続して服
量%含有され、その中、アントシアニンが5∼30重量
用することになっているが、個々人の状況や治療目的に
%含有されている。
よって適切に服用することもできる。
【0020】
【0028】
骨関節炎の種類が様々であり、原因も複雑的である。本
本発明は黒大豆種皮抽出物の新しい用途を提供する。黒
発明はいずれの種類の骨関節炎にも機能性があり、特に
大豆種皮抽出物を含有する健康食品、薬品及び食品は、
、変形性骨関節による骨損傷又は関節老化による摩耗に
プライマー及びセカンダリーの骨関節炎の予防及び治療
適用できる。本発明の実施例に記載されているように、
に用いられる。有効成分を薬品製剤に用いるだけではな
軽度、中等度の骨関節炎患者に黒大豆種皮抽出物を服用 50
く、飲み物や食品に添加することも可能で、骨関節炎の
( 4 )
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予防お及び機能性を容易に実現させている。その利点は
91)により初めて提出された国際骨関節炎の常用のス
、使い方に汎用性があり、副作用がなく、骨関節炎の痛
コア基準であり、股関節や膝関節炎の重症度を評価する
みを顕著に改善できるのみならず、病状を実質的に改善
ことに用いられる。当該基準は、ヨーロッパにおいて広
でき、骨関節炎軟骨の分解を遅延し、安定させ、さらに
く応用され、特に薬品治療の長期的効果指標として有益
は逆転することさえできることにある。
的である。評価項目は夜間の痛み、活動中の痛み、朝の
【図面の簡単な説明】
こわばり又は起床後の痛み、歩行、日常活動(階段上り
【0029】
・下り、スクワット等)があり、上記各項目にはさらに
【図1】1日に800mg摂取する場合、VASにより
点数が付いた若干の小項目がある。最後に、合計点数で
評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関節
炎に対する治療効果。
患者の膝機能状態を評価する(指標が高いほど症状がひ
10
どい)。この評価は客観的で、包括的である。
【図2】1日に800mg摂取される場合、Leque
【0035】
sne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月ま
抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
での整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10名を
【図3】1日に400mg摂取される場合、VASによ
ランダム抽出し、その中、男性2名、女性8名で、年齢
り評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関
が41∼78(平均55)歳である。病歴が最短1年間
節炎に対する治療効果。
から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である
【図4】1日に800mg摂取される場合、Leque
。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関
sne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮
節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベ
抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
ルがKellgren基準によりレベル1∼レベル3に
【図5】1日に100mg摂取される場合、VASによ 20
分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたこと
り評価された本発明に係わる黒大豆種皮抽出物の膝骨関
がない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である
節炎に対する治療効果。
。胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患又は凝血機能障害及び
【図6】1日に100mg摂取される場合、Leque
炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷、及びNSA
sne指標により評価された本発明に係わる黒大豆種皮
IDa又はサルファ剤にアレルギーがある患者は除外す
抽出物の膝骨関節炎に対する治療効果。
る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
【0030】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物
以下、臨床試験例及び製剤の製造例を通して、本発明に
(総ポリフェノール95%、アントシアニン30%)を
係わる骨関節炎を治療するための薬品組成物を説明する
、朝晩1回ずつ、400mg/回、4週間を1つの治療
。
30
期間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0031】
【0037】
一、臨床試験例1
3、治療効果の評価
本発明の実質がより良く理解されるように、以下は臨床
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対
試験と通して、骨関節炎の治療薬の製造における黒大豆
して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、
種皮抽出物の新しい用途を説明する。
8週、12週にそれぞれ関節機能測定を行なう。WOM
【0032】
AC関節炎指標〔0∼100mm視覚的アナログ尺度(
WOMAC関節炎指標[0∼100mm視覚的アナログ
VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で
尺度]とLequesne痛み機能指標の結果により分
分析を行う。
析する。
【0033】
【0038】
40
4、統計学的処理
WOMACスコアは骨関節炎(OA)文献における使用
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対して
率が割に高く、内容については、このスコアは痛み、硬
t検定し、P<0.05を有意差ありとする。
直及び関節機能の三つの方面から膝関節の構造と機能を
【0039】
評価し、骨関節炎の基本的な症状や徴候をすべてカバー
5.実験結果
している。WOMACの有効性は、患者の治療に対する
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治
満足度などの治療前後の状況を正確に反映できることに
療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VAS
現れる。よって、当該スコアは骨関節炎の評価において
スコアとLequesne指標がいずれも低下した。服
、高い信頼性がある。
前と服後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果、い
【0034】
ずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは、黒
Lequesne指標はLequesne MG(19
50
大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があることが
( 5 )
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10
示されている。詳しくは表3を参照。
ASスコアが全体としてだんだん減少する傾向が見られ
【0040】
、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。L
【表1】
equesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、
何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大
豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩
和させる効能があることが示されている。
【0046】
二、臨床試験例2
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月ま
10
での整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10例を
ランダム抽出し、その中、男性1名、女性9名で、年齢
が41∼78(平均55)歳である。病歴が最短1年間
から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である
【0041】
。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関
【表2】
節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベ
ルがKellgren基準によりレベル1∼レベル3に
分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたこと
がない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である
。胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患、又は凝血機能障害及
20
び炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷、及びNS
AIDa又はサルファ剤にアレルギーがある患者が除外
する。
【0047】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物
(総ポリフェノール75%、アントシアニン15%)を
【0042】
、朝晩1回ずつ、200mg/回、4週間を1つの治療
【表3】
期間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0048】
3、治療効果の評価
30
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対
して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、
【0043】
8週、12週でそれぞれ関節機能測定を行なう。WOM
6.安全性結果
AC関節炎指標〔0∼100mm視覚的アナログ尺度(
【0044】
VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で
【表4】
分析を行う。
【0049】
4、統計学的処理
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対して
t検定し、P<0.05を有意差ありとする。
40
【0050】
【0045】
5.実験結果
本研究では、中高齢膝OA患者を10例選び、開放的臨
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治
床観察試験方法を採用し、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎
療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VAS
患者の治療における有効性及び安全性について研究をし
スコアとLequesne指標がいずれも低下した。服
ていた。
用前と服用後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果
黒大豆種皮抽出物を1日に800ミリグラム、12週間
、いずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは
継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患
、黒大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があるこ
者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初
とが示されている。
に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどか
詳しくは表7を参照。
った患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛V 50
【0051】
( 6 )
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11
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12
【表5】
何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大
豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩
和させる効能があることが示されている。
【0057】
三、臨床試験例3
1、病例の選択:2008年1月から2008年9月ま
での整形外科に通う膝関節OAの通院患者から10例を
ランダム抽出し、その中、男性2名、女性8名で、年齢
が41∼78(平均55)歳である。病歴が最短1年間
10
から最長12年間、平均(6.3±2.8)年間である
。すべての病例は米国リウマチ協会により制定した膝関
【0052】
節OAの診断基準に適合し、その膝関節OAのX線レベ
【表6】
ルがKellgren基準によりレベル1∼レベル3に
分けられる。上記病例はいずれも薬品治療を受けたこと
がない、又は他の薬品を服用停止して2週間以上である
。アクティブな胃腸疾患や、腎臓、肝臓の疾患又は凝血
機能障害及び炎症性関節炎、痛風、膝関節炎の急性外傷
、及びNSAIDa又はサルファ剤にアレルギーがある
患者は除外する。
20
【0058】
2、グループ:自己対照法を採用し、黒大豆種皮抽出物
(総ポリフェノール50%、アントシアニン10%)を
【0053】
、朝晩1回ずつ、50mg/回、4週間を1つの治療期
【表7】
間として、3つの治療期間継続して服用させる。
【0059】
3、治療効果の評価
すべての病例に黒大豆種皮抽出物を服用させ、それに対
して1年間追跡調査を行う。服用前、及び服用後4週、
【0054】
6.安全性結果
8週、12週にそれぞれ関節機能測定を行なう。WOM
30
AC関節炎指標〔0∼100mm視覚的アナログ尺度(
【0055】
VAS)〕と、Lequesne痛み機能指標の結果で
【表8】
分析を行う。
【0060】
4、統計学的処理
すべてのデータは平均数±基準差で表し、資料に対して
t検定し、P<0.05を有意差ありとする。
【0061】
【0056】
5.実験結果
本研究では、中高齢膝OA患者を10例選び、開放的臨
黒大豆種皮抽出物を服用した骨関節炎患者の治療前と治
床観察試験方法を採用し、骨関節炎患者の治療における 40
療後とを比較すると、関節痛が明らかに軽減し、VAS
黒大豆種皮抽出物の有効性及び安全性について研究をし
スコアとLequesne指標がいずれも低下した。服
ていた。
用前と服用後にそれぞれ測定した数値をt検定した結果
黒大豆種皮抽出物を1日に400ミリグラム、12週間
、いずれもP<0.05で、有意差がみられた。これは
継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患
、黒大豆種皮抽出物は膝骨関節炎の治療に効果があるこ
者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初
とが示されている。
に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどか
詳しくは表11を参照。
った患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛V
【0062】
ASスコアが全体としてだんだん減少する傾向が見られ
【表9】
、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。L
equesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、 50
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和させる効能があることが示されている。
【0068】
一、製剤例
以下は実施例を通して、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎の
治療に応用される際に使用する製品の製造方法について
説明する。
【0069】
黒大豆種皮抽出物は本分野の従来の方法により抽出する
、又は市販製品を採用することができる。本発明におい
【0063】
10
【表10】
て、出願番号PCT/CN2006/003397で、公
開番号US2008/0145482A1に開示さてい
る方法により黒大豆種皮抽出物を製造する。
【0070】
実施例1
黒大豆種皮抽出物を含有する食品の製造例
フルーツサラダの作り方
[1]パイナップル50g、りんご50g、キウイ50
g、及びバナナ50gをさいの目(角砂糖サイズ)に切
り、2、3個のプチトマトを4等分に切る。
[2]黒大豆種皮抽出物500mgと少量の砂糖を添加
20
し、1カップの赤ワインと混合させてから、冷蔵庫に入
【0064】
れて1時間漬ける。
【表11】
[3]1時間後に冷蔵庫から取り出し、へたをとったサ
クランボを入れ完成。
一回又は継続的に摂取する。
【0071】
実施例2
本発明に係わる黒大豆種皮抽出物を含有する
【0065】
飲み物の製造
6.安全性結果
65%のシロップ6.2%、50%のクエン酸0.3%
【0066】
、25%安息香酸ナトリウム溶液0.06%、25%ク
【表12】
30
エン酸ナトリウム溶液0.16%、アスパルテーム0.
01%、ジャスミンフレーバー0.1%および、黒大豆
種皮抽出物15%に水で100%量になるように調整し、
キャラメルを適量加え完成。一日数回、継続して飲む。
【0072】
実施例3
本発明に係わる薬品のカプセル剤の製造
【0067】
本分野の従来の方法により総ポリフェノールを75%、
本研究では、中高齢膝OA患者を10名選び、開放的臨
アントシアニンを15%含有する黒大豆種皮抽出物 2
床観察試験方法を採用し、黒大豆種皮抽出物が骨関節炎
00mgを抽出し、それを粉末に粉砕して、でん粉を2
患者の治療における有効性及び安全性について研究をし
ていた。
00mg加え、ゼラチンカプセルに入れ、1日に1粒服
40
用する。
黒大豆種皮抽出物を1日に100ミリグラム、12週間
【0073】
継続して服用させた結果、良好的な治療効果があり、患
実施例4
者から高い総合的評価を得ていた。特に、選ばれた当初
本分野の従来の方法により、総ポリフェノールを50%
に疼痛程度が中等度から重度で、関節炎の症状がひどか
、アントシアニンを30%含有する黒大豆種皮有効成分
った患者は、黒大豆種皮抽出物を服用してから、疼痛V
100mgを抽出し、それを粉末に粉砕してから、常
ASスコアが全体そしてだんだん減少する傾向が見られ
用の補助材料を加え、錠剤に押し固める。1日に2回服
、服用してから疼痛VASの反発が見られなかった。L
用する。
equesne指標もだんだん減少する傾向が見られ、
【0074】
何らの反発が見られなかった。こういうことから、黒大
実施例5
豆種皮抽出物は効果の継続時間が長く、確実に痛みを緩 50
本分野の従来の方法により、総ポリフェノールを95%
本発明に係わる薬品の錠剤の製造
本発明に係わる顆粒剤の製造
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、アントシアニンを5%含有する黒大豆種皮有効成分を
同様に、本分野の常用方法により、煎じ薬、粉末、丸剤
100mg抽出し、それを粉末に粉砕してから、顆粒剤
又は他の製剤に製造することもできる。各種の製剤の食
に押し固める。1日に1回服用する。
品、健康食品、薬品における黒大豆種皮抽出物の含有量
【0075】
が100∼800mgである。
実施例6
【0077】
本発明に係わる健康食品の製造
黒大豆種皮抽出物、コンドロイチン硫酸、グルコサミン
以上は本発明に係わる骨関節炎の予防及び治療における
、及びコエンザイムQ10に適量のでん粉を加え、それ
黒大豆種皮抽出物の新しい用途の詳しい説明である。具
を均一にかき混ぜり、黒大豆種皮抽出物が200mg、
体的な実施形態に記述された内容は本発明をより良く実
コンドロイチン硫酸が40mg、グルコサミンが30m
施するための好適な実施例である。本発明の保護範囲は
g、及びコエンザイムQ10が15mgを含有するカプ 10
特許請求の範囲に記述されている内容に準じ、上記実施
セルに製造する。1日に1∼2回、1回に2粒を服用し
形態に記述された技術案に限らない。本発明の特許請求
、骨関節炎の治療に用いる。
の範囲の実質的な内容を逸脱しないいずれの工程上の変
【0076】
形は本発明の保護範囲に属する。
【図1】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図6】
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(51)Int.Cl.
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FI
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(72)発明者
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李 春▲フア▼
中華人民共和国100081北京市海淀区中▲關▼村南大街12号中国▲農▼▲業▼科学院科海福
林大厦三▲層▼
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(72)発明者
JP
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李 ▲ヤン▼梅
中華人民共和国100081北京市海淀区中▲關▼村南大街12号中国▲農▼▲業▼科学院科海福
林大厦三▲層▼
(72)発明者
▲劉▼
清▲フア▼
中華人民共和国100081北京市海淀区中▲關▼村南大街12号中国▲農▼▲業▼科学院科海福
林大厦三▲層▼
審査官
(56)参考文献
鶴見
秀紀
米国特許出願公開第2008/0145482(US,A1)
特表2005−531498(JP,A)
特表2004−515508(JP,A)
特表2001−500546(JP,A)
XU Baojun et al,Antioxidant Capacity of Seed Coat, Dehulled Bean, and Whole Black Soy
beans in Relation to Their Distributions of Total Phenolics, Phenolic Acids, Anthocyan
ins, and Isoflavones ,J Agric Food Chem ,2008年,Vol.56,No.18 ,Page.8365-8373
KNAUP Bastian et al,Anthocyanins as lipoxygenase inhibitors ,Mol Nutr Food Res ,2
009年,Vol.53,No.5,Page.617-624
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A61K
36/00−36/9068
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31/353
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JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
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